JP4518355B2 - Hdtv受像機の復調器のための位相誤差算定方法 - Google Patents

Hdtv受像機の復調器のための位相誤差算定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、米国で採用された残留側波帯(Vestigial Side Band:VSB)変調されるタイプの高精細度テレビジョン信号を復調する搬送波再生回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル情報をシンボル(symbol)の形式で伝達する被変調信号からデータを再生するには、通常、受像機において3つの機能:シンボル同期化のためのタイミングの再生;搬送波の再生(ベースバンドへの周波数復調);およびチャンネルの等化、を必要とする。タイミングの再生は、受像機のクロック(時間軸)が送信機のクロックと同期化されるプロセスである。これによって、受信された信号は最適の時点でサンプルされて、受信されたシンボル値の決定に向けられた(decision−directed)プロセスに関連するスライス誤差が縮小される。搬送波の再生は、受信されたRF信号が、比較的低い中間周波数の通過帯域にダウンコンバートされた後で、ベースバンドに周波数シフトされるプロセスであり、これにより、変調しているベースバンド情報を再生できる。アダプティブ・チャンネル等化は、信号伝送路で変動する条件および混乱の影響を補償するプロセスである。このプロセスは、周波数に依存する伝送路の時間変動特性から生じる振幅/位相歪みを除去するフィルタを使用するのが典型的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
高精細度テレビジョン信号を復調する際に、位相誤差の算定を精確に行う方法を提供すること。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の原理に従い、搬送波再生回路は、主データ信号と共に送信されるパイロット信号の望ましくない位相オフセットを表す局部で発生される位相補正制御信号並びに受信された信号のパイロット搬送成分に応答して、復調された信号を発生する。制御信号は、受信された信号の所定の成分と基準値との間の相関の関数である。
図に示す好ましい実施例で、制御信号は受信された同期成分を、(a)基準同期値および(b)基準同期値のヒルベルト変換と相関させることにより発生される。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1で、地上放送のアナログ入力HDTV(High DefinitionTelevision)信号は、RF同調回路を含む入力回路14;チューナを含みIF通過帯域出力信号を発生する中間周波(IF)処理回路16;および自動利得制御(AGC)回路によって処理される。受信された信号は、米国で使用する目的で、Grand Allianceにより提案され、且つATSC(Advanced Television System Committee)地上放送高精細度テレビジョン基準として採用された、搬送波抑圧8‐VSB変調された信号である。このようなVSB信号は、一次元のデータ・シンボルの配置よって表され、受像機で再生しようとする量子化されたデータは、ただ1つの軸に含まれている。図面を簡略にするため、図示された機能ブロックをクロック制御するための信号は図示しない。
【0006】
Grand Alliance HDTV方式仕様書、1994年4月14日付、に記載されているように、VSB伝送方式では、図2に示すような、規定されたデータ・フレーム・フォーマットを有するデータを伝送する。抑圧された搬送周波数で小さいパイロット搬送成分(pilot tone:パイロット・トーン)が伝送信号に付加され、VSB受像機で復調器が搬送波をロック(lock)するのを助ける。図2で、各データ・フレームは2フィールドから成り、各フィールドに、832の多レベル・シンボルから成る313のセグメントが含まれる。各フィールドの最初のセグメントは、フィールド同期(sync)セグメントと称され、残りの312のセグメントはデータ・セグメントと称される。データ・セグメントは典型的に、MPEGと互換性のあるデータ・パケットを含んでいる。