ところで、上記した従来の技術では、通信に先立って品質保証項目を規定した契約を行うことが必要であり、例えば、携帯電話装置で通話要求を行う際に通信品質の変更を要求するなど、通信ごとに通信装置から通信品質の変更を要求することができない。これに対して、通信品質の変更要求に係る特別な操作を利用者に通信装置で行わせる手法を採用すれば、通信ごとに通信装置から通信品質の変更を要求することも可能になるが、このような手法では、利用者は簡易に通信品質の変更要求を行うことができないという課題がある。特に、通信開始後(例えば、携帯電話での通話開始後)に通信品質の不満を感じて通信品質の変更を要求するようなケースを想定すると、通信開始後に利用者が通信品質の変更要求に係る特別な操作を強いられることは非常に煩雑である。
なお、このような課題は、上記したQoSやSLAといった固定的な通信品質サービスに限られるものではなく、いわば相対的な通信品質サービスについても同様に想定される課題である。すなわち、例を挙げれば、「帯域10Mbps以上、遅延50msec以下」といった固定的な数値で通信品質の変更要求を行う場合に限定される課題ではなく、「音声品質を現状よりも上げて下さい」といった相対的な通信品質の変更要求を行う場合にも同様に想定される課題である。
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、利用者が簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能な通信装置、通信品質変更方法および通信品質変更プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、ネットワークを制御する所定のサーバ装置に対して通信品質の変更を要求する通信装置であって、前記通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定する変更判定手段と、前記変更判定手段によって前記通信品質を変更すべき状況にある旨が判定された場合に、前記サーバ装置に対して前記通信品質の変更要求を送信する変更要求手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更判定手段は、前記通信品質を現状から相対的に変更すべき状況にあるか否かを判定し、前記変更要求手段は、前記サーバ装置に対して現状の通信品質に対する相対的な変更要求を送信することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更判定手段は、前記通信装置の利用者が当該通信装置に対して所定の簡易なアクションを行ったか否かによって、前記通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更判定手段は、前記通信装置の利用者の状況が所定の状況にあるか否かによって、前記通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更判定手段は、前記通信装置の状況が所定の状況にあるか否かによって、前記通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更要求手段によって前記通信品質の変更要求が送信された際の状況を記憶する変更要求記憶手段をさらに備え、前記変更判定手段は、前記変更要求記憶手段に記憶した状況にあるか否かによって、前記通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更判定手段は、通信開始後に、前記通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、前記変更要求手段は、通信開始後に、前記通信品質の変更要求を送信することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更判定手段は、通信開始前に、前記通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、前記変更要求手段は、通信開始前に、前記通信品質の変更要求を送信することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更判定手段は、通信開始前または通信開始後から継続して、前記通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、前記変更要求手段は、前記通信品質を変更すべき状況にある旨が判定される度に、前記通信品質の変更要求を送信することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更要求手段は、前記変更要求判定手段によって変更要求の内容が相反する複数の判定結果が得られた場合には、予め定められた優先順位に従って所定の判定結果に応じた変更要求を送信することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更判定手段は、複数の通信品質ごとに、各通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、前記変更要求手段は、前記変更要求判定手段によって所定の通信品質を変更すべき状況にある旨が判定された場合に、当該所定の通信品質について変更要求を送信することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記通信装置における現状の通信品質、当該現状の通信品質からの変更可否、所定期間における通信品質の変更履歴のいずれか一つまたは複数を利用者に報知する品質変更報知手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明は、ネットワークを制御する所定のサーバ装置に対して通信品質の変更を要求する通信装置における通信品質変更方法であって、前記通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定する変更判定工程と、前記変更判定工程によって前記通信品質を変更すべき状況にある旨が判定された場合に、前記サーバ装置に対して前記通信品質の変更要求を送信する変更要求工程と、を含んだことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更判定工程は、前記通信品質を現状から相対的に変更すべき状況にあるか否かを判定し、前記変更要求工程は、前記サーバ装置に対して現状の通信品質に対する相対的な変更要求を送信することを特徴とする。
また、本発明は、ネットワークを制御する所定のサーバ装置に対して通信品質の変更を要求する通信品質変更方法をコンピュータである通信装置に実行させる通信品質変更プログラムであって、前記通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定する変更判定手順と、前記変更判定手順によって前記通信品質を変更すべき状況にある旨が判定された場合に、前記サーバ装置に対して前記通信品質の変更要求を送信する変更要求手順と、を通信装置に実行させることを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記変更判定手順は、前記通信品質を現状から相対的に変更すべき状況にあるか否かを判定し、前記変更要求手順は、前記サーバ装置に対して現状の通信品質に対する相対的な変更要求を送信することを特徴とする。
本発明によれば、通信品質(例えば、接続品質、音声品質、画像品質、通信速度、安全性など)を変更すべき状況にあるか否かを判定して、かかる状況にある場合に、サーバ装置に対して通信品質の変更要求を送信するので、利用者は特別な操作を強いられることなく、簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
また、本発明によれば、通信品質を現状から相対的に変更すべき状況にあるか否かを判定し、現状の通信品質に対する相対的な変更要求を送信するので、例えば「音声品質を現状よりも上げて下さい」といった相対的な変更要求を受け付けるサーバ装置を採用するような場合に、利用者は簡易に通信品質の変更要求を行うことができるだけでなく、通信品質の変更を相対的に実感することもでき、利用者は高い満足感を得ることが可能になる。
また、本発明によれば、利用者が通信装置に対して所定の簡易なアクションを行ったか否かによって通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するので、例えば、通信装置が上下に振られたこと、通信装置が叩かれたこと、メモリ端子や充電端子に所定部品が挿入されたこと、タッチパネルである表示部がタッチされたこと、所定のボタンが押下されたこと、ジョグダイヤルがダイヤルされたことなど、利用者による簡易なアクションに応じて通信品質の変更要求を送信するようにすることができ、利用者は表示部(ディスプレイなど)や操作部(キーボードなど)を介した複雑な操作指示を行う必要がなくなり、簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能になる。また、特に、タッチパネルである表示部がタッチされたことを状況判定の材料にする場合には、ソフトウェアによる処理で実現が可能であるので、デザインや機能割当てに制限されることなく通信装置を構成することも可能になる。また、メモリ端子に所定部品が挿入されたことを状況判定の材料にする場合には、所定部品に「変更要求内容」を記憶させておき、かかる所定部品に記憶された「変更要求内容」を送信するようにすることも可能になる。
また、本発明によれば、利用者の状況が所定の状況にあるか否かによって通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するので、例えば、通信装置を保持する圧力が所定値以上になったこと、音圧が所定値以上になったこと、音量が所定値以上になったこと、脳波が所定の状態になったこと、所定のフレーズが発音されたこと、発汗量が所定値以上になったこと、主音声と周辺雑音との比が所定値以上になったことなど、利用者の状況に応じて通信品質の変更要求を自動的に送信するようにすることができ、利用者による意識なしで(一切の操作無しで)通信品質の変更要求を行うことが可能になる。また、上記したような状況で通信品質の変更を行う必要性は各利用者で共通すると考えられるので、利用者に係る所定の状況を予め各通信装置に設定しておくこともでき、これによって、利用者による設定作業が不要になり、一層簡易に通信品質の変更要求を行うことも可能になる。
