JP4511573B2 - 電子部品およびこれを備えた電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、携帯電話機やパーソナルコンピュータ等の通信機器、電子機器に組み込まれて使用される電子部品及びその製造方法に関するものである。
従来より、携帯電話機等の通信機器、電子機器等に種々の電気回路を備えた電子部品が用いられている。
かかる従来の電子部品としては、例えば図8に示す如く、複数個の絶縁層を積層してなる略矩形状の多層配線基板51の内部にストリップ線路やグランド配線等の内部配線導体(図示せず)を埋設するとともに、多層配線基板51の上面にチップコンデンサやダイオード等の各種電子部品素子(図示せず)を搭載し、これらを金属製のシールドカバー52で被覆した構造のものが知られている。
前記シールドカバー52は、矩形状の天板52aと天板52aの外周部に設けられた側壁52bと、天板52aの各辺の中心位置に対応して配され側壁52bの下端部に立設される4個の接合脚部52cとから構成されている。
そして、シールドカバー52の多層配線基板51への取り付けは、多層配線基板51の側面に形成された複数個の端面スルーホール54のうち、多層配線基板51の各辺の中心位置に形成された4個の各端面スルーホール54に前記4個の接合脚部52cを1個ずつ収容した上、接合脚部52cと端面スルーホール54の内面に被着された端面電極導体55とを半田を介して接合させることにより行われる。
前記端面スルーホール54は、多層配線基板51の上面から下面にかけて多層配線基板51の側面を貫くようにして形成されており、その内面には全体にわたって端面電極導体55が被着されている。これらの端面電極導体55は、電子部品50をマザーボードに実装する際、マザーボード側の接続パッドと半田を介して接続されるようになっている。
尚、接合脚部52cが収容される4個の端面スルーホール54に被着された端面電極導体55はグランド端子として機能し、電子部品の使用時、シールドカバー52がグランド電位に保持されるようになっている。
これによって、外部からの電磁波を遮蔽して回路を安定して動作させることができる。
次に上述した従来の電子部品の製造方法について説明する。
かかる従来の電子部品の製造方法としては、複数個の基板領域に区画された大型の母基板を分割することにより個々の電子部品を得る多数個取りの手法が用いられており、以下に示すように、基板領域間に捨代領域を設ける場合と捨代領域を設けない場合とがある。
まず、基板領域間に捨代領域を設ける場合ついて図9を用いて説明する。
図9の(a)は、母基板100にシールドカバー52を載置した状態の平面図、(b)は図9(a)のa‐a’線における断面図である。
尚、図9の(a)では、母基板の一部にシールドカバー52を載置した状態を示してある。
かかる電子部品の製造方法は、まず、間に捨代領域102を挟んでマトリクス状に配列された基板領域を有する母基板100を準備し、基板領域外周辺の中心部に、基板領域と捨代領域間の境界103を跨ぐようにして貫通孔101を形成した後、貫通孔内面にメッキ処理を施すことにより導体膜104を被着させる。次に、貫通孔101の内部にクリーム半田106を充填するとともに、各基板領域に電子部品素子105を搭載する。その後、シールドカバー52を複数個準備し、各貫通孔101にシールドカバー52の接合脚部52cを1個ずつ挿入するとともにクリーム半田105を溶融して硬化することにより接合脚部52cを貫通孔内面に被着した導体膜104に接合する。最後に境界103に沿って母基板100を切断することにより、図8に示すような個々の電子部品が得られる(例えば、特許文献1参照。)。
次に、基板領域間に捨代領域を設けない場合について図10を用いて説明する。図10の(a)は、母基板100にシールドカバー52を載置した状態の平面図、(b)は図10(a)のa‐a’線における断面図である。尚、図10の(a)では、母基板の一部にシールドカバー52を載置した状態を示してある。
