JP4517967B2 - 木材の処理方法 - Google Patents
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Description
又、請求項2に係る木材の処理方法によると、塗料が、ウレタン樹脂を主成分とし、ファインセラミックスを含有したものであるため、磨耗性、耐候性に優れた木材となる。
又、請求項3に係る木材の処理方法によると、塗布される塗料の不揮発成分が、2〜20g/m2であるため、木材表面の凹凸に沿って塗料が塗布され、塗布量が多すぎて木材表面の凹凸がなくなることで木材の風合いが損なわれたり、塗布量が少なすぎて塗りむらが生じたりすることがない。
又、塗料が、ウレタン樹脂を主成分とし、ファインセラミックスを含有したものである。
又、塗布される塗料の不揮発成分が、2〜20g/m2となるように塗布している。
又、加熱する温度は、100〜250℃が好ましく、更に好ましくは160〜180℃である。100℃以下であると木質の乾燥、すなわち水分の蒸発が起こるのみであり、木材1の性質の改善、すなわち木材1細胞中の水酸基の減少が起こりにくい。又、250℃以上であると木材1の炭化が起こりやすく、機械的強度の低下や変色のおそれがある。又、加熱時間は木材1の種類や形状によっても異なるが、5〜30時間が望ましい。
続いて、木材1の表面を研磨する。このときの研磨の目的は、木材表面のささくれを削り略平面とすることで、この後の工程で塗料を塗布するとき、塗料を均一に塗布しやすくすると共に、その接着性を高めることであるため、木目出しを行う必要はない。研磨をする方法としては、サンドペーパーを用いて手作業で行っても、ベルトサンダーやワイドサンダーなどの研磨機を用いて行ってもよい。
最後に、研磨した木材1に塗料を塗布する。このとき用いる塗料としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂及びジアリールフタレート樹脂などを主成分として含むものなどが挙げられる。この場合、ウレタン樹脂を用いている。更に、この塗料は、ファインセラミックを含有していてもよい。ファインセラミックとしては、シリカ、アルミナ、タルク、マイカなどが挙げられる。これらのファインセラミックはこれらのいずれかを単独で用いても良いし、2種類以上を併用して用いても良い。
塗料を塗布するときには、上記の樹脂やファインセラミックスなどの塗料成分をシンナーなどの有機溶媒で希釈し、塗布する。塗布の方法は、はけなどを用いて行っても良いが、この場合、塗料用のスプレー装置を用いてスプレー塗装している。塗料を塗布する量は、塗料の不揮発成分が2〜20g/m2となるように塗布する。例えば、不揮発成分が20質量%になるようにシンナーで希釈した塗料を、30g/m2となるように塗布することにより、木材1表面には塗料の不揮発成分が6g/m2である塗膜層2が形成される。このように、塗料の希釈度及び塗布量は、塗料の不揮発成分が2〜20g/m2となるように調節する。上記の塗装方法をとることで、図1に示す如く、木材1表面の動管や師管などによって形成されている凹凸に沿って塗膜層2が形成される。塗料の不揮発成分が、これ以上であると木材1表面の凹凸に関係なく平坦な塗膜層2が形成されて木材1の風合いが失われ(図2)、これ以下である場合には塗料の塗りむらが発生する(図3)おそれがある。
従って、この実施形態の木材1の加工方法においては、不活性ガス雰囲気下で木材1を加熱処理した後、その表面を研磨し、研磨された表面に塗料を塗布することで、木材1の表面の凹凸に沿って塗膜層2を形成するため、木材1が加熱処理されることで改質が起こることで耐水性が付与されると共に、その表面の凹凸に沿って塗膜層2が形成されるために木材1の風合いを生かしながら防汚性が付与される。又、加熱処理することにより木材1の平衡含水率が低下するため、塗料が浸透しやすい状態となっており、塗料の塗りむらを防ぐことができると共に、木材1の表面に厚い塗膜層2が形成されにくく、木材1表面の凹凸に沿って薄い塗膜層2が形成され、木材1の風合いがより生かされた木材1を製造できる。又、加熱処理後の木材1の表面を研磨することで、更に塗料の塗りむらを防ぎ、塗料の密着性を向上させることで耐摩耗性を向上させることができる。このことは、この実施形態の木材1の処理方法では、木材1表面の凹凸に沿って塗膜層2が形成される、すなわち木材1表面の形状がそのまま保持されるため、予め木材1の表面を平滑化しておくことで、木材1の仕上がりを良くすることができる。
