JP4510863B2 - ダイキャストステアリングハンガービーム - Google Patents

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この発明は、ダイキャストステアリングハンガービームに関する。
従来から車両のインストルメントパネル内にダイキャストにより成形された構造部材であるリーンフォース部材が設けられたものがある。このようなリーンフォース部材には電気部品等の機器を取り付けるために、壁部を取り囲むようにして形成された収納部を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−335528号公報
しかしながら、上述した従来技術においては、収納部を形成するために複数の壁部を設ける必要があるため、ダイキャストにより成型されることで簡素化されるはずのリーンフォース部材が複雑になってしまうという問題がある。また、壁部により取り囲むようにして形成された収納部が複数形成されると鋳造欠陥が生じ易くなるという問題がある。
そこで、この発明は、簡素な構造でありながら電気部品等の機器の取り付けを容易にして鋳造欠陥の発生を抑えることが可能なダイキャストステアリングハンガービームを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、断面コの字状で車幅方向に連続する開放部(例えば、実施形態における開放部86)を有する一体成形されたダイキャストステアリングハンガービーム(例えば、実施形態におけるダイキャストステアリングハンガービーム1)であって、前記開放部に向けて突出する突出部(例えば、実施形態における突出部88)を前記開放部と対向する底壁(例えば、実施形態における底壁87)に設け、前記突出部の下壁(例えば、実施形態における下壁96)から上壁(例えば、実施形態における上壁95)に向かって形成され、機器(例えば、実施形態におけるヒューズボックス80)を介してボルト(例えば、実施形態におけるボルト91)が締め付けられることで、前記コの字断面内部において前記機器(例えば、実施形態におけるヒューズボックス80)を取り付ける取付孔(例えば、実施形態における取付孔90)を前記突出部の先端に設け、前記突出部の内部に、前記突出部の突出方向と反対方向に開口する凹部(例えば、実施形態における凹部89)を設けたことを特徴とする。
このように構成することで、壁部により取り囲むようにして収納部を形成した場合のように、この収納部を確保するためにビーム断面を小さくする必要がなく、メインの断面形状はそのままで、断面形状内に機器を収納することが可能となる。
また、突出部の部分の肉厚を周囲と一定にできるため、巣の発生等の鋳造欠陥が生ずることなく、凹部を形成した部分の強度を高めることができる。
請求項1に記載した発明によれば、壁部により取り囲むようにして収納部を形成した場合のように、この収納部を確保するためにビーム断面を小さくする必要がなく、メインの断面形状はそのままで、断面形状内に電気部品等の機器を収納することが可能となるため、強度剛性を低下させることなく、機器の配置を容易化する効果がある。
また、突出部の部分の肉厚を周囲と一定にできるため、巣の発生等の鋳造欠陥が生ずることなく、凹部を形成した部分の座屈強度を高めることができるため、その分だけ軽量化を図ることができる効果がある。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、この発明の実施形態のダイキャストステアリングハンガービーム1であって、このダイキャストステアリングハンガービーム1は図1に向かって左側に運転席が、右側に助手席が配置されるいわゆる左ハンドル用である。ダイキャストステアリングハンガービーム1はマグネシウム合金を原材料としてダイキャスト成形により一体成形され後述するインストルメントパネル2により覆われている。
ダイキャストステアリングハンガービームは車幅方向に沿って延在して実質的に水平方向に延びる主メンバ3を備えている。主メンバ3の運転席側の端部に左フロントピラーPの内壁に取り付けられる左取付部4が車幅方向に向くように設けられ、助手席側の端部には右フロントピラーPの内壁に取り付けられる右取付部5が車幅方向に向くように設けられている。左取付部4と右取付部5には上端部1箇所と下端部2箇所に左右のフロントピラーPにボルトにより固定する車体取付孔6…が形成されている。
主メンバ3は断面略コの字状に形成され、左取付部4から車幅方向略中央部に向かって延び、助手席側に設けた前後一対の横梁部10、20を介し右側端部7を経て右取付部5に接続される。
図1、図2に示すように、主メンバ3の左側部30の後壁31には運転席の車幅方向中央部に後方に向かって延びるU字状のステアリング支持部32が一体形成されている。ステアリング支持部32は上面33が主メンバ3の面34に整合し斜め後方に向かって下がるように形成され、突出した左取付部35と右取付部36の先端部分には各々ボルト37が挿入され、各ボルト37によりステアリング装置38が固定されている。
