JP3858260B2 - 血液浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液浄化を終了した後の血液回路内の残留血液を患者の体内に戻す(以下、返血という)ための方法に関し、具体的には返血方法に使用する洗浄液としてできるだけ少ない量の透析液を用い、該血液回路内に残留する血液を効率よく患者の体内に返血する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液浄化器(血液透析器、血液透析濾過器等)を用いた血液浄化療法においては、血液浄化を終了した後、血液浄化器を含む血液回路内に多量の血液が残留するため、該血液を返血する必要がある。この返血方法としては、従来、血液回路内に生理食塩水を注入して該血液回路内に残留する血液を押し出す方法、あるいは該血液回路内に空気を送り込んで残留する血液を押し出す方法がある。
【0003】
前者の方法は、例えば図4に示すように、血液浄化を終了した後、動脈側ライン41の採血口61を患者からはずして生食バッグ9に接続し、血液ポンプ8を作動させることによって、該生食バッグ9内の生理食塩水を動脈側ライン41、血液浄化器3、静脈側ライン42の順に流し、血液回路1内に残留する血液を静脈側ライン42の返血口62より患者の体内に返血することにより行うものである。後者の方法は、前者の方法と同様の操作を、生理食塩水の代わりに空気を用いて行うものである。
しかし、前記生理食塩水による返血方法は、血液回路内の洗浄液として高価な生理食塩水を大量に使用するため、平均して一ヶ月に約13回の血液浄化を行う患者の負担は多大なものである。また、前記空気による返血方法は、該空気が動脈側ライン41、血液浄化器3、静脈側ライン42の順に血液を押し出し、該空気が患者の体内に入る直前に血液ポンプ8を止める必要があるため、操作ミスによる患者の体内への空気の流入が起こるおそれがある。
【0004】
そこで、前記洗浄液として、透析液を使用する返血方法が公知になっている(特公平5-15464号公報、特開平8-80346号公報)。
特公平5-15464号公報に記載の方法は、図5に示すように血液浄化器3の中空糸膜外側に導入された透析液を該中空糸膜を介して該中空糸膜内側に圧入させ(以下、逆濾過と呼ぶ)、該透析液をまず静脈側ライン42へと導いて血液浄化器3および該静脈側ライン42内の返血を行い、次いで該透析液を動脈側ライン41へと導いて血液浄化器3および該動脈側ライン41の返血を行うものである。この方法によれば、洗浄液として比較的安価な透析液を使用できるだけでなく、従来のように生食バッグのような洗浄液貯留容器を用意する必要がない。
しかし、通常、動脈側ライン41上には、血液浄化時に患者の体内より血液回路1内に流入した血液の凝固を防ぐための凝固防止剤注入手段や、該凝固防止剤注入手段よりも患者穿刺側で凝固した血液が血液回路1内に流入することを防ぐためのフィルターなどが設けられており、これらは逆流する血液を考慮したものではない。したがって、前記方法において動脈側ラインの返血を行う場合、該動脈側ライン41内の凝固した血液が採血口61より患者の体内に流入するおそれがある。
また、動脈側ライン41および静脈側ライン42内の残留血液を交互に返血するため、返血が完了するまでに時間がかかり、使用する透析液の量が多くなる。これにより、血液浄化により血液中の水分が取り除かれたにもかかわらず、患者の体内に多量の透析液が流入して血液中の水分が増加することになる。
【0005】
一方、特開平8-80346号公報に記載の方法は、上記問題点を考慮し、図4に示すように生理食塩水を用いて動脈側ライン41内の血液を血液浄化器3内まで押し出した後、図5に示すように逆濾過された透析液を用いて該血液浄化器3および静脈側ライン42内の血液を患者の体内へと返血するものである。
