JP4517416B2 - 重合性化合物、該化合物の合成中間体、該重合性化合物を含有する重合性液晶組成物、該組成物からなる光学異方体及び該光学異方体の製造方法 - Google Patents
重合性化合物、該化合物の合成中間体、該重合性化合物を含有する重合性液晶組成物、該組成物からなる光学異方体及び該光学異方体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は位相差フィルム、偏光ビームスプリッター、偏光プリズム、光学的ローパスフィルターなどに利用される新規な重合性液晶化合物及びこの重合性液晶化合物の合成中間体、該化合物を含有する液晶化合物及びこれらを用いた光学異方体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、重合性液晶を重合して作られる光学異方体は、位相差フィルムや光学的ローパスフィルターなどの材料として有用であることが知られている。特表平6−507987、国際公開特許第98/00475などには、光学素子材料用途の重合性液晶が開示されているが、これらに開示された重合性液晶は、光学素子用途としては複屈折が小さいという欠点があった。また、これらの特許に開示されている重合性液晶あるいは組成物は、結晶−ネマチック液晶転移温度が十分に低くないという欠点があった。
【0003】
一方、特開平8−3111号公報には、室温で液晶を示す重合性液晶組成物が開示されているが、これらの液晶組成物は、単官能であるが故に表面硬度などの機械的物性が不足しており、さらにこれらを重合して得られる光学異方体は、透明性が不十分であるという欠点があった。また、特開平11―80090号公報には、エステルを含有する液晶性アクリレート化合物あるいは液晶類似化合物が開示されているが、液晶を示す温度領域が狭いという欠点を有していた。
【0004】
また、本発明に類似の化合物として、「Bulletin de la Societe Chemique de France」(第603頁第2号1973年)には、4、4’−ジアクリロイルオキシトランが開示されているが、この化合物は、液晶性を示す温度領域が高く、また、複屈折率が小さいという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする第1の課題は、高複屈折性を有し、結晶−ネマチック液晶転移温度が低く、さらに他の液晶との相溶性に優れた重合性液晶化合物を提供することにある。また、本発明が解決しようとする第2の課題は、結晶−ネマチック液晶転移温度が低く、高複屈折性の重合性液晶組成物を提供することにある。さらに、本発明が解決しようとする第3の課題は、重合性液晶組成物を重合してなる透明性に優れた光学異方体を提供することにある。さらにまた、本発明が解決しようとする課題は、重合性液晶化合物の合成中間体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意、検討した結果、メソゲンとして、置換されたビフェニル誘導体のうち、トラン骨格を有する重合性液晶化合物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、(I)一般式(1−a)
【0008】
【化10】
【0009】
(式中、Xa、Xb及びXcは、それぞれ独立的に、フッ素原子、塩素原子又はメチル基を表わし、l、m及びnは、0〜4の整数を表わすが、l、m及びnの少なくとも1つは1以上の整数を表わす。q及びtは、それぞれ独立的に、1〜20の整数を表わし、R1及びR2は、それぞれ独立的に、炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を表わし、Y1及びY2は、それぞれ独立的に、単結合、−O−及び−S−からなる群から選ばれる連結基を表わし、Q1及びQ2は、それぞれ独立的に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ClCH=CHCOO−、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ClCH=CHCONH−、ビニル基、CH2=CCl−、CHCl=CH−、エポキシ基、エチニル基、メルカプト基及びCH2=CHO−からなる群から選ばれる反応性官能基を表わす。)で表わされる重合性化合物を提供する。
【0010】
また、本発明は上記課題を解決するために、一般式(2−a)
【0011】
【化11】
【0012】
(式中、Xd、Xe及びXfは、それぞれ独立的に、フッ素原子、塩素原子又はメチル基を表わし、l、m及びnは、それぞれ独立的に0〜4の整数を表わすが、l、m及びnの少なくとも1つは1以上の整数を表わし、q及びtは、それぞれ独立的に、0〜20の整数を表わし、(1)qが1以上のとき、R3は炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を表わし、Y3は、単結合、−COO−、−O−、−OCO−、−CO−及び−S−からなる群から選ばれる連結基を表わし、(2)tが1以上のとき、R4は炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を表わし、Y4は単結合、−COO−、−O−、−OCO−、−CO−及び−S−から選ばれる群から選ばれる連結基を表わし、Q3及びQ4は、それぞれ独立的に、水酸基、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、アミノ基及びカルボキシル基から成る群から選ばれる反応性官能基あるいは保護されたアミノ基、保護された水酸基又は保護されたカルボキシル基を表わす。)で表わされる化合物を提供する。この化合物は、上記(I)項の一般式(I−a)で表わされる化合物の合成中間体として有用な化合物である。
【0013】
さらに、本発明は上記課題を解決するために、(III)上記(I)項の一般式(1−a)で表わされる重合性化合物を含有する重合性液晶組成物を提供する。
【0014】
さらにまた、本発明は上記課題を解決するために、(IV)上記(III)項に記載の重合性液晶組成物の重合物からなる光学異方体を提供する。
【0015】
さらにまた、本発明は上記課題を解決するために、(V)上記(III)項に記載の重合性液晶組成物を、光、電子線又は放射線により重合させる光学異方体の製造方法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の一般式(1−a)で表わされる化合物のうち、Xa、Xb及びXcがフッ素原子である化合物が好ましく、また、lが0であり、m及びnが、それぞれ独立的に、0〜2の整数であって、m及びnの少なくとも一方が1以上である化合物がさらに好ましい。本発明の一般式(1−a)で表わされる化合物の中でも、一般式(1−b)
【0017】
【化12】
【0018】
(式中、X1、X2及びX3は、おのおの独立的に、フッ素原子又は水素原子を表わすが、X1、X2及びX3のうちの少なくとも一つの基はフッ素原子を表わし、q及びtは、それぞれ独立的に、1〜10の整数を表わし、R1及びR2は、それぞれ独立的に炭素原子数1〜18のアルキレン基又は炭素原子数2〜18のアルケニレン基を表わし、Y1及びY2は、それぞれ独立的に、単結合又は−O−を表わし、Q1及びQ2は、それぞれ独立的に、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表わす。)で表わされる重合性化合物が好ましく、一般式(1−c)
【0019】
【化13】
【0020】
(式中、q及びtは、おのおの独立的に、1〜3の整数を表わし、R1及びR2は、それぞれ独立的に、炭素原子数1〜18のアルキレン基又は炭素原子数2〜18のアルケニレン基を表わし、Y1及びY2は共に−O−を表わし、Q1及びQ2は、それぞれ独立的に、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表わす。)で表わされる重合性化合物がさらに好ましい。
【0021】
