JP4515180B2 - 音叉型圧電振動ジャイロ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主として携帯機器に搭載可能な超小型ナビゲーションシステムや姿勢制御装置、カメラ一体型VTRの手振れ防止装置などに組み込まれるジャイロ装置に関し、特にコリオリ力を利用した音叉型圧電振動ジャイロ装置に関するものである。
従来から、音叉型振動子を用いた振動ジャイロ装置が知られている。この種の振動ジャイロ装置の原理は、以下の通りである。振動子が一定方向にある速度で振動(駆動モード)が印加されている状態で、被検出対象である角速度が与えられると、駆動モードの印加速度と角速度がともに直交する方向に、コリオリ力が発生し振動(検出モード)が励起される。その検出モードの励起速度は、駆動モードの印加速度と角速度に比例するので、駆動モードの印加速度の大きさを一定にした状態では、検出モードの励起速度の大きさより振動子に与えられた角速度を算出することが可能となる。このとき、振動子を駆動する手段、及び角速度に比例する検出モードの励起速度を検出する手段として、圧電体を利用したものが、圧電振動ジャイロ装置である。
従来の圧電振動ジャイロ装置としては、1)圧電薄膜を利用する場合と、2)圧電単結晶あるいは圧電セラミックを利用する場合が挙げられる。
例えば、特許文献1には、圧電薄膜を利用した音叉型圧電振動ジャイロ装置が開示されている。図4に、特許文献1に記載の圧電薄膜を利用した音叉型圧電振動ジャイロ装置に用いられる音叉型圧電振動子を示す。図4に示すように、特許文献1に開示された音叉型圧電振動子41は、略厚さ0.2mmのシリコン(110)を基材とする第1、第2の脚部42、43の主面45に、下部電極50、51、52、53である略厚さ4000ÅのTi/Ptと上部電極58、59、60、61である略厚さ3000ÅのTi/Au層間に、圧電薄膜54、55、56、57である略厚さ2〜3μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)薄膜がスパッタリング法により形成されている。所定の電極間に駆動電圧を印加すると、PZT薄膜の圧電効果より、駆動モードの印加速度が振動子に与えられる。この状態の下、被検出対象である角速度が加わると、コリオリ力が駆動モードに対して直角方向に発生し検出モードの振動が励起される。検出モードの振動は、PZT薄膜に発生する出力電圧より検出される。圧電薄膜としては、PZTの他にも、酸化亜鉛(ZnO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等も適用される。
圧電薄膜の形成方法としては、前述のスパッタリング法以外にも、真空蒸着法、化学的気相堆積(CVD)法、ゾルゲル法等がある。然しながら、一般に、そのような方法により形成された圧電薄膜は、酸素等の欠損による組成ずれが発生し易く、結晶配向性薄膜を得るのは容易ではなく、酸素等の反応性ガス雰囲気で500℃以上の高温加熱あるいは熱処理が必要とされている。
それに対して、特許文献2に、他例の圧電薄膜形成方法としてレーザアブレーション法が開示されている。これは反応室内に雰囲気ガスを一定圧力で導入し、所望のターゲット材にレーザ光を照射して、ターゲット材からの脱離・射出物質を対向基板に堆積させて薄膜を形成する方法である。この成膜方法の特徴としては、酸素等の反応性ガスの導入や基板の高温加熱を必要とすることなく、容易にターゲット材と同一組成の結晶配向性薄膜を得ることが可能となり、基板材料が限定されることなく、半導体プロセスとの整合性をとることが可能である。
一方、特許文献3には、他例の音叉型圧電振動子として、圧電単結晶を利用した音叉型圧電振動子が記載されている。図5に、特許文献3に記載の圧電単結晶を利用した音叉型圧電振動子を示す。図5に示すように、この音叉型圧電振動子70の材質は、圧電材料単体からなっており、特に、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムもしくはランガサイトの回転Y板からなっている。回転Y板とは、タンタル酸リチウム等の単結晶において、電気軸をX軸、機械軸をY軸、光軸をZ軸とした直交座標系において、Y軸回りにXZ平面を主面として形成したものである。