JP4518019B2 - 多孔質金属箔およびその製造方法 - Google Patents

多孔質金属箔およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質金属箔およびその製造方法に関し、さらに詳しくは貫通した微細孔を有する多孔質金属箔およびその製造方法に関する。
金属材料の多孔質化は従来から行われており、微細孔を有する板状あるいは薄膜状の金属多孔質体が、機能性材料として広く利用されている。具体的には、各種フィルター、多孔質支持体、大表面積を利用した触媒、シート状電極用途等に広く利用されている。
金属多孔質体の機能は、表面積や細孔構造、厚さ等の影響を強く受ける。このため、できるだけ径が均一で、かつ、微細な貫通微細孔を有するとともに、薄型である金属多孔質体を作製する努力が、製造プロセス技術や細孔制御技術の面からなされている。
金属多孔質体は、微細な金属粉末や繊維を成形あるいは塗布した後に焼成して作製することができる。例えば、特許文献1では、金属粉末、樹脂ビーズ、有機バインダおよび溶媒を混合したスラリーをキャリアシート上に塗布し、乾燥させた後にキャリアシートから取り外してグリーンシートとし、このグリーンシートを脱脂、焼成して有機バインダ、樹脂ビーズを消失させるとともに、金属粉末を焼結させてシート状金属多孔質体を製造する方法が開示されている。
しかしながら、このような方法で得られる多孔質体の細孔構造は出発原料の金属粉末および樹脂ビーズの粒径に支配されるため、細孔構造をサブミクロンオーダーで微細化することは難しい。また、焼結時にはシートが収縮するため細孔径の制御が難しい。さらに、製法上、薄型化にも限界がある。
このように、従来、サブミクロンオーダーで微細化され、かつ、径が均一な貫通微細孔を有する多孔質金属箔を作製することは困難であった。
また、各種フィルター、多孔質支持体等として用いるためには、金属多孔質体と基板が一体となった状態では、求められる機能を発揮することが困難である。そのため、微細孔を有する板状あるいは薄膜状の金属多孔質体は、基板がなくても構造を維持することが求められる。
特開2004−332069号公報
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、サブミクロンオーダーで微細化され、かつ、径が均一な貫通微細孔を有し、さらに、基板がなくても構造を維持することが可能な多孔質金属箔およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る多孔質金属箔は、微細孔を有し、かつ、厚さが1μm以上の金属箔であって、該微細孔の一部または全部が貫通しており、該微細孔の直径は0.01〜1μmであり、かつ、該微細孔による空隙率は20〜65体積%であることを特徴とする。前記微細孔の直径が均一であることが好ましく、ここで、均一とは、微細孔の最大径を最小径で除した値が2以下となることをいう。
前記多孔質金属箔は、Ta、Nb、Ta合金、Nb合金から選択された少なくとも一種から構成されていることが好ましい。
本発明に係る多孔質金属箔の製造方法は、金属と、該金属と相溶しない異相成分とが分散してなる薄膜を、前記異相成分の体積分率が20〜65体積%、厚さが1μm以上となるように、前記金属と相溶しない材質からなる基板上に形成し、得られた薄膜を熱処理して、該薄膜中の前記金属および前記異相成分の粒度を調整し、その後、前記基板および前記異相成分を選択的に溶解除去することを特徴とする。
前記薄膜を形成するに際して、成膜法としてスパッタリング法または真空蒸着法を用いることが好ましい。
前記金属を、Ta、Nb、Ta合金、Nb合金から選択された少なくとも一種とすることが好ましく、この場合、前記基板としては、Cu箔またはAg箔を用いることが好ましい。
前記異相成分を、多孔質金属箔を構成する前記金属に対して熱力学的に安定な酸化物とすることが好ましく、例えばMgOおよび/またはCaOとすることが好ましい。
