JP3758918B2 - 推進治具付き耐震推進工法用管継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、推進治具付き耐震推進工法用管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
一方の管の端部に形成された受口の内部に他方の管の端部に形成された挿口が挿入される管継手の一種として、いわゆる耐震構造の管継手がある。これは、受口からの挿口の離脱を防止するとともに、一定範囲内の受口挿口間の伸縮を許容したものである。このような耐震構造の管継手として、たとえば受口の内周にロックリングを装着するとともに、挿口の外周に突部を形成して、この突部が受口の奥側からロックリングに係り合うように構成され、また、ロックリングから距離をおいた位置に受口の奥端部が形成されたものがある。このような構成であると、挿口の先端部が受口の奥端部に当たる位置まで受口内への挿口の入り込みが可能であるとともに、挿口の突部が受口のロックリングに係り合うまで受口からの挿口の抜け出しが可能である。すなわち一定範囲の伸縮しろを有する。
【0003】
また、管路の敷設工法の一種として、推進工法がある。これは、たとえば地中での管路の敷設路における第1の位置と、この第1の位置から距離をおいた第2の位置とに対応して、それぞれ地表から発進坑と到達坑とを開削し、発進坑から到達坑に向けて管体を地中に推進させることによって管路を敷設するものである。この推進工法用の管では、その管継手における受口挿口間で管軸方向の推進力が伝達される。このために、推進工法用管に用いられる管継手として、たとえば挿口を受口の内部に奥深く挿入して、その先端面を受口の奥端面に当てることで、これら挿口の先端面と受口の奥端面との間で推進力を伝達できるようにしたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような耐震構造の管継手では、その性質上すなわち伸縮を行う必要上、敷設完了状態においては、挿口の先端が受口の奥端に当たっておらず、しかも挿口の突部が受口のロックリングに係り合っていない状態、すなわち両者の中間位置における中立の状態になければならない。
【0005】
ところが、上述の推進工法によって管路を敷設すると、敷設完了状態においては、それまでの推進工事において推進力の伝達が行われていたために、推進坑から到達坑まで敷設された管路における複数の管継手のすべてについて、挿口が受口内にいっぱいに入り込んだ状態とならざるを得ない。
したがって、耐震構造の管継手を有する管路を推進工法で敷設することは実際上不可能であるという問題点がある。
【0006】
そこで本発明は、このような問題点を解決して、耐震構造の管継手を有する管路を推進工法で敷設できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の推進治具付き耐震推進工法用管継手は、受口に、該受口奥端まで先端を突き付けることなく挿口を挿入した管継手と、管の推進力には耐えるが地震時の大きな外力には滑る程度の摩擦力で前記挿口近傍の管外周および前記受口近傍の管外周に取付られるバンド部材と、該バンド部材間に推進力を伝達するため架設される二本以上のロッドと、前記バンド部材外面に径方向に突出された複数本の支持脚と、該支持脚先端に設けられた鞘管内面に沿って摺動または転動する案内部材を設けたものである。
【0008】
この推進治具付き耐震推進工法用管継手によれば受口奥端に例えば、管長さの1%に相当する隙間を設けて挿口管を挿入し、この挿口管と受口管との外周にバンド部材を、管の推進力には耐えるが地震時の大きな外力には滑る程度の摩擦力で取付けその間にロッドを架設すれば、通常の推進工法の場合はバンド部材とロッドを介して推進力が伝達され、かつ支持脚部材先端の案内部材が鞘管内面に接して抵抗なく移動させるので推進工法の動力が軽減化され、また、敷設後に地震時など異常外力が加わった時は、挿口外周、受口外周のいずれかのバンド部材が滑り、その結果挿口が受口内に移動可能となるので耐震性が付与される。
【0009】
