JP4514792B2 - 光ピックアップ装置及び情報記録再生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光ディスク等の光学式記録媒体に対する情報の記録及び再生に用いる光ピックアップ装置及びその制御方法、この光ピックアップ装置を用いた情報記録再生装置に関する。
従来、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)といった光ディスク用の情報記録再生装置の分野においては、トラッキング補正やクロストークキャンセル(以下、「CTC」という)を行うための様々な手法が提案され、現在では、光源からの出射光をメインビーム(0次光)及びサブビーム(±1次光)の3ビームに変換し、当該メインビーム及びサブビームを用いてトラッキング補正、或いは、CTCを行う方式が一般的となっている(例えば、差動プッシュプル〔DPP〕方式)。
これら3ビームを用いたトラッキング補正方式やCTC方式は、ディスク盤面に設けられたトラックに対して3つのビームを照射すべき位置関係が予め定められており、この照射位置の関係が崩れてしまうとトラッキング補正、或いは、CTCを適切に行うことができなくなるという性質を有している。例えば、DPP方式においてはメインビームのプッシュプル信号とサブビームのプッシュプル信号が逆位相となる関係を維持する必要があるため、両サブビームをトラック法線方向に、各々半トラックピッチずつズラした位置(すなわち、ランドトラック上)に照射することが必須となり、この位置の関係が崩れると正確なトラッキングエラー信号が得られなくなる。
一方、光ディスクのトラックピッチは、現状、記録フォーマットにより異なったものとなっているため、所謂、コンパチブルレコーダ(記録フォーマットの異なる光ディスクに対するデータの記録再生を行う装置)においては、記録再生対象となる光ディスクの種別に応じて、上記位置関係を満たすための様々な工夫が提案されてきた。例えば、特許文献1においては、0次光及び±1次光の他、±2次光を発生させる回折格子により、光源から出射される光ビームを5つのビームに変換し、データの記録再生対象となる光ディスクの種別に応じてトラッキング補正に用いる光ビームを切り換える手法が提案されている。
特開2004−5859号公報
ところで、実際に情報記録再生装置を製造する場合、装置製造時の制約により、光ディスクの半径軸と、対物レンズ中心点の移動軸(具体的には、記録再生位置の変動に伴い、対物レンズがキャリッジサーボ等により移動する移動軸)がずれるような場面が、屡々発生する。例えば、2つの対物レンズを備えた光ピックアップ装置を情報記録装置内に組み込む場合、半径軸に対して平行に設けられたスライダ軸上に一方の対物レンズを配置した際に、他方の対物レンズがスライダ軸から光ディスクのタンジェンシャル方向にシフトして配置されてしまうような場合がこれにあたる。
以上のような理由により、光ディスクの半径軸と対物レンズ中心の移動軸がずれる現象が発生すると、図1に示すようにデータの記録再生位置の変化に伴い、対物レンズ配置位置においてトラック接線の角度が変化するという現象を生じる。すると、トラックに対するサブビームの照射位置が当該トラックの法線方向に変化する現象が生じ、トラッキング補正信号やCTC信号の変調度が小さくなってしまうため、トラッキング補正やCTCが行えなくなってしまうのである。
しかし、上記特許文献1に記載の発明は、単に光ディスクの種別に応じて、トラッキング補正に用いるサブビームを±1次光から±2次光に切り換える構成を有するものに過ぎず、記録再生位置の変化に伴いトラックに対するメインビーム及びサブビームの照射位置が変化したような場合に、当該変化に対応し得る機能を有するものとはなっていない。
本願は以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その課題の一例としては、3ビームを用いてトラッキング補正やCTCを行う場合に、トラックに対するサブビームの照射位置に変動が生じた場合でも、確実且つ適切なトラッキング補正及びCTCを実現可能な光ピックアップ装置、その制御方法及び情報記録再生装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本願の一つの観点において請求項1に記載の光ピックアップ装置は、(i)0次光としてのメインビーム、(ii)+1次光としての第1内側サブビーム(サブビームinA)、(iii)−1次光としての第2内側サブビーム(サブビームinB)、(iv)+2次光としての第1外側サブビーム(サブビームoutA)及び(v)−2次光としての第2外側サブビーム(サブビームoutB)の5つの光ビームを射出する光ビーム射出手段と、光学式記録媒体に設けられた螺旋状の記録トラック中心点を通る半径軸から、前記記録トラックの円周方向に所定量シフトした前記光学式記録媒体上の位置に前記5つの光ビームを集光させる集光手段と、前記5つの光ビームの前記光学式記録媒体における反射光を受光し、各ビームに対応した受光信号を出力する受光手段と、(a)前記メインビーム、第1内側サブビーム及び第2内側サブビームの各々に対応した受光信号からトラッキング補正或いはクロストークキャンセルの少なくとも何れかに用いるための内側信号を生成する一方、(b)前記メインビーム、第1外側サブビーム及び第2外側サブビームの各々に対応した受光信号からトラッキング補正或いはクロストークキャンセルの少なくとも何れかに用いるための外側信号を生成する生成手段と、
前記内側信号及び外側信号の各々に対して係数を乗算した後、当該係数乗算後の内側信号及び外側信号の和信号を生成する和信号生成手段と、を備えることを特徴とする。
また、本願の他の観点において請求項9に記載の情報記録再生装置は、請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の光ピックアップ装置と、前記光ピックアップ装置を駆動する駆動手段と、前記駆動手段を制御することにより、前記光学式記録媒体に対する情報の記録及び再生を制御する制御手段と、前記光ピックアップ装置における受光結果に対応した信号を出力する出力手段と、を具備することを特徴とする。
更に、本願の他の観点において請求項10に記載の制御方法は、(i)0次光としてのメインビーム、(ii)+1次光としての第1内側サブビーム、(iii)−1次光としての第2内側サブビーム、(iv)+2次光としての第1外側サブビーム及び(v)−2次光としての第2外側サブビームの5つの光ビームを射出する光ビーム射出手段と、光学式記録媒体に設けられた螺旋状の記録トラック中心点を通る半径軸から、前記記録トラックの円周方向に所定量シフトした前記光学式記録媒体上の位置に前記5つの光ビームを集光させる集光手段と、前記5つの光ビームの前記光学式記録媒体における反射光を受光し、各ビームに対応した受光信号を出力する受光手段と、を備えた光ピックアップ装置の制御方法であって、(a)前記メインビーム、第1内側サブビーム及び第2内側サブビームの各々に対応した受光信号からトラッキング補正或いはクロストークキャンセルの少なくとも何れかに用いるための内側信号を生成する一方、(b)前記メインビーム、第1外側サブビーム及び第2外側サブビームの各々に対応した受光信号からトラッキング補正或いはクロストークキャンセルの少なくとも何れかに用いるための外側信号を生成する生成工程と、前記内側信号及び外側信号の各々に対して係数を乗算した後、当該係数乗算後の内側信号及び外側信号の和信号を生成する和信号生成工程と、を備えることを特徴とする。
本願における課題を説明するための図である。 第1実施形態における情報記録再生装置RPの構成を示すブロック図である。 本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいて光ディスクDKの盤面に照射されているメインビーム、サブビームin及びサブビームoutの集光スポット位置、更には、スライダ軸と、対物レンズ171の位置関係を示す図である。 スライダ軸と対物レンズ171の間の距離Lが「4mm」、メインビームとサブビームinの距離が5.0μm、メインビームとサブビームoutの距離が10.0μm、の時に,シフト量r=3.4cmでΔxin及びΔxoutを夫々「GP/2」「GP(=0.74μm)」(図3参照)に調整した環境下における差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅の変化状態を示す図である。 同実施形態にかかるサーボ部S及びOEIC19の具体的な構成を示すブロック図である。 同実施形態における、係数kin及びkoutの値の変化態様を示すグラフである。 同実施形態にかかる係数設定テーブルTBLの記録内容の一例を示す図である。 