また、本発明によれば、通信装置の状況が所定の状況にあるか否かによって通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するので、例えば、所定の場所にいること、所定の通信相手との通信であること、所定の時間帯であること、所定の曜日であることなど、通信装置の状況に応じて自動的に通信品質の変更要求を送信するようにすることができ、利用者による意識なしで(一切の操作無しで)通信品質の変更要求を行うことが可能になる。また、通信装置に係る所定の状況を利用者ごとに任意に設定できるようにすれば、各利用者が予め希望する状況で通信品質の変更要求を個別的に行うことが可能になる。
また、本発明によれば、通信品質の変更要求が送信された際の状況を記憶しておき、この記憶された状況にあるか否かによって通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するので、以前に通信品質の変更要求が送信された状況と同じ状況下であれば自動的に通信品質の変更要求を送信するようにすることができ、利用者による意識なしで(一切の操作無しで)通信品質の変更要求を行うことが可能になる。また、通信品質の変更要求が送信された際の状況が自動的に蓄積されるので、通信品質を変更すべき状況を予め設定する作業も不要になり、一層簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
また、本発明によれば、通信開始後に通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、通信開始後に通信品質の変更要求を送信するので、通信開始後に通信品質の変更要求を受け付けるサーバ装置を採用するような場合でも、利用者は既に開始している通信を中断することなく、簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
また、本発明によれば、通信開始前に通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、通信開始前に通信品質の変更要求を送信するので、通信開始前に通信品質の変更要求を受け付けるサーバ装置を採用するような場合でも、利用者は通信開始前に特別な操作を行うことなく、簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
また、本発明によれば、通信開始前または通信開始後から継続して通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、通信品質を変更すべき状況にある旨が判定される度に通信品質の変更要求を送信するので、通信開始前または通信開始後から継続して通信品質の変更要求を受け付けるサーバ装置を採用するような場合でも、状況が変化する度に各状況に対応した変更要求が自動的に送信され、利用者の操作負担を一層軽減することが可能になる。
また、本発明によれば、変更要求の内容が相反する複数の判定結果が得られた場合には、予め定められた優先順位に従って選択された判定結果に応じた変更要求を送信するので、例えば、通信装置の状況からは音声品質を上げるべき旨が判定される一方で、利用者のアクションからは音声品質を下げるべき旨が判定されたような場合でも、利用者のアクションによる判定結果を優先するなどして、相反する複数の変更要求が送信される事態を簡易に防止することが可能になる。
また、本発明によれば、複数の通信品質ごとに各通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、所定の通信品質を変更すべき状況にある場合に、当該所定の通信品質について変更要求を送信するので、複数の通信品質(例えば、接続品質、音声品質、画像品質および通信速度など)について変更要求を受け付けるサーバ装置を採用するような場合でも、簡易に各通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
また、本発明によれば、現状の通信品質、当該現状の通信品質からの変更可否、所定期間における通信品質の変更履歴などを利用者に報知するので、利用者は通信品質の変更に係る処理状況などを把握することも可能になる。
以下の実施例1では、実施例1に係る通信品質変更システムの概要および特徴を説明した後に、かかるシステムを構成する通信品質変更サーバ並びに携帯電話装置の構成、実施例1による通信品質変更処理の流れ、実施例1による効果を順に説明する。
[通信品質変更システムの概要および特徴(実施例1)]
最初に、図1を用いて、実施例1に係る通信品質変更システムの概要および特徴を説明する。図1は、実施例1の概要および特徴を説明するための図である。
かかる通信品質変更システムは、同図に示すように、携帯電話網(基地局、交換機、基地局制御装置、地域レジスタ、ホームレジスタ、関門交換機などで構成される通信網)であるネットワーク1に接続される携帯電話装置10の音声品質を、携帯電話装置10から受け付けた品質変更要求に応じて変更することを概要とする。つまり、発側である携帯電話装置10と着側である携帯電話装置20との間で行われる電話(音声通話)サービスにおいて、発側の携帯電話装置10から受け付けた品質変更要求に応じて電話の音声品質を変更するものである。なお、「携帯電話装置」は特許請求の範囲に記載の「通信装置」に対応し、「音声品質」は同じく「通信品質」に対応する。
そして、実施例1に係る通信品質変更システムは、以下に簡単に説明するように、簡易に通信品質の変更要求を行うことができるようにしている点に主たる特徴がある。これを具体的に説明すると、この通信品質変更システムは、図1に示すように、携帯電話装置10および携帯電話装置20が接続される携帯電話網としてのネットワーク1に対して、通信品質変更サーバ30をさらに接続して構成される。なお、「通信品質変更サーバ30」は特許請求の範囲に記載の「サーバ装置」に対応する。
かかる構成を有する通信品質変更システムにおいて、発側の携帯電話装置10からネットワーク1に対して通話要求が送出され(図1の(1)参照)、着側の携帯電話装置20が呼び出しに応答すると、携帯電話装置10と携帯電話装置20との間で回線が接続されて通話が開始される(同図の(2)参照)。その後、発側の携帯電話装置10では、例えば、通話の音圧が80dB以上であるかを判定することで、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを継続的に判定する(同図の(3)参照)。つまり、通話の音圧が80dB以上になった状況とは、音声品質の低下を感じ取った通話者が自然と通話の音圧を高くした結果であると考えられるので、通信品質を変更すべき状況にあると判定する趣旨である。
このような判定を行うことで、発側の携帯電話装置10では、通信品質を変更すべき状況にあると判定した場合には、ネットワーク1に対して品質変更要求(例えば、音声品質変更の要求を示す制御信号を含んだ通信品質変更サーバ30宛のパケットなど)を送信し、かかる品質変更要求は通信品質変更サーバ30に届けられる(同図の(4)参照)。なお、発側の携帯電話装置10から送信される品質変更要求は、「帯域10Mbps以上保証、遅延50msec以下保証」といった固定的な数値で規定される要求ではなく、例えば「音声品質を現状よりも上げて下さい」といった具合に、現状の通信品質に対する相対的な変更要求である。
そして、このような品質変更要求を受け付けた通信品質変更サーバ30は、ネットワーク1に対して、通信品質の変更を指示する(同図の(5)参照)。つまり、音声品質に影響を与える通信因子(基地局や経路など)について、現在の通話で用いられている通信因子の情報と、現状から変更可能な通信因子(他の基地局や経路など)の情報とを取得した後、「音声品質を現状よりも上げて下さい」といった相対的な品質変更要求に応えるためには通信因子をどのように変更すればよいか(通信因子の変更内容)を決定し、基地局変更内容や経路変更内容などを含んだ品質変更指示をネットワーク1に対して送出する。ここで、品質変更要求は、固定的な数値で規定される要求ではなく、現状に対して相対的なものであるので、固定された最高の音声品質を満たすように変更内容を決定するのではなく、例えば、現状から変更可能な通信因子が少ないような場合でも、少なくとも現状よりも相対的に高いといい得る音声品質になるように変更内容を決定する。
かかる品質変更指示を受け取ったネットワーク1は、品質変更指示に含まれる変更内容に従って、基地局変更や経路変更などを実行して、携帯電話装置10と携帯電話装置20との間で開始されている通信品質(音声品質)を変更する(同図の(6)参照)。すなわち、携帯電話装置10や20においては、少なくとも現状よりも音声品質が高いといい得る範囲に、現状の音声品質が相対的に変更される。さらに、通信品質変更サーバ30は、上記した品質変更指示の実行とともに、利用者に対する課金処理を行う(同図の(7)参照)。つまり、所定の課金ポリシー(例えば、変更要求回数によらない定額課金、変更要求回数に応じた従量課金、時間帯を考慮した時間帯課金、変更した通信因子の数に応じた従量課金など)に基づいて課金額を算出し、かかる課金額をサービス利用履歴とともに所定のDBに格納する。
このように、実施例1に係る通信品質変更システムにおいて、発側の携帯電話装置10では、通信品質(例えば、音声品質)を変更すべき状況にあるか否かを判定して、かかる状況にある場合に、通信品質変更サーバ30に対して通信品質の変更要求を送信するので、上記した主たる特徴の如く、利用者は特別な操作を強いられることなく、簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
[通信品質変更サーバの構成(実施例1)]
