以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
以下に説明する実施の形態では、生体情報の一例として顔画像による照合を行う個人認証装置としての顔画像照合装置、及び個人認証方法としての顔画像照合方法について説明する。なお、以下に説明する生体照合としての顔画像を用いた個人認証装置としての顔画像照合装置は、顔画像以外の生体情報を用いて生体照合を行う装置にも適用できる。
図1、及び図2は、顔画像照合装置のユーザインターフェース部10の外観構成例を示す正面図である。
図1に示す顔画像照合装置の構成例では、ユーザインターフェース部10に、表示手段としての表示部1、及び撮影手段としてのカメラ2が設けられている。また、図2に示す顔画像照合装置の構成例では、ユーザインターフェース部10に、表示手段としての表示部1、撮影手段としてのカメラ2、及び情報入力手段としての操作部5が設けられている。なお、図1及び図2に示すユーザインターフェース部10の構成例では、照明を設けていないが、当該装置の設置位置が暗い場合などには照合対象者の顔を照明する光源を設けるようにしても良い。
上記表示部1は、上記カメラ2が撮影中の画像を表示したり、及び利用者に対する案内などを表示したりする。上記カメラ2は、静止画像、動画像あるいは連続画像を撮影するものである。このカメラ2は、上記表示部1の下方に設けられ、上記表示部1を目視している利用者の少なくとも顔を含む領域の画像(以下、顔画像という)をやや顔の下側から撮影するようになっている。
また、図2に示す顔画像照合装置では、表示部1、及びカメラ2に加えて、情報入力手段としての操作部5が設けられている。図2に示す構成例では、上記操作部5はテンキーなどで構成される。上記操作部5は、例えば、利用者が個人を特定するために各利用者に与えられている識別情報としてのID番号、あるいはパスワードなどの記憶情報を入力するものである。また、図1に示す顔画像照合装置にも、ID番号やパスワードなどの記憶情報を入力する情報入力手段が設けられる。例えば、図1に示す顔画像照合装置は、表示部1が操作部(情報入力手段)としてのタッチパネル内蔵の表示装置により構成される。
図3、図4は、顔画像照合装置の設置例を示す側面図である。
図3は、壁掛けタイプのユーザインターフェース部10を有する顔画像照合装置の設置例を示す側面図である。図3では、図1あるいは図2に示すように構成されたユーザインターフェース部10が壁に掛けて設置されている。このユーザインターフェース部10の正面に立つ利用者Hの顔は、下方からカメラ2によって撮影されるようになっている。なお、図3に示す設置例では、ユーザインターフェース部10が図示しないケーブルにより図示しない処理部に接続されている。
図4は、据え置きタイプのユーザインターフェース部10を有する顔画像照合装置の設置例を示す側面図である。図4では、ユーザインターフェース部10の正面に立った利用者Hに対して斜め下方にカメラ2が設置される。これにより、利用者Hは、カメラ2を上から覗き込むようになっている。また、図4に示す設置例では、図1あるいは図2に示すように構成される顔画像照合装置のユーザインターフェース部10がケーブル11で接続される処理部12に接続されている。
図5は、顔画像照合装置の制御系統としての全体構成を示す図である。
図5に示すように、顔画像照合装置の処理部12は、処理プロセッサ21、ワークメモリ22、プログラムメモリ23、画像メモリ24、キャプチャボード25、表示制御部26、及び記憶装置インターフェース27を有している。
上記処理プロセッサ21は、顔画像照合装置全体の制御を行う。また、上記処理プロセッサ21は、図1あるいは図2に示すユーザインターフェース部10に設けられる表示部1及びカメラ2等が接続され、これらの制御を行うようになっている。また、上記操作部5は、処理プロセッサ21に接続される。上記操作部5で入力された情報は処理プロセッサ21に供給されるようになっている。
上記ワークメモリ22は、処理中の画像などを一時的に記憶するメモリである。上記プログラムメモリ23は、上記処理プロセッサ21により実行される制御プログラムなどが記憶されるメモリである。例えば、上記処理プロセッサ21は、上記プログラムメモリ23に記憶されている制御プログラムに基づいて上記カメラ2に対して制御信号を送って上記カメラ2から顔画像データを取り込む制御を行う。
また、上記処理プロセッサ21は、上記プログラムメモリ23に記憶されている制御プログラムに基づいて、上記カメラ2から取り込んだ顔画像データに対してワークメモリ22を使いながら顔画像データに対する画像処理(画像処理手段)、顔画像データによる登録処理(登録手段)、及び顔画像データによる顔照合処理(生体照合手段)などを行う機能を有している。また、上記処理プロセッサ21は、上記プログラムメモリ23に記憶されている制御プログラムに基づいて上記操作部5により入力された情報と記憶情報との記憶情報の照合処理(情報照合手段)を有している。さらに、上記処理プロセッサ21は、後で詳細に説明するように、上記顔照合処理の処理結果と記憶情報の照合処理の処理結果とを組み合わせて個人認証処理(認証手段)を有している。
上記画像メモリ24は、画像データを記憶するメモリである。この画像メモリ24は、例えば、カメラ2で撮影され、上記キャプチャボード25を介して処理部12内に供給された顔画像を記憶する。上記キャプチャボード25は、上記カメラ2で撮影された画像を処理部12内に取り込む際のインターフェースである。
上記表示制御部26は、表示部(ディスプレイ)1の表示画面を制御するものである。なお、上記表示部1をタッチパネル内蔵の表示装置で構成する場合、上記表示制御部26は、表示部1に表示する表示画面を制御するとともに、タッチパネルによりユーザが入力した内容を上記処理プロセッサ21へ供給する機能を有するものとなる。
上記キャプチャボード25は、ビデオ信号(アナログデータ)をディジタルデータに変換し(A/D変換)、画像メモリ24に送る(バッファリング)。これにより、画像メモリ24に蓄積された画像データに対しては、処理プロセッサ21がワークメモリ22を使いながら、画像データを順次取り込んで種々の処理を行う。また、上記カメラ2がUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)インターフェースを備えている場合、上記キャプチャボード25には、A/D変換回路が不要であり、USBインターフェースを持たせればよい。また、上記カメラ2がIEEE1394などの他のディジタルインターフェースを備えている場合も同様に、上記キャプチャボード25には、対応するインターフェースをもたせればよい。
なお、以下の説明では、上記カメラ2は、例えば、CCDまたはCMOSイメージセンサを用いたモノクロのビデオカメラを使用するものとするが、上記カメラ2としては、カラーカメラを用いるようにしても良い。この場合、上記キャプチャボード25には、カラーカメラが撮影したカラー画像からモノクロ画像に変換する処理が追加される。
また、後述する登録処理や照合処理においては、1枚の顔画像(静止画)を処理対象とする方法と入力条件の変動を考慮して複数枚の画像を処理対象とする方法があるが、このような処理は、例えば、上記非特許文献文献1や非特許文献2に示されている従来の方法が適用できる。なお、以下では、1枚の顔画像(静止画)を処理対象とする場合を想定して説明するものとするが、複数枚の画像を処理対象とする場合は一定時間間隔で顔画像(動画像)を取込んで上記キャプチャボード25の画像メモリにバッファリングを行えばよい。
また、上記記憶装置インターフェース27は、ハードディスクドライブなどにより構成される辞書としての記憶装置28に接続される。上記記憶装置(以下、単に辞書とも称する)28は、各個人(登録者)ごとに照合用の生体情報としての顔画像データ(顔画像全体や顔の特徴量としての顔の特徴パターン等)、及び顔画像以外のユーザ情報(ID番号やパスワード等)などが記憶されるものである。すなわち、上記辞書28には、顔画像全体、顔の特徴パターン、ID番号、認証情報(パスワード等)、その他のユーザ情報などが後述する登録処理により登録される。なお、以下の説明では、辞書28に登録される各登録者の顔画像データを辞書パターンとも称するものとする。
また、当該顔画像照合装置が通行制御装置として利用される場合、図5に示すように、処理部12には、ドア開閉機構32を制御するドア制御部31が設けられる。ドア開閉機構32は、入退出管理の対象となる部屋、フロア、建物などのドアの開閉あるいはドアの施錠を開閉する機構である。この場合、上記処理部12は、上記ドア制御部31により生体照合としての顔照合を用いた個人認証の結果に基づいてドアの開閉を制御する。このように、本顔画像照合装置は、ドアの開閉を制御する入退出管理システムに適用することが可能である。
また、当該顔画像照合装置は端末装置のアクセス管理を行うアクセス管理装置としても利用可能である。この場合、処理部12には、端末装置へのアクセスを制御するアクセス制御部(図示しない)が設けられ、上記アクセス制御部により生体照合としての顔照合を用いた個人認証の結果に基づいて端末装置へのアクセスを制御するようにすれば良い。
次に、上記のように構成される顔画像照合装置の基本的な処理の流れについて説明する。
まず、上記カメラ2にて撮影した顔画像に対する画像処理(前処理)の流れについて説明する。
図6は、上記カメラ2にて撮影した顔画像に対する画像処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図6に示す画像処理は、上記カメラ2にて撮影した顔画像を照合用の顔画像あるいは登録用の顔画像にするための前処理である。また、図6に示す前処理は、主に上記処理プロセッサ21により実現される処理である。
すなわち、顔画像照合装置では、処理プロセッサ21の制御によりカメラ2がユーザの顔画像を撮影し、その撮影した顔画像をキャプチャボード25によって取り込む(ステップS1)。上記カメラ2にて撮影した顔画像を取り込むと、上記処理プロセッサ21は、上記カメラ2にて撮影した顔画像に対する前処理を行う(ステップS2〜S6)。
この前処理において、上記処理プロセッサ21は、まず、上記カメラ2から取り込んだ画像全体から顔画像の領域を探索する(ステップS2)。この際、顔画像の領域が検出できなった場合、上記処理プロセッサ21は、顔画像の取り込み処理へ戻り、再度、顔画像領域の検出処理を行う。上記カメラ2にて撮影した画像から顔画像領域を検出すると、処理プロセッサ21は、検出した顔画像領域から特徴点の抽出処理を行う(ステップS3)。この特徴点の抽出処理は、例えば、検出された顔画像領域内において、例えば、ほぼ円形領域とみなせる瞳領域と鼻孔領域を検出し、これらの検出した領域の中心位置を顔画像の特徴点として抽出する処理である。
