JP4458612B2 - 電子部品装着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品装着装置、更に詳細には、X軸方向に互いに独立して移動可能な少なくとも2つの電子部品保持部を備えたXYロボットを用い保持部で保持された2つの電子部品を電子基板に同時に装着する電子部品装着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、移動可能なヘッドユニットにより部品供給装置(フィーダー)から電子部品を取り出して、位置決めされているプリント基板上に実装するようにされた部品装着装置が一般に知られている。この種の装着装置では、プリント基板が搬送されるコンベア上に作業ステーションを形成し、この作業ステーションにおいてコンベアと平行な水平面内をXY方向に高速で移動するヘッド支持部材を設け、このヘッド支持部材に部品供給部から供給されるチップ部品を吸着して、プリント基板上の所定位置に移し換える作業ヘッドをヘッドユニットに設けたものが知られている(例えば、特開昭62−274800号公報を参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような従来の部品装着装置では、電子部品の装着作業において、プリント基板上に広く分散配置された各所にある多種類の部品の中からそれぞれに適切なものを装着することが必要である。このために作業ヘッドは、集中的に配置された部品供給装置から所要のチップ部品を取り上げ、これをプリント基板の所要の各所に対して移動することが必要となる。そして、かかる装着作業の作業効率を向上せんとする場合、作業ヘッドの移動速度を高めることが考えられるが、同時にそのチップ部品の位置決め精度を所定以上に維持することも当然必要となる。
【0004】
しかし、このように作業ヘッドの移動速度を高めて作業効率の向上を図る場合には、チップ部品の位置決め精度を維持するために、剛性の高いヘッド支持部材や、作業ヘッドの移動を高速で行うために大出力の駆動モータを使用する必要があり、全体構造としてこれらを使用しうるものとする必要があるから、その結果として装置自体が大型化することになる、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、大出力の駆動源を用いて作業ヘッドの移動速度を高めるというような手法に頼らなくとも、搭載速度を向上させ作業効率をあげることが可能な電子部品装着装置を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、X軸方向に互いに独立して移動可能な少なくとも2つの電子部品保持部を備えたXYロボットを用いて各電子部品保持部で保持された電子部品を電子基板に同時に装着する電子部品装着装置において、電子部品を装着する電子基板を旋回させる手段と、該電子部品保持部が行う、電子部品を取り出すための部品供給装置の方向への移動、該電子部品の保持、及び、電子基板の上方への移動の間に、電子基板を旋回させて、電子部品の供給場所と装着位置との距離を短くしながら、電子基板を旋回させると同時に、該電子部品保持部を部品装着位置に移動させ、部品装着位置において電子部品の保持位置と装着位置間の位置ずれを補正して電子部品を電子基板に同時に装着することを特徴とする
【0007】
このような構成では、XYロボットと電子基板を相対的に旋回させてXYロボットを部品装着位置に移動させるので、部品装着位置ではすでに電子部品の粗い位置決めが達成されており、その後電子部品の保持位置と装着位置間の位置ずれを補正して電子部品を電子基板に同時に装着するので、高速にしかも高精度で電子部品を基板に装着することが可能になる。更に、前記の電子部品保持部が行う、電子部品を取り出すための部品供給装置の方向への移動、該電子部品の保持、及び、電子基板の上方への移動の間に、電子基板を旋回させて、電子部品の供給場所と装着位置との距離を短くすることで、装着位置への移動時間を短縮することができる
【0008】
