JP4506354B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
油圧式のパワーステアリング装置においては、油圧回路を閉回路で構成することにより、閉回路部がダンパの役目を果たすことになって、キックバックやシミー等が発生する振動入力に対しても有効である(例えば、特許文献1)。
そこで、この発明は上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、振動入力を的確に低減することの可能なパワーステアリング装置を提供することを目的としている。
ここで、路面等から転舵輪に作用する外乱は、パワーシリンダを介して操舵系に伝達されることがあるが、外乱検出手段で外乱が検出されたときには流量調整弁を絞ることにより、外乱による作動流体圧の変動が抑制されるから、操舵系に伝達される外乱が抑制されることになる。
まず、第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明におけるパワーステアリング装置の一例を示す概略構成図である。
図中、1は、ステアリングホイールであって、ステアリングホイール1はステアリングシャフト2の上端部に連結され、当該ステアリングシャフト2は下方に延びている。このステアリングシャフト2の下端部は、トルク検出機構を介してピニオンシャフト3に連結されている。ピニオンシャフト3の下端部、つまりピニオンは、車両幅方向に配設されたラック4に噛合し、該ラック4とピニオンシャフト3によってステアリングギアを構成している。従って、ステアリングホイール1からステアリングシャフト2回りの回転運動は、ラック4の直進運動(並進運動)に変換される。
また、前記ラック4には、パワーシリンダ5が連係され、このパワーシリンダ5に形成された左右の圧力室5a、5bへの制動流体圧を油圧回路6により制御するようになっている。
また、吐出側連通路53a、53bにはそれぞれ可変絞り弁57a、57bが介挿されている。そして、この可変絞り弁57a、57bの下流側、つまり、パワーシリンダ5側で、吐出側連通路53a、53bの相互間がバイパス路58により接続され、このバイパス路58の途中には、このバイパス路58を開閉するフェールセーフバルブ59が介挿されている。
そして、モータ51を正回転又は逆回転させることによりギヤポンプ52の一対の吐出口52a、52bのうち、一方が吐出側、他方が吸入側となり、一方の吐出側連通路53a、53bの流体圧のみが加圧されて圧力室5a又は5bに作用する流体圧が増加し、これによって、ラック4を何れか一方向へ並進運動させることにより、操舵補助力を発生するようになっている。
各種センサの検出信号は操舵補助制御部21に入力され、この操舵補助制御部21では、公知の手順で操舵補助力の発生の必要性の有無や、発生すべき操舵補助力量等の算出を行い、これらに応じてバルブ制御部22がフェールセーフバルブ59を開閉制御する。つまり、操舵補助力を発生させるときにはフェールセーフバルブ59を閉状態に制御し、操舵補助力を発生させないときにはフェールセーフバルブ59を開状態に制御する。また、操舵補助制御部21は、パワーステアリング装置の作動状態の監視を行う異常監視処理部25での監視結果が正常なときにのみ操舵補助力を発生させ、異常を検出したときには操舵補助力を発生させない。
また、操舵反力トルクセンサ8からのトルク検出信号Tは高周波成分を検知するためのバンドパスフィルタ26を介して振動入力検知部27に入力される。前記バンドパスフィルタ26はシミーやジャダーに相当する、10〜20〔Hz〕程度の高周波成分を通過可能なハイパスフィルタで構成される。そして、前記振動入力検知部27では、このフィルタ処理後のトルク検出信号T′に基づいてシミーやジャダーが発生する転舵輪からの振動入力の有無を検知する。つまり、トルク検出信号Tに、シミーやジャダーを発生させる高周波成分が含まれる場合には、振動入力があると判断する。
次に、上記第1の実施の形態の動作を、図3に示す、振動入力に応じて前記可変絞り弁57a、57bを制御する振動入力抑制処理の処理手順を示すフローチャートに基づいて説明する。なお、この振動入力抑制処理は、予め設定された所定周期の割込処理で実行される。
この状態から、ドライバが操舵操作を行うと、トーションバーの捩れ量に応じたトルク検出信号Tが検出され、このトルク検出信号Tに応じてモータ51が回転駆動されると共に、フェールセーフバルブ59が閉状態に制御され、これによって、パワーシリンダ5の何れか一方の圧力室5a、又は5bに作用する作動流体圧が増圧され、トルク検出信号Tに応じた操舵補助力が発生される。
ここで、シミーやジャダー等が発生するような場合には、高周波成分が操舵反力トルクセンサ8で検出されるトルク検出信号Tに含まれることになるため、ハイパスフィルタ処理後のトルク検出信号T′に高周波成分が現れることになり、シミーやジャダー等を発生させる振動入力があるとみなすことができる(ステップS3)。
