JP4517082B2 - 遠隔操作式排水栓装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は浴槽や洗面台などの底部に装設された排水栓装置に関し、更に詳しくは、遠隔操作により排水栓の開閉を行う遠隔操作式排水栓装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よく知られた遠隔操作式排水栓装置としては、図13に示したようなものがある。以下に図13に示した従来例の遠隔操作式排水栓装置を、図面を参照しつつ説明する。
図13に図示した従来例の遠隔操作式排水栓装置は、以下に記載した排水栓、弁体、弁支持部材、レリースワイヤ、操作スイッチ、その他の各部材より構成されてなる。
排水栓は、内部に排水口を形成する略円筒形状の部材であって、その外周面に雄螺子を設け、また排水口内周面に、水平に沿って凸部を突設している。
弁支持部材は、排水栓の排水口に設けた凸部と係合する係合爪を下部に設けた円筒形状のリング部と、該リング部から支持筒の中心部に向かって延出されたアーム部と、アーム部の中心にアーム部と一体的に設けた、後述するアウターチューブ端部を接続固定する接続部、からなる。
弁体は、上記排水口を開閉する略円盤状の弁部と、該弁部の中心に設けられた、後述するレリースワイヤの支持軸と係合する被係合部と、接続部に当接した状態で、任意方向に自在に摺接動作する安定リブからなる。
レリースワイヤは、可撓性を備えた、中空にしてその端部が排水栓内に配置固定されるアウターチューブと、該アウターチューブの内面を軸方向に進退するインナーワイヤと、インナーワイヤの一端に備えられ、弁体の被係合部と、弁体の開閉操作によって着脱しない程度の強度で係合する支持軸と、インナーワイヤを操作スイッチ側に付勢する戻りスプリングとを備えてなる。
操作スイッチは、上記レリースワイヤに接続され、上記レリースワイヤのインナーワイヤの進退を行うことで、排水口を開閉させるものであって、またインナーワイヤの進退を保持するための保持機構として、従来よりよく知られているスラストロック機構(図示せず)を備えてなる。
また、その他の部材として、上記排水栓の雄螺子と螺合する雌螺子を備えた開口部、排水口からの排水を下水側に排出するための排出口、及びレリースワイヤを通すための挿通孔を備えた排水エルボを備えてなる。
【0003】
上記のように構成した遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして浴槽等に設けられた取着孔に取着される。
まず排水栓を、取着孔を介して排水エルボの開口部と螺合させる。次にレリースワイヤの一方、支持軸を備えない側を操作スイッチに接続し、また支持軸側の端部を、挿通孔を介して排水エルボから排水栓の排水口へと引き上げる。
更にアウターチューブの端部を弁支持部材の弁支持部材の接続部に接続した後、排水口内に弁支持部材を、リング部の外周が排水口の内周面に当接するようにして挿入し、更に排水口の凸部に係合爪を係合させて排水口に弁支持部材を固定する。
この状態より、支持軸先端に弁体の被係合部を係合させて、遠隔操作式排水栓装置の取り付けが完了する。
【0004】
上記のように構成した遠隔操作式排水栓装置を使用する場合、まず操作スイッチに操作を加えて弁体が排水口を閉口した状態、即ち図10にあるように、レリースワイヤのインナーワイヤが操作スイッチ側に後退して、支持軸が降下した状態とする。この状態より操作スイッチに操作を加えて、インナーワイヤを弁支持部材側に前進させると、支持軸が弁体と共に上昇し、且つスラストロック機構によってこの状態が保持されて、排水口が開口した状態となる。
この状態より操作スイッチに操作を加えてスラストロック機構の保持状態を解除すると、インナーワイヤが操作スイッチ側に後退し、支持軸と共に弁体が下降して排水口を閉口する。以後、この操作を繰り返すことで排水口の開閉を自在に操作することができる(特許文献1等)。
【0005】
また、上記安定リブを、図13の従来例にあるように弁支持部材に当接する構造から、排水栓内に当接する構成に変更することもできる。このような構成としても、図13の従来例と同様に、弁体の上下動作を安定したものとすることができる(特許文献2等)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−88853号公報(第1乃至図3)
【特許文献2】