ダイキャストステアリングハンガービーム1にはこれを覆うようにインストルメントパネル2が設けられている。インストルメントパネル2にはステアリング装置38の前方部位にフロントウインドウガラス40の下部付近からスピードメータ等、運転中の利用頻度が高い情報を表示する第1表示部41等が内装された第1フード部42、タコメータ等、必要なときに見たい情報を表示する第2表示部43が内装された第2フード部44が形成されている。
主メンバ3の右側端部7は右取付部5に一体形成され、主メンバ3の軸線Jから前後にオフセットした前後一対の横梁部10,20、つまり前側横梁部10と後側横梁部20に車幅方向に連続して設けられている。具体的には、主メンバ3の右側端部7の左端は右前側傾斜部11と右後側傾斜部21を介して各々前側横梁部10と後側横梁部20の右端部に略Y字状に連続して接続される。尚、右前側傾斜部11と右後側傾斜部21は車体前後方向に対して主メンバ3から斜め内側に傾斜している。
前側横梁部10と後側横梁部20は助手席の幅の範囲内で左側に延び、前側横梁部10の左端部は主メンバ3に中央前側傾斜部12を介して接続され、後側横梁部20の左端部は中央後側傾斜部22を介して主メンバ3に接続されている。したがって、前側横梁部10と後側横梁部20は各々の左端部で主メンバ3に対して略Y字状に連続して接続される。尚、中央前側傾斜部12と中央後側傾斜部22は車体前後方向に対して主メンバ3から斜め外側に傾斜している。
ここで、後側横梁部20の左端部には中央横梁部50が接続されている。この中央横梁部50は主メンバ3の軸線Jと平行で主メンバ3の後側、後側横梁部20よりも後側に設けたもので、中央横梁部50の右端部に中央後側傾斜部22と対をなす後側傾斜部23を介して後側横梁部20の左端部が連結されている。したがって、後側横梁部20の左端部は主メンバ3と中央横梁部50の右端部に略Y字状に連続して接続される。
これにより、前側横梁部10と後側横梁部20の間には、右前側傾斜部11と右後側傾斜部21、中央前側傾斜部12と中央後側傾斜部22とで囲まれ、上下方向に貫通したエアバッグ用開口部13が形成され、後側横梁部20の前壁にエアバッグ取付ブラケット46が固定されている。
中央横梁部50は車幅方向中央部に配置され左端部は主メンバ3の後壁31から後側に延びるサポートアーム部51の先端部に接続されている。サポートアーム部51の先端部とステアリング支持部32の右取付部36の先端部との間には連結アーム部52が接続されている。これらステアリング支持部32と連結アーム部52とサポートアーム部51と主メンバ3とで囲まれる部分にシフトレバー用開口部70が形成されている。
そして、連結アーム部52とサポートアーム部51と中央横梁部50との接続部53には、下方に延び、後述するポストブラケット65を介して図示しないフロアパネルに下端部が固定される左支持ポスト部54の上端部が連結されている。また、この左支持ポスト部54と対をなす右支持ポスト部55の上端部が中央横梁部50の右端部よりもやや内側寄りに連結され、右支持ポスト部55の下端部が下方に延び後述するポストブラケット65を介して図示しないフロアパネルに固定される。右支持ポスト部55と左支持ポスト部54との間には水平方向で両者を連結する連結部56が上下方向中央部に設けられている。これら右支持ポスト部55と左支持ポスト部54とが図示しないセンターコンソールにデザイン的に連続する。
したがって、主メンバ3と中央横梁部50とサポートアーム部51と中央後側傾斜部22と後側傾斜部23とで囲まれた部分に空調装置のダクト配置用開口部71が形成され、ダクト配置用開口部71の下方には右支持ポスト部55と左支持ポスト部54との間にフロントグリル用開口部72が形成されている。
主メンバ3の左取付部4の下端部には鉄製の電気部品の支持ブラケット60が取り付けられている。主メンバ3の右取付部5の下端部にはグローブボックスの支持及び助手席乗員の脚を保護する助手席右側ニーボルスターを兼用する鉄製のブラケット61が取り付けられ、中央横梁部50の右端部の後壁には鉄製の助手席左側ニーボルスター62が取り付けられている。
主メンバ3のサポートアーム部51を挟んで主メンバ3の後壁31には下側に弧状に延びる鉄製の運転席左側ニーボルスター63、運転席右側ニーボルスター64が取り付けられている。右支持ポスト部55と左支持ポスト部54の下端には両者を結び鉄製のポストブラケット65が取り付けられ、これらポストブラケット65がフロアパネルに固定されている。
主メンバ3の前壁45には、ステアリング支持部32の右取付部36の前方位置には鉄製のダッシュボードブラケット66が固定されている。このダッシュボードブラケット66は車両前面及び側面衝突時の衝撃荷重を塑性変形して吸収する機能を備えている。尚、主メンバ3の前壁45にはダッシュボードブラケット66の右側にインストルメントパネル取付用の鉄製の固定ブラケット67が取り付けられている。
このように、前述したエアバッグ取付ブラケット46、支持ブラケット60、ブラケット61、助手席左側ニーボルスター62、運転席左側ニーボルスター63、運転席右側ニーボルスター64、ポストブラケット65、ダッシュボードブラケット66及び固定ブラケット67を鉄製の部材で成形して取り付けることでダイキャストステアリングハンガービームの形状を簡素化している。尚、図1において鉄製の部材はハッチングで示す。
ここで、図3〜図6に示すように、左取付部4の近傍には機器としてのヒューズボックス80が取り付けられている。