第1駆動電極72a,72c、第2駆動電極72b,72dからなる駆動電極72は、例えばCr/Ni薄膜、Ti/Au薄膜、あるいはAl薄膜等が、スパッタリング法、あるいは真空蒸着法等により形成されている。また、一般に振動子の加工は、電極形成を行った後に、所望の振動子形状に切断するためにダイシングソー、或いはウェットエッチング法、ドライエッチング法が用いられている。更に、振動子と支持体の接合には、セラミックスの場合は主に可とう性のある接着剤が利用され、単結晶材の場合には直接接合等が利用されている。圧電振動ジャイロ装置としての基本的動作は、前述の特許文献1に記載の音叉型圧電振動ジャイロ装置と同様であり、PZT薄膜の代わりに所望の圧電単結晶を利用している。また、圧電セラミックスを利用した場合にも、圧電単結晶を利用した圧電振動型ジャイロ装置と同様の効果が得られる。
特開2003−227719号公報 特開2002−324926号公報 特開2001−185987号公報
特許文献1に記載の音叉型圧電振動ジャイロ装置のように、圧電薄膜の機能としては、振動子を駆動する手段と角速度に比例する検出モードの励起速度を検出する手段とを有し、具体的には、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)等が代表的である。これらの圧電薄膜は、一般的には、スパッタリング法、真空蒸着法、ゾルゲル法等により形成される。
然しながら、前述のように、成膜中に基板の高温加熱を行う必要があり、成膜材料と基板材料、あるいは成膜材料と基板表面の下部電極との間の反応が問題となる。更には、酸素等の反応ガスの導入は、半導体プロセスにおいて整合性を取ることは非常に困難である。また、一般に、成膜速度は、スパッタ法の場合、最大速度1μm/時間程度であり、更に、ゾルゲル法の場合は、1〜2μm程度の膜厚を得るために10回程度のスピンコートと、各々層毎に焼成するプロセスが必要となり、数十時間以上を要するため、生産効率が非常に悪い。
以上のように、圧電薄膜の形成には、成膜速度が低いことや、配向処理あるいは結晶方位処理、分極処理などの煩雑な手続きが必要とされており、その対策として、特許文献2に記載のレーザアブレーション法なども提案されている。
レーザアブレーション法によれば、酸素等の欠損による組成ずれが少なく、結晶配向性薄膜が容易に得られ、酸素等の反応性ガス雰囲気中での500℃以上の高温加熱あるいは熱処理が不要とされているが、特許文献2にも記載されているように、結晶性向上のためには、酸素雰囲気、あるいは窒素雰囲気中で基板加熱(500℃以下)を行うことが有効である。また、形成直後の薄膜は、結晶性が悪く、欠陥が存在する等の問題が生じることも指摘されており、温度特性、耐熱性等の観点より単結晶材料には及ばないのが現状である。
また、圧電単結晶あるいは圧電セラミックを利用する場合、圧電材料としては、一般に、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムもしくはランガサイトがある。これらの材料を用いた振動子の加工には、電極形成を行った後に、所望の振動子形状に切断するためにダイシングソー、或いはウェットエッチング法、ドライエッチング法が用いられている。更に、振動子と支持体の接合には、セラミックスの場合は主に可とう性のある接着剤が利用され、単結晶材料の場合には直接接合等が利用されている。
具体的には、ダイシングソーによる圧電振動子の最小切断寸法は、一般に約30μm〜300μmであり、切断精度は、±0.3μm〜±5μm程度である。実際には、切断加工時のチッピングにより、加工精度はさらに悪く振動子の製造上の大きな課題となっている。例えば、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶の場合、切断面外周に約10μmのチッピングが存在しており、PZT等のセラミックス材の場合は、チッピングの度合いはより顕著である。
これに対して、加工精度がよいとされるウェットエッチング、あるいはドライエッチングを適用する場合、エッチングレートが低く200〜400μm程度の圧電単結晶板を貫通させるために長時間を要し、量産に不向きであることが課題とされている。
