JP4435619B2 - 車両用シートクッション装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、衝突の際に乗員を座席に拘束して保護する腰部拘束機能を有する車両用シートクッション装置に関する。
車両が前方衝突した場合、乗員は、慣性により前方へ移動しようとする。乗員がシートベルトを着用しているときは、シートベルト装置の肩ベルトや腰ベルトの拘束作用によって、乗員の前方への移動がある程度抑えられる。これを更に確実なものとするために、車両が前方衝突によって急減速した場合に、瞬時にシートクッションの前端部を上昇させて、乗員の前方移動を制限するようにしたPRC(Pelvis Restraint Cushion)技術が適用された腰部拘束装置が、提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照、特許文献3参照。)。
図8は、例えば特許文献3に記載された腰部拘束装置の構成及び動作を説明するための図であって、同図(a)は、膨張展開前の状態を示す図、同図(b)は、膨張展開後の状態を示す図である。
図8(a)及び同図(b)に示すように、腰部拘束装置1は、シートフレーム2の前部に、上方から見て窪んだ形状に形成されたの凹部3の上面に、凹部3を覆うように配置されたインフレータバッグ5と、高圧ガスを発生させて、インフレータバッグ5の内部空間に充填させるインフレータ6とを備えてなっている。
特開平5−229378号公報 特開平10−217818号公報 英国特許GB2357466
上記従来技術では、シートクッションばね8によってインフレータバッグ5の膨張展開が妨げられることを防ぐために、図8に示すように、インフレータバッグ5を配置した箇所には、シートクッションばね8は配置されず、シートクッションばね8は、インフレータバッグ5の後方側にのみ配置されるので、シートクッション7の緩衝機能がシートクッション7の後方側だけで有効となり、乗員Mにとって、座席における座り心地が悪化する。
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、左右一対の側フレーム部材、前部フレーム部材及び後部フレーム部材からなるシートフレームと、該シートフレームに取り付けられたシートクッションと、該シートクッションを下方から支える弾性部材と、インフレータバッグとを備えてなる車両用シートクッション装置に係り、前記インフレータバッグは、前記弾性部材の下側で、前記シートフレームの前部に取り付けられ、かつ、前記弾性部材は、その前端部が、該インフレータバッグの前端部に取り付けられていて、前記インフレータバッグの少なくとも後部領域と前記弾性部材との間には、前記弾性部材上下方向みを受け入れるクリアランス部が設けられていることを特徴としている。
また、請求項記載の発明は、請求項記載の車両用シートクッション装置に係り、当該車両用シートクッション装置の前後方向に対して、前記インフレータバッグ、前端部から後端部に向かう方向に沿って上方に凸形状に屈曲又は湾曲することで、前記クリアランス部が形成されていることを特徴としている。
また、請求項記載の発明は、請求項又は記載の車両用シートクッション装置に係り、前記弾性部材は、その前端部が、前記インフレータバッグの展開時に外れる保持部材を介して、前記インフレータバッグの前端部に取り付けられていることを特徴としている。
この発明の構成によれば、インフレータバッグと弾性部材との間の少なくとも一部の領域に、弾性部材が上下方向に撓むことが可能なクリアランス部が設けられているので、乗員にとって、座席における快適な座り心地を維持することができる。
また、インフレータバッグの展開時に外れる保持部材を、インフレータバッグの前端部と弾性部材の前端部とにまたがって配置することによって、展開前には保持部材及び弾性部材は確実に保持されるとともに、展開時には容易に脱落可能として、インフレータバッグを弾性部材によって邪魔されることなく膨張展開させて、腰部拘束機能を確実に果たすことができる。
以下、実施例を参照してこの発明の実施形態を具体的に説明する。