同実施形態においてメインビームとサブビームin,サブビームoutが直線上に並ぶ場合に、情報記録再生装置RPにおいて光ディスクDKの盤面に照射されているメインビーム、サブビームin及びサブビームoutの集光スポット位置、更には、スライダ軸と、対物レンズ171の位置関係を示す図である。 同実施形態において、角度γ0の値が初期調整値としてふさわしくない場合に得られる、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅の変化状態を示す図である。 同実施形態における(式17)の関係を記録再生半径内においてプロットしたグラフである。 (a)は、第1実施形態において条件1、2、3の全てを満たす角度γ0の範囲の具体例を示す図であり、(b)は、各範囲における具体的な差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの特性を示すグラフである。 スライダ軸と対物レンズ171の間の距離Lを「4mm」、メインビームとサブビームinの距離が5.0μm、メインビームとサブビームoutの距離が10.0μmの時に、シフト量r=3.4cmでΔxin及びΔxoutを夫々「GP(=0.74μm)/2」「GP−0.1μm」(図3参照)のように調整した、直線上にビームスポットが並ばない環境下における差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅の変化状態を示す図である。 第1実施形態の変形例1にかかるサーボ部S及びOEIC19の具体的な構成を示すブロック図である。 (a)は、変形例1における係数kin及びkoutの値の変化態様を示すグラフであり、(b)は、係数決定テーブルTBL2の記録内容の一例を示す図である。 第2実施形態において光ディスクDKに対して照射されるメインビームがオントラックの時にサブビームが取りうる範囲を示した図である。 第2実施形態において、角度γ0が(式52)の範囲にある場合のCTC信号の特性を示すグラフである。
符号の説明
RP・・・情報記録再生装置
S・・・サーボ部
EG・・・エラー信号生成部
WD・・・重み決定部
AD・・・アクチュエータ駆動部
SP・・・信号処理部
C・・・制御部
D・・・駆動回路
PU・・・光ピックアップ装置
P・・・再生部
[1]第1実施形態
[1.1]第1実施形態の構成
(1)情報記録再生装置RPの概略構成
次に、図2を参照しつつ本願の第1実施形態にかかる情報記録再生装置RPの構成について説明する。なお、この情報記録再生装置RPは、DVDフォーマットに対応した光ディスクDKに対する情報の記録及び再生を行うDVDレコーダに本願の光ピックアップ装置を適用したものとなっている。
同図に示すように本実施形態にかかる情報記録再生装置RPは、大別して信号処理部SPと、制御部Cと、駆動回路Dと、光ピックアップ装置PUと、再生部Pと、サーボ部Sと、を有している。なお、図示は省略するが、この情報記録再生装置RPの光ピックアップ装置PUは、キャリッジに固定された状態でスライダ軸に移動可能に支持されており、このキャリッジをスライダ軸に沿って移動させることによりキャリッジサーボを実現するようになっている(図1参照)。
ここで、この情報記録再生装置RPにおいては、光ピックアップ装置PUに搭載された対物レンズ171の中心点が光ディスクDKの半径軸からタンジェンシャル方向(光ディスクDKの円周方向)にシフトした位置に配置されている(図1参照)。かかる対物レンズ171の配置構成の下では、データの記録再生位置が変動し、光ピックアップ装置PUがスライダ軸に沿って移動した際に対物レンズ171の配置位置においてトラック接線の角度が変化してしまい、3ビームを用いたトラッキング補正の実現が困難となってしまう(図1参照)。
そこで、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいては、次のような手法を採用することとしている。
まず、光ピックアップ装置PUに搭載する回折格子12として0次光及び±1次光の他に±2次光を射出する回折格子を用いる。そして、光ピックアップ装置PUに搭載された半導体レーザ11から出射される光ビームを、この回折格子12により回折させ、5ビームの状態にて光ディスクDKの盤面に照射するようにする(以下においては、0次光を「メインビーム」、±1次光を「サブビームin(夫々A、Bなる添字により特定)」、±2次光を「サブビームout(夫々A、Bなる添字により特定)」と呼ぶ)。
ここで、光ディスクDKの盤面に照射されているメインビーム、サブビームin(図3のように光ディスクDKの盤面において内側に照射)及びサブビームout(外側に照射)の集光スポット位置が図3に示すような関係となる場合を想定し、各ビームを2分割ディテクタにより受光して各ビームに対応したプッシュプル信号を生成する場合を考える(図5参照。この図5について詳しくは後述する)。
この場合、まず、メインビームに対応したプッシュプル信号PPmainは、
Figure 0004514792
(但し、「GP」はグルーブピッチ、「x」は理想位置からトラック法線方向に対する集光スポットのシフト量)で示され、サブビームinA、inB及びサブビームoutA、outBの、夫々に対応するプッシュプル信号PPina、PPinb、PPouta、PPoutbは、各々、
Figure 0004514792
Figure 0004514792
Figure 0004514792
Figure 0004514792
により示されることとなる。なお、(式2)及び(式3)における「Δxin」「Δxout」は、夫々、メインビームに対応した集光スポット中心からサブビームin及びサブビームoutに対応した集光スポット中心までのトラック法線方向の距離を示している(図3参照)。
このときサブビームinとサブビームoutの各々に基づいて差動プッシュプル信号DPPinとDPPoutを生成した場合、各信号は次式により示されることとなる。
Figure 0004514792
Figure 0004514792
(なお、「Gin」及び「Gout」は、各々、回折格子12におけるメインビームと、サブビームin及びサブビームoutの回折光量を補正するための係数。)
一方、サーチ位置の変動により対物レンズ171の配置位置におけるトラック接線の角度が変化した場合、図3に示すようにΔxin及びΔxoutの値が、これに伴って変化する。すると、(式6)及び(式7)中のパラメータが変動して、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅が変化する結果を招来する。
この差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅の変化状態について、図4を参照しつつ説明する。なお、図4は、スライダ軸と対物レンズ171の間の距離Lが「4mm」、メインビームとサブビームinの距離が5.0μm、メインビームとサブビームoutの距離が10.0μm、の時に,シフト量r=3.4cmでΔxin及びΔxoutを夫々「GP/2」「GP(=0.74μm)」(図3参照)、となる初期調整を施した場合に、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅の変化状態を示す図であり、同図においては、横軸に対物レンズ171中心点の半径軸方向に対するシフト量r(光ディスクDK中心点をr=「0」とし、記録再生半径「rmin」〜「rmax」の間についてプロッティング)を示している。
まず、図4に示すように、シフト量rの変化に伴いΔxin及びΔxoutの値が変化すると、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅が「1」以下となる場面が発生する。通常、DVDレコーダ等においてDPP方式のトラッキング補正を実現するためには、信号振幅値が約「1」程度なければ正確なトラッキング補正を実現することができないことが知られている。従って、この「1」なる値を信号振幅の閾値THと想定した場合、記録再生位置の変化に伴い差動プッシュプル信号DPPin或いはDPPoutが閾値THを下回る場面が発生し、何れか一方のみを用いても正確なトラッキング補正が実現できないこととなる(図4参照)。
一方、両差動プッシュプル信号DPPin或いはDPPoutは、サブビームin及びoutの照射位置(すなわち、光ディスクDK上における集光スポット)が適切に初期調整されている環境下において、互いに相補関係を有し(すなわち、適切な位相差が発生する)、一方の振幅が「1」以下となる場面で、他方が「1」以上となる関係を有している。従って、かかる初期調整がなされている環境下においては、対物レンズ171中心の半径方向に対するシフト量rの変化に併せてトラッキング補正に用いる差動プッシュプル信号DPPin、DPPoutを切り換えれば、信号振幅値が閾値TH以下となることを適切に防止できることとなる。
