JP4508483B2 - 車両用空気調和装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空気調和装置に係り、特に、車両の後部に搭載可能な車両用空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の空気調和装置(車両用エアコン)は、一般に、車室内前方に位置するインストルメントパネル内に配置されている。
また、近年において、冷却用熱交換器であるエバポレータ(凝縮器)と加熱用熱交換器であるヒータコアとを一体ユニットとし、それにより、車室内の足元スペースを拡大すると共に製造コストを低減させるようにしたタイプのものが開発されている。
このようなエバポレータとヒータコアとを一体ユニットした車両用空気調和装置の例が、特開平10−250344号公報や特開平10−250345号公報に開示されている。これらの特許公報に記載された車両用空気調和装置においては、エバポレータの背後にヒータコアを配置し、これらのエバポレータ及びヒータコアをほぼ垂直に配置する構成が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、所謂ミニバンタイプの車両においては、車室スペースが大きくなることから、車両の前部に配置した空調装置のみでは空調能力が不足する場合が生じることがある。このような場合には、別の空調装置を追加して設けることになるが、この別の空調装置は、車両の後部である後輪のホイールハウスとDピラー(車両の最後部に設けられたピラー)との間に配置されることになる。
【0004】
しかしながら、後輪のホイールハウスとDピラーとの間のスペースは小さく、特に、車両の前後方向のスペースが限られたものとなっている。また、ミニバンタイプの車両においては、2列及び3列の乗員の乗降性の向上のために、後部ドアの開口部を大きくしてスライドドアとするものもあり、その分、後輪のホイールハウスが後方に移動し、ホイールハウスとDピラーとの間のスペースが狭くなる傾向がある。
このため、車両の後部に追加の空調装置を設ける場合、ホイールハウスとDピラーとの間の狭いスペースに空調装置を設けなければならない。
しかしながら、上述したような特許公報に記載されたような構造の従来の空調装置では、車両前後方向の長さが長く、スペース的に配置できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、従来からの要請を満たすためになされたものであり、車両の前後方向の長さを短くすることにより、車両の後部にも設置可能である車両用空気調和装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、車両の後輪のホイールハウスとDピラーとの間の空間に配置されベントモードとフットモードを有する車両用空気調和装置であって、ケーシングと、ケーシングの後方上部に形成されベントモードの際に温度調整された空気を吹出すためのベント吹出口と、ケーシングの前方部に形成されフットモードの際に温度調整された空気を吹出すためのフット吹出口と、ケーシング内の前方上方部にほぼ直立した状態で設けられたエバポレータと、このエバポレータの上流側に設けられ車室内空気を導入するための空気導入ダクトと、エバポレータと高さ方向において互いに重ならないようにケーシング内のエバポレータの下方に設けられ且つフット吹出口における流線に沿ってほぼ直角となるように配置されたヒータコアと、エバポレータの下流側に形成されベント吹出口まで延びる第1通路と、ヒータコアの後方側に形成され第1通路と連通する第1ヒータコア通路と、ヒータコアの前方側に形成され空気導入ダクトの下流側と連通可能な第2ヒータコア通路と、この第2ヒータコア通路と空気導入ダクトの下流側の間に設けられ、その開度を調整することにより、空気導入ダクトからエバポレータに流入する空気の量とエバポレータをバイパスして第2ヒータコア通路に流入する空気の量の割合を調整して、ベント吹出口及びフット吹出口からそれぞれ車室内に吹出される空気温度を調整する単一の温度調整用ダンパと、を有し、ベントモードの温度調整時は、温度調整用ダンパの開度を所定の開度にした状態で、ベント吹出口を開くと共にフット吹出口を閉じ、空気導入ダクトからの空気の一部がエバポレータに流入して冷却され、第1通路を経由して、ベント吹出口に到達し、空気導入ダクトからの残りの空気がエバポレータをバイパスして第2ヒータコア通路、ヒータコア及び第1ヒータ通路を通過して昇温され、第1通路を経由して、ベント吹出口に到達し、これらの冷却空気と昇温空気とがベント吹出口において混合され、所望の温度となってベント吹出口から車室内に流出されるように構成され、フットモードの温度調整時は、温度調整用ダンパの開度を所定の開度にした状態で、ベント吹出口を閉じると共にフット吹出口を開き、空気導入ダクトからの空気の一部がエバポレータ、第1通路、第1ヒータコア通路、ヒータコア、及び、第2ヒータコア通路を経由して、所定の温度まで調和されて、フット吹出口に到達し、空気導入ダクトからの残りの空気がエバポレータをバイパスして第2ヒータコア通路を経由して、未調和の状態で、ベント吹出口に到達し、これらの調和空気と未調和空気とがフット吹出口において混合され、所望の温度となってフット吹出口から車室内に流出されルように構成されていることを特徴特徴としている。