図1は、この発明の実施例に係る腰部拘束機能付きのシートクッション装置の概略構成を示す平面図、図2は、同シートクッション装置の概略構成を示す断面図、図3は、同シートクッション装置のシートクッションばねの前端部がリテーナによって保持された状態を示す斜視図、図4は、同シートクッションばねの後端部が後部フレーム部材によって保持された状態を示す斜視図、図5は、同シートクッション装置のインフレータバッグを天板側から見た斜視図、図6は、同シートクッション装置の動作を説明するための説明図、また、図7は、同シートクッション装置の動作を説明するための説明図である。
図1及び図2に示すように、この例の腰部拘束装置付きのシートクッション装置11は、シートフレーム12と、このシートフレーム12に取り付けられたシートクッション13と、シートクッション13を下方で弾性的に支えるシートクッションばね(弾性部材)14,14と、シートフレーム12の前部で、シートクッションばね14の下側に配置されたインフレータバッグ15とを備える。
シートフレーム12は、側フレーム部材22,22と、前部フレーム部材(フロントクロスメンバ)23と、後部フレーム部材(リアクロスメンバ)24とからなる。
このインフレータバッグ15は、高圧ガスの充填により膨張展開可能であり、このインフレータバッグ15内部に高圧ガスを噴出して、インフレータバッグ15を膨張展開させるための外形略円筒形のインフレータ16を更に備える。
そして、このシートクッション装置11は、インフレータバッグ15の前側側面部に装着され、シートクッションばね14、14の前端部を保持するリテーナ(保持部材)17を備える。
シートクッションばね14は、図1に示すように、金属製の所定の径の線状部材が、例えば連続した略矩形波形状に加工され、さらに中間部で折り返され、かつ、無荷重時には上記線状部材を含む面が全体として下に凸となるよう若干湾曲した曲面となるように成形されてなっている。
また、シートクッションばね14は、全体として、図1及び図3に示すように、前端部が、リテーナ17のばね保持部17a,17aによって保持され、図1及び図4に示すように、後端部が後述する後フレーム部材24によって回動可能に保持されている。
すなわち、シートクッションばね14には、図4に示すように、略矩形波形状に加工された線状部材の折返箇所で、丸棒状の後部フレーム部材24の径に対応した曲率で湾曲した湾曲部14aが形成され、この湾曲部14aが後フレーム部材24に回動可能にはめ込まれている。
なお、シートクッションばね14,14間には、線状部材が略矩形状に成形されてなる補強部材25が架け渡され、かつ、固定されている。
シートクッションばね14は、前端部がインフレータバッグ15から脱落可能に装着されたリテーナ17によって保持され、後端部が後部フレーム部材24によって回動可能に保持された状態で、上記線状部材を含む面がシートクッション13の下面側で接するように配置されている。
シートクッションばね14は、乗員の体重によりシートクッション13が変形して、上方から荷重(外力)が加わることによって、全体が下に凸となるように撓み、これによって、シートクッション13を押し返すように復元力が働く。
リテーナ17は、例えば、金属製部材からなり、図1乃至図3に示すように、シートクッションばね14の前端部を保持するばね保持部17a、17a、…と、インフレータバッグ15に取り付けられる装着部17bとを有している。
リテーナ17は、展開前のインフレータバッグ15の前側側面部に形成された折込み部19に、装着部17bの先端部が挿入されて挟み込まれることによって、インフレータバッグ15に取り付けられる。
リテーナ17は、インフレータバッグ15の展開膨張に伴って、折込み部19の深さが浅くなり、かつ、リテーナ17の装着部17bの先端部が前側側面部によって押し出されて、脱落する。
本例のインフレータバッグ15は、図5に示すように、図示しないインフレータからの高圧ガスの充填により膨張展開する密閉構造のものであり、金属製シート又は樹脂製シートの成形体からなる角箱状のバッグ本体15aと、天板15bと、この天板15bに対向する底面を塞ぐ底板15cとから構成されている。
インフレータバッグ15は、図2に示すように、展開前ではその前端部から後端部に向かう方向に沿って上方に凸となる屈曲した屈曲部26が形成される(断面形状が「へ」の字となるような形状)。