続いて、図2〜図6を用いて、実施例1に係る通信品質変更システムを構成する通信品質変更サーバの構成を説明する。図2は、通信品質変更サーバの構成を示すブロック図であり、図3は、利用者情報DBに記憶される情報の例を示す図であり、図4は、通信因子DBに記憶される情報の例を示す図であり、図5は、品質ポリシーDBに記憶される情報の例を示す図であり、図6は、課金情報DBに記憶される情報の例を示す図である。
かかる通信品質変更サーバ30は、図2に示すように、通信制御IF部31と、記憶部32と、制御部33とから構成される。このうち、通信制御IF部31は、ネットワーク1との間で行われる通信を制御する処理部であり、例えば、携帯電話装置10から送出された品質変更要求(例えば、音声品質変更の要求を含んだ通信品質変更サーバ30宛のパケット)をネットワーク1から受信し、品質変更指示(例えば、基地局変更内容や経路変更内容などを含んだ制御信号)をネットワーク1に対して送信する。
記憶部32は、制御部33による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する格納手段(記憶手段)であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図2に示すように、利用者情報DB32aと、通信因子DB32bと、品質ポリシーDB32cと、課金情報DB32dとを備える。
このうち、利用者情報DB32aは、通信品質変更サービスの提供を受ける利用者に関する各種の情報を記憶する手段であり、具体的には、図3に例示するように、サービスについて契約を行った利用者ごとに、各利用者が有する携帯電話装置10を一意に識別するための電話番号、各利用者を識別するための名称、各利用者のサービス契約内容(例えば、サービスの提供を受け得る期限)などを対応付けて記憶する。なお、携帯電話装置10に一意に付与されている端末番号を「電話番号」に代えて記憶するようにしてもよい。
通信因子DB32bは、通信品質に影響を与える通信因子に関する各種の情報を記憶する手段であり、具体的には、図4に例示するように、携帯電話装置10から受け取った品質変更要求ごとに、変更要求側電話番号(品質変更要求を送出した携帯電話装置10の電話番号)、かかる携帯電話装置10における現在の通話で用いられている通信因子(例えば、変更要求側の携帯電話装置10が接続している基地局、通信相手側の携帯電話装置20が接続している基地局、両者を接続している経路など)の情報、現状から変更可能な通信因子(例えば、変更要求側の携帯電話装置10が現に接続可能な他の基地局、通信相手側の携帯電話装置20が現に接続可能な他の基地局、両者を現に接続可能な他の経路など)の情報を対応付けて記憶する。なお、通信因子DB32bに記憶される各情報は、後述する制御部33のネットワーク監視部33bによる処理によって収集されて登録される。
品質ポリシーDB32cは、通信品質に関する各種の情報を記憶する手段であり、具体的には、図5に例示するように、変更要求を受け付ける通信品質(ここでは「音声品質」のみ)ごとに、かかる通信品質に係る変更要求に対してネットワーク1から収集すべき通信因子の種類(例えば、基地局、経路)、かかる通信品質の変更内容を決定する際に考慮すべき基準(例えば、基地局の変更でも経路の変更でも音声品質の変更要求に応えられる場合には基地局の変更を優先すること、いずれの変更でも変更要求に僅かしか応えられない場合には両者を変更すること、他のユーザの品質を低下させないように変更内容を決定することなど)を対応付けて記憶する。なお、図5には例示していないが、品質ポリシーDB32cは、決定された品質変更内容について、ネットワーク1におけるいずれの機器に対して品質変更指示を送出するかなどを規定したポリシーも記憶する。
課金情報DB32dは、利用者に対する課金に関する各種の情報を記憶する手段であり、具体的には、図6に例示するように、サービスについて契約を行った利用者ごとに、各利用者が有する携帯電話装置10の電話番号、各利用者の名称、通信品質変更のサービスが利用された利用日時、各利用履歴で課金される料金を対応付けて記憶する。なお、ここでは、「利用者の名称」を課金情報DB32dに記憶する例を示したが、必ずしもこれを記憶する必要はなく、利用者を特定する電話番号のみを記憶するようにしてもよい。
制御部33は、制御プログラムや各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図2に示すように、変更要求受付部33aと、ネットワーク監視部33bと、変更内容決定部33cと、変更内容指示部33dと、品質情報通知部33eと、課金処理部33fとを備える。
このうち、変更要求受付部33aは、携帯電話装置10の利用者から現状の通信品質に対する相対的な変更要求を受け付ける処理部である。具体的には、「音声品質を現状よりも上げて下さい」といった具合に、現状の通信品質に対する相対的な変更要求であり、例えば、音声品質のアップ要求を示す制御信号を含んだ通信品質変更サーバ30宛のパケットなどを携帯電話装置10から受け付ける。
また、変更要求受付部33aは、品質変更要求を受け付けた場合に、利用者認証を行う処理部でもある。具体的には、品質変更要求に含まれる電話番号(品質変更要求を送出した携帯電話装置10の電話番号)に基づいて利用者情報DB32a(図3参照)を参照し、かかる電話番号が利用者情報DB32aに記憶されているか否か、さらには、かかる電話番号に対応付けて記憶されているサービス契約内容が現に有効であるか否かを判定することで利用者を認証する。なお、電話番号が利用者情報DB32aに記憶されていない場合や、サービス契約内容が無効である場合には、品質変更要求を拒絶する。
ネットワーク監視部33bは、ネットワーク1を監視して通信品質に影響を与える通信因子の情報を収集する処理部である。具体的には、音声品質の変更要求を受け付けた場合に、かかる変更要求に対してネットワーク1から収集すべき通信因子の種類(例えば、基地局、経路)を品質ポリシーDB32c(図5参照)に基づいて把握した後、この通信因子について、現在の通話で用いられている通信因子(例えば、変更要求側の携帯電話装置10が接続している基地局、通信相手側の携帯電話装置20が接続している基地局、両者を接続している経路など)の情報、並びに、現状から変更可能な通信因子(例えば、変更要求側の携帯電話装置10が現に接続可能な他の基地局、通信相手側の携帯電話装置20が現に接続可能な他の基地局、両者を現に接続可能な他の経路など)の情報をネットワーク1から収集し、収集した情報を上記した通信因子DB32b(図4参照)に格納する。
なお、ネットワーク監視部33bがネットワーク1から通信因子の情報を収集するタイミングについては、音声品質の変更要求を受け付けた時点に必ずしも限定されるものではなく、変更要求受付後においても所定間隔で情報を継続して収集するようにしてもよく、また、変更要求を受け付ける前から所定間隔で情報(この場合は、ネットワーク1の全状況)を収集するようにしてもよい。
変更内容決定部33cは、変更要求受付部33aによって受け付けた相対的な変更要求に沿うために必要な通信因子の変更内容を決定する処理部である。具体的には、通信因子DB32bに記憶された現在の通信因子並びに現状から変更可能な通信因子の情報を参照するとともに、品質ポリシーDB32c(図5参照)に記憶された決定基準に則って、「音声品質を現状よりも上げて下さい」といった相対的な品質変更要求に応えるためには通信因子をどのように変更すればよいか(通信因子の変更内容)を決定する。なお、品質ポリシーDB32cに記憶された決定基準の内容にもよるが、変更要求受付部33aが受け付ける品質変更要求は、固定的な数値で規定される要求ではなく、現状に対して相対的なものであるので、例えば、現状から変更可能な通信因子が少ないような場合でも、少なくとも現状よりも相対的に高いといい得る音声品質になるように変更内容を決定する。
変更内容指示部33dは、変更内容決定部33cによって決定された変更内容をネットワーク1に対して指示する処理部である。具体的には、変更内容決定部33cによって品質変更内容が決定されると、品質ポリシーDB32c(図5参照)に記憶されたポリシー(例えば、ネットワーク1におけるいずれの機器に対して品質変更指示を送出するかなどを規定したポリシー)を参照し、基地局変更内容や経路変更内容などを含んだ品質変更指示をネットワーク1に対して送出する。なお、品質変更指示を受け取ったネットワーク1は、品質変更指示に含まれる変更内容に従って、基地局変更や経路変更などを実行して、携帯電話装置10と携帯電話装置20との間で開始されている音声品質を変更する。
品質情報処理部33eは、通信品質に係る情報(品質情報)を携帯電話装置10や20に通信制御IF部31を介して通知する処理部である。具体的には、品質変更処理の実行後に、通信品質変更処理を実行した旨や、所定期間内の変更履歴(ユーザによる今月の変更要求回数、今月の累積課金料金など)を携帯電話装置10や20に通知する。
課金処理部33eは、利用者に対する課金処理を行う処理部である。具体的には、品質変更要求に応じて品質変更処理を実行した場合に、所定の課金ポリシー(例えば、変更要求回数によらない定額課金、変更要求回数に応じた従量課金、時間帯を考慮した時間帯課金、変更した通信因子の数に応じた従量課金など)に基づいて課金額を算出し、かかる課金額をサービス利用履歴とともに課金情報DB32d(図6参照)に格納する。
[携帯電話装置の構成(実施例1)]
続いて、図2の他に、図7〜図9を用いて、実施例1に係る通信品質変更システムを構成する携帯電話装置10の構成を説明する。図7は、携帯電話装置の構成を示すブロック図であり、図8は、品質変更ポリシーテーブルに記憶される情報の例を示す図であり、図9は、携帯電話装置から出力される情報の例を示す図である。なお、ここでは、発側の携帯電話装置10について説明するが、着側の携帯電話装置20が品質変更要求を行い得るものである場合には、同様の構成を有する。
図7に示すように、携帯電話装置10および20は、所定の通信方式(例えば、PDCやPHS、CDMAなど)に従って音声通信やパケット通信を行う通信機器である。そして、品質変更要求を送出する携帯電話装置10は、図7に示すように、入力部11と、出力部12と、通信制御IF部13と、音声通話等制御部14と、音圧センサ15と、記憶部16と、品質変更制御部17とから構成される。
