JP4517598B2 - 発光素子駆動装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光素子駆動装置及び画像形成装置に関し、特にレーザゼログラフィにその光源として用いられるレーザ素子の駆動に用いて好適な発光素子駆動装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ素子を光源とするレーザゼログラフィーの分野では、より高解像度化、より高速化の要求が強くなってきている。入力画像データに応じてレーザ素子の駆動をオン/オフ制御する速度(以下、変調速度という)には限度がある。レーザ光のビーム数を1本とした場合には、主走査方向の解像度のみならず、副走査方向の解像度をも上げようとすると、変調速度が犠牲にならざるを得ない。したがって、変調速度を上げずに副走査方向の解像度を上げるためには、レーザ光のビーム数を増やすしかない。レーザ光のビーム数を例えば4本にした場合は、変調速度が1本の場合と同じと仮定すると、主走査・副走査方向の解像度を2倍に向上できる。
【0003】
レーザゼログラフィーにその光源として用いられる半導体レーザは、レーザ光が活性層と平行な方向に取り出される構造の端面発光型レーザ素子(以下、端面発光レーザと記す)と、レーザ光が活性層に垂直な方向に取り出される構造の面発光型レーザ素子(以下、面発光レーザと記す)とに大別される。従来、レーザゼログラフィーでは、レーザ光源として一般的に端面発光レーザが用いられていた。
【0004】
しかしながら、レーザ光のビーム数を増やすという観点からすると、端面発光レーザは技術的に難しいとされており、構造上、端面発光レーザよりも面発光レーザの方がレーザ光のビーム数を増やすのに有利である。このような理由から、近年、レーザゼログラフィーの分野において、より高解像度化、より高速化の要求に答えるために、レーザ光源として、多数のレーザ光ビームを出射可能な面発光レーザを用いた装置の開発が進められている。
【0005】
ところで、面発光レーザの駆動装置では、当該半導体レーザの光量を自動制御する際に、光量制御時の制御電圧をサンプリングホールド回路に保持する構成が用いられる。
【0006】
例えば以下に示す特許文献1には、光量制御時結果をサンプルホールド回路に保持するように構成された発光素子駆動回路が開示されている。これを図6を用いて説明する。図6に示すように、特許文献1による発光素子駆動回路は、光モニタ信号S830と基準電圧VRとを比較増幅し、目標光量に達した時のノード837の充電電圧をスイッチ836とコンデンサ838とで構成されているサンプルホールド回路830で保持し駆動を行う。
【0007】
また、特許文献2には、光量制御結果をサンプルホールド回路940で保持する際に、スイッチ947の出力をローパスフィルタ945を経由しメモリ回路946に入力する構成が開示されている。これを図7に示す。特許文献2では、上記の構成を有することで、スイッチ947がオフする瞬間の高周波のノイズ成分による電圧変動をメモリ回路946に読み込むことを防止し、光量制御の精度を向上している。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−13848号公報
【特許文献2】
特公平5−14973号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特許文献1による構成では、光量制御終了時にサンプルホールド回路を使用して駆動信号を保持する際に、スイッチSW836がオフする瞬間の高周波のノイズ成分に起因する電位変動を重畳して保持してしまうので、読み込み値が目標光量の値に対してずれてしまい、正確な光量制御ができない。
【0010】
また、面発光レーザを使用した露光装置等では光学系の制約から光電流が微小となる。そのため、例えば特許文献1に開示された構成で駆動しようとすると、電流・電圧変換回路834のゲインをあげる必要があるが、微小信号を増幅すると、同時に微小信号に重畳したノイズも増幅することになる。その結果、サンプルホールド回路830で取り込むノイズが大きくなり、光量制御の精度をさらに悪化させてしまう。
【0011】
また、上記した特許文献2による構成では、光量制御時にサンプルホールド回路をスイッチングする際の高周波ノイズによる電圧変動の影響を抑制するために、ローパスフィルタ945を負帰還制御の経路に挿入する必要があるが、このような構成では位相遅れが進むため、負帰還ループで発振が起こり易くなるという問題が発生する。更に、ローパスフィルタ945の入力に対する出力の反応が緩慢になるため、光量制御の収束性が悪化するという問題も発生する。
【0012】
そこで本発明は、負帰還ループにおける発振を防止しつつ、高精度の光量制御が可能な発光素子駆動装置を提供することを目的とする。
【0013】
かかる目的を達成するために、本発明は、発光素子の発光量を制御する制御電圧を保持するサンプルホールド回路を有する発光素子駆動装置であって、前記サンプルホールド回路は、直列に接続した抵抗と第1のコンデンサとを有し、前記発光素子の発光量を制御する負帰還ループに対して直列に接続したローパスフィルタと、直列に接続した前記抵抗及び前記第1のコンデンサに対して並列に接続した第2のコンデンサとを備えている。
発光量を制御する制御電圧を保持するサンプルホールド回路がローパスフィルタを備えているので、例えば負帰還ループ上のスイッチを切り替えた際に生じる高周波のノイズを抑制することが可能となるため、高精度の光量制御が可能となる。また、このローパスフィルタが負帰還ループに対して直列に接続された構成において、このローパスフィルタと並列に第2のコンデンサを接続することで、負帰還ループにおける位相が遅れることを回避できるため、負帰還ループでの発振を防止することが可能となる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発光素子駆動装置において、前記第2のコンデンサの容量値は、前記第1のコンデンサの容量値よりも小さいことが好ましい。
