JP3645178B2 - 掘削攪拌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は地盤を掘削しながら、掘削ロッドの先端から吐出される固化材と掘削土を攪拌,混合する掘削攪拌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
掘削攪拌翼と攪拌翼を持つ掘削ロッドの回転により地盤の掘削と、固化材と掘削土との攪拌,混合を行う方法では掘削ロッドの中心から掘削攪拌翼や攪拌翼の先端までの距離を半径とする大きさのソイルセメントを構築するが、固化材を吐出する吐出孔は通常、掘削ロッドの先端に形成されるため、吐出孔をソイルセメントの半径方向に向けても吐出孔から吐出される固化材を掘削ロッドの外周位置から孔壁付近まで万遍なく行き渡らせることは難しい。
【0003】
吐出孔を掘削ロッド内部を通じて掘削攪拌翼や攪拌翼まで形成するか、それらに添わせることも考えられるが、掘進時から固化材を吐出する場合には掘削攪拌翼や攪拌翼の下面より距離を隔てた位置に吐出孔がなければ掘削土と固化材を効果的に攪拌することができないため、必ずしも合理的な方法とは言えない。
【0004】
また鋼管杭や中空コンクリート杭等の中空杭と共に掘削ロッドを降下させ、中空杭をソイルセメント中に定着させて合成杭を構築する場合には中空杭の定着後に掘削ロッドを中空杭内部を通じて引き抜くことが行われることから、掘削攪拌翼と攪拌翼は共に開放した状態から閉鎖できる必要がある。
【0005】
掘削攪拌翼と攪拌翼を開閉可能に掘削ロッドに支持させるには、掘削攪拌翼と攪拌翼を掘削ロッドに対して水平軸等の回りに回転可能に接続する必要があるが、掘削攪拌翼等に吐出孔を形成した場合には掘削攪拌翼等の開放時に掘削ロッド内部と吐出孔が連通する部分が閉鎖時に分離することになるため、掘削攪拌翼等が開放しているときに掘削ロッド内部と吐出孔を連通させた状態を維持することが難しくなる。
【0006】
この発明は上記背景より、掘進時から固化材を吐出する場合に合理的に固化材を吐出できる掘削攪拌装置を提案するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では掘削ロッドの内部に配置され、掘削ロッドの先端部まで固化材を供給する供給管に連通する吐出孔を掘削ロッドの先端部に複数個形成し、掘削ロッドの断面上の中心から各吐出孔の先端までの距離をそれぞれ相違させることにより、各吐出孔から吐出される固化材が到達する領域を区分し、全吐出孔によって掘削ロッドに近い領域から孔壁に近い領域までを網羅し、孔壁内で効果的に掘削土と固化材を攪拌,混合することを可能にする。
【0008】
掘削ロッドの断面上の中心から各吐出孔の先端までの距離は供給管に連通する吐出孔を有し、互いに長さの相違する複数個の吐出ノズルを掘削ロッドの先端部に接続することにより相違させられる。掘削ロッドの先端部の下端には下部吐出孔が形成されると共に、長さの異なる複数本の吐出ノズルが接続されて掘削ロッドの断面上の中心からの距離が相違する複数個の側部吐出孔が形成される。
【0009】
供給管は二重管構造の内管と外管に分離し、内管は下部吐出孔と相対的に長さの大きい吐出ノズルの側部吐出孔に連通し、外管は相対的に長さの小さい吐出ノズルの側部吐出孔に連通し、内管の断面積は外管の断面積より小さく、下部吐出孔と複数個の側部吐出孔から吐出される固化材が到達する領域が区分される。このように内管と外管の断面積を変えることで、同一位置から同一圧力で固化材を供給しながらも、固化材の吐出時の圧力を吐出孔毎に制御することができ、孔壁寄りの領域を受け持つ吐出孔からの固化材を高い圧力で吐出することも可能になるため、孔壁寄りの領域を受け持つ吐出孔を有する吐出ノズルの長さを必ずしも大きくせずに済むことになる。
【0010】
供給管を二重管構造とする場合には請求項2に記載のように内管と外管への固化材の供給位置を相違させ、例えば請求項3に記載のように内管へは掘削ロッドの断面上の中心部から固化材を供給し、外管へは掘削ロッドの外周から固化材を供給することで、内管と外管のそれぞれに供給される固化材の供給圧力や固化材の濃度等を変えることができる。
【0011】
外管に掘削ロッドの外周から固化材を供給する場合には請求項4に記載のように掘削ロッドの、外管に固化材を供給する部分に、外管から掘削ロッドの外周まで連通する供給路が形成され、その部分の外周に、供給路に連通しながら周方向に連続する流路を有し、掘削ロッドと共に回転するカバー材が装着される。
【0012】
掘削ロッドの外周からの固化材の供給は掘削ロッドの回転から絶縁される必要があることから、カバー材の外周には掘削ロッドに対して相対的に回転自在で、カバー材の流路に連通する供給口を有する供給ボスが装着され、供給ボスの供給口から固化材が供給される。
【0013】
供給ボスは掘削ロッドの回転に関係なく、静止状態を維持するが、カバー材の流路が周方向に連続することで、常に供給ボスの供給口が流路に連通し、流路から掘削ロッドの供給路に連通するため、固化材は供給口からカバー材の流路と掘削ロッドの供給路を通じて外管内に注入され、吐出孔まで送り込まれる。
【0014】