かかる電子部品の製造方法は、まず、間に捨代領域を設けることなく基板領域間を近接配置させた複数個の基板領域を有する母基板100を準備した後、基板領域外周辺の中心部に、隣接する基板領域間の境界103を跨ぐようにして貫通孔101を形成する。次に、貫通孔101の内部にクリーム半田106を充填するとともに、各基板領域に電子部品素子105を搭載する。次に、上述したシールドカバー52を複数個準備し、これらのシールドカバー52を母基板100の対応する基板領域上に載置した上、隣り合うシールドカバー52の隣接する接合脚部同士を同一の貫通孔101に挿入し、しかる後、クリーム半田106を溶融して硬化することにより接合脚部52cを貫通孔内面に被着した導体膜104に半田接合する。最後に境界103に沿って母基板100を切断することにより、個々の電子部品が得られる(例えば、特許文献2参照。)。
特開平10−13078号公報 特開平11−31893号公報
ところで上述した従来の電子部品は、シールドカバー52の側壁52bの下端部に立設される接合脚部52cが、天板52aの各辺の中心に配されるようにして設けられている。従って、接合脚部52cが収容される多層配線基板側面に形成される端面スルーホール54は、多層配線基板51の各辺の中心位置に形成されることになる。このような電子部品では、複数の基板領域を有する母基板100を用いて電子部品を多数個取りする際、以下のような問題が発生する。
まず、母基板100の基板領域間に捨代領域102を設ける場合は、シールドカバー52の接合脚部52cが収容される端面スルーホール54が多層配線基板51の各辺の中心位置に形成されていると、隣接する貫通孔同士が母基板100の一辺に対し平行に並んで配置されることになる。この場合、捨代領域102の幅dを狭めると隣接する貫通孔部同士が接触してしまうことになるため、貫通孔部同士が接触しないように捨代領域の幅dを広げて捨代領域内にある2個の貫通孔間に充分な間隔を設けなければならない。その結果、母基板100に占める捨代領域102の割合が増加し、1つの母基板から取得できる電子部品の個数が減ってしまうため電子部品の生産効率が低下してしまうという問題が起こる。
一方、母基板100の基板領域間に捨代領域102を設けない場合、母基板100により多くの基板領域を確保することができるので、上述した基板領域に捨代領域を設けた場合に起こる問題は解消される。しかしながら、この場合、基板領域間の境界103を跨ぐようにして形成された1個の貫通孔101に対し、隣接するシールドカバー52の接合脚部同士が挿入されることになる。このように1個の貫通孔101に対して、別々のシールドカバー52の接合脚部52cが挿入されると、貫通孔101に充填されたクリーム半田を溶融した際、シールドカバー間の半田濡れ性の違いによって接合脚部52cに付着する半田の量に違いが生じる。その結果、隣接するシールドカバー52のうち半田濡れ性の低いシールドカバー側では、接合脚部52cに付着する半田の量が不足し、シールドカバー52の接続強度が低下してしまう。その結果、電子部品に衝撃が加わった際や熱応力が印加された際にシールドカバー52が簡単にはずれる等して電子部品の信頼性が低下してしまうという問題が発生する。また、隣接するシールドカバー52のうち半田濡れ性の高いシールドカバー側では、接合脚部52cに付着する半田が過剰に供給されることになる。従って、適量を超える余分な半田によって多層配線基板上の配線間、或いは、シールドカバー52と他の配線との間で短絡を起こす等して電子部品の生産性が低下するという問題が発生する。
本発明は上記問題に鑑み案出されたもので、その目的は、電子部品を多数個取りする際、基板領域間に捨代領域を設ける設けないにかかわらず、シールドカバーの接続信頼性を高く維持することができるとともに、生産性にも優れた電子部品及びその製造方法を提供することにある。
本発明の電子部品は、複数個の絶縁層を積層して成る略直方体の多層配線基板の上面に電子部品素子を搭載するとともに、前記多層配線基板に、前記電子部品素子を覆うようにして金属製のシールドカバーを取着させてなり、前記シールドカバーは、矩形状をなす天板の対向辺に前記天板を平面視した際の図心に対し略点対称で、かつ前記対向辺の各中心より所定方向にずらした位置に配された一対の接合脚部を有しており、前記多層配線基板は、対向する2つの側面に、上面を平面視した際の図心に対し略点対称で、かつ前記側面の中心より所定方向にずらした位置に配された一対の切り欠き部を有しており、前記2つの側面には、前記一対の切り欠き部の配置箇所の各々と対向する位置に切り欠き部が存在せず、前記接合脚部を前記切り欠き部の形成領域内に設けられる多層配線基板表面の接合用導体に半田接合させることによって前記シールドカバーが前記多層配線基板に取着されており、前記接合脚部が前記天板の二組の対向辺のうち一方の対向辺にのみ配されるとともに、前記接合脚部の配されていない他方の対向辺には、多層配線基板の上面に当接される一対の当接脚部が形成され、該一対の当接脚部同士が前記天板を平面視した際の図心に対し略点対称で、かつ前記対向辺の各中心より所定方向にずらした位置に配されており、前記他方の対向辺には、前記一対の当接脚部の形成箇所に対向する位置に当接脚部が存在しないことを特徴とする。