相対的な旋回を、電子部品の装着位置の中心を結ぶ線がX軸にほぼ平行になるように行い、その旋回に応じて電子部品の保持角度を旋回するようにすると、電子部品の保持位置と装着位置間の位置ずれは少なくなる。このような位置ずれがなおある場合には、電子基板とXYロボットの相対旋回量、電子部品のXY保持位置、電子部品の保持角度のうち一つあるいは複数を補正することによりこれを補正することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
[全体の構成]
以下図面に示す実施の形態に基づき本発明を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態を示す電子部品装着装置の主要構成図である。図1において、基台1の上面にはY軸支柱2a、2bが固定されており、このY軸支柱2aにはY軸リニアガイドレール3aとY軸リニアエンコーダスケール(不図示)が固定され、またY軸支柱2bにはY軸リニアガイドレール3bとY軸リニアエンコーダスケール4bが固定されている。Y軸リニアガイドレール3aには、Y軸リニアガイドテーブル5a〜5bが直動自在に支持されており、同様に、Y軸リニアガイドレール3bには、Y軸リニアガイドテーブル5c〜5dが直動自在に支持されている。
【0011】
また、Y軸支柱2a、2bには、それぞれY軸ボールねじブラケット6a〜6b、6c〜6dが支持され、各Y軸ボールねじブラケットには、Y軸ボールねじ7a、7bの両端が軸を中心に回転自在に支持される。Y軸ボールねじ7aの一端は、本体のブラケットに固定されたY軸モータ8aの出力軸と固定され、また、Y軸ボールねじ7bの一端は、本体のブラケットに固定されたY軸モータ8bの出力軸と固定される。
【0012】
Y軸リニアガイドテーブル5a〜5b、5c〜5dにはそれぞれX軸ブラケット9a、9bが固定されており、これらのX軸ブラケットには、それぞれY軸ボールネジ7a、7bの回転によってボールネジ軸方向に直動駆動されるY軸ボールねじナット10a、10bが固定されている。X軸ブラケット9aには、Y軸リニアガイドレール3aに関連して設けたY軸リニアエンコーダスケール(不図示)上の位置座標を読取るY軸リニアエンコーダヘッド(不図示)が固定され、またX軸ブラケット9bには、Y軸リニアエンコーダスケール4b上の位置座標を読取るY軸リニアエンコーダヘッド11bが固定されている。
【0013】
各X軸ブラケット9a、9bはX軸ビーム12を支持し、このX軸ビーム12の両端部付近には、軸を中心に回転自在に支持されるX軸ボールねじ13a、13bが取り付けられており、また、X軸ビーム12には、X軸リニアエンコーダスケール14、X軸リニアガイドレール15a、15bが固定されている。このX軸リニアガイドレール15a、15bに沿ってヘッドプレート17a、17bを取り付けたX軸リニアガイドテーブル16a〜16d、16e〜16hがX軸方向に往復動する。
【0014】
ヘッドプレート17aには、X軸ボールねじナット18aが取り付けられ、またヘッドプレート17bには、同様にX軸ボールねじナット(不図示)が取り付けられており、X軸ブラケット9a、9bに固定されたX軸モータ19a、19bは夫々X軸ボールねじ13a、13bと連結し、これらのX軸モータ19a、19bによってX軸ボールネジ13a、13bが回転すると、これらのX軸ボールねじナットはX軸方向に駆動される。また、ヘッドプレート17a、17bには、それぞれX軸リニアエンコーダスケール14上の位置座標を読取るX軸リニアエンコーダヘッド20a、20bが取り付けられており、更に、ヘッドプレート17a、17bには、それぞれ電子部品を昇降かつ旋回自在に保持/装着することが可能な部品保持ヘッド21a、21b並びに21c、21d、それにカメラと照明によって構成され電子基板37上に設けられる基準マークの画像を撮像することが出来る画像入力装置22a、22bが取り付けられている。
【0015】
上記の構成により部品保持ヘッドをX軸、Y軸方向に移動させるXYロボットが構成される。
