JP3916411B2 - 推進治具付き推進工法用耐震管継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、推進治具付き推進工法用耐震管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
一方の管の端部に形成された受口の内部に他方の管の端部に形成された挿口が挿入される管継手の一種として、いわゆる耐震構造の管継手がある。
【0003】
これは、受口からの挿口の離脱を防止するとともに、一定範囲内の受口挿口間の伸縮を許容したもので、このような耐震構造の管継手として、たとえば受口の内周にロックリングを装着するとともに、挿口の外周に突部を形成して、この突部が受口の奥側からロックリングに係り合うようにし、ロックリングと突部との間および挿口先端と受口奥端との間にそれぞれ距離をおいて受口に挿口を挿入し接続したものである。
【0004】
このような構成であると、挿口の先端部が受口の奥端部に当たる位置まで受口内への挿口の入り込みが可能であるとともに、挿口の突部が受口のロックリングに係り合うまで受口からの挿口の抜け出しが可能である。すなわち一定範囲の伸縮用空間を有する。
【0005】
ところで、管路の敷設工法の一種として、推進工法がある。これは、たとえば地中での管路の敷設路における第一の位置と、この第一の位置から距離をおいた第二の位置とに、それぞれ地表から発進坑と到達坑とを開削し、発進坑から到達坑に向けて管体を、地中に直接推進させ、または予め地中に掘進させた鞘管や既設の老朽管内に推進させることによって管路を敷設するものである。
【0006】
この推進工法用の管では、その管継手における受口挿口間で管軸方向の推進力が伝達される。
このため、推進工法用管に用いられる管継手としては、たとえば挿口外面にフランジを形成し、受口の内部に挿口を挿入すると共に前記フランジを受口開口端に当接させることで、これら挿口と受口との間で推進力を伝達できるようにしたものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の推進工法によって管路を敷設すると、敷設完了状態においては、推進坑から到達坑まで敷設された管路における複数の管継手のすべてについて、挿口のフランジが受口開口端に当接した状態とならざるを得ない。
【0008】
従って、上述のような管継手では、敷設完了状態時に、挿口の先端が受口の奥端に当たっておらず、しかも挿口の突部が受口のロックリングに係り合っていない状態、すなわち受口奥端とロックリングの両者の中間位置に挿口突部を位置させる状態にすることは出来ず、前述した耐震構造の管継手を有する管路を推進工法で敷設することは実際上不可能であるという問題点がある。
【0009】
そこで本発明は、このような問題点を解決して、耐震構造の管継手を有する管路を推進工法で敷設できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の推進治具付き推進工法用耐震管継手は、挿口先端から受口奥端までの間に押込用空間を残して受口に挿口を挿入した管継手と、受口開口端から前記押込用空間に相当する長さ分以上隔てた挿口外面位置に取り付けられたバンド部材と、該バンド部材から前記受口開口端方向へ伸び、先端が前記受口開口端に掛かり合う推力伝達部材と、前記バンド部材外面に径方向に突出支持され、鞘管内面に沿って摺動または転動する案内部材を備え、前記受口開口端に掛かり合う推力伝達部材の強度が、管の推進力には耐えるが地震時の大きな外力には破壊される強度とされてなるものである。
【0011】
この推進治具付き推進工法用耐震管継手によれば、挿口を受口奥端に例えば管長さの1%に相当する押込用空間を設けて受口に挿入し、この挿口外周に取り付けたバンド部材と受口開口端へと伸びる推力伝達部材とを介して受口と挿口とを接続すれば、案内部材が鞘管内面に接して鞘管との摩擦抵抗を軽減させることも相俟って、推力伝達部材によって推進工法が可能となる。
【0012】
そして、敷設後に地震時など異常外力が加わった時は、バンド部材と受口開口端とを連接している推力伝達部材の掛かり合い部が破壊され、その結果挿口が受口内へ押込用空間分の長さだけ移動可能となるので耐震性が付与される。
【0013】
なお、上記支持脚先端の案内部材としては、ローラまたはソリなどがある。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の推進治具付き推進工法用耐震管継手の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、この発明の実施の形態の推進治具付き推進工法用耐震管継手の側面図、図2は図1のX−X線断面図、図3は図1のA−A部部分拡大断面図である。図1において、2は挿口を示し、推進工法に使用される管1aの一端をなし、他の管1bの他端に形成された受口3に挿入される。
【0016】
挿口2外面と受口3内面との間には図3に示すように、シール用ゴム輪4が収納され、締めつけボルト5Aの締め付けにより、押輪5、割り輪5bを介し圧縮され、挿口2外面と受口3内面との間をシールしている。
【0017】
シール用ゴム輪4より奥方には、バックアップリング7が配設されていると共に、挿口2の先端2aの外周に形成した突部2bと係合して抜け出しを防止するロックリング6が収納溝8に収納されている。
【0018】
また、上記挿口2は受口3内の略中間位置の深さに挿入され、挿口先端2aと受口奥端3aとの間には押込用空間Sが設けられている。
なお、この押込用空間Sを有した挿入深さとするため挿口2の外面には目印(図示せず)などが付される。
【0019】
9はバンド部材を示し挿口2の外周に固定されている。そしてバンド部材9は、図2に示すように半割りの分割金具9aの内面にゴム状弾性を有するシートなどを介挿して、挿口2外周の受口3の開口端3bから挿入用空間S隔たった位置に配置され、分割金具9aの両端に形成した延出片9b、9bにボルトナット9cを締結することにより、固定されている。
【0020】
上記バンド部材9からは径方向に突出する支持脚12、12が複数突設され、この支持脚12より受口開口端3bに伸び先端がL字状に曲折された掛かり合い部10aを有する推力伝達部材10が設けられている。