また、本発明の電子部品は、上記構成において、前記一対の接合脚部および前記一対の当接脚部が、天板を平面視した際に天板の各辺の中点から前記天板の外周辺に沿って時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向に略等距離だけずらした位置に配されることが好ましい。
本発明によれば、シールドカバーを構成する矩形状の天板の対向辺に設けられた一対の当接脚部を、天板を平面視した際の図心に対し略点対称で、且つ前記対向辺の各中心より所定方向にずらした位置に配することにより、シールドカバーをより安定した状態で多層配線基板に取着させることができるようになる。
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、本実施形態においては電子部品として電圧制御型発振器を例に説明する。
図1は、本発明の電子部品の斜視図であり、図2の(a)、(b)はそれぞれ、図1に示す電子部品をA方向、B方向から見たときの側面図、図3は図1に示す電子部品のC‐C’線の断面図である。同図に示す電子部品は、大略的に多層配線基板1とシールドカバー2とで構成されている。
前記多層配線基板1は、図3に示す如く、複数個の絶縁層1a〜1cを厚み方向に積層してなる略矩形状の積層体により構成されており、これらの絶縁層間にはグランド配線やストリップ線路、内部配線導体等、多数の内部配線導体5が介在され、これらの内部配線導体5を絶縁層中に埋設されるビアホール導体6等を介して相互に電気的に接続させている。
また多層配線基板1の上面には、チップコンデンサ、ダイオード、トランジスタ等の電圧制御型発振器の回路を構成する各種電子部品素子7が搭載されている。これらの電子部品素子7は半田等の導電性接着剤や金属細線等のボンディング材を介して多層配線基板上面に形成された表面配線導体(図示せず)と電気的に接続されている。更に表面配線導体と内部配線導体5とがビアホール導体等を介して電気的に接続されることにより所定の電気回路が構成されている。
このような多層配線基板1を構成する絶縁層1を構成する絶縁層1a〜1cの材料としては、例えばガラスセラミック等のセラミック材料が用いられ、個々の絶縁層の厚みは例えば50μm〜300μmに設定される。
尚、前記多層配線基板1は、絶縁層がセラミック材料からなる場合、セラミック原料の粉末に適当な有機溶剤、有機溶媒等を添加・混合して得たセラミックグリーンシートを所定枚数だけ積層した上、これをプレス成形し、しかる後、この積層体を高温で焼成し、外形加工することによって製作される。
また、多層回路基板1に設けられる内部配線導体5や表面配線導体等は銀や銅等の導電材料から成り、その厚みは、例えば5μm〜30μmに設定される。尚、ビアホール導体も同様に銀や銅等の導電材料から成り、その直径は、例えば20μm〜100μmに設定される。
これら内部配線導体5や表面配線導体は、多層配線基板1を製作する際、セラミックグリーンシートを積層する前に、銀等の導電材粉末を含む導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷によって各セラミックグリーンシートの表面に所定パターンに印刷・塗布しておき、これをセラミックグリーンシートの焼成時に同時焼成することにより形成される。
尚、ビアホール導体6は、セラミックグリーンシートに予め設けておいた貫通孔の内部にスクリーン印刷等によって導電ペーストを塗布・充填しておき、これをセラミックグリーンシートの焼成時に同時焼成することにより形成される。
一方、多層配線基板1の下面には、各種端子電極8が設けられている。本実施形態においては、8個の端子電極が設けられており、下面の各辺中央部にはグランド端子として機能する4個の端子電極が、下面四隅部には、入力端子、出力端子、電源端子、信号制御端子として機能する端子電極が形成されている。これらの端子電極8は、例えば、銀や銅等の導電性材料からなり、個々の端子電極8の厚みは、例えば5μm〜20μmに設定される。