【0016】
更に基台1には、電子基板37を搬出入する左右一対の搬送ベルト24a(一方は不図示)、左右一対の搬送ベルト24b(一方は不図示)を取り付けた基板コンベア23a、23bが固定されている。基板搬送ベルト24aは、基板搬送モータ25aによって駆動され、基板搬送ベルト24bも、同様な基板搬送モータ(不図示)によって駆動される。
【0017】
また、基台1には、本装置のX軸とY軸の可動範囲が形成するXY平面に対して垂直なZ軸方向に出力軸をもつ直動案内支持機構を備えた直動エアシリンダ26a、26bが固定されている。エアシリンダ26a、26bの出力軸には、コンベア用基台27が固定され、この基台27にはサークルガイドレール28が取り付けられている。このサークルガイドレール28に沿ってコンベアテーブル30を取り付けたサークルガイドテーブル29a、29bが移動する。
【0018】
コンベアテーブル30は、コンベア用基台27に本体が固定された基板旋回用回転型モータ31の出力軸により回転され、その回転角度はモータ31と一体的に設けられ、その軸位相を検出する回転角度検出器32により検出される。コンベアテーブル30には、基板コンベア33が固定され、この基板コンベア33において基板搬送モータ35により駆動される左右一対の基板搬送ベルト34(一方は不図示)を介して電子基板37が移動される。基板コンベア33の側面には、電子部品を装着する作業の対象である電子基板37の側面を押し付けることにより電子基板37を基板コンベア33に固定保持する基板保持装置36が設けられる。
【0019】
基台1には、電子基板37に装着すべき種々の電子部品を供給する電子部品供給装置38a〜38zが装備されており、電子基板37に装着されるために用意された(若しくは既に電子部品に装着された)種々の電子部品39(一部のみ図示される)が図示されている。40a、40bは電子基板37上に予め設けられた基準マーク(図示されていないが通常もう一つの基準マークが設けられる)であり、また、予め電子基板37の上の電子部品の装着位置や向き、基準マーク40a、40bの概略位置、電子部品供給装置38a〜38zの並び順や位置が入力されており、本装置の各部を駆動、制御し、かつ画像の解析・認識などを行う制御装置(不図示)が設けられている。
【0020】
[動作の説明]
以上の構成における電子部品装着装置による電子部品の電子基板への装着動作を図2及び図3の流れを参照しながら以下に順を追って説明する。
【0021】
まず、電子基板37が、電子部品装着の前の工程より本装置に受け渡され、基板コンベア23aにより電子部品装着装置内に搬入される。この搬入時、基板コンベア23aと基板コンベア33はそれぞれ基板搬送モータ25a、35の駆動により、基板搬送ベルト24a、34を循環させ、電子基板37を電子部品装着作業を行う領域である基板コンベア33上まで搬送する。この際、直動シリンダ26a、26bはその出力軸を収縮した状態にあり、基板コンベア23aと基板コンベア33は基板搬送ベルト24a、34が同じ高さとなるように固定されており、従って電子基板37はスムーズに基板コンベア23aから基板コンベア33に受け渡される(ステップS1)。
【0022】
基板コンベア33上で予め設定されている電子部品の装着作業に適した所定の位置まで電子基板37が到着すると、これを制御装置が判断し、基板搬送モータ35の駆動は停止され、基板保持装置36が駆動されて電子基板37は基板コンベア33に一体的に保持される(ステップS2)。この状態での電子基板37が図4(A)に図示されている。
【0023】
電子基板保持作業が確実に完了した後、直動シリンダ26a、26bが駆動され、基板コンベア33は電子基板37を保持したまま、電子部品の電子基板37への装着作業を行う所定の高さまで上昇駆動されて保持される(ステップS3)。この上昇は、電子基板を旋回させる基板コンベア33と、他のコンベア23a、23bとの相対的な高さの差異を発生させ、電子基板の旋回により、電子基板や基板コンベアが他の基板コンベア等との干渉をおこさないようにするためである。
