JP4504305B2 - トランスファフィーダ装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、搬送ビームの振動を抑制して動作させるトランスファフィーダ装置の制御装置に関する。
トランスファフィーダ装置を、図9に示した概略概念図を参照して簡単に説明する。トランスファフィーダ装置は、一対の搬送ビーム1a,1bと、この一対の搬送ビーム1a,1bにおける両端をそれぞれ支持する搬送ビーム作動装置2a〜2dとを備えており、搬送ビーム1a,1bにおける互いに対向する複数の爪6a,6bによって被加工物Wを挟むことができるような構造となっている。
各搬送ビーム作動装置2a〜2dには、一対の搬送ビーム1a,1bをクランプ・アンクランプ方向に移動させるクランプ装置3a〜3d、リフト・ダウン方向に移動させる昇降装置4a〜4dがそれぞれ設けられている。
また、少なくとも搬送ビーム1a,1bにおける一方の端部を支持する搬送ビーム作動装置2(図9では、搬送ビーム作動装置2a,2b)には、搬送ビーム1a,1bをアドバンス・リターン方向に移動させるアドバンス装置5a,5bがそれぞれ設けられている。
各クランプ装置3a〜3d、各昇降装置4a〜4d、各アドバンス装置5a,5bには、サーボモータやリニアモータ、シリンダ等により駆動され、ボールネジ機構やリンク機構等を利用して搬送ビーム1a,1bを動作させる駆動部が設けられている。
各搬送ビーム作動装置2a〜2dにおけるクランプ装置3a〜3d、昇降装置4a〜4d、各アドバンス装置5a,5bの各駆動部は、一対の搬送ビーム1a,1bが、互いに同期した状態でクランプ、リフト、アドバンス、ダウン、アンクランプ、リターンという三次元動作を繰り返すように、各駆動部に接続された制御装置によってそれぞれ独立して制御されている。このため、一対の搬送ビーム1a,1bによって、鍛造プレスの金型に被加工物Wを搬入し、金型間における被加工物Wの移動させ、成型された被加工物Wを金型から搬出することができるのである。
ところで、上記のごときトランスファフィーダ装置が安定した搬送機能を果たすためには、被加工物Wの搬送動作中において、一対の搬送ビーム1a,1bが互いに平行に保たれ、かつ、アドバンス方向変位が高精度で一致していなければならない。
しかしながら、トランスファフィーダ装置は、上記のごとく一対の搬送ビーム1a,1bを作動させるには、以下のような難しい特質を有している。
(1)搬送ビーム1a,1bの固有振動は一次振動モードのみならず、二次、三次あるいはそれ以上の高次の振動モードを、クランプ方向、リフト方向それぞれに有し、各振動モードの振動減衰が小さい。
(2)被加工物Wをクランプしたときには、被加工物Wの質量により搬送ビーム1a,1bの振動特性が変化し、しかも、すべての爪6a,6b間に被加工物Wをクランプする場合ばかりではなく、歯抜けになったり、一対の搬送ビーム1a,1bにおける端部の爪6a,6b間にだけ被加工物Wをクランプしたりする場合もあるため、加工物の搬送状態により搬送ビーム1a,1bの振動特性が様々に変化する。さらに、爪6a,6bによって被加工物Wをクランプすると、一対の搬送ビーム1a,1bが被加工物Wを介して連結するので、片方の搬送ビームの振動が他方の搬送ビームに伝播し、一対の搬送ビーム1a,1b間で共振するので、搬送ビーム1a,1bの振動特性はより一層複雑に変化する。
(3)装置構成上、直交しているクランプ方向・リフト方向・アドバンス方向それぞれの振動状態が相互に干渉する。具体的には以下のごとき干渉が発生する。一対の搬送ビーム1a,1bをクランプ方向に急激に動作させると、クランプ方向に振動するばかりでなくリフト方向にも振動する。また、一対の搬送ビーム1a,1bをリフト方向に急激に動作させると、リフト方向に振動するばかりでなくクランプ方向にも振動する。一対の搬送ビーム1a,1bをアドバンス方向に急激に動作させると、クランプ方向にもリフト方向にも振動する。そして、搬送ビーム1a,1bがリフト方向に振動している間にアドバンス方向に移動させると、アドバンス方向の変位がリフト方向に振動周波数と同じ周波数で変動するなどの干渉が生じる。
一方、プレス設備における生産性向上の要求から搬送動作の高サイクル化が望まれており、搬送動作の高サイクル化に伴って、搬送ビーム1a,1bの動作制御がより一層重要となるのであるが、発明者らは、従来からよく利用されるPID制御を適用してトランスファフィーダ制御装置を構成した場合、搬送動作サイクルを速くすることができないという問題が生じることを確認した。かかる問題が生じる理由は、以下のとおりである。
(1)搬送動作が速くなると、搬送動作波形に含まれる周波数成分が搬送ビーム1a,1bの固有周波数に近くなるため、搬送ビーム1a,1bがクランプ方向およびリフト方向に大きく振動し、一対の搬送ビーム1a,1bを規定の平行度に保つことが困難になり、被加工物Wを取りこぼすなど、安定した搬送機能を果たせなくなる。したがって一対の搬送ビーム1a,1bの振動が被加工物Wの搬送に影響しない程度の搬送動作サイクルに抑えざるをえない。