特開2002−88853号公報(第5乃至図7)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の遠隔操作式排水栓装置においては、弁体の動作を安定させる安定リブが、常に弁支持部材に当接する構成となっている。そのため、次の問題点1.乃至問題点2.にあるような問題があった。
問題点1.上記従来例の発明の遠隔操作式排水栓装置は、弁体の開口時に弁体の側面方向から部材の破損が生じる程度の大きな応力が加えられた場合、弁体と支持軸との係合が解除され、部材の破損を防止する構造となっている。
しかしながら、上記従来例の発明では、排水栓の開口時にも安定リブが弁支持部材又は排水栓に当接しているため、弁体の側面方向から部材の破損が生じる程度の大きな応力が加えられた場合に、安定リブと弁支持部材又は排水栓との間で破損が生じる場合があった。
問題点2.排水口の開口内に安定リブを配置しているため、排水口の開口面積は、安定リブの分だけ減少することになる。安定リブが弁支持部材又は排水栓と、常に当接を生じるようにするためには、少なくとも安定リブを縦方向にインナーワイヤのストローク長さ分、長くしなければならず、安定リブの分排水口の開口が減少して、遠隔操作式排水栓装置の排水性能を悪化させていた。
【0008】
他方、上記の問題点を回避するために安定リブを省略すると、弁体に若干の応力が側面から加わった場合に、弁体と排水口の位置がずれて完全な排水口の止水ができなくなくなる場合がある。
【0009】
また、近年は、図14に示したように、意匠性や遠隔操作式排水栓装置の取り付けられる槽体の底面を、排水口の閉口時、なるべく平坦とするため、排水口の周縁に、少なくともその上端縁が弁体及び環状パッキンの外周縁よりも大径であって、且つ下方ほど縮径する傾斜面を設けて、傾斜内に弁体が収納されるようにした排水栓や、図17に示したように、水密パッキンに、部分的に肉薄として弾性変形を容易とする可撓部分を形成し、更に、水密パッキンの当接部分の上方であって弁体との間に、水密パッキンの当接部分が上方へと撓むことを可能とする逃げ空間を設けて、排水栓の水密パッキンとの当り面に砂などの塵芥が存在していても、図18に示したように水密パッキンが塵芥の凹凸に合わせて弾性変形し、図16に示した従来の可撓部分及び逃げ空間の無い水密パッキンと比較して排水口の閉塞をより良好にようにした水密パッキン等が提供されている。
しかし、排水口の閉口時、弁の片側に大きな力が作用した際、
1.図14に示した、排水口の周縁に傾斜面を設けた従来例の遠隔操作式排水栓装置の場合、図15に示したように、被係合部を中心として弁体の外周縁が傾斜面に沿って傾斜し、排水口の閉塞ができなくなる場合がある。
2.図17に示した、部分的に肉薄として弾性変形を容易とする可撓部分を形成し、更に水密パッキンの当接部分の上方に逃げ空間を設けた場合、図16に示したように、水密パッキンが逃げ空間側に撓み、被係合部を中心として弁体が傾斜し、排水口の閉塞ができなくなる場合がある。
といった問題が生じていた。
本発明は上記のような問題を解決するために発明されたものであって、レリースワイヤを用いた遠隔操作式排水栓装置において、排水口の閉塞を良好に行い得る遠隔操作式排水栓装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置は、排水口(2)を設けた排水栓(1)と、該排水口(2)を開閉する弁体(3)と、弾性材よりなり、弁体(3)下面にリング状に設けられ、弁体(3)と排水口(2)とを水密的に当接させる水密パッキン(4)と、中空にしてその端部が排水栓内に配置固定されるアウターチューブ(5a)、該アウターチューブ(5a)中に進退自在に収納され、且つ一方の端部に弁体(3)の開閉操作によって着脱しない程度の強度で弁体(3)と係合する支持軸(5b)を備えてなり、その進退の動作に対応して弁体(3)が上下動作し、排水口(2)の開閉を行うインナーワイヤ(5c)からなるレリースワイヤ(5)と、から構成された遠隔操作式排水栓装置において、前記アウターチューブ(5a)端部に筒状のガイド筒(5d)を設け、該ガイド筒(5d)を排水栓(1)の排水口(2)内に固定すると共に、排水口(2)が開口して静止した状態では、ガイド筒(5d)のほぼ垂直な面と当接する事が無く、弁体(3)が降下して排水口(2)を閉口する際、少なくとも排水口を閉口して静止した状態においては、ガイド筒(5d)のほぼ垂直な面と当接して、弁体(3)が傾斜することを防止する安定リブ(6)を弁体(3)に構成したことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。