一方、図4に示す場合、シフト量r1〜r2の領域、及びシフト量r3〜r4の領域においては、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの信号振幅値が何れも閾値TH「1」以上となっていることが分かる。このような場面においては、何れか一方の差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutを選択して利用するようにすることも可能であるが、両者に対して重み付けを行い、両者DPPin及びDPPoutの和を採ることにより、信号振幅の急激な変動を抑えることも可能となる。
そこで、本実施形態においては、次の(式8)に基づいて、
Figure 0004514792
トラッキング補正用の信号(以下、「トラッキングエラー信号Ste」という)を生成し、同(式8)中の重み付けの係数「kin」及び「kout」の値をシフト量rに基づいて変動させることにより、トラッキングエラー信号Steの振幅が閾値TH以下となることを防止し、併せて、トラッキングエラー信号Steの振幅が急激に変動することを防止することとした。
なお、この「kin」及び「kout」の変更態様に関しては幾つかのパターン(図6及び図9参照)が考えられるが、この点については後に詳細に説明することとする。
なおまた、実際に装置を構成する場合、図4に示すような差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅特性を得るためには、上記のように所定の条件を満たすように初期調整を行うことが必要となってくるが、この初期調整の具体的な手法に関しては、後に詳細に説明することとする。
以下、図2に示す各要素について詳説する。
まず、信号処理部SPは、入力用の端子を有しており、この端子を介して外部から入力されたデータに所定形式の信号処理を施して制御部Cに出力する。
制御部Cは、主としてCPU(Central Processing Unit)により構成され、情報記録再生装置RPの各部を制御する。例えば、光ディスクDKに対してデータを記録する場合、制御部Cは信号処理部SPから入力されるデータに対応した記録用の駆動信号を駆動回路Dに出力する一方、光ディスクDKに記録されているデータの再生を行う場合には、再生用の駆動信号を駆動回路Dに出力する。
駆動回路Dは主として増幅回路により構成され、制御部Cから入力された駆動信号を増幅した後、光ピックアップ装置PUに供給する。この駆動回路Dにおける増幅率は制御部Cにより制御され、光ディスクDKに対するデータ記録時には光ピックアップ装置PUから記録パワー(色素変色型或いは相変化型の光ディスクDKにおいて相変化若しくは色素変色が発生するエネルギー量)にて光ビームが出力されるように増幅率が制御される一方、データ再生時には再生パワー(色素変色等が発生しないエネルギー量)にて光ビームが出力されるように増幅率が制御される。
光ピックアップ装置PUは、駆動回路Dから供給される制御信号に基づいて、DVDフォーマットの光ディスクDKに光ビームを照射し、当該光ディスクDKに対するデータの記録及び再生を行うために用いられる。
かかる機能を実現するため、本実施形態にかかる光ピックアップ装置PUは、駆動回路Dから供給される駆動信号に基づいて所定方向に直線偏光(例えば、P偏光)された光ビーム(波長約650nm)を出力する半導体レーザ11と、回折格子12と、PBS(偏光ビームスプリッタ)13と、コリメータレンズ14と、λ/4板15と、ミラー16と、アクチュエータ部17と、エラー検出レンズ18と、OEIC19と、から構成され、各光学素子は、上記図4に示す差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの関係を満たすように初期調整されている。
まず、回折格子12は、半導体レーザ11から射出された光ビームを回折させて、メインビーム及びサブビームin(A及びB)、サブビームout(A及びB)の5つのビームを射出する。なお、この回折格子12に関しては上述した初期調整を行うことが必須となるが、この初期調整の手法については後述する。
PBS13は、例えば、P偏光された入射光を透過させる一方、S偏光された入射光を反射する光学素子であり、回折格子12から射出されるメインビーム、サブビームin、サブビームoutをコリメータレンズ14に導光すると共に、当該ビームの光ディスクDK盤面における反射光(以下、メインビーム、サブビームin及びサブビームoutに対応した反射光を、夫々「メイン反射光」、「サブ反射光in」及び「サブ反射光out」という)をエラー検出レンズ18に導光する。コリメータレンズ14は、PBS13を透過して入射されるメインビーム及びサブビームの一部を略平行光に変換する一方、光ディスクDKからの反射光を収束させるための光学素子であり、λ/4板15は、直線偏光、円偏光間の相互変換を行う光学素子である。かかるλ/4板15の機能により、往路復路間において偏光方向がπ/2だけ変化し、PBS13による往路及び復路の分離が行われる。なお、「往路」とは、光源ユニット1から光ディスクDKに向かう光ビームの光路を意味し、「復路」とは、光ディスクDKからOEIC19に向かう反射光の光路を意味する。
アクチュエータ部17は、対物レンズ171と、対物レンズ171を固定する対物レンズホルダ172、更には、この対物レンズホルダ172を一体的に可動させる可動機構173と、を有し、アクチュエータ駆動部ADから供給される補正信号に基づいて対物レンズの位置を変化させ、トラッキングサーボ及びフォーカスサーボを実現する。
エラー検出レンズ18は、シリンドリカルレンズにより構成されており、非点収差法によるフォーカスエラー検出を実現するため、光ディスクDKのトラックに対して約45°の角度に非点収差を与えるようになっている。OEIC19は、例えば、フォトダイオードにより構成され、エラー検出レンズ18から照射されるメイン反射光及びサブ反射光in、outを受光して、受光信号を制御部C及びサーボ部Sのエラー信号生成部EG、重み付け決定部WDに出力する。
次に、再生部Pは、例えば、加算回路及び増幅回路を有し、OEIC19から供給される受光信号に基づいて再生RF信号を生成し、当該再生RF信号に対して所定の信号処理を施した後、出力端子OUTに出力する。
サーボ部Sは、光ピックアップ装置PUのOEIC19から供給される受光信号に基づいてアクチュエータ部17を制御するための要素であり、エラー信号生成部EGと、重み決定部WDと、アクチュエータ駆動部ADと、を有している。
これらの要素中、重み決定部WDは、対物レンズ171の半径方向に対するシフト量r(より具体的には、図3に示す光ディスクDKの中心点から半径軸方向に対するシフト量r)に基づいて、上記(式8)における係数kin及びkoutを決定し、当該決定した係数kin及びkoutを示す制御信号をエラー信号生成部EGに供給する。
エラー信号生成部EGはOEIC19から供給される受光信号に基づいて、上記トラッキングエラー信号Ste及びフォーカスエラー信号Sfeを生成してアクチュエータ駆動部ADに出力し、アクチュエータ駆動部ADはエラー信号生成部EGから供給されるエラー信号に基づいてアクチュエータ部17を制御する。
(2)サーボ部Bの具体的な構成
次に、図5を参照しつつサーボ部S及びOEIC19の具体的な構成について詳細に説明する。
同図に示すように本実施形態においてOEIC19は、(i)メイン反射光を受光するための第1受光部19Aと、(ii)サブ反射光inAを受光するための第2受光部19Bと、(iii)サブ反射光inBを受光するための第3受光部19Cと、(iv)サブ反射光outAを受光するための第4受光部19Dと、(v)サブ反射光outBを受光するための第5受光部19Eと、を有すると共に、第1受光部19Aが4分割形状、第2〜第5受光部19B〜19Eが夫々2分割形状とされている。この第1受光部19Aの各分割領域a、b、c、dは、各々、領域a及びcが加算器20A-1の入力段に、領域b及びdが加算器20A-2の入力段に、接続され、両加算器20A-1及び20A-2の出力段は減算器21Aの入力段に接続されている。この結果、減算器21Aからは、メインビームに対応したプッシュプル信号PPmainとして、
Figure 0004514792
なる信号が出力され、内側DPP信号生成部22in及び外側DPP信号生成部22outに供給されることとなる(但し、式9においてa、b、c、dは、対応する領域における受光信号レベル)。
一方、第2〜第5受光部19B〜19Eは、(i)第2受光部19Bが減算器21Bの入力段に、(ii)第3受光部19Cが減算器21Cの入力段に、(iii)第4受光部19Dが減算器21Dの入力段に、(iv)第5受光部19Eが減算器21Eの入力段に、夫々、接続されている。この結果、各減算器21B〜21Eからは、各々、サブビームinA、inB、outA及びoutBに対応したプッシュプル信号PPina、PPinb、PPouta及びPPoutbが出力されることとなる。