中空杭と共に掘削攪拌装置を降下させ、中空杭をソイルセメント中に定着させて合成杭を構築する場合には中空杭の定着後に掘削攪拌装置を中空杭内部を通じて引き抜くことが行われるため、掘削攪拌翼と攪拌翼は共に開放した状態から閉鎖できるよう、請求項5に記載のように掘削ロッドの外周に、掘削ロッドに対し、その軸の回りに少なくともいずれか一方の向きに一定角度相対的に回転自在に装着されるスリーブに回転可能に連結され、掘削ロッドに対するスリーブの一定角度の回転時に開放状態から閉鎖自在とされる。
【0015】
この場合、掘削攪拌装置の引き抜き時には例えば掘削ロッドを掘進時の正回転から逆回転させ、掘削攪拌翼と攪拌翼に土やソイルセメントから抵抗を与えることにより、または掘削ロッドを逆回転させながら掘削攪拌翼と攪拌翼を中空杭の下端に衝突させることにより掘削攪拌翼と攪拌翼を閉鎖させることが行われる。
【0016】
特に請求項5において請求項6に記載のようにスリーブを掘削ロッドに対していずれの向きにも一定角度相対的に回転自在に装着し、掘削攪拌翼と攪拌翼を掘削ロッドに対するスリーブのいずれか一方の向きへの一定角度の回転時に閉鎖状態から開放自在で、他方の向きへの一定角度の回転時に開放状態から閉鎖自在にした場合には掘削ロッドの逆回転により掘削攪拌翼と攪拌翼を土やソイルセメントから受ける抵抗によって閉鎖させることになる。
【0017】
この場合、スリーブがいずれの向きにも回転自在で、掘削ロッドの回転によって掘削攪拌翼と攪拌翼の開閉が行われることで、掘削攪拌翼と攪拌翼は掘削ロッドが正回転し続けることにより開放した状態を維持し、逆回転によって閉鎖するため、掘削ロッドの掘進時の途中で掘削攪拌装置を一旦中空杭内に取り込んだ後に、再度掘削攪拌装置を中空杭から突出させ、掘削攪拌翼と攪拌翼を開放させることが可能になる。
【0018】
従って支持層に到達するまでに硬質地盤が存在するような場合に、硬質地盤の手前まで掘削攪拌装置によって地盤を掘削し、硬質地盤に到達した時点で、掘削攪拌装置を中空杭内に引き込み、掘削攪拌装置の先端のビットと中空杭先端に付けられる爪との併用により硬質地盤を掘削した後に再度掘削攪拌装置を中空杭の先端から突出させ、掘削攪拌翼と攪拌翼を開放させて支持層に到達するまで掘削攪拌装置によって掘削と攪拌,混合を継続することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
請求項1の発明は図2に示すように掘削ロッド2と、掘削ロッド2の外周に突設される掘削攪拌翼3及び攪拌翼4から構成され、図1に示すように掘削ロッド2の先端部に掘削ロッド2の内部を通じて供給される固化材を吐出する複数個の吐出孔5a,6a,7aを持ち、掘削ロッド2の断面上の中心から各吐出孔5a,6a,7aの先端までの距離がそれぞれ相違する掘削攪拌装置1である。
【0020】
掘削ロッド2の内部には掘削ロッド2の上端部から先端部まで固化材を供給する供給管8が配置され、掘削ロッド2の先端部には供給管8に連通する吐出ノズル6,7が接続されることにより側部吐出孔6a,7aが形成される。掘削ロッドの先端部の下端には下部吐出孔 5a が形成される。
【0021】
掘削ロッド2の先端部には図2,図3に示すように掘削ロッド2の一部となり、先端ビット9が突設されたジョイント部2Bが接続されることから、吐出ノズル6,7はジョイント部2Bに接続される。
【0022】
掘削ロッド2に吐出ノズル6,7を接続するために、供給管8はジョイント部2Bの内部に形成される吐出路2aまで連続的に配置され、吐出ノズル6,7は吐出路2aを通じて供給管8の先端に連通する。図面ではジョイント部2Bの中心線上の下端に下部吐出孔5aを形成すると共に、長さの異なる二本の吐出ノズル6,7を水平に向けてジョイント部2Bに接続している。
【0023】
掘削ロッド2の断面上の中心から各側部吐出孔6a,7aの先端までの距離は各吐出ノズル6,7の長さがそれぞれ相違することにより相違し、固化材の掘削地盤への吐出上は相対的に長さの小さい吐出ノズル6が掘削ロッド2に近い領域を分担し、長さの大きい吐出ノズル7が掘削ロッド2から遠い領域を分担する。ジョイント部2Bの下端の下部吐出孔5aは掘削ロッド2の直下を分担する。
【0024】
二本の吐出ノズル6,7をジョイント部2Bに接続する場合には図3−(b) に示すように各吐出ノズル6,7の側部吐出孔6a,7aが互いに逆を向くように吐出ノズル6,7が配置される。三本以上接続する場合はジョイント部2Bの中心に関して放射状に配置される。図面では吐出ノズル6,7を共に水平に配置しているが、水平より側部吐出孔6a,7aが下を向くように、または上を向くように配置する場合もある。
【0025】
各吐出孔5a,6a,7aには互いに分離した供給管8,8を通じて固化材が供給される。図1,図5では供給管8が互いに分離した場合として、二重管構造の内管8aと外管8bからなる供給管8を通じて固化材を供給する場合を示している。ここでは内管8aをジョイント部2Bの下端の下部吐出孔5aと相対的に長さの大きい吐出ノズル7の側部吐出孔7aに連通させ、外管8bを相対的に長さの小さい吐出ノズル6の側部吐出孔6aに連通させている。
【0026】