そして、このようにして決定した絞り量を達成するよう可変絞り弁57a、57bの開度を閉方向に制御する(ステップS6)。そして振動入力抑制処理を終了する。
これによって、図1において、可変絞り弁57a、57bの開度が閉方向に絞られることになるため、転舵輪から振動入力があったとしても、可変絞り弁57a、57bを絞ることによって油圧回路6内の脈圧変化が抑制されることになる。
振動入力がない場合には、可変絞り弁57a、57bの開度を絞る必要はないからステップS4からステップS7に移行し、可変絞り弁57a、57bの開度を開状態に制御する。したがって、不必要に可変絞り弁57a、57bの開度が絞られることはなく、この可変絞り弁57a、57bの開度が閉方向に制御されることに起因して、操舵補助力発生時にパワーシリンダ5に作用する作動流体圧の応答性が低下し、これによって、操舵補助力の発生時にその応答性が低下することを回避することができる。
また、前記可変絞り弁57a、57bを、前記フェールセーフバルブ59の上流側、ギヤポンプ52側に設けているから、前記可変絞り弁57a、57bを、前記油圧回路6からなるアクチュエータユニットに組み込むことができる。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、コントロールユニット10の機能構成が異なること以外は同様であるので同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
図5は、第2の実施の形態における、コントロールユニット10の機能構成を示すブロック図である。この第2の実施の形態では、さらに、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ16と、エンジン駆動力を検出する駆動力検出手段17とを備えている。
今、自車両が停車しており、操舵が行われていないものとすると、この状態では操舵反力トルクセンサ8で検出されるトルク検出信号Tは略零であって、操舵補助力を発生させる必要はないから、モータ51は駆動されず、パワーシリンダ5による操舵補助力も発生されない。そして、自車両が発進し、ドライバが操舵を行い、これに伴いトルク検出信号Tが増加すると、このトルク検出信号Tに応じた操舵補助力を発生するようモータ51が作動され、パワーシリンダ5によりトルク検出信号Tに応じた操舵補助力が発生されることになる。
ここで、トルクステアは、アクセル開度センサ16で検出されるアクセル開度がしきい値(例えば60%程度)よりも小さいとき、或いは走行速度センサ11で検出される走行速度がしきい値(例えば、10km/h程度)よりも小さいときには、トルクステアが生じる可能性はほとんど少ないとみなすことができる。また、駆動力が大きいときほど大きなトルクステアが生じると予測することができる。したがって、トルクステアが発生するときの、アクセル開度や走行速度条件、また、駆動力とトルクステアの大きさとの関係を、予め実験等によって求めておき、各種センサで検出した現時点におけるアクセル開度及び走行速度に基づいてトルクステアの発生の有無を判定し、さらに、現時点における駆動力に対応するトルクステアを特定するようにすればよい。
これによって、図1において、可変絞り弁57a、57bの開度が閉方向に絞られることになるため、発進時にトルクステアが発生しこれが転舵輪から入力される状況となったとしても、可変絞り弁57a、57bを絞ることによって油圧回路6内の流体圧変動が抑制されることになるから、転舵輪からのトルクステア入力がステアリングシャフト2を介してステアリングホイール1に伝達されることを回避することができる。したがって、トルクステアが入力される状況において、これがステアリングホイール1に伝達されることを回避することができ、トルクステアが作用することによってドライバに違和感を与えることを回避することができる。
なお、上述のように、トルクステアに対する抑制処理を行う第2の実施の形態と、シミーやジャダー等を発生させる振動入力に対する抑制処理を行う上記第1の実施の形態とを組み合わせ、トルクステアだけでなく、振動入力も抑制するようにすることも可能である。
この第3の実施の形態は、上記第2の実施の形態において、コントロールユニット10でのトルクステア抑制処理の処理手順が異なること以外は、上記第2の実施の形態と同様であるので、同一部分の詳細な説明は省略する。
図7は、第3の実施の形態におけるトルクステア抑制処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS21で、前記異常監視処理部25での監視処理において異常が検出されたかどうかを判断する。そして、異常が検出されていない場合には、ステップS22に移行し、前記図6に示す第2の実施の形態におけるトルクステア抑制処理のフローチャートにしたがって、トルクステアの抑制制御を行い、必要に応じて可変絞り弁57a、57bを絞り方向に制御してトルクステアの抑制を図る。一方、異常監視処理部25での監視処理において異常が検出されたときには、ステップS21からステップS23に移行し、可変絞り弁57a、57bを開状態に制御する。