第2のコンデンサの容量値を第1のコンデンサの容量値よりも小さくすることで、光量制御時におけるノイズ重畳の影響又はゲインの減少の影響を小さくすることが可能となる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発光素子駆動装置において、前記発光素子を駆動する電流源あるいは電圧源を少なくとも1つ有し、前記サンプルホールド回路及び前記第2のコンデンサは前記電流源と前記電圧源の制御端子に付加されていることが好ましい。
電流源あるいは電圧源の制御端子にローパスフィルタを含んで構成されたサンプルホールド回路を付加することで、電流源あるいは電圧源を直接的に制御する制御電圧に高周波ノイズが重畳されることを効率的に回避できる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発光素子駆動装置において、前記光量制御を行う負帰還ループを少なくとも2つ有し、前記サンプルホールド回路及び前記第2のコンデンサは前記負帰還ループに対してそれぞれ付加されていることが好ましい。
複数の負帰還ループを有する発光素子駆動装置において、それぞれの負帰還ループに対してローパスフィルタを含むサンプルホールド回路を付加することで、制御電圧に重畳される高周波なノイズを確実に抑制することが可能となる。
【0017】
本発明の画像形成装置は、発光素子の発光量を制御する制御電圧を保持するサンプルホールド回路を有する発光素子駆動装置を備えた画像形成装置であって、前記サンプルホールド回路は、直列に接続した抵抗と第1のコンデンサとを有し、前記発光素子の発光量を制御する負帰還ループに対して直列に接続したローパスフィルタと、直列に接続した前記抵抗及び前記第1のコンデンサに対して並列に接続した第2のコンデンサと備えている。
発光量を制御する制御電圧を保持するサンプルホールド回路をローパスフィルタで構成することで、例えば負帰還ループ上のスイッチを切り替えた際に生じる高周波のノイズを抑制することが可能となるため、高精度の光量制御が可能となる。また、このローパスフィルタが負帰還ループに対して直列に接続された構成において、このローパスフィルタと並列に第2のコンデンサを接続することで、負帰還ループにおける位相が遅れることを回避できるため、負帰還ループでの発振を防止することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る発光素子駆動装置の全体構成を示す図である。図1において、発光素子駆動装置10は複数個の発光素子を駆動する。図1の構成では、発光素子駆動装置10は32個の発光素子LD1〜LD32を駆動する。換言すれば、発光素子駆動装置10は32チャネル構成である。各発光素子LD1〜LD32は面発光ダイオード(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)で形成され、マトリクス状に配置されている。発光素子駆動装置10は例えばICチップで形成され、内部に以下に説明する回路を備える。
【0022】
ドライバ1001〜10032は、上記各チャネルに共通の制御部からの信号を、バス150を介して受け取り、それぞれ発光素子LD1〜LD32を駆動制御するための制御を行う。具体的には、ドライバ1001〜10032は各発光素子LD1〜LD32を光量制御を行うAPC制御と、APC制御後の変調制御とを行う。後述するように、APC制御では、ドライバ1001〜10032は発光素子LD1〜LD32に印加する電圧と電流との両方を制御する。電圧駆動時、ドライバ1001〜10032は各端子COUTを介して、発光素子LD1〜LD32のカソードにそれぞれ接続されているコンデンサCd1〜Cd32を制御する。電流駆動時、ドライバ1001〜10032は各端子LDOUTを介して、各発光素子LD1〜LD32に流れる電流量を制御する。
【0023】
ドライバ1001〜10032は複数個ずつが、端子LDCOMを介して共通に接続されるとともに、負荷105に接続されている。図1の構成では、ドライバ1001〜1004のLDCOM端子は共通に接続され、一端がグランドに接続された負荷105の他端に接続されている。各ドライバ1001〜10032は対応する発光素子を駆動していないときには、駆動電流に対応する電流(相補出力)を出力する。この電流を負荷105に流すことにより、発光素子の点灯の数等に依存することなく常に一定の電流が発光素子駆動装置10に流されるようにして、動作の安定化を図っている。
【0024】
光量制御装置10は、各発光素子LD1〜LD32のレーザ光量をAPC制御で適切な値に設定した後、変調制御を行う。APC制御の概略は次の通りである。まず、発光素子LD1のレーザ光量を調整する。ドライバ1001は発光素子LD1を駆動する。各発光素子LD1〜LD32に共通に設けられた受光器PD(例えばフォトダイオードであって、前述の受光器11に相当する)には、発光素子LD1のレーザ光量に応じた電流が流れる。電流アンプ300は受光器PDに流れる電流に対し、スイッチSWSaをオンし、電流源450からの加算電流を加算した電流を低インピーダンスで受けて増幅する。この場合、スイッチSWSbがオンすることで電流源460から供給される基準電流で加算電流を相殺し、残った電流を基準電圧Vref2に接続された抵抗に供給して電流アンプ300が出力する電流を電圧に変換し、この電圧(検出電圧という)を、スイッチSW19を介してAPC回路600に出力する。APC回路600はオペアンプ61と、1つのスイッチ(SWfb1〜SWfb32の何れか1つ)とコンデンサ(Cfb1〜Cfb32の何れか1つ)との直列回路とを複数個備える。各直列回路はオペアンプ61の出力端子と反転入力端子との間に接続されている。各直列回路はサンプルホールド回路を構成する。1つのサンプルホールド回路が1つの発光素子に対応する。例えば、スイッチSWfb1とコンデンサCfb1とのサンプルホールド回路は、発光素子LD1に対応する。同様に、スイッチSWfb32とコンデンサCfb32とのサンプルホールド回路は、発光素子LD32に対応する。
