JP4517201B2 - 深層混合撹拌機における改良剤の吐出口切換装置 - Google Patents

深層混合撹拌機における改良剤の吐出口切換装置 Download PDF

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本発明は、撹拌回転軸の回転により自動的に改良剤の吐出方向を切換える切換弁駆動部が作業時には常に地上に露呈した状態になるようにして撹拌回転軸に設けられた深層混合撹拌機における改良剤の吐出口切換装置に関する。
軟弱地盤中にスラリー状の改良剤例えばセメントミルク等セメント系固結剤や水ガラス,モルタル,生石灰等のスラリー状地盤改良剤を注入し、これらを撹拌翼で混合撹拌して軟弱地盤を硬化させることにより、地盤改良を行う地盤改良工法は従来からよく知られており、この工法に使用する撹拌混合装置も種々提案されている。
そこで、従来、貫入時又は引抜き時の撹拌回転軸の回転力をワイヤー及びプーリを介して旋回板に伝えて、該旋回板を起伏動作させることで旋回板を動かし、ワイヤー及びプーリを介して切換動作を行うようにした形式の切換弁駆動部によりスラリー状改良剤の吐出方向を下側又は上側の吐出口に自動的に切換るようにした深層混合撹拌機における改良剤の吐出口切換装置が提供されている。(特許文献1参照)
この特許文献1に開示された吐出口切換装置は、実際の工事中何らかの理由で撹拌回転軸を一時的に逆回転させた場合には前の操作で一旦切換った切換弁駆動部の旋回板がワイヤーが戻り方向に力を伝えない特性から該逆回転につられて元に戻るようなことがない構成にされているものであって、この一時的逆回転により吐出口が一緒に切換ってしまうような事態を招くことがないものになっていた。
したがって、この特許文献1に係る吐出口切換装置は、実際の工事中何らかの理由で撹拌回転軸の一時的逆回転を行ったとしてもその後もそのままの撹拌回転軸の正回転作業の続行ができるという利点を有していて好ましいものであった。
しかしながら、極めて稀にではあるが、上記特許文献1に係る吐出口切換装置は、土中において土圧により作動する旋回板が土砂により切換動作を正常に行わないような作動不良を起すことが、使われる場所や使われ方等が原因で発生するという問題があった。
また、上記特許文献1に係る吐出口切換装置は、土中に存する旋回板の切換動作が正常に行われたか否かの確認が目視により確認できないという信頼性に欠ける問題があった。
また、上記特許文献1に開示された特許は、ワイヤーを介して旋回板と弁体とを地中で所定角度回転駆動させる構成、すなわちワイヤーが圧縮方向の力では屈曲するだけで戻り方向には力を伝えない構造であるために、一度切換作動された切換弁は地中では元に戻せなく、戻すには地上においてたとえば改良剤が掘削ヘッド下部から吐出する状態に強制的にリセットする必要や、掘削を開始する場合には改良剤の吐出側の設定作業を行う必要があるというような煩瑣な操作が必要であるのみならずこれら操作による労力及び時間の浪費の問題もあった。
特許第3136397号公報
本発明は、上記利点及び問題点に鑑み、作業者が地上において、目視確認しながら切換操作を掘削作業中でも行うことができ、作動中の切換装置の作動状況を目視確認できるようにようにする工夫及び上記好ましい利点を確保できるようにする工夫を施した、信頼性の高い新規の深層混合撹拌機における改良剤の吐出口切換装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成すために、本発明は、オーガーマシンを介して上端から圧入された改良剤を撹拌回転軸の上端個所に設けた切換弁により選択して上側吐出口に供給する流路と下側吐出口に供給する流路とに供給し、また切換弁の切換を撹拌回転軸の回転力を直に受けて機能する外観可能な切換弁駆動部により行うように構成にされているものである。
そして、上記切換弁部は、改良剤供給内管と分岐管の分岐点に水平向きにし且つその円周方向に回転自在にして支持された吐出口切換弁体を有し、この吐出口切換弁体は改良剤供給内管の上端から圧入された改良剤をそのまま下側吐出口の方だけに流す直通孔と分岐管を介して上側吐出口の方だけに流す分流孔とが穿設されているものである。
