JP3652815B2 - 溝付き化粧板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、建築物の壁面内装材、天井材、床材等に使用される溝付き化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧板表面に複数の平行する細い化粧溝が形成された溝付き化粧板は、立体感を付与することができ、意匠性を向上することができることから、壁面内装材、天井材、床材等として多く用いられている。
【0003】
実際の施工の際には、複数の化粧板を接合することになるため、通常化粧溝と平行する化粧板両側面には接合部が形成され、その両側面上縁部には接合溝形成用面取り面が形成されている。そして、化粧板を実質的に隙間なく接合した際に、前記面取り面同士によって形成される接合溝が、予め化粧板表面に形成されている前記化粧溝と同一形状、同一寸法となるように、例えば、化粧溝が断面V字状である場合、面取り面と化粧板表面とがなす角度は、化粧溝を形成する傾斜面と化粧板表面とがなす角度と同一に、かつ面取り面の長さは傾斜面の長さと同一に設計されているのが最も一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の化粧板にあっては、理想的な接合状態、即ち、接合時に化粧板接合部間に実質的に隙間が生じていない場合には、所望の立体感、意匠性を付与することができるものの、実際には化粧板接合部間に隙間が生じることが多く、その場合には、人間の目には接合溝が化粧溝とは異なる溝と認識される結果、違和感が生じ、ひいては意匠性が低下するという問題が生じていた。
【0005】
即ち、図8(ロ)に示すように接合部間に、厳密には隙間があるが実質的には隙間が生じていない場合には、化粧板(101 )同士を接合させた際に面取り面 (105 )により形成される接合溝(106 )上縁間の幅(以下「接合溝幅」という)Wm は図8(イ)に示す化粧溝(104 )の上縁間の幅(以下、「化粧溝幅」という)Wt と実質同一であり、かつ、接合溝(106 )の断面において面取り面(105 )の上縁と下縁を結ぶ2つの直線を延長して得られる仮想交点(120 )から化粧板(101 )表面の延長線上に立ち上げた垂線の足から、該仮想交点(120 )までの長さ(以下、「接合溝深さ」という)Dm も、化粧溝底の頂点(121 )から化粧板(101 )表面の延長線上に立ち上げた垂線の足から、該化粧溝底の頂点(121 )までの長さ(以下、「化粧溝深さ」という)Dt と同一であるから、人間の目には接合溝(106 )と化粧溝(104 )は同一の溝であると認識される。しかし、図8(ハ)に示すように接合部間に隙間が生じた場合には、接合溝幅(Wn )は化粧溝幅(Wt )より大きくなり、かつ接合溝(106 )の仮想交点(120 )位置が下がって接合溝深さ(Dn )が化粧溝深さ(Dt )より大きくなることに加えて、接合部間の隙間が影となってより一層深みを増した感じを受けるため、人間の目には接合溝(106 )が化粧溝(104 )とは異なる溝と認識されて、違和感が生じ、ひいては意匠性が低下することとなる。
【0006】
上記のような接合部間の隙間は、化粧板の接合部の毛羽立ちや若干の凹凸の影響を受けて施工の際に既に生じていることがある。また、温度や湿度の経時的な変化に伴い、化粧板が乾燥し、収縮が生じたりするため、これに伴って接合部間に隙間が生じることとなる。特に後者の場合は、温湿度変化により収縮するという化粧板に固有の、本来的に備わった性質に起因しているから、接合部間に隙間が生じることは事実上避けられないものである。