各データ・セグメントは、4‐シンボルのセグメント同期成分と、それに続く、828のデータ・シンボルとから成る。各フィールド・セグメントは、4‐シンボルのセグメント同期キャラクタと、それに続く、フィールド同期成分とから成る。フィールド同期成分は、所定の511シンボル擬似乱数(Pseudorandom Number:PN)シーケンス、および所定の3つの63シンボルPNシーケンスから成り、そのうち中間のシーケンスは連続するフィールドにおいて反転される。VSBモードの制御信号(VSBシンボルの配置のサイズを規定する)が最後の63PNシーケンスのあとに続き、そのあとに、予備の96のシンボルと、前フィールドからコピーされた12のシンボルが続く。ATSCシステムでは、同期信号にプラスしてディジタル・ベースバンド・データの各シンボル(データおよび同期)に小さいディジタル・レベル(1.25)が付加される。これは、小さい同相パイロット搬送成分をデータ信号に付加する効果を有する。ベースバンドでパイロットをディジタル付加することにより、安定度の高い正確なパイロットが得られる。パイロットの周波数は、抑圧された搬送周波数と同じである。
【0007】
図1について話を続けると、IF処理回路16からの帯域通過IF出力信号はアナログ/ディジタル変換器(ADC)19でディジタル・シンボル・データストリームに変換される。AD変換器19からの出力ディジタル・データストリームは、ディジタル復調/搬送波再生回路22でベースバンドに復調される。これは、受信されたVSBデータストリーム内のパイロット成分に応答して、位相ロック・ループで達成される。回路22は、図3に関して詳細に説明するように、復調されたI‐位相出力シンボル・データストリームを発生する。
【0008】
AD変換器19は、サンプリング・クロックCLKに応答して、入力VSBシンボル・データストリームをサンプルする。AD変換器19および復調器22に関連して、セグメント同期およびシンボル・クロック再生回路24がある。再生回路24は、ランダム・データから、各データ・フレームの反復的データ・セグメント同期成分を再生する。セグメント同期成分を使用して、適正に位相調整されたサンプリング・クロックを再生する。
【0009】
検出器28は、受像機内のメモリに記憶された理想的なフィールド基準信号と、受信された各データ・セグメントを比較することにより、データ・フィールド同期成分を検出する。フィールドの同期化に加え、フィールド同期信号は、チャンネル等化器34のためのトレーニング信号を供給する。同一チャンネルNTSC干渉の検出・排除は検出器30で行われる。その後、信号はチャンネル等化器34で適応的に等化される。チャンネル等化器34は、ブラインド、トレーニング、および決定に向けられた(decision−directed)モードの組合せで動作する。等化器34は Grand Alliance HDTV方式仕様書、およびダブリュー・ブレトル(W.Bretl)氏外による論文「Grand Allianceディジタル・テレビジョン受像機のためのVSBモダン・サブシステムの設計」、IEEE Transactions on Consumer Electronics(1995年8月)に記述されているタイプのものである。また、等化器34は、シウエ(Shiue)氏外による共同出願中の米国特許102885号(1998年6月23日出願)に記述されているタイプのものでもよい。
【0010】
等化器34はチャンネルの歪みを補償するが、位相ノイズはシンボルの配置をランダムに回転させる。位相トラッキング回路36は、等化器34からの出力信号中に在る残留位相/利得ノイズを除去する。位相補正された信号は次に、デコーダ40でトレリス復号化され、装置42によりデインタリーブされ、デコーダ44でリード・ソロモン誤差補正され、装置46によりデスクランブル(デランダム化)される。その後、復号化されたデータストリームは、処理装置50でオーディオ/ビデオ/ディスプレイ処理を受ける。
【0011】