図1,図5のように内管8aの断面積を外管8bの断面積より小さくした場合(内管8aの断面積/外管8bの断面積=1/3〜4程度)には、内管8aと外管8bの上端の同一位置から同一圧力で固化材を供給したとき、内管8aに連通した下部吐出孔5aと側部吐出孔7aから吐出される固化材の圧力が外管8bに連通した側部吐出孔6aから吐出される固化材の圧力より高くなる。
【0027】
従ってジョイント部2Bに水平に接続された吐出ノズル6,7の側部吐出孔6a,7aの内、内管8aに連通した側部吐出孔7aから吐出される固化材が外管8bに連通した側部吐出孔6aから吐出される固化材より遠い領域まで到達できるため、同一レベルに位置する側部吐出孔6a,7aから吐出される固化材を孔壁内に万遍なく行き渡らせる上では図3に示すように掘削ロッド2から遠い領域を受け持つ吐出ノズル7の長さを近い領域を受け持つ吐出ノズル6の長さより極端に大きくする必要はない。
【0028】
図1,図5では長さの異なる吐出ノズル6,7をジョイント部2Bに接続しているが、必ずしも吐出ノズル6,7の長さを大きく相違させる必要はない。
【0029】
供給管8が二重管構造の場合、掘削ロッド2の上端部と下端部のジョイント部2A,2Bにおいてはその中央部に軸方向に連続して形成される空洞部が外管8bとなり、その空洞部内に挿通されるパイプが内管8aとなる。
【0030】
図面では掘削ロッド2のジョイント部2A,2Bを除く区間において外管8bとなる径の大きいパイプの中に内管8aとなる径の小さいパイプを挿通しているが、ジョイント部2A,2Bを除く区間もジョイント部2A,2Bと同様の構造とする場合もある。
【0031】
図1〜図3はジョイント部2Aの上端部の同一位置から内管8aと外管8bのそれぞれに固化材を供給する場合を、図4〜図6は内管8aへの供給をジョイント部2Aの上端部から行い、外管8bへの供給をジョイント部2Aの上端部と掘削ロッド2の外周のいずれかから選択的に行えるようにした場合を示す。外管8bへの固化材の供給を掘削ロッド2の外周から行う場合は請求項3の発明に該当する。
【0032】
図1〜図3と図4〜図6のいずれの例においても、前記の通り、外管8bに1個の長さの小さい吐出ノズル6を接続し、内管8aに長さの大きい吐出ノズル7を接続すると共に、内管8aをジョイント部2Bの下端に形成された下部吐出孔5aに連通させている。
【0033】
内管8aに供給された固化材はジョイント部2Bの下端の下部吐出孔5aからは下向きに吐出して先端ビット9の下方の領域に到達し、長さの大きい吐出ノズル7の側部吐出孔7aからは横向きに吐出して掘削ロッド2から遠い領域に到達する。外管8bに供給された固化材は長さの小さい吐出ノズル6の側部吐出孔6aから吐出し、掘削ロッド2の周辺の領域に到達する。
【0034】
外管8bへの固化材の供給を掘削ロッド2の外周から行うことを可能にする図4〜図6の場合には、図5に示す掘削ロッド2の上端部のジョイント部2Aに図4に示すジョイント部材10が接続される。
【0035】
ジョイント部材10はその最上部に位置し、掘削ロッド2のジョイント部2Aと同一構造の上部アタッチメント10Aと、最下部に位置し、図6に示すようにジョイント部2Aが接続される下部アタッチメント10Cと、両アタッチメント10A,10Cに挟まれて双方に接続される中間部アタッチメント10Bから構成され、下部アタッチメント10Cにおいてジョイント部2Aに接続されることで、掘削ロッド2の一部となる。
【0036】
上部アタッチメント10Aの上端から、下部アタッチメント10Cのジョイント部2Aとの接続部分までは空洞の外管10bが連続して形成され、外管10b内に内管10aが挿通し、図6に示すようにジョイント部材10にジョイント部2Aが接続されたとき、ジョイント部材10の内管10aはジョイント部2Aの内管8aに連通し、外管10bは外管8bに連通する。
【0037】
外管10bへの固化材の供給を掘削ロッド2の外周から行う場合は、図4に示すように中間部アタッチメント10Bに、外管10bから中間部アタッチメント10Bの外周まで半径方向等に連通する供給路10cが形成される。
【0038】
中間部アタッチメント10Bの外周には供給路10cに連通しながら周方向に連続する流路11aを有し、掘削ロッド2の回転時に中間部アタッチメント10Bと共に回転するカバー材11が装着される。カバー材11の外周には掘削ロッド2に対して相対的に回転自在で、カバー材11の流路11aに半径方向等に連通する供給口12aを有する供給ボス12が装着される。
【0039】
供給ボス12はベアリング13を介してカバー材11の回りに装着されることにより、掘削ロッド2と共に回転する中間部アタッチメント10B及びカバー材11の回転から絶縁され、掘削ロッド2の回転に関係なく静止状態を維持する。
【0040】
供給口12aにはソケット14を通じて固化材が供給され、固化材はカバー材11の流路11aと中間部アタッチメント10Bの供給路10cを経て外管10bに注入され、更に外管8bを通じて側部吐出孔6aから吐出される。内管10aの上端から供給された固化材は内管10aから内管8aを経てジョイント部2Bの下端の下部吐出孔5aと側部吐出孔7aから吐出される。
【0041】