次いで、内側DPP信号生成部22-inは加算器221-inと、増幅回路222-inと、減算器223-inを有する一方、外側DPP信号生成部22-outは加算器221-outと、増幅回路222-outと、減算器223-outを有し、夫々、サブビームin及びサブビームoutに対応した差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutを、以下の(式10)、(式11)に基づいて生成する。
Figure 0004514792
Figure 0004514792
この結果、内側DPP信号生成部22inにおいて生成された差動プッシュプル信号DPPinが係数乗算部23の増幅回路231inに供給され、外側DPP信号生成部22outにおいて生成された差動プッシュプル信号DPPoutが増幅回路231outに供給されることとなる。なお、各式において(i)「Gin」はメインビームとサブビームinの回折光量に応じた係数、(ii)「Gout」はメインビームとサブビームoutの回折光量に応じた係数、となっているが、本実施形態においてはサブビームinとして±1次光を、サブビームoutとして±2次光を用いているので、サブビームinとサブビームoutとの間で光量が異なってくる。このため、「Gin」及び「Gout」は、かかる回折光量比を考慮した値として設定されることとなる。
次いで、係数乗算部23に設けられた、増幅回路231in及び231outは、重み決定部WDから供給される制御信号に基づいて、両DPP信号生成部22in及び22outから入力される差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutを増幅する。この結果、両増幅回路231in及び231outからは、上記(式8)に示す係数kin及びkoutを乗算した値の差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutが出力されることとなり、加算器24から上記(式8)により示されるトラッキングエラー信号Steがアクチュエータ駆動部ADに供給され、トラッキング制御が実現されることとなる。
なお、フォーカスエラー信号生成部25においてフォーカスエラー信号を生成する手法については任意であり、例えば、非点収差法を採用する場合、エラー検出レンズ18としてシリンドリカルレンズを設け、第1受光部19Aから出力される受光信号に基づいてフォーカスエラー信号を生成するようにすれば良い。
一方、係数乗算部23を制御するための重み決定部WDは、シフト量検出器RDと、係数決定部CCと、を有し、これらの要素中、シフト量検出器RDは対物レンズ171中心点の光ディスクDK中心点からのシフト量r(図3参照)を算出し、当該算出結果を示すシフト量信号を重み決定部WDに供給するためのものとなっている。
なお、シフト量rを検出する具体的な方法については任意であり、例えば、光ディスクDKに対するデータの記録再生開始前においてトラックサーチを行っている状態においては、(方法a)第1受光部19Aから出力される受光信号のゼロクロス回数をカウントすることにより光ディスクDKの最内周から何トラック分移動したのかを算出し、当該移動トラック数に基づいてシフト量rを算出するようにしても良いし、(方法b)光ディスクDKから読み出した記録アドレスをシフト量に変換するためのテーブルを保持させ、当該テーブルと光ディスクDKから読み出した記録アドレスに基づいてシフト量rを算出するようにしても良い。また、光ディスクDKに対してデータの記録再生を開始した後は、(方法c)経過時間に基づいてシフト量rを算出するようにしても良く、(方法d)図示せぬスピンドルモータの回転数をカウントし、当該カウント数に基づいてシフト量rを算出するようにしても良く、更には、(方法e)受光信号に含まれるウォブル信号に基づいてシフト量rを算出するようにしても良い。なお、方法cを採用する場合、角速度一定の場合、時間に正比例の関係にてシフト量は変動し、線速度一定の場合には、記録開始位置のシフト量rから一周の長さを算出すると共に当該算出した長さに基づいて一周あたりにかかる時間数を特定し、当該特定された時間数と経過時間数に基づいてシフト量rを算出するようにすれば良い。
係数決定部CCは、シフト量検出器RDから供給されるシフト量信号に基づいて上記(式8)における係数kin及びkoutを決定し、当該係数kin及びkoutを示す制御信号を係数乗算部23に供給して、係数乗算部23における係数を可変させる。
ここで、この係数決定部CCにおける係数kin及びkoutの決定方法について図6を参照しつつ説明する。なお、図6は、係数kin及びkoutの値の変化態様を示すグラフであり、同図においては、係数kinの変化態様を実線で示すと共に、係数koutの変化態様を点線で示している。また、この図6においては、シフト量rを横軸、係数の値を縦軸とすると共に、上記図4における「r1」〜「r4」に対応するシフト量rを横軸上に表示している。
まず、上記図4において示したように、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutは、以下のような関係を有している。
(区間1)シフト量r=「rmin」〜「r1」及び「r4」〜「rmax」の間、差動プッシュプル信号DPPinが閾値TH以下、DPPoutが閾値TH以上。
(区間2)シフト量r=「r1」〜「r2」の間、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutが共に閾値TH以上。
(区間3)シフト量r=「r2」〜「r3」の間、差動プッシュプル信号DPPinが閾値TH以上、DPPoutが閾値TH以下。
(区間4)シフト量r=「r3」〜「r4」の間、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutが共に閾値TH以上。
この関係が成立する環境下では、上記区間1においては、差動プッシュプル信号DPPoutのみを用いた場合に、信号振幅を最も大きくすることができ、区間3においては、差動プッシュプル信号DPPinのみを用いた場合に、信号振幅を最も大きくすることが可能となる。一方、区間2及び区間4においては差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutは、共に閾値TH以上の値を採りつつ、増減している状態にある。
かかる関係に鑑み、本実施形態においては、係数kin及びkoutの値を図6に示すように、(a)区間1:kin=「0」、kout=「1」、(b)区間2:kin=(r-r1)/(r2-r1)、kout=(r2-r)/(r2-r1)、(c)区間3:kin=「1」、kout=「0」、(d)区間4:kin=(r4-r)/(r4-r3)、kout=(r-r3)/(r4-r3)、と設定することとしている。かかる係数kin及びkoutの設定を可能とすべく、この係数決定部CCは、図7に示す係数設定テーブルTBLを有しており、この係数設定テーブルTBLに基づいてシフト量検出器RDからのシフト量信号に対応する係数kin及びkoutを算出する。そして、当該算出した係数kin及びkoutを示す制御情報を係数乗算部23に供給し、増幅回路231in及び231outにおける増幅率を制御するのである。この結果、エラー信号生成部EGの加算器24から出力されるトラッキングエラー信号Steが変化し、的確なトラッキング補正が実現されることとなる。
(3)光ビーム照射位置の初期調整原理について
以上、本願の第1実施形態にかかる情報記録再生装置RPの具体的な構成について説明してきたが、ここで、光ディスクDKの盤面に対するメインビーム、サブビームin及びサブビームout の照射位置の初期調整手法と、その原理について説明する。
まず、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPのように対物レンズ171の移動軸がスライダ軸から光ディスクのタンジェンシャル方向にシフトした位置にある場合、ビーム照射位置の初期調整を適切に行わないと、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの双方が共に閾値THを下回り、所望のトラッキングエラー信号Steが得られないことがある。
この点について図8及び図9を参照しつつ説明する。今、図8に示すように(i)対物レンズ171の移動軸と、(ii)メインビーム、サブビームin、outの照射位置を結んだ軸と、がなす角の角度を「γ0」とする。この場合において、サブビームin及びoutの照射位置は、角度γ0の値に依存して変化するものであるため、初期調整時に角度γ0の値を適切に調整しておかなければ、図9に示すように差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの双方が閾値TH(=「1」)を下回ってしまう可能性がある。