上記特徴点を抽出すると、上記処理プロセッサ21は、順番に特徴点の位置を基準とした照合領域の切出しを行う(ステップS4)。これにより照合領域を切り出すと、上記処理プロセッサ21は、照合領域に対して幾何補正による大きさの正規化を行う(ステップS5)。上記照合領域に対して大きさの正規化を行うと、上記処理プロセッサ21は、さらに、照合領域に対して濃度補正による濃度分布の正規化を行う(ステップS6)。
以上の処理が上記カメラ2にて撮影した顔画像に対する前処理である。この前処理で得られた顔画像は、照合処理あるいは登録処理に用いられる。図7は、図6に示すような前処理が施された顔画像の例である。図7に示すように、前処理が施された顔画像は、Nプロック×Mブロックで構成され、特徴点としての両目と両鼻孔の中心点を基準として正規化される。なお、上述した前処理は、例えば、上記非特許文献1で述べられている従来の方法を用いて実現することが可能である。
次に、上記顔画像照合装置における顔画像を含む登録者情報の登録処理の基本的な流れについて説明する。
図8は、基本的な登録処理の流れを示すフローチャートである。図8に示す顔画像の登録処理は、上記カメラ2にて撮影した顔画像と顔画像以外のユーザ情報とを上記辞書28に登録者情報として登録する処理である。また、図8に示す登録処理は、主に上記処理プロセッサ21により実現される処理である。
すなわち、登録処理を行う場合、上記処理プロセッサ21は、管理者などの操作員あるいは登録者自身に対して操作部5による登録者のID情報(各登録者に固有なユーザID番号、登録者が属する所属先などを示すグループ番号)と登録者の顔画像以外の認証情報(パスワードや暗証番号等)との入力を要求する(ステップS11)。また、登録者名や登録者の所属などのID情報及び認証情報以外のユーザ情報も上記ステップS11にて入力される。
ここでは、上記ステップS11で入力される登録者のID情報は装置の管理者側が提供し、パスワードや暗証番号は登録者が自由に設定可能とするようになっているものとする。上記ID情報の構成例及び上記認証情報の構成例については、後で詳細に説明するが、ここでは、各登録者に固有なユーザID番号、登録者が属する所属先などを示すグループ番号、および、ユーザが自由に設定できるパスワードや暗証番号などをまとめて「記憶情報」と呼ぶことにする。
上記操作部5によりID情報及び認証情報が入力されると、上記処理プロセッサ21は、当該登録者の顔画像の取り込み処理を行う(ステップS12)。この顔画像の取り込み処理では、処理プロセッサ21の制御によりカメラ2がユーザの顔画像を撮影し、その撮影した画像をキャプチャボード25によって取り込む。上記カメラ2にて撮影した顔画像を取り込むと、処理プロセッサ21は、上記カメラ2から取り込んだ画像に対して上述した前処理を実行する(ステップS13)。この前処理により登録用の顔画像が作成される。
上記前処理により登録用の顔画像を作成すると、上記処理プロセッサ21は、作成した登録用の顔画像を、上記ステップS11で入力したID情報及び認証情報と対応させて上記辞書28に登録する(ステップS14)。この際、上記ID情報及び認証情報以外のユーザ情報も上記辞書28に登録される。
以上の処理により、登録者1人分の登録処理が完了し、上記の登録処理を各登録者分行うことにより複数の個人情報が辞書28に登録されるようになっている。
以下、上記のように構成される顔画像照合装置に適用される第1〜第6の実施の形態について説明する。
以下に説明する第1〜第6の実施の形態は、図9に示すように、生体情報(顔画像)による生体照合(顔照合)の結果と、その生体情報以外の認証情報による照合結果とを組み合わせて個人認証を行うものである。すなわち、第1〜第6の実施の形態では、生体情報による生体照合の結果を主とし、その生体情報以外の認証情報による照合結果を副として、生体照合の結果を認証情報による照合結果で補うようにしたものである。これにより、第1〜第6の実施の形態では、生体照合とその生体照合以外の認証情報による照合との組み合わせによってトータルで一定のセキュリティレベルを保つことができる個人認証を実現するものである。
すなわち、従来の生体照合装置では生体照合の結果としての照合値が所定のしきい値以上であるか否かにより個人認証を行うようになっているが、第1〜第6の実施の形態では、生体情報による照合結果としての照合値に対するしきい値を、記憶情報の複雑さや量に基づいて制御するという考え方の本人確認方法を提供するものである。このような方法によれば、生体情報の照合値が比較的低い場合、本人固有の属性情報や記憶情報などを相対的に多く入力することにより生体照合装置(システム)全体としてのセキュリティレベルを一定に高く保つことが可能となる。
なお、上記の考え方は、生体情報による照合結果と記憶情報(テンキーやボタン、タッチパネルなどから入力可能な情報)による照合結果の組み合わせに限定されるものではなく、生体照合の結果とIDカードなどの所持物に記録されている情報(IDカードリーダなど専用のリーダから入力される情報)による照合結果と組み合わせて実現することも可能である。また、第1の生体情報による照合結果と第1の生体情報とは異なる第2の生体情報による照合結果とを組み合わせて実現することも可能である。さらには、生体情報による照合結果を主として、記憶情報による照合結果と所持物に記録されている情報による照合結果との3つを組み合わせて実施することもできる。
なお、後述する第1〜第6の実施の形態では、主となる生体情報としてはカメラにて撮影される顔画像を用い、副となる認証情報としてはID番号やパスワードなどの記憶情報を採用するものとして説明する。
また、生体情報による照合処理としては、1人の生体情報と辞書28に登録されている1人の登録者の生体情報とを照合する1対1照合と、1人の生体情報と辞書28に登録されている全ての登録者の生体情報とを照合する1対N(Nは辞書28に登録されている登録者の数)照合とがあり、さらには、1人の生体情報と特定のグループに属する登録者の生体情報とを照合する1対グループ照合もある。1対1照合ではユーザID番号により特定される登録者との照合処理を行い、1対グループ照合ではグループ番号により特定されるグループの登録者との照合処理を行うようになっている。なお、以下に説明する第1〜第6の実施の形態では、少なくとも最初に1対N照合による生体照合が行われるものとする。
まず、第1の実施の形態について説明する。
この第1の実施の形態では、生体情報の1対N照合で得られた最大照合値が所定のしきい値(生体照合に対する認証しきい値)以上でなかった場合、つまり、1対N照合の最大照合値が認証しきい値未満(本人拒否)となった場合、1対N照合で得られた最大照合値に応じたレベル(入力情報の量や複雑さ)の認証情報の照合により個人認証を行うものである。
この第1の実施の形態では、図6に示すような登録処理において、正規化された顔画像(生体情報)が登録者の記憶情報(ID情報及び認証情報)とともに辞書28に登録されているものとする。また、上記辞書28に登録される記憶情報は、いくつかの種類の情報からなるものとする。例えば、記憶情報としては、ユーザID番号やグループ番号などの他に、ユーザが自由に設定できるパスワード(複数可)などが考えられる。
以下に説明する第1の実施の形態では、登録者のユーザID番号、登録者が所属する組織または団体などのグループのID番号(グループ番号)、第1パスワード、第2パスワードの合計4つの種類の情報が1人の登録者に対する記憶情報として辞書28に登録されるものとする。
また、上記した4つの情報は、グループ番号、ユーザID番号、第1パスワード、第2パスワードの順に、入力情報の量や複雑さが増すように設定されているものとする。上記記憶情報は、例えば、図10に示すように、グループ番号+ユーザ固有の番号によりユーザID番号が構成され、第1パスワード+第2パスワードによりユーザのパスワード全体が構成される。なお、パスワードのみによる照合時のセキュリティを向上させるためにパスワード全体としては従来のものよりも長いパスワードが設定されるものとする。
次に、1対N照合により得られた最大照合値と認証情報として入力すべき記憶情報の種類との関係について説明する。
図11は、顔画像の1対N照合による最大照合値と入力すべき記憶情報の種類(認証情報のレベル)との関係の例を示す図である。なお、図11に示す例では、照合値は、0から1(完全に合致)までの値としている。
図11に示す例では、顔画像の1対N照合による最大照合値が0.7以上である場合(レベル1の場合)には、記憶情報による照合が必要ないとしている。つまり、顔画像の1対N照合による最大照合値が0.7以上である場合、顔画像の1対N照合により被認証者が最大照合値となった登録者であると認証するようになっているものである。従って、図11に示す例では、顔画像の1対N照合に対する認証しきい値が0.7に設定されている。
また、顔画像の1対N照合による最大照合値が0.7よりも小さく、かつ、0.6以上である場合(レベル2の場合)には、記憶情報としてグループ番号の照合が必要であるとしている。つまり、0.6≦最大照合値<0.7である場合、被認証者が入力するグループ番号と最大照合値となった登録者のグループ番号とが一致すれば、被認証者が最大照合値となった登録者であると認証するようになっているものである。
また、顔画像の1対N照合による最大照合値が0.6よりも小さく、かつ、0.5以上である場合(レベル3の場合)には、記憶情報としてユーザID番号の照合が必要であるとしている。つまり、0.5≦最大照合値<0.6である場合、被認証者が入力するユーザID番号と最大照合値となった登録者のユーザID番号とが一致すれば、被認証者が最大照合値となった登録者であると認証するようになっているものである。
また、顔画像の1対N照合による最大照合値が0.5よりも小さく、かつ、0.4以上である場合(レベル4の場合)には、記憶情報としてユーザID番号と第1パスワードの照合が必要であるとしている。つまり、0.4≦最大照合値<0.5である場合、被認証者が入力するユーザID番号及び第1パスワードと、最大照合値となった登録者のユーザID番号及び第1パスワードとが一致すれば、被認証者が最大照合値となった登録者であると認証するようになっているものである。
また、顔画像の1対N照合による最大照合値が0.4未満である場合(レベル5の場合)には、記憶情報としてユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードの照合が必要であるとしている。つまり、最大照合値が0.4未満である場合、被認証者が入力するユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードと、最大照合値となった登録者のユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードとが一致すれば、被認証者が最大照合値となった登録者であると認証するようになっているものである。