前記異相成分を、多孔質金属箔を構成する前記金属に対して相溶性を持たない金属とすることが好ましく、例えば、多孔質金属箔を構成する前記金属を、Ta、Nb、Ta合金、Nb合金からなる群から選択された少なくとも一種とする場合、Cu、Ag、Ca、Mgからなる群から選択された少なくとも一種とすることが好ましい。
本発明に係る多孔質金属箔は、サブミクロンオーダーで微細化され、かつ、径が均一な貫通微細孔を有し、さらに、基板がなくても、その構造を維持することが可能であり、単体でハンドリング可能であることから、各種フィルター、多孔質支持体、大表面積を利用した触媒やシート状電極用途などに好適に用いることができ、機能性多孔質材料として種々の用途に好適に用いることができる。
本発明に係る多孔質金属箔は、微細孔を有し、かつ、厚さが1μm以上の金属箔であって、該微細孔の一部または全部が貫通しており、該微細孔の直径は0.01〜1μmであり、かつ、該微細孔による空隙率は20〜65体積%である。
微細孔は、その一部または全部が多孔質金属箔を上下に貫通している必要がある。貫通していることで、各種フィルターや多孔質支持体等に好適に用いることができるからである。
また、微細孔の直径は、0.01〜1μmであることが必要である。直径が0.01μm未満の微細孔では、微細孔の中に触媒や電解質を浸透させることが困難となり、触媒用途やシート状電極用途等に用いることが困難となる。一方、直径が1μmを上回る微細孔では、表面積を十分に大きくすることができない。微細孔の直径は、水銀圧入法やガス吸着法による細孔分布測定で求めることもできるが、ここでは、電子顕微鏡などで箔の表面と直交する断面を観察することにより目視により確認して計測したものである。
さらに、微細孔による空隙率は65体積%以下であることが必要である。空隙率が65体積%を超えると箔強度が急激に低下してしまうおそれがある。一方、空隙率を小さくするに従って箔強度は大きくなるが、表面積や開口率といった多孔質金属箔の基本的な機能の低下を招いてしまうおそれがあるため、微細孔による空隙率は20体積%以上であることが必要である。
なお、微細孔の直径は、できるだけ均一であることが好ましい。細孔径が不均一の場合、多孔質箔表面や箔深さ方向での表面積の違いにより支持体、触媒、電極としての多孔質箔の機能のばらつきが発生してしまう。具体的には、微細孔の最大径を最小径で除した値が2以下となることが好ましい。
多孔質金属箔の厚さは、十分な箔強度を得る観点から、1μm以上であることが必要である。また、厚さが100μmを超えても機能的な面で悪影響はないが、成膜時間や異相成分の除去にかかる時間などを考慮した生産効率と、多孔質支持体、フィルター、電極などのアプリケーションにおける実用的な厚さとを考慮すると、100μmを上限とすることが好ましい。ただし、アプリケーションによっては100μm以上の膜厚を採用しても良い。
次に、本発明に係る多孔質金属箔の製造方法について説明する。
基板には、多孔質金属箔の構成成分である金属とは相溶しない材質からなるものを用いる。該基板上に成膜させる材料としては、多孔質金属箔の構成成分である金属と、その金属とは本質的に相溶しない異相成分とを混合し分散させた混合材料を用いる。該混合材料を前記基板上に成膜する方法としては、スパッタリング法や真空蒸着法がある。スパッタリング法を用いて成膜する場合は、前記混合材料をスパッタリングターゲットとして用いて、前記基板上に成膜する。そして、前記基板上に形成した膜から異相成分を選択的に溶解除去して、多孔質金属箔を得る。
最終的に得られる多孔質金属箔の空隙率は成膜時の異相成分の体積分率に相当する。このため、目標とする空隙率を考慮して、多孔質金属箔の構成成分である金属と異相成分との比率を決定してから成膜を行う。空隙率は、65体積%以下に調整する必要があるので、異相成分の体積分率も65体積%以下に調整する。空隙率が65体積%を超えると、箔強度が急激に低下して、プロセス中やハンドリング中に箔に割れを生じてしまうおそれがある。