復調器22での復調はディジタル自動位相制御(Automatic Phase Control:APC)ループで行われ、搬送波を再生する。位相ロック・ループは、初期捕捉(acquisition)のための基準としてパイロット成分を使用し、位相捕捉のために従来の位相検出器を使用する。パイロット信号は、ランダムのノイズのようなパターンを呈するデータを含む、受信されたデータストリーム内に埋め込まれている。このランダム・データは本質的に、復調器の自動位相制御ループの濾波作用によって無視される。AD変換器19の入力信号はベースバンド付近の信号であり、VSB周波数スペクトルの中心を5.38MHzとし、パイロット成分は2.69MHzに位置している。装置22からの復調されたデータストリームにおいて、そのパイロット成分は周波数がDCにシフト・ダウンされている。
【0012】
図3は、ディジタル復調器22の詳細を示す。復調器22は、第1の位相制御回路320、第2の位相制御回路350、および位相制御補正信号発生器360を含んでいる。回路320の動作を最初に説明する。
【0013】
非常に低い周波数のパイロット成分を含む、AD変換器19からの8‐VSB変調されたディジタル・シンボル・データストリームは、ヒルベルト・フィルタ315に加えられる。フィルタ315は、サンプルされた入来IFデータストリームを、位相が互いに直交する成分「I」(同相)と「Q」(直交位相に分離する。I成分とQ成分は、自動位相制御(APC)ループ内の複素乗算器324を使用してベースバンドに回転される。ひとたびループが同期されると、乗算器324の出力は複素ベースバンド信号となり、これは更に、回路350で位相調節(以下に述べる)され、位相制御回路350から、位相補正され復調された最終出力を発生する。乗算器324からの出力Iデータストリームを使用して、受信されたデータストリームのパイロット成分を抽出する。乗算器324からの出力Qデータストリームを使用して、受信された信号の位相を抽出する。
【0014】
この位相制御ループにおいて、Q信号は自動周波数制御(AutomaticFrequency Control:AFC)フィルタ336で瀘波される。高周波のデータ(およびノイズと干渉)は自動周波数制御フィルタ336で大部分が除去され、パイロット周波数だけがあとに残る。瀘波後に、Q信号はリミッタ338で振幅制限され、位相検出器340に要求されるダイナミックレンジを減少させる。位相検出器340は、その入力に加えられるI信号とQ信号の位相差を検出し補正して、出力位相誤差信号を発生し、誤差信号は自動位相制御(APC)フィルタ(例えば、2次の低域フィルタ)で瀘波される。位相検出器340で検出される位相誤差は、DCに近い予期されるパイロット信号の周波数と、受信されたパイロット成分の周波数との差を表す。
【0015】
受信されたパイロット成分が、DCに近い予期された周波数を呈するならば、自動周波数制御装置336は位相シフトを生じない。位相検出器340に入力されるIおよびQチャンネルのパイロット成分は、互いに直交する位相の関係から逸脱せず、そのため、位相検出器340から発生される位相誤差出力信号はゼロまたはゼロに近い値である。しかしながら、受信されたパイロット成分が不正確な周波数を呈すると、自動周波数制御装置336は位相シフトを発生する。その結果、位相検出器340に加えられるIチャンネルとQチャンネルのパイロット成分間に位相誤差を生じる。検出器340はこの位相差に応答して出力誤差信号を発生する。
【0016】
フィルタ344からの瀘波済み位相誤差信号は数値制御発振器(Numerically Controlled Oscillator:NCO)348に供給され、数値制御発振器348は、受信されたデータストリームを復調するためにパイロット成分を局部的に再生する。数値制御発振器348に関連して、装置340と344からの位相制御信号に応答しパイロット・トーンを再生するために正弦および余弦ルックアップ・テーブル349がある。乗算器324のI信号とQ信号出力が、検出器340より発生される位相誤差信号をほぼゼロにさせるまで、ルックアップ・テーブル349の出力は制御される。それは、復調されたベースバンドのI信号が乗算器324の出力に在ることを示している。
【0017】
