JP4505306B2 - 美観に優れた溝付き化粧板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
この先行提案技術は、Rを設けた型によるプレス成形が一般的である。例えば、平面状基板の上面に化粧材を貼着し、得られた化粧板の表面の溝付予定位置に沿って切れ目を入れたのち、この切れ目の対応位置に断面略V字状の溝付けのための凸部を有する型押しロールで押圧し、圧入成形する方法(特許文献1)、基板まで届く溝を化粧材側に設け、さらに、溝の縁にふくらんだ丸みを設け、化粧材を溝の縁の丸みに沿って溝内に押し込み、化粧材で溝の基板を部分的に覆い隠す方法(特許文献2)などが提言されている。
本発明は、基板に大きな負担をかけることなく、溝の切削加工時に溝の開口縁に発生することがある毛羽立ちやささくれを、化粧板表面に現れる溝の縁の角(エッジ部)を熱により消失させることで消失させた、建築用床材としての快適な歩行性、デザイン性(床材の装飾性向上など)が得られる美観に優れた溝付き化粧板、および、化粧板に溝切り処理した後、基板に大きな負担をかけることのない毛羽立ちやささくれなどを消失する溝加工処理を特徴とする上記溝付き化粧板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、カッターが上下左右にぶれることがないような、あるいは着色不透明層が外部から見えないような、かつ、毛羽立ちやささくれが消失する程度の丸み加工が施された溝を形成した、建築用床材としての快適な歩行性、デザイン性(床材の装飾性向上など)が得られる美観に優れた溝付き化粧板、およびその製造方法を提供することを目的とする。
(1)基板と基板の一方の側に貼着された熱可塑性樹脂層を有する化粧材とを備え、化粧材の表面から基板に至る溝が削成された溝付き化粧板であって、前記溝は、その開口縁に延在する化粧材の熱可塑性樹脂層を熱により熔融し、その開口縁の角を消失させたものであることを特徴とする溝付き化粧板。
(2)開口縁の角の消失が、毛羽立ちやささくれが消失する程度の丸みをもたせることであることを特徴とする(1)の溝付き化粧板。
(3)前記溝は、断面略V字状の溝で、その開口縁の角を消失させたものである(1)または(2)の溝付き化粧板。
(4)前記溝は、下部の幅を開口幅に比べ小さく形成し、その開口縁は、化粧材の表面に対して略直角になる角で構成したもので、かつ、その角を消失させたものである請求項1または2の溝付き化粧板。
(5)前記溝は、化粧材の表面から基板側に形成された垂直な平面と、この垂直な平面から溝の底に略V字状に延在する平面とで壁面が構成されたもので、かつ、その開口縁の角を消失させたものである(1)、(2)または(4)の溝付き化粧板。
(6)上記溝は、断面略5角形状の溝で、その開口縁の角を消失させたものである(5)の溝付き化粧板。
(7)前記化粧材は、その表面に、溝を形成する前に、または溝を形成した後に、電子線硬化塗料を塗装、硬化させたものである(1)ないし(6)のいずれかの溝付き化粧板。
(8)基板と基板の一方の側に貼着された熱可塑性樹脂層を有する化粧材の表面から基板に至る溝を削成し、化粧板表面より加熱し、溝の開口縁近傍の熱可塑性樹脂層を熔融し、溝の開口縁の角を消失させることを特徴とする溝付き化粧板の製造方法。
(9)開口縁の角を、毛羽立ちやささくれが消失する程度の丸みをもたせて、消失させることを特徴とする(8)の溝付き化粧板の製造方法。
(10)前記化粧材表面に、溝を形成する前に、または溝を形成した後に、電離放射線硬化塗料を塗装、硬化させる工程を有する(8)または(9)の溝付き化粧板の製造方法。
(11)熱の付与は熱ロールを用い、その熱ロールが、前記溝の位置に対応する前記溝より幅広の凸部を有し、先端部は溝の底部に達しないことを特徴とする(8)、(9)または(10)の溝付き化粧板の製造方法。
より具体的には、溝の断面形状を略5角形(ホームベース形)とすることにより(図3、4参照)、溝切り工程時のぶれにより溝幅の均一性などが失われることを最小限とした。溝の形状を略5角形にすることにより、溝の深みを広くすることができるため、深み感や強調感を出すことができ、意匠性に優れる。
また、化粧板を熱可塑性樹脂から構成し、溝の縁の角(エッジ部)、特におおむね直角とした角(エッジ部)の熱可塑性樹脂のみを溶融させるため、熱ロールにより溝の角取り作業(R加工)を自動化することを可能とした。
また、化粧材が着色不透明層を有する場合にあっては、溝の縁の角をおおむね直角とすることにより着色不透明層が床面と垂直となり、溝の内側まで視野が及び難くなり、見た目に優れた溝を有する化粧板床材を提供することが可能となった。
