JP4520666B2 - VoIP通信装置、ゲートキーパ、および呼制御方法 - Google Patents
VoIP通信装置、ゲートキーパ、および呼制御方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、IP(Internet Protocol)網を介して音声通信を実現するVoIP(Voice over IP)における呼制御技術に関し、特に、呼の発信先番号に複数のVoIP通信装置のIPアドレスが対応付けられている場合における発信制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネット電話システムなどの、IP網を介して音声通信を実現するVoIP通信システムが提案されている。
【0003】
従来のVoIP通信システムでは、発呼側の音声通信装置を収容するVoIP通信装置が、呼の発信先番号をIPアドレスに変換し、このIPアドレスを持つVoIP通信装置(着呼側の音声通信装置を収容するVoIP通信装置)と、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送受し呼制御手順を行なうか、あるいは、発呼側の音声通信装置を収容するVoIP通信装置を管理するゲートキーパ装置が、このVoIP通信装置より呼の発信先番号を受け取ってIPアドレスに変換し、このIPアドレスを持つVoIP通信装置(着呼側の音声通信装置を収容するVoIP通信装置)と、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送受し呼制御手順を行なうことにより、呼を接続している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、呼の発信先番号に対応するIPアドレスつまりVoIP通信装置が複数存在するような場合がある。例えば、発信先番号がPBX(Private Branch Exchange)に与えられた特番(代表番号)であり、複数のVoIP通信装置がこのPBXを収容しているような場合である。
【0005】
このような場合、従来のVoIP通信システムでは、発呼側の音声通信装置を収容するVoIP通信装置、あるいは、このVoIP通信装置を管理するゲートキーパ装置が、発信先番号に対応する複数のIPアドレスのなかから任意の1つを選択し、選択したIPアドレスを持つVoIP通信装置との間で、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送受し呼制御手順を行なっている。そして、前記呼制御手順にて、前記IPアドレスを持つVoIP通信装置に呼の接続を拒否された場合(例えば、前記IPアドレスを持つVoIP通信装置より解放完了メッセージが送られてきた場合)は、話中処理を行なっている。これでは、発信先番号に対応する他のIPアドレスを持つVoIP通信装置が通信可能であっても、呼を接続することができない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、同じ発信先番号に対応するIPアドレスを持つVoIP通信装置が複数存在する場合に、呼を接続できる可能性を高めることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のVoIP通信装置、あるいは、VoIP通信装置を管理するゲートキーパ装置は、
VoIP通信装置のIPアドレスと、当該VoIP通信装置が収容する音声通信装置の番号との対応関係を記憶する対応記憶手段と、
自身が収容する音声通信装置より呼が着信すると、あるいは、自身が管理するVoIP通信装置より発信先番号を格納したIPパケットを受信すると、前記対応記憶手段にて発信先番号に対応付けられているIPアドレスを持つVoIP通信装置との間で、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送受することにより呼制御手順を行なう呼制御手段と、を備える。
【0008】
そして、前記呼制御手段は、
前記発信先番号に対応するIPアドレスが前記対応記憶手段に複数存在する場合に、この複数のIPアドレスのうちのいずれか1つを選択し、選択したIPアドレスを持つVoIP通信装置との間で前記呼制御手順を行なうと共に、前記呼制御手順にて、前記IPアドレスを持つVoIP通信装置に呼の接続を拒否されたときには、前記複数のIPアドレスのうちの他のいずれか1つを新たに選択し、この新たに選択したIPアドレスを持つVoIP通信装置との間で前記呼制御手順を行なう処理(スライド発信処理と呼ぶ)を実行する。
【0009】
本発明によれば、発信先番号に対応するIPアドレスを持つVoIP通信装置が複数存在する場合において、呼制御手順を行なったVoIP通信装置が通信不能である場合は、前記スライド発信処理により、自動的に他のVoIP通信装置と呼制御手順を行なう。したがって、呼を接続できる可能性が高まる。
【0010】
なお、本発明において、前記呼制御手段に、前記発信先番号に対応するIPアドレスが前記対応記憶手段に複数存在する場合、この複数のIPアドレス各々を持つ複数のVoIP通信装置に対して、予め定められた順番に従い、呼の接続を許可するVoIP通信装置が出現するまで前記スライド発信処理を繰り返させるようにしてもよい。そして、前記複数のVoIP通信装置の全てに対して前記呼制御手順を行なったけれども、前記複数のVoIP通信装置の全てに呼の接続を拒否された場合に、自身が収容する音声通信装置に対して話中処理を行なうか、あるいは、自身が管理するVoIP通信装置に対して話中であることを示す音信号を格納したIPパケットを送出するようにしてもよい。
【0011】
このようにすれば、呼を接続できる可能性がさらに高まる。
【0012】
また、本発明において、前記呼制御手段に、前記スライド発信処理において、呼の接続可否の応答待ち状態が終了するまでの期間中、発呼側の音声通信装置において無音状態が続くことにより、発呼側の音声通信装置のユーザが異常が発生したものと間違って認識しないようにするために、自身が収容する音声通信装置(発呼側の音声通信装置)に対して、スライド発信処理中であることを示す音信号を送出するか、あるいは、自身が管理するVoIP通信装置(発呼側の音声通信装置を収容するVoIP通信装置)に対して、スライド発信処理中であることを示す信号を格納したIPパケットを送出するようにしてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態が適用されたVoIP通信システムの概略構成図である。