しかし、高価な生理食塩水を使用するため、図5に示すような透析液のみを使用する方法に比べると費用が高くなってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑み、本発明は洗浄液として逆濾過された透析液を用いて、血液回路内の血液を効率よく返血することができ、さらに洗浄液として使用する透析液の量をできるだけ少なくすることができる、血液回路内の残留血液の返血方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々鋭意検討した結果、血液浄化を終了した後、動脈側ラインの採血口を静脈側ラインに接続して血液回路に閉鎖系を形成し、洗浄液として逆濾過された透析液を使用し、該透析液の逆濾過量と血液ポンプの流量を制御することにより、所期の目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は中空糸膜内側に血液を流通させ、かつ、中空糸膜外側に透析液を流通させる中空糸膜型血液浄化器、該血液浄化器の血液入口に接続された動脈側ラインおよび血液出口に接続された静脈側ラインを設けてなる血液回路と、前記血液浄化器の透析液入口に接続された透析液供給ラインおよび透析液出口に接続された透析液排出ラインを設けてなる透析液回路とを有し、前記動脈側ラインの末端には採血口が設けられ、前記静脈側ラインの末端には返血口が設けられ、前記血液回路上に血液ポンプが設けられてなる血液浄化装置を用いて、血液浄化を終了した後、前記動脈側ラインの採血口を前記静脈側ラインの血液浄化器側に設けられた接続部材に接続し、前記血液浄化器の中空糸膜外側に導入された透析液を該中空糸膜を介して該中空糸膜内側に圧入して、前記血液回路内に残留する血液を前記透析液に置換することにより、該血液を前記静脈側ラインの返血口より返血することを特徴とする、血液回路内の残留血液返血方法である。
【0009】
本発明における血液浄化装置は、血液を浄化するための血液浄化器を含む血液回路と、該血液浄化器に透析液を供給および排出するための透析液回路とを有してなるものである。
前記血液浄化器とは、中空糸膜型のもの、具体的には中空糸膜型血液透析器、中空糸膜型血液透析濾過器などを指し、中空糸膜内側に血液を、中空糸膜外側に透析液を、それぞれ対向するように流通せしめ、該中空糸膜を介して血液中の不要物質を透析液中に移動させたり(血液透析)、血液中の水分を除去したり(血液濾過)するものである。また、前記血液浄化器は、透析中に血液中の水分を除去しすぎた場合に透析液を血液中に移動させたり(補液)するのに用いてもよい。
前記中空糸膜材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂が用いられている。
【0010】
上記血液浄化器には、上部には中空糸膜内側と連通する血液入口が、下部には血液出口が設けられている。前記血液入口には、採血口より流入した患者の血液を血液浄化器に導入するための動脈側ラインが接続されており、前記血液出口には、血液浄化器内に導入され浄化された血液を返血口より患者の体内に戻すための静脈側ラインが接続されている。本発明における血液回路とは、前記血液浄化器、動脈側ライン、静脈側ラインおよび必要によりドリップチャンバーなど、該ライン上に設けられた部品を含む、血液浄化治療時に血液等が通る経路を指すものである。
前記動脈側ラインおよび静脈側ラインとしては、合成樹脂製のチューブ等が用いられる。具体的には、ポリ塩化ビニル製チューブやシリコーンゴム製チューブ等である。
前記血液回路には該回路内の血液、透析液または空気等を流通させるための血液ポンプが設けられている。前記血液ポンプは、前記血液回路上であれば、どの部分に設けられていても良いが、好ましくは前記動脈側ライン上である。前記血液ポンプとしては、ローラー型や拍動型、遠心ポンプ等が用いられる。
【0011】
上記静脈側ラインには、その血液浄化器側に動脈側ラインの採血口と連通接続する接続部材が設けられている。前記動脈側ラインの採血口を前記接続部材に接続することにより、血液回路における動脈側ラインおよび血液浄化器内が閉鎖系になる。前記接続部材としては、動脈側ラインの採血口に取り付けられた硬質針をそのまま接続させることができる弾性材料からなるポートや、該採血口の硬質針を取り外して接続させるルアーコネクターなどが好ましく用いられる。
【0012】
