JP4507479B2 - テープ状記録媒体のローディング機構および情報処理装置 - Google Patents

テープ状記録媒体のローディング機構および情報処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カセットケースに収納されているテープ状の記録媒体を引き出し、円筒形状のドラムの外周の一部に巻き付けるテープ状記録媒体のローディング機構およびこのようなローディング機構を備えた情報処理装置に関する。詳しくは、記録媒体のローディングを行う傾斜ガイドおよびローラガイドを支持するシャトルを3点で支持することとし、この支持箇所のうちの2点の高さを独立して調整できるようにすることで、傾斜ガイドおよびローラガイドの姿勢を全方向にわたり調整できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
カセットケースに収納されたテープ状の記録媒体(以下、テープと称す)に対して情報の読み書きを行う装置として、磁気ヘッドを備え、かつ傾斜している円筒状のドラムにテープを巻き付けて情報の読み書きを行ういわゆるヘリカルスキャン方式を採用した装置がある。このような装置としては、コンピュータで処理される情報を記録する8mmテープストリーマや映像を記録するビデオデッキ等の情報処理装置がある。
【0003】
このように、テープがカセットケースに収納され、かつヘリカルスキャン方式を採用した情報処理装置では、カセットケースに収納されたテープを引き出し、ドラムに巻き付けるためのローディング機構が備えられている。このローディング機構は、カセットケースから引き出されるテープの方向をドラム方向に切り替えるローラガイドとローラガイドで方向を切り替えたテープをドラムの傾きに合わせて傾ける傾斜ガイドとを備えたシャトルを、ドラムの両側に移動可能に設ける。
【0004】
そして、このシャトルをカセットケース内からドラム近傍まで移動させることで、カセットケースからテープを引き出し、この引き出したテープをドラムの外周の一部に巻き付けるようになっている。
【0005】
さて、ドラムに精度良くテープを巻き付けるためには、ドラムに対する傾斜ガイドおよびローラガイドの傾斜角が、あらかじめ設計で設定されている値となっていることが重要であるが、従来、この傾斜ガイドおよびローラガイドの傾斜は、部品精度により管理していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、テープの薄型化等に伴って、傾斜ガイドおよびローラガイドに要求される傾斜角の精度が高まっており、部品精度では対応できない精度が要求されるようになってきた。
【0007】
このように、傾斜ガイドおよびローラガイドの傾斜角が要求される精度を満たさないと、テープカールや偏磨耗などのダメージを与え、ひいては記録された情報の破損や消失が起こるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、部品精度によらず、傾斜ガイドとローラガイドの傾斜角の精度を出すことができるテープ状記録媒体のローディング機構およびこのローディング機構を備えた情報処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明に係るテープ状記録媒体のローディング機構は、カセットケースに収納されているテープ状記録媒体を引き出し、引き出したテープ状記録媒体の方向をドラム方向に切り替えるローラガイドおよび引き出したテープ状記録媒体に、傾斜している円筒形状のドラムの傾きに合わせて傾きを与える傾斜ガイドを有し、引き出したテープ状記録媒体をドラムの外周の一部に巻き付ける2個のシャトルが、ドラムの両側に移動可能に設けられ、各シャトルは少なくとも3点の支点で支持されて傾斜ガイドおよびローラガイドの姿勢が規制されるとともに、この少なくとも3点の支点のうちの少なくとも2支点を独立して変位させるガイド姿勢調整手段をそれぞれのシャトルに対応して備え、ガイド姿勢調整手段は、シャトルの底面と接触する2つの凸部と、各凸部を支持する2本の付勢された支持部材と、2本の支持部材を独立して変形させる2本の調整ネジとから構成されるものである。
【0010】
