以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ本発明に係る基板処理装置の概略構成を示す正面図および平面図である。なお、図1,2および以降の各図においては、それらの方向関係を明確にするため必要に応じてZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。なお、本実施形態の基板処理装置による処理対象となる基板は液晶ガラス基板である。
図1および図2に示すように、本実施形態の基板処理装置1は、インデクサー部2、上下に並設された第1基板処理ユニット6および第2基板処理ユニット7、並びに昇降式基板搬送装置10を備える。インデクサー部2は、複数枚の基板を収納したカセット5を載置する載置台4と、載置台4上に載置されたカセット5内から基板を一枚ずつ取り出して第1基板処理装置6に投入する一方、処理を終えた基板を第2基板処理装置7から取り出してカセット5に格納する移戴装置3と、を備える。なお、移戴装置3は、載置台4の長手方向(矢印AR2方向)に移動可能とされたロボットを備える。また、カセット5は図示しないAGVなどの搬送装置によって搬送されて載置台4に受け渡される。
上段の第1基板処理ユニット6および下段の第2基板処理ユニット7は、それぞれ矢印AR11方向および矢印AR12方向に基板を水平搬送する搬送ローラの複数を備え、この搬送ローラによって基板を搬送しつつ所定の処理を行なうように構成されている。本実施形態では、第1基板処理ユニット6は基板に対しエッチング処理を行なうように構成され、第2基板処理ユニット7は基板に対して洗浄処理および乾燥処理を行なうように構成されている。
図3は本発明に係る基板搬送装置の一形態である昇降式基板搬送装置10の側面図であり、図4はその平面図である。昇降式基板搬送装置10は、枠体11に、主として昇降コンベア30と、昇降コンベア30を昇降させる昇降機構20と、昇降コンベア30が上段搬送ラインに上昇しているときにその位置合わせを行う上部位置決め部40と、昇降コンベア30が下段搬送ラインに下降しているときにその位置合わせを行う下部位置決め部50と、を備える。なお、枠体11の底部には昇降式基板搬送装置10の各駆動部に電力を供給する電源ボックス12が設置されている。
昇降機構20は、昇降式基板搬送装置10の幅方向(Y軸方向)の両側部に設けられている。図3に示すように、昇降機構20は、ガイド部材21、モータ22、タイミングベルト24および支持部材25を備える。支持部材25は、昇降コンベア30を支持する。支持部材25は、鉛直方向(Z軸方向)に沿って立設されたガイド部材21に対して摺動自在に設けられるとともに、タイミングベルト24に連結されている。モータ22は、枠体11に固定設置されている。モータ22のモータ軸に連結された主動プーリ23と、枠体11の上部に設けられた従動プーリ26とにタイミングベルト24が巻きかけられている。従って、モータ22が正または逆方向に回転動作を行うと、主動プーリ23と従動プーリ26との間でタイミングベルト24が鉛直方向に沿って回走する。そして、タイミングベルト24が回走するのにともなって、それに連結された支持部材25および支持部材25に支持された昇降コンベア30が鉛直方向に沿って昇降する。
本実施形態においては、昇降機構20は昇降コンベア30を上段搬送ラインUTと下段搬送ラインLTと間で昇降させる。上段搬送ラインUTは、上段の第1基板処理ユニット6が矢印AR11方向に沿って基板Wを水平搬送する高さの搬送ラインである。昇降コンベア30は、上段搬送ラインUTに位置しているときに、第1基板処理ユニット6によって水平搬送されてきた基板Wを受け取って載置する。なお、このような受け渡しのために、第1基板処理ユニット6は、昇降式基板搬送装置10の上段搬送ラインUTに接続される基板受渡口を備える。
一方、下段搬送ラインLTは、下段の第2基板処理ユニット7が矢印AR12方向に沿って基板Wを水平搬送する高さの搬送ラインである。昇降コンベア30は、下段搬送ラインLTに位置しているときに、載置している基板Wを第2基板処理ユニット7に送り出して渡す。このような受け渡しのために、第2基板処理ユニット7も、昇降式基板搬送装置10の下段搬送ラインLTに接続される基板受渡口を備える。
本実施形態においては、昇降機構20をタイミングベルト24を用いたベルト送り機構によって構成しているが、これに限定されるものではなく、昇降コンベア30を上段搬送ラインUTと下段搬送ラインLTとの間で昇降させることができる機構であれば種々の公知のものを採用することができ、例えばボールネジを使用した構成であっても良い。
図5は、昇降コンベア30の斜視図である。また、図6は、昇降コンベア30の底面図である。さらに、図7は、昇降コンベア30の側断面図である。昇降コンベア30は、複数の搬送ローラ31と、それら搬送ローラ31を回転駆動する駆動機構60とを備えている。昇降コンベア30自体は、昇降式基板搬送装置10の枠体11に固定されているものではなく、昇降機構20の支持部材25に着脱自在に載置支持されて昇降自在とされている。複数の搬送ローラ31は、それぞれの長手方向をY方向に沿わすようにして所定のピッチにてカバー32とカバー33との間に配設されている。