【0012】
請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置は、排水口(2)を設けた排水栓(1)と、該排水口(2)を開閉する弁体(3)と、弾性材よりなり、弁体(3)下面にリング状に設けられ、弁体(3)と排水口(2)とを水密的に当接させる水密パッキン(4)と、中空にしてその端部が排水栓内に配置固定されるアウターチューブ(5a)、該アウターチューブ(5a)中に進退自在に収納され、且つ一方の端部に弁体(3)の開閉操作によって着脱しない程度の強度で弁体(3)と係合する支持軸(5b)を備えてなり、その進退の動作に対応して弁体(3)が上下動作し、排水口(2)の開閉を行うインナーワイヤ(5c)からなるレリースワイヤ(5)と、から構成された遠隔操作式排水栓装置において、上記レリースワイヤ(5)の端部と接続すると共に、排水口(2)内に配置固定され、アウターチューブ(5a)の端部を排水口(2)内に配置する弁支持部材(7)を備えると共に、排水口(2)が開口して静止した状態では、弁支持部材(7)のほぼ垂直な面と当接する事が無く、弁体(3)が降下して排水口(2)を閉口する際、少なくとも排水口を閉口して静止した状態においては、弁支持部材(7)のほぼ垂直な面と当接して、弁体(3)が傾斜することを防止する安定リブ(6)を弁体(3)に構成したことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。
【0013】
請求項3に記載の本発明は、排水口(2)を設けた排水栓(1)と、該排水口(2)を開閉する弁体(3)と、弾性材よりなり、弁体(3)下面にリング状に設けられ、弁体(3)と排水口(2)とを水密的に当接させる水密パッキン(4)と、中空にしてその端部が排水栓内に配置固定されるアウターチューブ(5a)、該アウターチューブ(5a)中に進退自在に収納され、且つ一方の端部に弁体(3)の開閉操作によって着脱しない程度の強度で弁体(3)と係合する支持軸(5b)を備えてなり、その進退の動作に対応して弁体(3)が上下動作し、排水口(2)の開閉を行うインナーワイヤ(5c)からなるレリースワイヤ(5)と、から構成された遠隔操作式排水栓装置において、排水口(2)が開口して静止した状態では、排水栓(1)のほぼ垂直な面と当接する事が無く、弁体(3)が降下して排水口(2)を閉口する際、少なくとも排水口を閉口して静止した状態においては、排水栓(1)のほぼ垂直な面と当接して、弁体(3)が傾斜することを防止する安定リブ(6)を弁体(3)に構成したことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。
【0014】
請求項4に記載の遠隔操作式排水栓装置は、排水口(2)を設けた排水栓(1)と、該排水口(2)を開閉する弁体(3)と、弾性材よりなり、弁体(3)下面にリング状に設けられ、弁体(3)と排水口(2)とを水密的に当接させる水密パッキン(4)と、中空にしてその端部が排水栓内に配置固定されるアウターチューブ(5a)、該アウターチューブ(5a)中に進退自在に収納され、且つ一方の端部に弁体(3)の開閉操作によって着脱しない程度の強度で弁体(3)と係合する支持軸(5b)を備えてなり、その進退の動作に対応して弁体(3)が上下動作し、排水口(2)の開閉を行うインナーワイヤ(5c)からなるレリースワイヤ(5)と、から構成された遠隔操作式排水栓装置において、排水栓(1)もしくは排水栓(1)に固定される部材に、開口して静止した状態において、弁体(3)のほぼ垂直もしくはほぼ水平な面と当接する事が無く、少なくとも閉口して静止した状態においては、弁体(3)のほぼ垂直もしくはほぼ水平な面と当接して、弁体(3)が傾斜することを防止する安定リブ(6)を設けたことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。なお、ここで言う「当接」という表現においては、後述する段落0026に記載した効果を得ることができ、且つ、弁体(3)がスムーズに上下動する程度の隙間を安定リブ(6)と弁体(3)との間に設けることを許容するものとする。
【0015】
請求項5に記載の遠隔操作式排水栓装置は、上記遠隔操作式排水栓装置において、弁体(3)下面をほぼ水平な平面とすると共に、弁支持部材(7)の上方を向いた面に安定リブ(6)を設け、上記安定リブ(6)を弁体(3)下面に当接させることを特徴とする、上記段落0014に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0016】