【0025】
オペアンプ61は、発光素子LD1を駆動したときの差電圧を増幅しバス150の対応する信号線に出力する。ドライバ1001はこの差電圧がゼロになるように発光素子LD1に与える駆動電流を変化させる。これにより、発光素子LD1のレーザ光量が変化し、受光器PDに流れる電流量が変化する。受光器PDに流れる電流に応じた検出電圧が電流アンプ300からAPC回路600に出力される。このようなフィードバック制御により、電流アンプ300の入力出力に加えられた加算電流は相殺される結果消え、APC基準電圧Vrefで発生した基準電流に対応するレーザ光量となるように発光素子LD1の駆動状態を設定する。なお、この駆動状態の設定とは、発光素子LD1に与える駆動電流と駆動電流の両方をAPC基準電圧Vrefに対応する値に調整することを意味している。
【0026】
このようにして発光素子LD1を制御している間、APC回路600の32個のサンプルホールド回路のうち、スイッチSWfb1のみがオンとなっており、発光素子LD1のレーザ光量がAPC基準電圧Vrefに相当する値に収束する際の電圧がコンデンサCfb1に蓄積される。以下同様に、発光素子LD2〜LD32を順番に1つずつAPC制御する。
【0027】
なお、後述するように、APC制御は2回行うことが好ましい。2回目のAPC制御では、1回目のAPCでオンしていたスイッチSWSaをオフする。電流アンプ300の出力側に供給されている相殺電流は基準電流+加算電流がそのままであるため、受光電流は基準電流+加算電流に対応する電流で制御が行われる。APC回路600中の32個のサンプルホールド回路を1回目及び2回目のAPC制御で共通に用いることができるが、2回目のAPC制御用に新たに32個のサンプルホールド回路を設けてもよい。
【0028】
光量モニタ400は、電流アンプ300に流れる電流から各発光素子LD1〜LD32のレーザ光量を示す光量モニタ信号を出力する。
【0029】
強制点灯回路500は、APC制御を行う前に必要となる同期信号を生成する回路である。発光素子駆動装置10が組み込まれるコピー機、プリンタ、ファクシミリなどの画像処理装置では、画像を描画する位置を正確に決定するために、描画開始位置の少し手前に光センサを設け、発光素子が出力する光が光センサを横切るタイミング基づき描画開始位置を決定している。
【0030】
図3に、本発明の発光素子駆動装置を備える画像形成装置の一態様であるレーザゼログラフィにおけるレーザ走査系の構成例と、各センサ出力とを示す。レーザゼログラフィ装置におけるレーザ光走査系の基本的な構成は、次の通りである。レーザ光源10dから出射されたレーザ光は、レンズ15、ポリゴンミラー12及びレンズ13、14を介して感光体表面16に照射される。そして、ポリゴンミラー12の回転により、上記レーザ光が感光体表面16を繰り返し走査する。また、レーザ光源10dから出射されたレーザ光の一部は、半透過型ミラー19を介して受光器11に入力する。図3において、このときの受光器11の出力を光量制御センサ出力として示し、描画開始位置の少し手前に設けられた光センサ17の出力をSOS(Start of Scan)センサ出力として示す。APCのための領域は、走査領域の前後に設けられている。なお、参照番号18は前述した発光素子駆動装置10に相当する。
【0031】
前述したように、発光素子LD1〜LD32の個々のレーザ光量は端面レーザに比べ小さいので、複数個を同時にオンさせて、SOSセンサ上を走査する。この場合、特に二次元に配列された発光素子のうち、中央部分に位置する複数の発光素子のみをオンすることが好ましい。しかしながら、APC制御では発光素子を1つずつオンさせて条件設定(フィードバックループのゲイン)を行っているため、所定数の発光素子を同時にオンさせてしまっては、APC制御のフィードバックループが発振してしまう可能性がある。従って、この問題点を解決するために、強制点灯回路500は、変調信号(変調データ)に応じて電流アンプ300の負荷の大きさを変化させる。つまり、オンすべき発光素子の数に応じた負荷を電流アンプ300の出力に接続する。図示する構成では、複数の抵抗がスイッチを介して電流アンプの出力に接続されている。オペアンプ61に着目すれば、強制点灯回路500は、オンすべき発光素子の数に応じて電流電源変換ゲインを小さくし全体として負帰還のゲインが変わらないようにする。このような構成により、常に1つの発光素子のみをオンさせた状態と等価な状態が得られるため、換言すれば、フィードバックループのゲインは1つの発光素子のみをオンさせた状態の値となる。この結果、フィードバックループが発振してしまうのを防止することができる。
【0032】