【0007】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、化粧板接合部間に隙間が生じることは避けられ得ないものとして、即ち実質的に隙間のない理想的な接合状態であろうと、接合部間に隙間が生じた状態であろうとも、人間の目に接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識され得る、そしてその結果優れた意匠性が保たれる溝付き化粧板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者は鋭意研究の結果、面取り面の下縁から化粧板表面の延長線上に立ち上げた垂線の足から、前記下縁までの長さを、化粧溝深さよりも小さく設定するとともに、面取り面と前記垂線とがなす角度を化粧溝の溝底開き角度の半分よりも大きく設定し、かつ面取り面の上縁から前記垂線までの水平距離を化粧溝幅の半分と実質的に同等長さに設定することにより、接合時に接合部間に隙間がない状態であっても、接合部間に隙間が生じた状態であっても、接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識され得る、意匠性に優れた溝付き化粧板を得ることができることを見出した。
【0009】
即ち、この発明にかかる溝付き化粧板は、平板矩形状の化粧板であって、その表面に長さ方向に沿って断面V字状または断面略V字状の1ないし複数条の化粧溝が形成されると共に、長さ方向の両側面に接合部が形成され、かつ該接合部を有する両側面上縁部に接合溝形成用面取り面が形成された化粧板において、前記面取り面の下縁から化粧板表面の延長線上に立ち上げた垂線の足から、前記面取り面の下縁までの長さが、前記化粧溝の深さよりも小さく設定されるとともに、前記面取り面と前記垂線とがなす角度が、前記化粧溝の溝底開き角度の半分よりも大きく設定され、かつ前記面取り面の上縁から前記垂線までの水平距離が、前記化粧溝の上縁間の幅の半分と実質的に同等長さに設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
一般に、接合部間に隙間が生じている場合には、隙間が影となって深さ感が強調されるため違和感を生ずるのであるが、この発明によれば、予め面取り面の下縁から化粧板表面の延長線上に立ち上げた垂線(20)の足(21)から、前記面取り面の下縁までの長さ(以下、「面取り深さ」という)が化粧溝深さよりも小さく設定されているから、接合時の接合溝の仮想交点の位置は化粧溝の溝底頂点位置と同等高さあるいはそれよりも高くなる。即ち接合溝深さが化粧溝深さと同等あるいはそれよりも小さいので、接合部間に生じた隙間が影となって生じる接合溝の深さ感が軽減される、あるいは接合溝と化粧溝の間の深さの差異は認識されない。また、面取り面と前記垂線とがなす角度(以下、「面取り角度」という)が化粧溝の溝底開き角度の半分よりも大きく設定されていることにより、接合溝の溝底開き角度は化粧溝の溝底開き角度よりも大きくなるので、換言すれば接合溝の傾斜は化粧溝の傾斜よりも緩やかとなるので、接合部間に生じた隙間の影による深さ感が軽減される。更に、面取り面の上縁から前記垂線までの水平距離 (以下、「面取り幅」という)が、化粧溝幅の半分と実質的に同等長さに設定されているから、化粧溝幅と接合溝幅は実質的に同等長さとなり、両者における幅の相違は人間の目には当然認識され得ない。以上の作用が相俟って接合部間に隙間が生じた状態において、人間の目に接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識される。
【0011】
一方、実質的に隙間が生じていない場合には、前記隙間による影は生じ得ないのであるから、この場合には視覚的に溝幅が強く意識されることとなるが、この発明によれば、面取り幅が化粧溝幅の半分と実質的に同等長さに設定されている結果、化粧溝幅と接合溝幅は実質的に同等長さとなり、両者における幅の相違は人間の目には当然認識され得ない。従って、実質的に隙間のない理想的な接合状態においても、人間の目に接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識される。
【0012】
以上のように、この発明によれば、実質的に隙間のない理想的な接合状態であろうと、接合部間に隙間が生じた状態であろうとも、人間の目に接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識され、そしてその結果優れた意匠性が保たれるという効果が得られる。