本発明において、好ましくは、エバポレータの下方に、凝縮水を排出するためのドレイン通路を設け、このドレイ通路がほぼロート形状を有する。
本発明において、好ましくは、温度調整用ダンパは、その第2ヒータコア通路側の面に、所定の形状の突起部材を形成している。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、車両の後輪のホイールハウスとDピラーとの間の空間に配置されベントモードとフットモードを有する車両用空気調和装置であって、ケーシングと、ケーシングの後方上部に形成されベントモードの際に温度調整された空気を吹出すためのベント吹出口と、ケーシングの前方部に形成されフットモードの際に温度調整された空気を吹出すためのフット吹出口と、ケーシング内の前方上方部にほぼ直立した状態で設けられたエバポレータと、このエバポレータの上流側に設けられ車室内空気を導入するための空気導入ダクトと、エバポレータと高さ方向において互いに重ならないようにケーシング内のエバポレータの下方に設けられ且つフット吹出口における流線に沿ってほぼ直角となるように配置されたヒータコアと、エバポレータの下流側に形成されベント吹出口まで延びる第1通路と、ヒータコアの後方側に形成され第1通路と連通する第1ヒータコア通路と、ヒータコアの前方側に形成され空気導入ダクトの下流側と連通するように第2ヒータコア通路と、この第2ヒータコア通路と空気導入ダクトの下流側の間に設けられ、その開度を調整することにより、空気導入ダクトからエバポレータに流入する空気の量とエバポレータをバイパスして第2ヒータコア通路に流入する空気の量の割合を調整して、ベント吹出口及びフット吹出口からそれぞれ車室内に吹出される空気温度を調整する単一の温度調整用ダンパと、を有し、ベントモードの温度調整時は、温度調整用ダンパの開度を所定の開度にした状態で、ベント吹出口を開くと共にフット吹出口を閉じ、空気導入ダクトからの空気の一部がエバポレータに流入して冷却され、第1通路を経由して、ベント吹出口に到達し、空気導入ダクトからの残りの空気がエバポレータをバイパスして第2ヒータコア通路、ヒータコア及び第1ヒータ通路を通過して昇温され、第1通路を経由して、ベント吹出口に到達し、これらの冷却空気と昇温空気とがベント吹出口において混合され、所望の温度となって上記ベント吹出口から車室内に流出されるように構成され、フットモードの温度調整時は、温度調整用ダンパの開度を所定の開度にした状態で、ベント吹出口を閉じると共にフット吹出口を開き、空気導入ダクトからの空気の一部がエバポレータに流入して冷却され、第1通路を経由して、ベント吹出口に到達し、空気導入ダクトからの残りの空気がエバポレータをバイパスして第2ヒータコア通路、ヒータコア及び第1ヒータ通路を通過して昇温され、第1通路を経由して、ベント吹出口に到達し、これらの冷却空気と昇温空気とがベント吹出口において混合され、所望の温度となってフット吹出口から車室内に流出されルように構成されていることを特徴としている。
本発明において、好ましくは、エバポレータの下方に、凝縮水を排出するためのドレイン通路を設け、このドレイ通路がほぼロート形状を有する。
本発明において、好ましくは、温度調整用ダンパは、その第2ヒータコア通路側の面に、所定の形状の突起部材を形成している。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の車両用空気調和装置の実施形態を説明する。
先ず、図1乃至図8により、本発明の車両用空気調和装置の第1実施形態を説明する。
図1に示すように、符号1は、所謂ミニバンタイプの車両を示し、この車両1には、車室内前方に位置するインストルメントパネル内に第1の空調ユニット2が配置され、車両1の後部に、本発明の実施形態である第2の空調ユニット4が配置されている。この第2の空調ユニット4は、後輪のホイールハウス6と車両の最後部のピラーであるDピラー8との間の狭い空間(スペース)に配置されている。
【0011】
図2には、本発明の実施形態である第2の空調ユニット4(以下、空気調和装置4と呼ぶ)の基本構成が示されており、この図2により、空気調和装置4の基本構造を説明する。