共通制御電位設定回路200は、各ドライバ1001〜10032内で必要とされる各種の電流を生成するために必要な制御電位を生成する回路である。図1の構成では、共通制御電位設定回路200は、各ドライバ1001〜10032内で流れるバイアス電流を設定するための共通電位を生成する回路と、オフセット電流を生成するための共通電位を生成する回路とを備えている。バイアス電流とオフセット電流とは典型的な例であって、各ドライバ1001〜10032は駆動と制御に必要なその他の電流を生成するために必要な制御電位を設定することができる。バイアス電流設定用の共通制御電位は、演算増幅器(オペアンプ)211、電流源212,213及び負荷214,215を含む回路で生成される。オフセット電流設定や他の電流設定用の共通制御電位もそれぞれ同様の回路で生成される。外部からのバイアス電流設定信号に応じて、電流源212は支持された電流を負荷214に供給する。負荷214の端子電圧がオペアンプ211のプラス側端子に与えられる。定電圧源216に接続された定電流源213は、オペアンプ211の出力に応じた電流を負荷215に流す。負荷215の端子電圧がオペアンプ211のマイナス側端子に与えられる。オペアンプ211は、電流源213がバイアス電流設定信号で設定されたバイアス電流と同一の電流を流すように電流源213を制御する。このときのオペアンプ211の出力信号は、バス150の対応するバス線に出力される。他方、定電圧源216のプラス側電圧がバス150の対応するバス線に出力される。このバス線は、夫々の共通制御電位に共通であって、かつ各ドライバ1001〜10032に共通である。このように、外部から設定されたバイアス電流値が差分電圧の形でバス150を介して各ドライバ1001〜10032に供給される。各ドライバ1001〜10032は後述するようにして、受け取った差分電圧からバイアス電流を生成する。この結果、たとえ定電圧源216の電源電圧が変動しても、上記電位差は一定となり、電源電圧の変動による影響を回避することができる。なお、オペアンプ211の出力電圧と定電圧源216の電圧とは、平行二線で伝送することが好ましい。
【0033】
次に、図2を参照してドライバ1001〜10032の内部構成について説明する。各ドライバ1001〜10032は同一構成なので、以下では1〜32の添え字を省略し、単にドライバ100として説明する。
【0034】
ドライバ100は2つの乗算器21、22を有する。乗算器21は電流源30を制御するために設けられ、乗算器22は図1に示すコンデンサCd1〜Cd32のうちの対応する1つを制御するために設けられている。以下、便宜上、対応する1つのコンデンサをCdとし、図2に破線で示す。コンデンサCdはレーザへの駆動電圧が立ち上がる短い時間電圧源として機能する。電流源30は対応する発光素子LDに流す電流を生成し、電圧源として機能するコンデンサCdは対応する発光素子LDに駆動電圧を与える。
【0035】
ここで、面発光レーザの駆動電流と駆動電圧(端子電圧)との関係(電圧−電流特性)は、面発光レーザの内部抵抗が高いことから実用的な範囲では比例関係(直線関係)となり、また、駆動電流とレーザ光量との関係も実用的な範囲で比例関係(直線関係)となる。このような特性を踏まえて、1回目のAPC制御において電流源30の電流量は発光素子LDのレーザ光量が基準光量(第1の光量)となるように決められ、2回目のAPC制御においてレーザ光量が第2の光量となるように決められる。同様に、1回目のAPC制御においてコンデンサCdが蓄積する駆動電圧は発光素子LDのレーザ光量が基準光量(第1の光量)となるように決められ、2回目のAPC制御においてレーザ光量が第2の光量となるように決められる。これらの2つの値を用いた内挿又は外挿処理により、レーザ光量を任意の光量に補正することができるようになる。
【0036】
乗算器21と22は4象限アナログ乗算器を用いることができ、その乗算器に接続されるべき電圧源としてコンデンサを用いることができる。各乗算器21、22の入力は差動構成となっている。各乗算器21、22の+と−で表記された2つの差動入力をそれぞれV1a、V1b及びV2a、V2bとすると、差動構成の各乗算器21、22はIout=α(V1a-V1b)(V2a-V2b)で記述される電流を出力する。但し、αは定数である。
【0037】
このようなレーザ駆動装置では、各乗算器21及び22の一方の入力端子(乗数端子)には補正信号が入力し、他方の入力端子(被乗数端子)には制御電圧が入力する。通常差動で構成する乗算器の相補出力の+側出力を利用した場合オフセット電流が存在するが上記各乗算器21及び22にオフセットが存在してもその出力に接続されたコンデンサC1、C2によりAPC時当該オフセットがキャンセルされる。補正信号は、レーザ光の走査位置によりレーザ光量が異なる状況を考量したもので、レーザ光の走査位置に応じた制御電圧を有する。
【0038】
まず、第1のAPC制御により、第1の光量(基準値とする)を次のように設定する。スイッチSWSaはオン、SWSbはオフ、SW1はオフ、SW2はオフ、SW3はオフ、SW5−1はオン、SW5−2はオフ、SW5−3はオフ、SW5−4はオン、SW6−1はオン、SW6−2はオフ、SW6−3はオフ、SW6−4はオン、SW7はオフ、SW8はオン、SW11はオン、SW11−1はオン、SW11−2はオフ、SW12はオフ、SW13はオン、SW15−1はオフ、SW15−2はオン、SW16はオフ、スイッチSWSaをオンに設定する。また、第1の光量を設定する際には、各乗算器21及び22の乗数端子に0Vの補正信号を与える。この状態では、乗数が0であるため、被乗数端子にどのような制御電圧が入力されても各乗算器21及び22はオフセット電圧を出力する。また、図1に示すAPC回路600のオペアンプ61には、第1のAPC基準電圧Vref1が与えられる。オペアンプ61は、発光素子LDのレーザ光量が第1のAPC基準電圧Vref1となるような制御電圧を出力する。この制御電圧は図2のスイッチSW8、オペアンプ26、インバータ28及びスイッチSW11を通り、電流源30に与えられる。電流源30は受け取った制御電圧に応じた電流を発光素子LDに与える。また、オペアンプ26が出力する制御電圧はサンプルホールド回路のコンデンサC3−1に格納される。補正信号は0Vに設定されているため、乗算器21はオフセット電圧を出力する。よって、コンデンサC1は、上記制御電圧と乗算器21から出力されるそのオフセット電圧との差電圧で充電される。他方、図1のオペアンプ61が出力する制御電圧は、コンデンサC2に与えられるとともに、サンプルホールド回路のコンデンサC4−1に格納される。補正信号は0Vに設定されているため、乗算器22はオフセット電圧を出力する。よって、コンデンサC2には制御電圧と乗算器22のオフセット電圧との差電圧で充電される。