【0013】
また、化粧溝と面取り面には着色が施されたものとなされているのが好ましい。これにより、人間の目に接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識させる効果を確実に得ることができるとともに、立体感を一層付与することができ、意匠性をより向上させることができる。
【0014】
更に好ましくは、化粧板接合部のうち、少なくとも接合時に表面側から視界に入る部分に着色が施されたものとなされているのが良い。これにより、人間の目に接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識させる効果をより確実に得ることができる。
【0015】
この発明において、面取り幅は化粧溝幅の半分と実質的に同等長さに設定されなければならないが、実質的に同等とは、目視した際に幅に差異があることが認識されない程度の差異が許容されることを意味するものであり、例えば、化粧溝幅が2.0〜5.0mm程度の場合、面取り幅を2倍した数値が、化粧溝幅に対して±30%程度の差異が生じていても十分許容されるものであるが、特にこれに限定されるものではない。
【0016】
なお、化粧溝の溝底開き角度とは、溝の断面において化粧溝の傾斜面が直線である場合はもちろん、図7に示すように傾斜面が凸状あるいは凹状である場合にも傾斜面の上縁と下縁を結ぶ2つの直線同士がなす角度をいうものとする。接合溝の溝底開き角度も、面取り面の上縁と下縁を結ぶ2つの直線同士がなす角度をいうものとする。
【0017】
また同様に、面取り角度とは、面取り面の断面において面取り面が直線である場合はもちろん、面取り面が凸状あるいは凹状である場合にも面取り面の上縁と下縁を結ぶ直線と、面取り面の下縁から化粧板表面の延長線上に立ち上げた垂線とがなす角度をいうものとする。
【0018】
また、仮想交点とは、前記のとおり接合溝の断面において面取り面の上縁と下縁を結ぶ2つの直線を延長して得られる交点を指すが、接合部間に全く隙間がなく面取り面下縁同士が接している場合には、該面取り面の下縁(2つの面取り面下縁の一致点)を指すものとし、このような場合も包含する意味で用いるものとする。
【0019】
従って、接合溝深さは、前記のとおり接合溝の断面において面取り面の上縁と下縁を結ぶ2つの直線を延長して得られる仮想交点から化粧板表面の延長線上に立ち上げた垂線の足から、該仮想交点までの長さと定義するが、上記同様に接合部間に全く隙間がなく面取り面下縁同士が接している場合には、該面取り面の下縁から化粧板表面の延長線上に立ち上げた垂線の足から、該下縁までの長さを指すものとし、このような場合も包含する意味で用いるものとする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図示例とともに説明する。
【0021】
この発明にかかる溝付き化粧板(1)は、図3に示すように平板状基板(2)を用い、該基板(2)の表面側に表面化粧材(3)を貼着一体化し、そして接合部(9)(10)加工、接合溝形成用面取り面(5)加工、及び表面側に化粧溝(4)付け加工を施したものを基本構成とするものであり、化粧板(1)同士を接合した際に実質的に隙間のない理想的な接合状態であろうと、接合部間に隙間が生じた状態であろうとも、人間の目に接合溝(6)と化粧溝(4)は同一の溝であると認識されるように、接合溝(6)を形成する面取り面(5)と化粧溝 (4)との関係を規定したものである。
【0022】
先ず、図3に示すように厚さ2.0〜35mm程度、特に好ましくは5〜20mm程度の平板状基板(2)の上面に接着剤を介して表面化粧材(3)を貼着する。
【0023】
上記基板(2)としては、木質板、無機質板、合成樹脂板あるいはこれらを複数枚積層したものが使用される。
【0024】