請求項6に記載の遠隔操作式排水栓装置は、上記遠隔操作式排水栓装置において、安定リブ(6)を、支持軸(5b)を中心として、環状に設けたことを特徴とする上記段落0011乃至上記段落0015のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0017】
請求項7に記載の遠隔操作式排水栓装置は、前記遠隔操作式排水栓装置において、排水口(2)の周縁に、少なくともその上端縁が弁体(3)及び水密パッキン(4)の外周縁よりも大径であって、且つ下方ほど縮径する傾斜面(8)を設けたことを特徴とする上記段落0011乃至上記段落0016のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0018】
請求項8に記載の遠隔操作式排水栓装置は、前記遠隔操作式排水栓装置において、水密パッキン(4)に、排水栓(1)と当接する当接部分の弾性変形を容易とする可撓部分(9)を形成し、更に、水密パッキン(4)の当接部分の上方であって弁体(3)との間に、当接部分が上方へと撓むことを可能とする逃げ空間(10)を設けたことを特徴とする上記段落0011乃至上記段落0017のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至図3に図示した本発明の第一実施例による遠隔操作式排水栓装置は、以下に記載した排水栓(1)、弁体(3)、レリースワイヤ(5)、弁支持部材(7)、操作スイッチ(11)、その他の各部材より構成されてなる。
排水栓(1)は、内部に排水口(2)を形成する略円筒形状の部材であって、その外周面に雄螺子を設け、また排水口(2)内周面に、水平に沿って凸部(12)を突設してなり、更に排水口(2)の周縁に、その上端縁が弁体(3)及び水密パッキン(4)の外周縁よりも大径であって、且つ下方ほど縮径する傾斜面(8)を設けている。
弁支持部材(7)は、排水栓(1)の排水口(2)に設けた凸部(12)と係合する係合爪(13)を下部に設けた円筒形状のリング部(14)と、該リング部(14)から支持筒の中心部に向かって延出されたアーム部(15)と、アーム部(15)の中心にアーム部(15)と一体的に設けた、後述するアウターチューブ(5a)端部を接続固定する接続部(16)、からなる。
弁体(3)は、上記排水口(2)を開閉する略円盤状の弁部(17)と、該弁部(17)の中心に設けられた後述するレリースワイヤ(5)の支持軸(5b)と係合する被係合部(18)と、弁部(17)下面にリング状に設けられる弾性材であって、弁体(3)と排水栓(1)とを水密的に当接させる水密パッキン(4)と、ガイド筒(5d)と当接する部分の全高がレリースワイヤ(5)のストローク長さよりも短く、開口して静止した状態において、弁体(3)のほぼ垂直もしくはほぼ水平な面と当接する事が無く、少なくとも閉口して静止した状態においては、アウターチューブ(5a)端部のガイド筒(5d)と当接する、被係合部(18)を中心として環状に設けられた安定リブ(6)と、からなり、更に水密パッキン(4)に、排水栓(1)と当接する当接部分の弾性変形を容易とする、肉薄によって形成された可撓部分(9)を形成し、また水密パッキン(4)の当接部分の上方であって弁体(3)との間に、当接部分が上方へと撓むことを可能とする逃げ空間(10)を設けてなる。
レリースワイヤ(5)は、可撓性を備えた、中空にしてその端部に排水栓(1)内に配置固定されるアウターチューブ(5a)と、該アウターチューブ(5a)の端部に備えられた筒状体からなるガイド筒(5d)と、該アウターチューブ(5a)の内面を軸方向に進退するインナーワイヤ(5c)と、インナーワイヤ(5)の一端に備えられ、ガイド筒(5d)内に収納されると共に、弁体(3)の被係合部(18)と、弁体(3)の開閉操作によって着脱しない程度の強度で弁体(3)と係合する支持軸(5b)と、レリースワイヤ(5)内の操作スイッチ(11)側に、インナーワイヤ(5c)を操作スイッチ(11)側に付勢する戻りスプリング(図示せず)を備えてなる。
操作スイッチ(11)は、上記レリースワイヤ(5)に接続され、上記レリースワイヤ(5)のインナーワイヤ(5c)の進退を行うことで、排水口(2)を開閉させるものであって、またインナーワイヤ(5c)の進退を保持するための保持機構として、従来よりよく知られているスラストロック機構(図示せず)を備えてなる。