また、最終的に得られる多孔質金属箔の微細孔が貫通しているかどうかは、多孔質金属箔を構成する金属と異相成分との比率の影響を受ける。すなわち、空隙率を小さくするに従って箔強度は大きくなるが、異相成分が20体積%未満になると、異相成分を選択的に溶解除去するのが難しくなり、箔を貫通した微細孔を得ることが困難になる。また、表面積や開口率といった多孔質金属箔の基本的な機能の低下を招いてしまうおそれもある。このため、異相成分の体積分率を20体積%以上とする。なお、多孔質金属箔を構成する金属と異相成分とが混在せず完全な積層構造となると、異相成分が箔の厚さ方向につながることができず、貫通孔を形成できなくなる。
微細孔の直径は、前述のように0.01〜1μmとすることが必要であるが、このためには、多孔質金属箔を構成する金属と異相成分とを、微細に、かつ、均一に分散させて成膜することが必要である。微細に、かつ、均一に分散させて成膜することで、その後の熱処理により金属と異相成分を粒成長させても、小さい粒子径で均一にそろえることができ、かつ、両成分を均一に分散させることができる。
多孔質金属箔を構成する金属と異相成分とを、微細に、かつ、均一に分散させて成膜するための方法としては、スパッタリング法や蒸着法が適している。スパッタリング法や蒸着法は、微細に均一に混合分散させた膜組織を再現性良く得るのに優れているからである。また、複数の蒸着源をもつスパッタリング装置や真空蒸着装置を用いて、多孔質金属箔を構成する金属と異相成分とを同時に蒸発させて基板に堆積させて成膜する場合には、蒸着源への投入電力を調整することで、多孔質金属箔を構成する金属と異相成分との組成調整を容易に行うことができるという利点もある。
形成する膜の厚さは1μm以上にする。膜厚が1μm未満では十分な箔強度を得ることが難しく、プロセス中やハンドリング中に箔に割れを生じてしまうおそれがある。形成する膜の厚さの上限については、多孔質金属箔の機能的な面での制限はない。ただし、成膜時間や異相成分の除去にかかる時間などを考慮した生産効率と、多孔質支持体、フィルター、電極などのアプリケーションにおける実用的な厚さとを考慮すると、100μmが上限となる。なお、理論上は100μm以上の多孔質金属箔も形成可能であり、アプリケーションによっては100μm以上の膜厚を採用しても良い。
多孔質金属箔の構成する金属としては種々の金属を使用することができるが、Ta、Nb、Ta合金、Nb合金から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。Ta、Nbは耐熱性に優れているため、高温の熱処理にも耐えることができ、熱処理時の構造制御が容易である。また、耐食性にも優れており、異相成分および基板成分を選択除去する際に硝酸等を用いることができる。
成膜時に使用する基板としては、多孔質金属箔を構成する金属と相溶せず、選択除去が可能な種々の材質のものを使用することができる。前記条件に加えて、経済性、ハンドリング性、表面平坦度などを総合的に考慮して基板材質を決定する。例えば、多孔質金属箔を構成する金属がTa、Nb、Ta合金、Nb合金から選ばれる少なくとも一種の場合、基板としては、Ag箔またはCu箔を好適に使用することができる。
異相成分としては、多孔質金属箔を構成する金属に対して熱力学的に安定な酸化物または相溶性を持たない金属を使用することができる。例えば、MgOやCaOは大部分の金属に対して熱力学的に安定であり、無機酸などで簡単に溶解させることができるため、異相成分として好ましい。また、多孔質金属箔を構成する金属がTa、Nb、Ta合金、Nb合金から選ばれる少なくとも一種の場合、Cu、Ag、Ca、MgはTa、Nbに対する相溶性を持たないため、これらを異相成分として使用することもできる。
