JP4510314B2 - 耐震推進管の継手構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、継手に縮みを発生させる圧縮力の大きさにバラツキが生じないので、継手の性能仕様を容易に確定できる、耐震推進管の継手構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、道路工事による交通障害、掘削土の処理等の問題から非開削による推進工法により管を敷設する必要性が増加している。ダクタイル鋳鉄管で推進工法に広く使用される管は、T形、U形等一般用の継手構造の管であり、継手部分の伸縮性能を確保したいわゆる耐震管についての推進工法は、まだ実施例が少ない。
【0003】
ここで、耐震管の推進工法の一例について、図面を参照しながら簡単に説明する。
【0004】
図2は、耐震管の推進工法によるパイロット孔の掘進方法を示す概略断面図、図3は、耐震管の推進工法による管の引き込み方法を示す概略断面図である。
【0005】
図2に示すように、先ず、管21の敷設に先立ってドリル22によってパイロット孔23を到達坑24から発進坑25に亘って掘削する。このようにして、パイロット孔23を掘削したら、図3に示すように、発進坑25側から管21を順次、接合していく。この際、リーマー26によってパイロット孔23の孔径を拡大しながら、且つ、到達坑24側からガイドロッド27により管21を引っ張ると共に、発進坑25側から管21をジャッキ28により押し込みながら順次、接合していく。
【0006】
一般に、耐震管は、継手を構成する挿口と受口との位置関係が、標準位置にあるときには、管長の±1%程度の伸縮代を確保できるものである。しかし、上述した推進工法により敷設する場合には、後方の管から押し込み力をかけると、挿口と受口との位置関係が縮み側に移動する結果、それ以上の圧縮代が取れなくなって、耐震管としての機能が失われる。
【0007】
このため、押し込み力をかけても所定の圧縮代を確保できる、耐震推進管の継手構造が提案されている。以下、従来の継手構造について、図面を参照しながら説明する。
【0008】
特開平3−39594号公報には、図4に示すように、後行管210からの押し込み力を、先行管29に伝達するために、推進力伝達カラー211を先行管29の受口29Aと後行管210の挿口210Aとの間に挿入して、受口29Aと挿口210Aとを標準位置関係とした状態で推進施工し、完了後、推進力伝達カラー211を取り外す、耐震推進管の継手構造が開示されている。以下、これを従来技術1という。
【0009】
平成10年10月に発行されたダクタイル鉄管、第65号、第62頁には、図5および図6に示すように、推進力伝達リング215を後行管210にボルト216により締め付け、それにより生じる摩擦力により推進施工し、地震等によりこの摩擦力を上回る圧縮力が継手に作用したときに、受口29Aに接触している推進力伝達リング215が圧縮方向にスライドすることによって、挿口210Aの先端が受口29Aに当接するまでの圧縮代を確保する、耐震推進管の継手構造が開示されている。以下、これを従来技術2という。
【0010】
なお、上記従来技術1および2を示す図面において、220は、先行管29の受口29A内に嵌め込まれたロックリング、221は、後行管210の挿口210Aの先端に形成された、ロックリング220と係合する突起、222は、受口29A内に嵌め込まれたシール用ゴム輪である。
【0011】
平成12年5月に発行されたダクタイル鉄管、第68号、第6頁には、図7から図11に示すように、後行管210の挿口210Aに溶接した推進用リング217に、推進力伝達リング218をボルト219により締め付け固定し、継手に過大な圧縮力が作用した場合に、推進力伝達リング218と係合する推進用リング217に突設した係合部材217Aが座屈して、推進力伝達リング218の移動を可能として、圧縮代を確保する、耐震推進管の継手構造が開示されている。
【0012】
即ち、図7に示すように、通常状態では、推進力伝達リング218が先行管29の受口29Aに当接していて、圧縮代(T)が確保されている。管敷設時に引き込み力が作用したとき、または地震時に引っ張り力が作用したときには、図9に示すように、突起221がロックリング220と係合するまで、先行管29が移動するので、推進力伝達リング218は、受口29Aから離れる。継手に過大な圧縮力が作用した場合には、図10、図11に示すように、係合部材217Aが座屈して、圧縮代(T)分の縮みが可能となる。以下、これを従来技術3という。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の耐震推進管継手構造は、以下のような問題を有している。
【0014】
従来技術1は、継手内から推進力伝達カラー211を外すための特殊な治工具を必要とする。
【0015】
従来技術2は、推進力伝達リング215が管をスライドする際に、塗装面を大きく傷付け、管の耐腐食性に影響を及ぼす。
【0016】
従来技術3は、推進用リング217と一体的に設けた係合部材217Aの座屈強度により継手の縮みが開始する圧縮力が決定される。推進用リング217は、管に溶接により固定されるが、溶接時の熱影響により係合部材217Aの機械的特性が変化して座屈強度が変化する。このために、継手に縮みを発生させる圧縮力の大きさにバラツキが生じて、継手の性能仕様を容易に確定できない。
【0017】
また、実物実験を行うと、溶接により固定した推進用リング217と一体の係合部材217Aが破壊してしまうため、その管を再使用するには、溶接個所を取り外さねばならず、手間がかかる作業が必要となる。
【0018】