図3、4に示すように、ヒューズボックス80は矩形の樹脂製部品で内部に図示しないヒューズが収容されたものであって、長辺側をステアリング支持部32の延出方向とは反対側、つまり車両前側でやや斜め下側に向けて取り付けられている。
ヒューズボックス80には長辺側の端面81の上部寄り(図5、6参照)であって幅方向中央部に取付ブラケット82が設けられ、ヒューズボックス80の左の側面83に、左取付部4に取り付けた金属製のアームブラケット84を差し込む係止部85が設けられている。
図5、図6に示すように、左取付部4に一体で形成された主メンバ3は一面側(前側)が開放された開放部86を有し、上壁77と下壁78と底壁87とで断面コの字状に形成されたものである。主メンバ3の開放部86に対向する底壁87には開放部86に向けて突出する突出部88が形成されている。この突出部88の内部(裏側)には、突出部88の突出方向とは反対方向に開口する凹部89が底壁87の下面に形成され、突出部88の先端には、凹部89の上壁95と下壁96との間に取付部97が形成されている。そして、この取付部97に取付孔90が突出部88の下壁96から上壁95に向かって形成されている。
この突出部88の下壁96にヒューズボックス80の取付ブラケット82の上面が下側から重合され、取付ブラケット82の先端面を主メンバ3の底壁87の近傍に位置させて、取付孔90にヒューズボックス80の取付ブラケット82に下側から螺合したボルト91をねじ込んでヒューズボックス80の端面81の取付ブラケット82が主メンバ3に取り付けられている。
一方、左取付部4に一体形成された主メンバ3には金属製のアームブラケット84の上端がボルト93により取付られている。このアームブラケット92は上端の下部から車室内側にクランク状に折れ曲がり、左取付部4との間に間隔を隔てて下端を延ばした部材で、この下端がヒューズボックス80の側面83に設けた係止部85のスリット92に差し込まれて係止している。
上記実施形態によれば、開放部86を有する断面コの字状の主メンバ3の底壁87に、開放部86に向けて突出する突出部88を設け、突出部88の先端の取付部97の取付孔90に、ヒューズボックス80の端面81の取付ブラケット82にねじ込んだボルト91を締め付けたため、壁部によって取り囲むようにして収納部を形成した従来技術のように、この収納部を確保するためにダイキャストステアリングハンガービーム1の断面形状を小さくする必要がなく、主メンバ9のコの字断面形状はそのままで、コの字断面形状内にヒューズボックス80を収納することが可能となる。よって、強度剛性を低下させることなく、簡単な構造でヒューズボックス80の配置を容易化できる。
また、主メンバ3のコの字断面内部においてヒューズボックス80の取付ブラケット82が保護されることとなる点で有利となる。
更に、突出部88の内部に、突出部88の突出方向と反対方向に開口する凹部89を設けたため、突出部88の上壁95、下壁96の肉厚を、主メンバ3の上壁77、下壁78、底壁87などの周囲と一定にでき、したがって、突出部88に巣の発生等の鋳造欠陥が生ずることなく、凹部89を形成した部分の強度を高めることができ、その分だけ軽量化を図ることができる。
そして、主メンバ3にはアームブラケット84の上端がボルト93により取付られ、アームブラケット84は上端の下部から車室内側にクランク状に折れ曲がり、左取付部4との間に間隔を隔てて下端を延ばした部材で、この下端がヒューズボックス80の側面83に設けた係止部85のスリット92に差し込まれて係止しているため、側面衝突時に左取付部4から荷重が入力されても、クランク状に形成されたアームブラケット84により左取付部4との間に間隔を確保し、かつ仮に左取付部4が移動してもアームブラケット84が平坦な形状に変形することで衝撃を吸収できるので直接的にヒューズボックス80に荷重が作用することがない点で有利である。
尚、この発明は上述した実施形態に限られるものではなく、例えば、機器はヒューズボックスに限られず、エアコンのコントロールボックス等様々な機器に適用できる。
この発明の実施形態を示す斜視図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 図1の左取付部を斜め前方向から見た拡大斜視図である。 図1の左取付部を下から見た図である。 図4のB−B線で切った状態の斜視図である。 図4のB−B線に沿う断面図である。
符号の説明
1 ダイキャストステアリングハンガービーム
80 ヒューズボックス(機器)
86 開放部
87 底壁
88 突出部
89 凹部
90 取付孔

Claims (1)

  1. 断面コの字状で車幅方向に連続する開放部を有する一体形成されたダイキャストステアリングハンガービームであって、前記開放部に向けて突出する突出部を前記開放部と対向する底壁に設け、前記突出部の下壁から上壁に向かって形成され、機器を介してボルトが締め付けられることで、前記コの字断面内部において前記機器を取り付ける取付孔を前記突出部の先端に設け、前記突出部の内部に、前記突出部の突出方向と反対方向に開口する凹部を設けたことを特徴とするダイキャストステアリングハンガービーム。
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