【0016】
図において、音声端末である電話機51を収容するVoIP通信端末41は、LAN(Local Area Network)21およびルータ31を介して、IP網1に接続されている。音声端末である電話機52を収容するVoIP通信端末42は、LAN22およびルータ32を介して、IP網1に接続されている。そして、音声端末であるPBX53を収容するVoIP通信端末43〜46は、LAN23およびルータ33を介して、IP網1に接続されている。
【0017】
ここで、VoIP通信端末41のIPアドレスは自身が収容する電話機51の電話番号に対応付けられ、VoIP通信端末42のIPアドレスは自身が収容する電話機51の電話番号に対応付けられ、そして、VoIP通信端末43〜46各々のIPアドレスは、自身が収容するPBX53の同じ電話番号(特番、いわゆる代表番号)に対応付けられている。
【0018】
上記のような構成において、VoIP通信端末41〜46(以下、単にVoIP通信端末4とも称する)は、ルータ31〜33(以下、単にルータ3とも称する)およびLAN21〜23(以下、単にLAN2とも称する)を介して、IP網1より呼設定メッセージを格納した自装置宛のIPパケットを受け取ると、このIPパケットの送信元VoIP通信端末4との間で、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送受することにより呼制御手順(例えば、ITU-TのH.323の規格に順じた呼制御手順)を行なう。これにより、呼を接続して、自身が収容する音声端末5および前記送信元VoIP通信端末4が収容する音声端末5間の音声通話路を確立する。
【0019】
また、VoIP通信端末4は、自身が収容する音声端末5より着呼すると、LAN2、ルータ3およびIP網1を介して、この呼の発信先番号に対応するIPアドレスを持つVoIP通信端末4との間で、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送受することにより呼制御手順を行なう。これにより、呼を接続して、自身が収容する音声端末5および発信先番号により特定される音声端末5間の音声通話路を確立する。ここで、発呼側の音声端末5を収容するVoIP通信端末4は、呼の発信先番号に対応するIPアドレスを持つVoIP通信端末4が複数存在する場合(図1において、発信先番号がPBX53の特番である場合)、後述するスライド発信処理を行なって、この複数のVoIP通信端末4のうち、通信可能状態にあるVoIP通信端末4に呼を接続する。
【0020】
次に、VoIP通信端末4について、さらに詳細に説明する。
【0021】
なお、図1に示すVoIP通信システムのその他の構成要素は、既存技術により実現可能であるので、説明を省略する。
【0022】
図2は、VoIP通信端末4の概略構成図である。
【0023】
図において、音声端末IF部404は、音声端末4を接続するためのものであり、音声端末4が採用するインターフェースに従って処理を行なう。これにより、音声端末4およびIPパケット処理部406間の音声データの中継を行なう。
また、音声端末IF部404は、音声端末4より送られてきた呼制御に関連する情報を検出して、呼制御部401に通知する。
【0024】
LANIF部405は、LAN2を接続するためのものであり、LAN2が採用するインターフェースに従って処理を行なう。これにより、LAN2およびIPパケット処理部406間のIPパケットの中継を行なう。
【0025】
IPパケット処理部406は、呼制御部401よりの指示に従い、音声端末IF部404より送られてきた音声データおよび呼制御部401より送られてきた呼制御メッセージを、呼制御部401より通知されたIPアドレスを宛先とするIPパケットに変換して、LANIF部405へ送る。また、LANIF部405より送られてきた自身のVoIP通信端末4宛のIPパケットからデータを抽出し、このデータを、呼制御部401よりの指示に従い、音声端末IF部404あるいは呼制御部401へ送る。
【0026】
対応記憶部403には、図3に示すように、電話番号4031と、この電話番号を持つ音声端末5を収容するVoIP通信端末4のIPアドレス4032との対応関係が記憶されている。ここで、前回接続先IPアドレス4033は、電話番号4031aのように複数のIPアドレス4032が対応付けられている場合(図1において、電話番号がPBX53の特番である場合)に、この電話番号を持つ音声端末への呼の接続に前回利用したVoIP通信端末4のIPアドレス4032である。このIPアドレス4032に対応するフィールドに、チェックが入れられている。
【0027】
トーン生成部402は、呼制御部401よりの指示に従って各種トーン信号を生成し、音声端末IF部404を介して音声端末5に、生成したトーン信号を送出する。
【0028】
そして、呼制御部401は、図4に示すフローに従って処理を行うことにより、呼を接続して、自身のVoIP通信端末4が収容する音声端末5および通信相手のVoIP通信端末4間の音声通話路を確立する。
【0029】
すなわち、呼制御部401は、LANIF部405およびIPパケット処理部406を介して呼が着信すると(S4001)、この呼を送信した発呼側のVoIP通信端末4との間で、IPパケットを用いて各種の呼制御メッセージを送受することにより、呼制御手順を開始する(S4002)。
【0030】
すなわち、呼制御手順に従い、LANIF部405およびIPパケット処理部406を介して発呼側のVoIP通信端末4より受け取った、各種の呼制御メッセージに応じた処理を行なう。そして、必要に応じて、各種呼制御メッセージをIPパケット処理部406でIPパケット化し、LANIF部405を介して発呼側のVoIP通信端末4へ送信したり、トーン生成部402で生成した各種トーン信号を音声端末IF部404を介して音声端末5へ送信したりする。
【0031】
以上の呼制御手順により、呼が確立すると、呼制御部401は、IPパケット処理部406を制御する。そして、音声端末IF404、IPパケット処理部406およびLANIF部405を介して、自身のVoIP通信端末4が収容する音声端末5と発呼側のVoIP通信端末4との間で送受される、音声データの中継を開始する。
