JP4521139B2 - 水底堆積物搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水底の土砂又はヘドロ等を効率的に攪乱、吸引し、かつ吐出できる水底堆積物搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水底の土砂又はヘドロ等の水底堆積物を除去するために使用する水底堆積物搬送装置として、スクリューコンベアのケーシングの下半分が開放された構造に似た形態のもので、中央に水平配置され回転するスクリュー羽根と、スクリュー羽根の両端部を回転支持すると共に、スクリュー羽根をカバーし吸込口が形成された吸込ケーシングとを備え、さらに、吸込ケーシングの吸込口に接続され、所定の長さを有する吐出配管の先端に取付けられた搬送ポンプを備えたものが知られている。
この水底堆積物搬送装置においては、スクリュー羽根の回転によって吸込ケーシング内の土砂又はヘドロ等をある程度攪拌して吸込口側に移動させると共に、搬送ポンプの吸引により吸込口を介してこれらを吐出配管を経由して吸引している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の水底堆積物搬送装置においては、未だ解決すべき以下のような問題があった。
土砂又はヘドロ等の水底堆積物が軟らかい場合には、スクリュー羽根により水底堆積物がある程度均一に攪拌されて流動化され問題なく吸引、吐出できるが、水底堆積物が強固に固まっている場合には、スクリュー羽根では堆積物を破砕し流動化できないために、吸引、吐出できず、搬送不能になるケースがあった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、土砂又はヘドロ等の水底堆積物が強固に固まっている場合でも、堆積物が破砕され、均一に流動化されて吸引、吐出でき、搬送能力を高く維持できる水底堆積物搬送装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係る水底堆積物搬送装置は、下方又は斜め下方が開口となって、一部に吸込口を有する水平配置された吸込ケーシングと、前記吸込ケーシング内に配置されて水平配置された回転軸、及び該回転軸に取付けられた複数の破砕刃により水底堆積物を攪乱する土塊破砕部と、前記回転軸を駆動するモータと、前記吸込ケーシングの吸込口を介して前記水底堆積物を吸引する搬送ポンプとを備えた水底堆積物搬送装置において、前記吸込口は前記吸込ケーシングの軸方向の中央部に設けられ、前記吸込ケーシングの両端部の上側に上水吸水管を備えている。これによって、回転軸に取付けられた複数の破砕刃からなる土塊破砕部により水底堆積物が掻き砕かれて吸込ケーシング内で水と均一に混合し、流動化されると共に、流動化された水底堆積物を吸込ケーシングの吸込口を介して搬送ポンプにより吸引することができる。
【0006】
【0007】
第1の発明に係る水底堆積物搬送装置において、搬送ポンプは吸込ケーシングの吸込口に直に連接して設けられるように構成することもできる。これによって、吸込ケーシング内で流動化された水底堆積物の濃度が濃い状態となっても吸い上げることができる。
【0008】
第1の発明に係る水底堆積物搬送装置において、吸込ケーシングに上水吸水管を備える。これによって、搬送ポンプの吸引により、水底堆積物の上方の水が吸込ケーシング内に供給されるため、土塊破砕部によって破砕された水底堆積物を、より多くの水で混合希釈してポンプ吸引部の濃度を下げることができるので、ポンプを詰まらせることなく円滑に水底堆積物を搬送することができる。
第1の発明に係る水底堆積物搬送装置において、破砕刃は回転軸方向の列毎に異なる角度で取付けられるように構成することもできる。これによって、破砕刃の数は同じであるにもかかわらず、同時に土塊に接触する破砕刃の数を少なくすることができ、従って動力を節減することができる。
第1の発明に係る水底堆積物搬送装置において、吸込ケーシングの断面形状は半円以上の円弧であるように構成することもできる。これによって、吸込ケーシング内で水底堆積物をより効果的に攪拌し、搬送することができる。
【0009】
第1の発明に係る水底堆積物搬送装置において、モータは、吸込ケーシングに取付ブラケットを介して水面上に設けられるように構成することもできる。これによって、モータの水密性が不要となるため、より安価にでき、またモータの保守、点検が容易にできる。
第1の発明に係る水底堆積物搬送装置において、モータは、回転軸の内部に組み込まれた構成にすることもできる。これによって、モータが回転軸外に取付けられることによって発生するモータ部の堆積物吸引不可能範囲(死域)を完全になくすことができる。