(2)プレス加工はトランスファフィーダ装置のリターン動作中に行なわれるが、このときの衝撃で搬送ビーム1a,1bが振動する。搬送ビーム1a,1bの振動減衰時間が長いので、搬送動作が速くなると以前のプレス衝撃による残留振動が一対の搬送ビーム1a,1bを作動させたときに生じる振動に重畳し、搬送ビーム1a,1bの振動の程度が増大する。したがって振動が減衰するまで待って次の搬送動作を開始せねばならず、結果として搬送動作サイクルが低下する。
(3)装置構造上許容できる程度に、搬送ビーム1a,1bの固有振動現象が装置に与えるストレスを抑えるように搬送動作サイクルを低下させざるをえない。
上記のようなPID制御による問題を解決するために、従来、種々のトランスファフィーダ制御方法(装置)が提案されている(特許文献1〜3:従来例1〜3)。
従来例1(特許文献1)には、運動を伴なう構造物の最適な制振起動制御を効率よく行う「軌道制御装置」が開示されている。この従来例1では、制御対象および駆動系の動特性を記述した状態方程式に基づいて、状態量および操作量により記述される評価関数の値を最大あるいは最小にするフィードバックゲインを演算し、このフィードバックゲインにより補償された状態方程式を、いくつかの制約条件のもとで、最短時間で移動するための軌道を数理計画法で求め、求められた軌道と、フィードバックゲインと状態量の乗算により記述される制御量を加えたものを制御対象に与えて制御対象の運動を制御している。
つまり、従来例1では、制御対象の状態量をセンサにて検出し、最適制御に基づく状態フィードバックによるフィードバック操作量と、数理計画法により求まる、制御対象の固有振動を刺激しないように最短時間で移動するためのフィードフォワード操作量との和で、制御対象を動作させるものとなっているのである。
また、従来例2(特許文献2)には、運動を伴なう構造物の最適な制振軌道制御を効率よく行う「軌道制御装置」が開示されている。この従来例2は、制御対象および駆動系の動特性にジャーク値を含めて記述した状態方程式を、許容最大ジャーク値を含むいくつかの制約条件のもとで、最短時間で移動するための軌道を数理計画法により求めて最適な制振軌道を行うものである。
従来例3(特許文献3)には、モデル化誤差があっても、制御対象で発生する振動を十分に抑制できるようにする「軌道制御装置」が開示されている。従来例3に開示された制御装置は、制約条件に、制御対象に加えるべき操作量を、時間の多項式で記述するという条件を含めた上で、制御対象が、所定移動距離を所定時間で移動し停止位置に位置決めされるための操作量を、数理計画法を用いて求めるものである。
つまり、従来例2,3では、数理計画法により求まる、制御対象の固有振動を刺激しないように、さらに滑らかな軌道で移動するためのフィードフォワード操作量により制御対象を動作させているのである。
しかしながら、上述した従来例1〜3には以下のような問題点がある。
まず、従来例2,3の制御装置は、制御対象が動作することによる制御対象の振動を抑制することはできるが、制御対象の振動状態を検出する手段を有していないため、外部の要因による制御対象の振動を抑制することができない。前述したように、トランスファフィーダ装置はプレス作動時の衝撃により振動するが、従来例2,3の制御装置では、この振動を抑制することができない。
一方、従来例1の制御装置は、最適制御に基づく状態フィードバックを含んでいるので、外部の要因による制御対象の振動を抑制できる構成となっている。
しかしながら、(i)状態フィードバックによる柔軟構造をとる装置のフィードバック制御は、制御対象の位相特性に非常に敏感で、記述される状態方程式が比較的正確に現実の装置位相特性に一致していなければ、制御対象の振動を抑制することが困難であり、また、(ii)実用上問題なく振動抑制のために状態フィードバックが利用できるのは、全ての状態量が正確に検出できるかあるいは位相遅れなく推定できる制御問題に限られるという知見を有している。
従来例1の制御装置をトランスファフィーダ装置の制御に採用した場合を考察すると、以下の(1)、(2)の問題が確認できる。
(1)搬送ビームは多くの振動モードを有するので、得られる状態方程式は非常に複雑になる上、搬送ビームの振動特性は被加工物のクランプ状態により様々に変化するので、制御対象の状態方程式を正確に記述することができない(上記(i)の問題)。
(2)搬送ビームの振動状態を検出するには、振動振幅の最も大きい位置に検出器を設置するのが最も効果的であるが、搬送ビームは一次、二次、三次あるいはそれ以上の高次の振動モードを有し、しかもクランプ方向、リフト方向それぞれに異なるので、搬送ビームの振動状態を検知するには、振動モードごとに非常に多数の検出器を必要とする。しかも、搬送ビームは、プレス加工物の輻射熱などにより雰囲気温度が高く、離型材や潤滑油など有害な液体に晒される環境にあるので、上記の多数の検出器すべてを健全に保つことは非常に多大な困難を要する(上記(ii)の問題)。
特開平6−59740号 特開平6−59741号 特開平9−91105号
本発明は上記事情に鑑み、複雑な特性を有し、しかも被加工物のクランプ状態により様々に特性が変化する搬送ビームの振動を、比較的簡単な構成で抑制して、高サイクルな搬送動作が可能なトランスファフィーダ装置の制御装置を提供することを目的とする。