上述のように、受信されたVSB変調信号のパイロット成分は、周波数/位相ロック・ループ(Frequency/Phase Locked Loop:FPLL)で追従される。再生されたパイロットを使用して、受信されたスペクトルをベースバンドにまでヘテロダインする。受信されたスペクトル内にマルチパス、すなわち「ゴースト」成分が存在すると、位相ロック・ループで追従される搬送波は、主パス搬送波成分とマルチパス成分より発生される合成トーンである(図4)。図4に示すように、マルチパス歪みはパイロットに位相オフセット、すなわち位相追従(tracking:トラッキング)誤差を生じ、そのため、パイロットは、データに対し正確な復調位相を示さない。したがって、ヘテロダイン処理のために使用された基準パイロットは主パスにおける搬送波に対し位相オフセットを有し、そのため、ベースバンドの主パス信号は、ヘテロダイン処理により位相の回転を受ける。あとに続くチャンネル等化器(例えば、図1の装置34)はパイロットの位相オフセットの影響を補償することができる。しかしながら、このパイロットの位相オフセットを補正するために、等化器がそのダイナミックレンジを過大に使用したり、等化器が不安定になることもある。パイロットの位相オフセットより生じるこの付加的な負担は、本発明の特徴による方法並びに装置によって除去される。
【0018】
図3の回路350と360は、パイロット位相誤差の問題を扱っている。具体的に言うと、第2の位相制御回路350は、受信された信号をパイロットの位相とは無関係に回転させることができる付加的な位相回転回路(multiplier:乗算器)を含む。これにより、データが等化器34で処理される前に、再生されたデータからパイロットの位相オフセットを除去することができる。従って、等化器はパイロットの位相オフセットを補償する必要がなく、そのため、あまり複雑でない設計の等化器を使用することができる。位相補正信号発生器360は、パイロットの位相オフセットを補償するために位相制御回路350で使用される位相オフセット制御信号を発生する。
【0019】
図示された好ましい実施例で、搬送波再生回路は、受信されたI、Q信号に何れも応答する2つの回転器(乗算器)324と356を使用する。回転器324は、パイロット成分に応答する回路320内の位相制御ループに関連する。他方の回転器356は、回路320の位相制御ループから得られる信号と、望ましくない位相歪み(例えば、パイロット信号のマルチパス「ghost:ゴースト」歪み)の算定値を表す位相オフセット制御信号とを合成することにより発生される、合成信号に応答する制御回路350に関連する。回路360は、受信されたセグメント同期値と、基準セグメント同期値と、基準セグメント同期値のヒルベルト変換とを相関させることにより、位相オフセット制御信号を発生する。
【0020】
具体的に言うと、回路350内の乗算器356は位相が互いに直交するI信号とQ信号をフィルタ315から受け取る。また、回路350は、回路320の位相ロック・ループ内の発信器348の出力から入力を受け取る。この信号は加算器352内で、回路360より発生される位相オフセット制御信号と合成され、パイロット搬送波の位相オフセットを補償する。加算器352の出力信号は、位相が互いに直交する出力信号を複素乗算器356(second rotator:第2の回転器)に供給するために、ルックアップ・テーブル354に加えられる位相補正された信号である。ルックアップ・テーブル354および乗算器356は、回路320内のルックアップ・テーブル349および複素乗算器(rotator:回転器)324と同様に動作する。乗算器356はIおよびQの位相調整された出力信号を供給する。位相調整されたI出力信号は、受信されたパイロット搬送波の位相オフセットを補償されて、装置24と28に加えられ、最後に等化器34に加えられる(図1に示す)。マルチパスで誘起されるパイロット搬送波の位相オフセットは、回路320、350、360の共同作用により著しく減少されまたは排除されているので、等化器はそのようなオフセットを補償する必要がなく有利である。位相調整されたQ信号が現れた場合の、複素乗算器356の第2の出力は本例では使用されていない。
【0021】
ATSCディジタル・テレビジョン変調スキームは、データ・フィールド/フレーム・フォーマットを使用する(図2に関連して説明される)。各データ・フレームは、フィールド同期(sync)成分で分離された2つのデータ・フィールドで構成される。構成する各データ・フィールドは、複数のデータ・セグメントから成り、各データ・セグメントは、最初にセグメント同期成分で始まる。これらの同期成分は、データストリーム内で、知られている固定した位置を占めており、以下の説明では、同期または同期成分と呼ばれる。受信されたVSB変調データストリームがベースバンドに復調され、同期成分が再生された(これらの位置が確認された)あとで、回路360は、再生されたセグメント同期成分および知られているセグメント同期振幅値と、知られているセグメント同期振幅値のヒルベルト変換との間の相関を実行する。ヒルベルト変換は、知られているように、加えられた入力信号を直交位相にしたものを発生する。相関された値は、以下のように、位相オフセット制御信号を得るために処理される。フィールド同期成分およびその変換は、相関関数で使用することもできる。