【0039】
そして、第2のAPC制御により第2の光量(これを補正光量という)を次のように設定する。スイッチSWSaはオフ、SWSbはオフ、SW1はオフ、SW2はオフ、SW3はオフ、SW5−1はオフ、SW5−2はオン、SW5−3はオン、SW5−4はオフ、SW6−1はオフ、SW6−2はオン、SW6−3はオン、SW6−4はオフ、SW7はオフ、SW8はオフ、SW11はオフ、SW11−1はオン、SW11−2はオフ、SW12はオフ、SW13はオン、SW15−1はオフ、SW15−2はオフ、SW16はオフ、SWSaをオフに設定する。また、第2の光量を設定する際には、各乗算器21及び22の乗数端子に所定電圧の補正信号を与える。更に、スイッチSWSaがオフになっていることからオペアンプ61は、第1のAPC制御に対し、電流源450の加算電流分、受光器PDからの光量が増大するように制御電圧を出力する。この制御電圧は図1のスイッチSW8、オペアンプ26、インバータ28及びスイッチSW5−2、SW5−3、乗算器21、抵抗R11、キャパシタC1を通り、電流源30に与えられる。電流源30は、受け取った制御電圧に応じ、受光器PDからの電流を、基準電流から、この基準電流に加算電流を加えた電流へと変化させる。また、オペアンプ26が出力する制御電圧はサンプルホールド回路のコンデンサC3−2に格納される。コンデンサC1は、上記制御電圧と乗算器21の出力との差電圧で充電される。第1のAPC制御において発光素子LDに与えられる電流はI+ΔIと記述することができる。他方、図1のオペアンプ61が出力する制御電圧は、コンデンサC2に与えられるとともに、サンプルホールド回路のコンデンサC4−2に格納される。コンデンサC2には制御電圧と乗算器22の出力との差電圧で充電される。第1のAPC制御においてコンデンサC2に格納される電圧をVとすれば、第2のAPC制御のいてコンデンサC2に格納される電圧はV+ΔVと記述することができる。
【0040】
ここではスイッチSW6−1、SW6−4をオン、SW6−2,SW6−3をオフしたが、2回目以降のAPCではSW6−3、SW6−1をオン、SW6−2、SW6−4をオフとしてもよく、この方が変調時と同じ条件のため精度向上が期待できる。
【0041】
発光素子LDの変調時には、レーザ光の走査位置に応じた光量補正量に対応した補正電圧が各乗算器21、22の乗数端子に入力される。それにより、乗算器22、コンデンサC2及びオペアンプ26で構成される電圧源から面発光レーザに印加される駆動電圧、及び電流源30から発光素子LDに供給される駆動電流の双方が同時に制御され、上記レーザ光の走査位置に応じて補正された光量にて発光素子LDの発光がなされる。
【0042】
コンデンサC1には直列に抵抗R11を接続する。すなわち、本実施形態では、コンデンサC1を含むサンプルホールド回路110をローパスフィルタで構成する。これにより、スイッチSW11のオン/オフを切り替えた際に発生する高周波ノイズを抑制できる。また、このローパスフィルタにはコンデンサC11を並列に接続する。これにより、ローパスフィルタの時定数によって負帰還ループの位相が遅れることを防止できる。同様に、コンデンサC2に直列に抵抗R21を接続することで、これを含むサンプルホールド回路220をローパスフィルタで構成する。これにより、スイッチSW8のオン/オフを切り替えた際に発生する高周波ノイズを抑制できる。更に、コンデンサC2及び抵抗R21で構成されたローパスフィルタに、負帰還ループの位相遅れを防止するためのコンデンサC22を並列に接続し、負帰還ループでの発振を防止する。尚、上記したサンプルホールド回路を含む構成であって、自動光量制御時における回路の接続構成と、スマイル補正時における回路の接続構成との概略は、後述において図面を用いて詳細に説明する。
【0043】
電圧印加時間調整回路800は、スイッチSW2を制御して発光素子LDに電圧を印加する時間を調整する。この電圧はコンデンサCdに蓄積された電圧である。前述したように、本実施形態では、発光素子LDに与える電圧と電流との両方を制御して発光素子LDを駆動する。発光素子LDを駆動する際、まず電圧で駆動し次に電流で駆動する。電圧駆動の電圧印加時間を調整可能にすることで、図2のLDOUT端からレーザまでの配線が長く立ち上がりに時間がかかる場合のように発光素子LDの実装状態に応じた電圧印加時間を適切に設定することができる。
【0044】
電圧印加時間調整回路800は、遅延回路81と排他的論理和回路82との組を2組有し、2つの遅延回路81は、インバータ83で図示するように接続されている。遅延回路81は、電圧印加時間信号と変調信号とを受け取り、電圧印加時間信号に従って変調信号を遅延させる。一方の遅延回路81の出力信号と変調信号との排他的論理和をとり、その出力信号でスイッチSW2をオンさせる。この結果、出力信号は変調信号の立ち上がりで立ち上がり、遅延した変調信号の立ち上がりで立ち下がる第1のパルスと変調信号の立ち下がりで立ち上がり、遅延した変調信号の立ち下がりで立ち下がる第2のパルスを発生する。つまり、遅延回路81の遅延時間と同じパルス幅で電圧を変調信号の立ち上がり時と立ち下り時に印加するようになる。このようにして、適切な電圧印加時間を設定することが可能になる。同様に、他方の遅延回路81と排他的論理和回路82の作用によりスイッチSW1を制御しOFFバイアスを供給することで、発光素子LDがオンからオフへの動作を制御する(高速化する)。
【0045】
