JP4507269B2 - 電子機器の端子構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子台の被嵌合孔に端子ピンを嵌合保持して構成される電子機器の端子構造に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、例えばDC/DCコンバータなどに代表されるこの種の薄型電子機器は、図6に示すように、発熱部品51を含む各種電子部品を実装した本体基板52と、発熱部品51との間に放熱シリコーン部材53を介在させて、この発熱部品51と熱的に接続される例えばアルミニウムなどの放熱板54とを備えて構成され、本体基板52と放熱板54との間に円筒状のスペーサ55を介在させ、このスペーサ55の中心部を挿通して本体基板52の表面側から放熱板54の四隅に形成したタップ穴56にねじ57を螺着することにより、放熱板54を発熱部品51側に押圧した状態で取付け固定することができる。そして、発熱部品51からの熱は、熱伝導性のよい放熱シリコーン部材53を経て放熱板54の速やかに達し、そこで周辺の空気と熱交換して放熱される。なお、各発熱部品51の放熱性を高めるために、発熱部品51に対面していない放熱板54の外側面に、例えばアルミニウム製のヒートシンク(図示せず)を設けることもある。
【0003】
こうした従来の電子機器においては、発熱部品51からの熱を放熱板54に確実に伝えるために、放熱板54を若干発熱部品51側に押圧させた状態で取付け固定させる必要があるが、従来の場合はそれを実現するために、本体基板52と放熱板54との間にスペーサを介在させた上に、放熱板54側にねじ57を螺着する必要があり、ねじ止め作業による工数の増加などの問題を招いていた。また、ねじ締め時において、ねじ57の先端が放熱板54の外側面より突出すると、このねじ57の先端部が邪魔をして、後でヒートシンクを取付けられないという問題も生じていた。
【0004】
さらにまた、こうした従来の電子機器では、エンドユーザーが用意する回路基板への電気的接続を図るために、本体基板52に半田付け接続される複数の端子ピンが、端子台の被嵌合孔に嵌合保持された状態で設けられており、端子ピンはそこを流れる電流量などを考慮して様々な形状のものが用意されている。しかし、端子ピンの外形が個々に異なるため、同じ被嵌合孔に違う形状の端子ピンを嵌合保持させることができず、結局は各端子ピンの形状に合せて別々の型で端子台を製作せざるを得なくなって、端子ピンのバリエーションを容易に増やすことができなかった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、端子ピンのバリエーションを容易に増やすことができる電子機器の端子構造を提供することをその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1における電子機器の端子構造は、前記目的を達成するために、端子台の被嵌合孔に端子ピンを嵌合保持する電子機器の端子構造において、前記各端子ピンは前記被嵌合孔に嵌合する嵌合部が全ての種類で同一形状に形成され、さらに前記端子ピンは基端部と先端部を有し、当該端子ピンを流れる電流量の違いに応じて、これら基端部と先端部は前記嵌合部と同一径で形成されるものと、前記嵌合部よりも細い径で形成されるもので構成されることを特徴とする。
【0007】
このようにすると、どの形状の端子ピンであっても、それぞれの端子ピンの嵌合部は全ての種類で同一形状を有するため、対応する端子台の被嵌合孔の孔径を同じものにすることができる。したがって、異なる形状の端子ピンに対して、共通の端子台を使用することができ、端子台を変更することなく端子ピンのバリエーションを容易に増やすことができる。また、端子ピンは基端部と先端部を有し、当該端子ピンを流れる電流量の違いに応じて、これら基端部と先端部は前記嵌合部と同一径で形成されるものと、前記嵌合部よりも細い径で形成されるもので構成され、基端部と先端部の直径は用途に応じて様々なバリエーションがあるものの、端子台の被嵌合孔に圧入する嵌合部の直径は、全ての種類で共通とすることができる。
【0008】
本発明の請求項2における電子機器の端子構造は、請求項1の構成に加えて前記嵌合部の外面を凹凸状に形成したものである。
【0009】