図11に示すように、顔照合の結果としての照合値が所定のしきい値(認証しきい値)よりも小さい場合であっても、照合値の大きさに応じて記憶情報として入力が必要な情報(照合が必要な記憶情報)を設定することにより、その照合値のレベルに応じた記憶情報での照合により個人認証を行うようにすることができる。すなわち、生体照合の照合値が所定のしきい値未満であっても、生体照合の照合値が高ければ高いほど、被認証者が記憶情報として入力すべき情報量(あるいは情報の複雑さ)を減らすことができ、被認証者の負担を軽減することができる。
次に、第1の実施の形態としての照合処理(個人認証処理)の流れについて説明する。
図12は、第1の実施の形態としての照合処理の動作例を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、顔画像の1対N照合による最大照合値に対するレベルが図11に示すように設定されているものとして説明する。
まず、上記カメラ2は、被認証者の顔画像を撮影する。上記カメラ2が被認証者の顔画像を撮影すると、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者の顔画像の取り込み処理を行う(ステップS21)。上記カメラ2にて撮影した顔画像を取り込むと、処理プロセッサ21は、上記カメラ2から取り込んだ画像に対して上述した前処理を実行する(ステップS22)。この前処理により照合用の顔画像が作成される。
上記前処理により照合用の顔画像を作成すると、上記処理プロセッサ21は、作成した照合用の顔画像と上記辞書28に登録されている顔画像との顔照合処理を行う(ステップS23)。この顔照合処理では、上記処理プロセッサ21は、作成した照合用の顔画像と上記辞書28に登録されている全ての顔画像との照合値を算出し、それらの照合値の最大値(最大照合値)を判定する。この最大照合値が顔画像による照合結果として用いられる。
上記顔照合処理により照合用の顔画像に対する最大照合値を算出すると、上記処理プロセッサ21は、得られた最大照合値が顔照合の認証しきい値以上(最大照合値がレベル1)であるか否かを判断する(ステップS24)。例えば、図11に示す設定例によれば、上記処理プロセッサ21は、最大照合値が0.7以上であるか否かを判断する。
この判断により最大照合値が顔照合の認証しきい値以上(最大照合値がレベル1)であると判断した場合(ステップS24、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が顔照合処理によって最大照合値となった登録者であると認証する(ステップS25)。
また、上記判断により顔照合の最大照合値が認証しきい値未満であると判断した場合(ステップS24、NO)、上記処理プロセッサ21は、最大照合値のレベルを判断する。例えば、図11に示す設定例によれば、上記処理プロセッサ21は、最大照合値がレベル2〜レベル5までのどのレベルであるかを判断する(ステップS26、S27、S28)。
ここで、顔照合の最大照合値がレベル2であると判断した場合(ステップS26、YES)、上記処理プロセッサ21は、レベル2に対応する記憶情報(レベル2の認証情報)の照合処理を行う(ステップS29)。
例えば、図11に示す設定例によれば、レベル2(0.6≦最大照合値<0.7)に対してグループ番号での照合を行うものと設定されている。従って、顔照合の最大照合値がレベル2であると判断した場合、上記処理プロセッサ21は、被認証者に対してグループ番号の入力を要求する。この要求に対して被認証者によりグループ番号が入力されると、上記処理プロセッサ21は、入力されたグループ番号と前記最大照合値となった登録者のグループ番号とを照合する(ステップS29)。
この照合により被認証者が入力したグループ番号と前記最大照合値となった登録者のグループ番号とが一致していると判断した場合(ステップS30、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が顔照合処理によって最大照合値となった登録者であると認証する(ステップS25)。
また、上記照合により被認証者が入力したグループ番号と前記最大照合値となった登録者のグループ番号とが一致しないと判断した場合(ステップS30、NO)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が上記辞書28に登録されている登録者であると認証できなかったものとして当該認証処理を本人拒否(リジェクト)とする(ステップS31)。この場合は上記ステップS21の顔画像取込み処理からのリトライとなる。
また、顔照合の最大照合値がレベル3であると判断した場合(ステップS27、YES)、上記処理プロセッサ21は、レベル3に対応する記憶情報(レベル3の認証情報)の照合処理を行う(ステップS32)。
例えば、図11に示す設定例によれば、レベル3(0.5≦最大照合値<0.6)に対してユーザID番号(グループ番号+ユーザ固有の番号)での照合を行うものと設定されている。従って、顔照合の最大照合値がレベル3であると判断した場合、上記処理プロセッサ21は、被認証者に対してユーザID番号の入力を要求する。この要求に対して被認証者によりユーザID番号が入力されると、上記処理プロセッサ21は、入力されたユーザID番号と前記最大照合値となった登録者のユーザID番号とを照合する(ステップS32)。
上記ステップS32の照合により被認証者が入力したユーザID番号と前記最大照合値となった登録者のユーザID番号とが一致していると判断した場合(ステップS30、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が顔照合処理によって最大照合値となった登録者であると認証する(ステップS25)。
また、上記ステップS32の照合により被認証者が入力したユーザID番号と前記最大照合値となった登録者のユーザID番号とが一致しないと判断した場合(ステップS30、NO)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が上記辞書28に登録されている登録者であると認証できなかったものとして当該認証処理を本人拒否(リジェクト)とする(ステップS31)。
なお、ユーザID番号が入力される場合、登録者が特定されるので、被認証者が入力したユーザID番号と最大照合値に対応する登録者のユーザID番号とが一致しなくても(つまり、生体照合によって最大照合度となる登録者でなくとも)、当該ユーザID番号により特定される登録者との照合値がしきい値以上であれば認証可とするように実施することも可能である。
また、顔照合の最大照合値がレベル4であると判断した場合(ステップS28、YES)、上記処理プロセッサ21は、レベル4に対応する記憶情報(レベル4の認証情報)の照合処理を行う(ステップS33)。
例えば、図11に示す設定例によれば、レベル4(0.4≦最大照合値<0.5)に対してユーザID番号及び第1パスワードでの照合を行うものと設定されている。従って、顔照合の最大照合値がレベル4であると判断した場合、上記処理プロセッサ21は、被認証者に対してユーザID番号と第1パスワードの入力を要求する。この要求に対して被認証者によりユーザID番号と第1パスワードが入力されると、上記処理プロセッサ21は、入力されたユーザID番号及び第1パスワードと前記最大照合値となった登録者のユーザID番号及び第1パスワードとを照合する(ステップS33)。
上記ステップS33の照合により被認証者が入力したユーザID番号及び第1パスワードと前記最大照合値となった登録者のユーザID番号及び第1パスワードとが一致していると判断した場合(ステップS30、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が顔照合処理によって最大照合値となった登録者であると認証する(ステップS25)。
また、上記ステップS33の照合により被認証者が入力したユーザID番号と前記最大照合値となった登録者のユーザID番号とが一致しないと判断した場合(ステップS30、NO)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が上記辞書28に登録されている登録者であると認証できなかったものとして当該認証処理を本人拒否(リジェクト)とする(ステップS31)。
また、顔照合の最大照合値がレベル5であると判断した場合(ステップS28、NO)、上記処理プロセッサ21は、レベル5に対応する記憶情報(レベル5の認証情報)の照合処理を行う(ステップS34)。
例えば、図11に示す設定例によれば、レベル5(最大照合値が0.4未満)に対してユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードでの照合を行うものと設定されている。従って、顔照合の最大照合値がレベル5であると判断した場合、上記処理プロセッサ21は、被認証者に対してユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードの入力を要求する。この要求に対して被認証者によりユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードが入力されると、上記処理プロセッサ21は、入力されたユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードと前記最大照合値となった登録者のユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードとを照合する(ステップS34)。
上記ステップS34の照合により被認証者が入力したユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードと前記最大照合値となった登録者のユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードとが一致していると判断した場合(ステップS30、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が顔照合処理によって最大照合値となった登録者であると認証する(ステップS25)。
また、上記ステップS34の照合により被認証者が入力したユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードと前記最大照合値となった登録者のユーザID番号、第1パスワード及び第2パスワードとが一致しないと判断した場合(ステップS30、NO)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が上記辞書28に登録されている登録者であると認証できなかったものとして当該認証処理を本人拒否(リジェクト)とする(ステップS31)。