図2は図15に示すように鋼管杭や中空コンクリート杭等の中空杭27と共に掘削攪拌装置1を降下させ、中空杭27をソイルセメント26中に定着させて合成杭28を構築する施工方法に対応した掘削攪拌翼3と攪拌翼4の掘削ロッド2への突設例を示す。
【0042】
合成杭28を構築する場合には図15−(d) に示すように中空杭27の定着後に掘削攪拌装置1を中空杭27内部を通じて引き抜くことが行われるため、掘削攪拌翼3と攪拌翼4は共に開放した状態から閉鎖できるよう、掘削ロッド2の外周に、掘削ロッド2に対し、その軸の回りに少なくともいずれか一方の向きに一定角度相対的に回転自在に装着されるスリーブ15に回転可能に連結され、掘削ロッド2に対するスリーブ15の一定角度の回転時に開放状態から閉鎖自在とされる。掘削ロッド2の、スリーブ15の上端位置と下端位置にはスリーブ15の掘削ロッド2に対する上下動を拘束する上部プレート18と下部プレート19が固定される。
【0043】
図2は掘進時に掘削攪拌翼3と攪拌翼4が開放した状態を維持し、閉鎖後には開放状態に復帰しない形式の請求項5の掘削攪拌装置1の構成例を示す。掘削攪拌装置1を中空杭27内部を通じて引き抜くときには掘削ロッド2を掘進時と逆向きに回転させ、掘削ロッド2を逆回転させながら掘削攪拌翼3と攪拌翼4をそれぞれ中空杭27の下端に衝突させることにより掘削攪拌翼3と攪拌翼4を閉鎖させることが行われる。
【0044】
掘削攪拌翼3と攪拌翼4はスリーブ15に並列して固定されたブラケット16,16にピン17によって水平な、あるいは水平に対してある程度傾斜した軸の回りに回転自在に支持され、図2に示すように開放した状態では上部プレート18と下部プレート19との間に位置する。
【0045】
掘削攪拌翼3と攪拌翼4のブラケット16,16に挟まれた部分は円柱状、もしくは角柱の二箇所の角部分を円弧状に面取りしたようなブロック状をし、そのブロック状の部分に板状の翼が溶接等されて掘削攪拌翼3と攪拌翼4が形成されている。
【0046】
掘削攪拌翼3と攪拌翼4は上部プレート18の下面と下部プレート19の上面に固定されるストッパ20,20に挟み込まれると共に、少なくともいずれか一方のストッパ20を貫通し、掘削攪拌翼3や攪拌翼4に到達する割ピン21によって開放状態を維持している。割ピン21は掘削攪拌翼3や攪拌翼4の中空杭27との衝突時の衝撃力によって破断する。
【0047】
ストッパ20,20は対になって掘削攪拌翼3や攪拌翼4の開放状態で上向きと下向きの回転を拘束する。図2では上側のストッパ20を、掘削攪拌翼3や攪拌翼4のブラケット16,16に挟まれたブロック状の部分と上部プレート18から張り出す板状の部分に合致した形状に形成している。
【0048】
上部プレート18と下部プレート19は共に、掘削攪拌翼3や攪拌翼4がピン17の回りに回転しようとするときにストッパ20による拘束効果を発揮し得る形、もしくは大きさを持つが、下部プレート19には掘削攪拌翼3や攪拌翼4の中空杭27との衝突時に割ピン21が破断し、スリーブ15が掘削ロッド2に対して一定角度回転したときに掘削攪拌翼3や攪拌翼4がピン17の回りに回転して垂れ下がれるよう、切欠き19aが形成されている。
【0049】
掘削攪拌翼3と攪拌翼4は掘削ロッド2が正回転し、掘進している間は割ピン21によって開放した状態を維持し、中空杭27の定着後、掘削ロッド2が逆回転しながら、掘削攪拌装置1が引き抜かれ、掘削攪拌翼3と攪拌翼4のそれぞれが中空杭27の下端に衝突したときに、割ピン21が破断すると共に、掘削攪拌翼3と攪拌翼4が土やソイルセメント26から受ける抵抗によってスリーブ15が掘削ロッド2の回転に対して逆向きに回転し、掘削攪拌翼3と攪拌翼4が下部プレート19の切欠き19aに合致するまで回転したところで、ピン17の回りに回転し、垂れ下がって閉鎖する。
【0050】
図2では粘性の高い掘削土が塊となった状態で固化材と攪拌されることなく、効果的に掘削土と固化材が攪拌,混合されるよう、掘削攪拌翼3の上に、掘削攪拌翼3の長さより大きい長さを持ち、孔壁中に貫入し得る土圧板22,22を上下二段に突設している。
【0051】
土圧板22も掘削攪拌翼3や攪拌翼4と同様に掘削ロッド2から絶縁されるスリーブ15に突設されるが、ここでは土圧板22が中空杭27との衝突のみによって閉鎖するよう、土圧板22を水平な割ピン21によってブラケット16に固定している。
【0052】
土圧板22が支持されたスリーブ15には上部プレート18と下部プレート19がないが、土圧板22の開放状態で上向きに回転しないよう、スリーブ15の上端にはストッパ20が突設される。土圧板22は中空杭の下端に衝突し、割ピン21が破断したときにピン17の回りに下向きに回転可能になり、垂れ下がって閉鎖する。
【0053】
図7〜図14は掘進時に掘削攪拌翼3と攪拌翼4が開放した状態を維持し、閉鎖後に開放状態に復帰する形式の請求項6の掘削攪拌装置1の構成例を示す。
この場合、スリーブ15は掘削ロッド2に対していずれの向きにも一定角度相対的に回転自在に装着され、掘削攪拌翼3と攪拌翼4は掘削ロッド2に対するスリーブ15のいずれか一方の向きへの一定角度の回転時に閉鎖状態から開放自在で、他方の向きへの一定角度の回転時に開放状態から閉鎖自在となる。
【0054】