さらに、上記切換弁駆動部は、切換弁体に同軸固定することにより撹拌回転軸の外側面に設けられ且つ一方に揺動した時には切換弁体の直通孔が改良剤を下側吐出口の方だけに流す状態を呈し他方に揺動した時には切換弁体の分流孔が改良剤を上側吐出口の方だけに流す状態を呈するようにして設けられた揺動扇形板と、該揺動扇形板の円弧縁に設けた爪部と、爪部の軌跡内に存する位置又は脱した位置にしうる状態にしてオーガーマシンの外枠等に取付けられた突起状の切換弁駆動体とより構成されたものである。
請求項1の発明によれば、攪拌回転軸内の2路の流体通路を通じて地中に供給する改良剤の切換を行なうための切換弁駆動部が、攪拌回転軸の上方でいつでも外観可能に露呈する地上に存するようになっている位置に設けられているので、切換状態を目視で容易に確認でき、しかもその作動状態の確認をリアルタイムで把握することが可能であるから、作業の信頼性を高めることができる。また撹拌回転軸の回転力を駆動源としているため、構造が簡単であるのでメンテナンスが極めて容易となる利点がある。
また、撹拌回転軸はオーガーマシンに連結されて回転する状態にされ、切換弁部は撹拌回転軸に設けられ、切換弁駆動部は撹拌回転軸の回転力を駆動源として切換弁部を切換作動するようにしてあるので、オーガーマシンの回転により撹拌回転軸の回転が開始することで自動的に、改良剤の吐出を上側吐出口側から下側吐出口側に又は下側吐出口側から上側吐出口側に可逆的に切り換えることができる。したがって掘削を開始する場合には改良剤の吐出側の設定作業を省略できる利点があるのみならず掘削作業中の任意の時点で自由に吐出側を選択でき、上記文献開示特許が有していた、何らかの理由で一時的逆回転を行ったとしてもその後もそのまま作業を続行できるという好ましい利点を享受できる。
また、請求項2の発明によれば、切換弁部は、改良剤供給内管と分岐管との分岐点に水平向きにし且つその円周方向に回転自在にして支持された吐出口切換弁体を有し、この吐出口切換弁体は直通孔と分流孔とが穿設されている構造であるので、請求項1の発明の効果に加え、作動が確実で、構造も簡単にして製作も容易である等の利点を有する。
また、請求項3の発明によれば、切換弁駆動部は、切換弁体に同軸固定して撹拌回転軸の外側面に設けられた改良剤の流し方向を選択する揺動扇形板と、揺動扇形板の円弧縁に設けた爪部と、爪部の軌跡内に存する位置若しくは脱した位置にしうる状態にしてオーガーマシンの外枠等に取付けられた突起状の切換弁駆動体とより構成されているので、請求項1又は2の発明の効果に加え、揺動扇形板の揺動角度を目視確認することで切換の確認がリアルタイムに容易できる。
図1及び2は本発明に係る切換装置を撹拌回転軸に装着した状態の使用例を示す説明的概念図であり、図1は改良剤を下側吐出口から出している状態を示し、図2は上側吐出口から出している状態を示す。図3及び4は本発明に係る切換装置を示す正面図であり、図3は改良剤を下側吐出口から出している状態を示し、図4は上側吐出口から出している状態を示す。図5は本発明に係る切換装置を示す側面図である。図6(a)〜(e)は切換弁駆動突起体が扇形板を一方に揺動する段階を順に示す説明図である。
図中1は深層混合撹拌装置(図示せず)におけるオーガーマシン(図示せず)に連結されて回転する中空管状の撹拌回転軸で、該撹拌回転軸1にはその下方外周に放射方向に複数枚且つ多段に(例えば、上下5段各段2枚の)撹拌翼2が取付けられ、また下端には掘削ヘッド(図示せず)を備え、更に回転軸1の下端にはセメントスラリー等のスラリー状地盤改良剤の下側吐出口4が設けられ、また最上段の撹拌翼2より上側の撹拌回転軸1の側面には改良剤の上側吐出口5が設けられている。
6は撹拌回転軸1内軸心部に挿通した改良剤供給外管で上記の上側吐出口5に連通し、また7は改良剤供給外管6内軸心部に挿通した改良剤供給内管で上記の下側吐出口4に連通し、これら改良剤供給外6、改良剤供給内管7は上記のオーガーマシン(図示せず)を介して上記の改良剤供給内管7の上端から圧入されたスラリー状改良剤8を上記の上側吐出口5、下側吐出口4を介して周囲の軟弱地盤中に吐出するようになっている。
9は改良剤供給内管7の上端部寄り個所と改良剤供給外管6の上端部を連通状態にする分岐管で上記の改良剤供給内管7の上端から圧入されたスラリー状改良剤8を後記する切換弁体10により上記上側吐出口5側に流したり上記下側吐出口側4に流したりするようになっている。