一般式(1−a)、一般式(1−b)及び一般式(1−c)で表わされる化合物の中でも、R1及びR2が、それぞれ独立的に、炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキレン基又はアルケニレン基である化合物が好ましく、アルキレン基である化合物がさらに好ましい。また、一般式(1−a)、一般式(1−b)及び一般式(1−c)で表わされる化合物の中でも、Y1及びY2がそれぞれ独立的に、単結合又は−O−である化合物が好ましく、−O−である化合物がさらに好ましい。一般式(1−a)、一般式(1−b)及び一般式(1−c)で表わされる化合物の中でも、q及びtがそれぞれ独立的に、1〜10の整数である化合物が好ましく、1〜5の整数である化合物が特に好ましく、1〜3の整数である化合物がさらに好ましく、1である化合物が最も好ましい。一般式(1−a)、一般式(1−b)及び一般式(1−c)で表わされる化合物の中でも、Q1、Q2が、それぞれ独立的に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、エポキシ基、エチニル基又はメルカプト基である化合物が好ましく、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はエチニル基である化合物がさらに好ましく、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基又はビニル基である化合物がさらに好ましく、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である化合物がさらに好ましく、アクリロイルオキシ基である化合物が最も好ましい。一般式(1−a)、一般式(1−b)及び一般式(1−c)で表わされる化合物の中でも、Q1がビニル基又はビニルエーテルであり、Q2がメルカプト基である化合物が好ましく、Q2がビニル基又はビニルエーテルであり、Q1がメルカプト基である化合物が好ましい。
【0022】
本発明の一般式(2−a)で表わされる化合物のうち、Xd、Xe及びXfが共にフッ素原子である化合物が好ましい。また、本発明の一般式(2−a)で表わされる化合物のうち、lが0であり、m及びnが、それぞれ独立的に、0〜2の整数であるが、m及びnのうち、少なくとも一方が1以上である化合物が好ましく、m及びnが、0又は1の整数である化合物がさらに好ましく、最終的には一般式(2−b)
【0023】
【化14】
【0024】
(式中、q及びtは、それぞれ独立的に、0〜3の整数を表わし、(1)qが1以上のとき、R3は、炭素原子数1〜18のアルキレン基又は炭素原子数2〜18のアルケニレン基を表わし、Y3は、−COO−又は−O−を表わし、(2)tが1以上のとき、R4は、炭素原子数1〜18のアルキレン基又は炭素原子数2〜18のアルケニレン基を表わし、Y4は、−O−又は−OCO−を表わし、Q3及びQ4は、それぞれ独立的に。水酸基、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、アミノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる反応性官能基あるいは保護されたアミノ基、保護された水酸基、保護されたカルボキシル基を表わす。)で表わされることを特徴とする化合物が最も好ましい。
【0025】
本発明の一般式(2−a)及び一般式(2−b)で表わされる化合物の中でも、R3が炭素原子数1〜18である直鎖状又は分岐状のアルキレン基又はアルケニレン基である化合物が好ましく、アルキレン基である化合物がさらに好ましい。また、本発明の一般式(2−a)及び一般式(2−b)で表わされる化合物の中でも、Y3が単結合、−OCO−、−O−又は−S−である化合物が好ましく、単結合、−OCO−又は−O−である化合物がさらに好ましく、単結合又は−O−である化合物がさらに好ましく、−O−である化合物が特に好ましい。本発明の一般式(2−a)及び一般式(2−b)で表わされる化合物の中でも、qが0〜10の整数である化合物が好ましく、1〜5の整数である化合物がさらに好ましく、1〜3の整数である化合物がさらに好ましく、1である化合物が特に好ましい。本発明の一般式(2−a)及び一般式(2−b)で表わされる化合物の中でも、Q3が水酸基、臭素原子、塩素原子、カルボキシル基、保護されたカルボキシル基あるいは水酸基である化合物が好ましく、水酸基、臭素原子、カルボキシル基、保護されたカルボキシル基あるいは水酸基である化合物がさらに好ましく、水酸基、保護された水酸基又は臭素原子である化合物がさらに好ましく、水酸基又は保護された水酸基である化合物がさらに好ましい。
【0026】
本発明の一般式(2−a)及び一般式(2−b)で表わされる化合物の中でも、R4が炭素原子数1〜18である直鎖状又は分岐状のアルキレン基又はアルケニレン基である化合物が好ましく、アルキレン基である化合物がさらに好ましい。また、本発明の一般式(2−a)及び一般式(2−b)で表わされる化合物の中でも、Y4が単結合、−OCO−、−O−又は−S−である化合物が好ましく、単結合、−OCO−又は−O−である化合物がさらに好ましく、単結合又は−O−である化合物がさらに好ましく、−O−である化合物が特に好ましい。本発明の一般式(2−a)及び一般式(2−b)で表わされる化合物の中でも、tが0〜10の整数である化合物が好ましく、1〜5の整数である化合物がさらに好ましく、1〜3の整数である化合物がさらに好ましく、1である化合物が特に好ましい。本発明の一般式(2−a)及び一般式(2−b)で表わされる化合物の中でも、Q4が水酸基、臭素原子、塩素原子、カルボキシル基、保護されたカルボキシル基あるいは水酸基である化合物が好ましく、水酸基、臭素原子、カルボキシル基、保護されたカルボキシル基あるいは水酸基である化合物がさらに好ましく、水酸基、保護された水酸基又は臭素原子である化合物がさらに好ましく、水酸基又は保護された水酸基である化合物がさらに好ましい。
【0027】
水酸基の保護基としては、例えば、テトラヒドロピラニルオキシ基(THP)やアセトキシ基、メトキシ基、t−ブトキシ基、トリチルオキシ基、ベンジルオキシ基、p−メトキシベンジルオキシ基、t−ジメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、t−ジフェニルシリルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、ピバロイルオキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルオキシ基、アリルオキシカルボニルオキシ基、などが挙げられるが、これらの中でも、テトラヒドロピラニルオキシ基が特に好ましい。
【0028】
アミノ基の保護基としては、ポリペプチド合成において通常用いられる種のものであれば好適に用いることができ、例えば、t−ブトキシカルボニル基、アセトアミドメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルオキシカルボニル基、パラクロロベンジルオキシカルボニル基、などが挙げられ、これらの中でも、パラクロロベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が特に好ましい。
【0029】
カルボキシル基の保護基としては、例えば、メチルエステル、ベンジルエステル、アリルエステル、ターシャリーブチルエステル、シクロヘキシルエステル、エチルエステル、フェナシルエステル、シリルエステル、オキサゾリジンなどが挙げられ、これらの中でも、メチルエステル、ベンジルエステル、エチルエステルが好ましく、メチルエステル、ベンジルエステルが特に好ましい。
【0030】
一般式(2−a)で表わされる化合物は、例えば、以下の製造方法に従って、製造することができる。すなわち、一般式(6−a)
【0031】
【化15】
【0032】
(式中、Q3、R3、Y3、Xd、q及びlは、一般式(2−a)と同じ意味を表わす。)
で表わされる化合物と、一般式(6−b)
【0033】
【化16】
【0034】
(式中、Q4、R4、Y4、Xe、Xf、t、m及びnは、一般式(2−a)と同じ意味を表わし、Z1は臭素原子又はヨウ素原子を表わす。)
で表わされる化合物とをカップリングさせる方法、あるいは一般式(7−a)
【0035】
【化17】
【0036】
(式中、Q4、R4、Y4、Xe、Xf、t、m及びnは、一般式(2−a)と同じ意味を表わす。)
で表わされる化合物と一般式(7−b)
【0037】
【化18】
【0038】
(式中、Q3、R3、Y3、Xd、q及びlは、一般式(2−a)と同じ意味を表わし、Z2は臭素原子又はヨウ素原子を表わす。)