このようにすると、被嵌合孔との固着性が高まり、各端子ピンにおける引張強度を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、本発明における好ましい実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1〜図5は本発明の一実施例を示すものであり、薄型偏平状の放熱板付き電子機器に相当する例えばDC/DCコンバータなどの電源装置1は、複数の導電パターン層と絶縁層とを積層して構成され、その片面若しくは両面に複数の電子部品2や発熱部品3を実装してなる本体基板に相当する矩形平板状の多層基板5と、この多層基板5の一側すなわち上側に向けて延設する複数の導電性を有する端子ピン6と、これらの各端子ピン6を直立状態で保持する端子台7と、多層基板5の特に他側すなわち下側に実装した発熱部品3に対向し、熱伝導性の良好な放熱シリコーン部材8を介在させて、発熱部品3と熱的に接続する平板状の放熱板9とを備えて概ね構成される。
【0011】
端子ピン6は電源装置1と外部、具体的にはエンドユーザーが用意した回路基板11との電気的接続を図るためのもので、ここでは入力端子となる3本の端子ピン6Bと、出力端子となる5本の端子ピン6A,6Bが、多層基板5の両側端面に沿って並設されている。ここで、端子ピン6の形状について、図3および図4を参照しつつ、より詳細に説明すると、本実施例で使用する端子ピン6は概ね棒状で、電流量の違いなどに応じて異なる形状のものが用意されている。すなわち、図3に示す端子ピン6Aは、多層基板5に半田付け接続される基端部21と、端子台7の被圧入孔31に圧入するローレット加工された圧入部22と、回路基板11のメッキスルーホール12に挿通して半田付け接続される先端部23の直径φAが、いずれも同一径の1.5mmで形成される。また、図4に示す端子ピン6Bは、圧入部22の直径φBが他の端子ピン6Aと同じく1.5mmであるのに対し、基端部21と先端部23の直径φCはそれよりも細く1.0mmとなっている。すなわち、基端部21と先端部23の直径は用途に応じて様々なバリエーションがあるものの、端子台7の被圧入孔31に圧入する圧入部22の直径は、全ての種類で共通している。これらの端子ピン6A,6Bに対応して設けられた端子台7の被圧入孔31は、全て同一の孔径を有し、凹凸状に表面を形成した圧入部22が被圧入孔31に圧入されることにより、双方の部材が強固に固着される。これにより、異なる形状の端子ピン6A,6Bであっても、共通の端子台7を使用することができ、端子台7の型や部品を個々に用意しなくても、様々な端子ピン6A,6Bのバリエーションに対応することが可能になる。
【0012】
端子台7の構成をより具体的に説明すると、この端子台7は例えば合成樹脂などの絶縁材料からなり、各々の端子ピン6を間隔を置いて保持する被圧入部31を形成したピン保持部32と、このピン保持部32の両側にあって、端子ピン6の先端側と同じ方向に延設され、各端子ピン6を回路基板11のメッキスルーホール12に挿通したときに、その端面が回路基板11の下面に当接する回路基板当接部33と、同じくピン保持部32の両側にあって、回路基板当接部33の反対側方向に延設され、多層基板5の左右両端部に嵌合する凹部34を内側に形成した本体基板保持部35と、この本体基板保持部35よりもさらに下方に延設され、放熱板9の左右両端部を保持しつつ、この放熱板9を発熱部品3側に押圧する係合爪36を有する弾性片37とにより一体的に形成される。そして、本体基板保持部35の凹部34に多層基板5を嵌入する途中、および係合爪36を乗り越えて弾性片37に放熱板9を嵌入する途中で、これらの本体基板保持部35や弾性片37が多層基板5や放熱板9の端部に当接して、左右両外側に若干弾性変形する。また、放熱板9を弾性片37に保持させたときに、発熱部品3の対向面とは反対側にある放熱板9の外側面9Aと、弾性片37の最下端面に位置する外側端面が面一、すなわち凹凸のない同一平面上に位置するように、これらの放熱板9および弾性片37が形成される。なお、39は放熱板9に立設する位置決め用のスタッドであり、このスタッドの先端部が多層基板5に形成した挿通孔40に挿通するようになっている。
【0013】
