JP4514535B2 - 油中溶解ガス監視装置 - Google Patents
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Description
これらの電気機器の異常を監視する従来の装置として、たとえば、特開平9−170995号公報や特開平11−142382号公報、および特開2002−357516号公報が知られている。
これら従来の装置は、いずれも前記公報に示す装置を電気機器に直結し、当該機器に使用されている絶縁油を前記装置に設けた採油室に取り込み、減圧(真空)状態のガス抽出室に絶縁油を噴出させることによって溶解ガスを平衡抽出させ、さらに抽出したガスを測定部に導き、所定の検知センサーによって可燃性の溶解ガス、例えば水素(H2)、エチレン(C2H4)、アセチレン(C2H2)、一酸化炭素(CO)などのガスを特定しそれらの濃度を測定するような装置となっている。
また、このような装置による測定の基本的な手順は、(ア)測定系回路のクリーニング、(イ)試料油の取り込み、(ウ)溶解ガスの平衡抽出、(エ)抽出ガスの特定および濃度の測定とする手順となっており、この(ア)〜(エ)を定期的に例えば1日ごとに繰り返し、得られる測定結果を経時的な変化として捉え電気機器の異常を監視するような装置となっている。
なお、この種装置によって検出される溶解ガスは数種の可燃性ガスとして検知されるが、このうち、アセチレン(C2H2)やエチレン(C2H4)が電気機器の重故障を示す特徴ガスであることは、電気協同研究会発行、第54巻第5号(その1)油入変圧器の保守管理の第2章「油中ガス分析による保守管理基準」の第40頁に示されている。
この種の測定は経時的な変化として捉えるため定期的に測定を行うのが一般的であるが、測定後の溶解ガスの抽出済み試料油は、いったん電気機器の本体へ一部戻し入れし、その後に新たな試料油を取り込み、測定済みの試料油を新たな試料油と置換するようにしている。
ここで、特許文献3に示されるようなガス抽出部が2容器式の場合においては、置換操作直後における採油室は電気機器側に封入されている絶縁油のヘッド圧力のため加圧状態にあり、またガス抽出室は絶縁油から溶解ガスを平衡抽出するため減圧(真空)状態にある。したがって、採油室の試料油はこの差圧のためガス抽出室に押しやられ一部の測定済み試料油がガス抽出室に滞留する現象があった。このため測定ごとの置換後において測定済みの試料油と新たに取り入れた試料油とが混合し、溶解ガス濃度の測定値に誤差が生じる恐れがあった。
このため、ガス抽出空間の容積が変化することで抽出操作後の抽出ガス量が変動し、抽出率が低下するとともに抽出率のばらつきが生じていた。さらに、測定を重ねていくに従いガス抽出室内に試料油が充満し測定不可能となる恐れもあった。
なお、前記で示す抽出率は、[(抽出操作前の試料液中の溶解ガス量)−(抽出操作後の試料液中の溶解ガス量)]/(抽出操作前の試料液中の溶解ガス量)×100(%)と定義される率のことで、当値が大きいほど良好な抽出である。
しかしながら、試料油の温度は電気機器の負荷状態や季節および周囲の環境によって抽出設定温度よりしばしば高くなるケースがあり、このような状態では検出部の分離カラムに試料油の蒸気が吸着し分離能力が低下する問題があった。このため試料油の温度が抽出設定温度より高くなる場合は、試料油を自然放熱によって抽出設定温度となるまで待機して測定していた。このため、ガス抽出時間が長くなるという問題がある。
測定済みの試料油と新たに採取した試料油とが混合することを防止して、信頼性の高い溶解ガス濃度の測定を可能とした油中溶解ガス監視装置を提供することを目的とする。
前記第2の循環路に配設され、電気機器内の絶縁油と採油室内の絶縁油とを循環させ、採油室内の絶縁油を置換すると共に、前記採油室からの絶縁油を前記ガス抽出室に噴出循環させるオイルポンプと、