【0021】
そして、前記掛かり合い部10aの曲げ強度が、鞘管15内における推進工法の管推進力には耐えるが地震時に加わる大きな外力には曲げ破壊される程度の強度とされている。
【0022】
なお、掛かり合い部10aの構造として、推力伝達部材10先端を受口開口端方向へL字状に曲げて形成した場合を示したが、図4(a)に示したように推力伝達部材10先端にブロック片10bをピン10cにより取り付け、ブラケット10dで支えるようにして管の推進力を伝達できるようにしても良い。
【0023】
なお、ブロック片10bをピン10dにより取りつける構造としては、図4(b)に示すように片持軸受け状態とするほか、同図(c)(d)に示すように両軸受け状態のいずれの構造としても良い。
【0024】
さらに、前記支持脚12、12の先端に案内部材としてローラ13が軸支され、摩擦を無くして推進抵抗を低減させると共に、鞘管15内部で推進中に管1a、1aに軸心まわりのローリングが生じても安定した状態で管を推進させることができるようにされている。
【0025】
なお、鞘管15内面に滑らかに接する部材として上記ローラ13に代え、図示は省略するがソリとしても良い。
また、上記実施の形態において、係合突起11及び支持脚12、12などの突出量はできるだけ少なくされ、鞘管内に推進される管の径ができるだけ大きくなるようにされている。
【0026】
次に、この実施の形態の推進治具付き推進工法用耐震管継手の使用状態について説明する。
まず、挿口2を受口3内に挿入し、挿口先端2aと受口奥端3aとの間がSとなるように挿入深さを調節する。
【0027】
次いで、挿口2の外面にバンド部材9を、半割りの分割金具9aの内面にゴム状弾性を有するシートなどを介挿して被せ、推力伝達部材10先端の掛かり合い部10aを受口開口端に当接するように位置合わせした後、耳部9b、9bにボルトナット9cを挿通し締結して固定する。
【0028】
次いで管に推進力を与えて図1に矢印Pで示すように管を推進させる。
このとき、管の推進力は挿口1a外面からバンド部材9、推力伝達部材の掛かり合い部10aを介して受口管1bへ伝達されて管が推進されていく。
【0029】
推力伝達部材10先端の曲げ強度は鞘管15内の推進力に耐え得る強度とされているため、挿口先端2aと受口奥端3aとの間に押込用空間Sが存在していても推進が可能となる。
【0030】
また、バンド部材9には、支持脚12、12の先端にローラ13…13が軸支されているので、鞘管15内面に沿って推進していく場合の推進抵抗が小さくなり、また、推進中に管1a、1aに軸心まわりのローリングが生じても安定した状態で管を推進させることができる。
そして、管敷設後、地震時の大きな外力が加わり管軸方向に矢印Qで示すように圧縮力が作用すると、推力伝達部材10先端部の曲げ強度が上記大きな外力に対しては耐え得ない強度とされているので、この力で破壊され、その結果、図5に示すように押込用空間S分だけ挿口2が移動する。
【0031】
なお、矢印Rで示すように引抜方向への力が加わった場合は、掛かり合い部10aは押輪5に接触し接触圧が破壊強度を超えると図6に示すように掛かり合い部10aが破断されて引き抜き方向への動きが許容される。
【0032】
なお、図4に示すようにピン10cで掛かり合い部10aを形成した場合は、押込方向に対しては図5に示したのと同様ブラケット部10dが破壊されて押込方向へ移動するが、抜け出し方向に対しては図7に示すように自由に回動するので、押輪5に無理な力が加わらない。
【0033】
また、押込用空間Sを持たせるためのバンド部材9は管1外面に取り付けられているので、管敷設後そのまま放置しておいても支障はない。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の推進治具付き推進工法用耐震管継手によれば、パイプインパイプ工法で管を推進させて行く場合、推進工法によるにもかかわらず挿口先端と受口奥端との間に耐震用の隙間を設けて推進させていくことができる。
【0035】
また、バンド部材の支持脚には、ローラなどの案内部材が設けられているので、推進抵抗も少なく、また、鞘管内の推進中に管に軸心まわりのローリングが生じても安定した状態で管を推進させることができ、推進工法が容易に実施できるといった効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態の推進治具付き推進工法用耐震管継手の側面図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】図1のA‐A線部分の拡大断面図である。
【図4】実施形態の掛かり合い部の他の構成例の説明図で、(a)は掛かり合い部の拡大断面図、(b)は掛かり合い部の他の構成例の斜視図、(c)(d)はさらに他の構成例の斜視図である。
【図5】実施の形態の作動説明図で、継手部の収縮変化を示す側面図である。
【図6】実施の形態の作動説明図で、継手部の伸長変化を示す側面図である。
【図7】他の構成例における掛かり合い部の伸長変化を示す側面図である。
【符号の説明】
1a 挿口側管
1b 受口側管
2 挿口
3 受口
4 シール用ゴム輪
5 押し輪
6 ロックリング
8 ロックリング収納溝
9 バンド部材
10 推力伝達部材
10a 掛かり合い部
12 支持脚
13 ローラ
15 鞘管

Claims (1)

  1. 挿口先端から受口奥端までの間に押込用空間を残して受口に挿口を挿入した管継手と、受口開口端から前記押込用空間に相当する長さ分以上隔てた挿口外面位置に取り付けられたバンド部材と、該バンド部材から前記受口開口端方向へ伸び、先端が前記受口開口端に掛かり合う推力伝達部材と、前記バンド部材外面に径方向に突出支持され、鞘管内面に沿って摺動または転動する案内部材を備え、前記受口開口端に掛かり合う推力伝達部材の強度が、管の推進力には耐えるが地震時の大きな外力には破壊される強度とされてなる推進治具付き推進工法用耐震管継手。
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