空気調和装置4は、空調ユニットケーシング10を備え、このケーシング10内の上方部には、冷却用熱交換器であるエバポレータ(蒸発器)12がほぼ直立した状態で取り付けられている。このエバポレータ12の下方には、加熱用熱交換器であるヒータコア14が、エバポレータ12と高さ方向において互いに重ならないように、斜めに傾斜した状態で取り付けられている。エバポレータ12は、図示しないコンプレッサやコンデンサ(凝縮器)等と冷媒配管で接続され、冷凍サイクルを構成している。また、ヒータコア14は、ラジエタ(図示せず)のエンジン冷却水(温水)を利用するものであるため、ラジエタ内の温水がヒータコア14まで重量落下できるように、ラジエタよりも下方に配置されている。
【0012】
次に、エバポレータ12の空気導入側(上流側)には、空気導入ダクト16が取り付けられている。この空気導入ダクト16の上流側は、室内空気を取り入れるための内気導入口(図示せず)に接続され、この内気導入口から導入された内気がエバポレータ12に導入されるようになっている。
また、ハウジング10の後方の上部には、乗員の上半身に向けて調和空気を吹出すためのベント吹出口18が形成されており、一方、ハウジング10の前方の下部には、乗員の足元に調和空気を吹出すためのフット吹出口20が形成されている。
このように、本実施形態では、2つのモード、即ち、ベント吹出口18が開きフット吹出口20が閉じたベントモードと、ベント吹出口18が閉じフット吹出口20が開いているフットモードにより運転可能である。
【0013】
エバポレータ12の空気流出側(下流側)には、ベント吹出口18まで延びる第1バイパス通路22が設けられており、例えば、ベントモードにおいて、エバポレータ12を通過した空気が第1バイパス通路22を通過することにより、ヒータコア14をバイパスしてベント吸出口18から吹出すようになっている。また、エバポレータ12の空気流出側には、フット吹出口20まで延びる第2バイパス通路24が設けられており、例えば、フットモードにおいて、エバポレータ12を通過した空気が第2バイパス通路24を経由してヒータコア14をバイパスしてフット吸出口20から吹出すようになっている。
さらに、ヒータコア14の後方側には、第1バイパス通路22及びベント吹出口18と連通する第1ヒータコア通路26が設けられ、ヒータコア14の前方側には、第2バイパス通路24及びフット吹出口20と連通する第2ヒータコア通路28が設けられている。
【0014】
ベント吹出口18には、モード切換用ダンパであるベントダンパ30が設けられ、フット吹出口20には、モード切換用ダンパであるフットダンパ32が設けられている。ベントモードのときは、ベントダンパ30を開いてベント吹出口18を開口し、フットダンパ32を閉じてフット吹出口20を閉鎖する。フットモードのときは、ベントダンパ30を閉じてベント吹出口18を閉鎖し、フットダンパ32を開いてフット吹出口20を開口する。
また、第2バイパス通路24のエバポレータ12側の端部(第2バイパス通路24の入口)には、温度調整用ダンパ34が設けられており、この温度調整用ダンパ34の開度を0%から100%まで調整することにより、エバポレータ12を通過した空気の内、第1バイパス通路22に流れる量と、第2バイパス通路24に流れる量の割合を調整することができるようになっている。即ち、温度調整用ダンパ34は、エバポレータ12からの空気が、温度調整用ダンパ34の開度0%で、すべて第2バイパス通路24に流入し、開度100%で、すべて第1バイパス通路22に流入するように配置されている。
【0015】
次に上述した本発明の第1実施形態の動作(作用)を説明する。図3及び図5は空気調和装置4のベントモードにおける空気の流れの様子を示す図であり、図6乃至図8は空気調和装置4のフットモードにおける空気の流れの様子を示す図である。
【0016】
第1に、図3に示すように、ベントモードにおいて、ベント吹出口18から吹出される調和空気を最大冷房状態(最大冷房時)にしたいときは、温度調整用ダンパ34を全閉(0%)とした状態で、ベントダンパ30を開きフットダンパ32を閉じる。各ダンパ30,32,34をこのように設定することにより、エバポレータ12により除湿及び冷却された空気は、ヒータコア14を通過することなく、即ち、第2バイパス通路24と通過せずに、全て、第1バイパス通路22を通過して、ベント吹出口18に到達し、所望の温度の空気が、ベント吹出口18から、車室内に流出される。
【0017】
第2に、図4に示すように、ベントモードにおいて、ベント吹出口18から吹出される調和空気を所望の温度に調整したいとき(温度調整時)は、温度調整用ダンパ34を所望の温度に基づき設定された所定の開度(0%と100%の間の開度)とした状態で、ベントダンパ30を開きフットダンパ32を閉じる。各ダンパ30,32,34をこのように設定することにより、エバポレータ12により除湿及び冷却された空気の一部は、第1バイパス通路22に入り、ベント吹出口18に到達し、残りの空気は、第2バイパス通路24、第2ヒータコア通路28、ヒータコア14及び第1ヒータ通路26を通過して昇温され、ベント吹出口18に到達する。このようにして、冷却空気と昇温空気とが、ベント吹出口18において、混合され、所望の温度となって、ベント吹出口18から、車室内に流出される。