第1の発明に係る水底堆積物搬送装置において、モータは、インバータで制御された電動モータ又は油圧モータであるように構成することもできる。これによって、水底堆積物の条件に合わせて土塊破砕部の回転数を適宜調整できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の第1の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置の正断面図、図2は図1の矢視A−A断面図、図3は本発明の第1の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置の第1変形例の正断面図、図4は同水底堆積物搬送装置の第2変形例の正断面図、図5は同水底堆積物搬送装置の第3変形例の正断面図、図6(A)、(B)、(C)はそれぞれ、同水底堆積物搬送装置の第4変形例の正断面図、回転軸及び減速機付電動モータの断面図、同水底堆積物搬送装置の第4変形例の側断面図、図7は本発明の第2の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置の正断面図、図8は図7の矢視B−B断面図、図9は同水底堆積物搬送装置の変形例の正断面図、図10は変形例の土塊破砕部の断面図、図11は変形例の吸込ケーシングの断面図、図12は水底堆積物搬送装置を適用した使用例を示す説明図、図13は水底堆積物搬送装置を適用した使用例を示す説明図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置10は、下方が開口11となって、上部の中央部に吸込口12を有する水平配置された吸込ケーシング13と、吸込ケーシング13内に配置されて水平配置された回転軸14、及び回転軸14に取付けられた複数の破砕刃15により水底堆積物の一例である土砂16を攪乱する土塊破砕部17と、回転軸14を駆動するモータの一例である減速機付電動モータ18と、吸込ケーシング13の吸込口12に連結されたポンプ吸込配管19を介して土砂16を吸引し、吐出する搬送ポンプ(図外)とを備えている。以下、これらについて詳しく説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、吸込ケーシング13は、軸方向の中央上部にポンプ吸込配管19の下端が連設された断面形状が半円弧の半割部20と、半割部20の両端に設けられた半円形状の端板21、22とを備えている。半割部20の両下端23、24及び端板21、22の下端25、26により実質的に矩形状の開口部27が形成され、開口部27は、水底の土砂16の上面28の直上に設置されるようになっている。
端板21、22の下端部の内側には、回転軸14の両端部を回転支持する軸受29、30が設けられており、さらに回転軸14の軸受29側は、端板21を貫通して端板21の外側に取付けられた減速機付電動モータ18の出力軸に連結されている。
【0013】
図1及び図2に示すように、軸受29、30によって回転支持された回転軸14には、中央の吸込口12位置を境にして両側の軸方向にそれぞれ、所定のピッチGで5列、しかも側面視して120°の等ピッチで放射状に取付けられた複数(本実施の形態においては、5列×3枚/列×=15枚)の破砕刃15を備えた土塊破砕部17を有している。
【0014】
図2に示すように、破砕刃15が取付けられた回転軸14は矢印で示す時計方向に回転し、各破砕刃15は側面視して弓状に形成され、かつ軸方向へも中央に向かって曲げて形成されている。破砕刃15の回転方向側の凹部分には、刃部(エッジ部)32が形成されている。減速機付電動モータ18を駆動して土塊破砕部17を回転することによって、破砕刃15を土砂16内で回転させて、土砂16を掻き砕きながら水と混合させて攪乱することができる。なお、図1、図2中の符号48は、吸込ケーシング13の一側部に設けられた支持機枠を表している。
【0015】
従って、水底堆積物搬送装置10においては、減速機付電動モータ18を駆動して土塊破砕部17を回転すると共に、ポンプ吸込配管19に設けた搬送ポンプを駆動することによって、土塊破砕部17を構成する複数枚の破砕刃15が土砂16に直接接触して、例え、土砂16が固い場合であってもそれらを掻き砕くことができ、これによって水が混合されて堆積物の流動性を向上させることができ、ポンプ吸込配管19を介して搬送ポンプにより土砂16を吸引することができるので、搬送能力を高く維持できる。
特に、刃部32を備えた破砕刃15は、従来のスクリュー羽根に較べて水底堆積物をより効率的に破砕、攪乱し、流動化することができるので、吸引能力が落ちることなく、土砂16等を効率的に吸引することができる。
【0016】