各搬送ローラ31の一端((+Y)側端)は図示を省略するベアリングを介してカバー33に回転自在に接続されている。一方、各搬送ローラ31の他端((−Y)側端)はベアリングを介してカバー32に回転自在に接続されるとともに、その先端部にはプーリ36が固設されている。駆動機構60は、カバー32の内部に内臓されており、モータ61、ベルト63、テンションプーリ65および従動プーリ64を備える。モータ61はカバー32の内壁に固定設置されている。テンションプーリ65は、プーリ36の配設間隔の中間位置に回転自在に設けられている。また、カバー32内におけるモータ61とは反対側((+X)側)の位置には従動プーリ64が回転自在に設けられている。ベルト63は、モータ61のモータ軸に固設された主動プーリ62、搬送ローラ31に連結されたプーリ36、テンションプーリ65および従動プーリ64に巻きかけれている。
このような構成によって、モータ61が主動プーリ62を正または逆方向に回転させることにより、ベルト63が回走して各プーリ36が回転し、それに伴って複数の搬送ローラ31が連動して一斉に同速度で回転する。そして、昇降コンベア30が上段搬送ラインUTに位置するときに、駆動機構60がプーリ36を図7の紙面上で反時計回りに回転させて複数の搬送ローラ31を回転させることによって、第1基板処理ユニット6から渡された基板Wを受け取って水平搬送して複数の搬送ローラ31上に載置することができる。また、昇降コンベア30が下段搬送ラインLTに位置するときに、駆動機構60がプーリ36を図7の紙面上で時計回りに回転させて複数の搬送ローラ31を回転させることによって、複数の搬送ローラ31上に載置された基板Wを水平搬送して第2基板処理ユニット7に渡す。なお、第1基板処理ユニット6から渡された基板Wが水平搬送されて昇降コンベア30上の所定位置まで到達したときには、駆動機構60が複数の搬送ローラ31の回転駆動を停止する。これにより、複数の搬送ローラ31上に基板Wが載置保持されることとなる。
カバー32は、駆動機構60を内蔵する筐体である。駆動機構60の全体がカバー32によって覆われる。カバー32の底面には2箇所にフランジ形状の排気口38が形設されている。これら2個の排気口38は、後述する上部位置決め部40および下部位置決め部50の吸気口と接合する。また、カバー32の底面には、第1円錐ブロック71、第2円錐ブロック81、第1Vブロック72、第2Vブロック82が固設されている。
図8および図9は、それぞれ第1円錐ブロック71および第1Vブロック72の斜視図である。第1円錐ブロック71は、四角柱形状のブロック体71aの上面中央部に円錐形状の円錐凹面71bを凹設して構成されている。第1円錐ブロック71は、その円錐凹面71bが下方を向くようにしてカバー32の底面に固設されている。また、第1Vブロック72は、四角柱形状のブロック体72aの上面にV字溝72bを刻設して構成されている。第1Vブロック72は、そのV字溝72bが下方を向くように、かつ、V字溝72bの長手方向が上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLTの搬送方向(X軸方向)に沿うようにカバー32の底面に固設されている。これら第1円錐ブロック71および第1Vブロック72は、上部位置決め部40および下部位置決め部50の球面凸状部材と係合して昇降コンベア30の位置合わせを行うためのものである。
第2円錐ブロック81および第2Vブロック82の構成は上記の第1円錐ブロック71および第1Vブロック72の構成と同じである。すなわち、第2円錐ブロック81は、四角柱形状のブロック体81aの上面中央部に円錐形状の円錐凹面81bを凹設して構成されている。第2円錐ブロック81は、その円錐凹面81bが下方を向くようにしてカバー32の底面に固設されている。また、第2Vブロック82は、四角柱形状のブロック体82aの上面にV字溝82bを刻設して構成されている。第2Vブロック82は、そのV字溝82bが下方を向くように、かつ、V字溝82bの長手方向がX軸方向に沿うようにカバー32の底面に固設されている。これら第2円錐ブロック81および第2Vブロック82は、昇降機構20の支持部材25の球面凸状部材と係合して昇降コンベア30の位置合わせを行うためのものである。なお、本実施形態においては、第2円錐ブロック81および第2Vブロック82が第1円錐ブロック71および第1Vブロック72よりも内側に配置されている。