このような多層配線基板1の側面には、後述するシールドカバー2に設けられている接合脚部2bを収容するための切り欠き部4が形成されている。この切り欠き部4は、多層配線基板の最上層に配置された絶縁層1aの端面にスルーホールを設け、2層目の絶縁層1bの上面を露出させることによって形成されている。すなわち、この切り欠き部4は、積層方向の深さが絶縁層1aの厚み分に相当し、その上端が多層配線基板1の上面に開口するとともに、下端が絶縁層1bの上面と対応する高さに位置することになる。このようにして切り欠き部4を形成しておけば、切り欠き部4を多層配線基板の側面を貫くようにして形成した場合に比し、絶縁層1b、1cの切り欠き部4の下方領域にも内部配線導体やビアホール導体等を設けるスペースを確保できるため、多層配線基板1の内部を配線の引き回しのために有効利用することができる。
また、切り欠き部4によって露出する絶縁層2bの上面には接合用導体5aが導出されている。この接合用導体5aは、シールドカバー2を多層配線基板1に機械的・電気的に接続するためのもので、シールドカバー2の接合脚部2bと半田3を介して接続されるようになっており、この接合用導体5aを多層配線基板1の下面に設けたグランド端子にビアホール導体等を介して電気的に接続しておくことにより、電子部品の使用時、シールドカバー2をグランド電位に保持することができるようになる。このようにシールドカバー2の接合脚部2bを接続するための導体を、メッキ処理等の煩雑な工程を行うことなく、多層配線基板内部に埋設した接合用導体5aを切り欠き部4から露出させることにより簡単に形成することができるため、電子部品の生産性を向上させること可能となる。
尚、切り欠き部4は、例えば半円柱状をなし、その横幅は切り欠き部4が形成される多層配線基板側面の横幅の半分以下に設定される。
一方、多層配線基板上には電子部品素子7を覆うようにしてシールドカバー2が載置されている。このシールドカバー2は、矩形状の平板から成る天板2aと、天板2aの外周部に立設される一対の接合脚部2b及び一対の当接脚部2cとから構成される。
図4はシールドカバー2を多層配線基板への載置面側から見た平面図であり、前記一対の接合脚部2bは、天板2aの二組の対向辺のうち一方の対向辺にのみ配されており、一対の接合脚部2b同士が、天板2aを平面視した際の図心Gの中心に対し略点対称で、且つ対向辺の各中心M1〜M4より所定方向にずらすようにして配置されている。ここで、平板2aを平面視した際の図心とは天板2aの対角線の交点を指す。
このように接合脚部2bを天板2aの二組の対向辺のうち一方の対向辺にのみ配していることから、接合脚部2を収容するための切り欠き部4を多層配線基板1の一対の側面にのみ形成すればよく、多層配線基板1に形成する切り欠き部4の個数を減らして、多層配線基板1の内部や上面に配線導体を形成するためのスペースや電子部品素子を搭載するためのスペースが充分に確保され、電子部品を小型化することができる。
また、接合脚部2bの配されていない他の対向辺には、多層配線基板1の上面に当接される一対の当接脚部2cが立設されている。この当接脚部2cは、天板2aの図心に対し略点対称に配されており、シールドカバー2を取り付ける際、シールドカバー2が傾くのを有効に防止して、シールドカバー2を安定した状態で多層配線基板1に取着させることができる。
更に、前記一対の接合脚部2b及び一対の当接脚部2cを、天板2aの各辺の中点から天板2aの外周辺に沿って反時計回りに略等距離tだけずらした位置に配しておくことにより、シールドカバー2をより安定した状態で多層配線基板1に取着させることができる。
このようなシールドカバー2は、例えば42アロイやコバール、リン青銅、鉄等の金属材料によって、天板2aが多層配線基板1の外形より若干小さめの矩形状をなすように、従来周知の金属加工法にて製作される。
また、シールドカバー2の多層配線基板1への取り付けは、まず、接合用導体5aが導出されている切り欠き部4の形成領域内に、クリーム半田をディスペンサ等を用いて塗布・充填し、次に、シールドカバー2を当接脚部2cが多層配線基板上面に当接した状態で多層配線基板上に載置させるとともに、接合脚部2bを切り欠き部4に収容した後、クリーム半田を溶融して硬化させることによって接合脚部2bと接合用導体5aとを半田を介して接合することによって行われ、同時にグランド端子とシールドカバー2とが電気的に接続される。