【0018】
第3に、図5に示すように、ベントモードにおいて、ベント吹出口18から吹出される調和空気を最大暖房状態(最大冷房時)にしたいときは、温度調整用ダンパ34を全開(100%)とした状態で、ベントダンパ30を開きフットダンパ32を閉じる。各ダンパ30,32,34をこのように設定することにより、エバポレータ12により除湿された空気は、第1バイパス通路22を通過することなく、第2バイパス通路24、第2ヒータコア通路28、ヒータコア14及び第1ヒータ通路26を通過して昇温され、ベント吹出口18に到達し、所望の温度の空気が、ベント吹出口18から、車室内に流出される。
【0019】
第4に、図6に示すように、フットモードにおいて、フット吹出口20から吹出される調和空気を最大冷房状態(最大冷房時)にしたいときは、温度調整用ダンパ34を全開(100%)とした状態で、ベントダンパ30を閉じフットダンパ32を開く。各ダンパ30,32,34をこのように設定することにより、エバポレータ12により除湿及び冷却された空気は、ヒータコア14を通過することなく、即ち、第1バイパス通路22と通過せずに、全て、第2バイパス通路24を通過して、フット吹出口20に到達し、所望の温度の空気が、フット吹出口20から、車室内に流出される。
【0020】
第5に、図7に示すように、フットモードにおいて、フット吹出口20から吹出される調和空気を所望の温度に調整したいとき(温度調整時)は、温度調整用ダンパ34を所望の温度に基づき設定された所定の開度(0%と100%の間の開度)とした状態で、ベントダンパ30を閉じフットダンパ32を開く。各ダンパ30,32,34をこのように設定することにより、エバポレータ12により除湿及び冷却された空気の一部は、第1バイパス通路22、第1ヒータコア通路26、ヒータコア14及び第2ヒータコア通路28を経由して昇温されてフット吹出口20に到達し、残りの空気は、ヒータコア14を経由することなく、第2バイパス通路24を通過してフット吹出口20に到達する。このようにして、昇温空気と冷却空気とが、フット吹出口20において、混合され、所望の温度となって、フット吹出口20から、車室内に流出される。
【0021】
第6に、図8に示すように、フットモードにおいて、フット吹出口20から吹出される調和空気を最大暖房状態(最大冷房時)にしたいときは、温度調整用ダンパ34を全閉(0%)とした状態で、ベントダンパ30を閉じフットダンパ32を開く。各ダンパ30,32,34をこのように設定することにより、エバポレータ12により除湿された空気は、第2バイパス通路24を通過することなく、第1バイパス通路22、第1ヒータコア通路26、ヒータコア14及び第2ヒータコア通路28を通過して昇温され、フット吹出口20に到達し、所望の温度の空気が、フット吹出口20から、車室内に流出される。
【0022】
このように、本発明の第1実施形態によれば、エバポレータ12とヒータコア14とは、高さ方向において、互いに重ならないように配置されており、これにより、空気調和装置4の車両前後方向の長さを短くすることができ、狭い空間である後輪のホイールハウス6とDピラーとの間に配置することが可能となる。
また、エバポレータ12の後方である下流側に第1バイパス通路22及び第2バイパス通路24を設けると共に、これらの通路22,24に流入する空気の割合を温度調整用ダンパ34の開度を所定の値に設定することにより、ベント吹出口18及びフット吹出口20から、所望の温度の空気を吹出すことが可能となる。
さらに、ヒータコア14の後方側に第1ヒータ通路26を設け、ヒータコア14の前方側に第2ヒータコア通路28を設け、この第1ヒータコア通路26と第1バイパス通路22と連通させ、第2ヒータコア通路28と第2バイパス通路24を連通させるように配置したので、装置全体としてコンパクト化を図ることができる。
【0023】
次に、図9乃至図18により、本発明の車両用空気調和装置の第2実施形態を説明する。
図9に示すように、符号40は、空気調和装置を示し、この空気調和装置40も、第1実施形態と同様に、ミニバンタイプの車両1の後輪のホイールハウス6と車両の最後部のピラーであるDピラー8との間の狭い空間(スペース)に配置されている。
空気調和装置40は、空調ユニットケーシング42を備え、このケーシング42内の上方部には、エバポレータ12がほぼ直立した状態で取り付けられている。このエバポレータ12の下方には、ヒータコア14が、エバポレータ12と高さ方向において互いに重ならないように、斜めに傾斜した状態で取り付けられている。エバポレータ12は、第1実施形態と同様に、他の機器と接続され、冷房サイクルを構成している。また、ヒータコア14も、同様に、ラジエタ(図示せず)よりも下方に配置されている。