図3は本発明の第1の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置の第1変形例の水底堆積物搬送装置10aを示す。なお、水底堆積物搬送装置10と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
水底堆積物搬送装置10aが水底堆積物搬送装置10と異なる主な点は、ポンプ吸込配管を省略して、搬送ポンプ33を吸込ケーシング13aの吸込口12aに直に連接して設けた点である。
【0017】
図3に示すように、吸込ケーシング13aに形成された吸込口12aには、搬送ポンプ33のポンプ部33aの吸込口34aが直に連接して設けられている。
水底堆積物搬送装置10aにおいては、搬送ポンプ33を吸込ケーシング13aに直に設けているので、破砕刃15により掻き砕かれながら攪拌された土砂16を搬送ポンプ33によって、ポンプ吸込配管を介さずに直接吸引することができ、土砂16等が、たとえ濃度が濃い状態になっても吸込部で閉塞を起こすことなく、円滑に堆積物を搬送することができる。なお、図3中の符号48aは搬送ポンプ33の上部の一側に固定された支持機枠を表している。また、符号20aは半割部を示す。
【0018】
図4は本発明の第1の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置の第2変形例の水底堆積物搬送装置10bを示す。なお、水底堆積物搬送装置10と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
水底堆積物搬送装置10bが水底堆積物搬送装置10と異なる主な点は、ポンプ吸込配管19を減速機付電動モータ18と反対側の吸込ケーシング13bの軸方向端部に設けた点である。従って、回転軸14aの軸方向に所定のピッチGで、連続して10列(3枚/列)の破砕刃15が設けられることになる。
水底堆積物搬送装置10bは水底堆積物搬送装置10と比較して、土塊破砕部17aによる水底堆積物の搬送距離が土塊破砕部17の場合より長くなるので、水底堆積物の攪拌、流動化の効果が大きくなる。なお、図4中の符号11aは開口を、符号20bは半割部を、符号27aは開口部を表している。
【0019】
図5は本発明の第1の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置の第3変形例の水底堆積物搬送装置10cを示す。なお、水底堆積物搬送装置10と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
水底堆積物搬送装置10cが水底堆積物搬送装置10と異なる主な点は、吸込ケーシング13cの両端部の上側に上水吸水管34、35を設けた点である。従って、搬送ポンプの吸引により、堆積した土砂16の上方の水36が吸込ケーシング13c内に供給されるため、土塊破砕部17によって破砕された土砂16を、より多くの水36で混合希釈してポンプ吸込部の濃度を下げることができるので、ポンプを詰まらせることなく円滑に土砂16を輸送することができる。なお、符号20c、36aは、それぞれ半割部、水面を示す。
【0020】
図6(A)は本発明の第1の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置の第4変形例の水底堆積物搬送装置10dを示す。なお、水底堆積物搬送装置10と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
水底堆積物搬送装置10dが水底堆積物搬送装置10と異なる主な点は、モータの一例である減速機付電動モータ18aが回転軸14bの内部に組み込まれている点である。
図6(A)、(C)に示すように、回転軸14bは吸込ケーシング13dの端板21a、22aに固定された固定軸37、38に支持されて、固定軸37、38の回りを回転する。回転軸14bの外周には、複数(4枚)の破砕刃15aがピッチgで取付けられた土塊破砕部17bが設けられており、土塊破砕部17bにより水底の土砂16を攪乱することができる。破砕刃15aは破砕刃15より基部側が短くなっている。なお、図6(C)に示すように、吸込ケーシング13dの断面形状は半円以上の円弧で形成されている。
【0021】
図6(B)に、市販品の減速機付電動モータ18aの内部構造の詳細を示す。回転軸14bは、パイプ状の円筒部39と、円筒部39の両端部の端板部57、58からなり、端板部57、58はそれぞれ、固定軸37、38に軸受59、60を介して回転、支持されている。回転軸14b内部の固定軸37、38間には、取付部61が形成されており、取付部61には軸心部に回転子軸62の両端部を軸受63、64で回転支持された回転子65と、回転子65の周囲に配置された円筒状の固定子66とが設けられている。回転子65の回転子軸62の固定軸38側の端部には、小ギア67が設けられ、小ギア67に噛合する大ギア68が設けられたギア軸69の両端部は、取付部61に設けられた軸受70、71に回転支持されている。ギア軸69の端板部58側の端部には小ギア72が設けられており、小ギア72に噛合する大ギア73が軸受60の外側の端板部58に形成されている。なお、小ギア67と大ギア68、小ギア72と大ギア73により2段減速されており、減速比は1/10としている。
