JP4505865B2 - 無架橋発泡成形用樹脂組成物およびそれよりなる発泡体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種発泡成形に使用可能な無架橋発泡成形用樹脂組成物、およびこの組成物を発泡成形してなる発泡体に関する。
【0002】
さらに詳細には、表面が平滑かつセルが均一で、高発泡倍率の発泡成形体が、従来の成形加工法で得られる無架橋発泡成形用エチレン・酢酸ビニル共重合体組成物、およびこの組成物を加熱炉で発泡成形して得られる発泡成形体に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、ポリオレフィン樹脂の発泡体の製造方法については種々の方法が知られており、例えば、ポリオレフィン樹脂に熱分解型発泡剤を混合して成形した後、電離性放射線を照射して架橋させるとともに加熱して発泡させる方法、ポリオレフィン樹脂に熱分解型発泡剤と発泡剤の分解温度より低い分解温度を有する有機過酸化物を混合して成形した後、これを加熱して有機過酸化物を分解させて架橋し、ついで発泡剤を分解させて発泡させる方法がある。しかしながら、これら架橋発泡体は、真空成形、熱プレス成形等の熱成形により加工することが困難であり、樹脂を再生利用することも困難であった。このような問題を解決するために、ポリオレフィン樹脂に熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド等の熱分解型発泡剤を混合し、押し出し成形することが行われている。また、高圧法で製造される低密度ポリエチレン(LDPE)やエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を使用した場合、発泡倍率が2倍程度のものしか得られず、無架橋樹脂と熱分解型発泡剤からなる組成物では高発泡体は製造できないと考えられていた。
【0004】
一方、カレンダー成形において、従来のポリオレフィンを使用した場合、成形時にカレンダーロールに粘着し、加工が著しく困難であることが知られている。これらロールへの粘着は、樹脂中に含まれる低分子成分の影響と考えられている。また、カレンダー成形により得られた発泡剤を含むフィルムまたはシートを通常発泡成形が行われる200℃程度の加熱炉で発泡した場合には、ガス抜けが激しく、良好な発泡体を得ることは困難であった。
【0005】
このように、ポリオレフィン樹脂を使用して無架橋で高発泡体を製造することは困難であり、使用分野が非常に制限されているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような課題の解決、すなわち、リサイクル可能な無架橋樹脂での均一高発泡性を付与し、さらにカレンダー成形においては、粘着を防止するために金属石鹸等の添加剤を添加することなく、ロール粘着がなく、加熱発泡時にガス抜けのない発泡性エチレン・酢酸ビニル共重合体組成物およびそれよりなる発泡体を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のエチレン・酢酸ビニル共重合体と発泡剤からなる発泡性樹脂組成物を使用し、特定の温度範囲で加熱発泡させることにより、上記の課題を解決できることを見い出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、エチレンと酢酸ビニルを共重合させて得られる、酢酸ビニル含量が5〜50重量%、JIS K 7210 条件4による190℃,2160gの荷重でのメルトフローレートが0.5〜5g/10分、GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)法のQw値が7以下であるエチレン・酢酸ビニル共重合体とスルホニルヒドラジド化合物からなる樹脂組成物を特定の温度範囲に加熱された加熱炉で発泡成形することを特徴とするものである。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明に使用されるエチレン・酢酸ビニル共重合体とは、エチレン95〜50重量%と酢酸ビニル5〜50重量%との共重合体であって、JIS K 7210 条件4に従って、190℃,2160gの荷重下で測定されたメルトフローレート(MFR)が0.5〜5g/10分、GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)法のQw値が7以下のものである。また、本発明に用いる熱分解型発泡剤は、スルホニルヒドラジド化合物であり、具体的には、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼン−1,3−スルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、ジフェニルオキシド−4,4’−ジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、パラトルエンスルホニルヒドラジド等が挙げられ、これらの少なくとも1種が用いられる。この中でも4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)が好ましい。
【0011】
本発明に用いる熱分解型発泡剤の分解温度は通常120〜200℃であり、120〜180℃のものが好ましい。
【0012】
なお、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の任意成分を添加することができる。他の任意成分としては、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム、エチレン・ブテン共重合体ゴム等のエチレン系共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、石油樹脂またはその水素添加物、タルク、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム等の充填剤、難燃剤、各種の顔料などを配合することができる。
【0013】