また、その他の部材として、上記排水栓(1)の雄螺子と螺合する雌螺子を備えた開口部、排水口(2)からの排水を下水側に排出するための排出口(20)、及びレリースワイヤ(5)を通すための挿通孔(21)、を備えた排水エルボ(19)を備えてなる。
【0020】
上記のように構成した遠隔操作式排水栓装置は、上記段落0003に記載した従来例と同様の方法によって浴槽等に設けられた取着孔に取着され、上記段落0004に記載された従来例と同様の方法によって排水口を自在に開閉することができる。
【0021】
更に上記第一実施例の遠隔操作式排水栓装置においては、弁体(3)の動作を安定させる安定リブ(6)が、開口して静止した状態において、弁体(3)のほぼ垂直もしくはほぼ水平な面と当接する事が無く、少なくとも閉口して静止した状態においては、弁支持部材(7)を介して排水栓(1)に固定されたガイド筒(5d)に当接する構成となっている。そのため、従来例と違って、
1.排水口(2)の周縁にその上端縁が弁体(3)及び水密パッキン(4)の外周縁よりも大径であって、且つ下方ほど縮径する傾斜面(8)を設けた排水栓(1)や、水密パッキン(4)に、排水栓(1)との当接する当接部分の弾性変形を容易とするための肉薄な部分からなる可撓部分(9)を形成し、更に、水密パッキン(4)の当接部分の上方であって弁体(3)との間に、当接部分が上方へと撓むことを可能とする逃げ空間(10)を設けた弁体(3)等を遠隔操作式排水栓装置に採用した場合に、弁体の閉口時、弁体(3)の片側に大きな力が作用した際でも、ガイド筒(5d)に弁体(3)の安定リブ(6)が当接しているため、弁体(3)が傾斜して排水口(2)の水密性が失われることが無い。
2.弁体(3)の開口時に、弁体(3)の側面方向から部材の破損が生じる程度の大きな応力が加えられた場合、弁体(3)の被係合部(18)と支持軸(5b)との係合が解除されて部材の破損を防ぐ。この際、開口時には、安定リブ(6)がガイド筒(5d)に当接していないため、安定リブ(6)とガイド筒(5d)の間で破損が生じることが無い。
また、安定リブ(6)の全高も、従来例のような常に安定リブ(6)が弁支持部材(7)等に当接するものより短縮されたため、従来例と比較して排水口(2)の開口が大きく取れ、遠隔操作式排水栓装置の排水性能を向上させている。
【0022】
次に、本発明の第二実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図4乃至図5に図示した本発明の第二実施例による遠隔操作式排水栓装置は、以下に記載した排水栓(1)、弁体(3)、レリースワイヤ(5)、弁支持部材(7)、操作スイッチ(11)、その他の各部材より構成されてなる。
弁支持部材(7)は、排水栓(1)の排水口(2)に設けた凸部(12)と係合する係合爪(13)を下部に設けた円筒形状のリング部(14)と、該リング部(14)から支持筒の中心部に向かって延出されたアーム部(15)と、アーム部(15)の中心にアーム部(15)と一体的に設けた、後述するアウターチューブ(5a)端部を接続固定する接続部(16)を備えてなり、更に、
リング部(14)の上面に、弁体(3)下面と当接して弁体(3)の傾斜を防止する安定リブ(6)を設けてなる。
弁体(3)は、上記排水口(2)を開閉する略円盤状の弁部(17)と、該弁部(17)の中心に設けられた後述するレリースワイヤ(5)の支持軸(5b)と係合する被係合部(18)と、弁部(17)下面にリング状に設けられる弾性材であって、弁体(3)と排水栓(1)とを水密的に当接させる水密パッキン(4)と、ガイド筒(5d)と当接する部分の全高がレリースワイヤ(5)のストローク長さよりも短く、開口して静止した状態において、弁体(3)のほぼ垂直もしくはほぼ水平な面と当接する事が無く、少なくとも閉口して静止した状態においては、アウターチューブ(5a)端部のガイド筒(5d)と当接する、被係合部(18)を中心として環状に設けられた安定リブ(6)と、からなり、更に水密パッキン(4)に、排水栓(1)と当接する当接部分の弾性変形を容易とする、肉薄によって形成された可撓部分(9)を形成し、また水密パッキン(4)の当接部分の上方であって弁体(3)との間に、当接部分が上方へと撓むことを可能とする逃げ空間(10)を設けてなる。更にこの第二実施例においては、弁体(3)の弁部(17)下面に水平な面を形成し、排水栓(1)の閉口時に、前述の安定リブ(6)上面に、弁部(17)下面の水平面を当接させてなる。