従って、取付部61及び固定軸37に配置された配線74を介して、電源を固定子66に供給すると、土塊破砕部17bを備えた回転軸14bは固定軸37、38の回りに約120rpmで回転することができる。なお、符号11bは開口を、20dは半割部を、23a及び24aは半割部20dの下端を、25a及び26aは端板21a、22aの下端を、27bは開口部を示す。
【0022】
次いで、図7及び図8に示す本発明の第2の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置40について説明する。なお、水底堆積物搬送装置10と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
水底堆積物搬送装置40は、水底堆積物搬送装置10と比較して、主に、土塊破砕部41の構造及び搬送ポンプ42の取付け位置が異なっている。
【0023】
即ち、水底堆積物搬送装置40は、下方が開口11cとなって、中央上部に吸込口12aを有する水平配置された吸込ケーシング13eと、吸込ケーシング13e内に配置されて水平配置された回転軸14c、回転軸14cに取付けられて土砂16を横送りする、回転軸14cの両側に対向して配置された螺旋羽根43、44、及び螺旋羽根43、44の周囲に設けられた複数の破砕刃15bを有する土塊破砕部41と、回転軸14cを駆動するモータの一例である減速機付電動モータ18bと、吸込ケーシング13eの吸込口12aを介して土砂16を吸引する搬送ポンプ42とを備えている。搬送ポンプ42は吸込ケーシング13eの吸込口12aに直に連接して設けられている。なお、土塊破砕部41は左右一対の破砕機構部45、46から構成されている。以下、これらについて詳しく説明する。
【0024】
図7に示すように、吸込ケーシング13eは、軸方向の中央上部に取付けられた搬送ポンプ42のポンプ部47の吸込口47aと一致した吸込口12aが形成された断面形状が半円弧状の半割部20eと、半割部20eの両端に設けられた半円形状の端板21b、22bとを備えている。図7及び図8に示すように、半割部20eの両下端23、24及び端板21b、22bの下端25、26によりほぼ矩形状の開口部27cが形成され、開口部27cは、水底の土砂16のほぼ上面28に設置されるようになっている。
【0025】
端板21b、22bの下端部の内側には、回転軸14cの両端部を回転支持する軸受29a、30aが設けられており、さらに回転軸14cの軸受29a側は、端板21bを貫通し端板21bの外側に取付けられた減速機付電動モータ18bの出力軸に連結されている。
【0026】
破砕機構部45、46においては、回転軸14cの回転による螺旋羽根43、44の回転に伴って、土砂16は吸込ケーシング13eの中央部、即ち、吸込口12a側に搬送されるように、回転軸14cの軸方向に沿って螺旋羽根43、44が対向する(左右の)捩じり方向に、しかも3.5周(ピッチ)ほど取付けられている。図8に示すように、螺旋羽根44(43も同じ)の外側部にはそれぞれ、実質的に放射状に、なた状の複数の破砕刃15bが、側面視して周方向に120°の等ピッチで合計11枚取付けられている。なお、図7、図8に示すように、破砕刃15bも破砕刃15と同様、側面視して弓状に形成され、かつ回転軸14c方向へも中央方向へ曲げて形成されている。しかも回転方向側の凹部分には刃部(エッジ部)32aが形成されている。減速機付電動モータ18bを駆動して破砕機構部45、46を回転することによって、破砕刃15bにより土砂16を掻き砕きながら水と混合させ流動性を向上させると共に、螺旋羽根43、44により土砂16を吸込口12aに向けて搬送することができる。
【0027】
従って、水底堆積物搬送装置40においては、減速機付電動モータ18bを駆動して破砕機構部45、46を回転すると共に、吸込ケーシング13eに直に設けた搬送ポンプ42を駆動することによって、破砕刃15bにより土砂16を掻き砕きながら水と混合させ流動性を向上させると共に、螺旋羽根43、44により土砂16を吸込口12a側に搬送し、しかも、吸込口12a付近に搬送された土砂16は搬送ポンプ42によって直接吸引することができる。
【0028】