なお、本発明のQw値は以下の条件で算出した。
【0014】
測定法 GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)法(直鎖ポリエチレン換算)
GPC WATERS 150C
カラム GMHHR(S)(東ソー製)×3本
カラム温度 140℃
溶媒 o−ジクロルベンゼン
流速 1ml/分
注入量 200μl
この様にして得られる成形用樹脂組成物は、常圧発泡成形により、床材、壁紙、自動車内装材、各種緩衝材、パネル等に使用される。
【0015】
【発明の効果】
以上の如く、本発明によれば、エチレン・酢酸ビニル共重合体の優れた性質を保持したまま、ロール加工が可能であり、また加熱炉を使用した常圧発泡成形法において高発泡性を付与することができ、従来困難であったカレンダー加工性を向上させ、ひいては生産性の向上に寄与することができる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明について実施例により説明するが、これら実施例に限定されるものではない。
【0017】
(発泡成形体の外観)
発泡成形体を目視により観察し、下記のように評価した。
【0018】
○:厚みのムラがなく、均一に発泡している
△:厚みのムラが若干あるが、ほぼ均一に発泡している
×:厚みのムラが大きく、不均一に発泡している
(発泡成形体セルの状態)
○:セルが均一である
△:セルがやや不均一である
×:セルが不均一である
(発泡倍率)
発泡倍率は、次式により算出した。
【0019】
発泡倍率=非発泡体の密度/発泡体の密度
実施例1
MFR0.8g/10分、酢酸ビニル含量(VAc)20重量%、Qw値3.6のエチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド) 10重量部を添加し、径8インチのロール(カレンダーロール)を用い、ロール表面温度130℃、ロール速度10m/分(速度比1:1.1)、ロール間隔300μmの条件で、試料150gを10分間ロールに巻き付けてシートを取り出した。この際、ロールへの粘着は見られず、加工性は良好であった。このシートを180℃のオーブン中で2分間加熱して発泡させた。得られた発泡体は、発泡倍率10倍で外観は良好なものであった。得られた発泡体について、外観、セル形状を評価した結果を表にまとめた。
【0020】
実施例2
MFR3.0g/10分、酢酸ビニル含量(VAc)9重量%、Qw値6.13のエチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド) 10重量部を添加し、径8インチのロール(カレンダーロール)を用い、ロール表面温度130℃、ロール速度10m/分(速度比1:1.1)、ロール間隔300μmの条件で、試料150gを10分間ロールに巻き付けてシートを取り出した。この際、ロールへの粘着は見られず、加工性は良好であった。このシートを180℃のオーブン中で2分間加熱して発泡させた。得られた発泡体は、発泡倍率10倍で外観は良好なものであった。得られた発泡体について、外観、セル形状を評価した結果を表にまとめた。
【0021】
実施例3
MFR4g/10分、酢酸ビニル含量(VAc)25重量%、Qw値3.6のエチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド) 10重量部を添加し、径8インチのロール(カレンダーロール)を用い、ロール表面温度130℃、ロール速度10m/分(速度比1:1.1)、ロール間隔300μmの条件で、試料150gを10分間ロールに巻き付けてシートを取り出した。この際、ロールへの粘着は見られず、加工性は良好であった。このシートを180℃のオーブン中で2分間加熱して発泡させた。得られた発泡体は、発泡倍率10倍で外観は良好なものであった。得られた発泡体について、外観、セル形状を評価した結果を表にまとめた。
【0022】
比較例1
MFR20g/10分、酢酸ビニル含量(VAc)20重量%、Qw値7.7のエチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド) 10重量部を添加し、径8インチのロール(カレンダーロール)を用い、ロール表面温度130℃、ロール速度10m/分(速度比1:1.1)、ロール間隔300μmの条件で、試料150gを10分間ロールに巻き付けてシートを取りだそうとしたが、ロールへの粘着が激しく、加工が困難であった。
【0023】
比較例2
MFR1.5g/10分、酢酸ビニル含量(VAc)20重量%、Qw値11.0のエチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド) 10重量部を添加し、径8インチのロール(カレンダーロール)を用い、ロール表面温度130℃、ロール速度10m/分(速度比1:1.1)、ロール間隔300μmの条件で、試料150gを10分間ロールに巻き付けてシートを取り出した。この際、ロールへの粘着は見られず、加工性は良好であった。このシートを180℃のオーブン中で2分間加熱して発泡させた。得られた発泡体は、発泡倍率10倍であるが、表面に皺が発生し、外観は不良なものであった。得られた発泡体について、外観、セル形状を評価した結果を表にまとめた。
【0024】
【表1】
Claims (1)
- 下記(a)〜(c)の特性を有するエチレン・酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、スルホニルヒドラジド化合物1〜20重量部を配合することを特徴とする無架橋発泡成形用樹脂組成物をカレンダー成形により得られたフィルムまたはシートに成形した後、180℃で加熱発泡させて得ることを特徴とする無架橋発泡体。
(a)酢酸ビニル含量が5〜50重量%、
(b)190℃,2160gの荷重で測定したメルトフローレートが0.5〜5g/10分、(c)GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)法により求められるQw値が7以下
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