また、図11に示す例では、4種類の情報から構成される記憶情報を予め登録しておき、生体照合による最大照合値に応じて5つのレベルを設定したが、最大照合値に応じたレベルの数をさらに増やすことも、あるいはもっと簡単にすることも可能である。例えば、ユーザID番号と1個のパスワード(2種類の情報から構成される記憶情報)を予め登録しておき、最大照合度に応じて3つのレベルにしてもよい。また、記憶情報の入力が要求された場合に、生体情報の取込み処理(顔画像入力)からのリトライを被認証者が選択できるように実施してもよい。また、取り込んだ生体情報としての顔画像を履歴として記録する機能を付加して実施することにより、さらに、不正抑止などの効果をもたせることもできる。
上記のように、第1の実施の形態では、生体情報の取得とその生体情報による生体照合を行い、生体照合の結果(照合値の大きさ)に応じて次に入力すべき記憶情報の種類や項目などを指定し、その指定した記憶情報の照合結果と生体照合の照合結果との組み合わせにより個人認証を行うようにしたものである。
これにより、生体情報による1対N照合で認証されなかった場合であっても、指定された記憶情報を入力するだけで個人認証を行うことができる。さらに、被認証者が指定された記憶情報を入力する作業そのものは従来の1対1照合と同様であるが、生体照合で得られた照合度に応じて入力する情報量(例えば、ID情報の桁数)を従来の1対1照合の場合よりも減らずことができ、被認証者の記憶情報の入力負担や入力時間をできるだけ軽くし、利便性を向上させることができる。
次に、第2の実施の形態について説明する。
この第2の実施の形態では、被認証者が認証(あるいはリジェクト)されるまで段階的に生体情報による生体照合を複数回実施するものであり、被認証者から得られる情報に応じて徐々に生体照合処理の対象者としての登録者を絞り込むとともに認証しきい値のレベルを低くしていくものである。なお、生体情報が顔画像や音声のように人間にも判別が容易である場合には、複数段の各段階で得られた各生体情報を履歴として記録装置に記録するようにするも可能である。
図13及び図14は、第2の実施の形態による認証処理の流れを概略的に示す図である。図13に示す例では、生体照合装置(顔照合装置)が2段階(1対N照合、1対1照合)の生体照合処理を実行するようにしている。また、図14に示す例では、生体照合装置が3段階(1対N照合、1対グループ照合、1対1照合)の生体照合処理を行うようにしている。
例えば、図13に示すように2段階の生体照合を行う場合、上記辞書28には記憶情報としてユーザID番号とパスワードが生体情報とともに登録されているものとする。この場合、生体照合装置は、まず、1回目の生体照合として辞書28に登録されている全ての登録者を照合の対象とし、被認証者の生体情報と各登録者の生体情報との1対N照合を実行する。
この1対N照合で得られた最大照合値が1対N照合用のしきい値(第1の認証しきい値)以上でなかった場合、生体照合装置は、被認証者に対してユーザID番号の入力を要求し、当該被認証者により入力されるユーザID番号に基づいて辞書28に登録されている登録者を1人に絞り込む。つまり、1対N照合で認証できなかった場合、生体照合装置は、2回目の生体照合として生体照合の対象者を被認証者が入力するユーザID番号に該当する登録者に限定して1対1照合用の認証しきい値に基づく1対1照合を行う。
ここで、上記1対1照合では1対N照合よりも照合の対象者が絞り込まれるため、1対1照合用の認証しきい値は、1対N照合用の認証しきい値よりも低く設定しても所定のセキュリティレベルを維持することが可能である。従って、上記1対1照合用の認証しきい値(第2の認証しきい値)は、上記1対N照合用の認証しきい値(第1の認証しきい値)よりも低く設定されている。
さらに、1対1照合で得られた照合値が1対1照合用のしきい値(上記第1の認証しきい値よりも低い第2の認証しきい値)以上でなかった場合、つまり、2段階の生体照合でも認証できなかった場合、生体照合装置は、被認証者にパスワードの入力を要求し、当該被認証者により入力されるパスワードと当該ユーザID番号の登録者のパスワードとにより認証を行うものである。
なお、上記1対1照合で用いられる認証しきい値は、1対1照合では照合の対象者が1人に絞り込まれるため、1対N照合の場合よりも認証しきい値を低く設定することが可能である。従って、上記1対1照合用の認証しきい値(第2の認証しきい値)は、上記1対N照合用の認証しきい値(第1の認証しきい値)よりも低く設定されている。
また、図14に示すように3段階の生体照合を行う場合、生体照合装置は、上記辞書28には記憶情報としてグループ番号とユーザID番号とパスワードが生体情報とともに登録されているものとする。この場合、生体照合装置は、まず、1回目の生体照合として辞書28に登録されている全ての登録者を照合の対象とし、被認証者の生体情報と各登録者の生体情報との1対N照合を実行する。
この1対N照合で得られた最大照合値が1対N照合用のしきい値(第1の認証しきい値)以上でなかった場合、生体照合装置は、被認証者にグループ番号の入力を要求し、当該被認証者により入力されるグループ番号に基づいて辞書28に登録されている登録者を絞り込む。つまり、1対N照合で照合できなかった場合、生体照合装置は、2回目の生体照合として照合の対象者を被認証者が入力するグループ番号のグループに属する登録者に限定して1対グループ照合用の認証しきい値に基づく1対グループ照合を行う。
ここで、上記1対グループ照合では1対N照合よりも照合の対象者が絞り込まれるため、1対グループ照合用の認証しきい値は、1対N照合用の認証しきい値よりも低く設定しても所定のセキュリティレベルを維持することが可能である。従って、上記1対グループ照合用の認証しきい値(第2の認証しきい値)は、上記1対N照合用の認証しきい値(第1の認証しきい値)よりも低く設定されている。
この1対グループ照合で得られた最大照合値が1対グループ照合用のしきい値(上記第1の認証しきい値よりも低い第2の認証しきい値)以上でなかった場合、生体照合装置は、被認証者にユーザID番号の入力を要求し、当該被認証者により入力されるユーザID番号に基づいて辞書28に登録されている登録者を1人に絞り込む。つまり、1対グループ照合で認証できなかった場合、生体照合装置は、3回目の生体照合として生体照合の対象者を被認証者が入力するユーザID番号に該当する登録者に限定して1対1照合用の認証しきい値に基づく1対1照合を行う。
ここで、上記1対1照合では1対グループ照合よりも照合の対象者が絞り込まれるため、1対1照合用の認証しきい値は、1対グループ照合用の認証しきい値よりも低く設定しても所定のセキュリティレベルを維持することが可能である。従って、上記1対1照合用の認証しきい値(第3の認証しきい値)は、上記1対グループ照合用の認証しきい値(第2の認証しきい値)よりも低く設定されている。
さらに、1対1照合で得られた照合値が1対1照合用のしきい値(上記第2の認証しきい値よりも低い第3の認証しきい値)以上でなかった場合、つまり、3段階の生体照合でも認証できなかった場合、生体照合装置は、被認証者にパスワードの入力を要求し、当該被認証者により入力されるパスワードと当該ユーザID番号の登録者のパスワードとにより認証を行うものである。
次に、第2の実施の形態としての個人認証処理の流れについて説明する。
図15は、第2の実施の形態としての顔画像による個人認証処理の具体例を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、図13に示すように2段階の顔照合(生体照合)を行う場合の動作例について説明する。
まず、被認証者が上記ユーザインターフェース部10の前に現れると、上記カメラ2は、被認証者の顔画像を撮影する。上記カメラ2が被認証者の顔画像を撮影すると、上記処理プロセッサ21は、1回目の顔照合処理としての1対N照合を行う(ステップS41〜S44)。
すなわち、上記カメラ2が1回目の顔照合処理として被認証者の顔画像を撮影すると、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者の顔画像の取り込み処理を行う(ステップS41)。上記カメラ2にて撮影した顔画像を取り込むと、処理プロセッサ21は、上記カメラ2から取り込んだ画像に対して上述した前処理を実行する(ステップS42)。この前処理により1回目の顔照合(1対N照合)用の顔画像が作成される。
上記前処理により1対N照合用の顔画像を作成すると、上記処理プロセッサ21は、作成した照合用の顔画像に対し、上記辞書28に登録されている全ての登録者の顔画像を対象として1対N照合の顔照合処理を行う(ステップS43)。この1対Nの顔照合処理では、上記処理プロセッサ21は、上記ステップS42で作成した照合用の顔画像と上記辞書28に登録されている全ての顔画像との照合値を算出し、それらの照合値の最大値(最大照合値)を判定する。この最大照合値が1対N照合の顔照合処理の結果として用いられる。
上記1対Nの顔照合により最大照合値を算出すると、上記処理プロセッサ21は、得られた最大照合値が1対N照合用の認証しきい値(第1の認証しきい値)以上であるか否かを判断する(ステップS44)。なお、照合値が0〜1までの値である場合、第1の認証しきい値は、例えば、0.7と設定される。
上記1対N照合の結果としての最大照合値が顔照合の第1の認証しきい値以上であると判断した場合(ステップS44、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が顔照合処理によって最大照合値となった登録者であると認証する(ステップS45)。
また、上記判断により1対N照合の結果としての最大照合値が第1の認証しきい値未満であると判断した場合(ステップS44、NO)、上記処理プロセッサ21は、被認証者に対してユーザID番号の入力を要求する。この要求に対して被認証者がユーザID番号を入力すると、上記処理プロセッサ21は、入力されたユーザID番号に対応する登録者を検索し(ステップS46)、2回目の顔照合処理としての1対1照合を行う(ステップS47〜S50)。
すなわち、上記カメラ2が2回目の顔照合処理として被認証者の顔画像を撮影すると、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者の顔画像の取り込み処理を行う(ステップS47)。上記カメラ2にて撮影した顔画像を取り込むと、処理プロセッサ21は、上記カメラ2から取り込んだ画像に対して上述した前処理を実行する(ステップS48)。この前処理により2回目の顔照合(1対1照合)用の顔画像が作成される。
上記前処理により1対1照合用の顔画像を作成すると、上記処理プロセッサ21は、作成した照合用の顔画像に対し、上記辞書28に登録されている前記ユーザID番号に対応する登録者の顔画像を対象として1対1照合の顔照合処理を行う(ステップS49)。この1対1の顔照合処理では、上記処理プロセッサ21は、上記ステップS48で作成した照合用の顔画像と上記辞書28に登録されている上記ステップS46で被認証者が入力したユーザID番号に対応する登録者の顔画像との照合値を算出し、その照合値が1対1照合の顔照合処理の結果として用いられる。