上部プレート18は掘削攪拌翼3や攪拌翼4が閉鎖した状態から開放した状態になったときに更に上向きに回転しないように保持する役目を持ち、下部プレート19は開放している掘削攪拌翼3や攪拌翼4が下向きに回転せず、閉鎖しないように保持する役目を持つ。
【0055】
スリーブ15を装着しない状態の掘削ロッド2を示す図8のx−x線断面図である図9−(a) 及びy−y線断面図である図9−(b) に示すように掘削ロッド2の外周には、掘削攪拌翼3や攪拌翼4の閉鎖時と開放時にスリーブ15が係止する被係止部23が形成、あるいは突設され、図10−(a) に示すようにスリーブ15の内周の、掘削攪拌翼3や攪拌翼4の閉鎖時と開放時に被係止部23に対応した位置には被係止部23に係止する係止部24が形成、あるいは突設される。
【0056】
図面では図11,図12に示すようにスリーブ15が掘削ロッド2の軸回りに90°回転することで、掘削攪拌翼3や攪拌翼4の閉鎖状態と開放状態が切り換わるようにしていることから、被係止部23と係止部24を点対称位置の二箇所に形成しているが、共に少なくとも一箇所形成されていれば足りる。
【0057】
スリーブ15は掘削ロッド2の回転から絶縁されることで、図12に示すように係止部24が掘削ロッド2の回転の向きと逆向きに被係止部23に係止するまで掘削ロッド2とは逆向きに回転し、係止部24が被係止部23に係止した後、掘削ロッド2と共に掘削ロッド2と同一の向きに回転する。
【0058】
図面では掘削ロッド2が正(時計回りに)回転するときに係止部24が被係止部23に逆回転の向き(反時計回り)に係止して掘削攪拌翼3と攪拌翼4が開放し、掘削ロッド2が逆回転するときに係止部24が被係止部23に正回転の向きに係止して掘削攪拌翼3と攪拌翼4が閉鎖するように被係止部23と係止部24を形成しているが、掘削ロッド2が逆回転するときに掘削攪拌翼3と攪拌翼4が開放し、正回転するときに閉鎖するように被係止部23と係止部24を形成する場合もある。
【0059】
図面ではまた、図8,図9に示すように上部プレート18と下部プレート19間に、スリーブ15の装着後に掘削ロッド2に対して後から固定される上部プレート18と、先行して固定されている下部プレート19との間の間隔を保持する保持材25を二箇所に架設している。
【0060】
保持材25はまた、掘削ロッド2の被係止部23に代わって、あるいは被係止部23と共に、掘削ロッド2に対してスリーブ15を一定角度回転させた後に停止させる働きをする。保持材25が掘削ロッド2の被係止部23に代わる役目を持つ場合、掘削ロッド2の被係止部23とスリーブ15の係止部24を形成することは必ずしも必要ではない。
【0061】
掘削攪拌翼3と攪拌翼4は図2の場合と同様にスリーブ15の外周に一体化しているブラケット16,16にピン17により水平な、あるいは水平に対してある程度傾斜した軸の回りに回転自在に連結される。
【0062】
掘削攪拌翼3と攪拌翼4はスリーブ15に連結されることで、図面の場合は掘削ロッド2の正回転時に図7に実線で示すように土やソイルセメント26の逆向きの抵抗により開放し、掘削ロッド2の逆回転時に鎖線で示すように土やソイルセメント26の逆向きの抵抗により閉鎖する。
【0063】
掘削攪拌翼3と攪拌翼4は図2,図7に示すように上下の面が水平に対して傾斜することで、掘削ロッド2が正回転するときの逆向きの土等の抵抗に加え、掘削ロッド2が降下するときの上向きの土等の抵抗により閉鎖状態から開放状態になり、また掘削ロッド2が逆回転するときの正回転の向きの土等の抵抗と、掘削ロッド2が上昇するときの下向きの土等の抵抗により開放状態から閉鎖状態になる。
【0064】
掘削攪拌翼3と攪拌翼4が二方向から抵抗を受けることで、掘削ロッド2が正回転しながら降下することによる、閉鎖している掘削攪拌翼3と攪拌翼4の開放と、逆回転しながら上昇することによる、開放している掘削攪拌翼3と攪拌翼4の閉鎖が確実に行われることになる。
【0065】
掘削攪拌翼3と攪拌翼4が開放した状態では、図12−(c) に示すようにスリーブ15の係止部24が掘削ロッド2の被係止部23に逆回転の向きに係止しながら、掘削攪拌翼3と攪拌翼4が下部プレート19に下向きに係止し、上部プレート18に上向きに係止可能になることで掘削攪拌翼3と攪拌翼4が開放した状態を維持する。
【0066】
掘削攪拌翼3と攪拌翼4が閉鎖した状態では、図12−(a) に示すように掘削攪拌翼3と攪拌翼4が下部プレート19から離脱し、スリーブ15の係止部24が掘削ロッド2の被係止部23に正回転の向きに係止することで掘削攪拌翼3と攪拌翼4が閉鎖した状態を維持する。
【0067】
掘削攪拌翼3と攪拌翼4が閉鎖した状態から開放し、開放した状態を維持することと、逆に開放した状態から閉鎖し、閉鎖した状態を維持することはまた、図示しないが、掘削攪拌翼3や攪拌翼4を貫通するピン17の外周面と、ピン17が貫通する挿通孔の内周面にそれぞれ、掘削ロッド2の被係止部23とスリーブ15の係止部24のような被係止部と係止部を形成することによっても確保される。
【0068】
その場合、掘削攪拌翼3や攪拌翼4が開放したときにその挿通孔の係止部がその位置に形成されたピン17の被係止部に開放の向きに係止し、掘削攪拌装置1が降下し続けることで、掘削攪拌翼3や攪拌翼4が開放状態を維持し、掘削攪拌翼3や攪拌翼4が閉鎖したときに挿通孔の係止部がその位置に形成されたピン17の被係止部に閉鎖の向きに係止し、掘削攪拌装置1が上昇し続けることで閉鎖状態を維持する。