また、排水栓(1)、レリースワイヤ(5)、操作スイッチ(11)、及び他の部材である排水エルボ(19)は、上記段落0019に記載された第一実施例の各部材と同様に構成されてなる。
【0023】
上記のように構成した遠隔操作式排水栓装置は、上記段落0003に記載した従来例と同様の方法によって浴槽等に設けられた取着孔に取着され、上記段落0004に記載された従来例と同様の方法によって排水口を自在に開閉することができる。
【0024】
更に上記第二実施例の遠隔操作式排水栓装置においては、弁支持部材(7)に設けられた、弁体(3)の動作を安定させる安定リブ(6)が、開口して静止した状態において、弁体(3)のほぼ垂直もしくはほぼ水平な面と当接する事が無く、少なくとも閉口して静止した状態においては、弁体(3)の下方の水平面に当接する構成となっている。そのため、上記段落0021に記載した第一実施例の効果と同様の効果を備えている。
【0025】
本発明の実施例は上記のようであるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で自由にその構成を変更することができる。
例えば、上記実施例では安定リブ(6)をレリースワイヤ(5)端部のガイド筒(5d)に当接するように構成してなるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、図7乃至図9に示したように安定リブ(6)が排水栓(1)の排水口(2)の垂直な内壁面に当接するように構成したり、又は図10乃至図12に示したように安定リブ(6)を弁支持部材(7)に当接するように構成しても、当接部分をガイド筒(5d)としたときと同様の理由により、同様の作用・効果が得られるため、本発明の目的を達成することができる。
また、安定リブ(6)の形状に付いても、上記の第一実施例のような環状形状ではなく、第二実施例や図7乃至図9に示した実施例のように、単に弁支持部材(7)の上面や弁体(3)の下面に、軸対象に複数箇所(3箇所以上、好ましくは4箇所以上)突起を設けて、それら複数の突起が所定の部分(ガイド筒(5d)、弁支持部材(7)、排水口(2)、又は弁体(3)等対向する部材の、水平又は垂直な面等)に当接するような構成としても、本発明の目的を達成することができる。
また、排水口(2)の周縁に傾斜面(8)を設けて、傾斜面(8)内に弁体(3)が収納されるようにした排水栓(1)や、水密パッキン(4)に、排水栓(1)との当接する当接部分の弾性変形を容易とする肉薄な部分を形成して可撓部分(9)とし、更に、水密パッキン(4)の当接部分の上方に逃げ空間(10)を設けた場合であっても、安定リブ(6)の働きによって弁体(3)が傾斜することが無いため、排水口(2)の閉口時、弁体(3)の片側に大きな力が作用した際にも、排水口(2)の閉塞は良好に維持される。
【0026】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成したため、以下のような効果を奏する。
1.本発明においては、安定リブを、排水口が開口して静止した状態において、弁体(3)のほぼ垂直もしくはほぼ水平な面と当接する事が無く、少なくとも閉口して静止した状態においては、ガイド筒、弁支持部材、排水栓、弁体等の水平又は垂直な面に当接する構成としたため、
弁体の開口時に、弁体の側面方向から部材の破損が生じる程度の大きな応力が加えられた場合であっても、開口時には安定リブがガイド筒、弁支持部材、また排水栓の垂直な内周面に当接することが無いため、安定リブとガイド筒、弁支持部材、また排水栓の垂直な内周面との間で破損が生じることが無い。
2.排水口の周縁にその上端縁が弁体及び水密パッキンの外周縁よりも大径であって、且つ下方ほど縮径する傾斜面を設けた排水栓や、水密パッキンに、排水栓との当接する当接部分の弾性変形を容易とする肉薄な部分からなる可撓部分を形成し、更に、水密パッキンの当接部分の上方であって弁体との間に、当接部分が上方へと撓むことを可能とする逃げ空間を設けた弁体等を遠隔操作式排水栓装置に採用した場合に、弁体の閉口時、弁体の片側に大きな力が作用した際でも、安定リブが排水栓、又は排水栓に固定された部材、又は弁体に当接しているため、弁体が傾斜して排水口の水密性が失われることが無い。
3.また、安定リブの当接部分の全高も従来例のものより短縮されたため、従来例と比較して排水口の開口が大きくなり、遠隔操作式排水栓装置の排水性能を向上させている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の開口状態を示す一部を切欠した参考図である。