【0024】
これらと同時にY軸モータ8a、8bが同期的に駆動され、その動力によりY軸ボールネジ7a、7b、Y軸ボールネジナット10a、10b、X軸ブラケット9a、9bを介してX軸ビーム12が装置Y軸方向に駆動される。このとき、X軸ビームのY軸方向の位置はY軸リニアエンコーダスケールをY軸リニアエンコーダヘッドが随時読取り、その値を制御装置に伝送することによって、制御装置は位置や速度など駆動の制御を行っている。
【0025】
同時に、X軸モータ19a、19bも駆動され、その動力がX軸ボールネジ13a、13b、X軸ボールネジナットを介してヘッドプレート17a、17bを装置X軸方向に駆動する。従ってヘッドプレート17a、17bと一体的にそれぞれ部品保持ヘッド21a〜21b、21c〜21d、及び画像入力装置22a、22bは装置X軸方向に互いに独立して自在に駆動される。この際もY軸と同様にX軸リニアエンコーダスケール14をX軸リニアエンコーダヘッド20a、20bが随時読取り、その値を制御装置に伝送することによって、制御装置は位置や速度など駆動の制御を行う。
【0026】
電子基板37が既に部品装着を行なうための所定の高さまで上昇駆動され保持されていることを制御装置が確認した後に、これらの駆動により電子基板37の上面に予め設けられた基準マーク40a、40b(あるいは図示されていないが、他の基準マーク)のいずれかの上方に既に移動している画像入力装置22a、22bは、それぞれが分担して順次、基準マークを撮像し(ステップS4)、これにより撮像された画像は制御装置によって認識、演算の処理が行なわれ、電子基板の(電子部品装着装置本体がもつXYθ座標系における)XY位置とθ角度が算出されて記憶される(ステップS5)。
【0027】
電子基板37における基準マークの座標や電子部品の搭載位置座標、搭載すべき角度などは予め本装置の特に図示しない記憶装置に格納されており、これらのデータに基づいてすべての電子部品装着作業は行われる。基準マークの撮像が完了すると直ちに部品保持ヘッドはXY方向にそれぞれ駆動されて、予め制御装置の演算によって決定された部品装着順序に沿って装着を行なうために、制御装置によって定められた順序に従い、最初に装着作業を行う電子部品の供給装置上に移動し、部品保持作業を開始する(ステップS6、S7)。
【0028】
続いて、部品保持ヘッド内の保持機構によって電子部品を電子部品供給装置より取り出し、所定の電子部品を部品保持ヘッドで保持する(ステップS8)。この際、電子部品供給装置は装置X軸と平行に列を形成して配置されているため、2つのヘッドプレート17a、17bは互いに独立にX軸方向に移動し、部品保持ヘッド21a、21bのいずれかと21c、22dのいずれかが同時に異なる部品供給装置より電子部品を取り出して保持する。続いてX軸方向にのみ2つのヘッドプレート17a、17bは再び互いに独立に移動し、部品保持ヘッド21a、21bの いずれかと21c、22dのいずれか、未だ電子部品を保持していないヘッド同士が同時に部品供給装置より電子部品を取り出して保持する。なお、制御装置は予め入力された電子基板37に対する電子部品の装着情報を元に、予め電子基板37における装着順序を決定しており、これに基づいて電子部品の取り出しと装着を行う。このようにして、例えば部品保持ヘッド21a、21cに保持された電子部品60、61が図4(B)に概略的に図示されており、これらの電子部品60、61が電子基板37の装着位置50、51に搭載される。
【0029】
このとき、各部品保持ヘッドに、生産計画に基づいて所定の電子部品が全て保持されたかを判断する(ステップS9)。ほとんどの場合、全ての部品保持ヘッドが電子部品を保持することになるが、他の条件との兼ね合いによっては、一部の部品保持ヘッドは電子部品を保持しない場合もある。
【0030】