10は上記の改良剤供給内管7と分岐管9の分岐点に直交するようにして撹拌回転軸1内に貫挿した円柱状の吐出口切換弁体で、該弁体10はその円周方向に回転自在に支持されており、上記の改良剤供給内管7の上端から圧入されたスラリー状改良剤8をそのまま上記の下側吐出口4の方だけに流すように穿設された直通孔11と上記分岐管9を介して上記下側吐出口5の方だけに流す分流孔12とを備えている。
13は上記切換弁体10と同軸固定にすることにより撹拌回転軸1外側面に設けられた扇形板で、撹拌回転軸1の回転力を後記するラチェット14を介して受けて揺動する。すなわち、該扇形板13は一方に揺動した時には切換弁体10の直通孔11がスラリー状改良剤8を下側吐出4の方だけに流す状態(図1、3参照)を呈し、他方に揺動した時には切換弁体10の分流孔12が分岐管9を介してスラリー状改良剤8を上側吐出口5の方だけに流す状態(図2、4参照)を呈するようにしてある。
14は上記の扇形板13の円弧縁に設けた複数の爪部15と該爪部15の軌跡内に存する位置にしたり脱した位置にしたりできる切換弁駆動突起体16とより構成されたラチェットで、該切換弁駆動突起体16はオーガーマシン(図示せず)の外枠17に取り付けられ、不要の場合にはシリンダー18による揺動により不作用位置(図5仮想線参照)に脱出させておけるようにしてある。
なお、爪部15において両端の爪部15a、15bは、揺動自在の構成にされており、扇形板13の揺動作動開始時には爪部15として機能し、扇形板13の揺動作動終了後には切換弁駆動用の突起体16により揺動されて同突起体16の通過を許容するようになっている。
ここで、図6(a)〜(e)に示す扇形板が揺動する段階を説明する。すなわち撹拌回転軸1の回転が開始されると先ず同回転軸1は、1回目の回転の途中で切換弁駆動突起体16を爪部15aに係合(図6(a)参照)させて扇形板13を同図において時計回り方向に回転させ、2回目の回転の途中で次の爪部15に係合(図6(b)参照)させてさらに時計回り方向に回転させ、その後も同様に次々に爪部15に係合(図6(c)及び(d)参照)させてさらに時計回り方向に回転させ、4回目の回転で扇形板13の揺動を終えて切換弁体10の切換を完了させる。なお、5回目以降の回転の途中でも切換弁駆動突起体16を爪部15bに係合させることになるが図6(e)の仮想線で示すように同爪部15bが揺動して弁駆動突起体16の通過を許容するので撹拌回転軸1は回転を続行する。また撹拌回転軸1の回転が逆向きになった場合には撹拌回転軸1は、先ず切換弁駆動突起体16を爪部15bに係合させ、その後上記と逆の順序で爪部15に係合させて扇形板13の揺動及び切換弁体10の切換を完了させ、爪部15aが揺動して弁駆動突起体16の通過を許容させる。
上記の実施の形態では、撹拌回転軸1が4回転して1回の扇形板13の揺動及び切換弁体10の切換を行うようにしたが、撹拌回転軸1の周囲に弁駆動突起体16を4個配置した場合には扇形板13の揺動及び切換弁体10の切換を同撹拌回転軸1の1回転で、また2個配置した場合には2回転で終了できるのでスピードアップには好ましい。勿論、該スピードの調整は弁駆動突起体16を多くしたり少なくしたり、爪部の個数を増減しても可能である。
本発明は、扇形板13、ラチェット14及びシリンダー18等で構成された切換弁駆動部の一部若しくは全体をカバー等で覆い隠さない状態で使用する構成にしてあり、作業時には常に地上に露呈した状態になるようにしてある。また上記の切換弁駆動突起体16は爪部15の軌跡の内・外に移動するように作動すれば足りるので、上記シリンダー18に代わる例えばロープで操作する手動の方式、その他電気的・機械的自動方式で作動するようにしてもよい。また切換弁体10の切換は、上記弁駆動突起体16、扇形板13、爪部15による構成以外の例えばラック機構、スプロケット機構、その他から選出・採用して実施することができる。
上記の実施の形態によれば、例えば次のような作業手順で深層混合攪拌工事を施工できる。
「再貫入方式でない場合」
(a-1) 掘削の杭芯を定める。
(a-2) オーガーマシンを回転させて掘削(貫入)を開始する。