上記木質板としては、例えば合板、ランバーコアー合板、中質繊維板(MDF)、パーティクルボード、ハードボード、インシュレーションボード、ウエハーボード(WB)、オリエンテッドストランドボード(OSB)、木質繊維板、単板積層材(LVL)、集成材、連続網状繊維板(ゼファーウッド)などの単体もしくは複数枚積層したものが挙げられる。また、無機質板としては、スレート板、ケイ酸カルシウム板、ロックウール板、グラスウール板、パルプセメント板などが挙げられる。また、合成樹脂板としては、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂などから成るものが挙げられる。
【0025】
上記基板(2)には、吸音性、遮音性を向上させることを目的として、必要に応じて以下の構成を採用するものとしても良い。即ち、基板(2)裏面側に適宜細溝とか円状凹部を形成しても良い。また、材料を複数枚積層した基板(2)では、その構成材料の内、少なくとも1つに溝加工、切断加工、有孔加工を施すものとしても良い。更に、材料を複数枚積層した基板(2)では、該積層材料間に、合成もしくは天然ゴムシート、不織布シート、発泡体シート、鉄粉や鉛粉などの高比重物質を混入させた高比重シート、アスファルト系シート等、またはこれらを複数枚積層したものを介在させるものとしても良い。
【0026】
表面化粧材(3)は、最も一般的かつ好適には、厚さ0.2〜1.0mm程度の木質単板が用いられるが、その他化粧紙、化粧合成樹脂シート、合成樹脂含浸化粧紙などの従来公知の化粧材料を用いることもできる。これら表面化粧材(3)には更に模様印刷、着色印刷などの任意の化粧が施されたものを用いることもできる。
【0027】
表面化粧材(3)を基板(2)に貼着するための接着剤としては、常用の各種接着剤を使用できる。例えば、尿素樹脂系、酢酸樹脂ビニル系、エチレン酢酸樹脂ビニル系、ゴム系、メラミン樹脂系、尿素・メラミン共縮合樹脂系、フェノール樹脂系、水性ビニルウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリル系あるいはこれらを適宜組み合わせたもの等を使用できる。
【0028】
なお、表面化粧材(3)の貼着は必要に応じて補強用の介挿シートを介して行うこともある。即ち、特に表面化粧材(3)に木質単板を用いるような場合、そのヒワレ防止をはかるべく、紙、不織布、織布、樹脂シート、金属箔などよりなる補強用シートを介して基板(2)に貼着することもある。
【0029】
上記基板(2)の少なくとも長さ方向の両側面には接合部(9)(10)を形成する。図3に示す化粧板(1)は接合部の形状として相じゃくり実はぎ形式を採用しているが、図4に示すような本ざね形式や図5に示すような相じゃくり形式であっても良く、また、特にこれらに限定されるものではなく、その他やとい実等の公知の形状を採用することができる。
【0030】
また、化粧板(1)の表面には断面V字状または断面略V字状の1ないし複数条の化粧溝(4)を長さ方向に形成するが、化粧溝(4)の形成方法は、特に限定されるものではなく、切削形成、圧潰形成などの公知の方法によればよい。また、前記化粧溝(4)は幅方向にも形成するのが望ましく、これにより、一層立体感を付与するとともに、意匠性により優れたものとなすことができる。また、化粧溝(4)の形状は、図4に示すような断面V字状が最も一般的であり、その他略V字状(傾斜面が凸状あるいは凹状(図5))も採用することができる。また、溝の幅および深さは、いずれも特に限定されるものではないが、好ましくは幅を2.0〜5.0mm程度、深さを0.6〜1.7mm程度とするのが良い。また、化粧溝(4)の溝底の開き角度は、通常80〜120°であるが特にこれに限定されるものではない。
【0031】