部品保持が完了すると、部品保持ヘッドが保持する電子部品の装着作業を行うため、基板旋回可能な搬送フィーダが保持する電子基板上方へ部品保持ヘッドを移動させるためにXYロボットはXY移動を開始する(ステップS10)。このXY移動の中に、部品保持ヘッド上に設けられる(特に図示しない)電子部品認識装置(特開平06−055417等)によって、保持した電子部品の保持姿勢(ヘッドにおけるXY位置、及びθ角度)を認識し(ステップS11)、その結果を保存する(ステップS12)。
【0031】
また、このXY移動と同時に基板旋回動作を開始する(ステップS13)。これは、部品保持ヘッドに吸着された2つの電子部品を同時に装着するためで、基板の旋回は予め認識装置によって認識/演算を行った結果、すなわち現在の電子基板の位置や傾きを参照し(ステップS14)、このデータと予め与えられている電子基板のデータをもとに、これから同時搭載を行おうとする2つの電子部品の装着位置(中心)を結ぶ直線が装置X軸と平行になるように電子基板を旋回させる(ステップS15)。すなわち、モータ31を駆動して、図5(A)に図示したように、最初に同時に搭載する2つの部品60、61の基板装着位置50、51の中心50a、51aを結ぶ直線が装置X軸と平行となるように基板コンベア33と一体的に電子基板37を基板コンベア33の中心Oを中心にして旋回駆動させる。このとき、モータ31の旋回角度はモーター31と一体的に取り付けられた回転角度検出器32によって測定され、制御装置によって制御される。
【0032】
同時にY軸の駆動によりX軸ビーム12は電子基板37上の最初に同時に装着される予定の電子部品2つの装着場所を結ぶ直線上に部品保持ヘッド列が位置するように移動を開始する。このとき予め生産データとして与えられる電子基板上の電子部品60、61の装着すべき角度と、上記ステップS15によって発生する装置本体に対する電子基板の偏角を合成して、図5(B)に示したように、電子部品60、61を、それに対応するだけの角度だけ部品保持ヘッド上で予め旋回させて装着工程に備える(ステップS16)。これにより保持ヘッドが基板上の装着位置に到着したとき装着位置ずれを少なくすることができる。
【0033】
同時に、X軸ビーム12上のヘッドプレート17a、17bは、それぞれに固定される2本の部品保持ヘッドの内、最初に装着する部品60、61を保持している保持ヘッド21aと21cが、旋回後の基板における部品装着位置50、51の上へ位置するようにX軸方向に移動する。これにより部品装着位置へのXY移動は完了し(ステップS17)、またこのとき基板の旋回動作は完了している(ステップS18)ので、電子基板と部品保持ヘッドの位置関係は図6に示した状態となる。
【0034】
図6から明らかなように、部品装着位置へのXY移動完了時に、電子部品の吸着姿勢と装着位置に通常誤差が発生するので、基板を微小旋回にさせ、ヘッドをXY方向に微小に移動させ、また部品を微小にθ回転させることにより位置補正動作を開始する(ステップS19)。このとき、予め認識によって得た、部品保持時に生じる部品保持位置ずれ量を参照する(ステップS20)。
【0035】
この補正は、ステップS21〜S23に従って行なわれる。
【0036】
部品保持ヘッド21a、21cに保持された2つの電子部品60、61のそれぞれの中心位置60a、61aを結ぶ直線L1は、図6に示すように、ヘッドに電子部品を保持する工程において発生する電子部品の中心位置と部品吸着ノズルの軸芯位置とのズレによって、部品装着装置のX軸(L2)とは微少に傾きをもつ。これを補正するために、これから同時に装着を行おうとする2つの電子部品60、61の中心位置を結ぶ直線L1と、電子基板上でこれらの電子部品が装着される位置50、51の中心50a、51aを結んで形成される直線L2が平行となるように、基板角度の微少な補正旋回を実施する(図7、ステップS21)。
【0037】
また、上記ステップS21による電子基板37の旋回によって、電子部品60、61の装着位置の中心座標50a、50bは装置X方向、Y方向にそれぞれ微少に移動してしまう。これを補正するためのXY移動を行い、2つの電子部品60、61のXY位置60a、61aをそれぞれ電子基板上の装着位置のXY位置50a、50bと一致させるために、微少のXY移動を行う(図8、ステップS22)。