【0069】
図11−(a) はスリーブ15に連結された掘削攪拌翼3や攪拌翼4の閉鎖時の状態を、(b) は掘削攪拌翼3や攪拌翼4の開放時の状態を示す。図13−(a) 〜(c) は掘削ロッド2に一体化した下部プレート19の形状例を示す。
【0070】
下部プレート19は図13−(a) ,(c) に示すように掘削攪拌翼3や攪拌翼4の閉鎖位置が切り欠かれた形をすることにより、あるいは(b) に示すように下部プレート19の縁と掘削ロッド2の中心との間の距離が掘削攪拌翼3や攪拌翼4の開放位置から閉鎖位置へかけて次第に短縮する形をすることにより、掘削攪拌翼3や攪拌翼4の閉鎖位置で掘削攪拌翼3や攪拌翼4との衝突が生じない形をする。
【0071】
図13−(a) ,(b) のように下部プレート19の縁と掘削ロッド2の中心との間の距離が掘削攪拌翼3や攪拌翼4の開放位置から閉鎖位置へかけて次第に短縮する形をした場合、下部プレート19は掘削攪拌翼3や攪拌翼4を下部プレート19の縁に沿って閉鎖状態から円滑に開放させ、また開放状態から円滑に閉鎖させる機能を持つ。
【0072】
図12は図11に示す掘削攪拌翼3や攪拌翼4付きのスリーブ15と図13−(a) に示す下部プレート19付きの掘削ロッド2を組み合わせた場合の、掘削攪拌翼3や攪拌翼4と、掘削ロッド2及び下部プレート19の関係を示す。
【0073】
図12−(a) は掘削ロッド2が逆回転しているときの様子を示す。この状態では前記の通り、掘削攪拌翼3や攪拌翼4が正回転の向きに土等の抵抗を受けることで下部プレート19から離脱してスリーブ15と共に回転し、スリーブ15の係止部24が被係止部23に正回転の向きに係止することで、掘削攪拌翼3や攪拌翼4が閉鎖した状態を維持する。
【0074】
図7に示す掘削ロッド2は正回転しながら降下するときに掘削と攪拌を行い、上昇時に逆回転するため、掘削ロッド2が逆回転しているときには、掘削攪拌翼3や攪拌翼4は下向きの土等の抵抗を受けることによっても閉鎖状態を維持する。
【0075】
図12−(b) は掘削ロッド2を正回転させ始めたときの様子を示す。この状態では掘削攪拌翼3や攪拌翼4が逆回転の向きに土等の抵抗を受けることで、係止部24が被係止部23から離脱し、掘削攪拌翼3や攪拌翼4がスリーブ15と共に回転しながら、下部プレート19の縁に案内されることで開放する。掘削ロッド2は正回転時に降下するため、掘削攪拌翼3や攪拌翼4は上向きの土等の抵抗を受けることによっても開放する。
【0076】
(c) に示すように掘削攪拌翼3や攪拌翼4が完全に開放し、係止部24が逆回転の向きに被係止部23に係止したところで、スリーブ15が掘削ロッド2と共に回転し、掘削攪拌翼3や攪拌翼4による掘削と攪拌,混合が行われる。(c) の状態のとき、掘削攪拌翼3や攪拌翼4は下部プレート19に下向きに係止可能で、上部プレート18に上向きに係止可能となることで、開放状態を維持する。掘削攪拌翼3や攪拌翼4は掘削ロッド2の降下による上向きの土等の抵抗を受けることによっても開放状態を維持する。
【0077】
図14−(a) ,(b) は下部プレート19の上面を掘削攪拌翼3や攪拌翼4の開放位置から閉鎖位置へかけて下向きに傾斜させることにより、下部プレート19の上面によってそれに接触する掘削攪拌翼3や攪拌翼4の開閉を案内させ、閉鎖状態からの開放と、開放状態からの閉鎖が円滑に行われるようにした場合を示す。
【0078】
ここでは下部プレート19を掘削攪拌翼3や攪拌翼4の閉鎖位置で不在にすることにより、掘削攪拌翼3や攪拌翼4の閉鎖位置で掘削攪拌翼3や攪拌翼4と下部プレート19の衝突が生じないようにしている。
【0079】
図15は掘削攪拌装置1を用いてソイルセメント26と、鋼管杭や中空のコンクリート杭等の中空杭27からなる合成杭28を構築する方法の施工手順を示す。図15は中間層や支持層30が硬質地盤でない場合の例を示す。
【0080】
掘削攪拌装置1の掘削ロッド2は上端が駆動モータに接続したロッド29に接続され、中空杭27は同一の、または別の駆動モータに接続され、あるいはまた駆動モータには接続されずに単純に吊り下げられる。
【0081】
ロッド29が接続した駆動モータに中空杭27が接続された場合、中空杭27はロッド29と共に同一向きに回転し、別の駆動モータに接続された場合は、中空杭27は回転しないか、ロッド29とは逆向きに回転させられる。駆動モータに接続されない場合、中空杭27は回転しない。
【0082】
掘削攪拌装置1は図15−(a) に示すように中空杭27の下端より突出し、一方の向きに、図面の場合は正回転した状態で、掘削ロッド2の下端に接続している先端ビット9と、開放している掘削攪拌翼3によって地盤を掘削し、同時に地上から掘削ロッド2を通じて吐出される固化材と掘削土を掘削攪拌翼3と攪拌翼4によって攪拌,混合する。図16は図15−(a) の拡大図である。
【0083】