電流生成回路700は、図1に示す共通制御電位設定回路200が出力する電流毎の差分電圧を受け取り、差分電圧に応じた電流を出力する。電流生成回路700のオペアンプ34と定電流源32とは基準共通電位と基準オフセット電位で形成される差分電圧を受け取り、差分電圧に応じたオフセット電流を生成する。オフセット電流はスイッチSW16を介して負荷24に流れる。オフセット電流に応じてコンデンサC2の端子電位が決まり、これにより電圧源として機能するコンデンサC2が発光素子LDに与える駆動電圧を調整することができる。駆動電圧を調整することで、駆動パルスをオーバシュートさせ、短いパルス幅までレーザを追従させることでハイライトの再現性を高めることができ、駆動電圧を少し大きめに設定することで画像の輪郭を強調できるなど、画像に合わせてこれらを適宜設定することで画質の調整にも使用することができる。オペアンプ35と電流源31とは、基準共通電位と基準バイアス電位で形成される差分電圧をスイッチ750を介して受け取り、差分電圧に応じたバイアス電流を生成する。また、スイッチ750に接続される図中の電圧源が設定するOFFバイアス電圧を受けた電流源31は、OFFバイアス電圧応じたレーザ駆動電流を生成する。
【0046】
次に、自動光量制御時における回路の接続構成と、スマイル補正時における回路の接続構成との概略を、図2を簡略化した図4及び図5を用いて以下に説明する。図4は、自動光量制御時における電流源に対応するサンプルホールド回路110と、電圧源に対応するサンプルホールド回路220を含む回路の接続構成を示す図である。また、図5は、スマイル補正時における乗算器21及び22を含む回路の接続構成を示す図である。但し、図5では、乗算器21及び22における差動入力の構成を簡略化して説明する。すなわち、コンデンサC3−1及びC3−2をコンデンサC3とし、抵抗R31−1及びR31−2をR31とし、スイッチSW5−1,SW5−2,SW5−3及びSW5−4をスイッチSW5とし、同様にコンデンサC4−1及びC4−2をコンデンサC4とし、抵抗R41−1及びR41−2をR31とし、スイッチSW6−1,SW6−2,SW6−3及びSW6−4をスイッチSW6として説明する。
【0047】
自動光量制御(APC)時、すなわち発光素子LDから出力されるレーザ光量を基準光量(基準電圧Vrefに基づく光量)にフィードバック制御する際には、図4に示すように、スイッチSW13,SW8,SW11及びSW11−1がオンになり、スイッチSW2,SW7,及びSW12がオフになり、発光素子LDを電流駆動するための電流源30と、発光素子LDから出力されたレーザ光量を検出する受光器PDと、受光器PDで検出した検出電圧と基準電圧Vrefとの比較に基づいて制御電圧を増幅するオペアンプ61とオペアンプ61から出力された制御電圧と発光素子LDの端子電圧との比較に基づいて制御電圧を増幅して電流源を制御するオペアンプ26とで構成された負帰還ループが形成される。ここでオペアンプ26は、発光素子LDに与える駆動電圧と駆動電流の両方をAPC基準電圧Vrefに対応する値に調整する働きをする。またインバータ(反転アンプ)28は電流源30が実際はPmosである為に挿入している。このときサンプルホールド回路(S/H回路ともいう)110及び220は、光量制御終了時のオペアンプ26及び61の出力(制御電圧)を保持して、その後の変調駆動に備える。
【0048】
サンプルホールド回路110は、上述したように、コンデンサC1と抵抗R11とが直列に接続されたCR構成のローパスフィルタ111と、オペアンプ26と電流源30との間を切断するスイッチSW11とを含む。ローパスフィルタの抵抗R11におけるコンデンサC1と反対側の端は電流源30及びオペアンプ26を接続する配線上に接続する。また、コンデンサC1における抵抗R11と反対側の端はVCCに接続する。同様に、サンプルホールド回路220は、コンデンサC2と抵抗R21とが直列に接続されたCR構成のローパスフィルタ221と、オペアンプ61と電流源30との間を切断するスイッチSW8とを含む。ローパスフィルタの抵抗R21におけるコンデンサC2と反対側の端は電流源30及びオペアンプ61を接続する配線上に接続する。また、コンデンサC2における抵抗R21と反対側の端はGNDに接続する。
【0049】
このような構成をとることで、光量制御終了時にスイッチSW11をオフする瞬間にスイッチSW11の出力、つまり電流の制御電圧に高周波のノイズが重畳しても、光量制御時の電流源の制御電圧を充電しているコンデンサC1と抵抗R11とで構成されるローパスフィルタ111により、コンデンサC1に重畳されるノイズを抑制できる。この時C1,R11の値をその積C1×R11(=時定数τ)がAPCの期間(周期)T1の1/2π程度になるように設定すると、カットオフ周波数が1/2πτ[Hz]となるため、コンデンサC1がAPCの期間より短いノイズを読み込むことを防止でき、効果的にコンデンサC1へのノイズ重畳を抑制ですることができる。すなわち、高精度の光量制御を行うことが可能となる。また同様に、光量制御終了時にスイッチSW8をオフする瞬間にスイッチSW8の出力、つまり電流の制御電圧に高周波のノイズが重畳しても、光量制御時の電圧源の制御電圧を充電しているコンデンサC2と抵抗R21とで構成されるローパスフィルタ221により、コンデンサC2に重畳されるノイズを抑制できる。この時C2,R21の値をその積C2×R21(=時定数τ)がAPCの期間T1の1/2π程度になるように設定すると、カットオフ周波数が1/2πτ[Hz]となるため、コンデンサC2がAPCの期間より短いノイズを読み込むことを防止でき、効果的にコンデンサC2へのノイズ重畳を抑制ですることができる。すなわち、高精度の光量制御を行うことが可能となる。
【0050】
尚、時定数τをAPCの周期T1の1/2π(すなわちC1×R11=T1/2π,C2×R21=T1/2π)に設定した場合、光量制御時におけるコンデンサC1及びC2の収束時間はAPCの期間の半分程度(3C1×R11=収束時定数3τ,3C2×R21=収束時定数3τ=3×T1/2π)となる。このように、コンデンサC1及びC2の充電電圧は1回当たりのAPC時間と同程度であるので、常にコンデンサC1及びC2が収束するように構成することが可能となる。尚、走査毎の収束値は大きく変動しないものである。