【0038】
さらに、上記ステップS21による電子基板37の旋回によって、ステップS16にて予め準備した部品保持ヘッド上の電子部品の角度と、電子基板における装着すべき電子部品角度は微少に偏角を持つことになる。従ってこれを補正するために、図9に示したように、微少な電子部品の旋回動作を行い、電子基板上の電子部品装着角度と電子部品保持ヘッド上の電子部品角度を一致させる(ステップS23)。
【0039】
但し、詳細には、ステップS21〜S23の動作により、相互に補正量に影響を与え合うために電子部品の位置と装着位置とはさらに微細のずれ量を残してしまう。従って、いずれかの結果をみて他の移動を行うと、ずれ量が電子部品装着装置として許容される量となるまで、繰返しステップS21〜S23の補正を行うことになるので、部品保持ヘッド上の電子部品と、電子基板上の電子部品装着位置/角度は全て一致するように、予め演算装置によってステップS21〜S23の全ての移動量を決定し、これらの動作を同時に処理する。これにより図6の状態から図9の状態にもっていくことができる。
【0040】
以上の処理で、電子部品の補正作業が完了し、全ての位置決めが完了するので、部品保持ヘッドは電子部品を下降させて電子基板に接触させ、その保持を中止した後に保持ヘッドのみ上昇して、電子部品の装着作業を完了する(ステップS24)。
【0041】
互いに独立自在にX軸方向に移動可能な部品保持ヘッドを2組以上有する(一つのヘッドプレートに2つ以上の部品保持ヘッドを有する)場合には、続いて部品装着作業を行い、全ての部品保持ヘッドが保持する電子部品の装着作業が完了するまで、これまでの動作を繰り返す(ステップS25)。なお、同時に装着作業を行う部品保持ヘッドは、ヘッドプレート17aに設けられた部品保持ヘッド21a〜21bのいずれか一方と、ヘッドプレート17bに設けられた部品保持ヘッド21c〜21dのいずれか一方の組合せならどれでも良く、この組合せは制御装置により決定される。例えば、上記では部品保持ヘッド21aと21cが最初に同時に装着作業を行ったので、次に部品保持ヘッド21bと21dが同時に装着作業を行う。
【0042】
予め計画された電子基板上への電子部品の装着作業が完了するまで、ここまでの動作を繰返して、電子部品の装着作業を行う(ステップS26)。
【0043】
全ての電子部品装着作業が完了した後、電子基板の旋回による部品間の干渉を回避するために上昇させていた基板コンベア33を、上昇前と同一の角度に旋回させて他のコンベアと同一の角度に揃え、かつ下降させて、他の基板コンベアと同一の高さに揃える。直動シリンダ26a、26bは基板コンベア33を下降させるべく駆動され、基板コンベア33は基板コンベア23cと同じ高さにて停止、固定される(ステップS27)。
【0044】
続いて、電子基板の基板コンベアヘの保持機構を解除して、電子基板を搬出可能とし(ステップS28)、モータにより基板駆動ベルト34並びに24bを駆動させることで電子基板37は基板コンベア33から基板コンベア23bへと受け渡され(ステップS29)、全ての電子部品装着作業が完了する。
【0045】
なお、上記処理において、電子基板37の旋回角度を小さく押さえるような電子部品の搭載順序を制御装置によって設定することにより、電子基板37の旋回角度を低く、また旋回所要時間を短く押さえるようにすると、電子基板37に既に装着した部品の基板旋回での遠心力によるずれを防止し、かつ装着の所要時間を短くできる。
【0046】
さらに、いま装着作業を行おうとする電子部品の電子基板37上の装着位置が、その電子部品の供給装置がある電子部品供給装置列に対して遠い側にある場合、部品保持ヘッド21a〜21b、21c〜21dが当該電子部品を部品供給装置38a〜38zから取り出すために、X軸ビーム12がY軸方向に移動を行って、部品保持ヘッド21a〜21b、21c〜21dを部品供給装置38a〜38zの方向へ移動し、電子部品を保持し、電子基板37の上方へ移動する間に、電子基板37を旋回させて電子部品の供給場所と装着位置との距離を短くする動作を行うことにより、X軸ビームのY軸方向の移動距離を短くして搭載を行う、という動作を必要に応じて行う。