このうち、入力部11は、各種の情報を受け付けて入力する入力手段であり、テンキーやボタン、マイクなどを備えて構成され、例えば、本発明に密接に関連するものとして、他の携帯電話装置20等と通話するための接続要求(着信者の電話番号など)、通話中における音声(会話)、通話を切断するための切断要求などを受け付けて入力する。
出力部12は、各種の情報を出力する出力手段であり、モニタやスピーカ、LED(Light Emitting Diode)を備えて構成され、例えば、本発明に密接に関連するものとして、通話中における音声(会話)をスピーカから出力し、また、図9に例示するように、通信品質要求を行った旨を示す音(例えば「ピッピッ!」)をスピーカから出力し、同じく通信品質要求を行った旨を示す文字メッセージ(例えば「音声品質アップを要求しました」)をモニタから表示出力し、通信品質変更サーバ30において通信品質変更処理を実行した旨を示す音(例えば「ピィーピィー!」)をスピーカから出力し、同じく通信品質変更処理を実行した旨を示す文字メッセージ(例えば「音声品質がアップしました」)をモニタから表示出力し、さらに、所定期間内の変更履歴(ユーザによる今月の変更要求回数、今月の累積課金料金など)をモニタから表示出力する。
通信制御IF部13は、ネットワーク1を構成する機器(例えば、基地局、交換機など)やネットワーク1に接続される装置(例えば、携帯電話装置20、通信品質変更サーバ30など)との間で行われる通信を制御する手段であり、例えば、本発明に密接に関連するものとして、他の携帯電話装置10等と通話するための接続要求をネットワーク1に送信し、通話中における音声(会話)を携帯電話装置20と互いに送受信し、通信品質要求を通信品質変更サーバ30に送信し、通信品質変更処理を実行した旨を示す処理実行通知や所定期間内の変更履歴を通信品質変更サーバ30から受信する。なお、通信制御IF部13による各種の送受信は、セキュリティの保持を図るために、暗号化して行うことが望ましい。
音声通話等制御部14は、携帯電話装置10が本来的に備える機能(言い換えれば、後述する品質変更機能以外の機能)を制御する処理部であり、例えば、音声通話機能における音声信号のアナログ変換やデジタル変換、符号化、複合化などに係る処理を制御するほか、メール機能やWeb通信機能、カメラ機能などを制御する。
音圧センサ15は、携帯電話装置10の利用者による通話中の音声レベル(音圧)を測定するセンサである。なお、この音圧センサ15によって取得された音圧は、後述する変更判定(通信品質を変更すべき状況にあるか否かの判定)に用いられる。
記憶部16は、制御部17による各種処理に必要なデータ(例えば、着信者の電話番号など)およびプログラム(例えば、音声通話ソフトなど)を記憶する記憶手段(メモリ)であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図7に示すように、品質変更ポリシーテーブル16aを備える。
ここで、品質変更ポリシーテーブル16aは、品質変更要求に係る各種の情報を記憶する手段であり、具体的には、図8に例示するように、通信品質の種類ごとに(ここでは「音声品質」)、品質変更の要求内容(ここでは「音声品質アップ」)と、品質変更の要求に必要な条件(ここでは「通話の音圧が80dB以上」)とを対応付けて記憶する。
制御部17は、制御プログラムや各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図7に示すように、品質変更判定部17aと、品質変更要求部17bと、品質情報出力処理部17cとを備える。なお、品質変更判定部17aは特許請求の範囲に記載の「変更判定手段」に対応し、品質変更要求部17bは同じく「変更要求手段」に対応し、品質情報出力処理部17cは同じく「品質変更報知手段」に対応する。
このうち、品質変更判定部17aは、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定する処理部である。具体的には、携帯電話装置20との通話開始後に、携帯電話装置10の利用者の状況が所定の状況にあるか否か、つまり、品質変更ポリシーテーブル16aに記憶された変更要求条件(ここでは「通話の音圧が80dB以上」)を満たすか否かを、音圧センサ15によって取得された音圧によって継続的に判定する。なお、ここでは、通話の音圧が80dB以上になった状況を、音声品質の低下を感じ取った通話者が自然と通話の音圧を高くした結果であると想定している。
品質変更要求部17bは、品質変更判定部17aによって通信品質を変更すべき状況にある旨が判定された場合に、通信品質変更サーバ30に対して通信制御IF部13を介して通信品質の変更要求を送信する処理部である。具体的には、品質変更ポリシーテーブル16aに記憶された品質変更要求条件に対応する変更要求内容(ここでは「音声品質アップ」)を示す制御信号を含んだ通信品質変更サーバ30宛のパケットなどを送信する。
品質情報出力処理部17cは、通信品質に係る各種の情報を出力部12から出力する処理部である。具体的には、品質変更要求部17bによって通信品質要求が送信された場合に、通信品質要求を行った旨を示す音(例えば「ピッピッ!」)をスピーカから出力するとともに、同じく通信品質要求を行った旨を示す文字メッセージ(例えば「音声品質アップを要求しました」)をモニタから表示出力し、また、通信品質変更の処理実行通知を通信品質変更サーバ30から受信した場合には、通信品質変更処理を実行した旨を示す音(例えば「ピィーピィー!」)をスピーカから出力するとともに、同じく通信品質変更処理を実行した旨を示す文字メッセージ(例えば「音声品質がアップしました」)をモニタから表示出力し、さらに、所定期間内の変更履歴(ユーザによる今月の変更要求回数、今月の累積課金料金など)を通信品質変更サーバ30から受信した場合に、この変更履歴をモニタから表示出力する。
[通信品質変更処理の流れ(実施例1)]
続いて、図10を用いて、実施例1による通信品質変更処理の流れを説明する。図10は、実施例1による通信品質変更処理の流れを示すフローチャートである。
同図に示すように、実施例1に係る通信品質変更システムにおいて、発側の携帯電話装置10からネットワーク1に対して通話要求が送出されると(ステップS1001)、ネットワーク1は、着側の携帯電話装置20に対して呼び出し要求を行う(ステップS1002)。そして、かかる呼び出し要求に対して着側の携帯電話装置20が応答すると(ステップS1003)、ネットワーク1は、携帯電話装置10と携帯電話装置20との間で回線を接続して通話可能な状態にする(ステップS1004)。
その後、携帯電話装置10と携帯電話装置20との間で通話が開始されると、携帯電話装置10は、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを継続的に判定する(ステップS1005)。具体的には、品質変更ポリシーテーブル16aに記憶された変更要求条件(ここでは「通話の音圧が80dB以上」)を満たすか否かを、音圧センサ15によって取得された音圧によって判定する。
そして、携帯電話装置10は、変更要求条件を満たすと判定された場合には(ステップS1005肯定)、言い換えれば、音圧センサ15によって取得される音圧が80dB以上になると、通信品質変更サーバ30に対して通信品質の変更要求を送信する(ステップS1006)。具体的には、品質変更ポリシーテーブル16aに記憶された品質変更要求条件に対応する変更要求内容(ここでは「音声品質アップ」)を示す制御信号を含んだ通信品質変更サーバ30宛のパケットを送信する。
かかる品質変更要求を受け付けた通信品質変更サーバ30は、利用者認証を行う(ステップS1007)。具体的には、品質変更要求に含まれる電話番号(品質変更要求を送出した携帯電話装置10の電話番号)に基づいて利用者情報DB32a(図3参照)を参照し、かかる電話番号が利用者情報DB32aに記憶されているか否か、さらには、かかる電話番号に対応付けて記憶されているサービス契約内容が現に有効であるか否かを判定する。なお、電話番号が利用者情報DB32aに記憶されていない場合や、サービス契約内容が無効である場合には、品質変更要求を拒絶する。
かかる利用者認証の後、通信品質変更サーバ30は、ネットワーク1から通信品質に影響を与える通信因子の情報を取得する(ステップS1008)。具体的には、音声品質の変更要求を受け付けた場合には、収集すべき通信因子の種類(例えば、基地局、経路)について、現在の通話で用いられている通信因子(例えば、変更要求側の携帯電話装置10が接続している基地局、通信相手側の携帯電話装置20が接続している基地局、両者を接続している経路など)の情報、並びに、現状から変更可能な通信因子(例えば、変更要求側の携帯電話装置10が現に接続可能な他の基地局、通信相手側の携帯電話装置20が現に接続可能な他の基地局、両者を現に接続可能な他の経路など)の情報をネットワーク1から収集する。
これに続いて、通信品質変更サーバ30は、上記のステップS1006で受け付けた相対的な変更要求に沿うために必要な通信因子の変更内容を決定する(ステップS1009)。具体的には、上記のステップS1007で取得した現在の通信因子並びに現状から変更可能な通信因子の情報を参照するとともに、品質ポリシーDB32c(図5参照)に記憶された決定基準に則って、「音声品質を現状よりも上げて下さい」といった相対的な品質変更要求に応えるためには通信因子をどのように変更すればよいか(通信因子の変更内容)を決定する。
その後、通信品質変更サーバ30は、上記のステップS1009で決定された変更内容をネットワーク1に対して指示する(ステップS1010)。具体的には、品質ポリシーDB32c(図5参照)に記憶されたポリシー(例えば、ネットワーク1におけるいずれの機器に対して品質変更指示を送出するかなどを規定したポリシー)を参照し、基地局変更内容や経路変更内容などを含んだ品質変更指示をネットワーク1に対して送出する。
一方、かかる品質変更指示を受け取ったネットワーク1は、品質変更指示に含まれる変更内容に従って、基地局変更や経路変更などを実行して、携帯電話装置10と携帯電話装置20との間で開始されている音声品質を変更する(ステップS1011)。また、かかる品質変更指示を送出した通信品質変更サーバ30は、これに続いて、通信品質変更処理を実行した旨を示す処理実行通知を携帯電話装置10に送信する(ステップS1012)。なお、この処理実行通知を受信した携帯電話装置10では、通信品質変更処理を実行した旨を示す音(例えば「ピィーピィー!」)をスピーカから出力するとともに、同じく通信品質変更処理を実行した旨を示す文字メッセージ(例えば「音声品質がアップしました」)をモニタから表示出力する。