以上のようにして得られた膜を、基板ごとに不活性雰囲気中または真空中で熱処理して、多孔質金属箔を構成する金属と異相成分とを粒成長させる。低温で熱処理するほど粒成長が抑制され、最終的に得られる金属多孔質箔の細孔は微細になる。逆に高温で熱処理するほど粒成長が進行し、最終的に得られる多孔質金属箔の細孔径は大きくなる。熱処理の温度および雰囲気は、多孔質金属箔を構成する金属、異相成分、基板などの融点や蒸気圧、目標とする多孔質金属箔の細孔径を考慮して決定する。ただし、少なくとも、多孔質金属箔を構成する金属、異相成分、基板が溶解あるいは揮発しないような熱処理の温度および雰囲気とすることが必要である。例えば、多孔質金属箔の構成成分としてTaまたはNbを用い、異相成分としてCuを用いる場合、熱処理はCuの融点(1083℃)未満で行う必要がある。しかし、Cuの融点(1083℃)未満であっても、融点直下で真空中で熱処理を行うと、熱処理中にCuが揮発してしまい、同時に細孔のつぶれが起こるおそれがあるため、この場合はArなどの不活性雰囲気中で熱処理を行うことが好ましい。
なお、成膜をスパッタリング法や真空蒸着法で行う場合には、成膜後の熱処理ではなく、成膜中に基板加熱して多孔質金属箔を構成する金属と異相成分とを粒成長させることも可能であり、この場合、プロセスをより簡便化することができる。
熱処理により粒度調整した後に、基板成分および異相成分を選択的に溶解除去し、純水洗浄して乾燥させることで多孔質金属箔を得ることができる。基板成分と異相成分を選択的に溶解除去するための溶液は、多孔質金属箔を構成する金属、異相成分、基板材質などを考慮し、酸、塩化物溶液などから選定する。例えば、多孔質金属箔を構成する金属がTa、Nb、Ta合金、Nb合金から選ばれる少なくとも一種であり、基板がCu箔またはAg箔であり、異相成分がMgOまたはCaOの場合、硝酸を用いて基板成分および異相成分を選択的に溶解除去することができる。多孔質金属箔を構成する金属がTa、Nb、Ta合金、Nb合金から選ばれる少なくとも一種であり、基板がCu箔またはAg箔であり、異相成分がCu、Ag、Ca、Mgのいずれかである場合にも、硝酸を用いて基板成分および異相成分を選択的に溶解除去することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
(実施例1)
純度99.99%の水素化粉砕NbおよびMgOを体積率50%で混合し、2452MPa(250kgf/cm2)の圧力で1400℃、1時間のホットプレスを行い、直径60mmφ、厚さ5mmのターゲットを作製した。基板としては、厚さ10μm、幅10mm、長さ10mmの電解銅箔を用い、スパッタリング装置(SPF−210H,アネルバ株式会社製)内に載置した。そして、10mTorrのアルゴン雰囲気中でRFスパッタを行い、厚さ2μmの成膜を行った。これを基板ごと真空中で、600℃、1時間の熱処理を行い、その後、50vol%の硝酸中に1時間浸漬して、銅箔およびMgOを溶解除去し、水洗、乾燥してNb箔を得た。
得られたNb箔に対し、まず実体顕微鏡観察で箔表面を観察してクラックの有無を確認した。その後、電子顕微鏡で多孔質箔の表面および断面(箔と直交する断面)を観察し、細孔径のサイズを確認するとともに、箔を貫通した微細孔(以下、貫通微細孔と記す。)が形成されているかどうかを確認した。細孔径のサイズについては、箔表面と直交する断面の電子顕微鏡像を目視することで細孔の直径を求めた。
貫通微細孔が形成されているかどうかの判断は、箔と直交する断面の観察で緻密層(異相成分が溶解除去されずに残留した部分)が確認できるかどうかで判断し、内部に緻密層が観察されない孔は貫通微細孔であると判断した。貫通微細孔は、酸などが膜表面から内部に向かって浸透して異相成分が溶解除去されることで形成される。したがって、箔と直交する断面の観察を行い、多孔質金属箔の一方の面からもう一方の面に向かって、一様にポーラスな構造になっている場合は、膜の両表面から内部まで異相成分が完全に除去され、貫通微細孔が形成されていると判断できる。逆に、内部に緻密層が観察される場合は異相成分が残留して貫通微細孔が形成されていないと判断できる。
