JP4503524B2 - エアバッグ装置の配設構造 - Google Patents

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本発明は、車両の座席の座部に設けられ、車両衝突時に上方に膨張して乗員の腰の前方移動を規制するエアバッグ装置の配設構造に関する。
車両の座席の座部に設けられ、車両衝突時に上方に膨張して乗員の腰の前方移動を規制するエアバッグ装置に関するものとして、座部を支持する板状のフレームに一体的に凹部を形成しこの凹部とでチャンバを形成するように金属薄板からなるエアバッグをフレームに直接設け、車両衝突時にはチャンバ内に設けられたインフレータでガスを発生させてエアバッグを膨張させて座部を上側に膨出させるものがある(特許文献1参照)。
特表2003−517966号公報
ところで、上記のように座部を支持する板状のフレーム上に一体的に凹部を形成しこの凹部とでチャンバを形成するように金属薄板からなるエアバッグをフレームに直接設けるのでは、製造が容易ではなく、またエアバッグを移動可能にはできないという問題があった。
したがって、本発明は、製造が容易で、しかも移動可能に支持することが可能なエアバッグ装置の配設構造の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両の座席(例えば実施形態における座席12)の座部(例えば実施形態におけるクッションパッド23)に設けられ、車両衝突時に上方に膨張するエアバッグ(例えば実施形態におけるエアバッグ本体34)を有するエアバッグ装置(例えば実施形態におけるエアバッグモジュール11)の配設構造であって、前記エアバッグ装置が、前記座部を支持する支持体(例えば実施形態におけるシートパン22)に形成された開口部(例えば実施形態における開口部25)内に配設されており、前記支持体の前記開口部側の内側縁部(例えば実施形態における内側前縁部25a,内側後縁部25b)に複数の弾性体(例えば実施形態におけるスプリング26)のそれぞれの一端側を連結し、前記複数の弾性体のそれぞれの他端側に、上下前後左右に移動可能となるように枠状の支持ブラケット(例えば実施形態における支持ブラケット27)を連結してなり、該支持ブラケットに前記エアバッグ装置が嵌合状態で取り付けられていることを特徴としている。
請求項に係る発明は、請求項に係る発明において、前記複数の弾性体が前記エアバッグ装置の車両前後方向前側および後側に設けられていることを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、エアバッグ装置が座部を支持する支持体に形成された開口部内に配設されるため、板状の支持体に一体的に凹部を形成しこの凹部とでチャンバを形成するようにエアバッグを支持体に直接設ける場合と比べて製造が容易となり、また、エアバッグ装置を移動可能に支持することが可能になる。また、座部の厚さへの影響を少なくでき、座部の座り心地を確保できる。
また、エアバッグ装置の移動を許容できる。
また、エアバッグ装置が乗員の着座状況に応じて移動できて座部のクッション性を阻害することを防止できる。
請求項に係る発明によれば、一層好適にエアバッグ装置の移動を許容できる。
本発明の第1実施形態のエアバッグ装置の配設構造を図1〜図3を参照して以下に説明する。
図1は、第1実施形態のエアバッグ装置としてのエアバッグモジュール11の配設構造が適用された車両用の座席12を示す分解斜視図で、この座席12は、車幅方向に離間して設けられて車両前後方向に延在する一対のシートレール13と、各シートレール13にスライド可能に設けられたスライダ14と、これらスライダ14に支持され略水平に配置されて乗員の主として腰下を支承するシートクッション15と、スライダ14の車両前後方向の後端部に回動可能に設けられ立設状態で乗員の主として背中を支承するシートバック16と、シートバック16のシートクッション15とは反対側に設けられて乗員の主として後頭部を支承するヘッドレスト17とを有している。
シートクッション15は、各スライダ14の内側にそれぞれ固定されるパンブラケット20と、左右のパンブラケット20同士を結ぶように車幅方向に延在するコネクティングブラケット21と、両パンブラケット20の上側に載置されて両パンブラケット20に固定されるシートパン(支持体)22と、シートパン22の上側に載置されることでシートパン22に支持されるクッションパッド(座部)23とを有している。クッションパッド23は、乗員が着座するもので、ウレタンフォームを表皮で覆って形成されている。
そして、第1実施形態において、クッションパッド23を支持するシートパン22に、図1〜図3に示すように、上下方向に貫通する開口部25が中間所定範囲に形成されている。このシートパン22の開口部25は、その車両前後方向前側を形成するシートパン22の内側前縁部25aが後側の内側後縁部25bよりも高さ位置が高くされている。このシートパン22の内側前縁部25aには複数の波形のスプリング(変形部、弾性体)26を介して矩形枠状の支持ブラケット27の前辺部27aが連結されており、この支持ブラケット27の後辺部27bも複数の波形のスプリング26(変形部、弾性体)を介してシートパン22の開口部25を形成する内側後縁部25bに連結されている。つまり、支持ブラケット27は前後それぞれ複数のスプリング26で支持されて開口部25の内側に配設されている。なお、開口部25の車幅方向両側を形成するシートパン22の内側側縁部25cは、支持ブラケット27には、前辺部27aおよび後辺部27bは勿論、車幅方向両側の側辺部27cに対しても連結されていない。