なお、このヒータコア14は、フット吹出口20における空気の流線に沿ってほぼ直角となるように配置され、それにより、ヒータコア14を通過する空気の通風抵抗を低減するようにしている。
【0024】
次に、エバポレータ12の空気導入側(上流側)には、空気導入ダクト16が取り付けられている。この空気導入ダクト16の上流側は、第1実施形態と同様に、室内空気を取り入れるための内気導入口(図示せず)に接続され、この内気導入口から導入された内気がエバポレータ12に導入されるようになっている。
また、ハウジング42の後方の上部には、乗員の上半身に向けて調和空気を吹出すためのベント吹出口18が形成されており、一方、ハウジング42の前方の下部には、乗員の足元に調和空気を吹出すためのフット吹出口20が形成されている。
この第2実施形態も、第1実施形態と同様に、ベントモード及びフットモードの2つのモードにより運転可能である。
【0025】
エバポレータ12の空気流出側(下流側)には、ベント吹出口18まで延びる第1通路44が設けられており、例えば、ベントモードにおいて、エバポレータ12を通過した空気がこの第1通路44を通過することにより、ヒータコア14をバイパスしてベント吸出口18から吹出すようになっている。
さらに、ヒータコア14の後方側には、第1通路44及びベント吹出口18と連通する第1ヒータコア通路46が設けられ、ヒータコア14の前方側には、フット吹出口20に連通すると共に、エバポレータ12を経由せずに、エバポレータ12の上流側、即ち、空気導入側ダクト16の下流側16aに直接連通する第2ヒータコア通路48が設けられている。
【0026】
第1実施形態と同様に、ベント吹出口18には、ベントダンパ30が設けられ、フット吹出口20には、フットダンパ32が設けられている。ベントモードのときは、ベントダンパ30を開いてベント吹出口18を開口し、フットダンパ32を閉じてフット吹出口20を閉鎖する。フットモードのときは、ベントダンパ30を閉じてベント吹出口18を閉鎖し、フットダンパ32を開いてフット吹出口20を開口する。
また、第2ヒータコア通路48と空気導入ダクト16の下流側16aとの間には、温度調整用ダンパ50が設けられており、この温度調整用ダンパ50の開度を0%から100%まで調整することにより、空気導入ダクト16からエバポレータ12に流入する空気の量と、エバポレータ12をバイパスして第2ヒータコア通路48に流入する空気の量の割合を調整することができるようになっている。即ち、温度調整用ダンパ50は、空気導入ダクト16からの空気が、温度調整用ダンパ34の開度0%で、すべてエバポレータ12に流入し、開度100%で、所定の割合でエバポレータ12及び第2ヒータコア通路48に流入するように配置されている。
【0027】
さらに、ケーシング42の下方端は、車両のフロアパネル52に接続している。このフロアパネル52には、エバポレータ12による凝縮水を排出するためのエバポレータ用排水管54及びヒータコア用配管56がそれぞれ取り付けられている。
【0028】
次に上述した本発明の第2実施形態の動作(作用)を説明する。図10及び図12は空気調和装置40のベントモードにおける空気の流れの様子を示す図であり、図13乃至図15は空気調和装置40のフットモードにおける空気の流れの様子を示す図である。
【0029】
第1に、図10に示すように、ベントモードにおいて、ベント吹出口18から吹出される調和空気を最大冷房状態(最大冷房時)にしたいときは、温度調整用ダンパ50を全閉(0%)とした状態で、ベントダンパ30を開きフットダンパ32を閉じる。各ダンパ30,32,50をこのように設定することにより、空気導入ダクト16からの空気の全てがエバポレータ12に流入し、この空気は、エバポレータ12により除湿及び冷却され、ヒータコア14を通過することなく、全て、第1通路44を通過して、ベント吹出口18に到達し、所望の温度の空気が、ベント吹出口18から、車室内に流出される。
【0030】
第2に、図11に示すように、ベントモードにおいて、ベント吹出口18から吹出される調和空気を所望の温度に調整したいとき(温度調整時)は、温度調整用ダンパ50を所望の温度に基づき設定された所定の開度(0%と100%の間の開度)とした状態で、ベントダンパ30を開きフットダンパ32を閉じる。各ダンパ30,32,50をこのように設定することにより、空気導入ダクト16からの空気の一部が、エバポレータ12に流入し、エバポレータ12により除湿及び冷却され、第1通路44に入り、ベント吹出口18に到達し、空気導入ダクト16からの残りの空気は、エバポレータ12をバイパスし、直接、第2ヒータコア通路48、ヒータコア14及び第1ヒータ通路46を通過して昇温され、第1通路44を経由して、ベント吹出口18に到達する。このようにして、冷却空気と昇温空気とが、ベント吹出口18において、混合され、所望の温度となって、ベント吹出口18から、車室内に流出される。