さらに、通信品質変更サーバ30は、利用者に対する課金処理を行う(ステップS1013)。具体的には、所定の課金ポリシー(例えば、変更要求回数によらない定額課金、変更要求回数ごとの従量課金、時間帯を考慮した時間帯課金、変更した通信因子の数に応じた従量課金など)に基づいて課金額を算出し、かかる課金額をサービス利用履歴とともに課金情報DB32d(図6参照)に格納する。なお、通信品質変更サーバ30は、通話が終了した後に、または、上記の課金処理を行った後に、所定期間内の変更履歴(ユーザによる今月の変更要求回数、今月の累積課金料金など)を携帯電話装置10や20に通知する処理も行う。
[実施例1による効果等]
上述してきたように、実施例1によれば、発側の携帯電話装置10において、通信品質(例えば、音声品質)を変更すべき状況にあるか否かを判定して、かかる状況にある場合に、通信品質変更サーバ30に対して通信品質の変更要求を送信するので、利用者は特別な操作を強いられることなく、簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
また、実施例1によれば、通信品質を現状から相対的に変更すべき状況にあるか否かを判定し、現状の通信品質に対する相対的な変更要求を送信するので、例えば「音声品質を現状よりも上げて下さい」といった相対的な変更要求を受け付ける通信品質変更サーバ30を採用するような場合に、利用者は簡易に通信品質の変更要求を行うことができるだけでなく、通信品質の変更を相対的に実感することもでき、利用者は高い満足感を得ることが可能になる。
また、実施例1によれば、利用者の状況が所定の状況にあるか否か(ここでは「通話の音圧が80dBになったか否か」)によって通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するので、利用者の状況に応じて通信品質の変更要求を自動的に送信するようにすることができ、利用者による意識なしで(一切の操作無しで)通信品質の変更要求を行うことが可能になる。また、上記したような状況で通信品質の変更を行う必要性は各利用者で共通すると考えられるので、利用者に係る所定の状況を予め各携帯電話装置10に設定しておくこともでき、これによって、利用者による設定作業が不要になり、一層簡易に通信品質の変更要求を行うことも可能になる。
また、実施例1によれば、通信開始後に通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、通信開始後に通信品質の変更要求を送信するので、通信開始後に通信品質の変更要求を受け付ける通信品質変更サーバ30を採用するような場合でも、利用者は既に開始している通信を中断することなく、簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
また、実施例1によれば、所定期間における通信品質の変更履歴などを利用者に報知するので、利用者は通信品質の変更に係る処理状況などを把握することも可能になる。
さて、これまで実施例1に係る通信品質変更システムについて説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では実施例2として、種々の異なる実施例を説明する。
(1)品質変更要求の主体
例えば、上記の実施例では、発側の携帯電話装置10が品質変更要求を行う場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、着側の携帯電話装置20が品質変更要求を行うようにしてもよい。すなわち、図11は、着側が品質変更要求を行う実施例を説明するための図であるが、この場合には、同図に示すように、携帯電話装置10と携帯電話装置20との間で回線が接続されて通話が開始された後(同図の(2)参照)、発側の携帯電話装置10と同様の機能を有する着側の携帯電話装置20では、例えば、通話の音圧が80dB以上であるかを判定することで、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを継続的に判定する(同図の(3)参照)。
そして、着側の携帯電話装置20では、通信品質を変更すべき状況にあると判定した場合には、ネットワーク1に対して品質変更要求(例えば、音声品質変更の要求を示す制御信号を含んだ通信品質変更サーバ30宛のパケットなど)を送信し(同図の(4)参照)、この品質変更要求を受け付けた通信品質変更サーバ30では、上記の実施例1と同様に品質変更処理を行う(図の(5)〜(7)参照)。なお、着側の携帯電話装置20から品質変更要求を受け付けた場合、通信品質変更サーバ30は、着側の利用者に対して課金処理を行うようにしてもよい。また、以下で、発側の携帯電話装置10として説明する内容は、着側の携帯電話装置20に対しても同様に適用可能な内容である。
(2)品質変更要求の対象
また、上記の実施例では、品質変更要求を行う利用者の通信機器からみて下り方向および上り方向の通信品質に対する相対的な変更要求を行う場合(つまり、品質変更要求側の音声品質だけでなく、通話相手側の音声品質も変更する場合)を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、下り方向のみ(品質変更要求側のみ)、若しくは上り方向のみ(通話相手側のみ)について、一方向の通信品質に対する相対的な変更要求を行うようにしてもよい。
すなわち、図12は、一方向の品質変更要求を行う実施例を説明するための図である。この場合には、同図に示すように、通信品質変更サーバ30は、品質変更要求を送出する携帯電話装置10から、例えば、下り方向のみについて音声品質を変更する旨の品質変更要求を受け付け、これに応じて、下り方向のみについて音声品質を変更する指示をネットワーク1に送出する(同図の(3)〜(5)参照)。その結果、ネットワーク1は、携帯電話装置10と携帯電話装置20との間で行われている通話のうち、下り方向の音声品質のみを変更する(同図の(6)参照)。
また、図13は、一方向の品質変更要求を行う実施例において、携帯電話装置10や20の品質変更ポリシーテーブルに記憶される情報の例を示す図である。同図の(A)に示すように、品質変更ポリシーテーブル16aには、変更要求条件に対応付けて、一方向の品質に係る変更要求内容(ここでは「下り音声品質アップ」)を規定しており、携帯電話装置10では、変更要求条件を満たす場合に、「下り音声品質アップ」という変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信する。
ここで、携帯電話装置10から送出される変更要求内容としては、必ずしも「下り方向」に限られるものではなく、同図の(B)に例示するように、「上り方向」の変更要求内容のみを品質変更ポリシーテーブル16aに規定しておくようにしてもよい。さらに、いずれか一方向の変更要求内容を規定する場合に限定されるものではなく、同図の(C)に例示するように、品質変更ポリシーテーブル16aに、下り方向、上り方向、下りおよび上り方向ごとに、それぞれの変更要求内容と変更要求条件とを対応付けて規定しておき、携帯電話装置10では、いずれかの変更要求条件を満たす場合に、対応する変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信するようにしてもよい。なお、下り方向のみを変更するのか、上り方向のみを変更するのか、または、両者を変更するのかによって、料金に差を設けて課金処理を行うようにしてもよい。
(3)品質変更要求の内容
また、上記の実施例では、品質変更要求として「音声品質を現状よりも上げて下さい」といった音声品質アップの要求を受け付ける場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、「音声品質を現状よりも下げて下さい」といった音声品質ダウンの要求を受け付けるようにしてもよい。
図14は、品質低下の変更要求を行う実施例において、品質変更ポリシーテーブルに記憶される情報の例を示す図である。同図の(A)に示すように、品質変更ポリシーテーブル16aには、変更要求条件(ここでは「通話の音圧が70dB未満」)に対応付けて、「音声品質ダウン」という変更要求内容を規定しており、携帯電話装置10では、変更要求条件を満たす場合に、「音声品質ダウン」という変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信する。なお、ここでは、通話の音圧が70dB未満になった状況を、音声品質が良好過ぎることを感じ取った通話者が自然と通話の音圧を低くした結果であると想定している。
ここで、携帯電話装置10から送出される変更要求内容としては、必ずしも「音声品質ダウン」または「音声品質アップ」のいずれか一方に限られるものではなく、同図の(B)に例示するように、品質変更ポリシーテーブル16aに、音声品質ダウンおよび音声品質アップの変更要求内容ごとに、それぞれの変更要求条件を対応付けて規定しておき、携帯電話装置10では、いずれかの変更要求条件を満たす場合に、音声品質ダウンまたは音声品質アップの変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信するようにしてもよい。なお、通信品質変更サーバ30において、通信品質の低下要求を受け付ける場合には、かかる品質変更要求を行った利用者の通話料金を割り引くなど、何かしらの特典を与えるようにしてもよい。
(4)利用者の状況に応じて変更要求
また、上記の実施例では、通話の音圧によって、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、携帯電話装置10の利用者に係る他の状況によって、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するようにしてもよい。