一方、カバー33は、カバー32と同一の形状を有するが、その内部には駆動機構60の如き機構は存在しない。カバー33の底面にも2箇所にフランジ形状の排気口38が形設されている。これら2個の排気口38は、上部位置決め部40および下部位置決め部50の吸気口と接合する。また、カバー33の底面には、4個の摺動ブロック73,73,83,83が固設されている。これら4個の摺動ブロック73,73,83,83は、例えば樹脂製の四角柱形状のブロック体の上面を平滑にして構成されており、相互に同一のものである。そして、4個の摺動ブロック73,73,83,83は、その平滑面が下方を向くようにしてカバー33の底面に固設されている。本実施形態においては、摺動ブロック83,83が摺動ブロック73,73よりも内側に配置されている。2個の摺動ブロック73,73は上部位置決め部40および下部位置決め部50の摺動部材と当接し、2個の摺動ブロック83,83は昇降機構20の支持部材25の摺動部材と当接するものである。
図10は、上部位置決め部40を示す平面図である。上部位置決め部40は、昇降式基板搬送装置10の上段搬送ラインUTに4つ設けられている(図4参照)。上部位置決め部40は、可動式の台座41に位置合わせ部43および吸気口44を形設して構成される。台座41は、回転軸42を介して昇降式基板搬送装置10の枠体11に回転自在に取り付けられている。台座41は、回転軸42を回転中心にして水平面内にて回転可能である。また、エアシリンダ45は、その基端部が枠体11に取り付けられるとともに、そのピストン先端部が台座41に回動可能に連結されている。エアシリンダ45が伸縮動作を行うことによって台座41は矢印AR10にて示すような回動動作を行う。すなわち、エアシリンダ45が伸長動作を行ったときには、台座41が図10の実線位置に回動し、収縮動作を行ったときには台座41が二点鎖線位置に回動する。なお、エアシリンダ45は、いわゆるクレビス型シリンダであり、枠体11に完全に固定されているのではなく、図10に示す如きの若干の首振り動作が可能である。
吸気口44は、台座41の上面所定位置にフランジ形状に形成されている。この所定位置は、位置合わせ部43によって昇降コンベア30が位置合わせされたときに排気口38と吸気口44とが接合する位置である。吸気口44は、排気ダクト(図示省略)を介して基板処理装置1が設置される工場の排気ラインに連通接続されている。これにより、吸気口44は負圧による吸引力を作用させることができる。
4つの上部位置決め部40に設けられた位置合わせ部43のうち、(−Y)側に並ぶ2つの位置合わせ部43のそれぞれには球面凸状部材46が凸設されている。球面凸状部材46は、少なくとも上面が球面に形成された硬質の部材である。球面凸状部材46は、そのXYZ方向のそれぞれ位置が微調整可能なように位置合わせ部43に対してネジ等によって取り付けられている。これら2個の球面凸状部材46は、昇降コンベア30のカバー32の底面に設けられた第1円錐ブロック71および第1Vブロック72と係合して上段搬送ラインUTにおける昇降コンベア30の位置合わせを行うためのものである。
一方、4つの位置合わせ部43のうち、(+Y)側に並ぶ2つの位置合わせ部43のそれぞれには摺動部材47が設けられている(図5参照)。摺動部材47は、その上面が平滑面とされており、昇降コンベア30のカバー33の底面に設けられた摺動ブロック73,73と当接したときにそれらと摺動自在である。
図11は、下部位置決め部50を示す平面図である。下部位置決め部50は、昇降式基板搬送装置10の下段搬送ラインLTに4つ設けられている。4つの下部位置決め部50のそれぞれは、上部位置決め部40のほぼ真下に設けられている(図3参照)。下部位置決め部50は、固定式の台座51に位置合わせ部53および吸気口54を形設して構成される。この下部位置決め部50が上部位置決め部40と異なるのは、昇降式基板搬送装置10の枠体11に固定設置されている点である。すなわち、下部位置決め部50の台座51は、枠体11に固定して取り付けられている。
吸気口54は、台座51の上面所定位置にフランジ形状に形成されている。この所定位置は、位置合わせ部53によって昇降コンベア30が位置合わせされたときに排気口38と吸気口54とが接合する位置である。吸気口54も排気ダクト(図示省略)を介して工場の排気ラインに連通接続されている。これにより、吸気口54は負圧による吸引力を作用させることができる。
4つの下部位置決め部50に設けられた位置合わせ部53のうち、(−Y)側に並ぶ2つの位置合わせ部53のそれぞれには球面凸状部材56が凸設されている。球面凸状部材56は、上記の球面凸状部材46と同様に、少なくとも上面が球面に形成された硬質の部材である。球面凸状部材56は、そのXYZ方向のそれぞれ位置が微調整可能なように位置合わせ部53に対してネジ等によって取り付けられている。これら2個の球面凸状部材56は、昇降コンベア30のカバー32の底面に設けられた第1円錐ブロック71および第1Vブロック72と係合して下段搬送ラインLTにおける昇降コンベア30の位置合わせを行うためのものである。
一方、4つの位置合わせ部53のうち、(+Y)側に並ぶ2つの位置合わせ部53のそれぞれには摺動部材57が設けられている(図5参照)。摺動部材57は、その上面が平滑面とされており、昇降コンベア30のカバー33の底面に設けられた摺動ブロック73,73と当接したときにそれらと摺動自在である。