上記血液浄化器の下部には中空糸膜外側と連通する透析液供給ラインと接続するための透析液入口が、かつ上部には透析液排出ラインと接続するための透析液出口が設けられている。本発明における透析液回路とは、前記透析液供給ライン、透析液排出ラインおよび必要により該ライン上に設けられた部品を含むものである。前記透析液回路上には、必要により透析液を血液浄化器に供給するためのポンプや、透析液中に含まれるパイロジェン物質等の有害物質の除去手段(中空糸膜などによる濾過方式や吸着剤による吸着方式等)、透析液を調製するための装置などを設けていてもよい。前記透析液供給ラインおよび透析液排出ラインは、上記動脈側ラインおよび静脈側ラインと同じく、ポリ塩化ビニル製チューブやシリコーンゴム製チューブ等の他、ポリプロピレン製チューブやポリエチレン製チューブなどの硬質チューブが用いられる。
【0013】
【作用】
本発明によれば、動脈側ラインの採血口を静脈側ライン上の接続部材に接続し、血液ポンプを血液浄化時と逆方向に回転させ、血液ポンプの流量を洗浄液である透析液の逆濾過量よりも少なくすることにより、血液浄化器内に逆濾過によって流入した透析液が該血液ポンプの流量分だけ動脈側ラインへと流れ、残りの透析液は静脈側ラインへと流れ、両者は静脈側ラインの血液浄化器側に設けられた接続部材内で合流して静脈側ライン内を返血口へと流れて、該血液回路内の残留血液を患者の体内に返血する。これにより動脈側ライン内と静脈側ライン内の両方に残留する血液を同時に返血できるため、少量の透析液で短時間に返血を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
図1は、本発明にかかる血液回路内の残留血液返血方法を実施する血液浄化装置の概略図である。
【0015】
血液浄化を終了した後、まず、動脈側ライン41の採血口61を患者からはずし、静脈側ライン42の血液浄化器3側に設けられた接続部材7に接続し、血液回路1に閉鎖系を形成する。次に、透析液回路2上に設けられた透析液供給手段(図示せず)により、常に一定量の透析液が逆濾過されるように透析液供給ライン21から血液浄化器3に透析液を供給する。
前記逆濾過量は使用する血液浄化器3の限外濾過率に依存する。例えば、血液浄化器3としてセルローストリアセテート製中空糸膜を用いた血液透析器を使用した場合、該血液透析器の水系の限外濾過率(RO水や透析液など、血液に比べて比重の小さい液体を濾過する場合の濾過率)が60ml/(mmHg・h)であれば、逆濾過量は300ml/min以下であり、限外濾過率が20ml/(mmHg・h)であれば、逆濾過量は100ml/min以下であり、また限外濾過率が10ml/(mmHg・h)であれば、逆濾過量は50ml/min以下であることが好ましい。前記逆濾過量がこれらより多くなると、前記中空糸膜の外側の圧力が大きすぎて内側の空間がつぶれてしまうおそれがある。逆に前記逆濾過量がこれらより少ないと前記中空糸膜のつぶれは発生しないが、前記血液回路1内に残留する血液を返血するのに時間がかかり、患者の体内に流入する透析液の量も多くなる。
【0016】
また、上記したように血液浄化器3内に透析液を逆濾過すると同時に、血液ポンプ8を血液浄化時の回転方向と逆の方向(図1では、時計回り)に回転させる。この時の前記血液ポンプ8の流量は、逆濾過量よりも少なくする必要があり、好ましくは逆濾過量の50〜99%であり、さらに好ましくは逆濾過量の70〜85%である。これにより、逆濾過された透析液のうち、血液ポンプ8の流量分が動脈側ライン41へ流れ、残りの透析液が静脈側ライン42へ流れる。例えば、逆濾過量を130ml/minとした場合、血液ポンプ8の流量を100ml/minに設定すると、逆濾過されて血液浄化器3内に流入した透析液は100ml/minの流量で動脈側ライン41へ流入し、30ml/minの流量で静脈側ライン42へ流入する。両ラインに流入した透析液は、静脈側ライン42の血液浄化器3側に設けられた接続部材7内で合流し、静脈側ライン42内を返血口62へと流れる。また、前記血液ポンプ8の流量は常に一定である必要はなく、逆濾過量よりも少ない流量で変動させてもよい。
前記血液ポンプ8の流量が逆濾過量以上になると、血液回路1に形成された閉鎖系内で逆濾過された透析液が循環し、返血にかかる時間が長くなり、それに伴って返血に必要な透析液の量が増加する。
【0017】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示すような血液浄化装置を用い、牛血液(ヘマトクリット値:30%)により血液浄化操作を行った後、動脈側ライン41の採血口61を静脈側ライン42上に設けられた接続部材7に接続し、血液回路1内に閉鎖系を形成した。次いで、透析液供給ライン21より血液浄化器3内に供給された透析液を130ml/minで逆濾過させ、同時に血液回路1上に設けられた血液ポンプ8を110ml/minで逆回転(図1では、時計回り)させて、静脈側ライン42の返血口62より血液回路1内の残留血液の返血を行った。
