JP4516353B2 - 収差測定方法 - Google Patents
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Description
図14は、従来の収差測定方法を説明するための図であり、図14(a)は測定に使用するフォトマスクマスクを示し、図14(b)はコマ収差がある場合の空間像を示し、図14(c)はコマ収差がある場合のレジストパターンを示している。コマ収差に起因して左右線幅差が生じ、左右線幅差が大きいほどコマ収差が大きくなる。従って、露光装置をセットアップする際には、左右線幅差がなくなるようにレンズ調整が行われる。
第1に、左右線幅差を測定する場合、微細パターンでは光近接効果が大きいため、コマ収差がない場合でも、図15(a)に示すように、両端パターンの空間像は中央と比べて大きく変化する。その結果、図15(b)に示すように、両端のレジストパターンは評価の対象にできない程度に細ってしまうか、パターンが倒れてしまうという問題があった。
第2に、微細パターンではフォトマスクの製造誤差が数倍に増幅されて転写されるため、レジストパターンの左右線幅差が収差に起因するものか、フォトマスクの製造誤差に起因するものか判断できないという問題があった。
このような問題は、上述した他のコマ収差測定方法についても問題となる。
ハーフトーン型位相シフトマスク上に密に形成された開口部を透過した透過光のメインピークによる主開口と、該透過光のサイドピークによる第2開口とをそれぞれ複数有するレジストパターンにおける該主開口と該第2開口との重心間距離のシフト量求め、該シフト量に基づいて前記コマ収差を求めることを特徴とするものである。
露光波長/レンズ開口数の1倍以上√2倍未満のピッチで形成された開口部を有するハーフトーン型位相シフトマスクを用いて露光した場合において、該開口部を透過した透過光のメインピークによる主開口と、該透過光のサイドピークによる第2開口とをそれぞれ複数有するレジストパターンにおける該主開口と該第2開口との重心間距離を求める第1工程と、
前記第1工程の露光条件を変化させて前記ハーフトーン型位相シフトマスクを用いて露光した場合のレジストパターンにおける前記主開口と前記第2開口との重心間距離を求める第2工程と、
前記第1工程で求めた重心間距離と前記第2工程で求めた重心間距離との差分を求め、該差分に基づいて前記コマ収差を求める第3工程とを含むことを特徴とするものである。
図1(a),(b)に示すように、ハーフトーン型位相シフトマスク11は、透明基板110上に、光透過率が0〜20%である半透明膜111が形成されてなる。半透明膜111には後述する主開口に対応する開口部112が、露光装置の(投影倍率)×(露光波長)/(レンズ開口数)の1倍以上√2倍未満、すなわち解像限界の1倍以上√2倍未満のピッチ113で市松状に形成されている。露光装置の照明光コヒーレンスファクタ(以下「照明σ」という。)又は開口部112のサイズ(以下「マスクサイズ」という。)を小さくすれば、このマスク11を用いて露光することにより、主開口と共に第2開口が形成される(後述)。さらに、照明σとマスクサイズを調節することにより、主開口と第2開口の寸法を同等にすることができる(後述)。
基板(若しくはその上に形成された下地膜)10上に形成されたホールレジストパターン21は、マスク11に密に形成された開口部112を透過した透過光のメインピークにより解像された主開口212aと、該透過光のサイドピークにより解像された第2開口(サイドローブ)212bとからなる。第2開口212bは、上下左右の四方を主開口212aによって囲まれた位置、すなわち主開口212aの4点中心位置に形成される。開口212a,212bは、波長/開口数で表される解像限界の1/√2倍以上1倍未満のピッチ114で形成されている。
しかし、本発明者の鋭意検討によれば、コマ収差に起因して主開口と第2開口とで光学像シャープネスが乖離する場合、図3及び図4に示すように、主開口222aの位置ズレ量と、第2開口222bの位置ズレ量とが異なることが分かった。すなわち、コマ収差により光学像シャープネスが乖離する場合、主開口222aと第2開口222bとの相対的位置関係(相対的距離)がシフトしてしまうことが分かった。
本発明者は、図4に示すように、主開口222aと第2開口222bとの重心間距離のシフト量を求め、該シフト量に基づいてコマ収差を求める手法を見出した。本実施の形態では、高精度でコマ収差を測定するため、主開口222aとその上下左右に位置する4つの第2開口222bとの重心間距離をそれぞれ求め、この求められた4つの重心間距離の平均値を重心間距離として採用することとした。また、図5に示すように、開口222a,22bの円周を複数に分割することにより得られた各辺からの距離の二乗和が最も小さくなるような点を重心と定義した。
図2に示す密集パターンの中から、パターン群Xを選択する(ステップS11)。パターン群Xは、第2開口212bを中心とする3×3個の開口212a,212bを最低限含むパターン群とする。次に、選択したパターン群Xについて照明σ=0.3で露光した場合に、パターン群Xにおける主開口と第2開口の寸法差を最小とするマスクサイズYを空間像シミュレーションにより算出する(ステップS12)。マスクサイズYは、図1に示すハーフトーン型位相シフトマスク11に形成された開口部112の寸法をいう。次に、算出したマスクサイズYでハーフトーン型位相シフトマスクを作製して、該ハーフトーン型位相シフトマスクを用いて主開口と第2開口の露光を行い、主開口と第2開口の寸法差が最小となるように照明σを補正する(ステップS13)。ここで、第2開口の解像ピークを考慮して、照明σを補正する範囲は0.2以上0.4以下とする。