また、昇降式基板搬送装置10の幅方向(Y軸方向)の両側部に設けられた昇降機構20のうち、(−Y)側の昇降機構20の支持部材25には2つの球面凸状部材29が設けられている(図12,13参照)。これらの球面凸状部材29は、上記の球面凸状部材46,56と同様の部材であり、支持部材25に対して位置微調整可能に取り付けられている。これら2個の球面凸状部材29は、昇降コンベア30のカバー32の底面に設けられた第2円錐ブロック81および第2Vブロック82と係合して昇降コンベア30が上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLT以外に位置しているときにその位置合わせを行うためのものである。一方、(+Y)側の昇降機構20の支持部材25には2つの摺動部材(図示省略)が設けられている。当該摺動部材は、その上面が平滑面とされており、昇降コンベア30のカバー33の底面に設けられた摺動ブロック83,83と当接したときにそれらと摺動自在である。
次に、上段の第1基板処理ユニット6から渡された基板Wを下段の第2基板処理ユニット7に搬送するときの昇降式基板搬送装置10の動作について説明する。まず、昇降機構20が昇降コンベア30を上段搬送ラインUTまで上昇させる。このときに、昇降コンベア30と上部位置決め部40との干渉を防ぐために、予め上部位置決め部40のエアシリンダ45が収縮動作を行って台座41を待避位置(図4の二点鎖線位置)に待避させておく。台座41が待避位置に待避していれば、昇降コンベア30が上段搬送ラインUTまで上昇したときにも、上部位置決め部40と昇降コンベア30とが干渉することはない。そして、昇降コンベア30は、上段搬送ラインUTよりも若干上方にまで上昇する。
次に、エアシリンダ45が伸長動作を行って台座41を稼働位置(図4の実線位置)まで移動させる。これにより、台座41の位置合わせ部43および吸気口44は昇降コンベア30の下方に位置することとなる。続いて、昇降機構20が昇降コンベア30を上段搬送ラインUTまで若干下降させる。これにより、位置合わせ部43によって昇降コンベア30の位置合わせが行われるとともに、昇降コンベア30の排気口38と上部位置決め部40の吸気口44とが接続される。
図12は、上部位置決め部40によって昇降コンベア30が位置合わせされる状態を示す図である。昇降機構20が昇降コンベア30を上段搬送ラインUTまで下降させると、昇降コンベア30のカバー32の底面に設けられた第1円錐ブロック71および第1Vブロック72がそれぞれ上部位置決め部40の位置合わせ部43の球面凸状部材46と係合するとともに、カバー33の底面に設けられた摺動ブロック73,73が上部位置決め部40の位置合わせ部43の摺動部材47と当接する。なお、図12においては、第1円錐ブロック71および第1Vブロック72と球面凸状部材46との係合を側面から見た状態を示している。これによって、昇降コンベア30は4つの上部位置決め部40によって上段搬送ラインUTに支持されることとなる。昇降コンベア30は昇降機構20の支持部材25に固定されているものではないため、昇降コンベア30が4つの上部位置決め部40に支持された後、支持部材25が若干下降することによって支持部材25の球面凸状部材29が第2円錐ブロック81および第2Vブロック82から離間するとともに、その摺動部材が摺動ブロック83,83から離間する。
上部位置決め部40の2つの球面凸状部材46は、上段搬送ラインUTの搬送基準位置に予め正確に微調整されている。そして、図12の紙面左側の球面凸状部材46が第1円錐ブロック71の円錐凹面71bと係合することにより、該球面凸状部材46の中心線と円錐凹面71bの中心線とが一致するように昇降コンベア30の位置が調整されることとなる。これにより、昇降コンベア30の第1円錐ブロック71は上段搬送ラインUTの搬送基準位置に位置合わせされる。
また、図12の紙面右側の球面凸状部材46が第1Vブロック72のV字溝72bと係合することにより、該球面凸状部材46の中心線とV字溝72bの中心面とが一致するように昇降コンベア30の位置が調整されることとなる。但し、該球面凸状部材46はV字溝72bに対して上段搬送ラインUTの搬送方向(X軸方向)に沿って摺動可能である。つまり、昇降コンベア30の第1円錐ブロック71と図12の紙面左側の球面凸状部材46とが係合することによって昇降コンベア30のXY方向の位置が一点にて上段搬送ラインUTの搬送基準位置に合わされるとともに、第1Vブロック72と図12の紙面右側の球面凸状部材46とが係合することによって昇降コンベア30のY方向の位置が完全に上段搬送ラインUTの搬送基準位置に合わされる。さらに敷衍すれば、第1円錐ブロック71と図12の紙面左側の球面凸状部材46との係合によって昇降コンベア30の位置が第1円錐ブロック71の一点を支点に上段搬送ラインUTの搬送基準位置に合わされ、第1Vブロック72と図12の紙面右側の球面凸状部材46との係合によって昇降コンベア30の姿勢が上段搬送ラインUTの搬送方向(X軸方向)と平行になるように位置合わせされるのである。その結果、これら係合の協働により、搬送コンベア30が上段搬送ラインUTに位置したときに、搬送コンベア30を上段搬送ラインUTの搬送基準位置に正確に位置合わせすることができる。