次に、上記構成における電源装置1の組立てについて説明する。多層基板5に電子部品2や発熱部品3を実装する作業とは別に、端子台7のピン保持部32に形成した各被圧入孔31に、図3または図4に示す端子ピン6A,6Bのいずれかを圧入する。例えば図1では、5個ある被圧入孔31のうち、両側の2個の被圧入孔31に端子ピン6Aを圧入し、それ以外の3個の被圧入孔31に別の種類の端子ピン6Bを圧入しているが、図2の左側に示す入力端子は、3個の被圧入孔31だけを利用して、そこに同一形状の端子ピン6Bを圧入している。いずれの端子ピン6A,6Bにおいても、圧入部22の直径と、これに嵌合する被圧入孔31の孔径は共通しているので、共通の端子台7を使用することができ、かつ同じような強度で各端子ピン6A,6Bが圧入固着される。特に、本実施例では圧入部22に凹凸状のローレット加工が施されているので、被圧入孔31との固着性が高まり、各端子ピン6A,6Bにおける引張強度を向上させることができる。
【0014】
こうして得られた端子ピン6A,6B付きの端子台7は、次に多層基板5の所定位置に取付け固定される。具体的には、弾性片37および本体基板保持部35の内面に多層基板5の端部を当接させながら、この多層基板5の端部が本体基板保持部35の凹部34に嵌合保持される位置まで端子台7をスライド移動させ、各端子ピン6A,6Bの基端部21を対応する多層基板5のメッキスルーホール(図示せず)に挿通する。そして、このメッキスルーホールの部分を半田付けすることで、各端子ピン6A,6Bを多層基板5に電気的に接続する。端子台7が多層基板5の両側端部を保持することで、多層基板5に対する端子台7の位置決めが、各端子ピン6A,6Bの半田付け接続と共に実現できる。
【0015】
続いて、この端子台7付きの多層基板5に放熱板9が取付け固定される。放熱板9の取付けに際しては、予め放熱板9に立設した各スタッド39を、多層基板5に形成した挿通孔40に向かい合わせた状態で、弾性片37の弾性力に抗して係合爪36を乗り越える方向に放熱板9をスライド移動させる。すると、放熱板9が係合爪36を乗り越えた時点で、放熱板9の端部が弾性片37に係合保持されると共に、この係合爪36との係合により放熱板9が発熱部品3側に押圧され、放熱シリコーン部材8が多層基板5の下側に実装した発熱部品3に当接し、弾性変形した状態で密着する。これにより、発熱部品3からの熱は放熱シリコーン部材8を介して、熱伝導性の良好な放熱板9に確実かつ速やかに伝わる。
【0016】
上述のようにして製造された電源装置1は、最後にエンドユーザーが用意した回路基板11に実装される。これは、端子台7の回路基板当接部33に回路基板11の下面が当接する位置まで、各端子ピン6A,6Bの先端部23を対応する回路基板11のメッキスルーホール12に挿通し、そこで各端子ピン6A,6Bの先端部23をメッキスルーホール12に半田付けすることで、双方の電気的な接続が図られる。また、放熱板9の放熱能力をさらに高めるために、必要に応じて放熱板9の外側面9Aにヒートシンク42を密着状態で取付け固定する。その際、弾性片37の外側端面37Aは放熱板9の平坦状に形成された外側面9Aより突出せず、この外側面9Aと同一面上にあるため、弾性片37の外側端面37Aおよび放熱板9の外側面9Aを覆うように放熱板9を取付けた場合でも、端子台7の弾性片37が邪魔にならない。
【0017】
以上のように本実施例では、端子台7の被嵌合孔である被圧入孔31に端子ピン6A,6Bを嵌合保持する電子機器の端子構造において、前記端子ピン6A,6Bは複数の異なる形状のものが用意され、各端子ピン6A,6Bは被圧入孔31に嵌合する嵌合部としての圧入部22が同一形状に形成されている。
【0018】
このようにすると、どの形状の端子ピン6A,6Bであっても、端子ピン6A,6Bの圧入部22は同一形状を有するため、対応する端子台7の被圧入孔31の孔径を同じものにすることができる。したがって、異なる形状の端子ピン6A,6Bに対して、共通の端子台7を使用することができ、端子台7を変更することなく端子ピン6A,6Bのバリエーションを容易に増やすことができる。また、端子ピン6A,6Bは基端部21と先端部23を有し、端子ピン6A,6Bを流れる電流量の違いに応じて、これら基端部21と先端部23は圧入部22と同一径で形成されるものと、圧入部22よりも細い径で形成されるもので構成され、基端部21と先端部23の直径は用途に応じて様々なバリエーションがあるものの、端子台7の被圧入孔31に圧入する圧入部22の直径は、全ての種類で共通とすることができる。