例えば、フッ酸(HF)と硝酸(HNO)の混合液によるウェットエッチングの他、イオンミリング、反応性イオンエッチング等のドライエッチングが用いられており、HF系の混合液によるウェットエッチングでは、エッチングレートは1250Å/分程度であり、また、ドライエッチングの場合では、イオンミリングで400Å/分、反応性イオンエッチング(RIE)で600Å/分(最大で2000Å/分程度)である。従って、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶自体を振動子として加工するような場合、200〜400μm程度の深堀加工が必要となり、30時間以上を要することになる。
然しながら、圧電単結晶を利用した圧電振動子は、圧電薄膜を利用する場合に必要とされる反応性ガス雰囲気中での高温熱処理等が必要なく、生産性に優れているために携帯機器に搭載可能な超小型ナビゲーションシステムや姿勢制御装置、カメラ一体型VTRの手振れ防止装置などに組み込まれるジャイロ装置によく利用されている。ところが、圧電単結晶は、前述のダイシングソーによる切断加工では、加工精度が悪く小型化に向かないこと、加工精度がよいウェットエッチング、ドライエッチングには、エッチングレートが低く、量産に不向きであることが課題となっている。
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決し、加工精度がよく、量産性に優れ、且つ特性のばらつきが少なく、その上、小型の音叉型圧電振動ジャイロ装置を提供することにある。
本発明によれば、上記課題を解決するための手段として、SOI(Silicon-on-Insulator)基板のシリコン活性層と、該シリコン活性層上に接合された圧電単結晶からなる少なくとも2つ以上の脚部と、これらを一体に接続する支持部とを有する圧電振動子と、該支持部直下の埋め込み酸化膜層とシリコン支持基板からなる支持体と、前記圧電単結晶上に形成された駆動電極、検出電極及び基準電位電極と、同一SOI基板上に形成された信号処理回路から構成され、該信号処理回路は、前記圧電振動子を励振させるための駆動信号を前記圧電振動子に供給する機能と、角速度が与えられた場合に発生するコリオリ力に起因する前記圧電振動子の検出振動に応じる出力信号を信号処理する機能とを有する音叉型圧電振動ジャイロ装置が得られる。更に、前述の音叉型圧電振動ジャイロ装置において、前記圧電振動子の駆動モードと検出モードの各周波数がほぼ一致するように、前記圧電単結晶と前記シリコン活性層の幅と厚みを調整できる音叉型圧電振動ジャイロ装置が得られる。また、前述の音叉型圧電振動ジャイロ装置において、前記圧電振動子が圧電単結晶のみからなる音叉型圧電振動ジャイロ装置が得られる。尚、前記圧電単結晶は、水晶、ニオブ酸リチウム、酸化亜鉛、ランガサイト、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムカリウム、ニオブ酸カリウムのいずれかであることが望ましい。
即ち、本発明は、シリコン支持層上に埋め込み酸化膜層、シリコン活性層を順に設けたSOI基板と、前記シリコン活性層上に接合された圧電単結晶とからなり、前記圧電単結晶、前記シリコン活性層及び前記埋め込み酸化膜層の一部を除去して形成され、前記埋め込み酸化膜層を介して前記シリコン支持層に支持された、少なくとも2つ以上の脚部を有し、前記圧電単結晶と前記シリコン活性層とからなる音叉型圧電振動子と、該圧電単結晶上に形成された駆動電極、検出電極及び基準電位電極と、前記シリコン活性層上の前記圧電単結晶が接合されていない部分に形成された信号処理回路とから構成され、前記信号処理回路は、前記圧電振動子を励振させるための駆動信号を前記圧電振動子に供給する機能と、角速度が与えられた場合に発生するコリオリ力に起因する前記圧電振動子の検出振動に応じる出力信号を信号処理する機能とを有することを特徴とする音叉型圧電振動ジャイロ装置である。
また、本発明は、上記の音叉型圧電振動ジャイロ装置において、前記圧電振動子の駆動モードと検出モードの共振周波数がほぼ一致することを特徴とする音叉型圧電振動ジャイロ装置である。
また、本発明は、上記の音叉型圧電振動ジャイロ装置において、前記圧電単結晶は、水晶、ニオブ酸リチウム、酸化亜鉛、ランガサイト、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムカリウム、ニオブ酸カリウムのいずれかであることを特徴とする音叉型圧電振動ジャイロ装置である。