また、本発明に係る情報処理装置は、このようなローディング機構が組み込まれたものである。すなわち、カセットケースに収納されているテープ状記録媒体を引き出し、傾斜している円筒形状のドラムの外周の一部に巻き付けるローディング機構を備えこのローディング機構は、カセットケースからテープ状記録媒体を引き出し、引き出したテープ状記録媒体の方向をドラム方向に切り替えるローラガイドおよび引き出したテープ状記録媒体にドラムの傾きに合わせて傾きを与える傾斜ガイドを有する2個のシャトルが、ドラムの両側に移動可能に設けられ、各シャトルは少なくとも3点の支点で支持されて傾斜ガイドおよびローラガイドの姿勢が規制されるとともに、この少なくとも3点の支点のうちの少なくとも2支点を独立して変位させるガイド姿勢調整手段をそれぞれのシャトルに対応して備え、ガイド姿勢調整手段は、シャトルの底面と接触する2つの凸部と、各凸部を支持する2本の付勢された支持部材と、2本の支持部材を独立して変形させる2本の調整ネジとから構成されるものである。
【0011】
上述した本発明では、シャトルを支持する3支点うちの1支点の高さを変位させると、残りの2点を支点としてシャトルの傾斜角が変化する。これに対して、2支点の高さを同量だけ変位させると、残りの1点を支点としてシャトルの傾斜角が変化する。これにより、傾斜ガイドおよびローラガイドの傾斜を任意の方向に調整でき、部品精度によらず、傾斜ガイドとローラガイドの傾斜角の精度を出すことができる。
【0012】
よって、このようなローディング機構が組み込まれた情報処理装置では、テープ状記録媒体にダメージを与えることがなく、記録された情報の破損や消失を防ぐことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明のローディング機構および情報処理装置の実施の形態の一例を説明する。すなわち、図1は情報処理装置に組み込まれた本実施の形態のローディング機構を示す斜視図である。本実施の形態のローディング機構は、カセットケース1から引き出したテープ1aをドラム2の外周の一部に巻き付ける傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bを支持するシャトル4L,4Rの傾きを調整するガイド姿勢調整手段として調整プレート5L,5Rを備えて、部品精度によらずに傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの傾き精度を出せるようにしたものである。
【0014】
ドラム2は円筒形状を有し、上部回転ドラム2aと下部固定ドラム2bとから構成される。ドラム2はシャーシ6に対して規定の傾斜を付けて取り付けられ、図示しないモータによって上部回転ドラム2aが回転する。そして、上部回転ドラム2aには2個ないし複数個の図示しない磁気ヘッドが設けられ、下部固定ドラム2bには、その外周面に段差を付けてなるテープガイド2cが設けられる。
【0015】
シャトル4Lおよびシャトル4Rは、ドラム2の左右両側に設けられる。シャトル4Lおよびシャトル4Rには、それぞれドラム2側に傾斜ガイド3aが設けられ、その外側にローラガイド3bが設けられる。傾斜ガイド3aは、ドラム2の傾きに合わせてそれぞれ所定の傾きとされており、シャトル4Lに設けられる傾斜ガイド3aはドラム2の方向に傾けられ、シャトル4Rに設けられる傾斜ガイド3aはドラム2と反対方向に傾けられる。なお、情報処理装置としては、テープ1aを走行させるキャプスタンローラ等が備えられるが、図1では図示しない。
【0016】
図2はシャトル4L,4Rの移動経路を示す平面図である。シャーシ6には、シャトル4L,4Rの移動経路を規制するガイド穴6aが設けられている。シャトル4L,4Rは、このガイド穴6aにガイドされて、傾斜ガイド3aとローラガイド3bがカセットケース1に入り込むローディング開始位置Sから、傾斜ガイド3aとローラガイド3bで引き出したテープ1aをドラム2の外周に巻き付けた状態を保持するローディング終了位置Eまでの間を、図示しない駆動機構により駆動されて移動する。
【0017】
このシャトル4L,4Rの移動経路は、ドラム2付近ではこのドラム2の外周に沿うような軌跡を通る。これにより、シャトル4L,4Rの移動によってテープ1aをカセットケース1から取り出し、ドラム2の外周の一部に巻き付けることができる。
【0018】