【0032】
また、呼制御部401は、音声端末IF部404を介して、自身のVoIP通信端末4が収容する音声端末5よりの発呼を認識すると(S4003)、対応記憶部403を参照して、この呼の発信先番号に対応付けられている着呼側のVoIP通信端末4のIPアドレス4032を特定する(S4004)。
【0033】
そして、この呼の発信先番号に対応付けられている着呼側のVoIP通信端末4のIPアドレス4032が1つならば(S4005)、呼制御部401は、このIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4との間で、IPパケットを用いて各種呼制御メッセージを送受することにより、呼制御手順を開始する(S4006)。
【0034】
すなわち、呼制御手順に従い、各種呼制御メッセージをIPパケット処理部406でIPパケット化し、LANIF部405を介して前記IPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4へ送信する。また、LANIF部405およびIPパケット処理部406を介して、前記IPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4より受け取った、各種呼制御メッセージに応じた処理を行なう。さらに、必要に応じて、トーン生成部402で生成した各種トーン信号を音声端末IF部404を介して音声端末5へ送信する。
【0035】
以上の呼制御手順により、呼が確立すると、呼制御部401は、IPパケット処理部406を制御する。そして、音声端末IF404、IPパケット処理部406およびLANIF部405を介して、自身のVoIP通信端末4が収容する音声端末5と着呼側のVoIP通信端末4との間で送受される、音声データの中継を開始する。
【0036】
一方、S4005において、前記発信先番号に対応付けられている着呼側のVoIP通信端末4のIPアドレス4032が複数あるならば、呼制御部401は、スライド発信処理を行なう(S4007〜S4017)。
【0037】
すなわち、前記発信先番号に対応付けられている複数のIPアドレス4032のうち、予め定められた順番(例えば、対応記憶部403への登録順番)上、前回接続先IPアドレス4033の次に位置するIPアドレス4032を選択する(S4007)。そして、選択したIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4との間で、S4006と同様の要領により、呼制御手順を開始する(S4008)。
【0038】
ここで、前記選択したIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4より、呼の接続を拒否する旨のメッセージ(例えば解放完了メッセージ)が送られてきたならば(S4009)、呼制御部401は、トーン生成部402を制御して、スライド発信処理中であることを示すトーン(スライド中音)信号を生成させ、音声端末IF部404を介して音声端末5に送信する(S4010)。これと共に、前記複数のIPアドレス4032のうち、前記予め定められた順番上、前記選択したIPアドレス4032の次に位置するIPアドレス4032を新たに選択し(S4011)、前記新たに選択したIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4との間で、S4006と同様の要領により、呼制御手順を開始する(S4012)。
【0039】
ここで、前記新たに選択したIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4より、呼の接続に応答する旨のメッセージ(例えば呼設定受付メッセージ)が送られてきた場合(S4013)、呼制御部401は、トーン生成部402を制御して、スライド中音信号の生成を停止させる(S4014)。これと共に、対応記憶部403の前回接続先IPアドレス4033を前記新たに選択したIPアドレス4032に更新する(S4015)。
【0040】
一方、前記新たに選択したIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4より、呼の接続を拒否する旨のメッセージが送られてきた場合(S4013)、呼制御部401は、前記発信先番号に対応付けられている複数のIPアドレス4032の全てを選択したか否かを調べる(S4016)。全てを選択していないならば、S4011に戻って処理を続ける。全てを選択しているならば、トーン生成部402を制御して、スライド中音信号の生成を停止させると共に、話中であることを示すトーン(話中音)信号を生成させ、音声端末IF部404を介して音声端末5に送信する(S4017)。
【0041】
以上のスライド発信処理により、呼の発信先番号に対応付けられているIPアドレス4032を持つ複数の着呼側のVoIP通信端末4のうち、通信可能状態にあるVoIP通信端末4に呼を接続する。
【0042】
次に、上記のスライド発信処理について、図1に示すVoIP通信端末41において、電話機51より着信した呼の発信先番号がPBX53の特番である場合を例にとり説明する。
【0043】
図5は、図1に示すVoIP通信端末41において、電話機51より着信した呼の発信先番号がPBX53の特番である場合に行なわれるスライド発信処理の動作シーケンスを説明するための図である。
【0044】
ここでは、VoIP通信端末43、44が、呼の接続に使用されており、PBX53との間の通話線に空きがないものとする。また、VoIP通信端末41の対応記憶部403には、VoIP通信端末43、44、45、46のIPアドレス4032がこの順番でPBX53の電話番号(特番)4031に対応付けられて登録されており、且つ、この順番に従いVoIP通信端末4を選択してスライド発信処理を行なうものとする。さらに、前回接続先IPアドレス4033として、VoIP通信端末46のIPアドレス4032にチェックが入れられているものとする。
【0045】
さて、VoIP通信端末41は、電話機51よりPBX53の電話番号を発信先番号とする発呼を受けると(S5001)、対応記憶部403を参照して、この発信先番号に対応付けられているIPアドレスを特定する。ここで、発信先番号に対応付けられているIPアドレスは複数であるので、スライド発信処理を開始する。