水底堆積物搬送装置40においては、螺旋羽根43、44を備えているので、土砂16を破砕刃15bにより掻き砕き、攪拌した土砂16を確実に吸込口12a側に搬送することができ、これによって、水底堆積物搬送装置10に比較して、搬送効率が向上する。さらに、水底堆積物搬送装置40においては、搬送ポンプ42を吸込ケーシング13eに直に設けているので、水底堆積物搬送装置10に比較して、吸引効果が増大し、たとえ土砂16の濃度が濃い状態になっても吸込部で閉塞を起こすことなく円滑に堆積物を搬送することができる。また、刃部32aを備えた破砕刃15bは、従来のスクリュー羽根に較べて水底堆積物をより効率的に破砕、攪乱し、均一に流動化することができるため、ポンプの運転条件を良好に保つことができるので、吐出能力が落ちることなく土砂16等を効率的に吐出することができる。
【0029】
図9に示す本発明の第2の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置40の変形例の水底堆積物搬送装置40aについて説明する。
水底堆積物搬送装置40aが水底堆積物搬送装置40と異なる点は、主に、吸込ケーシング13fにポンプ吸込配管19aを介して搬送ポンプ(図示せず)を設けた点、また、回転軸14dを駆動する減速機付電動モータ18cを吸込ケーシング13fの片側端部の水面36aより上方に設けた点である。
【0030】
図9に示すように、水底堆積物搬送装置40aにおいては、吸込ケーシング13f内に水平配置された回転軸14dと、土砂16を横送りする、回転軸14dの両側に対向して配置された螺旋羽根43a、44a及び螺旋羽根43a、44aの周囲に設けられた複数の破砕刃15bを備えた破砕機構部45a、46aとを有しており、回転軸14dの螺旋羽根43a側端部は、内部に傘歯車52、53を備えた駆動方向変換手段54の出力軸に連結されている。駆動方向変換手段54の入力軸55は吸込ケーシング13fの上端に設けられたパイプ状の水封カバー75内に配置された回転駆動軸76を介して、減速機付電動モータ18cの出力軸に連結されている。減速機付電動モータ18cは水封カバー75の上端に設けられた円板状の取付板77にフランジ接続されている。なお、水封カバー75及び取付板77により取付ブラケットが構成されている。
これによって、減速機付電動モータ18cを水面36a上方に配置することができるので、電動モータを水密モータとする必要がないため、より安価にでき、また電動モータの保守、点検が容易にできる。なお、符号76aは入力軸55の軸受を、21c、22cは端板を、符号27dは開口部を示す。
【0031】
図12及び図13に、本発明の水底堆積物搬送装置を適用した使用例を示す。
図12は水底堆積物搬送装置10aを適用したもので、搬送ポンプ33の上部の一側に取付ブラケット78を介して操作用の油圧シリンダー79を設けており、油圧シリンダー79は、水中を移動可能なキャタピラー式の走行手段80に取付けられている。また、搬送ポンプ33の支持機枠48aは、走行手段80の前部に設けられた取付ブラケット80aとピンで連結されている。図12中の符号81は走行手段80に設けられた固定ブラケット82に固定され、ポンプ部33aに連通するフレホースを表している。
【0032】
図13は水底堆積物搬送装置10を適用したもので、搬送ポンプ83は地上に配置されたポンプ車84上に設置されており、ポンプ車84と吸込ケーシング13とがピンを介して操作アーム85、86で連結されている。操作アーム86の先端部は支持機枠48とピンにより連結されている。ポンプ車84と操作アーム85とは油圧シリンダー87を介して連結され、操作アーム85と操作アーム86とは油圧シリンダー88を介して連結され、さらに操作アーム86と吸込ケーシング13とは油圧シリンダー89を介して連結されている。図13中の符号90はポンプ吸込配管19に連通するフレホースを表している。従って、搬送ポンプ83を運転しながら地上で油圧シリンダー87、88、89を操作して、順次、水中の底に堆積している土砂16をポンプ吸込配管19及びフレホース90を介して搬送ポンプ83により吐出することができる。なお、走行手段80及びポンプ車84共、破砕刃による土砂16からの反力に対抗できるだけの重量を有する必要がある。
【0033】
前記実施の形態の水底堆積物搬送装置10、10a〜10dにおいて、破砕刃15、15aは回転軸14、14a、14bの軸方向の列毎に同じ角度で取付けたが、これに限定されず、図10に一例として破砕刃15の場合で示すように、破砕刃15を軸方向の列毎に異なる角度で取付けることもできる。例えば、奇数列は実線で、一方、偶数列は2点鎖線で示すように配置する。
また、図2及び図8に示すように、吸込ケーシング13、13eの半割部20、20eの下端23、24は回転軸14、14cの中心位置と同じレベルとしたが、これに限定されず、既述した図6(C)や図11の水底堆積物搬送装置40aの場合において示すように、半割部20fは、断面形状を半円以上の円弧で形成することもできる。これによって、吸込ケーシング13fの半割部20fの下端23b、24bが土砂16内に埋まり、吸込ケーシング13f内の土砂16を吸込ケーシング13f外に逃がすことなく、確実に掻き砕き、攪乱することができる。