なお、上部位置決め部40の2つの摺動部材47は搬送コンベア30の摺動ブロック73,73に摺動自在に当接するため、これら当接が上記の位置合わせを阻害するおそれはない。そして、搬送コンベア30の高さ位置に関しては2つの球面凸状部材46および2つの摺動部材47の全てによって上段搬送ラインUTの搬送基準位置に規定されることとなる。
このようにして昇降コンベア30が上段搬送ラインUTの搬送基準位置に正確に位置合わせされた後に、駆動機構60による複数の搬送ローラ31の回転駆動が開始される。これによって、第1基板処理ユニット6から渡された基板Wを受け取って水平搬送し、該基板Wの全体が完全に昇降コンベア30上に移動した時点で、駆動機構60が複数の搬送ローラ31の回転駆動を停止する。これにより、複数の搬送ローラ31上に基板Wが載置保持されることとなる。このときに、昇降コンベア30が上段搬送ラインUTの搬送基準位置に正確に位置合わせされているため、昇降コンベア30上の所定位置に正確に基板Wが載置されることとなる。
ところで、カバー32内では駆動機構60が駆動しているためその駆動機構60からの発塵が発生する。また、カバー33内では駆動機構60は存在しないものの、搬送ローラ31の回転にともなうベアリングからの発塵は生じる。そして、カバー32,33内において発生した発塵は、排気口38と吸気口44との接続部を介して工場の排気ラインへと排出される。従って、駆動機構60からの発塵がカバー32,33から漏れ出てパーティクルとして基板Wに付着することを防止することができる。
次に、昇降機構20の支持部材25が若干上昇することにより、昇降コンベア30のカバー32の底面に設けられた第2円錐ブロック81および第2Vブロック82がそれぞれ支持部材25の球面凸状部材29と係合するとともに、カバー33の底面に設けられた摺動ブロック83,83が支持部材25の摺動部材と当接する。これによって、昇降コンベア30は昇降機構20の支持部材25によって支持されることとなり、支持部材25がさらに若干上昇することによって上部位置決め部40の球面凸状部材46が第1円錐ブロック71および第1Vブロック72から離間するとともに、上部位置決め部40の摺動部材47が摺動ブロック73,73から離間する。
図13は、支持部材25によって昇降コンベア30が搬送ライン以外に支持されている状態を示す図である。図13の紙面左側の球面凸状部材29が第2円錐ブロック81の円錐凹面81bと係合することにより、該球面凸状部材29の中心線と円錐凹面81bの中心線とが一致するように昇降コンベア30の位置が調整されることとなる。これにより、昇降コンベア30の第1円錐ブロック71は昇降機構20の支持部材25によって規定された位置に位置合わせされる。
また、図13の紙面右側の球面凸状部材29が第2Vブロック82のV字溝82bと係合することにより、該球面凸状部材29の中心線とV字溝82bの中心面とが一致するように昇降コンベア30の位置が調整されることとなる。但し、該球面凸状部材29はV字溝82bに対して上段搬送ラインUTの搬送方向(X軸方向)に沿って摺動可能である。つまり、昇降コンベア30の第2円錐ブロック81と図13の紙面左側の球面凸状部材29とが係合することによって昇降コンベア30のXY方向の位置が一点にて昇降機構20の規定位置に合わされるとともに、第2Vブロック82と図13の紙面右側の球面凸状部材29とが係合することによって昇降コンベア30のY方向の位置が完全に当該規定位置に合わされる。
この昇降機構20の支持部材25によって規定される位置についてはさらに後述する。なお、支持部材25の摺動部材は搬送コンベア30の摺動ブロック83,83に摺動自在に当接するため、これら当接が上記の位置合わせを阻害するおそれはない。
また、昇降機構20の支持部材25が若干上昇することにより、排気口38が吸気口44から離間する。その結果、カバー32,33内に負圧が作用しなくなるが、このときには駆動機構60が停止しているため発塵もなく、パーティクルが基板Wに付着するおそれはない。続いて、エアシリンダ45が収縮動作を行って台座41を待避位置に再び待避させる。
そして、昇降機構20が昇降コンベア30を下段搬送位置LTまで下降させる。昇降機構20が昇降コンベア30を下降させている間は、昇降コンベア30は支持部材25によって支持され続ける。昇降機構20が昇降コンベア30を下段搬送ラインLTまで下降させることにより、位置合わせ部53によって昇降コンベア30の位置合わせが行われるとともに、昇降コンベア30の排気口38と下部位置決め部50の吸気口54とが接続される。