得られたNb箔の評価結果を表1に示す。実体顕微鏡観察では、欠陥などは確認されなかった。電子顕微鏡観察では、貫通微細孔の直径は0.05〜0.1μmであること、および箔の表面と直交する断面(箔の厚さ方向と平行方向の断面)が一様にポーラスな構造になっていることを確認した。
以上のことから、欠陥がなく、かつ、直径が0.05〜0.1μmの貫通微細孔を有する多孔質Nb箔が得られたことを確認できた。
(実施例2)
純度99.99%のTaおよびCuの6インチターゲットを用い、厚さ10μm、幅20mm、長さ20mmの電解銅箔を基板として、多元スパッタリング装置(SH−450、株式会社アルバック製)を用いて、10mTorrのアルゴン雰囲気中でTaとCuの同時スパッタにより、Ta−60体積%Cuを9μm成膜した。これを基板ごと真空中で、800℃、1時間の熱処理を行ったのち、50体積%の硝酸中に1時間浸漬し、銅を溶解除去し、水洗、乾燥してTa箔を得た。
得られたTa箔について、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた箔の表面と直交する断面を電子顕微鏡で観察した結果の写真を、図1に示す。図1において、黒い箇所が空隙であり、白い箇所が多孔質体を形成しているTa粒子である。
以上のことから、欠陥がなく、かつ、直径が0.1〜0.2μmの貫通微細孔を有する多孔質Ta箔が得られたことを確認できた。
(実施例3)
実施例2において、膜厚を2μm、真空熱処理温度を400℃とした以外は同様の操作を行ない、得られたTa箔について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
その結果、欠陥がなく、かつ、直径が0.03〜0.06μmの貫通微細孔を有する多孔質Ta箔が得られたことが確認できた。
(実施例4)
形成する膜の組成をTa−25vol%Cuとし、膜の厚さを2μmとした以外は実施例2と同様の操作を行ってTa箔を得た。得られたTa箔について、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
その結果、欠陥がなく、かつ、直径が0.1〜0.2μmの貫通微細孔を有する多孔質Ta箔が得られたことを確認できた。
(実施例5)
純度99.99%のNbおよびCuの6インチターゲットを用い、厚さ10μm、幅20mm、長さ20mmの電解銅箔を基板として、多元スパッタリング装置(SH−450、アルバック製)を用いて、10mTorrのアルゴン雰囲気中でNbとCuの同時スパッタにより、Nb−60vol%Cuを20μm成膜した。これを基板ごとAr雰囲気中で、1050℃、1時間の熱処理を行い、その後、50vol%の硝酸中に1時間浸漬して、銅を溶解除去し、水洗、乾燥してNb箔を得た。得られたNb箔について、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
その結果、クラックフリーで細孔径0.5〜0.7μmの貫通微細孔を有する多孔質Nb箔が得られたことを確認できた。
(比較例1)
形成する膜の厚さを0.5μmとした以外は実施例4と同様の操作を行ってTa箔を得た。得られたTa箔について、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
表1に示すように、直径が0.1〜0.2μmの貫通微細孔が形成されていたが、Cuを溶解除去している時および水洗時に、一部箔割れを起こした。また、箔表面には数μm幅のマイクロクラックが多数観察され、自己で構造維持可能な多孔質箔は得られなかった。
(比較例2)
形成する膜の組成をTa−70体積%Cuとした以外は実施例2と同様の操作を行ってTa箔を得た。得られたTa箔について、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
直径が0.1〜0.2μmの貫通微細孔が形成されていたが、Cuを溶解除去している時および水洗時に一部箔割れを起こした。また、箔表面には数μm幅のマイクロクラックが多数観察され、自己で構造維持可能な多孔質箔は得られなかった。