すなわち、図15は、他の手法(詳細には、利用者の状況)で品質変更判定を行う実施例において、品質変更ポリシーテーブルに記憶される情報の例を示す図である。同図の(A)に例示するように、例えば、品質変更ポリシーテーブル16aに、「装置保持圧力(圧力センサの値)が所定値以上」という変更要求条件を規定しておき、携帯電話装置10では、自らが備える圧力センサの値が所定値以上になった場合に、変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信する。なお、ここでは、携帯電話装置10を保持する圧力が所定値以上になった状況を、音声品質の低下を感じ取った通話者が自然と装置保持圧力を高くした結果であると想定している。
また、ここでは、利用者による装置保持圧力によって、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、同図の(B)に例示するように、例えば、品質変更ポリシーテーブル16aに、「脳波センサがイライラを示す脳波を検出」、「血圧(血圧センサの値)が所定値以上」、「発汗量(水分センサの値)が所定値以上」、「会話中に「もしもーし」というキーワードが所定数以上繰り返し登場」、「主音声と周辺雑音との比が所定値以上」という変更要求条件も規定しておき、携帯電話装置10では、これらの変更要求条件のいずれか一つまたは複数を満たす場合に、変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信するようにしてもよい。なお、ここでは、上記した各状況を、音声品質の低下を感じ取った通話者が自然と行った行動の結果であると想定している。
このように、利用者の状況が所定の状況にあるか否かによって通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するので、例えば、携帯電話装置10を保持する圧力が所定値以上になったこと、音圧が所定値以上になったこと、音量が所定値以上になったこと、脳波が所定の状態になったこと、所定のフレーズが発音されたこと、発汗量が所定値以上になったこと、主音声と周辺雑音との比が所定値以上になったことなど、利用者の状況に応じて通信品質の変更要求を自動的に送信するようにすることができ、利用者による意識なしで(一切の操作無しで)通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
(5)利用者による簡易なアクションに応じて変更要求
また、上記の実施例では、利用者の状況によって、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、利用者が携帯電話装置10に対して所定の簡易なアクションを行ったか否かによって、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するようにしてもよい。
すなわち、図16は、他の手法(詳細には、利用者による簡易なアクション)で品質変更判定を行う実施例において、品質変更ポリシーテーブルに記憶される情報の例を示す図である。同図の(A)に例示するように、例えば、品質変更ポリシーテーブル16aに、「装置が上下に振られたこと」という変更要求条件を規定しておき、携帯電話装置10では、自らが備える加速度センサ等によって携帯電話装置10が上下に振られたことを検知した場合に、変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信する。なお、ここでは、音声品質の低下を感じ取った通話者は、自然と携帯電話装置10を上下に振るであろうことを想定しているが、必ずしも方向は「上下」に限られるものではなく、携帯電話装置10がシェイクされる状況であればよい。
また、ここでは、「装置が上下に振られたこと」で通信品質要求を行う場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、同図の(B)に例示するように、例えば、品質変更ポリシーテーブル16aに、「装置が叩かれたこと」、「タッチパネルがタッチされたこと」、「所定のボタン(例えば、通話中でも触れやすい位置に設けられた「品質変更要求ボタン」)が押下されたこと」、「ジョグダイヤルがダイヤルされたこと」、「メモリ端子に所定部品が挿入されたこと」、「充電端子に所定部品が挿入されたこと」という変更要求条件も規定しておき、携帯電話装置10では、これらの変更要求条件のいずれか一つまたは複数を満たす場合に、変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信するようにしてもよい。
このように、利用者が携帯電話装置10に対して所定の簡易なアクションを行ったか否かによって通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するので、例えば、携帯電話装置10が上下に振られたこと、携帯電話装置10が叩かれたこと、メモリ端子や充電端子に所定部品が挿入されたこと、タッチパネルである表示部がタッチされたこと、所定のボタンが押下されたこと、ジョグダイヤルがダイヤルされたことなど、利用者による簡易なアクションに応じて通信品質の変更要求を送信するようにすることができ、利用者は表示部(ディスプレイなど)や操作部(キーボードなど)を介した複雑な操作指示を行う必要がなくなり、簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
特に、タッチパネルである表示部がタッチされたことを状況判定の材料にする場合には、ソフトウェアによる処理で実現が可能であるので、デザインや機能割当てに制限されることなく携帯電話装置10を構成することも可能になる。また、メモリ端子に所定部品が挿入されたことを状況判定の材料にする場合には、所定部品に「変更要求内容」を記憶させておき、かかる所定部品に記憶された「変更要求内容」を送信するようにすることも可能になる。
(6)通信装置の状況に応じて変更要求
また、上記の実施例では、利用者の状況や簡易なアクションによって、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、携帯電話装置10の状況によって、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するようにしてもよい。
すなわち、図17は、他の手法(詳細には、通信装置の状況)で品質変更判定を行う実施例において、品質変更ポリシーテーブルに記憶される情報の例を示す図である。同図の(A)に例示するように、例えば、品質変更ポリシーテーブル16aに、「090-8888-XXXXと通話」という変更要求条件を規定しておき、携帯電話装置10では、かかる電話番号の通信装置と通話が行われることを検知した場合に、変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信する。なお、ここでは、所定の電話番号(090-8888-XXXX)と通話する場合に、利用者が常に音声品質の向上を希望しているという状況を想定している。
また、ここでは、「090-8888-XXXXと通話すること」で通信品質要求を行う場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、同図の(B)に例示するように、例えば、品質変更ポリシーテーブル16aに、「所定の場所(例えば地下)に居ること」(なお、これについてはGPSなどの位置検出手段によって検知する)、「所定の時間帯(例えばAM9〜PM5)であること」、「所定の曜日(例えば月〜金)であること」という変更要求条件も規定しておき、携帯電話装置10では、これらの変更要求条件のいずれか一つまたは複数を満たす場合に、変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信するようにしてもよい。
このように、通信装置(携帯電話装置10)の状況が所定の状況にあるか否かによって通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するので、例えば、所定の場所にいること、所定の通信相手との通信であること、所定の時間帯であること、所定の曜日であることなど、携帯電話装置10の状況に応じて自動的に通信品質の変更要求を送信するようにすることができ、利用者による意識なしで(一切の操作無しで)通信品質の変更要求を行うことが可能になる。また、携帯電話装置10に係る所定の状況を利用者ごとに任意に設定できるようにすれば、各利用者が予め希望する状況で通信品質の変更要求を個別的に行うことが可能になる。
なお、上記では、利用者の状況、利用者の簡易なアクションまたは携帯電話装置10の状況という一つの観点から、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの複数を品質変更ポリシーテーブル16aに記憶しておき(例えば、図15〜図17に示した品質変更ポリシーテーブル16aを一つに統合しておき)、複数の観点から通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するようにしてもよい。
(7)通信品質を変更すべき状況を学習して蓄積
また、上記の実施例では、通信品質を変更すべき状況を利用者やメーカー等が品質変更ポリシーテーブル16aに予め設定しておく場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、携帯電話装置10自らが、通信品質を変更すべき状況を学習して品質変更ポリシーテーブル16aに蓄積するようにしてもよい。
すなわち、図18は、学習によって品質変更判定を行う実施例において、品質変更ポリシーテーブルに記憶される情報の例を示す図である。この場合には、同図の(A)に例示するように、品質変更要求が行われる度に、品質変更要求の履歴として、日時、通話相手、通話場所、変更要求内容などを対応付けて変更要求DBに記憶する。なお、ここでいう「品質変更要求」は、必ずしも自動で行われるものに限らず、利用者が意識的に操作して品質変更要求を行ったものを含むようにしてもよい。