具体的には、昇降機構20が昇降コンベア30を下段搬送ラインLTまで下降させると、昇降コンベア30のカバー32の底面に設けられた第1円錐ブロック71および第1Vブロック72がそれぞれ下部位置決め部50の位置合わせ部53の球面凸状部材56と係合するとともに、カバー33の底面に設けられた摺動ブロック73,73が下部位置決め部50の位置合わせ部53の摺動部材57と当接する(図12の二点鎖線の状態)。これによって、昇降コンベア30は4つの下部位置決め部50によって下段搬送ラインLTに支持されることとなる。昇降コンベア30が4つの下部位置決め部50に支持された後、支持部材25が若干下降することによって支持部材25の球面凸状部材29が第2円錐ブロック81および第2Vブロック82から離間するとともに、その摺動部材が摺動ブロック83,83から離間する。
下部位置決め部50の2つの球面凸状部材56は、下段搬送ラインLTの搬送基準位置に予め正確に微調整されている。そして、図12の紙面左側の球面凸状部材56が第1円錐ブロック71の円錐凹面71bと係合することにより、該球面凸状部材56の中心線と円錐凹面71bの中心線とが一致するように昇降コンベア30の位置が調整されることとなる。これにより、昇降コンベア30の第1円錐ブロック71は下段搬送ラインLTの搬送基準位置に位置合わせされる。
また、図12の紙面右側の球面凸状部材56が第1Vブロック72のV字溝72bと係合することにより、該球面凸状部材56の中心線とV字溝72bの中心面とが一致するように昇降コンベア30の位置が調整されることとなる。但し、該球面凸状部材56もV字溝72bに対して上段搬送ラインUTの搬送方向(X軸方向)に沿って摺動可能である。つまり、昇降コンベア30の第1円錐ブロック71と図12の紙面左側の球面凸状部材56とが係合することによって昇降コンベア30のXY方向の位置が一点にて下段搬送ラインLTの搬送基準位置に合わされるとともに、第1Vブロック72と図12の紙面右側の球面凸状部材56とが係合することによって昇降コンベア30のY方向の位置が完全に下段搬送ラインLTの搬送基準位置に合わされる。さらに敷衍すれば、第1円錐ブロック71と図12の紙面左側の球面凸状部材56との係合によって昇降コンベア30の位置が第1円錐ブロック71の一点を支点に下段搬送ラインLTの搬送基準位置に合わされ、第1Vブロック72と図12の紙面右側の球面凸状部材56との係合によって昇降コンベア30の姿勢が下段搬送ラインLTの搬送方向(X軸方向)と平行になるように位置合わせされるのである。その結果、これら係合の協働により、搬送コンベア30が下段搬送ラインLTに位置したときに、搬送コンベア30を下段搬送ラインLTの搬送基準位置に正確に位置合わせすることができる。
なお、下部位置決め部50の2つの摺動部材57は搬送コンベア30の摺動ブロック73,73に摺動自在に当接するため、これら当接が上記の位置合わせを阻害するおそれはない。そして、搬送コンベア30の高さ位置に関しては2つの球面凸状部材56および2つの摺動部材57の全てによって下段搬送ラインLTの搬送基準位置に規定されることとなる。
昇降コンベア30が下段搬送位置LTに位置した時点で、駆動機構60による複数の搬送ローラ31の回転駆動が開始される。これによって、昇降コンベア30は、基板Wを水平搬送して第2基板処理ユニット7へと送り出して渡す。このときに、昇降コンベア30が下段搬送ラインLTの搬送基準位置に正確に位置合わせされているため、下段搬送ラインLTにおいても位置ずれ等を生じることなく正確に基板Wが第2基板処理ユニット7へ渡されることとなる。その後、当該基板Wの全体が完全に昇降コンベア30上から送り出された時点で、駆動機構60が複数の搬送ローラ31の回転駆動を停止する。
このときにも、カバー32,33内で駆動機構60の駆動によって発塵が生じるのであるが、その発塵は排気口38と吸気口54との接続部を介して排気ラインへと排出される。このようにして、上段の第1基板処理ユニット6から下段の第2基板処理ユニット7への昇降式基板搬送装置10による一連の搬送動作が完了する。
ところで、既述したように、上段搬送ラインUTの搬送基準位置と下段搬送ラインLTの搬送基準位置との間には装置設計の公差に起因した不可避的なずれが生じる。特に、処理対象の基板Wが第7世代の大型ガラス基板である場合にはそのずれが大きくなりやすい。なお、上段搬送ラインUTと下段搬送ラインLTとの間の搬送基準位置のずれとして問題になるのは上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLTの搬送方向に対して幅方向(Y軸方向)のずれである。搬送方向に沿った方向(X軸方向)のずれはそもそも問題とならないし、鉛直方向(Z軸方向)は高さの異なる搬送ラインであれば当然に異なるものである。