図3はシャトルを底面から見た斜視図である。シャトル4L,4Rの底面には、シャーシ6の表面に当接する3個の突起7fL,7fR,7rが備えられる。これら3個の突起7fL,7fR,7rは、その先端が丸みをもった形状で、平面と接触したとき、点で接触するようにしてある。また、これら3個の突起7fL,7fR,7rを設ける位置は、一列に並ばないように三角形の頂点とする。かつ、シャトル4L,4Rがガイド穴6aにガイドされて移動する際に、各突起7fL,7fR,7rの軌跡がガイド穴6aを通過しない、すなわちガイド穴6aに落下しない位置とする。
【0019】
そして、シャトル4L,4Rにおいて、ローディング開始位置Sからローディング終了位置Eへと移動する際の進行方向を前側、反対を後側としたとき、シャトル4Lとシャトル4Rは、それぞれ前側に2個の突起7fL,7fRが設けられ、後側に1個の突起7rが設けられる。
【0020】
ここで、シャトル4L,4Rは3個の突起7fL,7fR,7rによってシャーシ6に支持されるが、3個の突起7fL,7fR,7rの先端を通る平面は一義的に決まるので、シャーシ6上でシャトル4L,4Rの取り得る姿勢を規制できる。
【0021】
シャトル4L,4Rの底面には、ガイド穴6aに入る第1のガイドピン8aおよび第2のガイドピン8bが前後方向に並べて設けられる。そして、この前側に位置する第1のガイドピン8aの下端には、前方に向かってV字型に開くストッパ9が設けられる。
【0022】
図4はシャーシ6の裏面から見た平面図である。シャーシ6の裏面でガイド穴6aの前方には、それぞれ誘導手段としての誘導突起10が設けられる。この誘導突起10は、シャーシ6の裏面に近づくに従い径が太くなる逆円錐形状となっており、シャトル4L,4Rがローディング終了位置Eに到達すると、ストッパ9が誘導突起10に当接する。
【0023】
シャトル4L,4Rは、それぞれ2本のガイドピン8a,8bがガイド穴6aに入ることで、回転することなくガイド穴6aに沿って移動する。なお、左右のガイド穴6aの間には、ドラム2が取り付けられるドラム固定部6bが形成されている。
【0024】
図5はストッパ9と誘導突起10の動作を示す説明図である。なお、図5ではシャトル4L側を例に動作を説明するが、シャトル4R側も同様である。ストッパ9は第1ガイドピン8aによってシャーシ6の裏面に位置しており、その高さは、図5(a)に示すように逆円錐形状の誘導突起10のシャーシ6の裏面に近い側となっている。
【0025】
シャトル4Lがローディング終了位置Eに到達してストッパ9が誘導突起10に当接すると、図5(b)に示すように誘導突起10の形状に従ってストッパ9が矢印方向に押し下げられ、シャトル4Lをシャーシ6に押し付ける方向の力を発生させる。これにより、突起7fL,7fRは図1に示す調整プレート5L,5Rの後述するシャフト13L,13Rに押し付けられ、突起7rはシャーシ6に押し付けられる。
【0026】
図4に戻り、シャーシ6の裏面には固定ネジ11により調整プレート5L,5Rが取り付けられている。図6は調整プレートの斜視図で、調整プレート5Lは、一体となっている根元から二手に分かれて延在する付勢された支持部材としての2本のバネ部12L,12Rと、それぞれのバネ部12L,12Rの先端から鉛直方向に突出する凸部としての円筒形状のシャフト13L,13Rとから構成される。そして、このシャフト13L,13Rの先端は平面としてある。
【0027】
また、調整プレート5Rは、一体となっている根元から二手に分かれて延在する2本のバネ部14L,14Rと、それぞれのバネ部14L,14Rの先端から鉛直方向に突出する円筒形状のシャフト15L,15Rとから構成される。そして、このシャフト15L,15Rの先端は平面としてある。
【0028】
調整プレート5Lは、2本のバネ部12L,12Rのそれぞれ根元の部分に取り付け穴11aが設けられ、この取り付け穴11aにネジ11を通して、図4に示すようにシャーシ6の裏面に固定される。これにより、シャフト13L,13R側が自由端となっており、また、一方のバネ部の変形が他方に伝わらないようにしてある。同様にして、調整プレート5Rは、図6に示すように2本のバネ部14L,14Rのそれぞれ根元の部分に取り付け穴11aが設けられ、この取り付け穴11aにネジ11を通して、図4に示すようにシャーシ6の裏面に固定される。これにより、シャフト15L,15R側が自由端となっており、また、一方のバネ部の変形が他方に伝わらないようにしてある。