【0031】
第3に、図12に示すように、ベントモードにおいて、ベント吹出口18から吹出される調和空気を最大暖房状態(最大冷房時)にしたいときは、温度調整用ダンパ50を全開(100%)とした状態で、ベントダンパ30を開きフットダンパ32を閉じる。各ダンパ30,32,50をこのように設定することにより、空気導入ダクト16からの空気の一部(このときの空気量の割合は最少となっている)が、エバポレータ12に流入し、エバポレータ12により除湿及び冷却され、第1通路44に入り、ベント吹出口18に到達し、空気導入ダクト16からの残りの空気(このときの空気量の割合は最大となっている)は、エバポレータ12をバイパスし、直接、第2ヒータコア通路48、ヒータコア14及び第1ヒータ通路46を通過して昇温され、第1通路44を経由して、ベント吹出口18に到達する。このようにして、除湿された空気と昇温空気とが、ベント吹出口18において、混合され、所望の温度となって、ベント吹出口18から、車室内に流出される。
【0032】
第4に、図13に示すように、フットモードにおいて、フット吹出口20から吹出される調和空気を最大冷房状態(最大冷房時)にしたいときは、温度調整用ダンパ50を全閉(0%)とした状態で、ベントダンパ30を閉じフットダンパ32を開く。各ダンパ30,32,50をこのように設定することにより、空気導入ダクト16からの空気の全てがエバポレータ12に流入し、この空気は、エバポレータ12により除湿及び冷却され、第1通路44、第1ヒータコア通路46、ヒータコア14を通過し、第2ヒータコア通路48を通過して、フット吹出口20に到達し、所望の温度の空気が、フット吹出口20から、車室内に流出される。
【0033】
第5に、図14に示すように、フットモードにおいて、フット吹出口20から吹出される調和空気を所望の温度に調整したいとき(温度調整時)は、温度調整用ダンパ50を所望の温度に基づき設定された所定の開度(0%と100%の間の開度)とした状態で、ベントダンパ30を閉じフットダンパ32を開く。各ダンパ30,32,50をこのように設定することにより、空気導入ダクト16からの空気の一部がエバポレータ12に流入し、この空気は、エバポレータ12により除湿及び冷却され、第1通路22、第1ヒータコア通路46、ヒータコア14及び第2ヒータコア通路48を経由して、所定の温度まで冷却又は昇温され、フット吹出口20に到達し、残りの空気は、直接第2ヒータコア通路48に流入し、ヒータコア14を経由することなく、冷却も昇温もされない未調和状態で、吹出口20に到達する。このようにして、冷却又は昇温された空気と未調和の空気とが、フット吹出口20において、混合され、所望の温度となって、フット吹出口20から、車室内に流出される。
【0034】
第6に、図15に示すように、フットモードにおいて、フット吹出口20から吹出される調和空気を最大暖房状態(最大冷房時)にしたいときは、温度調整用ダンパ50を全開(100%)とした状態で、ベントダンパ30を閉じフットダンパ32を開く。各ダンパ30,32,50をこのように設定することにより、空気導入ダクト16からの空気の一部(このときの空気量の割合は最少となっている)がエバポレータ12に流入し、この空気は、エバポレータ12により除湿及び冷却され、第1通路22、第1ヒータコア通路46、ヒータコア14及び第2ヒータコア通路48を経由して、所定の温度まで昇温され、フット吹出口20に到達し、残りの空気(このときの空気量の割合は最大となっている)は、直接第2ヒータコア通路48に流入し、ヒータコア14を経由することなく、冷却も昇温もされない未調和状態で、吹出口20に到達する。このようにして、昇温された空気と未調和の空気とが、フット吹出口20において、混合され、所望の温度となって、フット吹出口20から、車室内に流出される。
【0035】
このように、本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、エバポレータ12とヒータコア14とは、高さ方向において、互いに重ならないように配置されており、これにより、空気調和装置40の車両前後方向の長さを短くすることができ、狭い空間である後輪のホイールハウス6とDピラーとの間に配置することが可能となる。
また、空気導入ダクト16の下流側16aと第2ヒータコア通路48との間に、温度調整用ダンパ50を設け、この温度調整用ダンパ50の開度を所定の値に設定し、空気導入ダクトからエバポレータ12に流入する空気の割合と、エバポレータ12をバイパスして直接第2ヒータコア通路48に流入する空気の割合を調整することにより、ベント吹出口18及びフット吹出口20から、所望の温度の空気を吹出すことが可能となる。