上記1対1の顔照合による照合値を算出すると、上記処理プロセッサ21は、得られた照合値が1対1照合用の認証しきい値(上記第1の認証しきい値よりも低い第2の認証しきい値)以上であるか否かを判断する(ステップS50)。なお、照合値が0〜1までの値である場合、第2の認証しきい値は、例えば、0.7の第1の認証しきい値に対して0.5と設定される。
上記1対1照合の結果としての照合値が顔照合の第2の認証しきい値以上であると判断した場合(ステップS50、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が当該ユーザID番号に対応する登録者であると認証する(ステップS45)。
また、上記判断により1対1照合の結果としての照合値が第2の認証しきい値未満であると判断した場合(ステップS50、NO)、上記処理プロセッサ21は、被認証者に対してパスワードの入力を要求する。この要求に対して被認証者がパスワードを入力すると、上記処理プロセッサ21は、入力されたパスワードと上記ステップS46で入力されたユーザID番号に対応する登録者のパスワードとを照合する(ステップS51)。
このパスワードによる照合処理により両者が一致していると判断した場合(ステップS52、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が当該ユーザID番号に対応する登録者であると認証する(ステップS45)。
また、上記ステップS51で入力されたパスワードと上記ステップS46で入力されたユーザID番号に対応する登録者のパスワードとが一致していないと判断した場合(ステップS52、NO)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者がユーザID番号に対応する登録者として認証できないものとして当該被認証者に対する認証処理をリジェクトする(ステップS53)。
上記のように、第2の実施の形態では、段階的に複数の生体情報による生体照合を実行するものであり、段階的に実施する生体情報による生体照合処理は記憶情報などの被認証者から与えられる情報に応じて生体照合処理の対象者を絞り込むととともに、その生体照合の処理結果としての照合値に対する認証しきい値を段階的に低くしていくものである。これにより、第2の実施の形態によれば、段階的な生体照合における本人拒否によるエラー率を低減するとともに、被認証者に対する記憶情報などの入力の負担を軽減できる。
次に、第3の実施の形態について説明する。
この第3の実施の形態は、上記第2の実施の形態と同様に、被認証者が認証(あるいはリジェクト)されるまで段階的に当該被認証者から複数回生体情報を取得して生体照合を複数回実施するものである。この第3の実施の形態は、被認証者から得られる情報に応じて徐々に生体照合処理の対象者としての登録者を絞り込むとともに認証しきい値のレベルを低くしていくものであるが、2回目以降の生体照合処理が第2の実施の形態とは異なる。
すなわち、第3の実施の形態では、上記第2の実施の形態において、段階的に実施される生体照合処理(前段の生体照合処理)で得られた生体情報あるいは段階的に実施する生体照合処理(前段の生体照合処理)の結果を利用して、複数回の生体照合処理(後段の生体照合処理)を実行するものである。言い換えると、第3の実施の形態は、上記第2の実施の形態と同様な複数段階の生体照合処理を実行するとともに、前段の生体照合処理で得られた生体情報あるいは生体照合の結果を後段の生体照合処理で再度利用するものである。これにより、例えば、前段の生体照合処理において良好な生体情報が得られた場合にはその生体情報を有効に利用することができる。
また、第3の実施の形態としては、前段の生体照合処理で得られた生体情報と後段の生体照合処理で得られた生体情報を組み合わせて利用する方法として、例えば、「複数段の生体照合処理で得られた各生体情報を統合して1つの生体情報として構成し直して、その生体情報による照合値により認証判定を行う(第1の処理方法)」、「複数段の生体照合処理で得られた各生体情報による照合値のうち最大の照合値により認証判定を行う(第2の処理方法)」」、「複数段の生体照合処理で得られた各生体情報による照合値の平均値により認証判定を行う(第3の処理方法)」」などが実施可能である。
図16及び図17は、第3の実施の形態による認証処理の流れを概略的に示す図である。図16に示す例では、2段階(1対N照合、1対1照合)の生体照合処理を実行するようにしている。また、図17に示す例では、3段階(1対N照合、1対グループ照合、1対1照合)の生体照合処理を行うようにしている。
例えば、図16に示すように2段階の生体照合を行う場合、上記辞書28には記憶情報としてユーザID番号とパスワードが生体情報とともに登録されているものとする。この場合、生体照合装置は、まず、被認証者が生体情報(1回目の生体情報)を取得し、1回目の生体照合として辞書28に登録されている全ての登録者を照合の対象とし、被認証者の生体情報と各登録者の生体情報との1対N照合処理を実行する。
この1対N照合で得られた最大照合値が1対N照合用のしきい値(第1の認証しきい値)以上でなかった場合、生体照合装置は、1対N照合処理で得られた生体情報あるいは処理結果としての最大照合値をメモリに記憶(バッファリング)するともに、被認証者に対してユーザID番号の入力を要求し、当該被認証者により入力されるユーザID番号に基づいて辞書28に登録されている登録者を1人に絞り込む。
被認証者から与えられたユーザID番号により登録者を1人に絞り込むと、生体照合装置は、当該被認証者から生体情報(2回目の生体情報)を取得し、2回目の生体照合として生体照合の対象者を被認証者が入力するユーザID番号に該当する登録者に限定して1対1照合処理を行う。この1対1照合処理においては、1回目の生体照合処理(1対N照合)で得られた生体情報も利用して照合処理が行われる。
例えば、上記第1の処理方法を適用すると、1対N照合の段階(1回目の生体情報)で得られた生体情報と1対1照合処理の段階(2回目の生体情報)で得られた生体情報とを統合して1つの生体情報を作成し、その生体情報により1対1照合を行う。この場合、1対1照合の結果としては、複数の生体情報から作成した生体情報と上記ユーザID番号に該当する登録者の生体情報との照合値が1対1照合用の認証しきい値(第2の認証しきい値)以上であるか否かにより認証判定を行う。
また、上記第2の処理方法を適用すると、1対N照合の段階で得られた生体情報(1回目の生体情報)と上記ユーザID番号に該当する登録者の生体情報との照合値(第1の照合値)と、1対1照合の段階で得られた生体情報(2回目の生体情報)と上記ユーザID番号に該当する登録者の生体情報との照合値(第2の照合値)とのうち、大きい方の照合値(最大照合値)が1対1照合用の認証しきい値(第2の認証しきい値)以上であるか否かにより認証判定を行う。
また、上記第3の処理方法を適用すると、1対N照合の段階で得られた生体情報(1回目の生体情報)と上記ユーザID番号に該当する登録者の生体情報との照合値(第1の照合値)と、1対1照合で得られた生体情報(2回目の生体情報)と上記ユーザID番号に該当する登録者の生体情報との照合値(第2の照合値)との平均値が1対1照合用の認証しきい値(第2の認証しきい値)以上であるか否かにより認証判定を行う。
さらに、上記のような1対1照合で得られた照合値が1対1照合用のしきい値以上でなかった場合、つまり、2段階の生体照合処理で被認証者が認証できなかった場合、生体照合装置は、被認証者にパスワードの入力を要求し、当該被認証者により入力されるパスワードと当該ユーザID番号の登録者のパスワードとにより認証を行うものである。
また、図17に示すように3段階の生体照合を行う場合、上記辞書28には記憶情報としてグループ番号とユーザID番号とパスワードが生体情報とともに登録されているものとする。この場合、生体照合装置は、まず、1回目の生体照合として辞書28に登録されている全ての登録者を照合の対象とし、被認証者の生体情報と各登録者の生体情報との1対N照合を実行する。
この1対N照合で得られた最大照合値が1対N照合用のしきい値(第1の認証しきい値)以上でなかった場合、生体照合装置は、1対N照合処理で得られた生体情報あるいは処理結果としての最大照合値をメモリに記憶(バッファリング)するとともに、被認証者に対してグループ番号の入力を要求し、当該被認証者により入力されるグループ番号に基づいて辞書28に登録されている登録者を絞り込む。
被認証者から与えられたグループ番号により登録者を1人に絞り込むと、生体照合装置は、当該被認証者から生体情報(2回目の生体情報)を取得し、2回目の生体照合として生体照合の対象者を被認証者が入力するグループ番号のグループに属する登録者に限定して1対グループ照合処理を行う。この1対グループ照合処理においては、1回目の生体照合処理(1対N照合)で得られた生体情報も利用して照合処理が行われる。
例えば、上記第1の処理方法を適用すると、1対N照合の段階で得られた生体情報(1回目の生体情報)と1対グループ照合処理の段階で得られた生体情報(2回目の生体情報)とを統合して1つの生体情報を作成し、その生体情報により1対グループ照合を行う。この場合、1対グループ照合の結果としては、作成した生体情報と上記グループ番号のグループに該当する各登録者の生体情報との最大照合値が1対グループ照合用の認証しきい値(第2の認証しきい値)以上であるか否かにより認証判定を行う。
また、上記第2の処理方法を適用すると、1対N照合の段階で得られた生体情報(1回目の生体情報)と上記グループ番号のグループに属する各登録者の生体情報との最大照合値(第1の照合値)と、1対グループ照合の段階で得られた生体情報(2回目の生体情報)と上記グループ番号のグループに属する各登録者の生体情報との最大照合値(第2の照合値)とのうち、大きい方の照合値(最大照合値)が1対グループ照合用の認証しきい値(第2の認証しきい値)以上であるか否かにより認証判定を行う。
また、上記第3の処理方法を適用すると、1対N照合の段階で得られた生体情報(1回目の生体情報)と上記グループ番号のグループに属する各登録者の生体情報との最大照合値(第1の最大照合値)と、1対グループ照合の段階で得られた生体情報(2回目の生体情報)と上記グループ番号のグループに属する各登録者の生体情報との最大照合値(第2の最大照合値)との平均値が1対1照合用の認証しきい値(第2の認証しきい値)以上であるか否かにより認証判定を行う。なお、第1の最大照合値となる登録者と第2の最大照合値となる登録者とが異なる場合、第1の最大照合値と第1の最大照合値となる登録者との照合値との平均値、及び第2の最大照合値と第2の最大照合値となる登録者との照合値との平均値の大きい方を用いるようにしても良い。
上記のような1対グループ照合で得られた最大照合値が1対グループ照合用のしきい値(第2の認証しきい値)以上でなかった場合、生体照合装置は、1対グループ照合処理で得られた生体情報あるいは照合結果としての最大照合値をメモリに記憶(バッファリング)するとともに、被認証者に対してユーザID番号の入力を要求し、当該被認証者により入力されるユーザID番号に基づいて辞書28に登録されている登録者を1人に絞り込む。