【図2】本発明の実施例の閉口状態を示す一部を切欠した参考図である。
【図3】本発明の実施例の、排水栓を拡大した断面図である。
【図4】本発明の実施例の開口状態を示す一部を切欠した参考図である。
【図5】本発明の実施例の閉口状態を示す一部を切欠した参考図である。
【図6】本発明の実施例の、排水栓を拡大した断面図である。
【図7】本発明の、安定リブを排水口に当接するようにした実施例の開口状態を示す、一部を切欠した参考図である。
【図8】本発明の、安定リブを排水口に当接するようにした実施例の閉口状態を示す、一部を切欠した参考図である。
本発明の実施例の閉口状態を示す一部を切欠した参考図である。
【図9】本発明の安定リブを排水口に当接するようにした実施例の、排水栓を拡大した断面図である。
【図10】本発明の、安定リブを弁支持部材に当接するようにした実施例の開口状態を示す、一部を切欠した参考図である。
【図11】本発明の、安定リブを弁支持部材に当接するようにした実施例の閉口状態を示す、一部を切欠した参考図である。
本発明の実施例の閉口状態を示す一部を切欠した参考図である。
【図12】本発明の安定リブを弁支持部材に当接するようにした実施例の、排水栓を拡大した断面図である。
【図13】従来の遠隔操作式排水栓装置の、一部を切欠した参考図である。
【図14】排水栓に傾斜面を設けた、従来の遠隔操作式排水栓装置の、排水栓を拡大した断面図である。
【図15】排水栓に傾斜面を設けた、従来の遠隔操作式排水栓装置の、弁体が傾斜した状態を示す断面図である。
【図16】従来の遠隔操作式排水栓装置の、塵芥によって弁体が傾斜した状態を示す断面図である。
【図17】水密パッキンに可撓部分と逃げ空間を設けた、従来の遠隔操作式排水栓装置の、排水栓を拡大した断面図である。
【図18】水密パッキンに可撓部分と逃げ空間を設けた、従来の遠隔操作式排水栓装置の、塵芥に応じて水密パッキンが変形した状態を示す断面図である。
【図19】従来の遠隔操作式排水栓装置の、塵芥によって弁体が傾斜した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 排水栓 2 排水口
3 弁体 4 水密パッキン
5 レリースワイヤ 5a アウターチューブ
5b ガイド筒 5c 支持軸
5d インナーワイヤ 6 安定リブ
7 弁支持部材 8 傾斜面
9 可撓部分 10 逃げ空間
11 操作スイッチ 12 凸部
13 係合爪 14 リング部
15 アーム部 16 接続部
17 弁部 18 被係合部
19 排水エルボ 20 排出口
21 挿通孔 D 塵芥
Claims (8)
- 排水口(2)を設けた排水栓(1)と、
該排水口(2)を開閉する弁体(3)と、
弾性材よりなり、弁体(3)下面にリング状に設けられ、弁体(3)と排水口(2)とを水密的に当接させる水密パッキン(4)と、
中空にしてその端部が排水栓内に配置固定されるアウターチューブ(5a)、該アウターチューブ(5a)中に進退自在に収納され、且つ一方の端部に弁体(3)の開閉操作によって着脱しない程度の強度で弁体(3)と係合する支持軸(5b)を備えてなり、その進退の動作に対応して弁体(3)が上下動作し、排水口(2)の開閉を行うインナーワイヤ(5c)からなるレリースワイヤ(5)と、から構成された遠隔操作式排水栓装置において、
前記アウターチューブ(5a)端部に筒状のガイド筒(5d)を設け、該ガイド筒(5d)を排水栓(1)の排水口(2)内に固定すると共に、
排水口(2)が開口して静止した状態では、ガイド筒(5d)のほぼ垂直な面と当接する事が無く、弁体(3)が降下して排水口(2)を閉口する際、少なくとも排水口を閉口して静止した状態においては、ガイド筒(5d)のほぼ垂直な面と当接して、弁体(3)が傾斜することを防止する安定リブ(6)を弁体(3)に構成したことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。 - 排水口(2)を設けた排水栓(1)と、
該排水口(2)を開閉する弁体(3)と、
弾性材よりなり、弁体(3)下面にリング状に設けられ、弁体(3)と排水口(2)とを水密的に当接させる水密パッキン(4)と、
中空にしてその端部が排水栓内に配置固定されるアウターチューブ(5a)、該アウターチューブ(5a)中に進退自在に収納され、且つ一方の端部に弁体(3)の開閉操作によって着脱しない程度の強度で弁体(3)と係合する支持軸(5b)を備えてなり、その進退の動作に対応して弁体(3)が上下動作し、排水口(2)の開閉を行うインナーワイヤ(5c)からなるレリースワイヤ(5)と、から構成された遠隔操作式排水栓装置において、