なお、第2実施形態においては、温度調整用ダンパ50を、空気導入ダクト16の下流側16aと第2ヒータコア通路48との間に設け、これにより、エバポレータ12をバイパスする未調和の空気を第2ヒータコア通路48に流入させるようにしたため、温度調整能力が、第1実施形態のものよりも多少劣ることになる。しかしながら、ケーシング42内の空気の通路構成が第1実施形態のものよりも簡単となり、その分、装置をコンパクトに構成することができる。
【0036】
次に、図16及び図17により、第2実施形態の別の態様を説明する。図16はドレイン通路を含む車両用空気調和装置を示す断面図であり、図17は、図16をR方向から見た図である。図16及び図17に示すように、エバポレータ12の下部には、エバポレータによる凝縮水を排出するためのドレイン通路60が配置されている。このドレイン通路60は、そのドレイン受け部60aがエバポレータ12の下部形状に沿った形状となっており、全体をロート形状とし、空気の通風抵抗が低減できるよになっている。また、ドレイン通路60は、第2ヒータコア通路48を形成する壁部材48aに取り付けられており、さらに、その下端部60bは、フロアパネル52に設けられたエバポレータ用排水管54に対向する位置まで延びている。
【0037】
次に、図18により、第2実施形態の更に別の態様を説明する。図18に示すように、第2実施形態における温度調整用ダンパ50は、空気導入ダクト16の下流側16aから、空気を第2ヒータコア通路48に直接導入するためのダンパとなっている。ここで、第2ヒータコア通路48には、空気導入ダクト16の下流側16aから直接空気が流入されるため、温度調整用ダンパ50が全開(100%)及びある程度の開度のときは問題がないが、図18に示すような、小開状態のときは、狭い通路に急激に高速の空気が流れることになる。このため、温度調整用ダンパ50による、エバポレータ12に流入する空気の量と、第2ヒータコア通路48に流入する空気の量の調整が、開度が小さな領域では、リニア関係とならないことが判明した。
そのため、第2実施形態では、温度調整用ダンパ50の第2ヒータコア通路48の側の面に、三角形状の突起部材62を取り付けるようにしている。温度調整用ダンパ50が小開度状態では、この突起部材62により、空気の通風抵抗を増大し、それにより、第2ヒータコア通路48内への急激な空気の導入が防止され、リニアな関係の空気量の調整が可能となる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明した本発明の車両用空気調和装置によれば、車両の前後方向の長さを短くすることができ、それにより、車両の後部にも設置可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用空気調和装置が搭載される車両を示す概略側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による車両用空気調和装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるベントモードの最大冷房時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるベントモードの温度調整時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるベントモードの最大暖房時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるフットモードの最大冷房時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態によるフットモードの温度調整時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態によるフットモードの最大暖房時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態による車両用空気調和装置を示す断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態によるベントモードの最大冷房時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態によるベントモードの温度調整時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるベントモードの最大暖房時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態によるフットモードの最大冷房時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態によるフットモードの温度調整時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態によるフットモードの最大暖房時の空気調和装置における空気の流れを示す図である。