【0029】
図1に戻り、シャーシ6には、シャトル4Lが図2に示すローディング終了位置Eにあるときに、図3に示す突起7fL,7fRと対向する位置に貫通穴が設けられ、この貫通穴に調整プレート5Lのシャフト13L,13Rが入れられる。また、ローディング終了位置Eにあるシャトル4Rの突起7fL,7fRと対向する位置に貫通穴が設けられ、この貫通穴に調整プレート5Rのシャフト15L,15Rが入れられる。これにより、調整プレート5Lのシャフト13L,13Rの先端および調整プレート5Rのシャフト15L,15Rの先端はシャーシ6の表面に露出する。
【0030】
そして、シャトル4L,4Rがローディング終了位置Eに到達すると、シャトル4Lの突起7fLは調整プレート5Lのシャフト13Lに接触し、突起7fRは調整プレート5Lのシャフト13Rに接触する。また、シャトル4Rの突起7fLは調整プレート5Rのシャフト15Lに接触し、突起7fRは調整プレート5Rのシャフト15Rに接触する。
【0031】
シャーシ6には、調整プレート5Lのバネ部12L,12Rをそれぞれ変形させる調整ネジ16L,16Rがねじ込まれている。また、調整プレート5Rのバネ部14L,14Rをそれぞれ変形させる調整ネジ17L,17Rがねじ込まれている。
【0032】
調整ネジ16Lの先端は、調整プレート5Lのバネ部12Lのシャフト13Lが設けられる部分の手前に当接し、調整ネジ16Rの先端は、調整プレート5Lのバネ部12Rのシャフト13Rが設けられる部分の手前に当接している。よって、調整ネジ16Lを回すことでバネ部12Lが変形し、調整ネジ16Rを回すことでバネ部12Rがバネ部12Lとは独立して変形する。これにより、調整プレート5Lのバネ部12Lに設けたシャフト13Lとバネ部12Rに設けたシャフト13Rの高さを独立して変位させることができる。
【0033】
同様にして、調整ネジ17Lの先端は、調整プレート5Rのバネ部14Lのシャフト15Lが設けられる部分の手前に当接し、調整ネジ17Rの先端は、調整プレート5Rのバネ部14Rのシャフト15Rが設けられる部分の手前に当接している。よって、調整ネジ17Lを回すことでバネ部14Lが変形し、調整ネジ17Rを回すことでバネ部14Rがバネ部14Lとは独立して変形する。これにより、調整プレート5Rのバネ部14Lに設けたシャフト15Lとバネ部14Rに設けたシャフト15Rの高さを独立して変位させることができる。
【0034】
図7および図8は本実施の形態のローディング機構の動作を示す説明図で、以下に傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの傾斜の調整方法について説明する。まず、図7では、傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの左右方向(ドラム2に対して接近,離間する方向)の傾斜の調整について説明する。
【0035】
傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの傾斜を調整するため、まず、シャトル4L,4Rの位置を図2に実線で示すローディング終了位置Eとなるように移動させる。シャトル4L,4Rがローディング終了位置Eにあると、図5で説明したように、ストッパ9と誘導突起10の協働でシャトル4L,4Rはシャーシ6に押し付けられるので、シャトル4Lの突起7fLは調整プレート5Lのシャフト13Lに接触し、突起7fRは調整プレート5Lのシャフト13Rに接触する。
【0036】
さて、この状態で調整ネジ16Lを締める方向に回していくと、この調整ネジ16Lのシャーシ6裏面からの突出量が増加する。これにより、図1および図6に示すバネ部12Lの先端側が押し下げられ、このバネ部12Lの先端に設けたシャフト13Lが図7に矢印aで示すように下降する。
【0037】
このシャフト13Lにはシャトル4Lの突起7fLが接触しており、かつ、シャトル4Lがローディング終了位置Eにあるとき、ストッパ9と誘導突起10の協働でシャトル4Lにはこれを押し下げられる力が加わっているので、シャフト13Lの下降に伴い突起7fLが下降することになる。