一方、化粧板(1)の長さ方向の両側面上縁部には面取り面(5)加工が施されるが、面取り面(5)の形成方法も化粧溝(4)同様、特に限定されるものではなく、切削形成などの公知の方法によればよい。この面取り面(5)は化粧板(1)同士を接合させた際に接合溝(6)を形成するものであるから、この発明の主たる特徴である以下の条件に適合するように形成されなければならない。即ち、図1に示すように、面取り深さ(Db )が化粧溝深さ(Da )よりも小さく、面取り角度(θb )が化粧溝(4)の溝底開き角度(θa )の半分よりも大きく、かつ面取り幅(Wb )が化粧溝幅(Wa )の半分と実質的に同等長さになるように、面取り面(5)を形成する必要がある。上記において、面取り角度(θb )を2倍した数値と化粧溝(4)の溝底開き角度(θa )との差は、30°以内であることが好ましい。また、面取り深さ(Db )は化粧溝深さ(Da )の50%〜88%に設定されているのが好ましく、中でも60%〜80%に設定されるのがより好ましい。
【0032】
図2は、この発明にかかる化粧板(1)同士を接合した時の接合溝(6)の拡大断面図であり、同図(ロ)は接合部間に隙間が生じている状態の断面図である。接合部間に隙間が生じている場合には、隙間が影となって深さ感が強調されるため違和感を生ずるのであるが、この発明によれば上述のとおり、予め面取り深さ(Db )が化粧溝深さ(Da )よりも小さく設定されているから、接合時の接合溝(6)の仮想交点(120 )の位置は化粧溝(4)の溝底頂点位置と同等高さあるいはそれよりも高くなる。即ち接合溝深さ(Dx )は化粧溝深さ(Da )と同等あるいはそれよりも小さい。接合溝深さ(Dx )と化粧溝深さ(Da )が同等である場合には接合部間に生じた隙間が影となって生じる接合溝(6)の深さ感が軽減されるし、図2(ロ)に示されるように接合溝深さ(Dx )が化粧溝深さ(Da )よりも小さい場合には、接合溝(6)と化粧溝(4)の間の深さの差異は認識されない。また、面取り角度(θb )が化粧溝の溝底開き角度(θa )の半分よりも大きく設定されていることにより、接合溝の溝底開き角度(θd )は化粧溝の溝底開き角度(θa )よりも大きくなるので、換言すれば面取り面(5)の傾斜は化粧溝の傾斜面(4a)の傾斜よりも緩やかとなるので、接合部間に生じた隙間の影による深さ感が軽減される。更に、面取り幅(Wb )が、化粧溝幅 (Wa )の半分と実質的に同等長さに設定されているから、化粧溝幅(Wa )と接合溝幅(Wd )は実質的に同等長さとなり、両者における幅の相違は人間の目には当然認識され得ない。以上の作用が相俟って接合部間に隙間が生じた状態において、人間の目に接合溝(6)と化粧溝(4)は同一の溝であると認識される。
【0033】
一方、図2(イ)に示すように実質的に隙間が生じていない場合には、化粧溝(4)と接合溝(6)との間に、溝深さ及び溝底開き角度において差異が生じているものの、前記隙間による影は生じ得ないのであるから、この場合には視覚的に溝幅が強く意識されることとなるが、この発明によれば、面取り幅(Wb )が化粧溝幅(Wa )の半分と実質的に同等長さに設定されている結果、化粧溝幅 (Wa )と接合溝幅(Wc )は実質的に同等長さとなり、両者における幅の相違は人間の目には当然認識され得ない。従って、実質的に隙間のない理想的な接合状態においても、人間の目に接合溝(6)と化粧溝(4)は同一の溝であると認識される。
【0034】
以上のように、この発明によれば、実質的に隙間のない理想的な接合状態であろうと、接合部間に隙間が生じた状態であろうと、いずれの場合においても、人間の目に接合溝(6)と化粧溝(4)は同一の溝であると認識され、そしてその結果優れた意匠性が保たれるという効果が得られるものである。
【0035】
上記化粧板(1)には、必要に応じて以下の表面化粧を施すものとしてもよい。即ち、表面化粧材(2)の表面を常法に従ったサンディング等の方法により研磨する。更に表面化粧材(2)に着色剤(7)を用いて着色を施しても良く、更に必要に応じて、透明または着色透明の塗料(8)を用いて塗装を施すものとしても良い。上記塗料(8)としてはアミノアルキッド、ポリウレタン、ラッカー、ポリエステルなどの一般的な塗料の他、要すれば紫外線硬化塗料、電子線硬化塗料などを用いることができる。前記塗装は、下塗り塗装、上塗り塗装の2層塗装としても良いし、下塗り塗装、中塗り塗装、上塗り塗装の3層塗装あるいはそれ以上の複層塗装としても良い。これらの塗装を施すことにより、化粧板(1)表面を非常に光沢のあるものとすることができ、一層意匠性に優れたものとなすことができる。更には前記塗装の上にワックスなどの光沢化粧などを施すこともできる。