【0047】
同様に、特公平8−8433号公報のように、X軸ビーム12を複数有するXY装置を用いた部品装着機の場合においては、同公報に記載されているように、複数のX軸ビーム12はY軸方向に電子基板37全域をカバーするように共有する作業領域が必要であり、従ってX軸ビーム12のY軸方向ストロークは大きなものを要求されるが、本発明の方式では、複数のX軸ビーム12は電子基板37上においてY軸方向の可動領域を共有しなくとも、電子部品を保持しているX軸ビーム12のY軸方向可動範囲外にある装着位置については、電子基板37を旋回させて、その装着位置を上記X軸ビーム12のY軸方向可動範囲内に移動させることで目的の装着作業を行うことが可能になる。
【0048】
また、既に電子基板37に装着作業を行なった電子部品について、電子基板37に予め塗布された接着剤や半田ペーストの種類、装着された電子部品の大きさや重量のデータを予め本装置の特に図示しない演算装置に入力しておき、それらに基づいて判断し、接着強度や半田ペーストによる電子部品の保持力が弱いときや、大きな電子部品が既に装着されているときなどは、電子基板37の旋回動作を緩慢に行うなど、現在の電子基板37上の状況に基づいて電子基板37の旋回速度を制御することにより、電子基板37上で搭載された電子部品が搭載位置からずれることを防ぐように動作させる。
【0049】
[他の実施形態]
なお、図1における基板コンベア33の昇降装置を、基板コンベア23aならびに基板コンベア23bに設け、基板搬入搬出時にはこれらの基板コンベア23a、23bを上昇させ、電子部品の装着作業を行う際に下降させる構造でもかまわない。この場合、基板旋回用のモータを昇降させる必要がなくなり、コンベア昇降用のアクチュエータの出力は小さいものにすることができる。
【0050】
また、図1に示す基板コンベア33の昇降は、基板コンベア23a、23bとの干渉を防ぐ目的のものであり、従って上記を含めて基板旋回動作が必要な際に相対的に高さの差が得られれば良いのであって、基板コンベア33が当初上昇している状態で基板コンベア23a、23bと同一の高さになっており、電子部品装着時に下降する方法でもよく、逆に当初基板コンベア23a、23bが下降しており基板コンベア33と同一の高さになっていて、電子部品装着時に上昇する方法であっても構わない。
【0051】
さらに、旋回を行う基板コンベア33の旋回により、基板コンベア33と基板コンベア23a、23bとが干渉する部材(公知の基板コンベアの幅調整機構など)が存在しない場合には、基板コンベア33と基板コンベア23a、23bの相対的な高さの差による干渉回避を行う必要は無く、したがって基板コンベア昇降装置は不要となる。
【0052】
また、上記実施形態に示すようにX軸ビームがY軸方向に駆動されるのではなく、旋回機能を有した電子基板保持部がY軸方向に駆動された場合でも、同様に2つの電子部品の同時装着は可能であり、この場合、X軸自身は装置本体に固定されているためにその重量や寸法が大きくともY軸の駆動手段に対する負荷に影響を与えず、従ってY軸駆動手段の出力を小さいものに抑えることができる。
【0053】
同様の理由により、XYロボットが基板に対して旋回可能となるように旋回自在な支持部材と旋回の駆動源(モータ等)を有する構成であっても、相対的なXYロボットと電子基板との旋回が得られるので、2つの電子部品の同時装着は可能である。
【0054】
また、上記実施形態において、X軸ビーム上での部品保持ヘッドの駆動源、及びY軸方向にX軸ビームを駆動する駆動源をそれぞれリニアモータとすることで、ボールねじやタイミングベルト等の駆動力伝達手段が不要となり、かつ、リニアモータにおいて固定子と呼ばれる二次側を、複数の可動子と呼ばれる一次側が共有できることから、極めて簡潔な構造で高精度な位置決め動作や高加速度/高速度の駆動が可能となる。