一方、この角度γ0の値は、回折格子12の設置角度に依存するため、記録再生半径(「rmin」〜「rout」)の間において差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの少なくとも何れか一方が閾値THを上回るような角度γ0の範囲を求め、当該範囲内となるように回折格子12の角度を設定することにより、かかる事態の発生を防止することが可能となる。
以下、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの何れか一方が必ず閾値THを上回るような角度γ0の設定条件について説明する。但し、以下においては全てのビームに対応した集光スポットは直線上に並び、且つ、メインビームとサブビームout間の距離がメインビームとサブビームin間の距離のA倍(Aは定数)であるものとして説明を行う。従って、上記Δxin=Δxとした場合に、Δxout=AΔxなる関係が成立することとなる(図8参照)。
この場合、図8からΔx(r)は(式12)のようになる。また、角度γ0の条件を求めるために、(式13)及び(式14)の関係を用いる。なお、α0はメインビームが存在するトラックから測った角度である。
Figure 0004514792
Figure 0004514792
Figure 0004514792
ここで、角度γ0の範囲を決める際には、次の点に留意しなければならない。すなわち、
<留意点a>記録再生半径内において少なくとも何れか一方の差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅が閾値TH以上となる必要がある点、
<留意点b>再生半径内で差動プッシュプル信号DPPin及びDPPout間に交点が存在する場合、その交点での振幅値は必ず閾値TH以上とならなければならない点、
<留意点c>(式6)及び(式7)に示したように2つの差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅は、半径に対してcos関数となるので、差動プッシュプル信号DPPinとDPPoutの間に同相交点(すなわち、同じ半径方向の変化に対して信号振幅の変化の極性が等しい交点)と逆相交点(すなわち、同じ半径方向の変化に対して信号振幅の変化の極性が反転する交点)の二種類が存在することとなる点、である。
以下、これらの点に留意しつつ、記録再生半径内において、必ず、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの何れ一方が閾値TH以上となる条件として、本実施形態においては以下の3つの条件を設定した。
(a)条件1
まず、第1の条件は、記録再生半径内に同相交点が存在しないということである。同相交点が記録再生半径内に存在しても、その値が閾値TH以上となればよいので、本来ならば、そのような範囲も含めるべきであるが、そうすると非常に条件値が多くなり、理解が困難となる。また、同相交点が存在する時<留意点a>を満たす角度γ0の範囲は非常に狭いことが分かっているので、記録再生半径内に同相交点が存在する場合を全て除外することにした。
(b)条件2
記録再生半径内の逆相交点において差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅の値が閾値TH以上であれば良いので、これを「第2の条件」とした。
(c)条件3
但し、上記2つの条件を満たしても、最内周、最外周でどちらの信号も閾値THを下回る場合があるので、「第3の条件」として、最内周と最外周で必ず差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの少なくとも一方が閾値THを上回るという条件を加えた。
以下、各条件を実現するための初期調整値について説明する。
(a)条件1について
同相交点が存在しないという条件から角度γ0の範囲を以下の式に従って決める。同相交点は、
Figure 0004514792
(但し、nは整数とし、Δxin=Δxとした場合に、Δxout=AΔx(すなわち、メインビーム、サブビームin及びoutの集光スポットが直線上にある状態)とする)なる条件を満たすときに生じるため、記録再生半径内で、この(式15)を満たさなければ良いこととなる。通常、メインビームがグルーブトラックにオントラックの時、サブビームinは、これに隣接するランドトラックに照射されるようにするので、記録再生半径内で0<Δxout−Δxin<GPであれば記録再生半径内で同相交点が存在しない。つまり、
Figure 0004514792
を満たすようにすれば良いこととなる。(式13)及び(式14)を用いるとγ0の範囲は以下のようになる。
Figure 0004514792
ここで、角度γ0の下限、上限を横軸r(rminからrmax)としてグラフにプロットすると、図10のようになる。
よって,記録再生半径内でrの値によらず条件を満たす角度γ0は斜線で示される範囲に設定されることが必要となり、この条件を数式により表現すると、
Figure 0004514792
となる。これが角度γ0の第1の条件になる。
(b)条件2について
一方、逆相交点でΔxは、
Figure 0004514792
(但し、mは整数)
を満たす時に生じるので、これをΔxcとすると
Figure 0004514792
となる。ここで、mは交点に対応する整数である。逆相交点で差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅は等しく、この値が閾値TH以上であるためにはmが以下の式を満たす必要がある。
Figure 0004514792
(但し、THは閾値TH)
この式からmの範囲を求めると、
Figure 0004514792
となる(ただしnは整数)。
図8から分かるように、r=rminで(A+1)Δxが最も大きくなり、r=rmaxで最も小さくなる。従って、mの最小値と最大値は以下のように表すことができる。
Figure 0004514792
Figure 0004514792
つまり、mはmmin≦m≦mmaxを満たす整数である。
よって、mが(式22)の範囲にあるためには、
Figure 0004514792
Figure 0004514792
であれば良い。
この(式25)を変形すると
Figure 0004514792
ここからΔx(rmax)の範囲を求めると
Figure 0004514792
である。
同様に(式26)を変形してΔx(rmin)の範囲を求めると
Figure 0004514792
である。
(式13)及び(式14)を用いて、(式28)(式29)から角度γ0の範囲を求めると
Figure 0004514792
となり、これが角度γ0の第2の条件となる(但しnは整数)。
(c)条件3について
最内周、最外周で差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの何れか一方の振幅が閾値TH以上になる条件から角度γ0の範囲を求める。
ここで、差動プッシュプル信号DPPinが最内周で閾値TH以上になる条件から、
Figure 0004514792
これを変形してΔx(rmin)の範囲に直すと、
Figure 0004514792
である(但しninminは整数)。
(式12)にr=rminを代入すると、
Figure 0004514792
ここで、(式13)及び(式14)を用いて、Δx(rmin)の範囲から角度γ0の範囲を求めると、
Figure 0004514792
のようになる(但し、ninminは整数)。
同様にして、差動プッシュプル信号DPPoutが最内周で閾値TH以上になる条件から、
Figure 0004514792
(但し、noutminは整数)。同様に差動プッシュプル信号DPPinが最外周で閾値TH以上になる条件から、
Figure 0004514792
となる(なお、ninminは整数)。
更に、差動プッシュプル信号DPPoutが最外周で閾値TH以上になる条件から、
Figure 0004514792
である(なお、noutmaxは整数)。
よって,最内周で(式34)か(式35)のどちらか、最外周で(式36)か(式37)のどちらかを満たしていれば、最内周、最外周で差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの少なくとも何れか一方の振幅が閾値TH以上になる。以上が角度γ0の条件3である。
記録再生半径内で差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの少なくとも何れか一方の振幅が閾値TH以上になるためには、角度γ0について上記条件1、2、3を全て満たすことが必要となる。各パラメータ(GP=0.74μm、L=4.0mm、D=5.0μm、rmin=2.5cm、rmax=5.5cm、A=2.0、TH=1)を代入した角度γ0の範囲の具体例を図11(a)に示し、図11(b)に、各範囲における具体的な差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの特性を示す。