【0036】
また、図5に示すように、前記化粧溝(4)と面取り面(5)には着色剤(7)を用いて着色を施すことが好ましい。これにより、人間の目に接合溝(6)と化粧溝(4)は同一の溝であると認識させる効果を確実に得ることができるとともに、立体感を一層付与することができ、意匠性をより向上させることができる。この時、着色剤(7)の色は任意のものが使用でき、化粧板(1)表面の色調と同色、同系色あるいは異色であってもよい。ただし、化粧溝(4)と面取り面(5)の着色は、人間の目に接合溝(6)と化粧溝(4)は同一の溝であると認識させる観点から、同色または同系色とする必要がある。
【0037】
更に、前記化粧板接合部(9)(10)の内、図6に示すように少なくとも接合時に表面側から視界に入る部分に着色剤(7)を用いて着色を施すことが好ましい。これにより、人間の目に接合溝(6)と化粧溝(4)は同一の溝であると認識させる効果をより確実に得ることができる。この時、着色剤(7)の色は化粧板(1)表面の色調と同色、同系色あるいは異色であってもよいが、接合溝 (6)を化粧溝(4)と同一の溝であると認識させる観点から、前記化粧溝(4)及び面取り面(5)の着色と同色または同系色とする必要がある。なお、接合部の着色箇所は図6に示される箇所に限定されるものではなく、例えば図6における接合部(9)上側水平面の全面に着色されていても良い。
【0038】
上記により製造した溝付き化粧板(1)に、裏面からの吸水、吸湿、乾燥等によって反りを生じることが懸念されるような場合には、裏面に樹脂含浸紙、バルカナイズドファイバー紙、合成樹脂フィルム、合成樹脂独立発泡シート、あるいはアルミ箔や合成樹脂層の両面に紙、不織布、織布等を配した複層シートなどの防水シート(11)を貼着し、防水、防湿処理を施すものとすることが好ましい。あるいは裏面に前記塗料(8)と同様の塗料を塗布してもよい。更に、必要に応じて前記防水シ−ト(11)に接着剤を介して不織布、合成樹脂発泡体、あるいはこれらを複数枚積層したものなどのクッションシート(12)を貼着することが好ましく、これにより吸音性、遮音性を向上させることができ、また、施工下地が平面状の場合、下地の不陸、凹凸に馴染みやすくなり、施工仕上りを向上させることができる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、この発明にかかる溝付き化粧板によれば、接合部間に隙間が生じている場合にあっても、面取り深さが化粧溝深さよりも小さく設定されているから、接合時の接合溝の仮想交点の位置は化粧溝の溝底頂点位置と同等高さあるいはそれよりも高くなる。即ち接合溝深さが化粧溝深さと同等あるいはそれよりも小さいので、接合部間に生じた隙間が影となって生じる接合溝の深さ感が軽減される、あるいは接合溝と化粧溝の間の深さの差異は認識されない。また、面取り角度が化粧溝の溝底開き角度の半分よりも大きく設定されていることにより、接合溝の溝底開き角度は化粧溝の溝底開き角度よりも大きくなるので、換言すれば接合溝の傾斜は化粧溝の傾斜よりも緩やかとなるので、接合部間に生じた隙間の影による深さ感が軽減される。更に、面取り幅が化粧溝幅の半分と実質的に同等長さに設定されているから、化粧溝幅と接合溝幅は実質的に同等長さとなり、両者における幅の相違は人間の目には当然認識され得ない。以上の作用が相俟って接合部間に隙間が生じた状態において、人間の目に接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識される。
【0040】
一方、実質的に隙間が生じていない場合には、前記隙間による影は生じ得ないから、この場合には視覚的に溝幅が強く意識されることとなるが、この発明によれば、面取り幅が化粧溝幅の半分と実質的に同等長さに設定されている結果、接合溝幅と化粧溝幅は実質的に同等長さとなり、両者における幅の相違は人間の目には当然認識され得ない。従って、実質的に隙間のない理想的な接合状態においても、人間の目に接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識される。