かくして上述した電子部品は、その使用時、シールドカバー2がグランド電位に保持されるようになっており、外部からの電磁波をシールドカバー2によって良好に遮蔽し、電子部品を安定して動作させることができるようになる。尚、本実施形態においては図2に示す如く、電子部品素子の側面側がシールドカバー2で覆われていない部分も存在するが、電子部品素子の上面が天板2aで覆われていれば、外部からの電磁波を充分に遮蔽することができる。またこの場合、平板状の天板2aに接合脚部2bと当接脚部2cとを立設するだけで簡単にシールドケース2を製作することができる。
次に、上述した電子部品の製造方法について図5を用いて説明する。図5の(a)は、母基板20にシールドカバー2を載置した状態の平面図、(b)は図5(a)のa‐a’線断面図である。尚、図5の(a)では、母基板20の一部にシールドカバー2を載置した状態を示してある。
(工程A)
まず、矩形状を成す複数個の基板領域を一列状に配置させるとともに、隣接する基板領域の境界部に、少なくとも一方の基板領域の外周辺を跨ぐようにして一方の孔部21aを、少なくとも他方の基板領域の外周辺を跨ぐようにして他方の孔部21bを、両孔部が境界部の中央点に対し略点対称で、且つ前記中央点より所定方向にずれた位置に配されるようにして形成した母基板20を準備する。
前記母基板20は、例えば、ガラス‐セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料からなる複数の絶縁シート20a〜20cを間に内部配線導体となる導体パターンを介して積層することによって形成されており、母基板上面の各基板領域には表面配線導体となる導体パターンが被着・形成されている。
このような母基板20を構成する絶縁シート20a〜20cは、例えば、セラミック材料粉末に適当な有機バインダー、有機溶剤等を添加・混合して得たスラリーを従来周知のドクターブレード法等によって、所定厚みにテープ成型して半硬化状態のセラミックグリーンシートとなし、これらを積層してプレス成形した後、高温で焼成することによって製作される。
また、内部配線導体や表面配線導体となる導体パターンは、セラミックグリーンシートの表面に導体ペーストを所定パターンに印刷・塗布するとともに、絶縁シートとともに高温で焼成することによって製作される。尚、前記導体ペーストとしては、例えば、Ag、Ag−Pd、Ag−Pt等のAg系粉末、ホウ珪酸系低融点ガラスフリット、エチルセルロース等の有機バインダー、有機溶剤を均質混合したものが用いられる。
このようにして得られた母基板20の隣接する基板領域の境界部に、一方の基板領域を跨ぐようにして一方の孔部21aを、他方の基板領域を跨ぐようにして他方の孔部21bを、一方の孔部21aと他方の孔部21bとが境界部の中央点に対し略点対称に位置するようにして形成する。ここで境界部とは、隣接する基板領域に挟まれた矩形状の捨代領域22を指し、境界部の中央点とは捨代領域22の対角線が交差する点を指す。また、1つの基板領域を見たときに、基板領域を介して配置されている一対の孔部同士は、前記基板領域を平面視した際の図心に対し略点対称で、且つ孔部21が形成される基板領域外周辺の中点から外周辺に沿って逆方向にずれるようにして位置させてある。
尚、一方の孔部21aと他方の孔部21bとの中心間距離xは、孔部21の直径よりも大きくなるように設定される。
このようにして孔部21を位置させることにより、捨代領域22の幅dを大幅に縮小させることが可能となる。すなわち、一方の孔部21aと他方の孔部21bとが、境界部の中央点に対し略点対称に位置するように配されているため、捨代領域22の幅dを狭めても両孔部が接触することはない。これによって、母基板20に占める捨代領域22の割合を減らして、その分、母基板20から取得できる電子部品の個数を増加させることができるので、電子部品の生産性を向上させることができるようになる。
このような孔部21は、絶縁シート20a〜20cを積層する前に、最上層に配される絶縁シート20aの上述したような所定の位置に、予めパンチングやレーザー等により貫通孔を形成しておき、この絶縁シート20aを、2層目の絶縁シート20bの上面に設けられている接合用導体5aが前記貫通孔から露出するようにして、絶縁シート20b上に載置することによって形成される。
(工程B)