従って、この発明の目的は、上述の問題点を解決すべくなされたものであって、特殊な治工具を必要とせず、塗装面を大きく傷付けることがなく、しかも、継手に縮みを発生させる圧縮力の大きさにバラツキが生じることがなく、繰り返して実験可能な耐震推進管の継手構造を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、先行管の受口内に設けられたロックリングと、前記先行管に接合される後行管の挿口の先端に形成された、継手に引っ張り力が作用したときに前記ロックリングと係合する突起と、前記挿口に前記突起と間隔をあけて固定された推進用リングと、継手に圧縮力が作用したときに前記受口の端面に当接する推進力伝達リングと、継手に作用する圧縮力を前記推進用リングから受けて前記推進力伝達リングに伝達し、過大な圧縮力が作用した場合に座屈する係合部材とを備え、座屈後の圧縮代を有している、耐震推進管の継手構造において、前記係合部材は、独立していて、一端に前記推進力伝達リングとの係合部を有し、他端に前記推進用リングとの係合部を有していることに特徴を有するものである。
【0021】
請求項2記載の発明は、前記係合部材は、拡縮径自在に形成されていることに特徴を有するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
この発明の耐震推進管継手構造の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、この発明の耐震推進管継手構造を示す断面図である。
【0024】
図1において、1は、受口1Aを有する先行管、2は、挿口2Aを有する後行管、3は、受口1A内に嵌め込まれた拡縮径自在なロックリング、4は、挿口2Aの先端に形成された、継手に引っ張り力が作用したときにロックリング3と係合する突起、5は、受口1A内に嵌め込まれたシール用ゴム輪、6は、挿口2Aに突起4と間隔をあけて溶接により固定された推進用リングである。推進用リング6は、一箇所に欠円部が形成されている。これは、管2の外径は、公差を有しているため欠円部を形成することによって、公差があっても管2に密着させて溶接できるようにするためである。
【0025】
7は、ボルト8により締め付け固定できる機能を有し、継手に圧縮力が作用したときに受口1Aの端面に当接する推進力伝達リングである。9は、一端に推進力伝達リング7との係合部9Aを有し、他端に推進用リング6との係合部9Bを有する係合部材である。係合部材9は、推進用リング6と同様に、欠円部を有している。係合部材9を装着した状態で、挿口2Aの先端と受口1Aとの間に、圧縮代(T)が確保されている。
【0026】
管接合時には、推進用リング6に係合部材9を嵌め込み、係合部材9上に推進力伝達リング7をボルト8により締め付け固定する。係合部材9は、係合部9A、9Bを有しているので、後行管2の押し力を先行管1に伝達できる。この状態で、挿口2Aを受口1A内に挿入すると、突起4がゴム輪5およびロックリング3を押し広げて通過し、いわゆるスリップオン接合により継手が接合する。そして、推進力伝達リング7が受口1Aの端面に当接して、そのまま推進が可能となる。後行管2の押し力は、推進用リング6、係合部材9および推進力伝達リング7を介して受口1Aに伝達される。
【0027】
配管後、地震等により過大な圧縮力が継手に作用した時には、係合部材9の係合部9Aが座屈する結果、圧縮代(T)分だけ管同士1、2が接近して継手の縮みが可能となるので、継手の耐震性が確保される。
【0028】
係合部材9は、上記従来技術3のように、挿口2Aに溶接される推進用リング6と一体的に設けられておらず独立しているので、溶接熱の影響は皆無である。
【0031】
従って、継手に縮みを発生させる圧縮力の大きさにバラツキが生じないので、継手の性能仕様を容易に確定できる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、継手に作用する圧縮力を受口に伝達する係合部材を独立させることにより、係合部材が受ける溶接熱による影響が皆無となる結果、継手に縮みを発生させる圧縮力の大きさにバラツキが生じないので、継手の性能仕様を容易に確定できる利点の他、繰り返して実物実験が可能となるといった有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の耐震推進管継手構造を示す断面図である。
図2】 耐震管の推進工法によるパイロット孔の掘進方法を示す概略断面図である。
図3】 耐震管の推進工法による管の引き込み方法を示す概略断面図である。
図4】 従来技術1を示す断面図である。
図5】 従来技術2を示す断面図である。
図6図5のA−A線断面図である。
図7】 従来技術3の通常状態を示す断面図である。
図8図7のA部詳細図である。
図9】 従来技術3の管引き込み時、伸び時を示す断面図である。
図10】 従来技術3の縮み時を示す断面図である。
図11図10のB部詳細図である。
【符号の説明】
1:先行管
1A:受口
2:後行管
2A:挿口
3:ロックリング
4:突起
5:ゴム輪
6:推進用リング
7:推進力伝達リング
8:ボルト

Claims (2)

  1. 先行管の受口内に設けられたロックリングと、前記先行管に接合される後行管の挿口の先端に形成された、継手に引っ張り力が作用したときに前記ロックリングと係合する突起と、前記挿口に前記突起と間隔をあけて固定された推進用リングと、継手に圧縮力が作用したときに前記受口の端面に当接する推進力伝達リングと、継手に作用する圧縮力を前記推進用リングから受けて前記推進力伝達リングに伝達し、過大な圧縮力が作用した場合に座屈する係合部材とを備え、座屈後の圧縮代を有している、耐震推進管の継手構造において、
    前記係合部材は、独立していて、一端に前記推進力伝達リングとの係合部を有し、他端に前記推進用リングとの係合部を有していることを特徴とする、耐震推進管の継手構造。
  2. 前記係合部材は、拡縮径自在に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の、耐震推進管の継手構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001141151A (ja) * 1999-11-15 2001-05-25 Kubota Corp 耐震機能を有する推進管

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