JP4507647B2 - ポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキ及び積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、残留溶剤が少なく、ポリプロピレンフィルムに対する密着性、塗膜強度、押出ラミネート強度に優れる、ポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキに関する。
近年、食品包装用を始め、包装材料として、各種のプラスチックフィルムが用いられている。ポロプロピレン系、ポリエステル系、ポリアミド系等が広く用いられている。包装材料に表面保護ばかりでなく、意匠性を付与するためにも印刷が施される。こうした印刷のために用いられるグラビアインキとして、従来から溶剤系インキが使用されてきているが、溶剤系インキは、残留溶剤の存在、耐油性の低下等の問題点がある。昨今、環境対応で水性化が期待され始め、残留溶剤量を低減できる水性グラビアインキの検討が始まっている。水性グラビアインキとしては、バインダー樹脂に水性ポリウレタン樹脂を使用したインキがある(例えば、特許文献1参照)。また、ポリプロピレンフィルムに対する密着性を上げるため塩素化ポリプロピレンを含有させたグラビアインキも開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、インキ安定性や押出ラミネート強度が未だ充分と言えない。特に延伸ポリプロピレンフィルムに印刷インキ層を介してポリプロピレン樹脂を押し出した場合に充分なラミネート強度が得られていない。更に、塩素化ポリプロピレン樹脂を含有するインキは、耐油性が弱く、内容物に油が入った物や油が入った製品に対して強度が低下する傾向があるとともに、塩素化ポリプロピレン樹脂は、燃焼時に塩素化合物を放出するため、環境保護の観点から、出来るだけ塩素化ポリプロピレンの使用を削減することが期待されている。
特開平10−130560号公報 特開平8−269381号公報
本発明の課題は、インキ安定性に優れ、基材であるポリプロピレンフィルムに対する密着性、押出ポリプロピレン樹脂とのラミネート強度、密着性に優れ、更に塩素化ポリプロピレン樹脂を含有しないポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキおよび該インキ層を有する積層体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、アクリル酸マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン樹脂を用いたインキを用いることにより、上記の課題を解決することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、アクリル酸マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン樹脂及びグリコール成分としてポリテトラメチレングリコールを必須とするポリエーテル系ウレタン樹脂を含有することを特徴とするポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキを提供する。
本発明は第二に、ポリプロピレンフィルム層、前記した印刷インキ層及び押出ポリプロピレン樹脂層をこの順に有する積層体を提供する。
本発明により、インキ保存安定性、ポリプロピレンに対する密着性、押出ラミネート適性に優れ、更に、塩素化ポリプロピレンを含有せず、残留溶剤も低減され環境に優しい積層体を得るためのポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキ及び該インキ層を有する積層体を提供することが出来る。
本発明は、アクリル酸マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン樹脂及びグリコール成分としてポリテトラメチレングリコールを必須とするポリエーテル系ウレタン樹脂を含有することを特徴とするポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキに関する。まず、本発明のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキについて以下に詳述する。
本発明のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキに使用するアクリル酸マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン樹脂は、主鎖にポリプロピレンを有する樹脂にアクリル酸とマレイン酸とをグラフト重合させた樹脂である。
前記したアクリル酸マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン樹脂のアクリル酸グラフト量が5〜30質量%であり、マレイン酸グラフト量が1〜10質量%であることが好ましい。
前記したアクリル酸マレイン酸グラフト変性PP樹脂の重量平均分子量は、50,000〜150,000、ガラス転移温度(Tg)は、50〜150℃であることが好ましい。
本発明のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキに使用するポリエーテル系ウレタン樹脂は、グリコール成分およびイソシアネート成分を有するウレタン樹脂であり、特にグリコール成分としてポリテトラメチレングリコールを必須とするポリエーテル系ウレタン樹脂である。ポリテトラメチレングリコールをグリコール成分の主成分とすることで、充分な押し出しポリプロピレン強度が得られる。ポリテトラメチレングリコールは、グリコール成分中に50〜100質量%含有されることが好ましい。より好ましくは、80〜100質量%である。ポリテトラメチレングリコール以外のグリコール成分としてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等を併用することができる。