で表わされる化合物とをカップリングさせる方法により、製造することができる。
【0039】
一般式(6−a)又は一般式(7−b)で表わされる化合物は、例えば、以下の製造方法に従って製造することができる。すなわち、反応式(8)
【0040】
【化19】
【0041】
に示したように、式(I)で表わされる化合物(i)を、炭酸カリウムの存在下に、式(ii)で表わされる化合物と反応させることによって、式(iii)で表わされる化合物を合成する。反応式(9)
【0042】
【化20】
【0043】
に示したように、0価のパラジウム触媒と1価の銅触媒の存在下に、式(iii)で表わされる化合物と式(iv)で表わされる化合物とを反応させることにより、式(v)で表わされる化合物を合成する。さらに、反応式(10)
【0044】
【化21】
【0045】
で示したように、ピリジンなどの塩基の存在下に、式(v)で表わされる化合物と、アクリル酸クロリドとを反応させることにより、式(vi)で表わされる化合物を合成する。さらにまた、式(11)
【0046】
【化22】
【0047】
で示したように、式(vi)で表わされる化合物をフッ化テトラブチルアンモニウムで処理することにより、式(vii)で表わされる化合物を合成する。
【0048】
反応式(10)において、アクリル酸クロリドの代えて、メタクリル酸クロリド、3−クロロアクリル酸クロリドを用いることによって、メタクリレート又はクロロアクリレートを製造することができる。また、反応式(8)において、式(ii)で表わされる化合物に代えて、塩基の存在下にポリエチレングリコールとトシル酸クロリドとから合成される式(viii)
【0049】
【化23】
【0050】
で表わされる化合物を使用することにより、化合物(iiv)に代えて、式(ix)
【0051】
【化24】
【0052】
で表わされるスペーサー内にエーテル結合を有する化合物(ix)を合成することができる。
【0053】
また、反応式(12)
【0054】
【化25】
【0055】
に従うと、式(x)で表わされる化合物を合成することができる。この化合物と、アクリル樹脂やメタクリル樹脂の原料としてとして安価に入手可能な化合物の1つである式(xi)
【0056】
【化26】
【0057】
で表わされる化合物とを触媒の存在下に反応させ、さらに反応式(11)の場合と同様にして、フッ化テトラブチルアンモニウムで処理することにより、式(xii)
【0058】
【化27】
【0059】
で表わされるスペーサー部分にエステル結合を有する化合物を合成することができる。また、式(xi)で表わされる化合物に代えて、無水マレイン酸を用いることにより、式(xiii)
【0060】
【化28】
【0061】
で表わされるスペーサー内に2重結合を有する化合物を合成することができる。
【0062】
さらに反応式(13)
【0063】
【化29】
【0064】
に示したように、トリフェニルホスフィン存在下に式(v)で表わされる化合物を四塩化炭素で処理することにより、水酸基を塩素原子に置換した化合物を得ることができ、また、四塩化炭素に代えて、四臭化炭素で処理することにより、水酸基を臭素原子に置換した化合物を得ることができる。臭化物をさらにヨウ化ナトリウムで処理することにより、ヨウ素原子に置換した化合物を得ることができる。
【0065】
反応式(14)
【0066】
【化30】
【0067】
に示したように、式(iii)で表わされる化合物とエピクロロヒドリンとを塩基の存在下に反応させることにより、スペーサー末端にエポキシ基を導入した化合物を得ることができる。
【0068】
この化合物を用いて反応式(9)以降と同様の反応を行なうことにより、末端にエポキシ基を有する中間体を得ることができる。
【0069】
反応式(15)
【0070】
【化31】
【0071】
に示したように、化合物(ii)に代えて、化合物(xvi)を用いることにより、式(xvii)で表わされる末端にカルボキシル基を有する化合物を得ることができる。このカルボキシル基をメタノールなどで保護した後に、反応式(9)以降の反応と同様の操作を行なうことにより、末端にカルボキシル基を有する中間体を製造することができる。
【0072】
さらに反応式(16)
【0073】
【化32】
【0074】
に示したように、式(ii)で表わされる化合物に代えて、式(xviii)で表わされる化合物を用いることにより、式(xix)で表わされる末端にニトロ基を有する化合物を得ることができる。この化合物を用いて、反応式(9)以降と同様な操作を行うことにより、式(xx)
【0075】
【化33】
【0076】
で表わされる化合物を得ることができる。この化合物をパラジウムカーボンと水素化ホウ素ナトリウム又は塩化スズなどでニトロ基の還元を行ない、さらに反応式(11)と同様の操作を行なうことにより、式(xxi)
【0077】
【化34】
【0078】
で表わされる末端にアミノ基を有する化合物を得ることができる。さらに、この化合物とアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとを塩基の存在下に反応させることにより、末端にアクリルアミド基又はメタクリルアミド基を有する化合物を得ることができる。
【0079】
また、式(xiv)で表わされる化合物を適当な硫黄化剤を用いて処理した後、水素化アルミニウムリチウムのような還元剤を用いて還元することにより、対応するチオールを得ることができる。化合物(xiv)からも同様の化合物を得ることができる。
【0080】
反応式(8)において、化合物(i)に代えて、対応するチオフェノール誘導体、例えば、式(xxiv)
【0081】
【化35】
【0082】
で表わされる化合物を用いることもできる。この化合物を用いることによって、式(vii)で表わされる化合物(vii)に対応する式(xxv)
【0083】
【化36】
【0084】
で表わされるチオエーテル化合物(xxv)を得ることができる。式(xxiv)で表わされる化合物のようなチオフェノールは、対応するスルホン酸から反応式(18)
【0085】
【化37】
【0086】
に示した反応により得ることができる。
【0087】
もう一つの中間体も、上記中間体と概して同じような方法で合成できる。すなわち、反応式(8)において、式(I)で表わされる化合物に代えて、例えば、式(xxvii)
【0088】
【化38】
【0089】
で表わされる化合物のような化合物を用い、反応式(14)に対応する反応式(19)
【0090】
【化39】
【0091】
に示した方法により、式(xxviii)で表わされる化合物を得ることができる。この反応は、反応式(14)と比べて反応温度を高くする必要が生じるが、問題なく合成することができる。
【0092】
化合物(xxvii)は、以下のようにして製造することができる。すなわち、反応式(20)
【0093】
【化40】
【0094】
に示したように、式(xxix)で表わされる市販の化合物を塩化アルミニウムと塩化アセチルで処理し、さらに、反応式(21)
【0095】
【化41】
【0096】
で示したように、これを過酸化水素/蟻酸で酸化した後、加水分解することによって、製造することができる。
【0097】
一般式(21)で表わされる化合物に相当するスペーサー及び官能基は、一般式(18)で表わされる化合物を合成する方法と同様の手順で製造することができる。
【0098】
本発明の一般式(1)で表わされる重合性化合物は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0099】
すなわち、一般式(2−a)で表わされる合成中間体のスペーサー末端の反応性官能基を重合性官能基に変換する方法がある。例えば反応式(22)
【0100】
【化42】
【0101】
で表わされるようにして、アクリレート基を有する化合物を合成することができる。この方法と同様にしてメタクリレートを有する化合物も合成することができる。
【0102】
また、反応式(23)
【0103】
【化43】
【0104】
で表わされるように、メタクリルアミド基を有する化合物を合成することができる。アクリルアミドを有する化合物も同様に合成することができる。
【0105】
また、反応式(24)
【0106】
【化44】
【0107】
で表わされるように、末端2重結合を過安息香酸などの過酸化物で酸化することによって、エポキシ基を有する化合物を合成することができる。
【0108】
また、反応式(25)