次に、前記母基板20の各基板領域に電子部品素子7を搭載する。かかる電子部品素子7の搭載は、まず、母基板上面に設けられた電子部品素子搭載用の表面配線導体に、クリーム半田等の導電性接着剤を従来周知のスクリーン印刷等によって塗布した後、チップコンデンサ、ダイオード、トランジスタ等の各種電子部品素子を、導電性接着剤が塗布された表面配線導体上に載置させ、最後にクリーム半田を溶融して硬化させることにより行われる。
(工程C)
次に、矩形状を成し、対向する辺に一対の接合脚部2bを設けた複数個のシールドカバー2を、対応する基板領域上に載置させるとともに、隣接するシールドカバーのうち、一方のシールドカバー2の接合脚部2bを前記一方の孔部21に、他方のシールドカバー2の接合脚部2bを他方の孔部21にそれぞれ挿入する。
前記シールドカバー2は、矩形状の天板2aと、天板2aの外周部に立設された接合脚部2b及び当接脚部2cとから成る。接合脚部2bは、天板2aの二組の対向辺のうち一方の対向辺にのみ配されており、一対の接合脚部2b同士が、天板2aを平面視した際の図心の中心に対し略点対称で、且つ対向辺の各中心より所定方向にずらすようにして配置されている。
また、接合脚部2bの配されていない他の対向辺には、多層配線基板1の上面に当接される一対の当接脚部2cが立設されている。この当接脚部2cは、天板2aの図心に対し略点対称に配されており、シールドカバー2を取り付ける際、シールドカバー2が傾くのを有効に防止して、シールドカバー2を安定した状態で多層配線基板に取着させることができる。
このようなシールドカバー2は、例えば42アロイやコバール、リン青銅、鉄等の金属材料によって、天板2aが基板領域より若干小さめの矩形状をなすように、従来周知の金属加工法にて製作される。
(工程D)
次に、接合脚部2bと孔部21の内面に設けられている接合用導体5aとを半田を介して接合する。
シールドカバー2を多層配線基板1へ取り付けるには、まず、接合用導体5aが導出されている孔部21の形成領域内に、クリーム半田23をディスペンサ等を用いて塗布・充填する。次に、シールドカバー2を、当接脚部2cが母基板上面の基板領域に当接した状態で多層配線基板上に載置させるとともに、各接合脚部2bを孔部21に1個ずつ挿入する。最後に、クリーム半田23を溶融して硬化させることによって接合脚部2bが接合用導体5aに半田を介して機械的・電気的に接続されることになる。
(工程E)
最後に、母基板20を各基板領域の外周に沿って一括的に切断することにより複数個の電子部品に分割する。
かかる母基板20の切断は、母基板外周部に付けられたマーキングを画像認識装置により読み取ることにより切断位置を認識し、しかる後、ダイサー等を用いて各基板領域の外周に沿ってマトリクス状に切断することにより行われ、これによって図1に示すような電子部品を同時に複数個得ることができる。
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
上述した実施形態においては、切り欠き部4の上端が多層配線基板1の上面に開口するとともに、下端が多層配線基板1の2層目に位置する絶縁層1bの上面と対応する高さに位置させるようにして形成したが、切り欠き部4を、その下端が最下層に位置する絶縁層1cの上面と対応する高さに位置させるようにして形成しても良いし、切り欠き部4の下端が多層配線基板1の下面に開口するように、すなわち、多層配線基板1の上面から下面にかけて貫通するように形成しても良い。
また上述した実施形態においては、シールドカバー2を平板状の天板2aと天板2aに直接立設した接合脚部2b及び当接脚部2cとで形成したが、図6に示す如く、天板2aの外周部に側壁10を設けた上、該側壁10の下端に接合脚部2b及び当接脚部2cを立設するようにしても良い。この場合、電子部品素子7の側面側もシールドカバー2で覆われるため、外部からの電磁波をより効果的に遮蔽することができるようになる。
更に上述した実施形態においては、切り欠き部4を半円柱状をなすようにして形成したが、切り欠き部4の形状はこれに限らず、例えば、四角柱状等他の形状で形成するようにしても構わない。