イソシアネート成分としては、非芳香族系イソシアネートが好ましく用いられる。非芳香族系イソシアネートとして、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート系を用いることができる。
必要に応じて、アジピン酸、イソフタル酸、コハク酸等の酸成分を用いることができる。中和剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アンモニア、NaOH、KOH等を用いることができる。
本発明のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキに使用するポリエーテル系ウレタン樹脂は、分子量が50,000〜150,000、酸価が20〜30mgKOH/g、Tgが−10〜10℃程度であることが好ましい。
本発明のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキにおいては、アクリル酸マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン樹脂とポリエーテル系ウレタン樹脂の含有比率(不揮発分)は、30:70〜70:30(質量%)の範囲であることが好ましい。
アクリル酸マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン樹脂が30質量%より少ない場合は押出ポリプロピレン強度が得られにくく、70質量%を越えるとインキの安定性が悪くなる傾向があり、さらに再溶解性、塗膜強度が得られにくくなる。ウレタン樹脂が30質量%より少ない場合はポリプロピレンフィルム密着性、塗膜強度、再溶解性が得られにくく、70質量%を越える場合は充分な押出ポリプロピレン強度が得られにくい。
本発明のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキに用いる顔料ベース成分としては、アゾ系、ジアゾ系、フタロシアニン系等の顔料を、分散剤であるアクリル酸樹脂、溶剤イソプロピルアルコール、水とで練肉した高濃度顔料ベースが好ましく用いられる。顔料ベース中の不揮発分に対する顔料の含有割合は、70〜90質量%であることが好ましい。
本発明のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキに用いる溶剤は、水を基本として、他に水系の溶剤として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等のアルコールを併用することが出来る。配合比は、水:アルコールで100:0〜30:70であることが好ましい。
本発明のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキには、必要に応じて、他に、分散剤、消泡剤、レベリング剤、抗菌剤、防黴剤、有機溶剤等の添加剤を用いることが出来る。
本発明のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキは、通常グラビア用印刷インキに使用されるアトライター、サンドミル、ビーズミル、ボールミル、高速印刷機等で練肉され所定の粘度になるように調整する事により製造される。得られたポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキは印刷時に適性粘度になるまで希釈して、主として、ポリプロピレンフィルムに印刷され、一般包装用に用いられる。希釈液は水、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールを任意に配合したもの、または1種類を用いることができる。
次に、本発明の積層体について詳述する。本発明の積層体は、ポリプロピレンフィルム層、前記したポリプロピレン用水性グラビアインキ印刷層及び押出ポリプロピレン樹脂層をこの順に有することを特徴としている。基材フィルムとしては、特に、二軸延伸のポリプロピレンフィルムが好ましく用いられる。フィルムの厚さは、20〜80μm程度が好ましく、20〜40μmがより好ましい。フィルムの表面は、放電コロナ処理が施されていることが好ましい。
積層体の印刷層の厚みは、乾燥状態で、0.1〜5.0μm程度になるように印刷又は塗工することが望ましい。より好ましくは、0.1〜2.0μm程度である。
印刷乃至は塗工方式としては、従来公知の、正転乃至はリバースグラビア印刷方式が適用できる。グラビアコーターとしては、ナチュラルリバーススクイズコーター、ナチュラルリバースロールコーター、ナチュラルロールコーター、リバースロールコーター等があり、正転グラビアコーター方式が好ましく用いることができる。
基材フィルムに印刷後、押出ポリプロピレン樹脂が、Tダイより印刷面に押し出され積層体を形成する。押出ポリプロピレン樹脂としては、例えば、メルトフローレート(MI値)が20〜30g/min程度、融点が135〜165℃程度のポリプロピレン樹脂が用いられる。
押出ラミネートの条件は、280〜330℃、ニップ圧1〜10kg/cmラミネート速度50〜100m/min程度が好ましい。
本発明の積層体は、例えば、マヨネーズ等の外装用、即席ラーメン等の包装用等の用途で用いられ、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等を含有しない環境調和型包装材料として有用である。
以下に、実施例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定するものではない。部及び%は特に断らない限り質量部、質量%を表すものとする。
(実施例1)