図11(b)に示すように、角度γ0の値が上記各条件を全て満たす範囲内において、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの少なくとも何れか一方が閾値TH以上となることが分かる。本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいては、光ディスクDKの盤面におけるサブビームin及びoutの照射位置の関係が以上のような条件を満たすように、回折格子12の角度調整されることとなる。
直線上に集光スポットを配置しない場合の初期調整の条件について、ここでは詳しく説明しないが例えば図12のように、スライダ軸と対物レンズ171の間の距離Lが「4mm」、メインビームとサブビームinの距離が5.0μm、メインビームとサブビームoutの距離が10.0μmの時に、シフト量r=3.4cmでΔxin及びΔxoutを夫々「GP(=0.74μm)/2」「GP−0.1μm」と調整すると、記録再生半径内でDPP振幅が閾値以上になる。
[1.2]第1実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する本実施形態にかかる情報記録再生装置RPの具体的な動作について説明することとする。まず、情報記録再生装置RPに光ディスクDKが挿入されている状態において、ユーザが図示せぬ操作部に当該光ディスクDKに対して所定の入力操作を行う。すると、制御部Cは、図示せぬスピンドルモータに対する駆動信号を供給し、スピンドルモータを回転させると共に、トラックサーチ用の光ビームが半導体レーザ11から出力されるように駆動回路Dに対する駆動信号の供給を開始し、トラックサーチのための処理を実行する。この際、制御部Cは、キャリッジサーボを実行させ、データを記録すべきアドレスに対応した光ディスクDK上の位置まで光ピックアップPUを移動させる。
また、この際、シフト量検出器RDにおいてトラックサーチに伴うシフト量rが算出され、シフト量検出器RDは、当該算出結果を保持する状態となる。
一方、トラックサーチが完了すると、制御部Cは、アクチュエータ駆動部ADに制御信号を供給し、トラッキングサーボループをクローズの状態に移行させる。この結果、アクチュエータ駆動部ADは、エラー信号生成部EGから供給されるトラッキングエラー信号Steに基づくトラッキング補正動作を行う状態に移行する。このようにして、トラッキングサーボループがクローズの状態となると、制御部Cは、駆動回路Dにおける増幅率を記録パワーに対応した値に再設定し、入力信号処理部IPから供給される入力信号に対応した駆動信号の供給を開始する。
このようにして、制御部Cから駆動信号が供給されると、駆動回路Dから半導体レーザ11に対する信号供給が開始され、半導体レーザ11は、この供給信号に基づいて記録パワーの光ビーム(波長650nm、P偏光)を出射する状態となる。このようにして出射された光ビームが回折格子12に入射されると、回折格子12において当該光ビームが回折されて、メインビーム(0次光)、サブビームinA、inB(±1次光)及びサブビームoutA、outB(±2次光)の5ビームが射出される状態となる。
一方、回折格子12から射出されたメインビーム、サブビームin及びサブビームoutは、PBS13を透過して、コリメータレンズ14において略平行光に変換された後、λ/4板15において円偏光の状態に移行し、ミラー16により図において上方(以下、「図中」と略称する)に反射され、対物レンズ171により光ディスクDKの盤面上に集光される(上記図3参照)。このようにして、メインビーム及びサブビームが光ディスクDK盤面に集光された状態となると、これらメインビーム及びサブビームは、光ディスクDK盤面において反射され、対物レンズ171に入射される状態となる。
次いで、これらのビームに対応した反射光は、対物レンズ171を透過した後、ミラー16により図中左方に反射され、λ/4板15を透過して往路とπ/2だけ偏光方向が変化した直線偏光(例えば、S偏光)の状態に移行する。そして、コリメータレンズ14を透過した後、PBS13により図中下方に反射されて、エラー検出レンズ18によりOEIC19に集光される。この結果、第1受光部19Aにメイン反射光が、第2受光部19Bにサブ反射光inAが、第3受光部19Cにサブ反射光inBが、第4受光部19Dにサブ反射光outAが、第5受光部19Eにサブ反射光outBが、夫々、集光され、各受光部19A〜19Eから反射光の受光光量に対応したレベルの受光信号が出力される状態となる。
この状態となると、シフト量検出器RDは、シフト量rを算出し、シフト量信号を出力する状態となる。この際、シフト量検出器RDは、トラックサーチ時に保持したシフト量からの変位量Δrを算出すると共に、この変化量Δrをトラックサーチ時のシフト量に加算して、現在のシフト量rを算出する。なお、シフト量検出部RDからシフト量信号を出力するタイミング及びシフト量信号の態様については任意であり、例えば、一定間隔にてシフト量rを示すシフト量信号を出力するようにしても良く、シフト量rの変化に併せてシフト量信号として係数決定部CCに供給する電圧値を随時変化させるようにしても良い。
このようにして、シフト量検出器RDからシフト量信号が供給される状態となると、係数決定部CCは、シフト量信号と係数設定テーブルTBLに基づいて、シフト量信号に対応する係数kin及びkoutの値を算出し、当該算出した係数kin及びkoutを示す制御信号を係数乗算部23に供給する状態に移行するのである。なお、この際、係数決定部CCから制御信号を出力するタイミング及び制御信号の態様に関しては任意であり、一定間隔にて係数kin及びkoutを示す制御信号を出力するようにしても良く、制御信号として供給する電圧値を係数kin及びkoutの変化に併せて随時変化させるようにしても良い。
以上の処理がなされる結果、係数決定部CCから供給される制御信号に基づいて係数乗算部23において増幅回路231in及び231outにおける増幅率が変更され、アクチュエータ駆動部ADに供給されるトラッキングエラー信号Steの信号値が変化する。この結果、常にトラッキングエラー信号Steの振幅が閾値TH以上に維持されることとなり、適切なトラッキング補正が実現されることとなる。
このようにして、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいては、半導体レーザ11から射出された光ビームを回折格子12により回折させ、(i)メインビーム、(ii)サブビームinA、(iii)サブビームinB、(iv)サブビームoutA及び(v)サブビームoutBの5つのビームを射出させ、光ディスクDKの中心点を通る半径軸から、記録トラックの円周方向に所定量シフトした位置に、これら5つのビームを集光させるようになっている。そして、これら5つのビームの光ディスクDKにおける反射光を受光し、各ビームに対応した受光信号を出力して、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutを生成し、この生成した差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの対して係数kin及びkoutを乗算した後、和を採ってトラッキングエラー信号Steを生成する構成を有している。このため、信号振幅が閾値THを上回る差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの線形和を採ったトラッキングエラー信号Steが生成されることとなる。この結果、3ビームを用いてDPP方式によるトラッキング補正を実行する際に、トラックに対するサブビームの照射位置に変動が生じた場合でも、確実且つ適切なトラッキング補正を実行することが可能となるのである。
また、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいては、シフト量rに対応する係数kin及びkoutを設定テーブルTBLから読み出して、当該係数kin及びkoutに基づいてトラッキングエラー信号を生成しているため、信号処理時の処理負担を軽減することが可能となると共に、信号振幅の変動を少なくすることも可能となり、もって、安定したトラッキング補正を実現することが可能となる。
なお、上記実施形態においては制御部C及び駆動回路D、受光信号処理部OP、アクチュエータ駆動部ADを光ピックアップ装置PUと別体の装置(例えば、CPU)により構成した例について説明したが、これらは光ピックアップ装置PUと一体的に構成するようにしても良い。