上記の構成を採用することにより、本発明によれば、主として携帯機器に搭載する超小型ナビゲーションシステムや姿勢制御装置、カメラ一体型VTRの手振れ防止装置などに組み込むことが可能な程度の良好な感度を有し、小型且つ、特性ばらつきが少なく、大量生産性に優れた音叉型圧電振動ジャイロ装置を提供できる。
以下に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明における音叉型圧電振動ジャイロ装置の斜視図である。図1に示すように、本発明における音叉型圧電振動ジャイロ装置1は、第1の脚部2及び第2の脚部3と、各脚部2、3を一体で接続する支持部4とからなる音叉型圧電振動子15と、支持部4の直下の埋め込み酸化膜層5と、シリコン支持層6とからなる支持体16、第1の脚部2の主面上に形成された駆動電極8、検出電極7、基準電位電極9と、第2の脚部3の主面上に形成された駆動電極10、検出電極11、基準電位電極9と、同一SOI基板上に形成された信号処理回路12から構成されている。尚、脚部2、3は、SOI基板のシリコン活性層13と、圧電単結晶14から形成されている。
本実施の形態においては、圧電単結晶として、ニオブ酸リチウムを用いた圧電振動ジャイロ装置について説明する。ニオブ酸リチウムは、特に、電気機械結合係数k(以下、結合係数)が、例えば140°Yカット板の場合で結合係数kが60%程度と優れた値を有するため、圧電振動ジャイロには好適である。
具体的には、圧電振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して50°回転した軸と平行にしたニオブ酸リチウム結晶X板を用いる。また、他例として、振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して40°回転した軸と平行したタンタル酸リチウム結晶X板を適用することもできる。このようなカット面を利用することで、振動子の幅方向の電界による圧電横効果が大きく、次に説明するように電極を圧電振動子の1側面でだけで構成することが可能となる。
次に、本実施の形態における音叉型圧電振動ジャイロ装置の動作原理について説明する。図1に示すように、前述の通り音叉型圧電振動子15に、駆動モードである音叉振動モードおよび検出モードである面外振動モードに結合した各駆動電極8,10、検出電極7,11、基準電位電極9が配置され、駆動信号による圧電振動子の励振および角速度に比例する出力信号の検出が可能な音叉型圧電振動ジャイロ装置が構成される。
音叉型圧電振動子15の音叉振動モードの共振周波数に近い周波数の駆動信号を第1の脚部2の駆動電極8、検出電極7、基準電位電極9、及び第2の脚部3の駆動電極10、検出電極11、基準電位電極9に印加することで音叉振動モードを励振する。その状態の下、音叉型圧電振動子15の長手方向の軸に関して角速度が印加されると、角速度に比例したコリオリ力が第1の脚部2及び第2の脚部3に働き、面外振動モードを生じる。この面外振動モードによって生じる出力信号を、第1の脚部2の検出電極7及び第2の脚部3の検出電極11から検出すれば、角速度に比例した出力信号が得られ、音叉型圧電振動ジャイロ装置として機能させることができる。本発明の実施の形態では、駆動モードに音叉振動モード、検出モードに面外振動モードを利用しているが、これらを相互に入れ替え、駆動モードに面外振動モード、検出モードに音叉振動モードを利用することも可能である。
尚、この信号処理回路12は、音叉型圧電振動子15を励振させるための駆動信号を脚部2,3に供給する機能と、角速度が与えられた場合に発生するコリオリ力に起因する脚部2,3の検出振動に応じる出力信号を信号処理する機能とを有している。
以下に、本実施の形態における信号処理回路の詳細について説明する。図2は、本実施の形態における音叉型圧電振動ジャイロ装置の信号処理回路12の構成を示すブロック図である。自励発振回路102から出力される信号を第1の脚部2の駆動電極8に印加し、同時に自励発振回路102から出力される信号を移相回路100によって位相を反転した信号を第2の脚部3の駆動電極10に印加し、音叉振動モードを励振する。第1の脚部2上の検出電極7および第2の脚部3上の検出電極11には、オペアンプ111と抵抗113およびオペアンプ112と抵抗114で構成される電流検出回路が接続されている。これにより、検出電極7,11の電位は、オペアンプの仮想接地によって基準電位に固定されている。その結果、検出電極7,11は、面外振動モードの検出と同時に、駆動電圧を印加するための基準電位を作ることができる。2つの電流検出回路の出力は、加算回路101と自励発振回路102に入力される。加算回路101に入力される2つの信号の音叉振動モード成分は互いに逆位相であり、面外振動モード成分は同位相である。従って、加算回路101から同期検波回路103に入力される信号は、角速度に比例したコリオリ力によって生じる面外振動モード成分のみとなり、ローパスフィルタ104から出力される直流電圧は、角速度に比例した電圧となる。また、自励発振回路102から出力される信号は、駆動電極8、10と移相回路100に帰還されると同時に、同期検波回路103の参照信号として利用される。