基板は、床材に適する厚さの合板、集成材、単板積層材(LVL)、パーティクルボードまたは軟質繊維板(インシュレーションボード)、中質繊維板(MDF)、硬質繊維板(ハードボード)などの繊維板、あるいは木材を細かくしてセメントで固めた木質セメント板、無機質含浸木質板、ケイ酸カルシウム板、石膏ボード、石膏スラグ板、炭酸カルシウム板、ガラス繊維板などの無機質板などを使用することができる。
前記の着色不透明層は、顔料を配合したポリオレフィン樹脂からなることが好ましく、特に接着剤層や印刷層との密着性に優れている化粧シート用ポリプロピレン系樹脂が好ましいものとして例示される。含有させる顔料の種類に特に制限はなく、例えば、白色顔料としての酸化チタンを配合することにより隠蔽性を付与することができ、あるいは、黒色顔料としてのカーボンブラックを配合することにより隠蔽性を付与することもでき、さらには、白色顔料と他の有色顔料を配合することにより所望の色調と濃度の隠蔽性を付与することもできる。
透明熱可塑性樹脂層としては、ポリオレフィンなどの透明高分子層であり、例えばポリプロピレンが用いられる。
化粧材の具体的な構成例を示すと、熱可塑性樹脂層は、ポリオレフィンなどの透明高分子層であり、例えばポリプロピレンが用いられ、厚みは60〜100μm程度である。熱可塑性樹脂層の下にはグラビア印刷が配置される。さらにその下(基板との貼合面側)には、グラビア印刷を綺麗に見せるための着色不透明層(隠蔽層)として、例えばポリオレフィンと酸化チタンからなる厚み50〜100μm程度の層が設けられる。さらにこの(着色不透明層)下に350〜450μm程度のポリエステル系樹脂からなるバッカーシートを積層し、これを含めて化粧材としてもよい。
なお、熱ロールによるR加工においても、EB塗料が硬化した層は溶融しないため、溶融して丸くなったポリオレフィン層の上に被覆されたままである。
溝は、その開口縁に延在する化粧材の熱可塑性樹脂層を熱により熔融し、その開口縁の角を毛羽立ちやささくれとともに消失させたものである。その開口縁の角の消失は、熱の付与のみで、毛羽立ちやささくれが消失する程度の丸みをもたせることである。
また、断面略5角形状(ホームベース形)とした場合、図4に示すように、溝切りカッターの刃部が溝の奥まで入り込むため、溝形成時のカッターの横ぶれを最小限とすることができる。
図5に示す凸部を有する熱ロール41を溝縁32にあてながら回転させる。加熱された熱ロール41の凸部が溝縁32にあたることにより、角が取れて丸くなる。縁の角取り(エッジ部の消失)作業の後、必要に応じて溝の塗装を行う。本実施例ではアクリル系電子線硬化塗料(アクリルウレタン)を用いているが、これに限定されない。
31,32 溝の縁部
33,34 着色不透明層露出部
41 熱ロール
Claims (11)
- 基板と基板の一方の側に貼着された熱可塑性樹脂層を有する化粧材とを備え、化粧材の表面から基板に至る溝が削成された溝付き化粧板であって、前記溝は、その開口縁に延在する化粧材の熱可塑性樹脂層を熱により熔融し、その開口縁の角を消失させたものであることを特徴とする溝付き化粧板。
- 開口縁の角の消失が、毛羽立ちやささくれが消失する程度の丸みをもたせることであることを特徴とする請求項1の溝付き化粧板。
- 前記溝は、断面略V字状で、その開口縁の角を消失させたものである請求項1または2の溝付き化粧板。
- 前記溝は、下部の幅を開口幅に比べ小さく形成し、その開口縁は、化粧材の表面に対して略直角になる角で構成したもので、かつ、その角を消失させたものである請求項1または2の溝付き化粧板。
- 前記溝は、化粧材の表面から基板側に形成された垂直な平面と、この垂直な平面から溝の底に略V字状に延在する平面とで壁面が構成されたもので、かつ、その開口縁の角を消失させたものである請求項1、2または4の溝付き化粧板。
- 上記溝は、断面略5角形状の溝で、その開口縁の角を消失させたものである請求項5の溝付き化粧板。
- 前記化粧材は、その表面に、溝を形成する前に、または溝を形成した後に、電離放射線硬化塗料を塗装、硬化させたものである請求項1ないし6のいずれかの溝付き化粧板。
- 基板と基板の一方の側に貼着された熱可塑性樹脂層を有する化粧材の表面から基板に至る溝を削成し、化粧板表面より加熱し、溝の開口縁近傍の熱可塑性樹脂層を熔融し、溝の開口縁の角を消失させることを特徴とする溝付き化粧板の製造方法。
- 開口縁の角を、毛羽立ちやささくれが消失する程度の丸みをもたせて、消失させることを特徴とする請求項8の溝付き化粧板の製造方法。
- 前記化粧材表面に、溝を形成する前に、または溝を形成した後に、電離放射線硬化塗料を塗装、硬化させる工程を有する請求項8または9の溝付き化粧板の製造方法。
- 熱の付与は熱ロールを用い、その熱ロールが、前記溝の位置に対応する前記溝より幅広の凸部を有し、先端部は溝の底部に達しないことを特徴とする請求項8,9または10の溝付き化粧板の製造方法。
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