【0046】
まず、VoIP通信端末41は、予め定められた順番上、前回接続先IPアドレス4033の次に位置するVoIP通信端末43のIPアドレスを選択し、このIPアドレスを宛先とする呼設定メッセージを格納したIPパケットをLAN21に送出する(S5002)。このIPパケットは、ルータ31、IP網1およびルータ33を介して、VoIP通信端末43に到着する。
【0047】
VoIP通信端末43は、VoIP通信端末41より呼設定メッセージを受け取ると、PBX53との間の通話線に空きがないため、VoIP通信端末41のIPアドレスを宛先とする解放完了メッセージを格納したIPパケットを、LAN23に送出する(S5003)。このIPパケットは、ルータ33、IP網1およびルータ31を介して、VoIP通信端末41に到着する。
【0048】
VoIP通信端末41は、VoIP通信端末43より解放完了メッセージを受け取ると、スライド中音信号の電話機51への送出を開始する(S5004)。
また、前記予め定められた順番上、VoIP通信端末43のIPアドレスの次に位置するVoIP通信端末44のIPアドレスを選択し、このIPアドレスを宛先とする呼設定メッセージを格納したIPパケットを、LAN21に送出する(S5005)。
【0049】
VoIP通信端末44は、VoIP通信端末41より呼設定メッセージを受け取ると、PBX53との間の通話線に空きがないため、VoIP通信端末41のIPアドレスを宛先とする解放完了メッセージを格納したIPパケットを、LAN23に送出する(S5006)。
【0050】
VoIP通信端末41は、VoIP通信端末44より解放完了メッセージを受け取ると、前記順番上、VoIP通信端末44のIPアドレスの次に位置するVoIP通信端末45のIPアドレスを選択し、このIPアドレスを宛先とする呼設定メッセージを格納したIPパケットを、LAN21に送出する(S5007)。
【0051】
さて、VoIP通信端末45は、VoIP通信端末41より呼設定メッセージを受け取ると、PBX53との間の通話線に空きがあるため、PBX53が採用するインターフェースに従って呼設定メッセージをPBX53に送出する(S5008)。そして、PBX53より呼設定受付メッセージを受け取ると(S5009)、呼設定受付メッセージを格納したIPパケットを、LAN23に送出する(S5010)。
【0052】
また、PBX53は呼設定メッセージを送出した後、呼出メッセージをVoIP通信端末45に送出し(S5011)、VoIP通信端末45は、これを受けて、VoIP通信端末41のIPアドレスを宛先とする呼出メッセージを格納したIPパケットを、LAN23に送出する(S5012)。
【0053】
すると、これを受けたVoIP通信端末41は、スライド中音信号の電話機51への送出を停止する(S5013)。
【0054】
次に、VoIP通信端末45は、PBX53より送られてくるリングバックトーンをIPパケット化して、VoIP通信端末41へ送出する。あるいは、リングバックトーンの鳴動メッセージを生成し、これをIPパケット化して、VoIP通信端末41へ送出する。VoIP通信端末41は、VoIP通信端末45より送られてきたリングバックトーンを電話機51へ送出する。あるいは、リングバックトーンの鳴動メッセージに従い、リングバックトーンを生成して、電話機51へ送出する(S5014)。
【0055】
それから、VoIP通信端末45は、PBX53より応答メッセージを受け取ると(S5015)、VoIP通信端末41のIPアドレスを宛先とする呼設定受付メッセージを格納したIPパケットを、LAN23に送出する(S5016)。これにより、VoIP通信端末41およびVoIP通信端末45間の呼が接続され、電話機51およびPBX53間の通話が可能となる(S5017)。
【0056】
以上、本発明の第1実施形態について説明した。
【0057】
本実施形態のVoIP通信端末4では、自身が収容する音声端末5より着信した呼の発信先番号に対応するIPアドレスを持つVoIP通信端末4が複数存在する場合において、呼制御手順を行なったVoIP通信端末4が通信不能である場合、上述のスライド発信処理により、自動的に他のVoIP通信端末4と呼制御手順を行なう。そして、予め定められた順番に従い、呼の接続に応答するVoIP通信端末4が出現するまで、上記のスライド発信処理を繰り返す。この複数のVoIP通信端末4の全てが呼の接続を拒否する場合は、自身が収容する音声端末5に対して、話中であること示すトーン信号を送出することで話中処理を行なう。したがって、同じ発信先番号に対応するIPアドレスを持つVoIP通信装置が複数存在する場合に、呼を接続できる可能性が高まる。
【0058】
また、本実施形態のVoIP通信端末4では、上記のスライド発信処理において、自身が収容する音声端末(発呼側の音声端末5)に対して、スライド発信処理中であることを示すトーン信号を送出するようにしている。したがって、上記のスライド発信処理において、呼の接続に対する可否を示すメッセージの待ち状態が終了するまでの期間中、発呼側の音声端末5において無音状態が続くことにより、発呼側の音声端末5のユーザが異常が発生したものと間違って認識してしまうのを防ぐことができる。
【0059】
また、本実施形態のVoIP通信端末4では、自身が収容する音声端末5より着信した呼の発信先番号に対応するIPアドレスを持つVoIP通信端末4が複数存在する場合、対応記憶部403において、前記発信先番号に対応付けられて登録されている前回接続先IPアドレス4033の次のIPアドレスを、最初に選択するIPアドレスとして、前記スライド発信処理を行なうようにしている。
このようにすれば、各VoIP通信端末4が、同じタイミングで同じ発信先番号を持つ呼を処理する可能性は極めて低いので、この同じ発信先番号に対応するIPアドレスを持つ複数のVoIP通信端末4において、いずれかのVoIP通信端末4に呼制御手順のたの負荷が集中するのを防ぐことができる。
【0060】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0061】