<実施例2>
血液ポンプ8の流量を100ml/minにすることを除いて、実施例1と同様の操作で、血液回路1内の残留血液の返血を行った。
<実施例3>
血液ポンプ8の流量を90ml/minにすることを除いて、実施例1と同様の操作で、血液回路1内の残留血液の返血を行った。
<実施例4>
血液ポンプ8の流量を70ml/minにすることを除いて、実施例1と同様の操作で、血液回路1内の残留血液の返血を行った。
<比較例1>
血液ポンプ8の流量を130ml/minにすることを除いて、実施例1と同様の操作で、血液回路1内の残留血液の返血を行った。
<比較例2>
図4に示すような血液浄化装置を用い、実施例1と同様の血液浄化操作を行った後、動脈側ライン41の採血口61を生食バッグ9に接続し、血液ポンプ8を130ml/minで正回転(図4では、反時計回り)させて該生食バッグ9内の生理食塩水を動脈側ライン41、血液浄化器3および静脈側ライン42の順に流し、静脈側ライン42の返血口62より血液回路1内の残留血液の返血を行った。
<比較例3>
図5に示すような血液浄化装置を用い、実施例1と同様の血液浄化操作を行った後、透析液供給ライン21より血液浄化器3内に供給された透析液を130ml/minで逆濾過させ、同時に血液回路1上に設けられた血液ポンプ8を65ml/minで逆回転(図5では、時計回り)させて、逆濾過された透析液を動脈側ライン41および静脈側ライン42の両方へ同時に流し、両ラインの採血口61および返血口62より血液回路1内の残留血液の返血を行った。
<比較例4>
図5に示すような血液浄化装置を用い、実施例1と同様の血液浄化操作を行った後、透析液供給ライン21より血液浄化器3内に供給された透析液を130ml/minで逆濾過させ、該透析液が動脈側ライン41内へ流れないようにクランプなどで該動脈側ライン41の血液浄化器3側を閉塞した状態で、まず静脈側ライン42に前記逆濾過された透析液を流し、該静脈側ライン42の返血口62より血液回路1内の残留血液の返血を行った。次いで、静脈側ライン42の血液浄化器3側をクランプなどで閉鎖した状態で、血液ポンプ8を130ml/minで逆回転させて動脈側ライン41に前記透析液を流し、該動脈側ライン41の採血口61より血液回路1内の残留血液の返血を行った。
【0018】
図1に示すように、血液回路1内に閉鎖系を形成して返血を行う実施例1〜4および比較例1の方法において、静脈側ライン42の返血口62にデジタルレーザセンサ(LX2、キーエンス社製)を設け、該返血口62より排出される血液を含んだ透析液に780nmの赤外光を透過させて、該赤外光の光線透過率の経時変化を測定した。その結果を図2に示す。光線透過率が高くなるほど、透析液中に含まれる血液の量が少ない、すなわち、血液回路内のより多くの血液が透析液で置換され、返血されたことを示す。
図2から明らかなように、血液ポンプの流量が透析液の逆濾過量よりも少ない実施例1〜4の方法に比べ、血液ポンプの流量が透析液の逆濾過量と等しい比較例1の方法では、同じ量の血液を患者の体内に返血するのに多くの時間がかかる。また、実施例1〜4の中でも、血液ポンプの流量が透析液の逆濾過量の約77%である実施例2における方法が、最も短時間で返血することができることがわかる。
【0019】
また、実施例2および比較例2〜4の方法において、デジタルレーザセンサ(LX2、キーエンス社製)を用い、該採血口61または返血口62より排出される血液を含んだ透析液に780nmの赤外光を透過させて、該赤外光の光線透過率の経時変化を測定した。その結果を図3に示す。ただし、比較例3の方法においては、採血口61および返血口62より同時に排出される血液を含んだ透析液をY字管を用いて合流させ、該合流点より下流に前記デジタルレーザセンサを設けて、光線透過率の経時変化を測定した。また、比較例4の方法においては、静脈側ライン42の返血口62における光線透過率が80%を越えた時点で、静脈側ライン42の返血を終了し、動脈側ライン41の返血を行った。