前記採油室の絶縁油を前記ガス抽出室に噴出循環させて溶解ガスを抽出する際に、ガス抽出室と採油室とを連通して両室の圧力を同一とするバイパス管路とを有するガス抽出部、
キャリアガスとともに送気される抽出ガスの総可燃性ガスの混合濃度を測定する第1のガスセンサーと、前記総可燃性ガスを所定量集積する計量管と、前記総可燃性ガスのうち電気機器の重故障を示す特徴ガスの濃度を測定する第2のガスセンサーとを有するガス測定手段と、
前記ガス抽出室内に抽出された抽出ガスとキャリアガスとを混合攪拌して、前記第1のガスセンサーおよび前記計量管に送気する攪拌ポンプと、
キャリアガスを送気して、前記計量管に集積された前記総可燃性ガスを前記第2のガスセンサーに送気すると共に、所定時に前記ガス抽出室を加圧状態にするエアポンプと、
測定すべき新たな絶縁油を前記電機機器から採油室に取り込む際、前記採油室の絶縁油を前記ガス抽出室に噴出させて溶解ガスを抽出する際、および、ガス抽出室内の測定済の抽出ガスを排気する際に、少なくとも前記ガス抽出室を減圧状態とする減圧手段とを有するガス測定部、および、前記ガス抽出部とガス測定部の動作を制御する制御部を備え、
前記採油室に滞留した測定済の絶縁油を前記電気機器に帰還させ、該電気機器から新規な絶縁油を取り入れて採油室の絶縁油を置換する際に、前記エアポンプによって前記ガス抽出室を加圧状態とし、測定済の絶縁油が完全に排出されるよう構成したものである。
図1は、この発明の実施の形態1による油中溶解ガス監視装置の構成を示すブロック図である。
図1において、1は対象の電気機器である油入りの変圧器、2は変圧器1に封入された絶縁油、3はこの発明の油中溶解ガス監視装置を示し、以下の構成品で構成されている。
5は、バルブV1、V2、V4を含む第1の循環路によって変圧器1と連結され変圧器1から取り込んだ絶縁油2を充満するための採油室、6は、減圧(真空)状態の容器内に溶解ガスを平衡抽出するためのガス抽出室で、バルブV3、V4を含む第2の循環路によって採油室5と連結されている。なお、この実施の形態1では50cc程度の内容積としている。7は減圧(真空)状態のガス抽出室6に、採油室5の絶縁油2を噴出させるための噴射口、8はガス抽出室6の油面の有無を監視するための第1の油面センサー、9は採油室5の上限を指示し制御するための第2の油面センサー、10は採油室5の下限を監視するための第3の油面センサー、11はガス抽出室6の内部圧力を測定し制御するための圧力センサーである。
12は採油室5に封入された絶縁油2の温度を一定(この実施の形態1場合50℃)とするための加熱冷却可能な温度調節手段で、例えばペルチェ素子を組み合わせた電子方式またはヒートパイプ方式のものが用いられる。
13は採油室5に封入される絶縁油2の温度を測定するための温度センサー、14はバルブV1、V2、V4を介して採油室5に絶縁油2を取り入れ、採油室5の測定済み絶縁油2と置換したり、バルブV3、V4を介して採油室5の絶縁油2をガス抽出室の噴射口7から噴出させるためのオイルポンプであり、第1の循環路と第2の循環路に共通に配設されている。
15は、バルブV5を介して採油室5とガス抽出室6とを連通するバイパス管路で、後述するようにガス抽出時に採油室5とガス抽出室6とを同圧にするものである。
なお、V1〜V3、V5は電磁式2方弁のバルブ、V4は電磁式3方弁のバルブであり、V5は電源切りで常時開としたバルブである。
17は 測定直前において、後述する第1のガスセンサー20含む回路のクリーニングと、抽出ガスとキャリアガスである空気とを攪拌するためのガス攪拌ポンプ、18はキャリアガスの空気を送気し、また、試料油である絶縁油の置換時にガス抽出室6に加圧された空気を送気するためのエアーポンプ、19は測定すべき新たな絶縁油2を採油室5に取り込むために抽出部4を減圧(真空)状態にするための真空ポンプである。