次に、本実施の形態における圧電ジャイロ振動子の製造方法について、図3を用いて具体的に説明する。先ず、シリコン活性層37の厚みが5μm程度、埋め込み酸化膜38の厚さが2μm程度、基板全体の厚さが350μm程度のSOI基板31をスタート基板として[図3(a)]、厚さが200μm程度のニオブ酸リチウム基板33を直接接合によりウェハーレベルで貼り合わせ[図3(b)]、機械的研磨及びCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨加工)を併用し、ニオブ酸リチウム基板を10μm程度まで研磨加工する[図3(c)]。尚、SOI基板31の裏面には、公知のCVD(化学的気相成長法)により、厚さ2000Å程度の窒化シリコン膜32が堆積されている。次に、公知の半導体プロセスで用いられているスパッタリング法や、真空蒸着法により、Cr/Au電極34を堆積し、フォトレジスト技術及びエッチング技術により所望のパターン化を行う[図3(d)]。更に、フォトリソグラフィ技術とウェットエッチング技術あるいはドライエッチング技術により、ニオブ酸リチウム、SOI基板のシリコン活性層、及び埋め込み酸化膜層をエッチング除去し、空隙部35を形成する[図3(e)]。ニオブ酸リチウムのエッチングについて、ウェットエッチングの場合にはフッ酸および硝酸の混合液をエッチャントとして適用でき、またドライエッチングの場合には反応イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)装置を用い、フッ素およびアルゴン系の反応ガスを適用できる。シリコン活性層、及び埋め込み酸化膜は、公知のRIEあるいは誘導結合プラズマ反応イオンエッチング(ICP−RIE:Inductively-Coupled Plasma Reactive Ion Etching)装置より、CFガス、あるいはSFガス等によりエッチングされる。ここで、ニオブ酸リチウムの所望のエッチングは、既に図3(c)の工程により研磨加工され10μm程度まで薄膜化されているため、公知のエッチング技術によっても数十分〜1時間程度で終了する。最後に、48%HFにより図1の第1の脚部2及び第2の脚部3直下の埋め込み酸化膜36を除去する[図3(f)]。以上、ウェハーレベルでの圧電単結晶とSOI基板の貼り合わせ技術及びフォトリソグラフィ技術による一括転写技術を適用することにより、小型、且つ形状、特性ばらつきが少なく、大量生産性に優れた音叉型圧電振動ジャイロ装置を提供できる。
本実施の形態では、示される音叉型圧電振動ジャイロ装置のサイズは、以下の通りである。圧電振動子の第1の脚部2および第2の脚部3の長さは約150μm、幅は約15μmである。また、圧電振動子の第1の脚部2及び第2の脚部3のシリコン活性層の厚さは約5μm、圧電単結晶であるニオブ酸リチウムの厚さは約10μmである。ここで、駆動モードである音叉振動モードと検出モードである面外振動モードの共振周波数を略一致するように、圧電振動子の幅とシリコン活性層及び圧電単結晶の厚みを略等しくすることが、検出感度を向上させる上では重要である。この場合の音叉型圧電振動子15の共振周波数は、音叉振動モード及び面外振動モードともに略等しく660kHz程度である。
また、シリコン活性層を完全にエッチング除去することで、ニオブ酸リチウム単体の圧電振動子を形成することが可能であり、この場合の共振周波数においても、音叉振動モード及び面外振動モードともに略等しく590kHz程度ある。尚、この場合のニオブ酸リチウム単体による圧電振動子の幅は15μm程度、厚みは15μm程度である。ここで、前述のシリコン活性層とニオブ酸リチウムの貼り合わせ構造からなる圧電振動子の場合に比べ、ニオブ酸リチウム単体から成る圧電振動子の共振周波数は70kHz程度低下しているが、これはニオブ酸リチウムとシリコンの比重差に基づく、略、圧電振動子の質量効果によるためである。