本実施形態においては、上段搬送ラインUTと下段搬送ラインLTとの間の搬送基準位置のY軸方向のずれ(搬送方向に対して幅方向のずれ)に対処するために、上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLTにそれぞれ上部位置決め部40および下部位置決め部50を設け、昇降コンベア30が上段搬送ラインUTまたは下段搬送ラインLTに位置したときに、昇降コンベア30をその搬送ラインの搬送基準位置に位置合わせするようにしている。具体的には、上述したように、上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLTのそれぞれの搬送基準位置に予め正確に微調整された球面凸状部材46,56と昇降コンベア30に固設された第1円錐ブロック71および第1Vブロック72とを係合させることによって昇降コンベア30を各搬送ラインの搬送基準位置に位置合わせするようにしている。
そして、本実施形態においては、昇降コンベア30が上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLT以外に位置しているときに、上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLTの搬送方向に対して幅方向(Y軸方向)の昇降コンベア30の位置を、昇降機構20の支持部材25によって上段搬送ラインUTの搬送基準位置と下段搬送ラインLTの搬送基準位置との中間位置に位置合わせするようにしている。つまり、上述した昇降機構20の支持部材25によって規定される位置とは、上段搬送ラインUTの搬送基準位置と下段搬送ラインLTの搬送基準位置との中間位置に昇降コンベア30が調整される位置である。具体的には、支持部材25の球面凸状部材29の位置を、上段搬送ラインUTの搬送基準位置と下段搬送ラインLTの搬送基準位置との中間位置に昇降コンベア30が位置調整されうように設定しておく。そして、支持部材25の球面凸状部材29と昇降コンベア30に固設された第2円錐ブロック81および第2Vブロック82とを係合させることによって昇降コンベア30を上段搬送ラインUTの搬送基準位置と下段搬送ラインLTの搬送基準位置との中間位置に位置合わせしている。
これにより、上段搬送ラインUTにおける上部位置決め部40と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時および下段搬送ラインLTにおける下部位置決め部50と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時のそれぞれの昇降コンベア30の位置修正量を最小にすることができる。このことを図14を参照して説明する。
上段搬送ラインUTの上部位置決め部40の球面凸状部材46は、上段搬送ラインUTの搬送基準位置USに予め位置合わせされている。また、下段搬送ラインLTの下部位置決め部50の球面凸状部材56は、下段搬送ラインLTの搬送基準位置LSに予め位置合わせされている。上段搬送ラインUTの搬送基準位置USと下段搬送ラインLTの搬送基準位置LSとのずれ(搬送方向に対して幅方向の距離)が昇降コンベア30の位置調整が必要な要修正幅Aである。
ここで、上記のように、昇降コンベア30が上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLT以外に位置しているときに、上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLTの搬送方向に対して幅方向(Y軸方向)の昇降コンベア30の位置を、昇降機構20の支持部材25によって上段搬送ラインUTの搬送基準位置USと下段搬送ラインLTの搬送基準位置LSとの中間位置MSに位置合わせするようにしておけば、上段搬送ラインUTにおける上部位置決め部40と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時および下段搬送ラインLTにおける下部位置決め部50と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時のそれぞれの昇降コンベア30の位置修正量を”A/2”として最小にすることができるのである。すなわち、昇降機構20によって昇降コンベア30が中間位置MS以外に位置合わせされた場合には、上部位置決め部40と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時または下部位置決め部50と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時のいずれかにおいて”A/2”を超えるものとなる。