上記の第1実施形態では、発呼側の音声端末5を収容するVoIP通信端末4が、呼の発信先番号をIPアドレスに変換し、このIPアドレスを持つ着呼側のVoIP通信端末4と、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送受して呼制御手順を行なうタイプのVoIP通信システムに、本発明を適用した場合を例にとり説明した。
【0062】
これに対し、本実施形態では、発呼側の音声端末を収容するVoIP通信装置を管理するゲートキーパ装置が、このVoIP通信装置より呼の発信先番号を受け取ってIPアドレスに変換し、このIPアドレスを持つ着呼側のVoIP通信装置と、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送受して呼制御手順を行なうタイプのVoIP通信システムに、本発明を適用している。
【0063】
図6は、本発明の第2実施形態が適用されたVoIP通信システムの概略構成図である。ここで、図1に示す第1実施形態のものと同じ機能を有するものには、同じ符号を付している。
【0064】
本実施形態のVoIP通信システムでは、LAN21に、VoIP通信端末41に代えてVoIP通信端末41’が接続されている。LAN21には、VoIP通信端末41’を管理するゲートキーパ装置6が接続されている。なお、VoIP通信端末41’は、図2に示すVoIP通信端末4から、呼制御部401および対応記憶部403を省略した構成を有している。
【0065】
図7は、ゲートキーパ装置6の概略構成図である。
【0066】
図において、LANIF部605は、LAN2を接続するためのものであり、LAN2が採用するインターフェースに従って処理を行なう。これにより、LAN2およびIPパケット処理部606間のIPパケットの中継を行なう。
【0067】
IPパケット処理部606は、呼制御部601より受け取った呼制御メッセージあるいはトーン生成部602より受け取ったトーン信号を、呼制御部601より通知されたIPアドレスを宛先とするIPパケットに格納して、LANIF部605へ送る。また、IPパケット処理部606は、LANIF部605より送られてきたゲートキーパ装置6宛のIPパケットからデータを抽出して、呼制御部601へ通知する。但し、IPパケットの送信元に応じて定まる宛先のIPアドレスが呼制御部601より通知されているならば、このIPパケットの宛先を、呼制御部601より通知されている、このIPパケットの送信元に応じて定まるIPアドレスに変換して、LANIF部605へ送る。
【0068】
対応記憶部603には、図3に示す対応記憶部403と同様に、電話番号4031と、この電話番号を持つ音声端末5を収容するVoIP通信端末のIPアドレス4032との対応関係が記憶されている。加えて、対応記憶部603には、ゲートキーパ装置6が管理するVoIP通信端末41’のIPアドレス4032を特定できるように、このIPアドレス4032にフラグが立てられている。
【0069】
そして、呼制御部601は、図8に示すフローに従って処理を行うことにより、呼を接続して、自身が管理するVoIP通信端末41’が収容する電話機51および通信相手のVoIP通信端末4間の音声通話路を確立する。
【0070】
すなわち、呼制御部601は、LANIF部605およびIPパケット処理部606を介して発呼を認識すると(S8001)、対応記憶部603とこの呼を格納していたIPパケットの送信元アドレスとを用いて、発呼側のVoIP通信端末が、ゲートキーパ装置6が管理するVoIP通信端末(図6に示す例ではVoIP通信端末41’)であるか否かを調べる(S8002)。
【0071】
そして、S8002において、発呼側のVoIP通信端末がゲートキーパ装置6が管理するVoIP通信端末でないならば、前記発信先番号に対応付けられている、ゲートキーパ装置6が管理する着呼側のVoIP通信端末(図6に示す例ではVoIP通信端末41’)のIPアドレス4032を特定し(S8003)、ゲートキーパ装置6が管理する着呼側のVoIP通信端末41’と発呼側のVoIP通信端末(図6に示す例ではVoIP通信端末42〜46のいずれか)との間で、IPパケットを用いて各種の呼制御メッセージを送受することにより、呼制御手順を開始する(S8003)。
【0072】
すなわち、呼制御手順に従い、LANIF部605およびIPパケット処理部606を介して発呼側のVoIP通信端末4より受け取った、各種呼制御メッセージに応じた処理を行なう。そして、必要に応じて、各種呼制御メッセージをIPパケット処理部606でIPパケット化し、LANIF部605を介して発呼側のVoIP通信端末4へ送信したり、トーン生成部602で生成した各種トーン信号をIPパケット処理部606でIPパケット化し、LANIF部605を介してゲートキーパ装置6が管理する着呼側のVoIP通信端末41’へ送信したりする。
【0073】
以上の呼制御手順により、呼が確立すると、呼制御部601は、IPパケット処理部606を制御して、IPパケット処理部606に、発呼側のVoIP通信端末4のIPアドレスを送信元アドレスとするIPパケットの宛先を、ゲートキーパ装置6のアドレスから、ゲートキーパ装置6が管理する着呼側のVoIP通信端末41’のアドレスに変換し、且つ、ゲートキーパ装置6が管理するVoIP通信端末41’のIPアドレスを送信元アドレスとするIPパケットの宛先を、ゲートキーパ装置6のアドレスから、発呼側のVoIP通信端末4のアドレスに変換するように処理させる。これにより、IPパケット処理部606を介した音声データの中継を開始する。
【0074】
一方、S8002において、発呼側のVoIP通信端末が、ゲートキーパ装置6が管理するVoIP通信端末41’であるならば、対応記憶部603を参照して、前記発信先番号に対応付けられている着呼側のVoIP通信端末4のIPアドレス4032を特定する(S8004)。
【0075】
そして、前記発信先番号に対応付けられている着呼側のVoIP通信端末4のIPアドレス4032が1つならば(S8005)、呼制御部601は、このIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4との間で、IPパケットを用いて各種の各種の呼制御メッセージを送受することにより、呼制御手順を開始する(S8006)。
【0076】