【0055】
また、上記のものを更に改良し、X軸には一般的に比較的軽量かつ小型であることを特徴とし、コアレス型とよばれ、その一次側に鉄心を持たないコイル、二次側に永久磁石を用いるムービングコイル形式のリニアモータ、Y軸には一般的に発熱が小さく、大推力を特徴とし、コア付型とよばれ、その一次側に鉄心を有するコイル、二次側に永久磁石を用いるムービングコイル形式のリニアモータ、若しくは一次側に永久磁石とコイル、鉄心を有し、二次側には櫛歯状の鉄心のみを有することを特徴とし、低発熱性を有するHD型と呼ばれるリニアモータを用いることで、X軸、Y軸それぞれに要求される性能に対してリニアモータを最適に配置することが可能になり、従って装置全体の小型化、軽量化が可能になる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、少なくとも2つの部品保持部(保持ヘッド)を備えたXYロボットを用いて各保持部で保持された電子部品を電子基板に同時に装着する場合、XYロボットと電子基板を相対的に旋回させるようにしているので、部品装着位置において高精度な位置決めを行うことができ、また部品の保持位置と装着位置間に微小な位置ずれがある場合にはこれを補正して装着するので、高速にしかも高精度で電子部品を基板に同時装着することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】部品装着装置の全体の構成を示す斜視図である。
【図2】電子部品の同時搭載の流れを示すフローチャート図である。
【図3】図2に続く、電子部品の同時搭載の流れを示すフローチャート図である。
【図4】電子部品の保持並びに搭載位置を示す説明図である。
【図5】基板の旋回並びに電子部品の旋回を示す説明図である。
【図6】XYロボットを装着位置に移動させたときの状態を示す説明図である。
【図7】部品搭載位置における位置ずれを補正するために基板を旋回させる状態を示した説明図である。
【図8】部品搭載位置における位置ずれを補正するためにXYロボットを移動させる状態を示した説明図である。
【図9】部品搭載位置における位置ずれを補正するために部品を旋回させて位置合わせを行った状態を示す説明図である。
【符号の説明】
12 X軸ビーム
21a〜21d 部品保持ヘッド
23a、23b 基板コンベア
33 基板コンベア
37 電子基板
50、51 部品装着位置
60、61 電子部品

Claims (3)

  1. X軸方向に互いに独立して移動可能な少なくとも2つの電子部品保持部を備えたXYロボットを用いて各電子部品保持部で保持された電子部品を電子基板に同時に装着する電子部品装着装置において、
    電子部品を装着する電子基板を旋回させる手段と
    該電子部品保持部が行う、電子部品を取り出すための部品供給装置の方向への移動、該電子部品の保持、及び、電子基板の上方への移動の間に、電子基板を旋回させて、電子部品の供給場所と装着位置との距離を短くしながら、
    電子基板を旋回させると同時に、該電子部品保持部を部品装着位置に移動させ、部品装着位置において電子部品の保持位置と装着位置間の位置ずれを補正して電子部品を電子基板に同時に装着することを特徴とする電子部品装着装置。
  2. 前記電子基板の旋回は、電子部品の搭載位置の中心を結ぶ線がX軸にほぼ平行になるように行なわれ、その旋回に応じて電子部品の保持角度が旋回されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品装着装置。
  3. 前記位置ずれの補正は、電子基板とXYロボットの相対旋回量、電子部品のXY保持位置、電子部品の保持角度のうち一つあるいは複数を補正することにより行なわれることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品装着装置。
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