先端ビット9が目標の支持層30に到達する直前までは、固化材には低濃度(貧配合)の周辺固定液が使用され、支持層30の手前からは(b) に示すように固化材は高濃度(富配合)の根固め液に切り換えられ、そのまま支持層30を掘削しながら、攪拌,混合し、根固め部31を構築する。
【0084】
根固め部31の、掘削土と固化材からなるソイルセメント26の硬化前に、(c) に示すように一旦掘削攪拌装置1と中空杭27が引き上げられる。このとき、掘削攪拌装置1は逆回転しながら引き上げられ、掘削攪拌翼3と攪拌翼4が閉鎖する。
【0085】
その後、(d) に示すように掘削攪拌翼3と攪拌翼4を閉鎖させたまま、掘削攪拌装置1を中空杭27の内部に取り込み、(e)に示すように中空杭27を根固め部31中に圧入し、掘削攪拌装置1を引き上げることにより施工が終了する。
【0086】
図17は支持層30に到達する以前の中間層に硬質層32が存在する場合の、合成杭28構築の施工手順を示す。この場合は図17−(c) の拡大図である図18に示すように中空杭27の下端に、先端ビット9と共に硬質層32を掘削する爪27aが突設される。
【0087】
先端ビット9が硬質層32に到達するまでは(a) に示すように図15の場合と同様に行われ、先端ビット9が硬質層32に到達した時点で、(b) に示すように掘削攪拌装置1を逆回転させながら上昇させて中空杭27内に格納する。
【0088】
その状態で(c) に示すように掘削攪拌装置1と中空杭27を回転させ、先端ビット9と中空杭27の爪27aによって硬質層32を貫通するまで地盤を掘削する。中空杭27の回転は掘削攪拌装置1の回転と同一の向きの場合と逆向きの場合がある。
【0089】
硬質層32の貫通後、(d) に示すように掘削攪拌装置1と中空杭27を硬質層32の上層まで引き上げ、再度掘削攪拌装置1を(a) と同様に中空杭27の下端より突出させると共に、掘削ロッド2を正回転させて掘削攪拌翼3と攪拌翼4を開放させ、(e) に示すように先端ビット9と掘削攪拌翼3によって支持層30まで地盤を掘削しながら、固化材と掘削土を掘削攪拌翼3と攪拌翼4によって攪拌,混合する。
【0090】
その後は図15−(c) 〜(e) に示す工程によって施工される。
支持層30が硬質層32である場合には、図17−(a) 〜(e) に示す工程と同様に施工される。
【0091】
【発明の効果】
請求項1では掘削ロッドの先端部に複数個の吐出孔を形成し、掘削ロッドの断面上の中心から各吐出孔の先端までの距離をそれぞれ相違させることで、各吐出孔から吐出される固化材が到達する領域を区分し、全吐出孔によって掘削ロッドに近い領域から孔壁に近い領域までを網羅するため、孔壁内で効果的に掘削土と固化材を攪拌,混合することが可能になる。
【0092】
また掘削ロッドの先端部まで固化材を供給する供給管を内管と外管の二重管構造とするため、同一位置から同一圧力で固化材を供給しながらも、固化材の吐出時の圧力を吐出孔毎に制御することができる。
【0093】
特に供給管を内管と外管の二重管構造とし、内管と外管の断面積を変えるため、孔壁寄りの領域を受け持つ吐出孔からの固化材を高い圧力で吐出することができ、孔壁寄りの領域を受け持つ吐出孔を有する吐出ノズルの長さを必ずしも大きくせずに済む。
【0094】
請求項2〜請求項4では供給管を二重管構造とする場合に、供給管を構成する内管と外管への固化材の供給位置を相違させるため、内管と外管のそれぞれに供給される固化材の供給圧力や固化材の濃度等を変えることができる。
【0095】
請求項5では掘削攪拌翼と攪拌翼を掘削ロッドの外周に、掘削ロッドに対して少なくともいずれか一方の向きに一定角度相対的に回転自在に装着されるスリーブに回転可能に連結し、掘削ロッドに対するスリーブの一定角度の回転時に閉鎖自在とすることで開放した状態から閉鎖できるようにするため、中空杭と共に掘削攪拌装置を降下させ、中空杭をソイルセメント中に定着させて合成杭を構築する場合に中空杭の定着後に掘削攪拌装置を中空杭内部を通じて引き抜く施工に対応することができる。
【0096】
請求項6ではスリーブを掘削ロッドに対していずれの向きにも一定角度相対的に回転自在に装着し、掘削攪拌翼と攪拌翼をスリーブに回転自在に連結すると共に、掘削ロッドに対するスリーブのいずれか一方の向きへの一定角度の回転時に開放自在で、他方の向きへの一定角度の回転時に閉鎖自在にするため、掘削ロッドの掘進時の途中で掘削攪拌装置を一旦中空杭内に取り込んだ後に、再度掘削攪拌装置を中空杭から突出させ、掘削攪拌翼と攪拌翼を開放させることができる。
【0097】
このため、支持層に到達するまでに硬質地盤が存在するような場合に、硬質地盤の手前まで掘削攪拌装置によって地盤を掘削し、硬質地盤に到達した時点で、掘削攪拌装置を中空杭内に引き込み、掘削攪拌装置と中空杭の併用により硬質地盤を掘削した後に再度掘削攪拌装置を中空杭の先端から突出させ、掘削攪拌翼と攪拌翼を開放させて支持層に到達するまで掘削攪拌装置によって掘削を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二重管構造の内管と外管に同一位置から固化材を供給する場合の掘削攪拌装置の掘削ロッドを示した縦断面図である。
【図2】 図1の掘削ロッドに掘削攪拌翼と攪拌翼を突設した請求項5の掘削攪拌装置を示した立面図である。