【0109】
【化45】
【0110】
で表わされるように、末端に3重結合を有する化合物を合成することもできる。
【0111】
スペーサー部分の原料は、末端にエチニル基を有するアルコールをトシル化することによって容易に合成することができる。
【0112】
本発明はさらに、本発明の一般式(1−a)で表わされる重合性化合物を含有する液晶組成物をも提供する。本発明の液晶組成物の液晶相としては、通常この技術分野で液晶相と認識される相であれば特に制限なく用いることができるが、その中でもネマチック相、キラルネマチック相、スメクチックA相、スメクチックC相、キラルスメクチックC相(以下、(キラル)スメクチックC相と略す。)、コレステリック相を発現するものが特に好ましい。また、スメクチックC相(又はキラルスメクチックC相)を示す場合には、該スメクチックC相(又はキラルスメクチックC相)の上の温度領域でスメクチックA相を、スメクチックA相を示す場合には、該スメクチックA相の上の温度領域でネマチック相を発現するようにすると、良好な一軸の配向特性が得られるので好ましい。重合性液晶組成物の液晶相の温度領域としては、50℃以下で液晶相を発現するものが好ましく、さらに好ましくは、室温付近、例えば、20℃から30℃付近の温度範囲で液晶相を発現するものが好ましく、特に少なくとも25℃で液晶相を発現するものが好ましい。例えば、スメクチックC相(又はキラルスメクチックC相)で実際に本発明の液晶組成物を重合させる場合には、スメクチックC相(又はキラルスメクチックC相)が室温付近で発現するものが好ましい。
【0113】
本発明の液晶組成物に、大きな複屈折率を確保するため、本発明の液晶組成物中の一般式(1−a)で表わされる重合性化合物の含有割合は、3重量%以上であることが好ましい。
【0114】
また、本発明の液晶組成物には、一般式(1−a)で表わされる重合性化合物以外の化合物であって、分子内に通常この技術分野で液晶骨格と認められる骨格と重合性官能基を同時に有する重合性の液晶化合物を、97重量%以下の範囲で特に制限なく添加することができる。当該液晶骨格は、少なくとも2つ又は3つの6員環を有するものが特に好ましい。重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、ビニルオキシ基、シンナモイル基、ビニル基、エチニル基などを挙げることができるが、良好な光重合特性が得られることから、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。一分子中に複数の重合性官能基を有する化合物の場合には、重合性官能基の種類が異なっていてもよい。例えば、重合性官能基を2つ有する化合物の場合、一方がメタクリロイル基、他方がビニルエーテル基であってもよい。1分子中に重合性官能基を2つ有する液晶化合物は多数知られており、一般的にこれらを重合させた場合には良好な耐熱特性及び強度特性を得られることから、好適に用いることができる。そのような1分子中に重合性官能基を2つ有する液晶化合物としては、例えば、以下の式(xxxii)〜(xlii)で表わされる化合物、などが挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0115】
【化46】
【0116】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置であり、Xはハロゲン原子、シアノ基又はメチル基を表わし、sはそれぞれ独立的に2〜12の整数を表わす。)
【0117】
さらに本発明の液晶組成物には、1分子中に重合性官能基を一つ有する液晶化合物を添加することもできる。そのような1分子中に重合性官能基を一つ有する液晶化合物としては、例えば、以下の式(xlii)〜(lxxxvii)で表わされる化合物、などが挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0118】
【化47】
【0119】
【化48】
【0120】
【化49】
【0121】
【化50】
【0122】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置であり、Yは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子1〜20のアルキル基、アルケニル基、又はエーテル結合を介したアルキル基、アルケニル基、又はエステル結合を介したアルキル基、アルケニル基(これらは任意のC−C間にエーテル基あるいはエステル基を介在していても良い)を表わし、sはそれぞれ独立的に2から12の整数を表わす。)
【0123】
さらに本発明の液晶組成物には、室温付近、例えば、20〜30℃の温度範囲での液晶相の発現を容易にすることを目的として、分子中に少なくとも2つの6員環を有する液晶骨格を部分構造として有する環状アルコール、フェノール又は芳香族ヒドロキシ化合物の単官能アクリレート又はメタクリレートを含有させることができる。このよう単官能アクリレート及びメタクリレートとしては、一般式(19)
【0124】
【化51】
【0125】
(式中、X4は水素原子又はメチル基を表わし、uは0又は1の整数を表わし、6員環A、B及びCはそれぞれ独立的に、
【0126】
【化52】
【0127】
を表わし、pは1〜4の整数を表わし、Y7及びY8はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH2)4−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−及び−CH2CH2CH2O−からなる群から選ばれる連結鎖を表わし、Y9は単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表わし、Z7は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子1〜20のアルキル基又はアルケニル基を表わす。)で表わされる化合物が好ましい。
【0128】
そのような単官能アクリレートあるいはメタクリレートとしては、例えば、以下の式(lxxxviii)〜(cvii)で表わされる化合物が挙げられるが、本発明の液晶組成物において使用することができる単官能アクリレート及びメタクリレートは、これらに限定されるものではない。
【0129】
【化53】
【0130】
【化54】
【0131】
【化55】
【0132】
(上記中、シクロヘキサン環はトランス配置であり、Cは結晶相、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、Iは等方性液体相を表わし、数字は相転移温度を表わす。)
【0133】
これらの化合物の中でも、シアノ基を有する単官能アクリレート化合物及びメタクリレート化合物は大きな複屈折率を有するため、本発明の一般式(1−a)で表わされる化合物との組み合わせにより、大きな複屈折率を有する液晶組成物を調製することができる。従って、上式(xciii)で表わされる化合物は本発明の液晶組成物に好適に添加することができる。また、トラン骨格を有する単官能アクリレート化合物又はメタクリレート化合物も大きな複屈折率を有するため、本発明の一般式(1−a)で表わされる化合物との組み合わせにより、大きな複屈折率を有する液晶組成物を調製できる。従って、上式(xc)、(xcviii)及び(xcix)で表わされる化合物は本発明の液晶組成物に好適に添加することができる。さらに、シアノ基を有する単官能アクリレート化合物及びメタクリレート化合物、トラン骨格を有する単官能アクリレート化合物及びメタクリレート化合物を同時に使用することは、大きな複屈折率を得る点から好ましい。
【0134】
また、本発明の液晶組成物には、重合性官能基を有していない液晶化合物を用途に応じて添加することもできる。本発明の液晶組成物の重合体を、例えば、高分子安定化液晶のように表示素子と用いる場合、あるいは温度によって屈折率を変化させたい場合には、本発明の液晶組成物中の重合性官能基を有していない液晶化合物の総量を10〜97重量%の範囲に設定することが好ましい。また、温度によって屈折率が変化するのが好ましくない場合や、耐熱性や機械的特性を重視する場合には、本発明の液晶組成物中の重合性官能基を有していない液晶化合物の総量を0〜10重量%の範囲に設定することが好ましい。
【0135】