【0019】
また、各端子ピン6A,6Bにおいて圧入部22の外面を凹凸状に形成したことから、被圧入孔31との固着性が高まり、各端子ピン6A,6Bにおける引張強度を向上させることができる。
【0020】
その他、上記実施例によれば、本体基板である多層基板5の一側より延設する端子ピン6と、この端子ピン6を保持する端子台7と、多層基板5の他側に実装した発熱部品3に対向し、この発熱部品3と熱的に接続する放熱板9とを備え、この放熱板9の端部を保持しつつ、放熱板9を発熱部品3側に押圧する係合片としての弾性片37を端子台7と一体に形成している。
【0021】
このようにすると、本来は端子ピン6を保持する端子台7に弾性片37が一体的に形成されるので、いちいちねじ止め作業を行なわなくても、この端子台7の弾性片37を利用すれば、放熱板9の端部を保持した状態で取り付けることができる。その際、弾性片37との係合により放熱板9は発熱部品3側に押圧して取付けられるので、発熱部品3からの熱を放熱板9に確実に伝えることが可能になる。
【0022】
またこのような構成において、本実施例では、発熱部品3の対向面とは反対側の放熱板9の外側面9Aと、弾性片37の外側端面37Aとを面一に形成している。
【0023】
このようにすると、放熱板9を端子台7の弾性片37に取付けたときに、この弾性片37の外側端面37Aが放熱板9の外側面9Aより突出せず、放熱板9の外側面9Aと同一面上に形成される。したがって、その後で放熱板9の外側面9Aにヒートシンク42を取付けた場合でも、弾性片37の外側端面37Aは邪魔にならず取付けの際の支障とはならない。
【0024】
またこのような構成において、本実施例では端子ピン6を端子台7に圧入固着している。
【0025】
この場合、端子ピン6の先端部23を別の回路基板11に半田付け接続する時に、端子ピン6に対し引張力が作用するが、端子ピン6が端子台7に圧入状態で強固に固着されるため、端子台7から端子ピン6を容易に引き抜くことはできない。また、端子ピン6に対する引張力は、端子台の被圧入部(被圧入孔31)で四方に分散するので、より強固な固着が実現する。
【0026】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では特にDC/DCコンバータなどの電源装置1について言及したが、それ以外の各種電子機器にも同様に適用することが可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明の請求項1における電子機器の端子構造によれば、端子ピンのバリエーションを容易に増やすことが可能になる。また、端子ピンの基端部と先端部の直径は用途に応じて様々なバリエーションがあるものの、端子台の被嵌合孔に圧入する嵌合部の直径は、全ての種類で共通とすることができる。
【0028】
本発明の請求項2における電子機器の端子構造によれば、各端子ピンにおける引張強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例における電源装置の実装状態の側面図である。
【図2】 同上放熱板を取り外した状態の電源装置の斜視図である。
【図3】 同上端子ピンの正面図である。
【図4】 同上別の端子ピンの正面図である。
【図5】 同上端子ピンを装着した状態の端子台の要部斜視図である。
【図6】 従来例を示す電子機器の要部側面図である。
【符号の説明】
6A,6B 端子ピン
7 端子台
21 先端部
22 圧入部(嵌合部)
23 基端部
31 被圧入孔
Claims (2)
- 端子台の被嵌合孔に端子ピンを嵌合保持する電子機器の端子構造において、
前記各端子ピンは前記被嵌合孔に嵌合する嵌合部が全ての種類で同一形状に形成され、
さらに前記端子ピンは基端部と先端部を有し、当該端子ピンを流れる電流量の違いに応じて、これら基端部と先端部は前記嵌合部と同一径で形成されるものと、前記嵌合部よりも細い径で形成されるもので構成されることを特徴とする電子機器の端子構造。 - 前記嵌合部の外面を凹凸状に形成したことを特徴とする請求項1記載の電子機器の端子構造。
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