【0034】
減速機付電動モータ18、18bを吸込ケーシング13、13a〜13c、13eの片側側部(端板21、21b)に設けたが、これに限定されず、吸込ケーシング13、13a、13c、13eの片側上部(半割部20、20a、20c、20e)に設けることもできる。
吸込ケーシング13、13a〜13fの開口11、11a〜11dは下方を向いて配置したが、これに限定されず、必要に応じて、斜め下方を向いて配置することもできる。これによって、斜めに堆積した土砂16の処理に適している。
【0035】
水底堆積物搬送装置10dにおいて、回転軸14bの外周に破砕刃15aを直接取付けたが、これに限定されず、状況に応じて、螺旋羽根を介して破砕刃を設けることもできる。
モータとして減速機付電動モータ18、18a〜18cを使用したが、これに限定されず、必要に応じて、回転数の変更が容易な油圧モータ又はインバータで制御された電動モータを用いても構わない。
【0036】
土塊破砕部17、17a、17b、41、41aにおいては、破砕刃15、15a、15bを側面視して3個円周方向に等ピッチで放射状に設けたが、これに限定されず、破砕刃15、15a、15bを等ピッチではなく、しかも放射状でなく自由(ランダム)に、しかも、2個又は4個以上配置することもできる。また、土塊破砕部17、17a、17bにおいては、軸方向に10列設けたが、これに限定されず、2列〜9列又は11列以上設けることもでき、また、複数個を軸方向に螺旋状に設けることもできる。
破砕刃15、15a、15bは、回転時の前側部分を凹状に形成したが、これに限定されず、回転時の前側部分を凸状に形成することもできる。
【0037】
【発明の効果】
請求項1及びこれに従属する請求項2〜7記載の水底堆積物搬送装置においては、回転軸に取付けられた複数の破砕刃からなる土塊破砕部により水底堆積物が掻き砕かれて吸込ケーシング内で均一に流動化されると共に、流動化された水底堆積物を吸込ケーシングの吸込口を介して搬送ポンプにより吸引することができるので、土砂又は土砂等の水底堆積物が固い場合でも、搬送能力を高く維持でき、これによって作業性が向上する。
請求項1記載の水底堆積物搬送装置においては、搬送ポンプの吸引により、堆積物の上方の水が吸込ケーシング内に供給されるため、土塊破砕部によって破砕された水底堆積物を、より多くの水で混合希釈してポンプ吸引部の濃度を下げることができるので、ポンプを詰まらせることなく円滑に水底堆積物を搬送することができ、この結果、搬送作業性が向上する。
【0038】
また、請求項1記載の水底堆積物搬送装置においては、水底にある水底堆積物の固形分を多く吸引することができるので、濃度の高い水底堆積物の搬送に適している。
特に、請求項2記載の水底堆積物搬送装置においては、吸込ケーシング内で流動化された水底堆積物の濃度が濃い状態となっても吸い上げることができるので、搬送能力を高く維持できる。
【0039】
請求項3記載の水底堆積物搬送装置においては、破砕刃の数は同じであるにもかかわらず、同時に土塊に接触する破砕刃の数を少なくすることができ、従って動力を節減することができるので、作業コストが安価になる。
請求項4記載の水底堆積物搬送装置においては、吸込ケーシング内で水底堆積物をより効果的に攪拌し、搬送することができるので、搬送能力を高く維持できる。
【0040】
請求項5記載の水底堆積物搬送装置においては、モータの水密性が不要となるため、より安価にでき、またモータの保守、点検が容易にできるので、経済的に有利である。
請求項6記載の水底堆積物搬送装置においては、モータが回転軸外に取付けられることによって発生するモータ部の水底堆積物吸引不可能範囲(死域)を完全になくすことができ、これにより、水底堆積物を除去する作業場所が水槽等である場合には、壁際まで完全に水底堆積物を除去することができるため、より作業性を向上することができる。
請求項7記載の水底堆積物搬送装置においては、水底堆積物の条件に合わせて土塊破砕部の回転数を適宜調整できるので、汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置の正断面図である。
【図2】図1の矢視A−A断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置の第1変形例の正断面図である。
【図4】同水底堆積物搬送装置の第2変形例の正断面図である。
【図5】同水底堆積物搬送装置の第3変形例の正断面図である。