(比較例3)
形成する膜の組成をTa−15体積%Cuとし、膜の厚さを2μmとした以外は実施例2と同様の操作を行ってTa箔を得た。得られたTa箔について、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
得られたTa箔には欠陥がなく、かつ、箔表面付近では直径が0.1〜0.2μmの微細孔が確認されたが、箔の断面には緻密層が観察され、箔を貫通する微細孔は形成されていなかった。
細孔による空隙率(異相成分の体積比)および膜厚が本発明の範囲内である実施例1〜5では、欠陥がなく、かつ、直径が0.01〜1μmの範囲にある貫通微細孔を有する多孔質金属箔が得られた。
これに対して、形成する膜の厚さを本発明の範囲の下限値である1μmよりも小さい0.5μmとした比較例1は、形成する膜の組成が実施例4と同じであるにも関わらず箔割れが生じてしまい、箔の強度に問題があることがわかった。
また、細孔による空隙率(異相成分の体積比)を本発明の範囲の上限値である65体積%よりも大きい70体積%とした比較例2は、形成する膜の厚さが9μmと十分に厚いにもかかわらず箔割れが生じてしまい、箔の強度に問題があることがわかった。
比較例1および2の結果より、細孔による空隙率(異相成分の体積比)が本発明の範囲の上限を上回るか、膜厚が本発明の範囲の下限を下回ると、多孔質構造は得られるものの、箔強度が不十分であり、自己で構造維持可能な多孔質箔は得られないと考えられる。
細孔による空隙率(異相成分の体積比)を本発明の範囲の下限値である20体積%よりも小さい15体積%とした比較例3は、箔割れは見られず箔強度に問題はないものの、細孔が形成されるのは箔表面のみであり、箔内部には残留したCuからなる緻密相が存在し、貫通微細孔の形成の点で問題があることがわかった。
実施例2に係る多孔質金属箔について、箔の表面と直交する断面を電子顕微鏡で観察した結果の写真である。

Claims (6)

  1. Ta、Nb、Ta合金、Nb合金から選択された少なくとも一種から構成され、微細孔を有し、かつ、厚さが1μm以上の金属箔であって、該微細孔の一部または全部が貫通して、該金属箔の一方の面からもう一方の面に向かって一様にポーラスな構造になっており、該微細孔の直径は0.01〜1μmであり、かつ、該微細孔による空隙率は20〜65体積%であり、該微細孔の最大径を最小径で除した値が2以下となることを特徴とする多孔質金属箔。
  2. Ta、Nb、Ta合金、Nb合金から選択された少なくとも一種の金属と、該金属と相溶しない異相成分とが分散してなる薄膜を、前記異相成分の体積分率が20〜65体積%、厚さが1μm以上となるように、前記金属と相溶しない材質からなる基板上に形成し、得られた薄膜を不活性雰囲気中または真空中で熱処理して、該薄膜中の前記金属および前記異相成分の粒度を調整し、その後、前記基板および前記異相成分を選択的に溶解除去することを特徴とする多孔質金属箔の製造方法。
  3. 前記薄膜を形成するに際して、成膜法としてスパッタリング法または真空蒸着法を用いることを特徴とする請求項に記載の多孔質金属箔の製造方法。
  4. 前記基板を、Cu箔またはAg箔とすることを特徴とする請求項2または3に記載の多孔質金属箔の製造方法。
  5. 前記異相成分を、MgOおよび/またはCaOとすることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の多孔質金属箔の製造方法。
  6. 前記異相成分を、Cu、Ag、Ca、Mgからなる群から選択された少なくとも一種とすることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の多孔質金属箔の製造方法。
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