【図3】 (a) は図2の先端部の側面図、(b) は(a) の底面図である。
【図4】 内管に掘削ロッドの断面上の中心部から、外管に掘削ロッドの外周から固化材を供給する請求項4の掘削攪拌装置の一部となるジョイント部材を示した縦断面図である。
【図5】 図4のジョイント部材に接続される掘削ロッドを示した縦断面図である。
【図6】 図4のジョイント部材と図5の掘削ロッドを接続した様子を示した縦断面図である。
【図7】 請求項6の掘削攪拌装置を示した立面図である。
【図8】 図7の掘削攪拌装置の掘削ロッドを示した立面図である。
【図9】 (a) は図8のx−x線断面図、(b) はy−y線断面図である。
【図10】 (a) は図8の掘削攪拌装置のスリーブを示した平面図、(b) は(a) の立面図である。
【図11】 図10のスリーブに支持された掘削攪拌翼や攪拌翼の閉鎖状態を示した平面図、(b) は掘削攪拌翼や攪拌翼の開放状態を示した平面図である。
【図12】 (a) 〜(c) は掘削攪拌翼や攪拌翼が閉鎖している状態から開放するまでの掘削攪拌翼や攪拌翼と図13−(a) の下部プレートとの関係を示した平面図である。
【図13】 (a) 〜(c) は掘削ロッドに固定される下部プレートの形状例を示した平面図である。
【図14】 (a) は掘削ロッドに上面が傾斜した下部プレートが固定された様子を示した斜視図、(b) は(a) の掘削ロッドに掘削攪拌翼や攪拌翼が付いたスリーブが装着された様子を示した斜視図である。
【図15】 (a) 〜(e) は支持層までに硬質層が存在しない場合の合成杭の施工手順を示した立面図である。
【図16】 図15−(a) の拡大図である。
【図17】 (a) 〜(e) は支持層までに硬質層が存在する場合の合成杭の施工手順を示した立面図である。
【図18】 図15−(d) の拡大図である。
【符号の説明】
1……掘削攪拌装置、2……掘削ロッド、2A,2B……ジョイント部、2a……吐出路、3……掘削攪拌翼、4……攪拌翼、5a,6a,7a……吐出孔、6,7……ノズル、8……供給管、8a……内管、8b……外管、9……先端ビット、10……ジョイント部材、10A……上部アタッチメント、10B……中間部アタッチメント、10C……下部アタッチメント、10a……内管、10b……外管、10c……供給路、11……カバー材、11a……流路、12……供給ボス、12a……供給口、13……ベアリング、14……ソケット、15……スリーブ、16……ブラケット、17……ピン、18……上部プレート、19……下部プレート、19a……切欠き、20……ストッパ、21……割ピン、22……土圧板、23……被係止部、24……係止部、25……保持材、26……ソイルセメント、27……中空杭、27a……爪、28……合成杭、29……ロッド、30……支持層、31……根固め部、32……硬質層。
Claims (6)
- 掘削ロッドと、掘削ロッドの外周に突設される掘削攪拌翼及び攪拌翼から構成され、掘削ロッドの内部に掘削ロッドの先端部まで固化材を供給する供給管が配置され、掘削ロッドの先端部に供給管に連通する吐出孔が形成された、掘進時から固化材を吐出する掘削攪拌装置であり、前記掘削ロッドの先端部の下端に下部吐出孔が形成されると共に、長さの異なる複数本の吐出ノズルが接続されて掘削ロッドの断面上の中心からの距離が相違する複数個の側部吐出孔が形成され、前記供給管は二重管構造の内管と外管に分離し、内管は前記下部吐出孔と相対的に長さの大きい前記吐出ノズルの側部吐出孔に連通し、外管は相対的に長さの小さい前記吐出ノズルの側部吐出孔に連通しており、前記内管の断面積は前記外管の断面積より小さく、前記下部吐出孔と複数個の側部吐出孔から吐出される固化材が到達する領域が区分されている掘削攪拌装置。
- 内管と外管への固化材の供給位置が相違している請求項1記載の掘削攪拌装置。
- 内管へは掘削ロッドの断面上の中心部から固化材が供給され、外管へは掘削ロッドの外周から固化材が供給される請求項2記載の掘削攪拌装置。
- 掘削ロッドの、外管に固化材を供給する部分に、外管から掘削ロッドの外周まで連通する供給路が形成され、その部分の外周に、供給路に連通しながら周方向に連続する流路を有し、掘削ロッドと共に回転するカバー材が装着され、カバー材の外周に、掘削ロッドに対して相対的に回転自在で、カバー材の流路に連通する供給口を有する供給ボスが装着されている請求項3記載の掘削攪拌装置。
- 掘削攪拌翼と攪拌翼は掘削ロッドの外周に、掘削ロッドに対して少なくともいずれか一方の向きに一定角度相対的に回転自在に装着されるスリーブに回転可能に連結され、掘削ロッドに対するスリーブの一定角度の回転時に開放状態から閉鎖自在である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の掘削攪拌装置。
- スリーブは掘削ロッドに対していずれの向きにも一定角度相対的に回転自在に装着され、掘削攪拌翼と攪拌翼は掘削ロッドに対するスリーブのいずれか一方の向きへの一定角度の回転時に閉鎖状態から開放自在で、他方の向きへの一定角度の回転時に開放状態から閉鎖自在である請求項5記載の掘削攪拌装置。
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