第1発明のトランスファフィーダの制御装置は、プレス装置に設けられる、一対の搬送ビームによって被加工物の移動を行うトランスファフィーダ装置において、前記一対の搬送ビームを作動させる駆動部を制御する制御装置であって、プレス動作に同期して、基準位置と、制御周期の間における前記駆動部が移動する量とに基づいて制御周期ごとに前記駆動部の変位を指示する位置指令値信号を生成する位置指令値波形生成手段と、前記駆動部の基準位置からの変位を検出し、位置検出値信号を生成する駆動部位置検出器と、前記位置指令値信号および前記位置検出値信号に基づいて、前記位置指令値信号に対する前記位置検出値信号の偏差を示す位置制御偏差信号を生成する制御偏差演算手段と、前記位置制御偏差信号に基づいて、前記駆動部の作動速度を指示する駆動部速度指令値信号を演算する操作量演算手段と、前記駆動部位置検出器によって生成された位置検出値信号を時間微分演算して駆動部速度検出値信号を生成し、該駆動部速度検出値信号が前記操作量演算手段によって演算される駆動部速度指令値信号に一致するような駆動力指令値信号を演算する駆動部移動速度調整手段とを備えており、該操作量演算手段が、前記位置制御偏差信号が入力されると、第1操作量信号を演算する駆動部位置制御手段と、前記駆動部移動速度調整手段から駆動力指令値信号が入力されると、第2操作量信号を演算する駆動力変動抑制手段とからなり、前記駆動部速度指令値信号は、前記第1操作量信号と前記第2操作量信号とを足し合わせた信号であり、前記駆動力変動抑制手段は、前記搬送ビームの固有周波数と等しい周波数で振動する伝達周波数特性を有し、かつ、ゲインピークをもつ伝達周波数特性を有するように設定された状態方程式により第2操作量信号を演算するものであることを特徴とする。
第2発明のトランスファフィーダの制御装置は、第1発明において、前記駆動部位置制御手段および前記駆動力変動抑制手段は、前記駆動部速度指令値信号から前記駆動部位置検出値信号までの伝達特性を表現する状態方程式と、前記搬送ビームの固有周波数と等しい周波数で振動する状態方程式と、モデル化誤差の影響により制御ループが不安定になるのを回避するための状態方程式とにより設定されるH∞制御問題の解として得られる伝達関数に基づいて、前記第1操作量信号および前記第2操作量信号駆動力指令値信号をそれぞれ演算するものである
ことを特徴とする。
本発明によれば、駆動力変動抑制手段の伝達周波数特性が搬送ビームの固有周波数と等しい周波数で振動することにより、装置固有周波数における位置指令値信号から装置の振動状態までの伝達関数のゲイン、および、外乱から装置の振動状態までの伝達関数のゲインを小さくすることができるから、搬送ビームの振動を抑制することができる。また、プレス作動時の衝撃等の外力により搬送ビームが振動すると、この振動状態は、駆動力指令値信号に反映されるから、搬送ビームに特別なセンサを設けるなどしなくても、外乱に起因する搬送ビームの振動も抑制することができる。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明のトランスファフィーダ装置の制御装置は、鍛造プレスにおいて、金型への被加工物の搬入搬出や、金型間における被加工物の移動を行うトランスファフィーダ装置の作動を制御するものであり、トランスファフィーダ装置における搬送ビームの振動を、比較的簡単な構成で抑制することができ、かつ、フィードバック制御による制御を行いつつ高サイクルな搬送動作ができるようにしたことに特徴を有するものである。
まず、本発明の制御装置を説明する前に、本発明の制御装置が採用されるトランスファフィーダ装置を、図9を参照して簡単に説明する。
図9に示すように、トランスファフィーダ装置は、一対の搬送ビーム1a,1bと、この一対の搬送ビーム1a,1bにおける両端をそれぞれ支持する搬送ビーム作動装置2a〜2dとを備えており、搬送ビーム1a,1bにおける互いに対向する複数の爪6a,6bによって被加工物Wを挟むことができるような構造となっている。
各搬送ビーム作動装置2a〜2dには、一対の搬送ビーム1a,1bをクランプ・アンクランプ方向に移動させるクランプ装置3a〜3d、リフト・ダウン方向に移動させる昇降装置4a〜4dがそれぞれ設けられており、少なくとも搬送ビーム1a,1bにおける一方の端部を支持する搬送ビーム作動装置2(図9では、搬送ビーム作動装置2a,2b)には、搬送ビーム1a,1bをアドバンス・リターン方向に移動させるアドバンス装置5a,5bがそれぞれ設けられている。
各クランプ装置3a〜3d、各昇降装置4a〜4d、各アドバンス装置5a,5bは、例えば、サーボモータやリニアモータ、シリンダ等により駆動され、ボールネジ機構やリンク機構等を利用して搬送ビーム1a,1bを動作させる駆動部が設けられており、各駆動部に接続された制御装置によってそれぞれ独立して制御されている。
このため、各搬送ビーム作動装置2a〜2dにおける各クランプ装置3a〜3d、各昇降装置4a〜4d、各アドバンス装置5a,5bの各駆動部を作動させれば、一対の搬送ビーム1a,1bに、クランプ、リフト、アドバンス、ダウン、アンクランプ、リターンという三次元動作を繰り返させることができるから、一対の搬送ビーム1a,1bによって、鍛造プレスの金型に被加工物Wを搬入し、金型間における被加工物Wの移動させ、成型された被加工物Wを搬出することができるのである。
つぎに、本発明の制御装置を詳細に説明する。