【0038】
これにより、シャトル4Lは、矢印bで示すように突起7fRと図3に示す突起7rを支点に突起7fL側が下がる方向に傾斜する。よって、シャトル4Lに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bは、その上部がドラム2から離れる方向に傾斜する。
【0039】
今度は、調整ネジ16Rを締める方向に回していくと、この調整ネジ16Rのシャーシ6裏面からの突出量が増加する。これにより、図1および図6に示すバネ部12Rの先端側が押し下げられ、このバネ部12Rの先端に設けたシャフト13Rが図7に矢印cで示すように下降する。
【0040】
このシャフト13Rにはシャトル4Lの突起7fRが接触しており、かつ、シャトル4Lがローディング終了位置Eにあるとき、ストッパ9と誘導突起10の協働でシャトル4Lにはこれを押し下げられる力が加わっているので、シャフト13Rの下降に伴い突起7fRが下降することになる。
【0041】
これにより、シャトル4Lは、矢印dで示すように突起7fLと図3に示す突起7rを支点に突起7fR側が下がる方向に傾斜する。よって、シャトル4Lに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bは、その上部がドラム2に近づく方向に傾斜する。
【0042】
このように、調整ネジ16Lあるいは調整ネジ16Rのどちらか一方を締める方向に回すことで、シャトル4Lに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの、ドラム2に対する左右方向の傾きを調整できる。
【0043】
なお、調整ネジ16Lおよび調整ネジ16Rが、その先端がシャーシ6の裏面から突出する位置までねじ込まれており、バネ部12Lおよびバネ部12Rの先端側がシャーシ6の裏面から浮き上がっている状態にあるときは、調整ネジ16Lあるいは調整ネジ16Rを緩める方向に回すことでも、シャトル4Lに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの左右方向の傾きを調整できる。
【0044】
さらに、調整ネジ16Lと調整ネジ16Rの間でその締め込み量あるいは緩め量を変えることでも、シャトル4Lに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの左右方向の傾きを調整できる。
【0045】
なお、シャトル4R側の調整も同様に行える。すなわち、シャトル4Rがローディング終了位置Eにあると、シャトル4Rの突起7fLは調整プレート5Rのシャフト15Lに接触し、突起7fRは調整プレート5Rのシャフト15Rに接触する。
【0046】
この状態で調整ネジ17Lを締める方向に回していくと、この調整ネジ17Lのシャーシ6裏面からの突出量が増加する。これにより、図1および図6に示すバネ部14Lの先端側が押し下げられ、このバネ部14Lの先端に設けたシャフト15Lが図7に矢印eで示すように下降する。
【0047】
このシャフト15Lにはシャトル4Rの突起7fLが接触しており、かつ、シャトル4Rがローディング終了位置Eにあるとき、ストッパ9と誘導突起10の協働でシャトル4Rにはこれを押し下げられる力が加わっているので、シャフト15Lの下降に伴い突起7fLが下降することになる。
【0048】
これにより、シャトル4Rは、矢印fで示すように突起7fRと図3に示す突起7rを支点に突起7fL側が下がる方向に傾斜する。よって、シャトル4Rに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bは、その上部がドラム2に近づく方向に傾斜する。
【0049】
今度は、調整ネジ17Rを締める方向に回していくと、この調整ネジ17Rのシャーシ6裏面からの突出量が増加する。これにより、図1および図6に示すバネ部14Rの先端側が押し下げられ、このバネ部14Rの先端に設けたシャフト15Rが図7に矢印gで示すように下降する。
【0050】
このシャフト15Rにはシャトル4Rの突起7fRが接触しており、かつ、シャトル4Rがローディング終了位置Eにあるとき、ストッパ9と誘導突起10の協働でシャトル4Rにはこれを押し下げられる力が加わっているので、シャフト15Rの下降に伴い突起7fRが下降することになる。