また上述した実施形態においては、母基板20の基板領域間に捨代領域を設けるようにしたが、図7に示す如く、間に捨代領域を設けることなく基板領域同士を近接させて配置するようにしても構わない。この場合の境界部とは、基板領域の外周辺を指し、境界部の中央点とは、外周辺の中点を指すものとする。従って、一方の孔部21a及び他方の孔部21bは、隣接する基板領域の両方を跨ぎ、両孔部が基板領域外周辺の中点に対し対称位置に配されるようにして形成される。このような孔部21が形成された母基板20を準備した後(工程A)、上述した実施形態と同様の工程B〜工程Eを行うことにより複数個の電子部品が得られる。このように捨代領域を設けない場合であっても、隣接するシールドカバー2のうち一方のシールドカバー2の接合脚部2bを一方の孔部21aに、他方のシールドカバー2の接合脚部2bを他方の孔部21bにそれぞれ挿入することにより、各接合脚部2bに所定量の半田を均一に付着させることができるようになり、シールドカバー2の接続信頼性及び電子部品の生産性を向上させることが可能となる。また、この場合、捨代領域が殆どなくなるため、母基板20により多くの基板領域を確保することができるようになり、これによっても電子部品の生産性を向上させることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る電子部品の斜視図である。 (a)は図1の電子部品をA方向から見たときの側面図であり、(b)は図1の電子部品をB方向から見たときの側面図である。 図1の電子部品をC‐C’線で切断したときの断面図である。 図1の電子部品のシールドカバーを多層配線基板への載置面側から見たときの平面図である。 本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法を説明するための図であり、(a)は母基板にシールドカバーを載置した状態を示す平面図であり、(b)はa‐a’線の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電子部品の斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る電子部品の製造方法を説明するための図であり、(a)は母基板にシールドカバーを載置した状態を示す平面図であり、(b)はa‐a’線の断面図である。 従来の電子部品の分解斜視図である。 従来の電子部品の製造方法を説明するための図であり、(a)は母基板にシールドカバーを載置した状態を示す平面図であり、(b)はa‐a’線の断面図である。 従来の電子部品の製造方法を説明するための図であり、(a)は母基板にシールドカバーを載置した状態を示す平面図であり、(b)はa‐a’線の断面図である。
符号の説明
1・・・・多層配線基板
2・・・・シールドカバー
3・・・・半田
4・・・・切り欠き部
7・・・・電子部品素子
20・・・母基板
21・・・孔部

Claims (2)

  1. 複数個の絶縁層を積層して成る略直方体の多層配線基板の上面に電子部品素子を搭載するとともに、前記多層配線基板に、前記電子部品素子を覆うようにして金属製のシールドカバーを取着させてなる電子部品において、前記シールドカバーは、矩形状をなす天板の対向辺に前記天板を平面視した際の図心に対し略点対称で、かつ前記対向辺の各中心より所定方向にずらした位置に配された一対の接合脚部を有しており、前記多層配線基板は、対向する2つの側面に、上面を平面視した際の図心に対し略点対称で、かつ前記側面の中心より所定方向にずらした位置に配された一対の切り欠き部を有しており、前記2つの側面には、前記一対の切り欠き部の配置箇所の各々と対向する位置に切り欠き部が存在せず、前記接合脚部を前記切り欠き部の形成領域内に設けられる多層配線基板表面の接合用導体に半田接合させることによって前記シールドカバーが前記多層配線基板に取着されており、前記接合脚部が前記天板の二組の対向辺のうち一方の対向辺にのみ配されるとともに、前記接合脚部の配されていない他方の対向辺には、多層配線基板の上面に当接される一対の当接脚部が形成され、該一対の当接脚部同士が前記天板を平面視した際の図心に対し略点対称で、かつ前記対向辺の各中心より所定方向にずらした位置に配されており、前記他方の対向辺には、前記一対の当接脚部の形成箇所に対向する位置に当接脚部が存在しないことを特徴とする電子部品。
  2. 前記一対の接合脚部および前記一対の当接脚部が、天板を平面視した際に天板の各辺の中点から前記天板の外周辺に沿って時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向に略等距離だけずらした位置に配されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
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