すなわち、呼制御手順に従い、各種呼制御メッセージをIPパケット処理部606でIPパケット化し、LANIF部605を介して前記IPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4へ送信する。また、LANIF部605およびIPパケット処理部606を介して前記IPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4より受け取った、各種呼制御メッセージに応じた処理を行なう。さらに、必要に応じて、トーン生成部602で生成した各種トーン信号をIPパケット処理部606でIPパケット化し、LANIF部605を介してゲートキーパ装置6が管理する発呼側のVoIP通信端末41’へ送信する。
【0077】
以上の呼制御手順により、呼が確立すると、呼制御部601は、IPパケット処理部606を制御して、IPパケット処理部606に、ゲートキーパ装置6が管理する発呼側のVoIP通信端末41’のIPアドレスを送信元アドレスとするIPパケットの宛先を、ゲートキーパ装置6のアドレスから、前記発信先番号に対応付けられている着呼側のVoIP通信端末4のアドレスに変換し、且つ、前記発信先番号に対応付けられている着呼側のVoIP通信端末4のIPアドレスを送信元アドレスとするIPパケットの宛先を、ゲートキーパ装置6のアドレスから、ゲートキーパ装置6が管理する発呼側のVoIP通信端末41’のアドレスに変換するように処理させる。これにより、IPパケット処理部606を介した音声データの中継を開始する。
【0078】
一方、S8005において、前記発信先番号に対応付けられている着呼側のVoIP通信端末4のIPアドレス4032が複数あるならば、呼制御部601は、スライド発信処理を行なう(S8007〜S8017)。
【0079】
すなわち、前記発信先番号に対応付けられている複数のIPアドレス4032のうち、予め定められた順番上、前回接続先IPアドレス4033の次に位置するIPアドレス4032を選択する(S8007)。そして、選択したIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4との間で、S8006と同様の要領により、呼制御手順を開始する(S8008)。
【0080】
ここで、前記選択したIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4より、呼の接続を拒否する旨のメッセージが送られてきたならば(S8009)、呼制御部601は、スライド中音送出メッセージをVoIP通信端末41’に送出し(S8010)、VoIP通信端末41’のトーン生成部402にスライド中音信号を生成させて、これを音声端末51に送出させる。
【0081】
これと共に、前記複数のIPアドレス4032のうち、前記予め定められた順番上、前記選択したIPアドレス4032の次に位置するIPアドレス4032を新たに選択し(S8011)、前記新たに選択したIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4との間で、S8006と同様の要領により、呼制御手順を開始する(S8012)。
【0082】
ここで、前記新たに選択したIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4より、呼の接続に応答する旨のメッセージが送られてきた場合(S8013)、呼制御部601は、スライド中音停止メッセージをVoIP通信端末41’に送出し(S8014)、VoIP通信端末41’のトーン生成部402が生成し、音声端末51に送出していたスライド中音信号を停止させる。これと共に、対応記憶部603の前回接続先IPアドレス4033を、前記新たに選択したIPアドレス4032に更新する(S8015)。
【0083】
一方、前記新たに選択したIPアドレス4032を持つ着呼側のVoIP通信端末4より、呼の接続を拒否する旨のメッセージが送られてきた場合(S8013)、呼制御部601は、前記発信先番号に対応付けられている複数のIPアドレス4032の全てを選択したか否かを調べる(S8016)。全てを選択していないならば、S8011に戻って処理を続ける。全てを選択しているならば、処理を終了する。
【0084】
以上のスライド発信処理により、呼の発信先番号に対応付けられているIPアドレス4032を持つ複数の着呼側のVoIP通信端末4のうち、通信可能状態にあるVoIP通信端末4に呼を接続する。
【0085】
次に、上記のスライド発信処理について、図6に示すVoIP通信端末41’において、電話機51より着信した呼の発信先番号がPBX53の特番である場合を例にとり説明する。
【0086】
図9は、図6に示すVoIP通信端末41’において、電話機51より着信した呼の発信先番号がPBX53の特番である場合に行なわれるスライド発信処理の動作シーケンスを説明するための図である。
【0087】
ここでは、図5に示す場合と同様に、VoIP通信端末43、44が、呼の接続に使用されており、PBX53との間の通話線に空きがないものとする。また、VoIP通信端末41’の対応記憶部603には、VoIP通信端末43、44、45、46のIPアドレス4032がこの順番でPBX53の電話番号(特番)4031に対応付けられて登録されており、且つ、この順番に従いVoIP通信端末4を選択しスライド発信処理を行なうものとする。さらに、前回接続先IPアドレス4033として、VoIP通信端末46のIPアドレス4032にチェックが入れられているものとする。
【0088】
図9に示す動作シーケンスにおいて、図5に示す動作シーケンスと基本的に異なる点は、図5においてVoIP通信端末41が行なっていて処理を、図8ではゲートキーパ装置6が行なって点である。したがって、図8においてVoIP通信端末41’は、電話機51およびゲートキーパ装置6間を中継する処理のみを行なうことになる。
【0089】
さて、VoIP通信端末41’は、電話機51よりPBX53の電話番号を発信先番号とする発呼を受けると(S9001)、当該電話番号を含む発呼メッセージをゲートキーパ装置6に送出する(S9002)。すると、ゲートキーパ装置6は、対応記憶部603を参照して、この発信先番号に対応付けられているIPアドレスを特定する。ここで、発信先番号に対応付けられているIPアドレスは複数であるので、スライド発信処理を開始する。
【0090】