シリコン活性層とニオブ酸リチウムの貼り合わせ構造、ニオブ酸リチウム単体の構造の何れにしても、圧電振動子の幅と厚みを調整することで、音叉振動モードと面外振動モードの共振周波数をともに制御することができる。更には、本実施の形態で示す音叉型圧電振動ジャイ口装置のように、駆動電極及び検出電極が圧電振動子の一主面のみに形成されている場合、圧電横効果に寄与する電界が界面近傍に集中するために、圧電単結晶の厚みを薄くした場合においても、圧電単結晶のみに比べて著しい圧電振動ジャイロ装置としての特性の劣化は見られない。そのため、一般にエッチング加工が困難な圧電単結晶をウェハーレベルから加工する必要もなく、本実施の形態で示されるように、加工性が良好なSOI基板のシリコン活性層を音叉振動モードと面外振動モードの周波数調整として利用することができる。尚、本実施の形態では、圧電単結晶とSOI基板のシリコン活性層との貼り合わせ構造について説明しているが、SOI基板の代わりに通常のシリコン基板を用いても同様の効果が期待できることは言うまでもない。
本発明における音叉型圧電振動ジャイロ装置の斜視図。 本発明における音叉型圧電振動ジャイロ装置の信号処理回路のブロック図。 本発明における音叉型圧電振動ジャイロ装置の工程図。 従来の圧電薄膜を利用した音叉型圧電振動ジャイロ装置に用いられる音叉型圧電振動子の斜視図。 従来の圧電単結晶を利用した音叉型圧電振動子の説明図。図5(a)は、平面図。図5(b)は、底面図。
符号の説明
1 音叉型圧電振動ジャイロ装置
2 (第1の)脚部
3 (第2の)脚部
4 支持部
5 埋め込み酸化膜層
6 シリコン支持層
7,11 検出電極
8,10 駆動電極
9 基準電位電極
12 信号処理回路
13 シリコン活性層
14 圧電単結晶
15 音叉型圧電振動子
16 支持体
31 SOI基板
32 窒化シリコン膜
33 ニオブ酸リチウム基板
34 Cr/Au電極
35 空隙部
36,38 埋め込み酸化膜
37 シリコン活性層
41 音叉型圧電振動子
42,43 脚部
44 支持部
45 主面
50,51,52,53 下部電極
54,55,56,57 圧電薄膜
58,59,60,61 上部電極
70 音叉型圧電振動子
71 支持部
72 駆動電極
72a,72c 第1駆動電極
72b,72d 第2駆動電極
73A,73B 脚部
73a 一面側
73b 他面側
74 溝
100 移相回路
101 加算回路
102 自励発振回路
103 同期検波回路
104 ローパスフィルタ
111,112 オペアンプ
113,114 抵抗

Claims (3)

  1. シリコン支持層上に埋め込み酸化膜層、シリコン活性層を順に設けたSOI基板と、前記シリコン活性層上に接合された圧電単結晶とからなる音叉型圧電振動ジャイロ装置であって、前記圧電単結晶、前記シリコン活性層及び前記埋め込み酸化膜層の一部を除去して形成され、前記埋め込み酸化膜層を介して前記シリコン支持層に支持された、少なくとも2つ以上の脚部を有し、前記圧電単結晶と前記シリコン活性層とからなる音叉型圧電振動子と、前記圧電単結晶上に形成された駆動電極、検出電極及び基準電位電極と、前記シリコン活性層上の前記圧電単結晶が接合されていない部分に形成された信号処理回路とから構成され、前記信号処理回路は、前記圧電振動子を励振させるための駆動信号を前記圧電振動子に供給する機能と、角速度が与えられた場合に発生するコリオリ力に起因する前記圧電振動子の検出振動に応じる出力信号を信号処理する機能とを有することを特徴とする音叉型圧電振動ジャイロ装置。
  2. 請求項1記載の音叉型圧電振動ジャイロ装置において、前記圧電振動子の駆動モードと検出モードの周波数がほぼ一致することを特徴とする音叉型圧電振動ジャイロ装置。
  3. 請求項1又は2に記載の音叉型圧電振動ジャイロ装置において、前記圧電単結晶は、水晶、ニオブ酸リチウム、酸化亜鉛、ランガサイト、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムカリウム、ニオブ酸カリウムのいずれかであることを特徴とする音叉型圧電振動ジャイロ装置。
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