また、係数設定テーブルTBLに格納する係数kin及びkoutの値を「0」及び「1」のみとすることで、単純に値が大きくなる差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutに切り替えるようにすることも可能である。
また更に、上記実施形態においては、トラッキング補正を行う場合を例に説明を行ったが、同様の手法によりCTCを実現することも可能である。但し、CTCを実現しようとする場合には、サブビームin及びoutがメインビームの照射されているグルーブトラックに隣接するグルーブトラック上に照射することが必要となるので、各ビームの照射位置をCTC用に調整することが必要となる点には留意しなければならない。
[1.3]第1実施形態の変形例
(1)変形例1
上記第1実施形態においては、半導体レーザ11からの出射光を回折格子12により、回折させ、メインビーム及びサブビームinA、inB、サブビームoutA、outBの5つのビームを射出する構成を採用していた。しかし、回折格子12を用いることなく、マルチアレイ化した光源(すなわち、5つの半導体レーザを1パッケージにした光源ユニット)を用いることも可能である。特に、5つのビームに対応した集光スポットを直線状に配置しない場合、このマルチアレイ化した光源が好適な形態となる。但し、5つのビームに対応した集光スポットを直線状に配置した場合であっても、上記のような初期設定を行わなければならない点に関しては、上記第1実施形態と同様である。
(2)変形例2
上記実施形態においては、図7に示した係数設定テーブルTBLを係数決定部CCに保有させ、シフト量検出器RDから供給されるシフト量信号により示されるのみに基づいて係数kin及びkoutを決定することにより、図6のような係数kin及びkoutの変化態様を実現するようになっていた。しかし、シフト量信号のみならず、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutを利用して係数kin及びkoutを決定するようにすることも可能である。かかる方法を採用することにより、トラッキングエラー信号Steに発生する信号変化を更に抑制し、トラッキング補正の精度を更に向上させることが可能となる。
かかる機能を実現するため、本変形例において係数決定部CC2には図13に示すように、内側DPP信号生成部22in及び外側DPP信号生成部22outから差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutが供給されるようになっている。また、この係数決定部CC2は、図14(b)に示すような係数決定テーブルTBL2を有しており、このテーブルTBL2に基づいて係数kin及びkoutを算出するようになっている。
具体的には、図14(b)に示すように、
(a)区間11(シフト量r=「rmin」〜「r1」及び「r4」〜「rmax」):kin=「0」、kout=「1」、
(b)区間12(シフト量r=「r1」〜「r2」及び「r3」〜「r4」):kin=(TH-DPPin)/{2TH-(DPPin+DPPout)、kout==(TH-DPPout)/{2TH-(DPPin+DPPout)、
(c)区間13(シフト量r=「r2」〜「r3」):kin=「1」、kout=「0」、
と設定することとしている。この結果、係数kin及びkoutの設定値は、図14(a)に示すように変動することとなり、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅変化をも考慮した係数kin及びkoutの決定形態を実現することが可能となる。かかる手法により、決定された係数kin及びkoutを上記(式8)に代入してトラッキングエラー信号Steを生成することにより、トラッキングエラー信号Steの変動を更に抑制することが可能となるのである。
このようにして、本変形例によれば、更にトラッキングエラー信号Steの変動を抑制し、正確なトラッキング補正を実現することが可能となる。
なお、上記変形例1においては、シフト量rと、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの3つを利用して係数kin及びkoutを決定する構成を採用したが、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの値のみに基づいてトラッキングエラー信号Steを生成するようにしても良い。この場合、差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutの振幅値が閾値THを越えているか否かを検出するようにし、越えているものと判定した場合に、利用する差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutを切り換えるようにしても良い。また、この場合、上記(式8)に基づいてトラッキングエラー信号Steを生成するようにしても良い。
(3)変形例3
上記実施形態においては、DVDフォーマットの光ディスクDKに対して情報の記録再生を行う、所謂、1ビーム1ディスク型の情報記録再生装置RPに対して、本願の技術思想を適用した場合を例に説明を行っていた。しかし、光ディスクDKの従う記録フォーマットに関しては任意であり、例えば、CD(Compact Disc)やBD、HD-DVD(High Definition-DVD)といった、他の記録フォーマットに従った光ディスクDKに対するデータの記録再生を行う場合についても上記実施形態と同様の構成により実現することが可能である。
また、情報記録再生装置RPにより記録再生を行う記録フォーマット数に関しては任意であり、例えば、CD、DVD、BD、HD-DVDの4記録フォーマットに対応した光ピックアップ装置PUにおいても回折格子12を用いることにより半導体レーザ11からの出射光を回折させ、5つのビームに変換して光ディスクDKに照射することにより、同様の作用効果を奏することが可能となっている。また、この場合における対物レンズ171の数に関しては任意であり、互換型の対物レンズ171を一つ用いるようにしても良いし、複数の対物レンズ171を設けるようにしても良い。この場合であっても、何れか一方の対物レンズ171がスライダ軸からタンジェンシャル方向にシフトして設けられる場合には、同様の効果を奏することが可能となる。
[2]第2実施形態
上記第1実施形態においては差動プッシュプル信号DPPin及びDPPoutを扱ったが、同様の手法により隣接トラックのクロストーク信号(以下、「CTC信号」という)の変動を抑える角度γ0の条件を求めることも可能である。この点について以下説明する。まず、CTC信号はメインビームがグルーブトラック上に照射されている状態において、サブビームが、これに隣接するグルーブトラック上にある時に最大となる。これを式で以下のように表す。
Figure 0004514792
(なお、TPはトラックピッチ)
ここで、角度γ0の範囲を決める際には、次の点に留意しなければならない。すなわち、
<留意点aa>本実施形態においては、サブビームin及びoutに対応した1組のCTC信号からCTC用信号を生成する点。
<留意点bb>再生半径内でどちらかのCTC信号が閾値THを超えている必要がある点。
<留意点cc>CTCを実現するためには、サブビームin及びoutが読む隣接トラックのCTC信号が他のトラックの信号よりも大きくなければならない点。なお、CTC信号はガウス関数で表されるので、サブビームin及びoutがランドトラック中央にある時のCTC信号が閾値THとなる。
従って、サブビームが図15の範囲にあれば良いこととなる。
ここで、第2実施形態において示したように、Δx(r)はr=rmaxで最小となるので、この条件を数式で表すと、
Figure 0004514792
Figure 0004514792

のどちらかを記録再生半径内で満たせば良いことになる。また、Δx(r)はr=rminで最も大きくなるため、この条件を数式で表すと、
Figure 0004514792
のどちらかを記録再生半径内で満たせば良いことになる。
この2つの条件式を角度γ0の範囲に変形するため、(式12)にr=rmaxを代入すると、
Figure 0004514792
ここで、(式13)及び(式14)を用いて、Δx(rmax)の範囲から角度γ0の範囲を求めると、
Figure 0004514792
Figure 0004514792
このとき、
Figure 0004514792
なる関係が成立するので、
Figure 0004514792
であれば良いこととなる。
また、(式12)にr=rminを代入すると
Figure 0004514792
ここで、(式13)及び(式14)を用いて、Δx(rmin)の範囲から角度γ0の範囲を求めると
Figure 0004514792
Figure 0004514792
このとき、
Figure 0004514792
なる関係が成立するため、
Figure 0004514792
であれば良い。従って、