【0041】
以上のように、この発明によれば、実質的に隙間のない理想的な接合状態であろうと、接合部間に隙間が生じた状態であろうと、いずれの状態にあっても、人間の目に接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識され、そしてその結果優れた意匠性が保たれるという効果が得られる。
【0042】
また、化粧溝と面取り面に着色が施されてなる場合には、人間の目に接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識させる効果を確実に得ることができるとともに、立体感を一層付与することができ、意匠性をより向上させることができる。
【0043】
更に、化粧板接合部のうち、少なくとも接合時に表面側から視界に入る部分に着色が施されてなる場合には、人間の目に接合溝と化粧溝は同一の溝であると認識させる効果をより確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる溝付き化粧板の化粧溝と面取り面との関係を示す、両部の拡大断面図であって、同図(イ)は化粧溝の断面図、同図(ロ)は面取り面の断面図をそれぞれ示すものである。
【図2】化粧板同士を接合した際に形成される接合溝を拡大して示す断面図であって、同図(イ)は接合部間に実質的に隙間が生じていない場合の断面図、同図(ロ)は接合部間に隙間が生じている場合の断面図をそれぞれ示すものである。
【図3】この発明の一実施形態にかかる溝付き化粧板を示す斜視図である。
【図4】別の実施形態にかかる溝付き化粧板を示す断面図である。
【図5】更に別の実施形態を示す断面図である。
【図6】図5の実施形態において、更に接合部にも着色を施す構成を採用した場合の接合部近傍を拡大して示す断面図である。
【図7】溝底開き角度の定義を示す、化粧溝近傍を拡大して示す断面図であって、同図(イ)は傾斜面が凹状の場合の断面図、同図(ロ)は傾斜面が凸状の場合の断面図をそれぞれ示すものである。
【図8】従来の溝付き化粧板の溝部を拡大して示す断面図であって、同図(イ)は化粧溝の断面図、同図(ロ)は接合部間に実質的に隙間が生じていない場合の接合溝の断面図、同図(ハ)は接合部間に隙間が生じた場合の接合溝の断面図をそれぞれ示すものである。
【符号の説明】
1…溝付き化粧板
4…化粧溝
5…面取り面
6…接合溝
7…着色剤
9、10…接合部
20…垂線
21…垂線の足
Claims (3)
- 平板矩形状の化粧板であって、その表面に長さ方向に沿って断面V字状または断面略V字状の1ないし複数条の化粧溝が形成されると共に、長さ方向の両側面に接合部が形成され、かつ該接合部を有する両側面上縁部に接合溝形成用面取り面が形成された化粧板において、
前記面取り面の下縁から化粧板表面の延長線上に立ち上げた垂線の足から、前記面取り面の下縁までの長さが、前記化粧溝の深さよりも小さく設定されるとともに、
前記面取り面と前記垂線とがなす角度が、前記化粧溝の溝底開き角度の半分よりも大きく設定され、
かつ、前記面取り面の上縁から前記垂線までの水平距離が、前記化粧溝の上縁間の幅の半分と実質的に同等長さに設定されていることを特徴とする溝付き化粧板。 - 前記化粧溝と面取り面に着色が施された請求項1に記載の溝付き化粧板。
- 前記化粧板接合部のうち、少なくとも接合時に表面側から視界に入る部分に着色が施された請求項2に記載の溝付き化粧板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26078196A JP3652815B2 (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 溝付き化粧板 |
Applications Claiming Priority (1)
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