上記レリースワイヤ(5)の端部と接続すると共に、排水口(2)内に配置固定され、アウターチューブ(5a)の端部を排水口(2)内に配置する弁支持部材(7)を備えると共に、
排水口(2)が開口して静止した状態では、弁支持部材(7)のほぼ垂直な面と当接する事が無く、
弁体(3)が降下して排水口(2)を閉口する際、少なくとも排水口を閉口して静止した状態においては、弁支持部材(7)のほぼ垂直な面と当接して、
弁体(3)が傾斜することを防止する安定リブ(6)を弁体(3)に構成したことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。 - 排水口(2)を設けた排水栓(1)と、
該排水口(2)を開閉する弁体(3)と、
弾性材よりなり、弁体(3)下面にリング状に設けられ、弁体(3)と排水口(2)とを水密的に当接させる水密パッキン(4)と、
中空にしてその端部が排水栓内に配置固定されるアウターチューブ(5a)、該アウターチューブ(5a)中に進退自在に収納され、且つ一方の端部に弁体(3)の開閉操作によって着脱しない程度の強度で弁体(3)と係合する支持軸(5b)を備えてなり、その進退の動作に対応して弁体(3)が上下動作し、排水口(2)の開閉を行うインナーワイヤ(5c)からなるレリースワイヤ(5)と、から構成された遠隔操作式排水栓装置において、
排水口(2)が開口して静止した状態では、排水栓(1)のほぼ垂直な面と当接する事が無く、
弁体(3)が降下して排水口(2)を閉口する際、少なくとも排水口を閉口して静止した状態においては、排水栓(1)のほぼ垂直な面と当接して、
弁体(3)が傾斜することを防止する安定リブ(6)を弁体(3)に構成したことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。 - 排水口(2)を設けた排水栓(1)と、
該排水口(2)を開閉する弁体(3)と、
弾性材よりなり、弁体(3)下面にリング状に設けられ、弁体(3)と排水口(2)とを水密的に当接させる水密パッキン(4)と、
中空にしてその端部が排水栓内に配置固定されるアウターチューブ(5a)、該アウターチューブ(5a)中に進退自在に収納され、且つ一方の端部に弁体(3)の開閉操作によって着脱しない程度の強度で弁体(3)と係合する支持軸(5b)を備えてなり、その進退の動作に対応して弁体(3)が上下動作し、排水口(2)の開閉を行うインナーワイヤ(5c)からなるレリースワイヤ(5)と、から構成された遠隔操作式排水栓装置において、
排水栓(1)もしくは排水栓(1)に固定される部材に、
開口して静止した状態において、弁体(3)のほぼ垂直もしくはほぼ水平な面と当接する事が無く、
少なくとも閉口して静止した状態においては、弁体(3)のほぼ垂直もしくはほぼ水平な面と当接して、
弁体(3)が傾斜することを防止する安定リブ(6)を設けたことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。 - 上記遠隔操作式排水栓装置において、
弁体(3)下面をほぼ水平な平面とすると共に、弁支持部材(7)の上方を向いた面に安定リブ(6)を設け、上記安定リブ(6)を弁体(3)下面に当接させることを特徴とする、上記請求項4に記載の遠隔操作式排水栓装置。 - 上記遠隔操作式排水栓装置において、安定リブ(6)を、支持軸(5b)を中心として、
環状に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置。 - 前記遠隔操作式排水栓装置において、排水口(2)の周縁に、少なくともその上端縁が弁体(3)及び水密パッキン(4)の外周縁よりも大径であって、且つ下方ほど縮径する傾斜面(8)を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
- 前記遠隔操作式排水栓装置において、
水密パッキン(4)に、排水栓(1)と当接する当接部分の弾性変形を容易とする可撓部分(9)を形成し、
更に、水密パッキン(4)の当接部分の上方であって弁体(3)との間に、当接部分が上方へと撓むことを可能とする逃げ空間(10)を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
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