被認証者から与えられたユーザID番号により登録者を1人に絞り込むと、生体照合装置は、当該被認証者から生体情報(3回目の生体情報)を取得し、3回目の生体照合として生体照合の対象者を被認証者から与えられたユーザID番号の登録者に限定して1対1照合処理を行う。この1対1照合処理においては、1回目の生体照合処理(1対N照合)で得られた生体情報及び2回目の生体照合処理(1対グループ照合)も利用して照合処理が行われる。
例えば、上記第1の処理方法を適用すると、1対N照合の段階で得られた生体情報(1回目の生体情報)と1対グループ照合処理の段階で得られた生体情報(2回目の生体情報)と1対1照合の段階で得られた生体情報(3回目の生体情報)とを統合して1つの生体情報を作成し、その生体情報により1対グループ照合を行う。なお、1回目の生体情報と2回目の生体情報とを統合した生体情報と1対1照合の段階で得られた生体情報(3回目の生体情報)とを統合して1つの生体情報を作成するようにしても良い。この場合、1対1照合の結果としては、作成した生体情報と上記ユーザID番号の登録者の生体情報との照合値が1対1照合用の認証しきい値(第3の認証しきい値)以上であるか否かにより認証判定を行う。
また、上記第2の処理方法を適用すると、1対N照合の段階で得られた生体情報(1回目の生体情報)と上記ユーザID番号の登録者の生体情報との照合値(第1の照合値)と、1対グループ照合の段階で得られた生体情報(2回目の生体情報)と上記ユーザID番号の登録者の生体情報との照合値(第2の照合値)と、1対1照合の段階で得られた生体情報(3回目の生体情報)と上記ユーザID番号の登録者の生体情報との照合値(第3の照合値)とのうち、大きい方の照合値(最大照合値)が1対1照合用の認証しきい値(第3の認証しきい値)以上であるか否かにより認証判定を行う。
また、上記第3の処理方法を適用すると、1対N照合の段階で得られた生体情報(1回目の生体情報)と上記ユーザID番号の登録者の生体情報との照合値(第1の照合値)と、1対グループ照合の段階で得られた生体情報(2回目の生体情報)と上記ユーザID番号の登録者の生体情報との照合値(第2の照合値)と、1対1照合の段階で得られた生体情報(3回目の生体情報)と上記ユーザID番号の登録者の生体情報との照合値(第3の照合値)と、の平均値が1対1照合用の認証しきい値(第3の認証しきい値)以上であるか否かにより認証判定を行う。
さらに、上記のような1対1照合で得られた照合値が1対1照合用のしきい値以上でなかった場合、つまり、3段階の生体照合で認証できなかった場合、生体照合装置は、被認証者にパスワードの入力を要求し、当該被認証者により入力されるパスワードと当該ユーザID番号の登録者のパスワードとにより認証を行うものである。
次に、第3の実施の形態としての個人認証処理の流れについて説明する。
図18は、第3の実施の形態としての顔画像を用いた個人認証処理の動作例を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、図16に示すように2段階の顔照合(生体照合)を行う場合の動作例について説明する。なお、ここでは、前段の顔照合処理で得られた顔画像を利用する方法としては、上記第2の処理方法を適用されるものとして説明する。
まず、被認証者が上記ユーザインターフェース部10の前に現れると、上記カメラ2は、被認証者の顔画像を撮影する。上記カメラ2が被認証者の顔画像を撮影すると、上記処理プロセッサ21は、1回目の顔照合処理としての1対N照合を行う(ステップS61〜S64)。
すなわち、上記カメラ2が1回目の顔照合処理として被認証者の顔画像を撮影すると、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者の顔画像の取り込み処理を行う(ステップS61)。上記カメラ2にて撮影した顔画像を取り込むと、処理プロセッサ21は、上記カメラ2から取り込んだ画像に対して上述した前処理を実行する(ステップS62)。この前処理により1回目の顔照合(1対N照合)用の顔画像が作成される。
上記前処理により1対N照合用の顔画像を作成すると、上記処理プロセッサ21は、作成した照合用の顔画像に対し、上記辞書28に登録されている全ての登録者の顔画像を対象として1対N照合の顔照合処理を行う(ステップS63)。この1対Nの顔照合処理では、上記処理プロセッサ21は、上記ステップS62で作成した照合用の顔画像と上記辞書28に登録されている全ての顔画像との照合値を算出し、それらの照合値の最大値(最大照合値)を判定する。この最大照合値が1対N照合の顔照合処理の結果として用いられる。
上記1対Nの顔照合により最大照合値を算出すると、上記処理プロセッサ21は、得られた最大照合値が1対N照合用の認証しきい値(第1の認証しきい値)以上であるか否かを判断する(ステップS64)。なお、照合値が0〜1までの値である場合、第1の認証しきい値は、例えば、0.7と設定される。
上記1対N照合の結果としての最大照合値が顔照合の第1の認証しきい値以上であると判断した場合(ステップS64、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が顔照合処理によって最大照合値となった登録者であると認証する(ステップS65)。
また、上記判断により1対N照合の結果としての最大照合値が第1の認証しきい値未満であると判断した場合(ステップS64、NO)、上記処理プロセッサ21は、上記ステップS62で得られた顔画像をワークメモリ22にバッファリングし(ステップS66)、上記ディスプレイ1にユーザID番号の入力案内を表示することにより被認証者に対してユーザID番号の入力を要求する。この要求に対して被認証者が上記操作部5によりユーザID番号を入力すると、上記処理プロセッサ21は、入力されたユーザID番号に対応する登録者を検索し(ステップS67)、2回目の顔照合処理としての1対1照合を行う(ステップS68〜S71)。
すなわち、上記カメラ2が2回目の顔照合処理として被認証者の顔画像を撮影すると、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者の顔画像の取り込み処理を行う(ステップS68)。上記カメラ2にて撮影した顔画像を取り込むと、処理プロセッサ21は、上記カメラ2から取り込んだ画像に対して上述した前処理を実行する(ステップS69)。この前処理により2回目の顔照合(1対1照合)用の顔画像が作成される。
上記前処理により1対1照合用の顔画像を作成すると、上記処理プロセッサ21は、作成した照合用の顔画像に対し、上記辞書28に登録されている前記ユーザID番号に対応する登録者の顔画像を対象として1対1照合の顔照合処理を行う(ステップS70)。
この1対1の顔照合処理において、上記処理プロセッサ21は、上記ワークメモリ22にバッファリングされているステップS62で作成した顔画像(1回目の顔画像)と上記辞書28に登録されている当該被認証者が入力したユーザID番号に対応する登録者の顔画像との照合値(第1の照合値)を算出し、上記ステップS69で作成した照合用の顔画像(2回目の顔画像)と上記辞書28に登録されている上記ユーザID番号に対応する登録者の顔画像との照合値(第2の照合値)とを算出し、上記第1の照合値と第2の照合値との大きい方(最大照合値)を1対1照合の顔照合処理の結果とする。
このような1対1照合により照合結果としての照合値(最大照合値)が得られると、上記処理プロセッサ21は、当該照合値が1対1照合用の認証しきい値(上記第1の認証しきい値よりも低い第2の認証しきい値)以上であるか否かを判断する(ステップS71)。なお、照合値が0〜1までの値である場合、第2の認証しきい値は、例えば、0.7の第1の認証しきい値に対して0.5と設定される。
上記1対1照合の結果としての照合値が顔照合の第2の認証しきい値以上であると判断した場合(ステップS71、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が当該ユーザID番号に対応する登録者であると認証する(ステップS65)。
また、上記判断により1対1照合の結果としての照合値が第2の認証しきい値未満であると判断した場合(ステップS71、NO)、上記処理プロセッサ21は、被認証者に対してパスワードの入力を要求する。この要求に対して被認証者がパスワードを入力すると、上記処理プロセッサ21は、入力されたパスワードと上記ステップS46で入力されたユーザID番号に対応する登録者のパスワードとを照合する(ステップS72)。
このパスワードによる照合処理により両者が一致していると判断した場合(ステップS73、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が当該ユーザID番号に対応する登録者であると認証する(ステップS65)。
また、上記ステップS51で入力されたパスワードと上記ステップS46で入力されたユーザID番号に対応する登録者のパスワードとが一致していないと判断した場合(ステップS73、NO)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者がユーザID番号に対応する登録者として認証できないものとして当該被認証者に対する認証処理をリジェクトする(ステップS74)。
上記のように、第3の実施の形態では、段階的に複数の生体情報による生体照合を実行するとともに、前段の生体照合処理で得られた生体情報をバッファリングしておき、後段の生体照合処理に利用するものである。すなわち、段階的に実施する生体情報による生体照合処理では、前段の生体照合処理で得られた生体情報も利用し、記憶情報などの被認証者から与えられる情報に応じて対象を絞り込むととともにその生体照合の処理結果としての照合値に対する認証しきい値を段階的に低くしていくものである。
これにより、第3の実施の形態によれば、段階に複数回の生体照合を行う場合に各段階の処理で得られた生体情報も有効に活用して認証精度を高めることができ、生体照合における本人拒否によるエラー率を低減するとともに被認証者に対する記憶情報などの入力の負担を軽減できる。
次に、第4の実施の形態について説明する。
この第4の実施の形態は、個人認証処理の基本的な考え方については第1の実施の形態と同様であるが、生体情報による照合処理と、その生体情報以外の被認証者から与えられる情報(例えば、ID情報やパスワードなどの記憶情報)による対象者の絞込み及びしきい値の変更処理とを平行して実行(マルチタスク処理を実行)するものである。すなわち、この第4の実施の形態の特徴は、生体情報による生体照合と平行して、被認証者から与えられた情報に応じた生体照合の結果としての照合値に対するしきい値の変更を行う個人認証処理である。
図19は、第4の実施の形態が適用される顔画像照合装置におけるID情報としてのユーザID番号の構成例を示す図である。また、図20は、図19に示す構成のユーザID番号に対する認証しきい値の設定例を示す図である。