そして、エアバッグモジュール11が、この支持ブラケット27に、その内周部27Aに一部嵌合された状態で取り付けられている。つまり、エアバッグモジュール11は、車両前後方向前方に延出する前フランジ部31aと車両前後方向後方に延出する後フランジ部31bとで前辺部27aおよび後辺部27bに取り付けられる。このように支持ブラケット27に取り付けられた状態でエアバッグモジュール11は前後それぞれ複数のスプリング26で支持されて開口部25の内側(つまり開口部25の中央から開口部25に対し垂直な方向に見たときの内側)に配設されている。なお、例えば、全てのスプリング26は同じものが用いられることになり、これらのスプリング26は、弾性変形可能であり、しかも限界位置まで引き延ばされても弾性で元の長さに復帰する。
エアバッグモジュール11は、支持ブラケット27に取り付けられる上記した前フランジ部31aおよび後フランジ部31bを上端部に有するケース33と、ケース33内に折り畳み状態で収納されるとともに膨張時にケース33の上面を破断させながら上方に膨張展開する布製の図3に示すエアバッグ本体(エアバッグ)34と、ケース33内に配置されエアバッグ本体34にガスを導入して膨張させる図示略のインフレータとを有している。
第1実施形態のエアバッグモジュール11においては、車両衝突時に例えば所定以上の重力加速度が検出される等の展開条件が整うと図示略のインフレータが点火し、折り畳まれたエアバッグ本体34がインフレータが発生するガスで膨張する。すると、エアバッグ本体34は、ケース33の上面を突き破って上方に展開し、図3に二点鎖線で示すようにクッションパッド23に当接した後にスプリング26を限界に伸ばすまでケース33および支持ブラケット27をクッションパッド23から離間させ、その後は、クッションパッド23を上方に押圧する。すると、クッションパッド23の中間位置が上側に膨出し膨出部24を形成することになって、座席12に着座しシートベルトを装着した状態にある乗員の腰下を前側から抑えて腰の前方移動を規制することになる。なお、この間にエアバッグ本体34がシートパン22に接触することがないように開口部25の大きさが設定されている。また、スプリング26を限界まで伸ばした状態では、開口部25の内側前縁部25aと内側後縁部25bとの段差によってエアバッグ本体34の展開方向が若干後ろ上がりになり、より効果的に乗員の腰の前方移動を規制することができる。
以上に述べた第1実施形態によれば、エアバッグモジュール11がクッションパッド23を支持するシートパン22に形成された開口部25内に配設されるため、板状のシートパンに一体的に凹部を形成しこの凹部とでチャンバを形成するようにエアバッグをシートパンに直接取り付ける場合と比べて製造が容易となる。また、開口部25内に配設することでエアバッグモジュール11を移動可能に支持することができる。つまり、エアバッグモジュール11を、弾性変形可能なスプリング26を介してシートパン22に対し移動可能に支持しているため、展開前のエアバッグモジュール11は移動が許容され、よって、展開前のエアバッグモジュール11が乗員の着座状況に応じて移動できてクッションパッド23のクッション性を阻害することを防止できる。したがって、クッションパッド23の座り心地をさらに良好にできる。さらに、クッションパッド23の厚さへの影響を少なくでき、この点でもクッションパッド23の座り心地を確保できる。加えて、スプリング26がエアバッグモジュール11の車両前後方向前側および後側に設けられているため、一層好適にエアバッグモジュール11の展開前の移動を許容できる。
次に、参考技術のエアバッグ装置を図4および図5を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第1実施形態においては、エアバッグ装置としてのエアバッグモジュール11をスプリング26でシートパン22の開口部25側に保持したが、参考技術では、エアバッグモジュール11を金属あるいは樹脂等の塑性変形可能な衝撃吸収ブラケット(塑性体)40でシートパン22の開口部25に保持する点が相違している。
つまり、参考技術において、シートパン22の開口部25を形成する内側前縁部25aには、枠状の衝撃吸収ブラケット40の前端部が直接固定されており、この衝撃吸収ブラケット40の後端部は、シートパン22の開口部25を形成する内側後縁部25bに直接固定されている。つまり、衝撃吸収ブラケット40は開口部25を車両前後方向に跨ぐようにシートパン22に取り付けられる。
そして、エアバッグモジュール11が、この衝撃吸収ブラケット40に、その内周部40Aに一部嵌合された状態で車両前後方向前方および後方に延出する前フランジ部31aおよび後フランジ部31bで取り付けられる。この状態でエアバッグモジュール11はシートパン22の開口部25の内側に配設される。