(a-3) 所定の掘削長(改良長)より掘削ヘッドと攪拌翼の長さを合計した長さを差し引いた掘削長に至った時点から、改良剤を下側吐出口4から注入しながら且つ排土を行いながら所定の掘削深度に至るまで掘削(貫入)する。
(a-4) オーガーマシンの回転を逆回転にして引き抜き工程に入る。
(攪拌回転軸1が逆回転を開始すれば吐出口切換弁体10は自動的に切り換わり、上側吐出口5から改良剤を吐出する。)
(a-5) 上側吐出口5から改良剤を吐出しながら所定の攪拌度合を確保できる速度で排土を行いながら引き抜き、完了する。
「再貫入方式の場合」
(b-1) 掘削の杭芯を定める。
(b-2) オーガーマシンを回転させて掘削(貫入)を開始する。
(b-3) あらかじめ所定の掘削長まで排土を行いながら掘削した後、掘削ヘッドと攪拌翼の長さ分だけ引き上げ、下側吐出口4から固化剤を吐出しながら再貫入を行う。
(この場合、掘削ヘッドと攪拌翼の長さの分だけ攪拌が終了したら、上記の通り攪拌回転軸1の回転を逆にして吐出口を切り換えながら繰り返す。)
(b-4) 所定の掘削深度まで掘削を終えたら、オーガーマシンを逆回転して引き抜き工程に入る。
(この場合も、吐出口切換弁体10は自動的に切り換り、上側吐出口5から改良剤を吐出する。)
(b-5) 上側吐出口5から改良剤を吐出しながら所定の攪拌度合を確保できる速度で排土を行いながら引き抜き、完了する。
改良剤を下側吐出口から出している状態を示す説明的概念図である。 改良剤を上側吐出口から出している状態を示す説明的概念図である。 改良剤を下側吐出口から出す状態で示す本発明に係る切換装置の正面図である。 改良剤を上側吐出口から出す状態で示す本発明に係る切換装置の正面図である。 本発明に係る切換装置を示す側面図である。 扇形板が揺動する段階を(a)〜(e)の順で示す説明図である。
符号の説明
1 撹拌回転軸
2 撹拌翼
4 下側吐出口
5 上側吐出口
6 改良剤供給外管
7 改良剤供給内管
8 スラリー状改良剤
9 分岐管
10 吐出口切換弁体
11 直通孔
12 分流孔
13 扇形板
14 ラチェット
15、15a、15b 爪部
16 切換弁駆動突起体
17 オーガーマシンの外枠
18 シリンダー

Claims (3)

  1. 撹拌翼が下方外周に設けられ且つ改良剤上側吐出口が最上段の撹拌翼より上側個所に設けられ且つ改良剤下側吐出口が下端に設けられた撹拌回転軸を、オーガーマシンに連結されて回転する状態で有する深層混合撹拌機において、撹拌回転軸内に二重管構造として設けられた下側吐出口に連通する改良剤供給内管及び上側吐出口に連通する改良剤供給外管と、改良剤供給内管の上端部寄り個所と改良剤供給外管の上端部を連通状態にする分岐管と、改良剤供給内管の上端から圧入された改良剤を上側吐出口側と下側吐出口側とに選択して流す切換弁部と、撹拌回転軸の回転力を駆動源として切換弁部を切換作動する切換弁駆動部とを備え、切換弁部は分岐管の分岐点に設けられ、切換弁駆動部は撹拌回転軸の上端個所に外観可能の露呈状態で設けられたことを特徴とする深層混合撹拌機における改良剤の吐出口切換装置。
  2. 切換弁部は、改良剤供給内管と分岐管との分岐点に水平向きにし且つその円周方向に回転自在にして支持された吐出口切換弁体を有し、この吐出口切換弁体は改良剤供給内管の上端から加圧された改良剤をそのまま下側吐出口の方向だけに流す直通孔と分岐管を介して上側吐出口の方向だけに流す分流孔とが穿設されていることを特徴とする請求項1記載の深層混合撹拌機における改良剤の吐出口切換装置。
  3. 切換弁駆動部は、切換弁体に同軸固定することにより撹拌回転軸の外側面に設けられ且つ一方に揺動した時には切換弁体の直通孔が改良剤を下側吐出口の方だけに流す状態を呈し他方に揺動した時には切換弁体の分流孔が改良剤を上側吐出口の方だけに流す状態を呈する状態にして設けられた揺動扇形板と、揺動扇形板の円弧縁に設けた爪部と、爪部の軌跡内に存する位置若しくは脱した位置にしうる状態にして設けられた切換弁駆動体とより構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の深層混合撹拌機における改良剤の吐出口切換装置。
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