さらに、携帯電話装置10では、品質変更要求の履歴を変更要求DBに記憶する一方で、いわゆる学習機能によって、品質変更要求が頻繁に行われる状況(例えば、日時、通話相手、通話場所)を導きだし、こうして導き出した状況を「変更要求条件」として品質変更ポリシーテーブル16aに蓄積する。そして、携帯電話装置10は、学習機能によって品質変更ポリシーテーブル16aに蓄積された「変更要求条件」を満たす場合に、対応する変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信する。
このように、通信品質の変更要求が送信された際の状況を記憶しておき、この記憶された状況にあるか否かによって通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定するので、以前に通信品質の変更要求が送信された状況と同じ状況下であれば自動的に通信品質の変更要求を送信するようにすることができ、利用者による意識なしで(一切の操作無しで)通信品質の変更要求を行うことが可能になる。また、通信品質の変更要求が送信された際の状況が自動的に蓄積されるので、通信品質を変更すべき状況を予め設定する作業も不要になり、一層簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
(8)通話開始前の品質変更判定
また、上記の実施例では、通話開始後に品質変更判定を行う場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、通話開始前に品質変更判定を行うことで、通話要求に併せて品質変更要求を行うようにしてもよい。
すなわち、図19は、通話開始前に品質変更判定を行う実施例を説明するための図である。この場合には、同図に示すように、発側の携帯電話装置10では、通話開始前に、通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定する(同図の(1)参照)。具体的に例を挙げれば、品質変更ポリシーテーブル16aに記憶された「発汗量(水分センサの値)が所定値以上」、「装置が叩かれたこと」、「所定の場所(例えば地下)に居ること」などの変更要求条件を満たすか否かを通話開始前に判定する。
その上で、携帯電話装置10は、変更要求条件を満たす場合に、品質変更要求(変更要求内容)を通話要求とともにネットワーク1に送出する(同図の(2)参照)。一方、かかる品質変更要求を受け付けた通信品質変更サーバ30は、通話開始前に、ネットワーク1に対して通信品質の変更を指示する(同図の(3)参照)。具体的には、通信品質変更サーバ30は、通話要求に基づいて通常通り着側の携帯電話装置20と接続された場合を仮定し、音声品質に影響を与える通信因子(基地局や経路など)について、かかる仮定下の通話で用いられる通信因子の情報、並びに、その仮定下から変更可能な通信因子の情報を取得した後、かかる仮定下からの変更内容を決定して品質変更指示をネットワーク1に対して送出する。
その後、かかる品質変更指示を受け取ったネットワーク1は、品質変更指示に含まれる変更内容に従って、通常よりも異なる基地局や経路を選択して、携帯電話装置10と携帯電話装置20との間で開始される通信品質を通常よりも異なる通信品質に変更する(同図の(4)参照)。すなわち、ネットワーク1は、着側の携帯電話装置20に対して呼び出し要求を行い、かかる呼び出し要求に対して着側の携帯電話装置20が応答した場合に、携帯電話装置10と携帯電話装置20との間で回線を接続して、通常よりも異なる通信品質で通話可能な状態にする(同図の(5)参照)。
このように、通信開始前に通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、通信開始前に通信品質の変更要求を送信するので、通信開始前に通信品質の変更要求を受け付ける通信品質変更サーバ30を採用するような場合でも、利用者は通信開始前に特別な操作を行うことなく、簡易に通信品質の変更要求を行うことが可能になる。なお、通信品質変更サーバ30が、通話開始前および通話開始後のいずれにおいても通信品質の変更要求を受け付けるようにしてもよく、同様に、携帯電話装置10が、通話開始前および通話開始後のいずれにおいても通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、通信開始前および通話開始後のいずれにおいても品質変更要求を行うようにしてもよい。
(9)複数回の品質変更要求
また、上記の実施例では、品質変更要求を1回だけ行う場合を説明したが(図10参照)、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、品質変更後に更なる音声品質アップを行うか否かを判定して音声品質アップの品質変更要求を行う、また、品質変更後に通信品質を元に戻すか否かを判定して音声品質を元に戻す品質変更要求を行うなど、通話開始前から通話終了までに複数回に渡って、変更要求判定および品質変更要求を行うようにしてもよい。なお、通信品質変更サーバ30では、携帯電話装置10から品質変更要求を受け付ける度に、対応する品質変更指示をネットワーク1に対して送出する。
このように、通信開始前または通信開始後から継続して通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、通信品質を変更すべき状況にある旨が判定される度に通信品質の変更要求を送信するので、通信開始前または通信開始後から継続して通信品質の変更要求を受け付けるサーバ装置を採用するような場合でも、状況が変化する度に各状況に対応した変更要求が自動的に送信され、利用者の操作負担を一層軽減することが可能になる。
(10)相反する判定結果が得られた場合の優先制御
ところで、上記のように、複数の相反する変更要求内容を品質変更ポリシーテーブル16aに記憶する場合には(例えば、図14参照)、相反する判定結果が求まることもあり得る。例えば、ある変更要求条件「1」を満たすということで音声品質アップの判定結果が求まる一方で、他の変更要求条件「2」を満たすということで音声品質ダウンの判定結果が求まるような場合である。
そこで、複数の相反する変更要求内容を品質変更ポリシーテーブル16aに記憶するような場合には、いずれの変更要求内容(若しくは変更要求条件)を優先すべきか示す優先順位を予め品質変更ポリシーテーブル16aに記憶するようにしてもよい。そして、携帯電話装置10では、変更要求内容が相反する複数の判定結果が得られた場合には、予め定められた優先順位に従って変更要求内容を送信する。すなわち、上記した例で言えば、変更要求条件「1」の方が変更要求条件「2」よりも優先順位が高い場合には、変更要求条件「1」に対応する音声品質アップの変更要求内容を送信する。
このように、変更要求の内容が相反する複数の判定結果が得られた場合には、予め定められた優先順位に従って選択された判定結果に応じた変更要求を送信するので、例えば、携帯電話装置10の状況からは音声品質を上げるべき旨が判定される一方で、利用者のアクションからは音声品質を下げるべき旨が判定されたような場合でも、利用者のアクションによる判定結果を優先するなどして、相反する複数の変更要求が送信される事態を簡易に防止することが可能になる。
(11)品質情報の通知
また、上記の実施例では、携帯電話装置10において、現状の通信品質から変更可能であるか、現状の通信品質がどの程度であるか等の品質情報を把握することなく品質変更要求を行う場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの品質情報を通信品質変更サーバ30から携帯電話装置10に通知することで、これらの品質情報を携帯電話装置10において把握できるようにしてもよい。
すなわち、図20は、品質の変更可否等を通知する実施例において、携帯電話装置に表示される情報の例を示す図である。この場合には、通信品質変更サーバ30は、通話開始前および/または通話開始後に、ネットワーク1から通信因子の情報を収集し、現状の通信品質を相対的に変更し得るか否かを監視して、品質変更可否を携帯電話装置10に通知する。そして、品質変更可否の通知を受けた携帯電話装置10では、同図の(A)や(B)に例示するように、絵文字(音声品質アップか可能である旨を示す「+(プラス)」記号、音声品質ダウンが可能である旨を示す「−(マイナス)」記号)をモニタに表示することによって、品質変更可否を利用者に報知する。
また、通信品質変更サーバ30は、通話開始前および/または通話開始後に、ネットワーク1から通信因子の情報を収集し、現状の通信品質を評価して評価結果(現状の通信品質)を携帯電話装置10に通知する。そして、現状の通信品質について通知を受けた携帯電話装置10では、同図の(C)に例示するように、現状の通信品質が何レベルであるか(例えば、現状の通信品質が高レベル、中レベル、低レベルのいずれにあるか)を示すバーをモニタに表示することによって、現状の通信品質を利用者に報知する。
なお、ここでは、絵文字やバー表示を用いて、品質変更可否や現状通信品質を利用者に報知する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、文字メッセージ、LEDの点灯、音声メッセージなどを用いて現状の通信品質を報知するようにしてもよい。また、通信品質変更サーバ30による品質変更可否や現状通信品質の通知は、1度のみならず所定間隔で行うようにしてもよい。つまり、通信品質が一旦変更された後においても、通信品質可否や現状通信品質を継続して監視して、所定間隔で定期的に品質情報を通知するようにしてもよい。
このように、所定期間における通信品質の変更履歴などだけでなく、現状の通信品質、当該現状の通信品質からの変更可否も通信品質変更サーバ30から携帯電話装置10に通知して利用者に報知するので、利用者は通信品質の変更に係る処理状況などを把握することも可能になる。
(12)他の通信因子
また、上記の実施例では、通信品質変更サーバ30が、通信因子である経路や基地局を制御して音声品質を変更する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図21に示すように、音声品質を変更する上で、帯域、コーデック、優先度など、他の通信因子を制御するようにしてもよい。なお、図21は、複数の通信因子を制御する実施例において、通信品質変更サーバ30の品質ポリシーDBに記憶される情報の例を示す図である。このように、より多数の通信因子を制御するようにすれば、通信品質を一層効率的に変更することが可能になる。