図19に示すID情報の構成例では、ID情報としてのユーザID番号が、会社コード番号、部コード番号、課コード番号、従業員コード番号という順で構成されている。この場合、ユーザがID情報としてのユーザID番号を順次入力していく過程において辞書に登録されている登録者の候補(候補者)が絞り込まれる。従って、ユーザがユーザID番号を入力していく過程で、生体照合の対象となる登録者を絞り込むと同時に、生体情報の取込みとその生体情報による顔照合処理を平行して実行することができる。
また、図20は、図19に示すような構成のID情報によって候補者を絞り込んだ際の生体照合に対する認証しきい値の設定例を示すものである。図20に示すような設定は、例えば、記憶装置としての辞書28に記憶される。
図20に示す設定例において、ID情報なしでは、候補者数が約200人であり、生体照合に対する認証しきい値が0.7に設定されている。つまり、ID情報の入力がない段階では、認証しきい値を0.7として、被認証者の生体情報と辞書28に登録されている全ての登録者(図20に示す例では約200人)の生体情報との生体照合を行う。
また、図20に示す設定例において、会社コード番号までのID情報では、候補者が150人であり、生体照合に対する認証しきい値が0.65に設定される。つまり、ID情報を会社コード番号まで取得した段階では、会社コード番号によって辞書28の登録者から生体照合の対象となる候補者(図20に示す例では約150人)を絞込み、認証しきい値を0.65として被認証者の生体情報と候補者の生体情報との生体照合を行う。
また、図20に示す設定例において、部コード番号までのID情報では、候補者が100人であり、生体照合に対する認証しきい値が0.6に設定される。つまり、ID情報を部コード番号(会社コード番号+部コード番号)まで取得した段階では、会社コード番号と部コード番号によって辞書28の登録者から生体照合の対象となる候補者(図20に示す例では約100人)を絞込み、認証しきい値を0.6として被認証者の生体情報と候補者の生体情報との生体照合を行う。
また、図20に示す設定例において、課コード番号までのID情報では、候補者が50人であり、生体照合に対する認証しきい値が0.55に設定される。つまり、ID情報を課コード番号(会社コード番号+部コード番号+課コード番号)まで取得した段階では、会社コード番号と部コード番号と課コード番号によって辞書28の登録者から生体照合の対象となる候補者(図20に示す例では約50人)を絞込み、認証しきい値を0.55として被認証者の生体情報と候補者の生体情報との生体照合を行う。
また、図20に示す設定例において、従業員コード番号までのID情報では、候補者が1人であり、生体照合に対する認証しきい値が0.5に設定される。つまり、ID情報として従業員コード番号(会社コード番号+部コード番号+課コード番号+従業員コード番号)まで取得した段階(ユーザID番号を全て取得した段階)では、ユーザID番号によって辞書28の登録者から生体照合の対象となる候補者を1人に絞込み、認証しきい値を0.5として被認証者の生体情報と候補者の生体情報との生体照合を行う。
なお、図20に示す設定例では、約50人単位で候補者が絞り込まれるごとに認証しきい値を設定するものとしたが、これに限定されるものではなく、認証しきい値をさらに細かく設定したり、粗く設定したりすることも可能である。
次に、第4の実施の形態としての個人認証処理の流れについて説明する。
図21は、第4の実施の形態としての顔画像を用いた個人認証処理の動作例を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、タスク1としての顔画像(生体情報)による顔照合(生体照合)処理を行うとともに、タスク2として被認証者から与えられる記憶情報により候補者の絞込み及び照合しきい値の変更処理とを行う場合の動作例について説明する。また、各タスク(タスク1及びタスク2)は、上記プログラムメモリ23に記憶された制御プログラムに基づいて上記処理プロセッサ21が実行する処理であるものとする。
まず、被認証者が上記ユーザインターフェース部10の前に現れると、上記カメラ2は、被認証者の顔画像を撮影する。上記カメラ2が被認証者の顔画像を撮影すると、上記処理プロセッサ21は、タスク1として顔照合による個人認証処理を行う(ステップS81〜S86)。このタスク1では、タスク2で被認証者からの記憶情報によって絞り込まれた照合の対象者(候補者)と認証しきい値と基づいて顔照合処理を行う。
例えば、被認証者が記憶情報を入力するまでの間、つまり、タスク2で候補者が絞り込まれていない状態において、上記処理プロセッサ21は、タスク1として、記憶情報なしの場合の認証しきい値に基づいて被認証者の顔画像と辞書28に登録されている全ての登録者の顔画像との顔照合を行う。なお、図20に示す設定例では、記憶情報(ID情報)なしの場合の認証しきい値は0.7と設定されている。
また、被認証者が特定の単位の記憶情報を入力すると、つまり、タスク2で候補者が絞り込まれた状態において、上記処理プロセッサ21は、タスク1として、入力された記憶情報に対応する認証しきい値に基づいて被認証者の顔画像と辞書28に登録されている登録者のうち当該記憶情報により絞り込まれた候補者の顔画像との顔照合を行う。なお、図20に示す設定例では、記憶情報(ID情報)の情報量に応じて複数段階の認証しきい値(0.7〜0.5)が設定されている。
すなわち、上記処理プロセッサ21は、上記カメラ2にて撮影した当該被認証者の顔画像の取り込み(ステップS81)、上記カメラ2から取り込んだ画像に対して上述した前処理を行い(ステップS82)、前処理により得られた被認証者の顔画像とタスク2で絞り込まれた候補者の顔画像とを照合する(ステップS83)。この顔照合処理では、タスク2により絞り込んだ候補者の数(被認証者から与えられた情報量)に応じた認証しきい値が設定される。
さらに、このような顔照合処理の結果は、タスク2へ通知される。すなわち、上記ステップS83で顔照合処理を行うごとに、上記処理プロセッサ21は、その顔照合処理により当該被認証者が認証されたか否かをタスク2へ通知する。
また、上記ステップS83の顔照合処理で被認証者が認証された場合つまり上記顔照合処理の結果としての照合値がタスク2で設定される認証しきい値以上であると判断した場合(ステップS85、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が顔照合処理によって最大照合値となった候補者であると認証する(ステップS86)。
また、上記ステップS83の顔照合処理の結果としての照合値がタスク2で設定される認証しきい値未満であると判断した場合(ステップS85、NO)、上記処理プロセッサ21は、上記ステップS81へ戻り、顔画像の取込み処理からの処理を繰り返し実行する。
なお、上記ステップS82で得られた顔画像はワークメモリ22にバッファリングし、次の顔照合処理に利用するようにしても良い。この場合、複数の顔画像を用いた顔照合処理としては上記第3の実施の形態で説明した利用方法などが適用できる。
一方、タスク2では、タスク1に対して被認証者が入力する記憶情報に応じた候補者の絞込みと認証しきい値の変更とを行う。すなわち、上記操作部5にて被認証者により記憶情報が入力されると、上記処理プロセッサ21は、入力された記憶情報を取込む(ステップS91)。被認証者から与えれた記憶情報を取り込むと、上記処理プロセッサ21は、取り込んだ記憶情報に応じて候補者の絞込みを行うとともに、取り込んだ記憶情報に応じた認証しきい値の判定を行う(ステップS92)。
なお、図19及び図20に示す例のように記憶情報としてのID情報が特定の単位(会社コード番号、部コード番号、課コード番号、従業員コード番号)からなっている場合、上記処理プロセッサ21は、それらの特定単位ごとの情報を取込むごとに、上記ステップS92の処理を行う。
上記ステップS92で候補者の絞り込みと認証しきい値の判定とを行うと、上記処理プロセッサ21は、上記ステップS92で絞り込んだ候補者を示す情報と認証しきい値を示す情報とを上記タスク1へ通知する(ステップS93)。この通知により、タスク1では、候補者の絞込みと認証しきい値の変更とを行う。
また、上記ステップS91〜S93の処理は、タスク1での認証処理が完了するか(ステップS94、YES)、あるいは、全ての記憶情報が取り込まれるまで(ステップS95、YES)、繰り返し行われる。
すなわち、上記タスク1のステップS84により顔照合処理の結果として当該被認証者が認証された旨の通知を受けた場合、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者の認証処理が完了したものと判断し(ステップS94、YES)、当該タスクを終了する。
また、上記タスク1のステップS84により顔照合処理の結果として当該被認証者が認証されなかった旨の通知を受けた場合、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者の認証処理が完了していないと判断し(ステップS94、NO)、全ての記憶情報の取込み処理が完了しているか否かを判断する(ステップS95)。ここでは、例えば、既に取り込んだ記憶情報(被認証者から与えられた記憶情報)が所定の情報量に達しているか否かにより全ての記憶情報の取込みが完了しているか否かを判断するようになっている。
つまり、候補者を1人に絞り込むだけの記憶情報が取込み済みである場合、上記処理プロセッサ21は、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者が認証できなかったものと判断し(ステップS96)、当該タスクを終了する。また、候補者を1人に絞り込むだけの記憶情報が取込み済みでない場合、上記処理プロセッサ21は、上記ステップS91へ戻り、候補者の絞込み及び認証しきい値の変更を継続して行う。
上記のように、第4の実施の形態では、被認証者から与えられる記憶情報などの情報の情報量とその情報によって絞り込まれる候補者の数に応じて生体情報に対する照合しきい値を設定しておき、被認証者から与えられる情報により候補者を絞り込むとともに、その候補者の数(ここでは、被認証者が入力したユーザID番号系列の長さ)に応じて生体照合の照合しきい値を変更するようにしたものである。
これにより、記憶情報の入力の手間などの被認証者の負担をできるだけ軽くするとともに、被認証者から与えられる情報量に応じたセキュリティレベルが維持できる個人認証処理を実現できる。
なお、本第4の実施の形態では、生体情報のなかでも非接触式の生体情報(非接触で生体情報が取り込める生体情報)を用いる生体情報照合装置に適用するのが好ましい。すなわち、生体情報の取込みとともに、ID情報を取得できるものであれば、認証に要する時間が短縮でき、上記のようなマルチタスクによる効果が高くなる。これは、例えば、生体情報として顔画像を用いた生体情報照合装置では、顔画像を取込みつつ、被認証者から与えられる記憶情報としてのID情報を取り込むことが可能であるためである。また、ID情報として他の生体情報を用いることも有効である。