まず、ゲートキーパ装置6は、予め定められた順番上、前回接続先IPアドレス4033の次に位置するVoIP通信端末43のIPアドレスを選択し、このIPアドレスを宛先とする呼設定メッセージを格納したIPパケットをLAN21に送出する(S9003)。このIPパケットは、ルータ31、IP網1およびルータ33を介して、VoIP通信端末43に到着する。
【0091】
VoIP通信端末43は、VoIP通信端末41より呼設定メッセージを受け取ると、PBX53との間の通話線に空きがないため、ゲートキーパ装置6のIPアドレスを宛先とする解放完了メッセージを格納したIPパケットを、LAN23に送出する(S9004)。このIPパケットは、ルータ33、IP網1およびルータ31を介して、ゲートキーパ装置6に到着する。
【0092】
ゲートキーパ装置6は、VoIP通信端末43より解放完了メッセージを受け取ると、スライド中音信号の電話機51への送出を行うため、VoIP通信端末41’に対して、スライド中音送出メッセージを送出し(S9005)、VoIP通信端末41’のトーン生成部402でスライド中音を生成させて、音声端末51に対するスライド中音の送出を開始させる(S9006)。また、前記予め定められた順番上、VoIP通信端末43のIPアドレスの次に位置するVoIP通信端末44のIPアドレスを選択し、このIPアドレスを宛先とする呼設定メッセージを格納したIPパケットを、LAN21に送出する(S9007)。
【0093】
VoIP通信端末44は、ゲートキーパ装置6より呼設定メッセージを受け取ると、PBX53との間の通話線に空きがないため、ゲートキーパ装置6のIPアドレスを宛先とする解放完了メッセージを格納したIPパケットを、LAN23に送出する(S9008)。
【0094】
ゲートキーパ装置6は、VoIP通信端末44より解放完了メッセージを受け取ると、前記順番上、VoIP通信端末44のIPアドレスの次に位置するVoIP通信端末45のIPアドレスを選択し、このIPアドレスを宛先とする呼設定メッセージを格納したIPパケットを、LAN21に送出する(S9009)。
【0095】
さて、VoIP通信端末45は、VoIP通信端末41より呼設定メッセージを受け取ると、PBX53との間の通話線に空きがあるため、PBX53が採用するインターフェースに従って呼設定メッセージをPBX53に送出する(S9010)。そして、PBX53より呼設定受付メッセージを受け取ると(S9011)、呼設定受付メッセージを格納したIPパケットを、LAN23に送出する(S9012)。
【0096】
また、PBX53は呼設定メッセージを送出した後、呼出メッセージをVoIP通信端末45に送出し(S9013)、VoIP通信端末45は、これを受けて、ゲートキーパ装置6のIPアドレスを宛先とする呼出メッセージを格納したIPパケットを、LAN23に送出する(S9014)。
【0097】
すると、これを受けたVoIP通信端末41は、呼出メッセージをVoIP通信端末41’に送出する(S9015)と共に、VoIP通信端末41’にスライド中音送出停止メッセージを送出し(S9016)、VoIP通信端末41’から送出されていたスライド中音信号の電話機51への送出を停止させる(S9017)。
【0098】
次に、VoIP通信端末45は、PBX53より送られてくるリングバックトーンをIPパケット化して、VoIP通信端末41へ送出する。あるいは、リングバックトーンの鳴動メッセージを生成し、これをIPパケット化して、VoIP通信端末41へ送出する。VoIP通信端末41は、VoIP通信端末45より送られてきたリングバックトーンを電話機51へ送出する。あるいは、リングバックトーンの鳴動メッセージに従い、リングバックトーンを生成して、電話機51へ送出する(S9018)。
【0099】
それから、VoIP通信端末45は、PBX53より応答メッセージを受け取ると(S9019)、ゲートキーパ装置6のIPアドレスを宛先とする呼設定受付メッセージを格納したIPパケットを、LAN23に送出する(S9020)。そして、これを受けたゲートキーパ装置6は、VoIP通信端末41’に対して応答メッセージを送出し(S9021)、これにより、VoIP通信端末41’ およびVoIP通信端末45間の呼が接続され、電話機51およびPBX53間の通話が可能となる(S9022)。
【0100】
以上、本発明の第2実施形態について説明した。
【0101】
本実施形態においても、上記の第1実施形態と同様に、同じ発信先番号に対応するIPアドレスを持つVoIP通信装置が複数存在する場合に、呼を接続できる可能性が高まる。また、上記のスライド発信処理において、呼の接続に対する可否を示すメッセージの待ち状態が終了するまでの期間中、発呼側の音声端末5において無音状態が続くことにより、発呼側の音声端末5のユーザが異常が発生したものと間違って認識してしまうのを防ぐことができる。
【0102】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0103】
例えば、上記の各実施形態において、VoIP通信端末やゲートキーパ装置は、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。
【0104】
あるいは、CPUと、メモリと、ハードディスク等の外部記憶装置と、LAN2に接続するためのLANインターフェースと、音声端末に接続するための音声端末インターフェースと、キーボードやマウス等の入力装置と、ディスプレイ等の出力装置と、CD-ROMやFD等の記憶媒体からデータを読み取る読取装置と、これらの各構成要素間を相互接続するバスとを備えた、一般的なコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードした所定のプログラムを実行することにより実現できる。なお、この所定のプログラムは、読取装置を介して当該プログラムが記憶された記憶媒体から、あるいは、LANインターフェースを介してLAN2から入手して、直接メモリ上にロードするか、もしくは、一旦、外部記憶装置に格納してから、メモリ上にロードすればよい。
【0105】