なお、上記支持脚先端の案内部材としては、ローラまたはソリなどがある。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の推進治具付き耐震推進工法用管継手の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の実施の形態の推進治具付き耐震推進工法用管継手の側面図、図2は図1のX−X線断面図である。
【0011】
図1において、2は挿口を示し、推進工法に使用される管1aの一端をなし、他の管1bの他端に形成された受口3に挿入される。
挿口2外面と受口2内面との間にはシール用ゴム輪4が収納され、押し輪5で圧縮することによりシールされている。
シール用ゴム輪4より奥方には、挿口2の先端2aの外周に形成した突部2bと係合して抜け出しを防止するロックリング6が収納溝8に収納されている。
【0012】
また、上記挿口2は受口内の略中間位置の深さに挿入され、挿口先端2aと受口奥端3aとの間には隙間Sが設けられている。
なお、この隙間Sを有した挿入深さとするため挿口2の外面には目印2cなどが付される。
9はバンド部材を示し管1a、1bの外周に固定されている。
【0013】
このバンド部材9は、図2に示すように半割りの分割金具9aの内面にゴム状弾性を有するシートなどを介挿して管1a、1b外周に配置され、分割金具9aの両端に形成した延出片9c、9cにボルトナット9dを締結することにより挿口管1a、受口管1bの外周に固定されている。
そして、上記バンド部材9の管外周に対する締付け固定強度は、鞘管15内における推進工法の管推進力には耐えるが地震時に加わる大きな外力には滑り移動する程度の締付け強度とされ、この締付け強度の調節はボルトナット9dの締め付け力の調整によって行なわれる。
【0014】
例えば、鞘管15内の推進工法の管推進力の大略2倍の推力までは滑らず、それ以上の力では滑る締付け力とされ、径φ250mmの管で50m推進する場合、約10kN(約1トン)の推力を必要とするが、この場合のバンド部材9、9の締付け力による固定強度は略20kN(約2トン)の推力まで滑らない強度とされている。
【0015】
また、上記バンド部材9、9の外面には、推力伝達用のロッド10、10を架設するための係合突起11、11が突設されている。
この係合突起11、11は対向板11aと、この対向板11aを支持するブラケット板11b、11bとからなり、二つのバンド部材9、9を管1a、1bに取り付けた時互いに対向する対向板11a、11aの対向面にロッド10、10の端部を受容する貫通孔11c、11cが形成されている。
【0016】
ロッド10、10は、その端部10a、10aが貫通孔11c、11cに挿入できる外径とされているとともに、鍔10b、10bが設けれられ、この鍔10b、10bが貫通孔11c周囲の対向板11a表面に当接することによって推進力を伝達出来るようにされている。
さらに、バンド部材9、9の外周には、径方向に突出する支持脚12、12が複数突設され、その先端に案内部材としてローラ13が軸支され、推進抵抗を低減させると共に、鞘管15内部で推進中に管1a、1aに軸心まわりのローリングが生じても安定した状態で管を推進させることができるようにされている。
【0017】
なお、支持脚12、12先端部材として、上記ローラ13に代え図3に示すようにソリ14を取付けても良い。
この場合、ソリ14は、管軸方向に沿った平滑面14aを有し、両端14bは湾曲され、鞘管15内面に滑らかに接するようにされている。
また、上記実施の形態において、係合突起11及び支持脚12、12などの突出量はできるだけ少なくされ、鞘管内に推進される管の径ができるだけ大きくなるようにされている。
【0018】
次に、この実施の形態の推進治具付き耐震推進工法用管継手の使用状態について説明する。
まず、挿口2を受口3内に挿入し、挿入深さを目印2Cで調節する。
次いで、受口を有する管1bの外周にバンド部材9の一方を、半割りの分割金具9aの内面にゴム状弾性を有するシートなどを介挿して被せ、ボルトナット9dを締結して取付け、次いで他方のバンド部材9を、ロッド10の鍔11b、11b間の長さにあわせて他方の挿口管1aの外周に同様に取付け、ボルトナット9dの締付け力を推進力では滑らないがそれ以上の外力の場合には滑り移動する強さとなるよう締付ける。
【0019】
次いで管に推進力を与えて図1に矢印で示すように管を推進させる。