なお、本ステップS1は、全てシミュレーションにより行うことができる。また、照明σを補正した後、さらにマスクサイズYの変更をシミュレーションで行うことができる。
先ず、主開口と第2開口が解像可能な露光条件での重心間距離を求める。露光条件の一例として、露光波長:157.6nm、レンズ開口数:0.80のF2エキシマレーザ露光装置を用いて露光する場合の、照明σ:0.30、マスクパターンピッチ:212nm、マスクサイズ:94nm、マスク半透明膜の透過率:6%の条件を想定することができる。本発明者によるシミュレーションの結果、レジストパターンピッチが、マスクパターンピッチ212nmの1/√2倍の150nmである密集ホールパターンが得られる。露光量を適切に設定することで、主開口と第2開口の寸法を共に80nmとすることができる。また、本最適露光条件での主開口と第2開口の光学像シャープネスは同一である。光学像シャープネスを示す指標として、下式で与えられるNILS(Normalized Image Log-Slope)と呼ばれる指標を用いると、主開口と第2開口のNILSは共に2.34と算出される。
NILS=(線幅)×(dI/dx)/Ith
(上式中、dI/dxは光学像の勾配を示し、Ithは該線幅を与える光強度閾値を示す。)
NILSは理想として2.0以上あることが望ましいことから、この手法により寸法及び光学像シャープネスの両方の観点から、ピッチ150nmの密集ホールの形成は可能であると判断できる。本実施の形態では、この露光条件での主開口と第2開口との重心間距離を求める。なお、上述したように、露光条件の決定に際し、照明σとマスクサイズの最適化を行うことができる。
ここで、マスクパターンピッチを212nmから226nm及び233nmにそれぞれ変更する場合について説明する。パターンピッチを212nmにした場合、レジストパターンピッチは1/√2倍の160nmであり、主開口と第2開口のNILSはそれぞれ2.64、2.42と算出される。一方、パターンピッチを233nmにした場合、レジストパターンピッチは1/√2倍の165nmであり、主開口と第2開口のNILSはそれぞれ2.71、2.18と算出される。これより、上記露光条件からパターンピッチをずらすほど、主開口と第2開口のNILSの差、すなわち光学像シャープネスの乖離が大きくなることが分かる。そして、この変更した露光条件での主開口と第2開口との重心間距離を求める。光学像シャープネスの乖離が生じると、上述したように重心間距離がシフトする。この重心間距離と、先に求めた重心間距離との差分を求め、この差分を重心間距離シフト量とする。
図8に示すように、マスクパターンピッチが212nmである場合、コマ収差の大きさに関わらず、NILSは全く一定であり、重心間距離も一定である。すなわち、重心間距離のシフト量はゼロである。主開口と第2開口からなる密集ホール群だけを見れば、主開口と第2開口の位置ズレはなく正常にホール群が形成されているように見える。これは、全ての密集ホール群の位置が一定距離だけシフトしているだけであり、実際にはコマ収差の影響を受けている。しかし、重心間距離のシフト量に基づく本発明の手法によっては、コマ収差を求めることができない。
さらに、本実施の形態による収差測定方法では、主開口及び第2開口が解像する限りコマ収差を測定可能である。よって、従来必要であった厳密な露光条件の最適化が不要である。また、重心間距離の測定は、通常のレジストパターン観察に用いる走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて行うことができる。
11,12 ハーフトーン型位相シフトマスク
21,22,23 レジストパターン
110 透明基板
111,121 半透明膜
112,122 開口部
113,123 ピッチ
212a,222a,232a 主開口
212b,222b,232b 第2開口
Claims (3)
- 露光装置のコマ収差を測定する方法であって、
ハーフトーン型位相シフトマスク上に密に形成された開口部を透過した透過光のメインピークによる主開口と、該透過光のサイドピークによる第2開口とをそれぞれ複数有するレジストパターンにおける該主開口と該第2開口との重心間距離のシフト量を求め、該シフト量に基づいて前記コマ収差を求め、
前記主開口及び前記第2開口を解像可能な露光条件で露光した場合の前記主開口と前記第2開口との重心間距離と、該露光条件を変化させて露光した場合の前記主開口と前記第2開口との重心間距離との差分を算出することにより、前記シフト量を求めることを特徴とする収差測定方法。 - 請求項1に記載の収差測定方法において、
照明光コヒーレンスファクタ、露光波長及びレンズ開口数、並びに、前記開口部のサイズ及びパターンピッチ、並びに、前記ハーフトーン型位相シフトマスクの半透明膜の透過率の何れかを変化させることにより、前記露光条件を変化させることを特徴とする収差測定方法。 - 露光装置のコマ収差を測定する方法であって、
露光波長/レンズ開口数の1倍以上√2倍未満のピッチで形成された開口部を有するハーフトーン型位相シフトマスクを用いて露光した場合において、該開口部を透過した透過光のメインピークによる主開口と、該透過光のサイドピークによる第2開口とをそれぞれ複数有するレジストパターンにおける該主開口と該第2開口との重心間距離を求める第1工程と、
前記第1工程の露光条件を変化させて前記ハーフトーン型位相シフトマスクを用いて露光した場合のレジストパターンにおける前記主開口と前記第2開口との重心間距離を求める第2工程と、
前記第1工程で求めた重心間距離と前記第2工程で求めた重心間距離との差分を求め、該差分に基づいて前記コマ収差を求める第3工程とを含むことを特徴とする収差測定方法。
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