ステンレスタンクに水性藍顔料ベースを35部、固形分を30%に調整した重量平均分子量10万、ガラス転移温度100℃、アクリル酸およびマレイン酸のグラフト量がそれぞれ15%および5%のアクリル酸マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を30部、固形分を30%に調整したポリテトラメチレングリコールおよびポリエチレングリコールの比率が90%および10%のグリコール成分と、イソホロンジイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分との共重合により得られる重量平均分子量10万、ガラス転移温度0℃、酸価25mgKOH/gのポリエーテル系ウレタン樹脂を30部、消泡剤0.1部、ワックス2部、イソプロピルアルコール1.4部、水1.5部を加え、30分攪拌し、実施例1インキを得た。この実施例1インキ100部を、水/エタノール=4/6の混合溶剤で希釈し、インキ粘度をザーンカップ#3で16〜18秒に調整した。この調整インキを、コロナ処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムにグラビア印刷し、この印刷物にポリプロピレン系樹脂(チッソポリプロXF9520:チッソ社製)を300℃の温度で押し出しラミネートした積層体を得た。
(実施例2)
ステンレスタンクに水性藍顔料ベースを35部、固形分を30%に調整した重量平均分子量12万、ガラス転移温度120℃、アクリル酸およびマレイン酸のグラフト量がそれぞれ20%および8%のアクリル酸マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を30部、固形分を30%に調整したポリテトラメチレングリコールが100%のグリコール成分と、イソホロンジイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分との共重合により得られる、重量平均分子量10万、ガラス転移温度0℃、酸価25mgKOH/gのポリエーテル系ウレタン樹脂を30部、消泡剤0.1部、ワックス2部、イソプロピルアルコール1.4部、水1.5部を加え、30分攪拌し、実施例2インキを得た。この実施例2インキ100部を、水/エタノール=4/6の混合溶剤で希釈し、インキ粘度をザーンカップ#3で16〜18秒に調整した。この調整インキを、コロナ処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムにグラビア印刷し、この印刷物にポリプロピレン系樹脂を300℃の温度で押し出しラミネートした積層体を得た。
(実施例3)
ステンレスタンクに水性藍顔料ベースを35部、固形分を30%に調整した重量平均分子量10万、ガラス転移温度100℃、アクリル酸およびマレイン酸のグラフト量がそれぞれ15%および5%のアクリル酸マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を30部、固形分を30%に調整したポリテトラメチレングリコールおよびポリエチレングリコールの比率が60%および40%のグリコール成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分との共重合により得られる重量平均分子量8万、ガラス転移温度−10℃、酸価20mgKOH/gのポリエーテル系ウレタン樹脂を30部、消泡剤0.1部、ワックス2部、イソプロピルアルコール1.4部、水1.5部を加え、30分攪拌し、実施例3インキを得た。この実施例3インキ100部を、水/エタノール=4/6の混合溶剤で希釈し、インキ粘度をザーンカップ#3で16〜18秒に調整した。この調整インキを、コロナ処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムにグラビア印刷し、この印刷物にポリプロピレン系樹脂を300℃の温度で押し出しラミネートした積層体を得た。
(実施例4)
ステンレスタンクに水性藍顔料ベースを35部、固形分を30%に調整した重量平均分子量10万、ガラス転移温度100℃、アクリル酸およびマレイン酸のグラフト量がそれぞれ5%および15%のアクリル酸マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を40部、固形分を30%に調整した、ポリテトラメチレングリコールおよびポリエチレングリコールの比率が80%および20%のグリコール成分と、イソホロンジイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分との共重合により得られる重量平均分子量10万、ガラス転移温度0℃、酸価25mgKOH/gのポリエーテル系ウレタン樹脂を20部、消泡剤0.1部、ワックス2部、イソプロピルアルコール1.4部、水1.5部を加え、30分攪拌し、実施例4インキを得た。この実施例4インキ100部を、水/エタノール=4/6の混合溶剤で希釈し、インキ粘度をザーンカップ#3で16〜18秒に調整した。この調整インキを、コロナ処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムにグラビア印刷し、この印刷物にポリプロピレン系樹脂を300℃の温度で押し出しラミネートした積層体を得た。
(実施例5)