【図6】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、同水底堆積物搬送装置の第4変形例の正断面図、回転軸及び減速機付電動モータの断面図、同水底堆積物搬送装置の第4変形例の側断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置の正断面図である。
【図8】図7の矢視B−B断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る水底堆積物搬送装置の変形例の正断面図である。
【図10】変形例の土塊破砕部の断面図である。
【図11】変形例の吸込ケーシングの断面図である。
【図12】水底堆積物搬送装置を適用した使用例を示す説明図である。
【図13】水底堆積物搬送装置を適用した使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
10、10a〜10d:水底堆積物搬送装置、11、11a〜11d:開口、12、12a:吸込口、13、13a〜13f:吸込ケーシング、14、14a〜14d:回転軸、15、15a、15b:破砕刃、16:土砂(水底堆積物)、17、17a、17b:土塊破砕部、18、18a〜18c:減速機付電動モータ(モータ)、19、19a:ポンプ吸込配管、20、20a〜20f:半割部、21、21a〜21c:端板、22、22a〜22c:端板、23〜26、23a〜26a、23b、24b:下端、27、27a〜27d:開口部、28:上面、29、29a:軸受、30、30a:軸受、32、32a:刃部、33:搬送ポンプ、33a:ポンプ部、34:上水吸水管、34a:吸込口、35:上水吸水管、36:水、36a:水面、37、38:固定軸、39:円筒部、40、40a:水底堆積物搬送装置、41、41a:土塊破砕部、42:搬送ポンプ、43、43a:螺旋羽根、44、44a:螺旋羽根、45、45a:破砕機構部、46、46a:破砕機構部、47:ポンプ部、47a:吸込口、48、48a:支持機枠、52、53:傘歯車、54:駆動方向変換手段、55:入力軸、57、58:端板部、59、60:軸受、61:取付部、62:回転子軸、63、64:軸受、65:回転子、66:固定子、67:小ギア、68:大ギア、69:ギア軸、70、71:軸受、72:小ギア、73:大ギア、74:配線、75:水封カバー、76:回転駆動軸、76a:軸受、77:取付板、78:取付ブラケット、79:油圧シリンダー、80:走行手段、80a:取付ブラケット、81:フレホース、82:固定ブラケット、83:搬送ポンプ、84:ポンプ車、85、86:操作アーム、87:油圧シリンダー、88:油圧シリンダー、89:油圧シリンダー、90:フレホース
Claims (7)
- 下方又は斜め下方が開口となって、一部に吸込口を有する水平配置された吸込ケーシングと、前記吸込ケーシング内に配置されて水平配置された回転軸、及び該回転軸に取付けられた複数の破砕刃により水底堆積物を攪乱する土塊破砕部と、前記回転軸を駆動するモータと、前記吸込ケーシングの吸込口を介して前記水底堆積物を吸引する搬送ポンプとを備えた水底堆積物搬送装置において、
前記吸込口は前記吸込ケーシングの軸方向の中央部に設けられ、前記吸込ケーシングの両端部の上側に上水吸水管を備えたことを特徴とする水底堆積物搬送装置。 - 請求項1に記載の水底堆積物搬送装置において、前記搬送ポンプは前記吸込ケーシングの吸込口に直に連接して設けられていることを特徴とする水底堆積物搬送装置。
- 請求項1又は2記載の水底堆積物搬送装置において、前記破砕刃は前記回転軸方向の列毎に異なる角度で取付けられていることを特徴とする水底堆積物搬送装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水底堆積物搬送装置において、前記吸込ケーシングの断面形状は半円以上の円弧であることを特徴とする水底堆積物搬送装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水底堆積物搬送装置において、前記モータは、前記吸込ケーシングに取付ブラケットを介して水面上に設けられていることを特徴とする水底堆積物搬送装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水底堆積物搬送装置において、前記モータは、前記回転軸の内部に組み込まれていることを特徴とする水底堆積物搬送装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水底堆積物搬送装置において、前記モータは、インバータで制御された電動モータ又は油圧モータであることを特徴とする水底堆積物搬送装置。
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