また、本発明の液晶組成物には、重合性官能基を有しており、かつ液晶性を示さない化合物を添加することもできる。そのような化合物としては、通常、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができるが、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテルが特に好ましい。
【0136】
以上のような重合性官能基を有する液晶化合物、重合性官能基を有さない液晶化合物、液晶性を示さない重合性化合物は適宜組み合わせて添加してもよいが、少なくとも得られる液晶組成物の液晶性が失われないように各成分の添加量を調整することが必要である。
【0137】
更に本発明の液晶組成物には、その重合反応性を向上させることを目的として、熱重合開始剤、光重合開始剤の重合開始剤を添加することもできる。熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、などが挙げられ、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルアセタール類、などが挙げられる。重合開始剤の添加量は、液晶組成物に対して10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましく、0.5〜1.5重量%の範囲であることが特に好ましい。
【0138】
また、本発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために安定剤を添加することもできる。そのような目的で使用することができる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール、などが挙げられる。その添加量は、液晶組成物に対して1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましい。
【0139】
また、本発明の液晶組成物には、液晶骨格の螺旋構造を内部に有する重合体を得ることを目的として、キラル(光学活性)化合物を添加することもできる。そのような目的で使用することができるキラル化合物は、それ自体が液晶性を示す必要は無く、また重合性官能基を有していても、有していなくても良い。また、その螺旋の向きは重合体の使用用途によって適宜選択することができる。そのようなキラル化合物としては、光学活性基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、光学活性基として2−メチルブチル基を有する「CB−15」、「C−15」(以上BDH社製)、「S−1082」(メルク社製)、「CM−19」、「CM−20」、「CM」(以上チッソ社製)、光学活性基として1−メチルヘプチル基を有する「S−811」(メルク社製)、「CM−21」、「CM−22」(以上チッソ社製)、などが挙げられる。キラル化合物の好ましい添加量は液晶組成物の用途によるが、重合して得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜20の範囲になるよう調整するのが好ましい。
【0140】
また、本発明の液晶組成物を、偏光フィルムや配向膜の原料、印刷インキ、塗料等として利用する場合には、その目的に応じて、金属、金属錯体、染料、顔料、色素、界面活性剤、ゲル化剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタンの金属酸化物等を添加することもできる。
【0141】
さらに、本発明は、本発明の液晶組成物の重合体からなる光学異方体を提供する。本発明の光学異方体は、本発明の液晶組成物を配向させた状態において、重合させることにより製造することができる。例えば、基板表面を布等でラビング、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング、あるいはSiO2を斜方蒸着した配向膜を有する基板上に担持させるか、基板間に挟持させた後、本発明の液晶組成物を重合させる方法により製造することができる。その他の配向処理方法としては、液晶組成物の流動配向の利用、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。その中でも基板表面を布等でラビング処理した基板を用いる方法は、その簡便性から特に好ましい。
【0142】
この時使用することができる基板は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトンの如き有機材料;シリコン、ガラス、石英、水晶、方解石の如き無機材料、が挙げられる。また、液晶表示素子の位相差フィルムとして用いる場合には、上記の有機材料を基板としてフィルムを作製した後、液晶表示素子に貼る方法によるほか、コーティングにより直接パネル基板上に直接フィルムを形成させる方法を適用しても良い。基板の形態としてはフィルムあるいは板状のほか、プリズムのようにブロック状でも良い。
【0143】
これらの基板を布等でラビングすることによって適当な配向性を得られない場合には、公知の方法に従ってポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビングしても良い。また、通常のツイステッド・ネマチック(TN)素子又はスーパー・ツイステッド・ネマチック(STN)素子で使用されているようなプレチルト角を与えるポリイミド薄膜を利用は、光学異方体内部の分子配向構造を更に精密に制御できることので、特に好ましい。
【0144】
また、電場によって配向状態を制御する場合には、電極層を有する基板を使用することができ、この場合には電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形成するのが好ましい。
【0145】
用いる基板は一枚でも複数枚でも良い。基板を二枚用いる場合には、二枚の基板間に重合性液晶(組成物)を注入し挟持した後、重合させることにより光学異方体を作製することができる。基板を一枚使用し、重合性液晶(組成物)を塗布した後、重合させても良い。塗布方法としては、例えば、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法、などが挙げられる。
【0146】
また、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。これはポリビニルシンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜や光で異性化する官能基を有する有機薄膜又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、好ましくは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜とするものである。この光配向法に光マスクを適用することにより配向のパターン化が容易に達成することができるので、光学異方体内部の分子配向も精密に制御することが可能となる。
【0147】
液晶の配向としては、特に制限は無いが、例えば、ホメオトロピック配向、ホモジニアス配向、ハイブリッド配向、チルトしたホモジニアス配向、ツイステッドネマチック配向、スーパーツイステッドネマチック配向等を用いることができる。また配向はパターン化していても良い。
【0148】
重合の方法としては、特に制限は無く、エネルギー源として、熱、光、放射線、電子線等を用いることができる。迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等のエネルギーを照射することによって光重合させる方法が好ましい。この光重合させる際の光源としては偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で光重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は適当な透明性が与えられていなければならない。また、照射時の温度は、本発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からもできるだけ室温に近い温度、即ち20〜30℃の温度で重合させることが好ましい。重合によって得られた本発明の光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施しても良い。熱処理温度は、50〜250℃の範囲で、また熱処理時間は30秒〜12時間の範囲が好ましい。