【0022】
位相補正信号発生回路360は第1と第2の入力相関器362と363を含み、これらは何れも、受信されたベースバンドのセグメント同期サンプルを入力として受け取る。相関器362は、ローカル・メモリから一定のセグメント同期値“S”を受け取り、相関器363は、ローカル・メモリから、ヒルベルト変換された一定のセグメント同期値“H(S)”を受け取る。相関器362より発生される相関は、以下の式で定められる出力値Icを発生する:
Ic = Gc|S|2cosΦ
ここで、|S|2 は、それ自体と既知の同期成分とを相関させた結果であり、Gcは任意の利得係数である。相関器363より発生される相関は、以下の式で定められる出力値Isを発生する:
Is = Gs|H(S)|2sinΦ
ここで、|H(S)|2 は、それ自体と既知の同期成分のヒルベルト変換を相関させた結果であり、Gs = Gc.パイロット位相トラッキング誤差はシンボルΦで表される。
【0023】
相関器362と363の出力IsとIcは回路365で処理される。回路365は数学的値Is/Icを発生する。すなわち、
Is/Ic = |H(S)| /|S| x(sinΦ)/cosΦ)
|H(S)| と |S| の値は、既知の同期成分値の関数なので、すでに知られている。上の式で、|H(S)| /|S| の項は、乗算器366内でその逆の項(貯えられた定数)とを掛け合わせることにより相殺され、乗算器366の出力において以下の式を発生する:
Is/Ic = sinΦ/cosΦ = tanΦ、 従って
Φ = tan−1(Is/Ic)
Is/Icの項は或る数値であり、オフセット位相シフトΦの値を定めるためにtan−1ルックアップ・テーブル367で使用される数値である。ルックアップ・テーブル367からの出力値はラッチ368(例えば、D型フリップ‐フロップ)のD入力に加えられる。ラッチ368のイネーブル入力ENは、セグメント同期がタイミング再生回路24で再生されたとき、局部で発生される「同期位置検出済み」信号を受信する(図1)。本例で、「同期位置検出済み」信号はタイミング再生回路24より供給されているが、タイミング再生回路24の動作を監視する局部マイクロプロセッサもこの信号を供給することができる。「同期位置検出済み」信号によって、ラッチ368はそのD入力で受信された位相オフセット信号を、上述したように使用するために、位相オフセット制御信号として位相制御回路350に出力することができる。
【0024】
回路350からの復調されたIチャンネル・データストリームは、セグメント同期およびシンボル・クロック再生回路24とフィールド同期検出回路28に加えられる(図1)。反復的データ・セグメント同期パルスが、受信されたデータストリームのランダム・データ・パターンから再生されるとき、セグメント同期を使用して、適正に位相調整されたシンボル・サンプリング・クロックを再生することにより適正なシンボル・タイミングを達成する。
【0025】
以下に、パイロット位相オフセット算定回路360の動作を更に詳細に説明する。相関器362と363に加えられる入力信号は、
I(n) = x(n)cosΦ−x′(n)sinΦ の形式となる。ここで、x′はx(n)のヒルベルト変換であり、補正すべきパイロット搬送波の位相オフセット誤差はΦである。ATSCシステムのための多シンボル・セグメント同期パターンはSで表され、そのヒルベルト変換は H′(または上述のように、H(s))で表される。SとS′を相関させると、Ic=|S|2 cosΦ とIs=−|S′|2 sinΦ となる。SとS′は定数なので、Is/Ic は−CtanΦに比例する(ここで、Cは定数)ことが理解される。Φの値(例えば、−90度〜+90度)について、tanΦはΦに近づくので、Φは−(Is/Ic)x(1/C)にほぼ等しい。小さいΦの値に対し、Icはゼロより大きいので、IcxCを無視すると、Φは−Isの或る正のスケーリングにほぼ等しくなる。