図示しないが、各クランプ装置3a〜3d、各昇降装置4a〜4d、各アドバンス装置5a,5bの各駆動部には、それぞれ本発明の制御装置が接続されている。各制御装置は、各駆動部をそれぞれ独立して制御するものであり、各駆動部の制御装置について、それぞれ独立して以下の発明が成立するのである。
まず、本発明の制御装置を説明する前に、本発明がなされるにいたった考察の経過を説明する。
なお、以下の説明では、各クランプ装置3a〜3d、各昇降装置4a〜4d、各アドバンス装置5a,5bの各駆動部として、サーボモータとボールネジによる送り機構を使用した場合を代表として説明するが、リニアモータやシリンダ等を使用する場合にも同様に実現できるのは言うまでもない。
まず、トランスファフィーダ装置の制御対象について説明する。
図2は、制御装置の制御対象の関係をブロック線図により表わした図である。
図2において、符号11は、駆動部のサーボモータ11を示している。図2に示すように、このサーボモータ11の出力軸には、その回転角を検出し、回転角検出値信号θを出力する回転角検出器12が接続されている。この回転角検出器12から出力された回転角検出値信号θは時間微分器13によって時間微分演算され、演算された回転速度検出値信号ωがサーボアンプ14に入力されるように構成されている。このサーボアンプ14は、回転速度検出値信号ω、および、本発明の制御装置から供給される操作量信号uが入力されており、内部に実現されている回転速度制御器によって、回転速度検出値信号ωが操作量信号uに一致するように、サーボモータ11の励磁コイルにモータ駆動電流iを発生させるものである。なお、操作量信号uは、サーボモータ11の出力軸の回転角速度を指示する信号である。
したがって、サーボモータ励磁コイルにモータ駆動電流iを発生させると、サーボモータ11の出力軸にはモータ駆動電流iにより出力トルクが生じ、この出力トルクにより制御対象である装置負荷EL、具体的には駆動部と駆動部に連結されている搬送ビーム1a,1bが動作する。装置負荷ELが動作するとき、装置負荷ELの慣性力・弾性力・粘性抵抗力などが装置負荷応力としてサーボモータ11の出力軸に作用し、また、プレス作動時の衝撃などによる外乱力dも装置負荷応力を介してサーボモータ11の出力軸に作用するので、サーボモータ11の出力軸は、装置負荷応力と外乱力dがサーボモータ11の出力トルクと釣り合うように回転する。すると、サーボモータ11の出力軸の回転が回転角検出器12によって回転角検出値信号θとして検出されるから、この回転角検出値信号θにボールネジ15のネジピッチlを乗じれば、制御対象の出力である駆動部の基準位置からの移動量、つまり、駆動部の変位が位置検出値信号yとして検出されるのである。ここでいう駆動部の基準位置とは、トランスファフィーダ装置が初期の姿勢にあるときの駆動部の位置を意味している。例えば、駆動部の機構上制約される動作範囲のいずれか一方の端点であり、駆動部の変位には、その基準位置からの移動量が相当することになる。
ここで、プレス作動時の衝撃などによる外乱dの影響を含んだ装置負荷応力は、サーボアンプ14の回転速度制御器がサーボモータ11の励磁コイルに発生させるモータ駆動電流iに対して、装置負荷ELに対応する装置負荷相当電流iΔが加わったものと考えられる。この装置負荷相当電流iΔは、装置負荷ELに固有振動が生じれば装置固有周波数ωの影響を受けて変動するのであるが、装置固有周波数ωにおける装置負荷相当電流iΔのゲイン|iΔ(jω)|が大きければ装置負荷ELが激しく振動していることになり、逆に|iΔ(jω)|が小さければ、装置負荷ELの振動が軽微であることになる。すなわち|iΔ(jω)|は装置負荷振動状態の尺度になる。ただし、jは虚数単位である。
ところで、図2のブロック線図において、制御対象である各要素、具体的には、サーボモータ11、回転角検出器12、時間微分器13、サーボアンプ14は時不変な伝達周波数特性を持ち、それぞれの伝達関数、すなわちラプラス演算子sの有理関数、またはそれと等価な状態方程式で表現できるものと仮定できるので、各制御対象および制御装置を、伝達関数で示したブロック線図を作成すると、図3のように表現することができる。
ここで、図3における各伝達関数と、図2に示した各要素の関係は、以下のようになる。サーボモータ11の伝達関数はモータ回転特性P、回転角検出器12の伝達関数と時間微分器13の伝達関数とを合わせた伝達関数は時間微分器s、サーボアンプ14の伝達関数は回転速度制御器Kv、装置負荷ELの伝達関数は装置負荷応力特性Δが該当する。
そして、図3において、伝達関数K1と伝達関数K2が制御装置の伝達関数になるのであるが、伝達関数K1は、位置指令値信号rと回転角検出値信号θにボールねじピッチlを乗じた位置検出値信号yとの位置制御偏差を求め、この位置制御偏差に基づいて操作量uを算出する機能を有する制御器SK1の伝達関数であり、伝達関数K2は、サーボアンプ14が出力するモータ駆動電流iに基づいて操作量uを算出する機能を有する制御器SK2の伝達関数である。そして、制御装置は、操作量uと操作量uの和を操作量uとして出力するものと仮定している。
なお、位置指令値信号rとは、所定の制御周期(例えば0.1msの期間)経過後に搬送ビーム1の予定到達位置を指示する信号であり、後述するように、制御装置の位置指令値波形生成手段から供給されるものである。
さて、図3における各信号と各伝達関数との間には、以下の数1の関係が成り立つ。
Figure 0004504305