又、塗料が、ファインセラミックスを含有したウレタン樹脂であるため、耐摩耗性や防汚性が付与される。この木材1の処理方法においては、木材1表面の凹凸を生かし、その風合いを生かすためには薄い塗膜層2を形成することが必要であるが、塗料にファインセラミックを含有させることで、薄い塗膜層2であっても高い耐摩耗性を有するために非常に効果的である。
[木材1の処理方法]
[実施例1]
木材1の含水率を5〜10%に調整した後、木材1を加熱処理釜に入れ、50Torrまで減圧した後、窒素を入れ、0.5MPaまで加圧し、温度160〜180℃で8時間加熱した。この木材1の表面をサンドペーパーで研磨し、研磨された表面に、ウレタン樹脂及びファインセラミックスを含む塗料成分を、シンナーでその不揮発成分が20質量%になるように希釈し、塗布量が30g/m2になるようにスプレー塗装した。
[実施例2]
塗料を、その不揮発成分が15質量%になるように希釈した以外は、実施例1と同様に処理した。
[実施例3]
塗料の塗布量を40g/m2にしてスプレー塗装した以外は、実施例1と同様に処理した。
[実施例4]
塗料にファインセラミックスを含有させなかったこと以外は、実施例1と同様に処理した。
[比較例1]
塗料を、その不揮発成分が30重量%になるように希釈し、塗布量を80g/m2にした以外は、実施例1と同様に処理した。
[比較例2]
塗料を、その不揮発成分が9質量%になるように希釈し、塗布量を20g/m2にすること以外は、実施例1と同様に処理した。
上記のように処理した木材1について、下記の外観の評価、耐汚染性試験、耐摩耗性試験及び耐候性試験を行った。この結果を表1に示す。
処理した木材1を観察し、木材1表面の凹凸に沿って塗膜層2が形成されているか評価した。表1には、木材1表面の凹凸に沿って塗膜層2が形成されているものを○、塗料の塗りむらがあるもの及び木材1表面の凹凸が失われて厚塗りになっているものを×と表記した。
(2)耐汚染性試験
処理した木材1に、浴室用洗剤(中性、アルカリ性)や入浴剤、メイク落とし等の薬品を1時間放置した後に拭き取り、その表面を観察した。表1には、変色や着色がなかったものを○、変色や着色があったものを×、変色や着色があるが、微少であるものを△と表記した。
(3)耐摩耗性試験
処理した木材1に、磨耗試験機を用いて、浴槽用スポンジたわしに1kgの荷重をかけ、13000回往復させ、その表面を観察した。表1には、艶変化や変色がなかったものを○、艶変化や変色があったものを×、艶変化や変色があるが、微少であるものを△と標記している。
(4)耐候性試験
処理した木材1を、サンシャインウェザオメ−タ−試験機にて所定の光量で照射しながら100時間放置し、その表面を観察した。表1には、割れの発生、白化や変色がなかったものを○、割れの発生、白化や変色がなかったものを×、割れの発生、白化や変色があったが、微少であるものを△と表記した。
表1から分かるように、実施例1〜4のように塗布される塗料の不揮発成分量を2〜20g/m2とすることで、比較例1のように木材1表面の凹凸が失われたり(図2)、又、比較例2のように塗りむらを生じたりする(図3)こともない。又、実施例1〜3と実施例4を比較して分かるように、塗料にファインセラミックスを含有させることで、防汚性、耐摩耗性及び耐候性がより優れたものになっていることが分かる。
2 塗膜層
Claims (3)
- 木材の処理方法であって、不活性ガス雰囲気下で木材を加熱処理した後、その表面を研磨することで、この表面を、塗料が浸透しやすい平衡含水率が低下した状態で、且つ、凹凸に沿って平滑化された状態にし、同研磨された表面に塗料を塗布することで、木材の表面の凹凸に沿って薄い塗膜層を形成することを特徴とする木材の処理方法。
- 塗料が、ウレタン樹脂を主成分とし、ファインセラミックスを含有したものであることを特徴とする請求項1記載の木材の処理方法。
- 塗布される塗料の不揮発成分が、2〜20g/m2となるように塗布することを特徴とする請求項1又は2記載の木材の処理方法。
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