次に、第5の実施の形態について説明する。
この第5の実施の形態は、生体情報による生体照合処理と平行して人物の入れ替わりチェック処理を実行(マルチタスク処理を実行)するものである。なお、生体情報による生体照合処理については、生体照合の結果として被認証者が認証される(またはリジェクトされる)まで、被認証者の複数の顔画像を取得するものであれば良く、例えば、上記第2〜第4の実施の形態で説明した顔照合処理が適用できる。このため、生体照合処理については詳細な説明を省略する。
この第5の実施の形態は、特に、生体情報としての顔画像を用いる場合に適用され、生体情報としての顔画像を連続的に取込み、前段の取り込んだ顔画像をバッファリングしておくことで人物の入れ替わりチェックを行うものである。ここで、人物の入れ替わりチェックとは、一連の個人認証処理の途中で被認証者が他人に入れ替わっていないかをチェックする機能である。
図22は、第5の実施の形態としての顔画像を用いた個人認証処理の動作例を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、タスク1としての顔画像(生体情報)による顔照合(生体照合)処理を行うとともに、タスク2としてタスク1の顔照合処理の実行中において被認証者としての人物が他人に入れ替わっていないかをチェックする入れ替わりチェック処理とを行う場合の動作例について説明する。また、各タスク(タスク1及びタスク2)は、上記プログラムメモリ23に記憶された制御プログラムに基づいて上記処理プロセッサ21が実行する処理であるものとする。
まず、被認証者が上記ユーザインターフェース部10の前に現れると、上記カメラ2は、被認証者の顔画像を撮影する。上記カメラ2が被認証者の顔画像を撮影すると、上記処理プロセッサ21は、当該被認証者の顔画像の取り込み処理を行う(ステップS101)。上記カメラ2にて撮影した顔画像を取り込むと、処理プロセッサ21は、上記カメラ2から取り込んだ画像に対して上述した前処理を実行する(ステップS102)。この前処理により顔照合用の顔画像が作成される。
上記前処理により顔照合用の顔画像を作成すると、上記処理プロセッサ21は、まず、タスク2へ前処理した照合用の顔画像を供給し(ステップS103)、その前処理した顔画像を一時バッファメモリとしてのワークメモリ22に記憶する(ステップS104)。
また、タスク1としては、上記ステップS102で作成した顔照合用の顔画像に対して顔照合処理を行う(ステップS105)。なお、上記ステップS105で実行する顔照合処理は、上記第2〜第4の実施の形態で説明した処理で良い。このため、ここでは、上記ステップS105の顔照合処理については詳細な説明を省略する。
上記ステップS105の顔照合処理により当該被認証者に対する認証結果が確定しなければ(ステップS106、NO)、上記処理プロセッサ21は、上記ステップS101〜S105の処理を繰り返し実行する。また、上記ステップS105の顔照合処理により当該被認証者に対する認証結果が確定した場合、つまり、顔照合処理の結果として被認証者が認証されたか、あるいはリジェクトされた場合(ステップS106、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該タスクを終了する。
一方、タスク2としては、タスク1で得られた顔画像に基づいて同定処理を行う。この同定処理は、1人の被認証者に対するタスク1で連続して取り込まれる複数の顔画像が同一人物の顔画像であるか否かを判定する処理である。つまり、タスク2では、タスク1の実行中に被認証者が他人に入れ替わっていないかをチェックする。
上記タスク1のステップS103で被認証者の顔画像を取り込んだ旨の通知が上記タスク2に供給されると(ステップS111、YES)、上記処理プロセッサ21は、当該タスク1で処理中の被認証者の顔画像が既にバッファメモリ(ワークメモリ)22に記録されているか否かを判断する(ステップS112)。
この判断により当該タスク1で処理中の被認証者の顔画像が既にバッファメモリ22に記録されていると判断した場合(ステップS112、YES)、上記処理プロセッサ21は、取込みが通知された顔画像(前処理された顔画像)と既に記録されている顔画像とをバッファメモリ22から読み出し、それらの顔画像が同一人物の顔画像であるか否かを判定する(ステップS113)。
この判定により同一人物であると判定した場合(ステップS114、YES)、上記処理プロセッサ21は、上記タスク1からの次の顔画像の取込み通知を待つ。なお、上記タスク1から次の顔画像の取込み通知がない場合、あるいは当該タスク1から当該被認証者に対する認証処理が完了した旨の通知があった場合、上記処理プロセッサ21は当該タスク2を終了する。また、上記判定により同一人物でないと判定した場合(ステップS114、NO)、上記処理プロセッサ21は、被認証者が入れ替わったもの判断し、当該タスク1の処理を中止させ(ステップS115)、当該タスクを終了する。
上記のように、第5の実施の形態によれば、上記第2〜第4の実施の形態のように、1人に対する生体照合処理において複数の顔画像を取込む場合、それらの顔画像が同一人物であるか否かを判定する処理を、当該生体照合処理と平行して行うようにしたものである。これにより、上記したような生体照合とともに、被認証者の入れ替わりチェックを行うことができ、セキュリティ性を向上できる。
また、上述した第5の実施の形態は、例えば、上記第4の実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。すなわち、上記第4の実施の形態で説明した顔照合処理(第1のタスク)と、上記第4の実施の形態で説明した候補者の絞込み及び認証しきい値の変更処理(第2のタスク)と、上記第5の実施の形態で説明した人物の入れ替わりチェック処理(第3のタスク)との3つの処理を平行して行うことが可能である。この場合、上記第4の実施の形態で説明した個人認証処理と同時に人物の入れ替わりをチェックすることができ、セキュリティ性をさらに向上させることができる。
次に、第6の実施の形態について説明する。
この第6の実施の形態は、個人認証処理の基本的な流れについては上記第1〜第5の実施の形態と同様であるが、記憶情報としてのID情報あるいはパスワードの構成あるいは設定方法について特徴があるものである。なお、生体情報による生体照合処理については、例えば、上記第1〜第4の実施の形態で説明した顔照合処理が適用できる。このため、この第6の実施の形態では、生体照合処理については詳細な説明を省略する。
この第6の実施の形態では、ID情報やパスワードなどの記憶情報として複数個の覚えやすいキーワードや画像などを用いる。例えば、記憶情報としては、花の名前、有名人の名前、食べ物の名前、色の名前、あるいはそれらの組み合わせなどが設定可能である。また、絵文字(アイコン)や実際の花の画像(サムネイル画像)をディスプレイ(表示部)1に表示し、それらのアイコン、サムネイル画像、あるいは、それらの組み合わせを記憶情報として用いるようにしても良い。
図23及び図24は、記憶情報としてのキーワードを選択するための選択画面の表示例を示す図である。図23は、キーワードのカテゴリを選択する選択画面の表示例である。図23に示す例では、キーワードのカテゴリとして、花の名前、有名人の名前、食べ物の名前、色の名前、…が番号に対応づけられて表示されている。すなわち、図23に示すような選択画面が表示されている場合、ユーザは、予め登録している記憶情報としてのキーワードのカテゴリを上記操作部5にて番号で選択する。
図24は、キーワードのカテゴリとして花の名前を選択した場合のキーワードの選択画面を示す表示例である。図24に示す選択画面は、例えば、図23に示すキーワードのカテゴリの選択画面において花の名前(番号:「1」)を選択した場合にディスプレイ1に表示される画面である。また、図24に示す例では、キーワードとして、花の名前の一覧が表示され、各花の名前(バラ、チューリップ、タンポポ、…)に番号が対応づけられている。図24に示す選択画面が表示されている場合、ユーザは、予め登録している記憶情報としてのキーワードの番号を上記操作部5にて選択する。また、図24に示す例では、キーワードとして複数のキーワードが選択できるようになっている。この場合、ユーザは、複数のキーワードを記憶情報として予め登録しておき、それらの複数のキーワードを選択する。
上記のように構成された記憶情報は、例えば、第4の実施の形態で説明した個人認証処理に適用される。この場合、基本的な個人認証処理の流れは、第4の実施の形態と同様であり、被認証者がキーワードを選択していく過程において、上記カメラ2が撮影した被認証者の顔画像による顔照合処理と平行して、ユーザが選択したキーワードによる候補者の絞込みと選択されたキーワードに対応する認証しきい値の変更を行う。
すなわち、被認証者の顔画像による顔照合処理の照合値と当該被認証者が選択したキーワードの量(記憶情報量)に応じた認証しきい値とを比較することにより、その認証しきい値を超えた時点で当該被認証者の認証が完了するように実施すればよい。また、この場合も、上記第4の実施の形態と同様に、被認証者が選択したキーワードの量(記憶情報の情報量)に対応する候補者の数と認証しきい値とは、予め設定されるものであり、例えば、記憶装置28に登録するようにすれば良い。
なお、上記の説明では、記憶情報としてキーワードに対応する番号を操作部5にて入力ものとして説明したが、これに限らず、アイコン(絵文字)、キーワードに対応するサムネイル画像(例えば、実際の花の画像)、あるいは、予め各ユーザが撮影した画像などを表示させて選択させてもよい。このように、記憶情報としてアイコン、サムネイル画像、あるいはユーザ自身が撮影した画像などを用いることにより、各ユーザが記憶すべき記憶情報を覚えやすくすることができる。
また、キーワードの選択における操作性を向上させるために、表示部1と操作部5とをタッチパネル内蔵の表示装置により構成し、表示部1としての表示装置に表示したキーワードやアイコンあるいはサムネイル画像等を操作部5としてのタッチパネルで選択するようにしても良い。
上記のように、第6の実施の形態では、生体情報による生体照合処理と併用して用いられる各登録者固有の記憶情報として各登録者が覚えやすいキーワードを予め登録しておき、被認証者が記憶情報を入力する場合には表示部に表示されるキーワードの一覧等から予め登録したキーワードを選択するようにしたものである。これにより、各被認証者による記憶情報の記憶や予め登録した記憶情報の入力操作を容易化し、利便性を向上させることができる。
1…表示部、2…カメラ、5…操作部、10…ユーザインターフェース部、11…ケーブル、12…処理部、21…処理プロセッサ、22…ワークメモリ、23…プログラムメモリ、24…画像メモリ、25…キャプチャボード、26…表示制御部、27…記憶装置インターフェース、28…記憶装置(辞書)、31…ドア制御部、32…ドア開閉機構