この式1をiΔについて解けば、以下の数2が得られる。ただし、数2において、GΔrは、位置指令値信号rから装置負荷相当電流iΔまでの伝達関数であり、GΔdは、外乱dから装置負荷相当電流iΔまでの伝達関数である。
Figure 0004504305
この式2を整理すると、以下の式3が得られる。
Figure 0004504305
一方、GΔdは、外乱dから装置負荷相当電流iΔまでの伝達関数であるから、GΔdについて数3を整理すると、以下の数4が得られる。
Figure 0004504305
ここで、装置が作動することによる装置負荷ELの振動の影響を小さくするには、装置固有周波数ωにおける位置指令値信号rから装置負荷相当電流iΔまでの伝達関数GΔrのゲイン|GΔr(jω)|を小さくすればよく、一方、プレス作動時の衝撃など外乱による装置負荷ELの振動の影響を小さくするには、装置固有周波数ωにおける外乱dから装置負荷相当電流iΔまでの伝達関数GΔdのゲイン|GΔd(jω)|を小さくすればよいのである。すると、数3、4より、装置負荷応力特性Δがいかなるものであっても、装置固有周波数ωにおける制御器SK2の伝達関数K2のゲイン|K(jω)|が大きければ、伝達関数GΔrのゲインおよび伝達関数GΔdのゲインの双方を小さくできることが分かる。
すなわち、装置固有周波数ωにおけるゲインが大きくなるように制御器SK2の伝達関数K2を設定すれば、装置が作動することによる装置負荷の振動の影響と、プレス作動時の衝撃など外乱による装置負荷の振動の影響との双方を小さくできる。そして、制御器SK2の伝達関数K2の装置固有周波数ωにおけるゲインを大きくするには、装置固有周波数ωで共振するような振動的性質を制御器SK2に付与させればよい。
図4は、制御器SK2の伝達関数K2の装置固有周波数ωにおけるゲインが大きく、かつ制御ループが安定となる制御器SK1および制御器SK2の組を導出するための一般化プラントの例を示した図である。図4中、w,w,wはH∞制御理論適用の際の一般化プラントに対する入力状態量であり、z,zは同出力状態量である。uは一般化プラントの制御入力、yg1,yg2は一般化プラントの制御出力である。αおよびεは正定数である。Cは制御器SK2の伝達関数K2の装置固有周波数ωにおけるゲインを大きくするための伝達関数である。Wは、装置の高次の振動モードなど、制御対象のモデル化誤差の影響により制御ループが不安定になることを回避するための伝達関数である。
以下の式5は、図4の一般化プラントの構成によるH∞制御問題を示している。
Figure 0004504305
この数5を解き、この数式の解である伝達関数Hが得られれば、この伝達関数Hは、数6のようになり、制御器SK1の伝達関数K1および制御器SK2の伝達関数K2は数7から算出することができ、かかる伝達関数を有する制御器SK1、K2を設計することができれば、装置が作動することによる装置負荷ELの振動の影響とプレス作動時の衝撃など外乱による装置負荷ELの振動の影響に起因する搬送ビーム1a,1bの振動の双方を抑制することができるのである。
Figure 0004504305
Figure 0004504305
つぎに、上記のごとき、制御器SK1および制御器SK2の具体例を、トランスファフィーダ装置の駆動部の伝達特性モデルにおいて、具体的な伝達関数を示しながら説明する。
なお、以下では、本発明の説明を容易にするため、便宜上、駆動部の伝達特性モデルとして最も単純な数学モデルを用いるが、本発明はこれに限定されるものではなく、各伝達関数をさらに複雑に表現すれば、より高性能なトランスファフィーダ制御装置を構成することも可能である。
図5は駆動部の伝達特性モデルの一例を示した図である。図5のモデルは、搬送ビーム1a,1bの中央の対称線で1/2にした剛体モデルで、図5中、Jはサーボモータ回転子およびボールねじなど回転体の慣性モーメントの和であり、Mは作用部および搬送ビーム1a,1bなど移動体の質量の和である。サーボモータの励磁電流をi、トルク定数をKとし、サーボモータ出力軸の回転角をθ、同回転速度をω、移動体の変位をyとすれば、サーボモータ回転特性の状態方程式は、以下の式8で表される。
なお、駆動部として、サーボモータとボールネジによる送り機構以外の機構、例えば、リニアモータやシリンダ等を用いた場合には、これらの機構に適した駆動部の伝達特性モデルを設定すればよく、また、異なる駆動部の伝達特性モデルを設定すれば、以下の数8に示される状態方程式は、設定された伝達特性モデルに応じた式となるのは、言うまでもない。
Figure 0004504305
さらに、サーボアンプの速度制御器の伝達関数Kを数9のように設定し、操作量信号uに対するサーボモータ回転速度検出値信号ωの速度フィードバック制御をほどこすと、状態方程式として数10が得られる。数10においてxは、サーボアンプの速度制御器の内部状態変数である。この数10が特許請求の範囲にいう駆動部速度指令値信号から駆動部位置検出値信号までの伝達特性を表現する状態方程式に相当する。
なお、数9、10中のKv1およびKv2はサーボアンプの速度制御器の制御ゲインである。
Figure 0004504305
Figure 0004504305
さらに、移動体の変位yは数11となり、サーボモータの励磁電流iは数12のようになる。
Figure 0004504305