また、上段搬送ラインUTにおける上部位置決め部40と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時および下段搬送ラインLTにおける下部位置決め部50と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時のそれぞれでの昇降コンベア30のY軸方向(搬送方向に対して幅方向)の位置調整が可能な調整可能幅Bは、第1円錐ブロック71の円錐凹面71bの底面の半径である。上述の如く、昇降コンベア30が上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLT以外に位置しているときに、Y軸方向の昇降コンベア30の位置を上段搬送ラインUTの搬送基準位置USと下段搬送ラインLTの搬送基準位置LSとの中間位置MSに位置合わせするようにしていれば、”B>A/2”の関係を満たすようにしておくだけで上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLTでの位置調整が可能である。つまり、上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLTでの昇降コンベア30のY軸方向の調整可能幅Bを、上段搬送ラインUTの搬送基準位置USと下段搬送ラインLTの搬送基準位置LSとのY軸方向のずれ(要修正幅A)の二分の一より大きくしておけば、上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLTのそれぞれでの位置調整が可能である。このため、調整可能幅Bを小さく(少なくとも要修正幅Aの二分の一)することができ、その結果第1円錐ブロック71を小型化することができる。なお、B=A/2とすると、それぞれの球面凸状部材56と対応する円錐ブロックの円錐凹面の端部とが接触して干渉するため搬送異常となる。
以上のように、本実施形態においては、昇降コンベア30が上段搬送ラインUTまたは下段搬送ラインLTに位置したときに、基板Wを載置する昇降コンベア30自体をその搬送ラインの搬送基準位置に位置合わせするようにしているため、基板Wを昇降コンベア30に対して位置合わせのためにスライド移動させる必要がなくなり、基板Wや昇降コンベア30の搬送ローラ31を損傷させることなく上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLTのそれぞれの搬送基準位置に対して搬送対象となる基板Wを容易に位置合わせすることができる。
また、昇降コンベア30が上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLT以外に位置しているときに、上段搬送ラインUTおよび下段搬送ラインLTの搬送方向に対して幅方向の昇降コンベア30の位置を、上段搬送ラインUTの搬送基準位置USと下段搬送ラインLTの搬送基準位置LSとの中間位置MSに位置合わせするようにしているため、上段搬送ラインUTにおける上部位置決め部40と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時および下段搬送ラインLTにおける下部位置決め部50と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時のそれぞれの昇降コンベア30の位置修正量を最小にすることができる。このことは、上段搬送ラインUTにおける上部位置決め部40と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時および下段搬送ラインLTにおける下部位置決め部50と支持部材25との間での昇降コンベア30の受け渡し時のそれぞれの昇降コンベア30の位置修正量を最小にしつつも、全体としての最大の修正効果を得ることと同義である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。上記実施形態においては、第1基板処理ユニット6をエッチング処理ユニットとし、第2基板処理ユニット7を洗浄処理および乾燥処理を行なうユニットとしていたが、第1基板処理ユニット6および第2基板処理ユニット7の処理内容はこれらに限定されるものではなく、例えば第1基板処理ユニット6を基板Wにレジスト塗布処理を行う塗布ユニットとし、第2基板処理ユニット7を露光後の基板Wの現像処理を行う現像ユニットとしても良い。
また、上記実施形態においては、図1に示す如く、上段の第1基板処理ユニット6から下段の第2基板処理ユニット7に昇降式基板搬送装置10が基板Wの折り返し搬送を行うように基板処理装置1が構成されていたが、これに限定されるものではなく、昇降式基板搬送装置10のX方向の両側に処理ユニットを配置し、一方向に搬送される基板Wの搬送高さ位置を昇降式基板搬送装置10が変えるようにしてもよい。
また、昇降式基板搬送装置10における搬送位置は2段に限定されるものではなく、3段以上であっても良い。この場合であっても、多段の搬送ラインのそれぞれに昇降コンベア30自体の位置を修正する位置合わせ機構を設けることにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本発明に係る基板搬送装置によって搬送対象となる基板Wは液晶ガラス基板に限定されるものではなく、半導体ウェハであっても良い。