また、上記の各実施形態では、IP網を介して音声通話を実現するVoIP通信システムに本発明を適用した場合を例にとり説明したが、IP網以外のパケット網を介して音声通話を実現する通信システムにも本発明は同様に適用できる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、同じ発信先番号に対応するIPアドレスを持つVoIP通信装置が複数存在する場合に、呼を接続できる可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態が適用されたVoIP通信システムの概略図である。
【図2】図1に示すVoIP通信端末41〜46の概略構成図である。
【図3】図2に示す対応記憶部403の登録内容例を示す図である。
【図4】図2に示す呼制御部401の動作フローを説明するための図である。
【図5】図1に示すVoIP通信端末41において、電話機51より着信した呼の発信先番号がPBX53の特番である場合に行なわれるスライド発信処理の動作シーケンスを説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態が適用されたVoIP通信システムの概略図である。
【図7】図6に示すゲートキーパ装置6の概略構成図である。
【図8】図8に示す呼制御部601の動作フローを説明するための図である。
【図9】図6に示すVoIP通信端末41’において、電話機51より着信した呼の発信先番号がPBX53の特番である場合に行なわれるスライド発信処理の動作シーケンスを説明するための図である。
【符号の説明】
1…IP網
21〜23…LAN
31〜33…ルータ
41〜46、41’…VoIP通信端末
51〜53…音声端末
6…ゲートキーパ装置
401、601…呼制御部
402、602…トーン生成部
403、603…対応記憶部
404…音声端末IF部
405、605…LANIF部
406、606…パケット処理部
Claims (3)
- 音声通信装置を収容し、当該音声通信装置をIP網に接続するVoIP(Voice over IP)通信装置であって、
通信相手の電話番号に対応付けて、IPアドレスを一以上記憶する対応記憶手段と、
自身が収容する音声通信装置から発呼を受け付けた場合に、当該呼の通信相手の電話番号に対応付けられているIPアドレスを前記対応記憶手段から抽出し、抽出したIPアドレスを用いた呼制御メッセージを前記IP網へ送信する呼制御手段と
を備え、
前記呼制御手段は、
自身が収容する音声通信装置からの呼の通信相手の電話番号にIPアドレスが複数対応付けられている場合に、当該複数のIPアドレスの中でいずれか1つを選択し、選択したIPアドレスを用いた呼制御メッセージを送信し、当該呼の接続が拒否された場合に、当該複数のIPアドレスの中で未選択のIPアドレスを1つ選択し、再び、選択したIPアドレスを用いた呼制御メッセージを送信するスライド発信処理を実行し、
前記スライド発信処理の間、発信元の音声通信装置に対して、スライド発信処理中であることを示す信号を送出することを特徴とするVoIP通信装置。 - 音声通信装置を収容するVoIP(Voice over IP)通信装置からの依頼に従い、当該VoIP通信装置に代わって呼制御手順を実行するゲートキーパであって、
音声通信装置の電話番号に対応付けて、当該音声通信装置を収容するVoIP通信装置のIPアドレスを一以上記憶する対応記憶手段と、
あるVoIP通信装置から発信先番号を含む発呼メッセージを受け付けた場合に、当該発信先番号に対応付けられているIPアドレスを前記対応記憶手段から抽出し、抽出したIPアドレスに対応する他のVoIP通信装置へ、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送信する呼制御手段と
を備え、
前記呼制御手段は、
あるVoIP通信装置から受け付けた発呼メッセージに含まれている発信先番号にIPアドレスが複数対応付けられている場合に、当該複数のIPアドレスの中でいずれか1つを選択し、選択したIPアドレスに対応する他のVoIP通信装置へ、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送信し、当該他のVoIP通信装置によって呼の接続が拒否された場合に、当該複数のIPアドレスの中で未選択のIPアドレスを1つ選択し、再び、選択したIPアドレスに対応するさらに他のVoIP通信装置へ、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送信する処理を、当該複数のIPアドレスに対応する全ての他のVoIP通信装置に呼制御メッセージを送信するか、または、他のVoIP通信装置によって呼の接続が許可されるまで繰り返すスライド発信処理を実行し、
前記スライド発信処理の間、発呼メッセージの発信元のVoIP通信装置に対して、スライド発信処理中であることを示す音声信号を送出することを特徴とするゲートキーパ。 - 音声通信装置を収容し、当該音声通信装置と通信相手の音声通信装置とのIP網を介した通信を中継するVoIP(Voice over IP)通信装置における呼制御方法であって、
前記VoIP通信装置は、
通信相手の音声通信装置の電話番号に対応付けて、当該音声通信装置を収容するVoIP通信装置のIPアドレスを一以上記憶する対応記憶手段
を備え、
前記VoIP通信装置が、
自身が収容する音声通信装置から発呼を受け付けた場合に、当該呼の発信先番号に対応付けられているIPアドレスを前記対応記憶手段内で特定し、
特定したIPアドレスが複数存在する場合には、当該複数のIPアドレスの中でいずれか1つを選択し、選択したIPアドレスに対応する他のVoIP通信装置へ、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送信し、当該他のVoIP通信装置によって呼の接続が拒否された場合に、当該複数のIPアドレスの中で未選択のIPアドレスを1つ選択し、再び、選択したIPアドレスに対応するさらに他のVoIP通信装置へ、IPパケットを用いて呼制御メッセージを送信する処理を、当該複数のIPアドレスに対応する全ての他のVoIP通信装置に呼制御メッセージを送信するか、または、他のVoIP通信装置によって呼の接続が許可されるまで繰り返すスライド発信処理を実行し、
前記スライド発信処理の間、発信元の音声通信装置に対して、スライド発信処理中であることを示す音声信号を送出する呼制御ステップ
を実行することを特徴とする呼制御方法。
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