Figure 0004514792
このγ0が(式52)の範囲にある場合のCTC信号の例を図16に示す。計算で用いたパラメータはGP=0.74μm、L=4.0mm、D=5.0μm、rmin=2.5cm、rmax=5.5cm、A=2.0である。なお、閾値THはトラック中間にサブビームがある時のCTC信号の値を示している。同図に示すように、γ0が(式52)に示す値を採る場合、記録再生半径内においてサブビームinに対応したCTC信号CTCin及びCTCoutの少なくとも何れか一方が、必ず、閾値TH以上の値を採る。
この結果、半径位置に応じた係数kin及びkoutを乗算してCTC信号CTCin及びCTCoutに対する重み付けを行って、
Figure 0004514792
適切なCTCを実現することが可能となる。なお、係数kin及びkoutの決定方法は、任意であり、例えば、上記第1実施形態と同様に初期調整後に得られたCTC信号CTCin及びCTCoutの特性から各半径位置において設定すべき係数kin及びkoutを予め決定し、当該決定された係数値を示す係数設定テーブルTBLを予め係数決定部CCに保有させるようにしても良い。
但し、以上のように、CTC信号CTCinとCTCoutをそれぞれ演算しても良いが、実際にはCTC信号を生成するための回路を2つ設け、それぞれ演算することは製造コストの上昇要因となり、実現性に乏しい。従って、CTC信号を生成するための回路は一つのみ設け、この回路においてCTCin及びCTCoutのうち大きいほうの信号を選択的に演算することが望ましい。この場合、信号の大小を予め係数設定テーブルTBLに記述しておき、例えば、あるシフト量rにおいて、CTC信号CTCinがCTCoutよりも大きい場合(kin=1kout=0)、クロストーク信号を生成するための回路に対してサブビームinに対応した受光信号のみを入力して演算し、CTC信号CTCoutは演算せずに一定値を出力するようにする。かかる手法を採用することにより、CTC信号の生成用回路が1つで済むこととなり、装置の製造コストの上昇を防止することが可能となる。
このようにして、本実施形態によれば対物レンズ171がスライダ軸からタンジェンシャル方向にシフトした位置に配置されている場合であっても、適切なCTCを実現することが可能となる。

Claims (10)

  1. (i)0次光としてのメインビーム、(ii)+1次光としての第1内側サブビーム、(iii)−1次光としての第2内側サブビーム、(iv)+2次光としての第1外側サブビーム及び(v)−2次光としての第2外側サブビームの5つの光ビームを射出する光ビーム射出手段と、
    光学式記録媒体に設けられた螺旋状の記録トラック中心点を通る半径軸から、前記記録トラックの円周方向に所定量シフトした前記光学式記録媒体上の位置に前記5つの光ビームを集光させる集光手段と、
    前記5つの光ビームの前記光学式記録媒体における反射光を受光し、各ビームに対応した受光信号を出力する受光手段と、
    (a)前記メインビーム、第1内側サブビーム及び第2内側サブビームの各々に対応した受光信号からトラッキング補正或いはクロストークキャンセルの少なくとも何れかに用いるための内側信号を生成する一方、(b)前記メインビーム、第1外側サブビーム及び第2外側サブビームの各々に対応した受光信号からトラッキング補正或いはクロストークキャンセルの少なくとも何れかに用いるための外側信号を生成する生成手段と、
    前記内側信号及び外側信号の各々に対して係数を乗算した後、当該係数乗算後の内側信号及び外側信号の和信号を生成する和信号生成手段と、
    を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 前記5つの光ビームを射出する手段は、光源と回折手段からなることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
  3. (a)前記メインビームの集光位置を通り、且つ、前記半径軸に対して直角な線と前記半径軸とが交わる交点と、(b)前記記録トラックの中心点と、の間の距離を算出する距離算出手段を更に有し、
    前記和信号生成手段は、
    前記算出された距離に基づいて前記内側信号及び外側信号に乗算すべき係数を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置。
  4. 前記和信号生成手段は、
    前記内側信号及び外側信号の信号値と、前記距離と、に基づいて前記内側信号及び外側信号に乗算すべき係数を決定することを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
  5. 前記光ビーム射出手段は、
    前記内側信号及び外側信号が周期関数として得られる場合に、
    前記5つの光ビームが前記光学式記録媒体に照射された際に各ビームに対応した集光スポットを結んで形成される直線と前記半径軸とのなす角度が
    (a)条件1:前記内側信号と外側信号の間に同相交点が存在せず、
    (b)条件2:前記内側信号と外側信号の逆相交点における信号値が所定の閾値以上であり、且つ、
    (c)条件3:前記光学式記録媒体における記録再生半径における最内周及び最外周の何れにおいても前記内側信号と外側信号の何れかが前記閾値以上となる、という3条件を満たすように、前記5つの光ビームを、前記トラッキング補正に用いるために、射出することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光ピックアップ装置。
  6. 前記光ビーム射出手段は、
    前記5つの光ビームが前記光学式記録媒体に照射された際に各ビームに対応した集光スポットを結んで形成される直線と前記半径軸とのなす角度が
    sin-1(TP/2AD)+(π/2)−tan-1(L/rmax) <γ0< sin-1(3TP/2D)+(π/2)−tan-1(L/rmin)
    (但し、γ0:角度、TP:トラックピッチ、A:定数、D:メインビームとサブビームとの直線距離、L:スライダ軸と対物レンズとの距離、r min :記録再生半径の最小値をそれぞれ示す。
    なる条件を満たすように、前記光ビームを、前記クロストークキャンセルに用いるために回折させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光ピックアップ装置。
  7. 前記生成された和信号に基づいて、トラッキング補正或いはクロストークキャンセルの少なくとも何れかを実行する補正手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光ピックアップ装置。
  8. 前記集光手段は、複数の対物レンズを有することを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
  9. 請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の光ピックアップ装置と、
    前記光ピックアップ装置を駆動する駆動手段と、
    前記駆動手段を制御することにより、前記光学式記録媒体に対する情報の記録及び再生を制御する制御手段と、
    前記光ピックアップ装置における受光結果に対応した信号を出力する出力手段と、
    を具備することを特徴とする情報記録再生装置。
  10. (i)0次光としてのメインビーム、(ii)+1次光としての第1内側サブビーム、(iii)−1次光としての第2内側サブビーム、(iv)+2次光としての第1外側サブビーム及び(v)−2次光としての第2外側サブビームの5つの光ビームを射出する光ビーム射出手段と、
    光学式記録媒体に設けられた螺旋状の記録トラック中心点を通る半径軸から、前記記録トラックの円周方向に所定量シフトした前記光学式記録媒体上の位置に前記5つの光ビームを集光させる集光手段と、
    前記5つの光ビームの前記光学式記録媒体における反射光を受光し、各ビームに対応した受光信号を出力する受光手段と、を備えた光ピックアップ装置の制御方法であって、
    (a)前記メインビーム、第1内側サブビーム及び第2内側サブビームの各々に対応した受光信号からトラッキング補正或いはクロストークキャンセルの少なくとも何れかに用いるための内側信号を生成する一方、(b)前記メインビーム、第1外側サブビーム及び第2外側サブビームの各々に対応した受光信号からトラッキング補正或いはクロストークキャンセルの少なくとも何れかに用いるための外側信号を生成する生成工程と、
    前記内側信号及び外側信号の各々に対して係数を乗算した後、当該係数乗算後の内側信号及び外側信号の和信号を生成する和信号生成工程と、
    を備えることを特徴とする制御方法。
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