【図16】本発明の第2実施形態の別態様におけるドレイン通路を含む車両用空気調和装置を示す断面図である。
【図17】図16をR方向から見た図である。
【図18】本発明の第2実施形態の更に別な態様における温度調整ダンパを拡大して示す部分図である。
【符号の説明】
1 車両
2 第1空調ユニット
4,40 第2空調ユニット(車両用空気調和装置)
8 Dピラー
10,42 ケーシング
12 エバポレータ
14 ヒータコア
16 空気導入ダクト
18 ベント吹出口
20 フット吹出口
22 第1バイパス通路
24 第2バイパス通路
26,46 第1ヒータコア通路
28,48 第2ヒータコア通路
30 ベントダンパ
32 フットダンパ
34,50 温度調整用ダンパ
44 第1通路
52 フロアパネル
54 エバポレータ用配管
56 ヒータコア用配管
60 ドレイン通路
62 突起部材

Claims (3)

  1. 車両の後輪のホイールハウスとDピラーとの間の空間に配置されベントモードとフットモードを有する車両用空気調和装置であって、
    ケーシングと、
    上記ケーシングの後方上部に形成されベントモードの際に温度調整された空気を吹出すためのベント吹出口と、
    上記ケーシングの前方部に形成されフットモードの際に温度調整された空気を吹出すためのフット吹出口と、
    上記ケーシング内の前方上方部にほぼ直立した状態で設けられたエバポレータと、
    このエバポレータの上流側に設けられ車室内空気を導入するための空気導入ダクトと、
    上記エバポレータと高さ方向において互いに重ならないように上記ケーシング内のエバポレータの下方に設けられ且つ上記フット吹出口における流線に沿ってほぼ直角となるように配置されたヒータコアと、
    上記エバポレータの下流側に形成され上記ベント吹出口まで延びる第1通路と、
    上記ヒータコアの後方側に形成され上記第1通路と連通する第1ヒータコア通路と、
    上記ヒータコアの前方側に形成され上記空気導入ダクトの下流側と連通可能な第2ヒータコア通路と、
    この第2ヒータコア通路と上記空気導入ダクトの下流側の間に設けられ、その開度を調整することにより、上記空気導入ダクトから上記エバポレータに流入する空気の量と上記エバポレータをバイパスして上記第2ヒータコア通路に流入する空気の量の割合を調整して、上記ベント吹出口及び上記フット吹出口からそれぞれ車室内に吹出される空気温度を調整する単一の温度調整用ダンパと、を有し、
    ベントモードの温度調整時は、上記温度調整用ダンパの開度を所定の開度にした状態で、上記ベント吹出口を開くと共に上記フット吹出口を閉じ、上記空気導入ダクトからの空気の一部が上記エバポレータに流入して冷却され、上記第1通路を経由して、上記ベント吹出口に到達し、上記空気導入ダクトからの残りの空気が上記エバポレータをバイパスして上記第2ヒータコア通路、上記ヒータコア及び上記第1ヒータ通路を通過して昇温され、上記第1通路を経由して、上記ベント吹出口に到達し、これらの冷却空気と昇温空気とが上記ベント吹出口において混合され、所望の温度となって上記ベント吹出口から車室内に流出されるように構成され、
    フットモードの温度調整時は、上記温度調整用ダンパの開度を所定の開度にした状態で、上記ベント吹出口を閉じると共に上記フット吹出口を開き、上記空気導入ダクトからの空気の一部が上記エバポレータ、上記第1通路、上記第1ヒータコア通路、上記ヒータコア、及び、上記第2ヒータコア通路を経由して、所定の温度まで調和されて、上記フット吹出口に到達し、上記空気導入ダクトからの残りの空気が上記エバポレータをバイパスして上記第2ヒータコア通路を経由して、未調和の状態で、上記ベント吹出口に到達し、これらの調和空気と未調和空気とが上記フット吹出口において混合され、所望の温度となって上記フット吹出口から車室内に流出されルように構成されていることを特徴とする車両用空気調和装置。
  2. 上記エバポレータの下方に、凝縮水を排出するためのドレイン通路を設け、このドレイ通路がほぼロート形状を有する請求項1記載の車両用空気調和装置。
  3. 上記温度調整用ダンパは、その第2ヒータコア通路側の面に、所定の形状の突起部材を形成している請求項1記載の車両用空気調和装置。
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