【0149】
このような方法によって製造される本発明の光学異方体は、基板から剥離して用いても、剥離せずに用いても良い。また、他の光学素子と積層して用いても良い。液晶表示素子に応用する場合には、本発明の光学異方体として位相差フィルムを作製し、液晶表示素子に積層しても良い。本発明の光学異方体として位相差フィルムを作製し、偏光フィルムと積層しても良い。また、光学的ローパスフィルターとして用いる場合、例えば、視感度補正用光学フィルターと積層しても良い。本発明の光学異方体を、例えば、リタデーションの波長分散を調節するために別の光学異方体と積層しても良い。
【0150】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0151】
<実施例1>(式(cviii)で表わされる化合物の製造)
【0152】
【化56】
【0153】
(第1工程)(式(cix)で表わされる化合物の製造)
【0154】
【化57】
【0155】
温度計及び滴下漏斗を備えた容量300mlの反応器に、4−ヨードフェノール29.0g、パラトルエンスルホン酸9mg及びジクロロメタン50mlを入れて氷浴下で撹拌懸濁させた。これに、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン22.2gのジクロロメタン220ml溶液を、10℃以下に保ちながら約1時間かけて滴下し、さらに窒素雰囲気下に約4時間室温で撹拌を続けた。茶褐色の均一溶液になったところで、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、反応を終了させた。
【0156】
反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した後、有機層を無水炭酸カリウムで乾燥させた。炭酸カリウムを濾別した後、溶媒を除去して粗生成物(47.2g)を得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル250g、ヘキサン/ジクロロメタン=2/1)を用いて精製して、目的物37.1g(収率93%)を得た。
【0157】
13C−NMR(75MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=18.391、24.527、29.618、61.432、84.182、95.655、119.039、137.824、156.338
【0158】
(第2工程)(式(cx)で表わされる化合物の製造)
【0159】
【化58】
【0160】
温度計及び窒素導入管を備えた容量1Lの4口フラスコに、第1工程で得た式(cix)で表わされる化合物60g及びトリメチルシリルアセチレン23.26gを入れ、さらに、ジメチルホルムアミド240g及びトリエチルアミン70gを加えて溶解させた。
【0161】
これに、反応系の温度を25℃に保ちながら、窒素雰囲気下、トリフェニルホスフィンパラジウム(0)2.74g及びヨウ化銅(I)0.75gを加えて、反応させた。ガスクロマトグラフィーで原料がなくなったのを確認して反応を停止させた。
【0162】
反応混合液に酢酸エチル1Lを加え、飽和食塩水500mlで3回洗浄した後、有機層を分離した。有機層を炭酸カリウムで乾燥させ、炭酸カリウムを濾別した後、溶媒除去して粗生成物61gを得た。
【0163】
13C−NMR(75MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=0.004、18.461、24.555、29.671、61.567、92.361、95.627、115.037、116.419、132.992、156.902
【0164】
(第3工程)(式(cxi)で表わされる化合物の製造)
【0165】
【化59】
【0166】
窒素導入管、温度計及び滴下漏斗を備えた容量300mlの3口フラスコに、フッ化テトラブチルアンモニウム46g及びジクロロメタン65gを入れ、十分に溶解させた。窒素雰囲気下、氷浴中で10℃以下に保ちながら、第2工程で得た式(cx)で表わされる化合物39gのジクロロメタン溶液100mlを30分かけて滴下した。滴下終了後、室温でさらに約3時間撹拌を続け、ガスクロマトグラフィーで原料の消失を確認した後、反応を終了させた。
【0167】
反応混合液を飽和食塩水で2回洗浄し、無水炭酸カリウムで乾燥させ、炭酸カリウムを濾別した後、溶媒除去して粗生成物70gを得た。このようにして得た粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/ジクロロメタン)を用いて精製して、目的物25gを得た。
【0168】
13C−NMR(75MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=18.448、24.551、29.651、61.555、79.197、83.367、95.614、114.531、116.489、133.021、156.832
【0169】
(第4工程)(式(cxii)で表わされる化合物の製造)
【0170】
【化60】
【0171】
滴下漏斗、温度計及び塩化水素排気管を備えた容量1Lの4口フラスコに、塩化アルミニウム32g及びジクロロメタン120mlを入れ、撹拌懸濁させた。これに塩化アセチル(21g)を2時間かけて滴下した。さらに、4−ブロモ−2−フルオロビフェニル50gのジクロロメタン溶液200mlを滴下した。約4時間後に、塩化アセチル4g及び塩化アルミニウム5gを追加した。3時間後にガスクロマトグラフィーで原料の消失を確認した後、反応を終了させた。
【0172】
容量1Lのビーカーに、砕いた氷を約500g入れ、これに反応液をゆっくり投入した。メカニカルスターラーで約30分撹拌して塩化アルミニウムを完全に不活性化した後、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒除去して生成物57gを得た。
【0173】
13C−NMR(75MHz、DMSO−d6):δ(ppm)=26.706、119.368、119.713、121.860、126.622、128.193、128.456、128.933、132.198、136.138、138.474、157.202、160.533、197.413
【0174】
(第5工程)(式(cxiii)で表わされる化合物の製造)
【0175】
【化61】
【0176】
温度計及びジムロート冷却管を備えた反応器に、蟻酸750ml、第4工程で得た式(cxii)で表わされる化合物50gを入れ、撹拌しながら34.5%過酸化水素水50mlを入れ、マントルヒーターで加熱して12時間還流させた後、反応を終了させた。
【0177】
ドラフト中で反応混合液を氷冷し、これに10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を過酸化物が完全に分解されるまで加えた。反応混合液から反応生成物を酢酸エチル500mlで2回抽出した後、有機層を集めてpH=4となるまで水洗を繰り返した。有機層をさらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して中和し、最後に飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒除去して、粗生成物50gを得た。これをカラムクロマトグラフィー(アルミナ500g/トルエン→酢酸エチル)を用いて精製して、目的物30g(収率70%)を得た。
【0178】
(第6工程)(式(cxiv)で表わされる化合物の製造)
【0179】
【化62】
【0180】
温度計、滴下漏斗及び窒素導入管を備えた容量200mlの2口フラスコに、4−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)フェノール30g、ジクロロメタン50ml、p−トルエンスルホン酸10mgを入れ、これを氷水バス上で冷却して、10℃以下に保ちながら、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン18.9gのジクロロメタン溶液20mlを30分かけて滴下した。滴下終了後、ガスクロマトグラフィーで原料の消失を確認できるまで、室温で攪拌を続けた。