【0051】
これにより、シャトル4Rは、矢印hで示すように突起7fLと図3に示す突起7rを支点に突起7fR側が下がる方向に傾斜する。よって、シャトル4Rに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bは、その上部がドラム2から離れる方向に傾斜する。
【0052】
このように、調整ネジ17Lあるいは調整ネジ17Rのどちらか一方を締める方向に回すことで、シャトル4Rに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの、ドラム2に対する左右方向の傾きを調整できる。
【0053】
なお、調整ネジ17Lおよび調整ネジ17Rが、その先端がシャーシ6の裏面から突出する位置までねじ込まれており、バネ部14Lおよびバネ部14Rの先端側がシャーシ6の裏面から浮き上がっている状態にあるときは、調整ネジ17Lあるいは調整ネジ17Rを緩める方向に回すことでも、シャトル4Rに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの左右方向の傾きを調整できる。
【0054】
さらに、調整ネジ17Lと調整ネジ17Rの間でその締め込み量あるいは緩め量を変えることでも、シャトル4Rに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの左右方向の傾きを調整できる。
【0055】
次に、図8を用いて傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの前後方向の傾斜の調整について説明する。なお、図8では、シャトル4L側の調整を例に説明するが、シャトル4R側でも同じ調整ができる。
【0056】
まず、シャトル4Lを図2に実線で示すローディング終了位置Eに移動させ、シャトル4Lの突起7fLを調整プレート5Lのシャフト13Lに接触させ、突起7fRを調整プレート5Lのシャフト13Rに接触させる。
【0057】
この状態で調整ネジ16Lおよび調整ネジ16Rを略同じ量だけ締める方向に回していくと、調整ネジ16Lおよび調整ネジ16Rのシャーシ6裏面からの突出量が増加する。これにより、バネ部12Lの先端側およびバネ部12Rの先端側が押し下げられ、シャフト13Lおよびシャフト13Rが同量だけ矢印i方向に下降する。
【0058】
このように、シャトル4Lの突起7fLおよび突起7fRを支持するシャフト13Lおよびシャフト13Rが略同量だけ下降すると、シャトル4Lは、突起7rを支点に突起7fL,7fRが設けられる前側が下がる矢印j方向に傾斜する。よって、シャトル4Lに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bは、その上部が前方に傾斜する。
【0059】
調整ネジ16Lおよび調整ネジ16Rの先端がシャーシ6の裏面から突出する位置まで調整ネジ16Lおよび調整ネジ16Rがねじ込まれており、バネ部12Lの先端側およびバネ部12Rの先端側がシャーシ6の裏面から浮き上がっている状態にあるとする。この状態から調整ネジ16Lおよび調整ネジ16Rを略同じ量だけ緩める方向に回していくと、調整ネジ16Lおよび調整ネジ16Rのシャーシ6裏面からの突出量が減少する。これによりバネ部12Lおよびバネ部12Rは蓄えられていた力により変形が戻り、シャフト13Lおよびシャフト13Rを略同量だけ矢印k方向に上昇させる。
【0060】
このように、シャトル4Lの突起7fLおよび突起7fRを支持するシャフト13Lおよびシャフト13Rが略同量だけ上昇すると、シャトル4Lは、突起7rを支点に突起7fL,7fRが設けられる前側が上がる矢印l方向に傾斜する。よって、シャトル4Lに支持されている傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bは、その上部が後方に傾斜する。
【0061】