【0051】
更に、以上のような構成とすることで、ローパスフィルタを形成する抵抗R11及びコンデンサC1、並びに抵抗R21及びコンデンサC2は第1及び第2の負帰還ループの経路内に挿入されず、ただ単に付加される構成となるため、負帰還回路の位相遅れが生じることを防止でき、負帰還ループでの発振を防止することが可能となる。
【0052】
次に図5の構成において、各ローパスフィルタと並列に接続されたコンデンサC11又はC22は、次のスマイル補正時に形成される負帰還ループ(以下における第1及び第2の負帰還ループ)内での位相の遅れを防止するためのものである。これについては以下に詳細に説明する。
【0053】
スマイル補正時、すなわち第1の光量(基準電圧Vref1に基づく光量)を得るための光量制御(これを第1の光量制御という)と第2の光量(基準電圧Vref2に基づく光量)を得るための光量制御(これを第2の光量制御という)とを行い、第1の光量と第2の光量とを直線補間してスマイル補正された光量を得る際には、第1の光量制御の際に形成される第1の負帰還ループと第2の光量制御の際に形成される第2の負帰還ループとが異なっている。すなわち第1の光量制御では、上述で図4を用いて説明した第1の負帰還ループを形成する。これに対し、第2の光量制御では、図5に示すように、スイッチSW8及びSW11がオフになり、スイッチSW5,SW6がオンになり、発光素子LDを電流駆動するための電流源30と、発光素子LDから出力されたレーザ光量を検出する受光器PDと、受光器PDで検出した検出電圧と基準電圧Vrefとの比較に基づいて制御電圧を増幅するオペアンプ61と、オペアンプ61の出力に補正信号を乗算して出力する乗算器22と、乗算器22の出力に基づいて保持している制御電圧を補正するサンプルホールド回路220と、補正された制御電圧と発光素子LDの端子電圧との比較に基づいて制御電圧を増幅するオペアンプ26と、オペアンプ26の出力に補正信号を乗算して出力する乗算器21と、乗算器21の出力に基づいて保持している制御電圧を補正して電流源を制御するサンプルホールド回路110とで構成された第2の負帰還ループとを形成する。
【0054】
以上のような構成では、第1の光量制御時はスイッチSW11及びSW8がオンになり、スイッチSW5及びSW6がオフになることで、コンデンサC1,C11及びC2,C22が充電され、第2の光量制御時はスイッチSW11及びSW8がオフになり、スイッチSW5及びSW6がオンになることで、コンデンサC3及びC4が充電される。スマイル補正時はコンデンサC3及びC4に充電された電圧を基準とし乗算器21又は22への入力される補正信号を調整することで、第1の光量と第2の光量とを含む動作線上で光量の補正を行う。
【0055】
すなわち本実施形態では、上述で図4を用いて説明したのと同様に、第2の光量制御の終了時、すなわちスイッチSW6及びSW5をオフする瞬間に、制御電圧に高周波のノイズが重畳しないように、コンデンサC3及びC4に対して直列に抵抗R31及びR41を接続し、それぞれのサンプルホールド回路130及び240をローパスフィルタで構成する。これにより、サンプルホールド回路130及び240がノイズを抑制しつつ、負帰還制御の経路に単に付加されているため、光量制御の性能を悪化させることがない。
【0056】
しかしながら、第2の光量制御時は、上記した第1の負帰還ループのときとは異なり、図5に示すような接続構成となるため、ローパスフィルタ111及び221が乗算器21又は22の出力に対して直列に接続される、すなわち負帰還ループ(第2の負帰還ループ)において直列に組み込まれた構成となる。このため、サンプルホールド回路110及び220を単にローパスフィルタ111,221とした構成では、第2の光量制御時に第2の負帰還ループの経路中の位相が遅れ、発振の原因となってしまう。そこで本実施形態では、直列に接続されたローパスフィルタ111,221に対して、図2と図5に示すように、コンデンサC11,C22を並列に接続する。このように構成することで、第2の負帰還ループにおける位相の遅れを防ぐことができる。更に、コンデンサC1及びC2の両端に高周波成分を除いた電圧を充電することができる。
【0057】
尚、第1の光量を得るための光量制御終了時にコンデンサC11,C22に重畳されるノイズ成分VnoiがコンデンサC1及びC11の合成容量並びにコンデンサC2及びC22の合成容量のサンプルホールド電圧に与える電圧誤差はC11×Vnoi/(C1+C11),C22×Vnoi/(C2+C22)である(但しC1及びC2はノイズ重畳電圧が理想的な0であるとする)。この観点(これを第1の観点とする)から、上記のコンデンサC11,C22の容量値は、コンデンサC11がC1よりも小さい、並びにコンデンサC22がC2よりも小さいほど、ノイズ重畳の影響を小さくすることができる。
【0058】
但し、第2の光量制御時において、乗算器21の出力変動Δvmul21あるいは乗算器22の出力変動Δvmul22と電流源制御電圧変動量Δvcurあるいは電圧源制御電圧変動量Δvvolの関係は、理想的にはΔvcur/Δvmul21=1と,Δvvol/Δvmul22=1であるが、負帰還回路の経路に挿入されたコンデンサC11又はC22と寄生容量C寄生との分圧効果により、それぞれの負帰還ループにおいてΔvcur={C11/(C寄生+C11)}×Δvmul21又はΔvvol={C22/(C寄生+C22)}×Δvmul22となるため、ゲインが減少してしまう。この観点(これを第2の観点とする)から、コンデンサC11及びC22がC寄生より大きいほどΔvcur/Δvmulのゲインを理想的な値である1に近くすることができる。