【0181】
反応混合液を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、無水炭酸カリウムで乾燥させた後、溶媒除去して粗生成物を得た。このようにして得た粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/ヘキサン:トルエン:ジクロロメタン=1:1:1)を用いて精製して目的物30.5gを得た。
【0182】
(第7工程)(式(cviii)で表わされる化合物の製造)
【0183】
【化63】
【0184】
窒素導入管、ジムロート冷却器及び温度計を備えた容量1Lの4口フラスコに、第3工程で得た式(cxi)で表わされる化合物20.7g、第6工程で得た式(cxiv)で表わされる化合物30g、ジメチルホルムアミド300ml及びトリエチルアミン60mlを入れ、これに触媒としてトリフェニルホスフィンパラジウム(0)2.4g及びヨウ化銅(I)0.98gを加えて、窒素置換した後、90℃に加熱して約4時間反応させた。薄層クロマトグラフィーで原料の消失を確認した後、反応液にトルエン500mlを加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で3回洗浄し、炭酸カリウムで乾燥させた後、溶媒除去して粗生成物を得た。このようにして得た粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン)を用いて精製して、目的物31gを得た。
【0185】
13C−NMR(75MHZ,DMSO−d6):δ(ppm)=18.662、25.143、30.194、62.040、87.077、90.572、96.272、115.823、116.472、118.710、119.039、123.747、127.584、128.440、130.011、130.241、130.298、133.037、156.947、157.350、157.613、160.887
【0186】
FT−IR(cm-1):2940、2880、2850、2210、1600、1540、1510、1400、1350、1280、1200、1180、1110、1040、1020、960、920、770、830
【0187】
<実施例2>(式(cxv)で表わされる化合物の製造)
【0188】
【化64】
【0189】
ジムロート冷却器及び温度計を備えた容量500mlの4口フラスコに、実施例1の第7工程で得た式(cviii)で表わされる化合物10g及びテトラヒドロフラン100mlを加え、ドライヤーで加熱しながら溶解させた。
【0190】
これに10%塩酸100mlを加えて約30分撹拌を続けた。薄層クロマトグラフィーで原料の消失を確認した後、反応混合液に酢酸エチル500mlを加えた。有機層を分離した後、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒除去して目的物を定量的に得た。
【0191】
13C−NMR(75MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=86.221、91.140、111.957、115.510、115.782、115.921、118.109、118.438、122.649、122.781、124.821、124.845、127.576、129.838、130.398、157.556、158.362、160.188
【0192】
FT−IR(cm-1):3400、2360、2200、1900、1650、1610、1550、1510、1490、1440、1410、1370、1320、1250、1180、1100、1010、950、870、830、820、620、590、540
【0193】
<実施例3>(式(cxvi)で表わされる化合物の製造)
【0194】
【化65】
【0195】
容量300mlの4口反応器に、実施例2で得た式(cxv)で表わされる化合物7.0g(23ミリモル)及びジメチルホルムアミド60mlを加えた。これに、よく粉砕した炭酸カリウム7.0g(50.6ミリモル)及びヨウ化カリウム0.84g(5.1ミリモル)を入れ、激しく撹拌しながら80℃に加熱した。2時間撹拌を続けた後、反応混合液に6−ブロモ−1−ヘキサノール9.2g(50.6ミリモル)のジメチルホルムアミド溶液10mlを5分かけて滴下した。引き続き、6時間攪拌を続け、薄層クロマトグラフィーで原料の消失を確認した後、反応を終了した。
【0196】
反応混合液を10%塩酸中に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿を濾取した。この沈殿をメタノールで洗浄した後、テトラヒドロフラン、トルエンの順で再結晶させて精製して、得られた結晶をジイソプロピルエーテルで洗浄した。これを真空乾燥させて目的物5.6g(収率48%)を得た。
【0197】
13C−NMR(75MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=25.246、25.353、25.394、28.610、28.684、32.435、32.460、60.621、67.489、67.613、86.760、90.774、113.598、114.634、114.864、118.286、118.607、122.793、122.925、126.314、127.754、127.794、127.983、129.156、133.041、156.984、158.670、159.205、160.241
【0198】
FT−IR(cm-1):3320、2940、2860、2360、2340、1610、1520、1510、1480、1400、1280、1250、1080、1010、840、820
【0199】
<実施例4>(式(cxvii)で表わされる化合物の製造)
【0200】
【化66】
【0201】
容量100mlの3口反応器に、実施例3で得た式(cxvi)で表わされる化合物3.0g(6.0ミリモル)及びテトラヒドロフラン30mlを加えた。ジムロート冷却器を装着し、窒素雰囲気下、60℃に加熱撹拌し、溶液をほぼ均一にした。これにアクリル酸クロライド1.3g(14ミリモル)を加えた後、ジメチルアミノピリジン1.5g(12ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液15mlを30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに4時間攪拌を続け、薄層クロマトグラフィーより原料の消失を確認した後、反応を終了させた。反応混合液に塩化メチレンを加え、さらに希塩酸を加えて酸性とすることによって、析出した固体を濾別した。ろ残は塩化メチレンで洗浄し、洗液は有機層と合わせ、飽和食塩水で2回、飽和重曹水で1回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒除去させて粗生成物約3グラムを得た。この粗生成物を、塩化メチレンを移動相とするシリカゲルカラムクロマドグラフィーを用いて精製して、さらにエタノールから再結晶させて目的物0.8g(収率:22%)を得た。
【0202】
13C−NMR(75MHz,CDCl3):δ(ppm)=25.701、28.523、29.016、29、090、29.658、64.432、64.457、67.805、86.919、90.555、114.497、114.530、114.760、118.618、118.947、123.545、123.668、127.386、127.501、128.397、128.545、129.960、130.001、130.116、130.174、130.453、133.077、157.546、158.895、159.306、160.820、166.248
【0203】
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ(ppm)=1.260(2H)、1.493(8H)、1.715〜1.813(8H)、3.995(4H)、4.175(4H)、5.795〜5.829(2H)、6.079〜6.166(2H)、6.373〜6.430(2H)、6.878〜6.972(4H)、7.253〜7.474(7H)
【0204】
<実施例5>(液晶組成物の調製)