20は抽出したガスの濃度を測定するための第1のガスセンサーで、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)アセチレン(C2H2)、エチレン(C2H4)、エタン(C2H6)などの総可燃性ガスの混合濃度を測定するものである。
21は抽出したガスの濃度を選択的に吸着し分離するための分離カラム、21aは分離カラム21で分離した抽出ガスを測定する第2のガスセンサーで、特に変圧器の重故障を示すアセチレンガス(C2H2)やエチレン(C2H4)の特徴ガスに特化して測定している。
22は抽出されたガスを第2のガスセンサー21aにて測定する際、一定容積に含まれるガス量を算出するための計量管で、数cc程度の容積としている。
なお、V6〜V13は電磁式3方弁のバルブ、V14、V15は電磁式2方弁のバルブである。
(2) エアーポンプ18を運転し、ガス抽出室6の内を50kPa程度に加圧する。(図3)
(3) エアーポンプ18によるガス抽出室6の加圧を継続しながらオイルポンプ14を運転し、前回測定済の採油室5内の試料油を油面センサ−9のレベルまで押し下げるとともに、バルブV1を経由して一部の測定済み試料油を変圧器1へ戻し入れする。(図4)
これによって、ガス抽出室6に滞留する測定済み絶縁油を完全に排出する。
(5) 採油室5が充満したら、再びオイルポンプ14を運転し、バルブV1、V2、およびV4を介して採油室5の絶縁油と変圧器1の絶縁油とを循環させ、採油室5内の絶縁油(試料油)の置換を行う。(図6)
(6) 同時に、ガス攪拌ポンプ17およびエアーポンプ18にて測定部16の配管系の内部と、第1のガスセンサー20および分離カラム21、第2のガスセンサー21aのクリーニングを行う。(図6)
このときバルブV5を開とし、採油室5とガス抽出室6とをバイパス管路15で連通させる。これによって、採油室5とガス抽出室6とが同圧とされ、オイルポンプ14→ガス抽出室6→採油室5→オイルポンプ14の循環回路における絶縁油(試料油)の循環を円滑に行なわせることができる。(図7)
この結果、ガス抽出室6内に試料油が滞留することがなくなり、ガス抽出空間の容積の変動が防止され、溶解ガスの抽出率を向上させることができるとともに、抽出率のばらつきを無くすことができる
また、ガス抽出中はガス抽出室6の試料油が抽出設定温度となるように温度調節手段12を稼動しておく。(図7)
(10) また、ガス循環ポンプ17にてガス抽出室6の抽出ガスを第1のセンサー20へ送気し、総可燃性ガスの混合濃度を測定する。(図10)
(12) 次にバルブV5を開とするが、このバルブV5の開放直前においては採油室5とガス抽出室6とに圧力差が存在していることから、採油室5の試料油の極少量がバイパス管路15を経由してガス抽出室6に流入する。(図12)
なお、上記のフローの説明においてそれぞれの回路を確保するためのバルブの開閉動作については一部説明を省略している。
図13は、この発明の実施の形態2の油中溶解ガス監視装置の構成を示すブロック図である。なお、図中、図1との同一符号は同一または相当部分を示すもので、詳細説明は省略する。
図13において、実施の形態1と異なるところは、オイルポンプ14→ガス抽出室6→採油室5→オイルポンプ14にて第2の循環路を形成する閉回路に、オイルポンプ14の吐き出し量を制御する流量制御手段24、例えば電磁式の可変流量制御弁を設けたことである。
すなわち、実施の形態1においては、ガス抽出工程において、オイルポンプ14によって採油室5からガス抽出室に引き込む試料油の量と、ガス抽出室6から採油室5に移動する量とにアンバランスが生じるのを防止するために、ガス抽出室6と採油室5とを連通するバイパス管路を設けたが、実施の形態2においては、バイパス管路に加えて、オイルポンプ14の吐き出し量を制御する流量制御手段24を追加したものである。