このとき、トルクステア抑制処理では、可変絞り弁57a、57bを開状態に制御するようにしているから、これら可変絞り弁57a、57bが、作動流体圧のリザーバ側への戻りを妨げる方向に作用することを回避することができ、操舵補助力の発生を速やかに終了させることができる。また、異常検出時には、可変絞り弁57a、57bは、開状態に制御され、可変絞り弁57a、57bが設けられていない場合と同等の回路構成となるから、異常検出時における処理手順を何ら変更する必要はなく、これまでと同等の処理手順で異常検出時の処理を行うことができる。
また、第1の実施の形態において、図3のステップS1からステップS3の処理が外乱検出手段に対応し、ステップS2の処理がフィルタ処理手段に対応し、ステップS4からステップS7の処理が調整手段に対応し、操舵反力トルクセンサ8がトルク検出手段に対応している。
また、第2の実施の形態において、図6のステップS11及びステップS12の処理が外乱検出手段に対応し、ステップS13からステップS16の処理が調整手段に対応している。
3 ピニオンシャフト
4 ラック
5 パワーシリンダ
5a、5b 圧力室
6 油圧回路
8 操舵反力トルクセンサ
10 コントロールユニット
11 走行速度センサ
12 操舵角センサ
13 エンジン回転速度センサ
14 横加速度センサ
15 ヨーレイトセンサ
16 アクセル開度センサ
17 駆動力検出手段
51 モータ
52 ギヤポンプ
53a、53b 吐出側連通路
57a 57b 可変絞り弁
59 フェールセーフバルブ
Claims (8)
- 二つの圧力室を有し当該圧力室の何れか一方に作動流体圧を作用させることにより操舵方向への操舵補助力を操舵系に供給するパワーシリンダと、
当該パワーシリンダに前記作動流体圧を供給する流体圧回路と、を有し、
前記流体圧回路は、
前記二つの圧力室にそれぞれ連通される連通路と、
パワーステアリング装置の動作状態を監視する監視手段で異常を検出したとき前記連通路間をバイパスするバイパス手段と、を備えたパワーステアリング装置において、
前記流体圧回路の前記連通路の少なくとも何れか一方に介挿される流量調整弁と、
転舵輪に作用する外乱を検出する外乱検出手段と、
当該外乱検出手段での検出結果に応じて前記流量調整弁の開度を調整する調整手段と、を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。 - 前記調整手段は、前記外乱検出手段で前記外乱を検出したときには、前記流量調整弁の開度を絞るようになっていることを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置。
- 前記調整手段は、前記監視手段で異常を検出したときには、前記流量調整弁を開状態に制御するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のパワーステアリング装置。
- 操舵系に入力されるトルクを検出し当該トルクの大きさに応じた検出信号を出力するトルク検出手段を備え、
前記外乱検出手段は、前記トルク検出手段で検出されるトルク検出信号に基づき、予め設定した周波数域の振動入力を検出するようになっていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のパワーステアリング装置。 - 前記外乱検出手段は、トルクステアを検出するようになっていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のパワーステアリング装置。
- 前記流量調整弁は、前記流体圧回路の前記連通路のそれぞれに介挿されることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のパワーステアリング装置。
- 前記流量調整弁は、前記バイパス手段の上流側に設けられ、前記流体圧回路と共に一つのユニットに組み込まれていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のパワーステアリング装置。
- 前記流体圧回路はユニットに組み込まれて形成され、
前記流量調整弁は、前記ユニットと前記パワーシリンダとを連通する配管に介挿されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のパワーステアリング装置。
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