Figure 0004504305
制御器SK2の伝達関数K2の装置固有周波数ωにおけるゲインを大きくするための伝達関数Cを数13のように設定すると、伝達関数Cのゲイン特性は図6に示すようになる。
なお、伝達関数Cは、固有周波数ωで振動するモデルであり、数13中、ζは振動モデルの減衰係数であり、伝達関数Cのピークゲインを調整するために用いられ、ζの値が小さいほど上記のピークゲインが大きくなる。また、数13中、Kは定数である
Figure 0004504305
そして、数13で表される伝達関数Cは、等価な状態方程式である数14のように表すことができる。この数14が特許請求の範囲にいう搬送ビームの固有周波数と等しい周波数で振動する状態方程式に相当する。
Figure 0004504305
伝達関数Wは、モデル化誤差の影響により制御ループが不安定になるのを回避するための伝達関数であるが、図7に示すように、高周波数帯域でゲインの高くなるように設定すればよい。例えば、伝達関数Wを数15に示すように設定すれば、伝達関数Wの高周波数帯域でゲインの高くすることができる。
なお、数15中のTwは、ゲインの高くなる周波数を調整するためのパラメータである。
Figure 0004504305
この数15の伝達関数Wを等価な状態方程式で表記すれば、以下の数16のように表すことができる。この数16が特許請求の範囲にいうモデル化誤差の影響により制御ループが不安定になるのを回避するための状態方程式に相当する。
Figure 0004504305
以上の数に基づいて、一般化プラントの状態方程式として数17が得られ、この数17により設定されたH∞制御問題を解き、解Hが求まれば数6および数7により制御器SK1の伝達関数K1および制御器SK2の伝達関数K2が得られる。
Figure 0004504305
得られた制御器SK1の伝達関数K1と制御器SK2の伝達関数K2の周波数特性を図8に示す。図8の例では、装置固有周波数ωを9.5Hzとしている。図8中、実線でプロットしたものが制御器SK1の伝達関数K1の周波数特性であり、破線でプロットしたものが制御器SK2の伝達関数K2の周波数特性である。図8に示したとおり、制御器SK2の伝達関数K2は装置固有周波数ωにおいてゲインのピークをもつ。
なお、以上の例では、本発明の構成の説明を容易にするため、搬送ビームの一次モードの振動だけを抑制する方法について述べたが、より高次のモードの振動も抑制するには、複数のピークを伝達関数Cのゲイン特性に持たせればよい。例えば、伝達関数Cを以下の数18のように設定すれば、より高次のモードの振動も抑制することができる。
Figure 0004504305
上記のごとき方法により、各クランプ装置3a〜3d、各昇降装置4a〜4d、各アドバンス装置5a,5bの駆動部を制御する本発明の制御装置について、それぞれ、制御器SK1,K2の伝達関数K1,K2を求めれば、クランプ方向、リフト方向およびアドバンス方向の各方向における制御器SK1,K2の伝達関数K1,K2の周波数特性は、全て図8に示したものと同様になる。そして、各方向において、搬送ビーム1a,1bの一次振動モードの固有周波数は、どの方向も、通常、8〜11Hz程度の範囲にあるが、伝達関数Cの定数ζを調整すれば、制御器SK2の伝達関数K2がこの周波数帯域でピークを有するように設定できるから、どの駆動部により搬送ビーム1a,1bを作動させても搬送ビームの振動を抑制することができる。しかも、どの方向も搬送ビーム1a,1bの一次振動モードの固有周波数が8〜11Hz程度の範囲にあるから、上記のごとく制御器SK2の伝達関数K2を設定すれば、動作方向間の相互干渉の振動も抑制できるのである。
以上のごとく、本発明の制御装置は、各クランプ装置3a〜3d、各昇降装置4a〜4d、各アドバンス装置5a,5bの駆動部としてサーボモータとボールネジによる送り機構を使用した場合には、例えば、数17の状態方程式により設定されるH∞制御問題を解いて求められた制御器SK1,K2の伝達関数K1,K2を有するように構成されるのであるが、この制御装置を実現するためには、以下のごとき複数の手段が必要であり、かつ、各手段を図1のブロック線図に示すような構成とする必要がある。以下に、各手段の機能と、各機能の関係を説明する。
なお、本発明の制御装置の制御器SK1,SK2の伝達関数K1,K2は、上記の考察に沿って求められるものであればよく、駆動部の構成や搬送ビーム、その他の制御対象に含まれる部材や機器によって、数8〜数17に示した具体的な数式が変化するのは、いうまでもない。
また、本発明の制御装置では、プレス作動時の衝撃等の外力により搬送ビーム1a,1bが振動すると、この振動状態は、装置負荷に反映され、ひいてはモータ駆動電流iに反映される(図3参照)。すると、駆動部が作動したことにより発生する搬送ビーム1a,1bの振動だけでなく、外力に起因する搬送ビーム1a,1bの振動をも抑制するような操作量信号が制御装置によって生成される。よって、本発明の制御装置では、搬送ビーム1a,1bに特別なセンサを設けるなどしなくても、外乱に起因する搬送ビーム1a,1bの振動も抑制することができる。
図1に示すように、本発明の制御装置20は、位置指令値波形生成手段21、駆動部位置検出器22、制御偏差演算手段23および操作量演算手段30と、駆動部移動速度調整手段とを備えており、駆動部移動速度調整手段から発信される信号が駆動部の駆動部駆動手段に入力されるように構成されているのである。