ここで、衝撃吸収ブラケット40におけるシートパン22の開口部25の内側範囲で且つエアバッグモジュール11より外側となる位置であって、エアバッグモジュール11の車両前後方向前側および後側となる位置には、それぞれ、側面視が下方に円弧状に突出する形状のビード部42a,42bが車幅方向に延在するように形成されている。
参考技術のエアバッグモジュール11においては、図示略のインフレータが点火すると、折り畳まれたエアバッグ本体34が膨張し、ケース33の上面を突き破って上方に展開して、クッションパッド23を上方に押圧する。すると、図5(a)に二点鎖線で示すように、クッションパッド23の中間位置が上側に膨出し膨出部24を形成することになって、座席12に着座しシートベルトを装着した状態にある乗員の腰下を前側から抑えて腰の前方移動を規制する。このとき、乗員の腰下から大きな荷重がエアバッグ本体34に加わると、エアバッグ本体34の支持側である衝撃吸収ブラケット40に前側を下側に移動させる方向のモーメントが発生し、その結果、図5(b)に示すように、衝撃吸収ブラケット40が前側のビード部42aを伸ばしビード部42a,42b間を前下がりに下げるように塑性変形してエアバッグ本体34を前方且つ下方に移動させるとともに乗員の腰下から加わる荷重を吸収する。
以上に述べた参考技術によれば、エアバッグモジュール11がクッションパッド23を支持するシートパン22に形成される開口部25内に配設されており、しかも、塑性変形可能な衝撃吸収ブラケット40を介してシートパン22に対し移動可能に支持されているため、エアバッグモジュール11のエアバッグ本体34の展開時にエアバッグ本体34を介して導入される乗員からの荷重で衝撃吸収ブラケット40が変形することで余剰エネルギを吸収でき、エアバッグモジュール11の作動時における乗員への拘束力を好適に制御できる。加えて、衝撃吸収ブラケット40がエアバッグモジュール11の車両前後方向前側および後側に設けられているため、一層好適にエアバッグモジュール11の展開後の移動を許容できる。
なお、上記した第1実施形態および参考技術のエアバッグモジュール11では、図示は略すが、インフレータを駆動するためのエアバッグ制御部が、各座席12に設けられたエアバッグモジュール11の各インフレータのそれぞれの駆動条件に、シートベルトのバックルに設けられた着脱センサから出力されるシートベルト着脱検出信号で判断される、対応する座席12用のシートベルトがバックルに装着状態にあることを含んでいる。つまり、シートベルトが装着されていればエアバッグモジュール11のエアバッグ本体34の展開が許容され、シートベルトが装着されていなければエアバッグ本体34の展開が禁止されることになる。同様に、エアバッグモジュール11のエアバッグ本体34の展開を、シートベルトの装着時に作動が許容されシートベルトの未装着時に作動が禁止されるシートベルトプリテンショナと連動させても良い。
また、シートクッション15内やシートレール13に設けられる乗員検出装置からの乗員の体格判定信号や着座位置信号などから乗員の体格および着座位置を判定し、その結果に基づいてエアバッグモジュール11を上下・前後・左右のうちの少なくともいずれか一の方向に移動させるように構成しても良い。
本発明の第1実施形態のエアバッグ装置の配設構造が適用された座席を示す分解斜視図である。 本発明の第1実施形態のエアバッグ装置の配設構造が適用された座席の要部を示す平面図である。 本発明の第1実施形態のエアバッグ装置の配設構造が適用された座席の要部を示す側断面図である。 参考技術のエアバッグ装置の配設構造が適用された座席の要部を示す平面図である。 参考技術のエアバッグ装置の配設構造が適用された座席の要部を示す側断面図であって、(a)は衝撃吸収ブラケットの変形前を、(b)は衝撃吸収ブラケットの変形後をそれぞれ示すものである。
符号の説明
11 エアバッグモジュール(エアバッグ装置)
12 座席
22 シートパン(支持体)
23 クッションパッド(座部)
25 開口部
26 スプリング(変形部,弾性体)
34 エアバッグ本体(エアバッグ)
40 衝撃吸収ブラケット(変形部,塑性体)

Claims (2)

  1. 車両の座席の座部に設けられ、車両衝突時に上方に膨張するエアバッグを有するエアバッグ装置の配設構造であって、
    前記エアバッグ装置が、前記座部を支持する支持体に形成された開口部内に配設されており、
    前記支持体の前記開口部側の内側縁部に複数の弾性体のそれぞれの一端側を連結し、前記複数の弾性体のそれぞれの他端側に、上下前後左右に移動可能となるように枠状の支持ブラケットを連結してなり、
    該支持ブラケットに前記エアバッグ装置が嵌合状態で取り付けられていることを特徴とするエアバッグ装置の配設構造。
  2. 前記複数の弾性体が前記エアバッグ装置の車両前後方向前側および後側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置の配設構造。
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