このとき、管の推進力は挿口管1a外面からバンド部材9、係合突起11、ロッド10、係合突起11、バンド部材9を介して受口管1bへ伝達されて管が推進されていく。
バンド部材9の挿口管1aへの取付強度は鞘管15内の推進力に耐え得る強度とされているため、挿口先端2aと受口奥端3aとの間に隙間Sが存在していても推進が可能となる。
【0020】
また、バンド部材9には、支持脚12、12の先端にローラ13…13が軸支されているので、鞘管15内面に沿って推進していく場合の推進抵抗が小さくなり、また、推進中に管1a、1aに軸心まわりのローリングが生じても安定した状態で管を推進させることができる。
さらに、推力を伝達するロッド10は鍔10bでバンド部材9を押すだけで、牽引は不可能な状態に架設介挿されるので図4に示すように交叉角θを有して湾曲する鞘管15の湾曲部に推進管1が差し掛かった場合、湾曲部外側に位置するロッド10は、鍔10bが係合突起11の対抗板11aより離れ、湾曲部内側に位置するロッド10で推力を伝達していくので、挿口2と受口3の軸線が屈曲するのを妨げることなく推進していことが可能となる。従って、鞘管15が湾曲していても管の推進が円滑に行なえる。
【0021】
そして、管敷設後、地震時の大きな外力が加わり管軸方向に圧縮力が作用した場合、バンド部材9の取付強度は上記大きな外力に対しては耐え得ない強度とされているので、バンド部材9は挿口側の管1a外面を滑り、その結果、図5に示すように隙間S分だけ挿口2が移動し、耐震性が発揮される。
なお、ロッド10は引抜方向には抵抗しないため、引抜方向外力に対しては、図6に示すようにロックリング6に挿口突部1Bが当接するまで相対移動できる。また、このときはロッド10の鍔10bと係合突起11の対向板11aとの間に隙間10cができる。
【0022】
以上説明したように、上記推進治具付き耐震推進工法用管継手によれば、推進管の継手部に縮小方向の移動余裕を持たせて管を敷設できる。また、隙間Sを持たせるためのバンド部材9、9は管1外面に取り付けられているので、管敷設後そのまま放置しておいても支障はない。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の推進治具付き耐震推進工法用管継手によれば、パイプインパイプ工法で管を推進させて行く場合、推進工法によるにもかかわらず挿口先端と受口奥端との間に耐震用の隙間を設けて推進させていくことができる。
【0024】
また、鞘管内の推進工法を実施している場合、鞘管に湾曲部があっても新規管はその湾曲部に沿って無理なく推進できる。
また、バンド部材の支持脚には、ローラ、ソリなどの案内部材が設けられているので、推進抵抗も少なく、また、鞘管内の推進中に管に軸心まわりのローリングが生じても安定した状態で管を推進させることができ、推進工法が容易に実施できるといった効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の要部断面図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】実施の形態の他の構成例の要部断面図である。
【図4】実施の形態の作動説明図で、曲管部の通過状態を示す平面図である。
【図5】実施の形態の作動説明図で、継手部の収縮変化を示す側面図である。
【図6】実施の形態の作動説明図で、継手部の伸長変化を示す側面図である。
【符号の説明】
1 挿口
1a 挿口側管
1b 受口側管
2 挿口
3 受口
4 シール用ゴム輪
5 押し輪
6 ロックリング
8 ロックリング収納溝
9 バンド部材
10 ロッド
11 係合突起
12 支持脚
13 ローラ
14 ソリ
15 鞘管
Claims (1)
- 受口に、該受口奥端まで先端を突き付けることなく挿口を挿入した管継手と、管の推進力には耐えるが地震時の大きな外力には滑る程度の摩擦力で前記挿口近傍の管外周および前記受口近傍の管外周に取付られるバンド部材と、該バンド部材間に推進力を伝達するため架設される二本以上のロッドと、前記バンド部材外面に径方向に突出された複数本の支持脚と、該支持脚先端に設けられた鞘管内面に沿って摺動または転動する案内部材を設けた推進治具付き耐震推進工法用管継手。
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