なお、図1において、駆動部移動速度調整手段とは、上述した例ではサーボアンプ14が該当し、駆動部駆動手段とは、上述した例ではサーボモータ11が該当する。
(1)位置指令値波形生成手段21
位置指令値波形生成手段21は、例えば、あらかじめ演算して記憶されている位置指令値系列に基づいて、プレス動作に同期して、制御周期ごとに位置指令値信号を生成し、位置指令値信号を制御偏差演算手段23に送信するものである。
また、位置指令値信号とは、所定の制御周期(例えば0.1msの期間)経過後に搬送ビーム1の予定到達位置を指示する信号であり、位置指令値系列とは、例えば、駆動部の駆動機構がサーボモータとボールネジ機構によって構成されている場合であれば、所定のタイミング、つまり、プレスクランク軸の所定のクランク角度に対応するサーボモータの基準位置からの回転角度等が記載されたものであり、この場合、サーボモータの基準位置が特許請求の範囲にいう基準位置に相当し、サーボモータの基準位置からの回転角度等が駆動部の変位に相当することになる。
(2)駆動部位置検出器22
駆動部位置検出器22は、駆動部における駆動機構の変位、つまり、所定のサンプル期間内における駆動機構の作動量を検出し、駆動部の基準位置からの変位を示す位置検出値信号を生成するものである。例えば、駆動機構としてサーボモータとサーボモータに接続されたボールねじによる送り機構を利用した場合は、回転角検出器12から出力された回転角検出値信号θが入力され、この回転角検出値信号θにボールネジ15のネジピッチlを乗じて、位置検出値信号yを算出するものである。
なお、駆動部位置検出器22は、図2に記載されている回転角検出器12や、回転角検出値信号θを時間微分して回転速度検出値信号ωを算出する時間微分器13の機能も備えていてもよい。この場合には、回転角検出器12や時間微分器13を独立して設ける必要がないので、装置構成を簡単にすることができる。
(3)制御偏差演算手段23
制御偏差演算手段23は、位置指令値信号から位置検出値信号yを差し引き、駆動部の目的位置に対する駆動部の現在位置の偏差を算出し、この偏差を含む位置制御偏差信号を生成し、生成された位置制御偏差信号を操作量演算手段30に供給するものである。
(4)操作量演算手段30
操作量演算手段30は、制御偏差演算手段23から供給される位置制御偏差信号が入力され、操作量信号uを駆動部移動速度調整手段に出力するものであり、駆動部位置制御手段31と駆動力変動抑制手段32とを備えている。この操作量演算手段30は、搬送ビーム1自身の移動により搬送ビーム1に発生する振動、および、外部で発生する振動、例えば、プレス加工時に発生する振動等を抑制する搬送ビーム1の振動を抑制するように構成された伝達関数を有するように構成されている。つまり、操作量演算手段30は、駆動部位置制御手段31および駆動力変動抑制手段32の伝達関数が、数17の状態方程式により設定されるH∞制御問題を解いて求められた伝達関数Hとなるように構成されているのである。
なお、操作量信号とは、駆動機構として、図6のような、サーボモータとサーボモータに接続されたボールねじによる送り機構を利用した場合は、搬送ビーム1の現在位置から搬送ビーム1の目的位置まで移動させる間におけるサーボモータ11の主軸の回転角速度を含む信号が該当する。
(5)駆動部位置制御手段31
駆動部位置制御手段31は、制御偏差演算手段23によって算出された位置制御偏差信号が入力され、第1操作量信号を演算するものである。この駆動部位置制御手段31は、上述した制御器SK1に相当するから、駆動部の駆動機構としてサーボモータとサーボモータに接続されたボールねじによる送り機構を利用した場合には、数6、7から算出される伝達関数K1に基づいて、第1操作量信号を演算するものである。
なお、第1操作量信号は、上述した操作量uに相当する。
(5)駆動力変動抑制手段32
駆動力変動抑制手段32は、駆動力指令値信号が入力され、第2操作量信号を演算するものである。この駆動力変動抑制手段32は、上述した制御器SK2に相当するから、駆動部の駆動機構としてサーボモータとサーボモータに接続されたボールねじによる送り機構を利用した場合には、数6、7から算出される伝達関数K2に基づいて、第2操作量信号を演算するものである。
この駆動力変動抑制手段32は、装置固有周波数と等しい周波数で振動する伝達周波数特性を有しており、装置に固有振動が生じ駆動力指令値信号が変動したときに、上記の伝達周波数特性が刺激を受けて装置固有周波数に同期して振動し、駆動力指令値信号の変動ひいては装置の固有振動を抑制しようと振幅の大きな制御信号、つまり、第2操作量信号を生成するから、この第2操作量信号により、数3、4で説明したように、装置の固有振動を抑制することができるのである。
なお、第2操作量信号は、上述した操作量uに相当する。
(8)駆動部移動速度調整手段
駆動部移動速度調整手段は、駆動部位置検出値信号に時間微分演算をほどこして駆動部速度検出値信号を生成し、駆動部速度検出値信号が操作量信号に一致するように駆動力指令値信号を演算するものである。図2に示すように、駆動部の駆動機構としてサーボモータとサーボモータに接続されたボールねじによる送り機構を利用した場合は、サーボアンプ14が該当し、駆動力指令値信号(図2ではモータ駆動電流i)は、サーボモータ駆動電流を指示する信号となる。