図7および図8で説明したように、シャトル4L側の傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの傾斜角の調整は、調整ネジ16L,16Rを回して調整プレート5Lのシャフト13L,13Rを変位させることで行え、シャトル4R側の傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの傾斜角の調整は、調整ネジ17L,17Rを回して調整プレート5Rのシャフト15L,15Rを変位させることで行える。そして、実際の調整はシャトル4L,4Rをローディング終了位置Eに位置させ、図示しない測定冶具で傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの傾斜角を監視しながら、調整ネジ16L,16R、および調整ネジ17L,17Rを回して行う。
【0062】
これにより、シャーシ6においてシャトル4L,4Rの3箇所の突起7fL,7fR,7rが当接する箇所の平面度、および突起7fL,7fR,7rの高さの精度に頼ることなく、傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの傾斜角をあらかじめ決められている設定値とすることができる。また、調整箇所がシャトル1つあたり2箇所設けられるので、傾斜ガイド3aおよびローラガイド3bの傾斜を全方向にわたり調整できるので、設定値の自由度が高い。
【0063】
そして、シャトル4L,4Rがローディング終了位置Eに来たとき、突起7fL,7fRと接触するようにシャフト13L,13Rおよびシャフト15L,15Rを設けることで、調整時の傾斜角を実際のテープ走行時に正確に再現できる。
【0064】
また、シャトル4L,4Rがローディング終了位置Eに来たとき、誘導突起10の形状に沿ってストッパ9を移動させることで、シャトル4L,4Rをシャーシ6に押し付ける力を発生させるので、シャトル4L,4Rがローディング終了位置Eに到達するに際して過負荷が生じることはなく、シャトル4L,4Rがローディング終了位置Eに到達できない、というようなことがない。そして、シャトル4L,4Rがローディング終了位置Eにあるとき、3箇所の突起7fL,7fR,7rは浮き上がることはなく、調整時の傾斜角を実際のテープ走行時に正確に再現できる。
【0065】
なお、本実施の形態では、シャトル4L,4Rに3箇所の突起7fL,7fR,7rを設けることとしたが、突起7fL,7fRを設けず平面とし、これに対して、調整プレート5Lのシャフト13L,13Rおよび調整プレート5Rのシャフト15L,15Rの高さをそれぞれ突起7fL,7fRの分だけ高くし、かつ、先端に丸みを持たせた形状としてもよい。
【0066】
このような構成としても、シャトル4L,4Rがローディング終了位置Eに来たときは、シャトル4Lの前側はシャフト13L,13Rに過負荷なく乗り上げ、結果として、シャフト13L,13Rと突起7rの3点で支持されることになり、また、シャトル4Rの前側はシャフト15L,15Rに過負荷なく乗り上げ、結果として、シャフト15L,15Rと突起7rの3点で支持されることになって、シャトル4L,4Rは安定した姿勢を保ち、かつ、調整時の傾斜角を実際のテープ走行時に正確に再現できる。
【0067】
また、調整プレート5L,5Rの一部を凸状に変形加工することで、シャフト13L,13Rおよびシャフト15L,15Rと同等の効果を持たせることができる。
さらに、調整プレート5L,5Rは、シャフト13L,13Rおよびシャフト15L,15Rをそれぞれヒンジを介してシャーシ6に取り付けられるアームで支持し、このアームをコイルバネ等で上方に付勢するような構成としてもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のローディング機構は、ドラムにテープ状の記録媒体を巻き付ける傾斜ガイドおよびローラガイドを支持するシャトルが少なくとも3点で支持され、この少なくとも3点の支持箇所の中の少なくとも2点を独立して変位させる調整手段を設けたので、傾斜ガイドおよびローラガイドの傾斜角を、全方向にわたり調整できる。
【0069】
これにより、部品の精度に頼ることなく、傾斜ガイドおよびローラガイドの傾斜角をあらかじめ決められている設定値にすることができ、各部品に対する厳しい精度管理が不要となりコストダウンが図れる。
【0070】
また、傾斜ガイドおよびローラガイドの傾斜角を設定値通りにできるので、テープ状記録媒体の偏磨耗等のダメージの発生を防ぐことができる。さらに、傾斜ガイドおよびローラガイドの傾斜角を全方向にわたり調整できるので、傾斜角の設定値の自由度が高い。