ステンレスタンクに水性藍顔料ベースを35部、固形分を30%に調整した重量平均分子量10万、ガラス転移温度100℃、アクリル酸およびマレイン酸のグラフト量がそれぞれ15%および5%のアクリル酸マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を20部、固形分を30%に調整したポリテトラメチレングリコールおよびポリエチレングリコールの比率が90%および10%のグリコール成分と、イソホロンジイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分との共重合により得られる、重量平均分子量10万、ガラス転移温度0℃、酸価25mgKOH/gのポリエーテル系ウレタン樹脂を40部、消泡剤0.1部、ワックス2部、イソプロピルアルコール1.4部、水1.5部を加え、30分攪拌し、実施例5インキを得た。この実施例5インキ100部を、水/エタノール=4/6の混合溶剤で希釈し、インキ粘度をザーンカップ#3で16〜18秒に調整した。この調整インキを、コロナ処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムにグラビア印刷し、この印刷物にポリプロピレン系樹脂を300℃の温度で押し出しラミネートした積層体を得た。
(比較例1)
ステンレスタンクに水性藍顔料ベースを35部、固形分を30%に調整した重量平均分子量12万、ガラス転移温度140℃、アクリル酸のグラフト量が15%のアクリル酸変性塩素化ポリプロピレン樹脂を30部、固形分を30%に調整した、ポリテトラメチレングリコールおよびポリエチレングリコールの比率が40%および60%のグリコール成分と、イソホロンジイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分との共重合により得られる重量平均分子量16万、ガラス転移温度0℃、酸価15mgKOH/gのポリエーテル系ウレタン樹脂を30部、消泡剤0.1部、ワックス2部、イソプロピルアルコール1.4部、水1.5部を加え、30分攪拌し、比較例1インキを得た。この比較例1インキ100部を、水/エタノール=4/6の混合溶剤で希釈し、インキ粘度をザーンカップ#3で16〜18秒に調整した。この調整インキを、コロナ処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムにグラビア印刷し、この印刷物にポリプロピレン系樹脂を300℃の温度で押し出しラミネートした積層体を得た。
(比較例2)
ステンレスタンクに水性藍顔料ベースを35部、固形分を30%に調整した重量平均分子量10万、ガラス転移温度100℃、マレイン酸のグラフト量が15%のマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を30部、固形分を30%に調整した、ポリテトラメチレングリコールおよびポリエチレングリコールの比率が40%および60%のグリコール成分と、イソホロンジイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分との共重合により得られる、重量平均分子量8万、ガラス転移温度−25℃、酸価40mgKOH/gのポリエーテル系ウレタン樹脂を30部、消泡剤0.1部、ワックス2部、イソプロピルアルコール1.4部、水1.5部を加え、30分攪拌し、比較例2インキを得た。この比較例2インキ100部を、水/エタノール=4/6の混合溶剤で希釈し、インキ粘度をザーンカップ#3で16〜18秒に調整した。この調整インキを、コロナ処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムにグラビア印刷し、この印刷物にポリプロピレン系樹脂を300℃の温度で押し出しラミネートした積層体を得た。
(比較例3)
ステンレスタンクに水性藍顔料ベースを35部、固形分を30%に調整した重量平均分子量10万、ガラス転移温度100℃、アクリル酸およびマレイン酸のグラフト量がそれぞれ5%および15%のアクリル酸マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を57部、固形分を30%に調整した、ポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの比率が60%および40%のグリコール成分と、イソホロンジイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分との共重合により得られる重量平均分子量20万、ガラス転移温度5℃、酸価20mgKOH/gのポリエーテル系ウレタン樹脂を3部、消泡剤0.1部、ワックス2部、イソプロピルアルコール1.4部、水1.5部を加え、30分攪拌し、比較例3インキを得た。この比較例3インキ100部を、水/エタノール=4/6の混合溶剤で希釈し、インキ粘度をザーンカップ#3で16〜18秒に調整した。この調整インキを、コロナ処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムにグラビア印刷し、この印刷物にポリプロピレン系樹脂を300℃の温度で押し出しラミネートした積層体を得た。
(比較例4)
ステンレスタンクに水性藍顔料ベースを35部、固形分を30%に調整した重量平均分子量6万、塩素化度15%、ガラス転移温度80℃、マレイン酸のグラフト量3%のマレイン酸変性塩素化ポリプロピレン樹脂を30部、固形分を30%に調整したポリテトラメチレングリコールが100%のグリコール成分と、イソホロンジイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分との共重合により得られる重量平均分子量10万、ガラス転移温度0℃、酸価25mgKOH/gのポリエーテル系ウレタン樹脂を30部、消泡剤0.1部、ワックス2部、イソプロピルアルコール1.4部、水1.5部を加え、30分攪拌し、実施例1インキを得た。この実施例1インキ100部を、水/エタノール=4/6の混合溶剤で希釈し、インキ粘度をザーンカップ#3で16〜18秒に調整した。この調整インキを、コロナ処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムにグラビア印刷し、この印刷物にポリプロピレン系樹脂を300℃の温度で押し出しラミネートした積層体を得た。
(比較例5)