(9)駆動部駆動手段
駆動力指令値信号を受け、駆動力指令値信号にて指示された駆動力を発生させるものであり、駆動部の駆動機構としてサーボモータとサーボモータに接続されたボールねじによる送り機構を利用した場合は、図2におけるサーボモータ11が該当する。
本発明の制御装置を用いてトランスファフィーダ装置を作動させた場合と、比例制御器による制御装置を用いてトランスファフィーダ装置を作動させた場合において、搬送ビームの振動状況を比較した。
本実施例では、搬送ビームをリフト方向に作動させて、その振動の減衰状況を確認した。
搬送ビームの振動状態を測定するために、搬送ビーム中央部に加速度検出器を設置した。
図10(A)は本発明の制御装置を用いてトランスファフィーダ装置を作動させた場合であり、(B)は比例制御器による制御装置を用いてトランスファフィーダ装置を作動させた場合である。
従来の比例制御器によるトランスファフィーダ装置の動作では、搬送ビームが激しく振動して搬送ビーム中央部加速度が変動しており、搬送ビームの一次モードの振動が顕著に観察される。
これに対して、本発明の制御装置によるトランスファフィーダ装置の動作では、搬送ビームの振動が著しく抑制され、望んでいた搬送動作を果たせたことが、搬送ビーム中央部加速度検出値信号の推移から確認できる。
したがって、本発明の制御装置によれば、トランスファフィーダ装置の動作の振動を抑制できることが確認できる。
本発明の制御装置10の内部構成図である。 制御装置の制御対象の関係をブロック線図により表わした図である。 各制御対象および制御装置を、伝達関数で示したブロック線図である。 制御器SK2の伝達関数K2の装置固有周波数ωにおけるゲインが大きく、かつ制御ループが安定となる制御器SK1および制御器SK2の組を導出するための一般化プラントの例を示した図である 駆動部の伝達特性モデルを示した図である。 伝達関数Cの周波数特性値を示した図である。 伝達関数Wの周波数特性値を示した図である。 伝達関数K1および伝達関数K2の周波数特性値を示した図である。 本発明の制御装置によって動作が制御されるトランスファフィーダ装置の概略概念図である。 (A)は本発明の制御装置を用いてトランスファフィーダ装置を作動させた場合であり、(B)は比例制御器による制御装置を用いてトランスファフィーダ装置を作動させた場合である。
1 搬送ビーム
21 位置指令値波形生成手段
22 駆動部位置検出器
23 制御偏差演算手段
30 操作量演算手段
31 駆動部位置制御手段
32 駆動力変動抑制手段

Claims (2)

  1. プレス装置に設けられる、一対の搬送ビームによって被加工物の移動を行うトランスファフィーダ装置において、前記一対の搬送ビームを作動させる駆動部を制御する制御装置であって、
    プレス動作に同期して、基準位置と、制御周期の間における前記駆動部が移動する量とに基づいて制御周期ごとに前記駆動部の変位を指示する位置指令値信号を生成する位置指令値波形生成手段と、
    前記駆動部の基準位置からの変位を検出し、位置検出値信号を生成する駆動部位置検出器と、
    前記位置指令値信号および前記位置検出値信号に基づいて、前記位置指令値信号に対する前記位置検出値信号の偏差を示す位置制御偏差信号を生成する制御偏差演算手段と、
    前記位置制御偏差信号に基づいて、前記駆動部の作動速度を指示する駆動部速度指令値信号を演算する操作量演算手段と、
    前記駆動部位置検出器によって生成された位置検出値信号を時間微分演算して駆動部速度検出値信号を生成し、該駆動部速度検出値信号が前記操作量演算手段によって演算される駆動部速度指令値信号に一致するような駆動力指令値信号を演算する駆動部移動速度調整手段とを備えており、
    該操作量演算手段が、
    前記位置制御偏差信号が入力されると、第1操作量信号を演算する駆動部位置制御手段と、
    前記駆動部移動速度調整手段から駆動力指令値信号が入力されると、第2操作量信号を演算する駆動力変動抑制手段とからなり、
    前記駆動部速度指令値信号は、前記第1操作量信号と前記第2操作量信号とを足し合わせた信号であり、
    前記駆動力変動抑制手段は、
    前記搬送ビームの固有周波数と等しい周波数で振動する伝達周波数特性を有し、かつ、ゲインピークをもつ伝達周波数特性を有するように設定された状態方程式により第2操作量信号を演算するものである
    ことを特徴とするトランスファフィーダの制御装置。
  2. 前記駆動部位置制御手段および前記駆動力変動抑制手段は、
    前記駆動部速度指令値信号から前記駆動部位置検出値信号までの伝達特性を表現する状態方程式と、
    前記搬送ビームの固有周波数と等しい周波数で振動する状態方程式と、
    モデル化誤差の影響により制御ループが不安定になるのを回避するための状態方程式とにより設定されるH∞制御問題の解として得られる伝達関数に基づいて、前記第1操作量信号および前記第2操作量信号駆動力指令値信号をそれぞれ演算するものである
    ことを特徴とする請求項1記載のトランスファフィーダの制御装置。
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