【0071】
よって、このようなローディング機構が組み込まれた情報処理装置では、テープ状記録媒体にダメージを与えることがなく、記録された情報の破損や消失を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のローディング機構を示す斜視図である。
【図2】シャトルの移動経路を示す平面図である。
【図3】シャトルを底面から見た斜視図である。
【図4】シャーシを裏面から見た平面図である。
【図5】ストッパと誘導突起の動作を示す説明図である。
【図6】調整プレートの斜視図である。
【図7】本実施の形態のローディング機構の動作を示す説明図である。
【図8】本実施の形態のローディング機構の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・カセットケース
1a・・・テープ
2・・・ドラム
2a・・・上部回転ドラム
2b・・・下部回転ドラム
3a・・・傾斜ガイド
3b・・・ローラガイド
4L,4R・・・シャトル
5L,5R・・・調整プレート
6・・・シャーシ
6a・・・ガイド穴
7fL,7fR,7r・・・突起
8a・・・第1のガイドピン
8b・・・第2のガイドピン
9・・・ストッパ
10・・・誘導突起
11・・・取り付けネジ
12L,12R・・・バネ部
13L,13R・・・シャフト
14L,14R・・・バネ部
15L,15R・・・シャフト
16L,16R・・・調整ネジ
17L,17R・・・調整ネジ

Claims (4)

  1. カセットケースに収納されているテープ状記録媒体を引き出し、引き出したテープ状記録媒体の方向をドラム方向に切り替えるローラガイドおよび引き出したテープ状記録媒体に、傾斜している円筒形状の前記ドラムの傾きに合わせて傾きを与える傾斜ガイドを有し、引き出したテープ状記録媒体を前記ドラムの外周の一部に巻き付ける2個のシャトルが、ドラムの両側に移動可能に設けられ、
    前記各シャトルは少なくとも3点の支点で支持されて前記傾斜ガイドおよびローラガイドの姿勢が規制されるとともに、
    この少なくとも3点の支点のうちの少なくとも2支点を独立して変位させるガイド姿勢調整手段をそれぞれのシャトルに対応して備え
    前記ガイド姿勢調整手段は、前記シャトルの底面と接触する2つの凸部と、前記各凸部を支持する2本の付勢された支持部材と、前記2本の支持部材を独立して変形させる2本の調整ネジとから構成される
    テープ状記録媒体のローディング機構。
  2. 前記シャトルの底面に前記支点として3個の突起が設けられ、
    前記凸部は、前記シャトルが前記テープ状記録媒体を前記ドラムに巻き付ける位置にあるときに、前記3個の突起の中の2個の突起とそれぞれ接触する位置に設けられる
    請求項1記載のテープ状記録媒体のローディング機構。
  3. 前記シャトルが前記テープ状記録媒体を前記ドラムに巻き付ける位置にあるとき、前記シャトルが前記凸部に押し付けられる方向に前記シャトルの位置を変位させる誘導手段を備えた
    請求項2記載のテープ状記録媒体のローディング機構。
  4. カセットケースに収納されているテープ状記録媒体を引き出し、傾斜している円筒形状のドラムの外周の一部に巻き付けるローディング機構を備え、
    前記ローディング機構は、前記カセットケースから前記テープ状記録媒体を引き出し、引き出したテープ状記録媒体の方向を前記ドラム方向に切り替えるローラガイドおよび引き出したテープ状記録媒体に前記ドラムの傾きに合わせて傾きを与える傾斜ガイドを有する2個のシャトルが、ドラムの両側に移動可能に設けられ、
    前記各シャトルは少なくとも3点の支点で支持されて前記傾斜ガイドおよびローラガイドの姿勢が規制されるとともに、
    この少なくとも3点の支点のうちの少なくとも2支点を独立して変位させるガイド姿勢調整手段をそれぞれのシャトルに対応して備え、
    前記ガイド姿勢調整手段は、前記シャトルの底面と接触する2つの凸部と、前記各凸部を支持する2本の付勢された支持部材と、前記2本の支持部材を独立して変形させる2本の調整ネジとから構成される
    情報処理装置。
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