なお、オイルポンプ14を可変容量型ポンプとしても同様な効果を奏する。
2 絶縁油
3 油中溶解ガス監視装置
4 ガス抽出部
5 採油室
6 ガス抽出室
12 温度調節手段
14 オイルポンプ
15 バイパス管路
16 ガス測定部
17 攪拌ポンプ
18 エアーポンプ
19 真空ポンプ
20 第1のガスセンサー
21a 第2のガスセンサー
23 制御部
24 流量制御手段
Claims (5)
- 第1の循環路を形成する管路によって電気機器と連結され、該第1の循環路を通して前記電気機器から取り入れた絶縁油を収容する採油室と、この採油室と第2の循環路を形成する管路によって連結され、前記採油室からの絶縁油が噴出されて絶縁油中の溶解ガスを平衡抽出するガス抽出室と、
前記第2の循環路に配設され、電気機器内の絶縁油と採油室内の絶縁油とを循環させ、採油室内の絶縁油を置換すると共に、前記採油室からの絶縁油を前記ガス抽出室に噴出循環させるオイルポンプと、
前記採油室の絶縁油を前記ガス抽出室に噴出循環させて溶解ガスを抽出する際に、ガス抽出室と採油室とを連通して両室の圧力を同一とするバイパス管路とを有するガス抽出部、
キャリアガスとともに送気される抽出ガスの総可燃性ガスの混合濃度を測定する第1のガスセンサーと、前記総可燃性ガスを所定量集積する計量管と、前記総可燃性ガスのうち電気機器の重故障を示す特徴ガスの濃度を測定する第2のガスセンサーとを有するガス測定手段と、
前記ガス抽出室内に抽出された抽出ガスとキャリアガスとを混合攪拌して、前記第1のガスセンサーおよび前記計量管に送気する攪拌ポンプと、
キャリアガスを送気して、前記計量管に集積された前記総可燃性ガスを前記第2のガスセンサーに送気すると共に、所定時に前記ガス抽出室を加圧状態にするエアポンプと、
測定すべき新たな絶縁油を前記電機機器から採油室に取り込む際、前記採油室の絶縁油を前記ガス抽出室に噴出させて溶解ガスを抽出する際、および、ガス抽出室内の測定済の抽出ガスを排気する際に、少なくとも前記ガス抽出室を減圧状態とする減圧手段とを有するガス測定部、および、前記ガス抽出部とガス測定部の動作を制御する制御部を備え、
前記採油室に滞留した測定済の絶縁油を前記電気機器に帰還させ、該電気機器から新規な絶縁油を取り入れて採油室の絶縁油を置換する際に、前記エアポンプによって前記ガス抽出室を加圧状態とし、測定済の絶縁油が完全に排出されるよう構成したことを特徴とする油中溶解ガス監視装置。 - 前記減圧手段は、真空ポンプであることを特徴とする請求項1に記載の油中溶解ガス監視装置。
- 前記第1のガスセンサーは、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、アセチレン(C2H2)、エチレン(C2H4)、エタン(C2H6)等の総可燃性ガスの混合濃度を測定するものであり、前記第2のガスセンサーは、アセチレンガス(C2H2)、エチレンガス(C2H4)の濃度を測定するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油中溶解ガス監視装置。
- 前記採油室の絶縁油の温度を調節する加熱冷却可能な温度調節手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の油中溶解ガス監視装置。
- 前記第2の循環路に配設され、前記採油室からの絶縁油を前記ガス抽出室に噴出循環させるオイルポンプの吐出量を制御する流量制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の油中溶解ガス監視装置。
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