(13)細かな品質変更要求
また、上記の実施例では、単に音声品質について変更要求を行う場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ノイズに係る音声品質(通話音以外に他の音が混入しないこと)、明瞭度に係る音声品質(通話音が高情報量で送られること)、遅延に係る音声品質(通話音が遅れずに届くこと)など、音声品質について細かな変更要求を行うようにしてもよい。
すなわち、図22は、細かな品質変更要求を行う実施例において、通信品質変更サーバ30の品質ポリシーDBに記憶される情報の例を示す図であり、また、図23は、細かな品質変更要求を行う実施例において、携帯電話装置10の品質変更ポリシーテーブルに記憶される情報の例を示す図である。この場合には、図23の(A)および(B)に例示するように、品質変更ポリシーテーブル16aには、「ノイズ、明瞭度、遅延」といった通信品質ごとに、「ノイズ軽減、明瞭度アップ、遅延軽減」といった変更要求内容と、変更要求条件とを対応付けて記憶しており、携帯電話装置10では、変更要求条件を満たす場合に、対応する通信品質の変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信する。
そして、通信品質変更サーバ30では、図22に例示するような品質ポリシーDB32cを参照して、携帯電話装置10から受け付けた変更要求内容に応じた品質変更処理を行う。このように、音声品質について細かな変更要求を行えるようにすれば、利用者に対しても高い満足感を付与することが可能になる。
(14)他の通信サービス
また、上記の実施例では、携帯電話装置間で行われる通話サービスについて通信品質を変更する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図24に示すように、携帯電話装置間で行われるTV電話サービス、固定電話装置間で行われる通話サービス、携帯電話装置と固定電話装置との間で行われる通話サービスなど、あらゆる通信機器に提供されるあらゆる通信サービスについて、通信品質を変更する場合に同様に適用することができる。
すなわち、図24に例示する通信サービスを受ける通信装置(例えば、携帯電話装置のみならず、固定電話装置、IP電話装置、さらには、既知のパーソナルコンピュータ、PDA、情報家電などのクライアント端末など)であれば、本発明に係る通信品質変更手法を、上記した携帯電話装置10と同様に適用することが可能である。なお、図24は、本発明が適用され得る通信サービスの例を示す図である。
(15)他の通信品質
また、図24に例示した各通信サービスにおいて、本発明に係る通信品質変更手法によって品質変更要求が可能な通信品質の種類を説明すると、図25に示すように、例えば、電話(音声通話)サービスでは、接続品質(相手方の通信機器と円滑に回線が接続されるかに係る品質)、音声品質(ノイズ、明瞭度、遅延に係る品質)、安全性(通信内容が漏洩することがないかに係る品質)などについて品質変更要求を行うことができ、また、TV電話サービスや、コンテンツDL(ダウンロード)サービス、放送型配信サービスでも、同図に例示する各品質について品質変更要求を行うことができる。なお、図25は、通信サービスごとに品質変更要求が可能な通信品質の例を示す図である。
すなわち、この場合には、携帯電話装置10などの通信装置では、複数の通信品質ごとに変更要求内容および変更要求条件を規定した品質変更ポリシーテーブル16aを備え、かかる品質変更ポリシーテーブル16aに基づいて各通信品質を変更すべき状況にあるか否か(上記の変更要求条件を満たすか否か)を判定し、所定の変更要求条件を満たす場合には、対応する通信品質の変更要求内容を通信品質変更サーバ30に送信する。
このように、複数の通信品質ごとに各通信品質を変更すべき状況にあるか否かを判定し、所定の通信品質を変更すべき状況にある場合に、当該所定の通信品質について変更要求を送信するので、複数の通信品質(例えば、接続品質、音声品質、画像品質および通信速度など)について変更要求を受け付けるサーバ装置を採用するような場合でも、簡易に各通信品質の変更要求を行うことが可能になる。
(16)他の通信品質における通信因子
さらに、図25に例示した各通信品質において通信品質変更サーバ30によって制御され得る通信因子の種類を説明すると、図26に示すように、例えば、接続品質を変更する場合には、優先度、帯域、サーバ(接続先)を通信因子として制御し、また、音声品質(ノイズ)、音声品質(明瞭度)、音声品質(遅延)、画質(画像サイズ、圧縮レート、サンプリングレート、キャプチャーレート、ストリーミングレートなど)、DL時間(遅延)、安全性、料金(料金の高低、割引など)を変更する場合も、同図に例示する各通信因子を制御する。なお、図26は、通信品質ごとに通信品質変更サーバで制御され得る通信因子の例を示す図である。
(17)固定的な通信要求
また、上記の実施例では、現状の通信品質に対する相対的な変更要求を行う場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、「帯域10Mbps以上、遅延50msec以下」といった固定的な数値で通信品質の変更要求を行う場合にも同様に適用することができる。すなわち、いわゆるQoSやSLAのように、固定的な通信品質変更を行う通信品質変更サーバ30に対しては、携帯電話装置10において、通信品質を所定の状況(固定的な数値で定まる状況)に変更すべき状況にあるか否かを判定し、かかる所定の状況に通信品質を変更するように変更要求を行うようにしてもよい。
(18)他の接続形態
また、上記の実施例では、通信機器が1対1で接続される通信サービスについて本発明を適用する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図27に例示するように、通信機器が1対N(複数)で接続される通信サービス、通信機器がN(複数)対N(複数)で接続される通信サービスであっても本発明を同様に適用することできる。なお、図27は、通信サービスごとに、接続形態の例を示す図である。
ここで、図28を用いて、1対N、並びに、N対Nの接続形態における通信品質制御を説明する。図28は、1対N、並びに、N対Nの接続形態における通信品質制御を説明するための図である。例えば、1対Nの接続態様では、同図の(A)に示すように、N回線(図に示す例では2回線)で通信路が成立し、それぞれの通信路における上り下りを合わせて合計2Nの通信品質(図に示す例では4つの通信品質)が制御対象となり得るので、これらの通信品質のうちのいずれか一つまたは複数を上記した実施例と同様に制御することとなる。
また、各通信機器がメッシュ形式で接続するN対Nの接続態様では、同図の(B)に示すように、N回線(図に示す例では3回線)で通信路が成立し、それぞれの通信路における上り下りを合わせて合計N*(N−1)の通信品質(図に示す例では6つの通信品質)が制御対象となり得るので、これらの通信品質のうちのいずれか一つまたは複数を上記した実施例と同様に制御することとなる。さらに、各通信機器が多地点間通話接続装置(MCU)等を介して接続するN対Nの接続態様では、同図の(C)に示すように、合計2Nの通信品質(図に示す例では6つの通信品質)が制御対象となり得るので、これらの通信品質のうちのいずれか一つまたは複数を上記した実施例と同様に制御することとなる。なお、上記の(B)および(C)の接続態様に代えて、いわゆるマルチキャストツリーによる接続形態(中継網などの一部のリソースを共有し、ユーザ端末である通信機器に近いところでデータをコピーして分配する接続形態)を採用してもよく、この場合にも、各通信機器間の通信路の個数に応じた通信品質が制御対象となる。
(19)システム構成等
また、上記の実施例で説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(特に、図8、図13〜図18、図23に示した情報)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図2に示した通信品質変更サーバ30や図7に示した携帯電話装置10の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、携帯電話装置10や通信品質変更サーバ30の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、例えば、携帯電話装置10における音声通話等制御部14と品質変更制御部17とを統合するなど、その全部または一部を各種の負荷や使用状況などに応じて任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、携帯電話装置10や通信品質変更サーバ30にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
なお、上記の実施例では、本発明を実現する各装置(例えば、携帯電話装置10や20、通信品質変更サーバ30)を機能面から説明したが、各装置の各機能はパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータにプログラムを実行させることによって実現することもできる。すなわち、上記の実施例で説明した各種の処理手順は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータ上で実行することによって実現することができる。そして、これらのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。さらに、これらのプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータ(例えば、携帯電話装置10)によって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。つまり、例を挙げれば、実施例1に示したような携帯電話装置用プログラムや、通信品質変更サーバ用プログラムを格納したCD−ROM(装置ごとに別個のCD−ROMであってもよい)を配布し、このCD−ROMに格納されたプログラムを各コンピュータ(例えば、携帯電話装置10)が読み出して実行するようにしてもよい。