【0059】
したがって、第1の観点及び第2の観点から、コンデンサC1及びC11並びにC2及びC22は、第1の光量を得るための光量制御時にはノイズ重畳の影響が最小限となるように設定し、第2の光量を得るための光量制御時にはゲインの減少の影響が最小限となるように設定することが好ましい。例えばIC化を考えた場合、C1及びC2を10pF程度、C22及びC22を1〜2pF程度に設定することで、ノイズの影響を1/10程度に抑制でき、かつ、寄生容量(0.1pF程度)の影響も無視できる程度になる。
【0060】
以上のように構成することで、本実施形態では、負帰還ループにおける位相の遅れ、すなわち負帰還ループにおける発振を防止しつつ、スイッチを切り替えた際に生じる高周波のノイズによる影響を抑制することが可能となる。
【0061】
〔他の実施形態〕
以上、説明した実施形態は本発明の好適な一実施形態にすぎず、本発明はその趣旨を逸脱しない限り種々変形して実施可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、負帰還ループにおける発振を防止しつつ、高精度の光量制御が可能な発光素子駆動装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る発光素子駆動装置の全体構成を示す回路図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る発光素子駆動装置のドライバ100の構成を示す回路図である。
【図3】 本発明の発光素子駆動装置を備える画像形成装置の一態様であるレーザゼログラフィにおけるレーザ走査系の構成例を示す図である。
【図4】 図2に示すドライバ100において自動光量制御時に形成される第1及び第2の負帰還ループを示す回路図である。
【図5】 図2に示すドライバ100においてスマイル補正時に形成される第3及び第4の負帰還ループを示す回路図である。
【図6】 特許文献1による発光素子駆動回路の構成を示す回路図である。
【図7】 特許文献2によるサンプルホールド回路940の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10,18 発光素子駆動装置 105 負荷
10d レーザ光源 11 受光器
12 ポリゴンミラー 13、14、15 レンズ
16 感光体表面 17 SOSセンサ
21、22 乗算器 24 負荷
26 オペアンプ 28 インバータ
30、31、32、212、213 電流源
34 オペアンプ 35 オペアンプ
61 オペアンプ 81 遅延回路
82 排他的論理和回路 1001〜10032 ドライバ
110、130、220、240 サンプルホールド回路
111、221 ローパスフィルタ 150 バス
200 共通制御電位設定回路 211 演算増幅器(オペアンプ)
214、215 負荷
216 定電圧源 300 電流アンプ
400 光量モニタ 500 強制点灯回路
450、460 電流源 600 APC回路
700 電流生成回路 800 電圧印加時間調整回路
C1、C2、C3、C3−1、C3−2、C4、C4−1、C4−2、C11、C22、Cd、Cd1〜Cd32、Cfb32〜Cfb32 コンデンサ
COUT 端子 LD、LD1〜LD32 発光素子
LDOUT 端子 LDCOM 端子
PD 受光器
R2、R11、R21、R31、R31−1、R31−2、R41、R41−1、R41−2 抵抗
SW1、SW2、SW3、SW5、SW5−1、SW5−2、SW5−3、SW5−4、SW6、SW6−1、SW6−2、SW6−3、SW6−4、SW7、SW8、SW11、SW11−1、SW11−2、SW12、SW13、SW15−1、SW15−2、SW16、SW19、SWfb1〜SWfb32 スイッチVref、Vref1、Vref2 APC基準電圧
Claims (5)
- 発光素子の発光量を制御する制御電圧を保持するサンプルホールド回路を有する発光素子駆動装置であって、
前記サンプルホールド回路は、直列に接続した抵抗と第1のコンデンサとを有し、前記発光素子の発光量を制御する負帰還ループに対して直列に接続したローパスフィルタと、
直列に接続した前記抵抗及び前記第1のコンデンサに対して並列に接続した第2のコンデンサと、
を備えることを特徴とする発光素子駆動装置。 - 前記第2のコンデンサの容量値は、前記第1のコンデンサの容量値よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の発光素子駆動装置。
- 前記発光素子を駆動する電流源あるいは電圧源を少なくとも1つ有し、
前記サンプルホールド回路及び前記第2のコンデンサは前記電流源と前記電圧源の制御端子に付加されていることを特徴とする請求項1または2記載の発光素子駆動装置。 - 前記光量制御を行う負帰還ループを少なくとも2つ有し、
前記サンプルホールド回路及び前記第2のコンデンサは前記負帰還ループに対してそれぞれ付加されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の発光素子駆動装置。 - 発光素子の発光量を制御する制御電圧を保持するサンプルホールド回路を有する発光素子駆動装置を備えた画像形成装置であって、
前記サンプルホールド回路は、直列に接続した抵抗と第1のコンデンサとを有し、前記発光素子の発光量を制御する負帰還ループに対して直列に接続したローパスフィルタと、
直列に接続した前記抵抗及び前記第1のコンデンサに対して並列に接続した第2のコンデンサと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
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