下記式(lxxxviii)で表わされる化合物50重量部及び式(xc)で表わされる化合物50重量部からなる液晶組成物(A)を調整した。
【0205】
【化67】
【0206】
この液晶組成物(A)は、室温でネマチック液晶相を示し、ネマチック−等方性液体相の相転移温度は46℃であった。また常光の屈折率n0=1.510、異常光の屈折率ne=1.662、複屈折率は0.152であった。
【0207】
この液晶組成物(A)90重量部及び実施例4で得た式(cxvii)で表わされる液晶性アクリレート化合物10重量部からなる液晶組成物(B)を得た。この液晶組成物(B)は室温で液晶相を示した。また、常光の屈折率n0=1.509、異常光の屈折率ne=1.681、複屈折率は0.172であった。
【0208】
本発明の化合物を10%添加することによって、液晶組成物の複屈折率を約13%大きくすることができたことがわかる。
【0209】
<実施例6>(液晶組成物の調製)
実施例5で調製した液晶組成物(A)80重量部に、実施例4で得た式(cxvii)で表わされる液晶性アクリレート化合物20重量部からなる液晶組成物(C)を得た。この液晶組成物(C)は室温で液晶相を示した。また、常光の屈折率n0=1.508、異常光の屈折率ne=1.697、複屈折率は0.189であった。
【0210】
本発明の化合物を20%添加することによって、液晶組成物の複屈折率を約25%大きくすることができたことがわかる。
【0211】
<実施例7>(液晶組成物の調製)
実施例5で調製した液晶組成物(A)70重量部に、実施例4で得た式(cxvii)で表わされる液晶性アクリレート化合物30重量部からなる液晶組成物(D)を得た。この液晶組成物(D)は室温で液晶相を示した。また、常光の屈折率n0=1.508、異常光の屈折率ne=1.711、複屈折率は0.203であった。
【0212】
本発明の化合物を30%添加することによって、液晶組成物の複屈折率を約34%大きくすることができたことがわかる。
【0213】
以上の実施例からも示されるように、本発明の化合物は、母体液晶に少量添加するだけで液晶組成物の複屈折率の大幅な上昇をもたらす。さらに、本発明の化合物は、相溶性にも優れているので、複屈折率の増大効果と引き替えに融点を高くすることがないので、光学異方体製造のために非常に有利であることが明らかである。
【0214】
<実施例8>(光学異方体の製造)
実施例5で調製した液晶組成物(B)99重量部に、光重合開始剤「C−101」(東亞合成社製)1重量部を溶解させた。これをセルギャップ50ミクロンの透明ガラス製ホモジニアス配向液晶セルに注入したところ、良好な一軸配向が得られていることが偏光顕微鏡観察により確認することができた。このセルに、25℃において紫外線照射を1分間行ない、液晶組成物を光重合させた。偏光顕微鏡を用いてこのセルを観察したところ、一軸配向が均一に固定化された光学異方体が得られていることを確認することができた。このセルのヘイズを測定したところ、11.9%であった。
【0215】
<実施例9>(光学異方体の製造)
実施例6で調製した液晶組成物(C)99重量部に、光重合開始剤「C−101」(東亞合成社製)1重量部を溶解させた。これをセルギャップ50ミクロンの透明ガラス製ホモジニアス配向液晶セルに注入したところ、良好な一軸配向が得られていることが偏光顕微鏡観察により確認することができた。このセルに、25℃において紫外線照射を1分間行ない、液晶組成物を光重合させた。偏光顕微鏡を用いてセルを観察したところ、一軸配向が均一に固定化された光学異方体が得られていることを確認することができた。このセルのヘイズを測定したところ、11.9%であった。
【0216】
<実施例10>(光学異方体の製造)
実施例7で調製した液晶組成物(D)99重量部に、光重合開始剤「C−101」(東亞合成社製)1重量部を溶解させた。これをセルギャップ50ミクロンの透明ガラス製ホモジニアス配向液晶セルに注入したところ、良好な一軸配向が得られていることが偏光顕微鏡観察により確認することができた。このセルに、25℃において紫外線照射を1分間行ない、液晶組成物を光重合させた。偏光顕微鏡を用いてセルを観察したところ、一軸配向が均一に固定化された光学異方体が得られていることを確認することができた。このセルのヘイズを測定したところ、11.1%であった。
【0217】
<比較例1>(光学異方体の製造)
実施例5で調製した液晶組成物(A)99重量部に、光重合開始剤「C−101」(東亞合成社製)1重量部を溶解させた。これをセルギャップ50ミクロンの透明ガラス製ホモジニアス配向液晶セルに注入したところ、良好な一軸配向が得られていることが偏光顕微鏡観察により確認することができた。このセルに、25℃において紫外線照射を1分間行ない、液晶組成物を光重合させた。偏光顕微鏡を用いてセルを観察したところ、一軸配向が均一に固定化された光学異方体が得られていることを確認することができた。このセルのヘイズを測定したところ、14.7%であった。
【0218】
以上の実施例からも示されるように、本発明の化合物は、母体液晶に少量添加するだけで液晶組成物の複屈折率の大幅な上昇をもたらし、これらの液晶組成物を、光重合することによって作成された光学異方体は、透明性が高いことが理解できる。さらに、リタデーションは複屈折率とセルの厚みの積で表わされるが、本発明の化合物は複屈折率の大幅な上昇をもたらすので、大きなリタデーションを得ることができることが理解できる。
【0219】
【発明の効果】
本発明の重合性化合物及びそれを含有する液晶組成物は、大きな複屈折率と融点の低下を両立することができ、これを用いて作成される光学異方体の透明性を改善することが可能である。従って、本発明の重合性液晶化合物及びそれを含有する液晶組成物は、位相差フィルム等の光学異方体フィルムや偏光ビームスプリッター、光学的ローパスフィルター、偏光プリズム等の光学素子などの作成材料として有用である。
Claims (5)
- 一般式(2−a)
- lが0であり、m及びnが、おのおの独立的に、0〜2の整数であるが、m及びnの少なくとも一方が1以上の整数であり、Xe及びXfが共にフッ素原子であり、(1)qが1以上のとき、R3が炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基であり、Y3が、単結合、−O−及び−S−からなる群から選ばれる連結基であり、(2)tが1以上のとき、R4が炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基であり、Y4が単結合、−O−及び−S−からなる群から選ばれる連結基である請求項1記載の化合物。
- 一般式(2−b)
- q及びtが共に1であり、R3及びR4が、それぞれ独立的に、炭素原子数1〜12のアルキレン基であり、Y3及びY4が共に−O−であり、Q3及びQ4が、それぞれ独立的に、水酸基あるいは保護された水酸基であるテトラヒドロピラニルオキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、t−ブトキシ基、トリチルオキシ基、t−ジメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、t−ジフェニルシリルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、ピバロイルオキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルオキシ基、アリルオキシカルボニルオキシ基である請求項3記載の化合物。
- q及びtが共に0であり、Q3及びQ4は、それぞれ独立的に、水酸基あるいは保護された水酸基であるテトラヒドロピラニルオキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、t−ブトキシ基、トリチルオキシ基、t−ジメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、t−ジフェニルシリルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、ピバロイルオキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルオキシ基、アリルオキシカルボニルオキシ基である請求項3記載の化合物。
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