【0026】
4個のシンボル・セグメント同期パターンは通常、シンボル値+160−160−160+160を有するので、S′を+1と−1の値に正規化すると、通常のセグメント同期パターンに対応する S′= +1−1−1+1 を生じる。この正規化により、IsとIcの相関処理は簡略化されて加算処理となるので、位相オフセット誤差Φeは、
Φe = −S0−S1+S2+S3 とほぼ等しくなる。ここで、S0、S1、S2、S3はセグメント同期パターンを構成する4つのシンボルを表す。Φeの算出に及ぼすノイズとマルチパスの影響を軽減するために、個々の同期シンボルS0、S1、S2、S3はそれぞれ、所定の期間T(例えば、連続する64のセグメント同期パターンを包含する)にわたって平均化される。その後、相関値e′は以下の式にしたがって発生される:
Figure 0004518355
この値は、時間(例えば、64のセグメント同期期間)にわたって合計され、所定のスケール係数Gでスケール化され、最終値eを発生する。スケール係数Gは経験的に定められ、トラッキング帯域幅を設定する。
【0027】
上述したプロセスを図5に示す。図5で、入力加算回路は、加算器512、513、514、515、525、528で構成される。この加算回路に関連して、遅延要素518、519、520、521がある。各遅延要素は1シンボルの遅延を表す。加算器525の出力と加算器528の出力は、合成器530内で減算的に合成される。合成器530の出力は装置532で処理され、上記の式に従って、値e′を発生する。装置532は、以前の処理の間に合計されたセグメント同期成分の数(64)で割り、それによって、予期される同期振幅を発生する。その後、値e′は加算器534および関連するシンボル遅延要素535で処理され、装置538でスケール化され、最終誤差算定値eを発生する。この入力加算回路は、各期間Tの終了時にリセットされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理に従う装置を含む、高精細度テレビジョン(HDTV)受像機の一部のブロック図である。
【図2】 米国でATSC高精細度方式を使用するVSB変調された信号のデータ・フレーム・フォーマットを示す。
【図3】 本発明に従う、図1に示す搬送波再生/復調回路の詳細を示す。
【図4】 図1の復調器の動作を理解するのに役立つ線図を示す。
【図5】 図1に示す復調器回路の部分の別の詳細を示す。

Claims (7)

  1. 残留側波帯シンボルの配置で表されるビデオ・データとパイロット搬送波成分を含む、受信されたVSB被変調データ・ストリームを処理する受像機において、前記データは、関連するセグメント同期を各々が有する複数のデータ・セグメントに先立つフィールド同期成分を含む連続的なデータ・フレームで構成されるデータ・フレーム・フォーマットを有し、
    前記パイロット成分の位相オフセット誤差を表す制御信号を発生するステップと、
    前記パイロット成分と前記制御信号に応答し、前記受信された信号を復調するステップと、を含み
    前記発生するステップが、前記受信された信号の所定の成分の値と基準値との相関の関数として前記制御信号を発生する、方法
  2. 前記所定の成分が、受信された信号のセグメント同期成分である、請求項1記載の方法。
  3. 前記発生するステップが、
    受信された同期値を基準同期値と相関させるステップと、
    前記受信された同期値を、変換された基準同期値と相関させるステップとからなる、請求項1記載の方法。
  4. 前記変換された基準同期値がヒルベルト変換された値である、請求項3記載の方法。
  5. 前記同期が、受信された信号のセグメント同期成分である、請求項3記載の方法。
  6. 前記同期が、受信された信号のセグメント同期成分であり、前記発生するステップが、
    受信されたセグメント同期値を基準セグメント同期値と相関させるステップと、
    前記受信されたセグメント同期値を、変換された基準セグメント同期値と相関させるステップと、を含む請求項3記載の方法。
  7. 前記変換された値がヒルベルト変換値である、請求項6記載の方法。
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