図3より、実施例2の方法は、従来の生理食塩水による返血方法である比較例2の方法と同程度の短い時間で返血することができることがわかる。一方、比較例3および比較例4の逆濾過された透析液による返血方法では、同じ量の血液を患者の体内に返血するのに本発明の返血方法よりも多くの時間がかかることがわかる。
【0020】
【発明の効果】
本発明の返血方法は、動脈側ラインの採血口を静脈側ライン上の接続部材に接続して血液回路に閉鎖系を形成し、血液ポンプの流量を透析液の逆濾過量よりも少なくすることにより、従来の方法よりも短い時間で血液回路内の残留血液を患者の体内に戻すことができる。したがって、患者の体内に流入する透析液の量も少なくすることが可能である。
また、本発明の返血方法においては、従来の生理食塩水による返血方法に比べて安価な透析液を利用するため、血液浄化治療にかかる費用を低くすることができる。さらに、従来の空気による返血方法のように、返血終了時に人の手による操作を必要としないので、閉鎖系を形成した後は自動化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の血液回路内の残留血液返血方法を実施する血液浄化装置の概略図である。
【図2】 実施例1〜4および比較例1における、血液を含んだ透析液の光線透過率の経時変化を示すグラフである。
【図3】 実施例2および比較例2〜4における、血液を含んだ透析液の光線透過率の経時変化を示すグラフである。
【図4】 従来の血液回路内の残留血液返血方法を実施する血液浄化装置の概略図である。
【図5】 従来の血液回路内の残留血液返血方法を実施する血液浄化装置の概略図である。
【符号の説明】
1 血液回路
2 透析液回路
21 透析液供給ライン
22 透析液排出ライン
3 血液浄化器
41 動脈側ライン
42 静脈側ライン
51 動脈側ドリップチャンバー
52 静脈側ドリップチャンバー
61 採血口
62 返血口
7 接続部材
8 血液ポンプ
Claims (5)
- 中空糸膜内側に血液を流通させ、かつ、中空糸膜外側に透析液を流通させる中空糸膜型血液浄化器、該血液浄化器の血液入口に接続された動脈側ラインおよび血液出口に接続された静脈側ラインを設けてなる血液回路と、前記血液浄化器の透析液入口に接続された透析液供給ラインおよび透析液出口に接続された透析液排出ラインを設けてなる透析液回路とを有し、前記動脈側ラインの末端には採血口が設けられ、前記静脈側ラインの末端には返血口が設けられ、前記血液回路上に血液ポンプが設けられてなる血液浄化装置であって、前記血液回路内に残留する血液を前記静脈側の返血口より装置外部に押し出すように、前記動脈側ラインの採血口を接続することで前記血液回路の閉鎖系を形成することが可能な接続部材が前記静脈側ラインの血液浄化器側に設けられ、前記採血口が前記接続部材に接続された際に形成される前記血液回路の閉鎖系は、前記血液浄化器内に逆濾過によって流入する透析液が、該血液ポンプの流量分だけ動脈側ラインへと流れ、残りの透析液は静脈側ラインへと流れ、前記接続部材内で合流する閉鎖系であることを特徴とする、血液浄化装置。
- 前記接続部材は、動脈側ラインの採血口に取り付けられた硬質針をそのまま接続させることができる弾性材料からなるポート又は、該採血口の硬質針を取り外して接続させるルアーコネクターを用いることを特徴とする、請求項1記載の血液浄化装置。
- 前記血液ポンプは、血液を前記血液浄化装置外部に押し出すときに回転方向を、血液浄化時の血液ポンプの回転方向と逆方向にすることが可能であることを特徴とする、請求項1または2記載の血液浄化装置。
- 前記血液ポンプは、血液を前記血液浄化装置外部に押し出すときに血液ポンプの流量を、中空糸膜内側に圧入される透析液の流入量よりも少ない流量に調節可能であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の血液浄化装置。
- 前記血液ポンプは、血液を前記血液浄化装置外部へ押し出すときに血液ポンプの流量を、中空糸膜内側に圧入される透析液の流入量の50〜99%の流量に調節可能であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の血液浄化装置。
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