ステンレスタンクに溶剤型藍顔料ベースを30部、ウレタン変性樹脂50部、消泡剤0.1部、ワックス2部、トルエン10部、メチルエチルケトン7.9部を加え、30分攪拌し比較例5インキを作成した。この比較例5インキ100部を、トルエン/酢酸エチル/メチルエチルケトン=5/3/2の混合溶剤で希釈し、インキ粘度をザーンカップ#3で15〜16秒に調整した。この調整インキを、コロナ処理した無延伸ポリプロピレンフィルムにグラビア印刷し、この印刷物をポリプロピレン系樹脂で300℃の温度をかけて押し出しラミネートした積層体を得た。
実施例1〜5及び比較例1〜5の各インキにつき、インキ安定性を評価した。また押出ラミネート工程の前のポリプロピレンフィルム印刷物の段階で密着性、印刷物の残留溶剤量を評価した。さらに、各積層体につき、押出しラミネート強度を評価し、結果を表1に示す。尚、評価方法及びその判定基準は以下のとおりである。
押出しラミネート強度:テンシロン(オリエント社製)にてT型方向への剥離強度を測定する。ラミネート強度の単位はN/15mmで表す。
密着性:セロハン粘着テープ15mmを印刷インキ面に均一になるように押さえつけ、次にセロハン粘着テープを印刷インキ面より素早く剥離さす。この時セロハン粘着テープに取られたインキ塗膜の割合を調べる。
(○):インキ取られ無し。
(△):インキが全体の25%以内取られる
(×):フィルムが全体の25%以上取られる
インキ安定性:実施例インキ及び比較例インキを、40℃雰囲気下で2週間貯蔵することによりインキの安定性を目視および触感覚にて評価
(◎):沈殿および増粘無し
(○):若干の増粘有り
(△):若干の沈殿有り
(×):沈殿もしくは増粘有り
残留溶剤:二軸延伸ポリプロピレンフィルムにグラビア印刷機で各実施例、比較例における調整インキを100%ベタ柄で印刷し、巻き取った後に印刷物から1mを切り出してサンプルとする。サンプルを短冊状に断裁し、三角フラスコに入れ密栓し、80℃30分加熱する。その後マイクロシリンジで一定容積の溶剤蒸気を取り出し、ガスクロマトグラフィーで定量し、残留溶剤量を確認する。単位は、mg/mで表示する。
Figure 0004507647
上記の実験結果から、本発明の水性グラビアインキをポリプロピレン押出しラミネート積層体に用いたときに、優れた押出しラミネート強度、処理二軸延伸ポリプロピレンフィルムへの密着性、インキ安定性及び低残留溶剤量を有していることが示される。
上記の実験結果から、本発明の水性グラビアインキは、ポリプロピレン押出しラミネート積層体に用いたときに、優れた押出しラミネート強度、ポリプロピレンフィルム、特に、二軸延伸ポリプロピレンフィルムへの密着性、インキ安定性、及び低残留溶剤量を有していることが示される。
本発明のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキは、食品包装用を始め各種の環境対応型包装資材用途に広く使用することができる。

Claims (9)

  1. アクリル酸マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン樹脂及びグリコール成分としてポリテトラメチレングリコールを必須とするポリエーテル系ウレタン樹脂を含有することを特徴とするポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキ。
  2. 前記したアクリル酸マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン樹脂のアクリル酸グラフト量が5〜30質量%、マレイン酸グラフト量が1〜10質量%である請求項1に記載のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキ。
  3. 前記したアクリル酸マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量が50,000〜150,000、ガラス転移温度(Tg)が50〜150℃である請求項1又は2に記載のプロピレンフィルム用水性グラビアインキ。
  4. 前記したグリコール成分中のポリテトラメチレングリコールの含有量が50〜100質量%である請求項1に記載のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキ。
  5. 前記したグリコール成分としてポリテトラメチレングリコールを必須とするポリエーテル系ウレタン樹脂のイソシアネート成分が非芳香族系ジイソシアネートである請求項4に記載のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキ。
  6. 前記した非芳香族系ジイソシアネートが、イソホロンジイソシアネート及び又はヘキサメチレンジイソシアネートを有する請求項5に記載のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキ。
  7. 前記したグリコール成分としてポリテトラメチレングリコールを必須とするポリエーテル系ウレタン樹脂の重量平均分子量が50,000〜150,000、ガラス転移温度(Tg)が−10〜10℃、酸価が20〜30mgKOH/gである請求項1に記載のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキ。
  8. アクリル酸マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン樹脂とグリコール成分としてポリテトラメチレングリコールを必須とするポリエーテル系ウレタン樹脂の含有比率(不揮発分)が30:70〜70:30(質量%)である請求項1〜7の何れかに記載のポリプロピレンフィルム用水性グラビアインキ。
  9. ポリプロピレンフィルム層、前記請求項1〜8の何れかに記載の水性グラビアインキの印刷層及び押出ポリプロピレン樹脂層をこの順に有することを特徴とする積層体。

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