このようにすることで、シートクッションばね14と、インフレータバッグ15の後端部との間には、クリアランス部18が設けられ、平常時には、比較的重量の大きい乗員が着座しても、インフレータバッグ15によって妨げられることなく、シートクッションばね14が自由に変形可能なように(撓むように)構成されている。
この例では、インフレータバッグ15は、取付部材21を介してシートフレーム12に取り付けられている。
次に、図6乃至図7を参照して、この例のシートクッション装置の動作について説明する。
まず、インフレータの展開前では、インフレータバッグ15は、図6(a)に示すように、折り畳まれたままであり、シートクッションばね14及びシートクッション13に対して押圧力を与えない。
このとき、リテーナ17は、展開前のインフレータバッグ15の前側側面部に形成された折込み部19に、装着部17bの先端部が挿入されて挟み込まれることによって、インフレータバッグ15に取り付けられている。
また、シートクッションばね14は、前端部の2カ所が、リテーナ17のばね保持部17a,17aによって保持され、後端部が後フレーム部材24によって回動可能に保持されている。
ここで、シートクッションばね14は、乗員の体重によりシートクッション13が変形して、上方から荷重(外力)が加わることによって、全体が下に凸となるように撓み、これによって、シートクッション13を押し返す。
シートクッションばね14と、インフレータバッグ15の後端部との間には、インフレータバッグ15を屈曲させたことにより、クリアランス部18が設けられ、平常時に、比較的重量の大きい乗員が着座した場合でも、図7に示すように、シートクッションばね14がインフレータバッグ15によって妨げられることなく、自由に変形する(撓む)。
車両の前方衝突等による急減速時に、インフレータ16が作動すると、インフレータ16からは高圧ガスがインフレータバッグ15内部に噴出する。
インフレータバッグ15は、噴出された高圧ガスが内部に充満することによって、膨張展開し、図6(b)に示すように、シートクッションばね14及びシートクッション13を押し上げる。
この時、リテーナ17は、インフレータバッグ15の膨張に伴って、折込み部19の深さが浅くなり、かつ、リテーナ17の装着部17bの先端部が前側側面部によって押し出されて、脱落する。これにより、シートクッションばね14がはずれ、インフレータバッグ15は、自由に展開膨張できるようになる。
インフレータバッグ15は、さらに膨張展開して、図6(c)に示すように、シートクッションばね14及びシートクッション13を押し上げる。
このようにして、インフレータバッグ15は、膨張展開することによって、シートクッション13を持ち上げ、乗員に拘束力を与える。
本例では、このような構成になっているので、インフレータバッグ15をシートクッションばね14によって邪魔されることなく膨張展開させて、腰部拘束機能を確実に果たすことができると共に、乗員にとって、座席における快適な座り心地を維持することができる。
リテーナ17は、装着部17bの先端部がインフレータバッグ15の前端側の側面部の折込み部19に挿入され挟み込まれた状態で保持され、ばね保持部17aがシートクッションばね14の前端部を保持するように構成されているので、展開前(平常時)にはリテーナ17及びシートクッションばね14は確実に保持されるとともに、展開時には容易に脱落可能である。
これらの構成により、シートクッションばね14は容易に取り外すことができるので、例えば一部破損したような場合に、簡単に交換することができる。
また、インフレータバッグ15をシートクッションばね14の下方に配置することができるので、設計上の自由度を向上させることができる。
以上、この発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
例えば、上述した実施例では、インフレータバッグ15が膨張展開する過程で、リテーナ17がインフレータバッグ15から脱落するようにした場合について述べたが、インフレータバッグ15の膨張展開が妨げられなければ、必ずしも、脱落させなくても良い。
また、シートクッションばね14の後端部を回動可能に後部フレーム部材24によって保持する場合について述べたが、後端部も脱落可能としても良い。
また、クリアランス部18は、インフレータバッグ15とシートクッションばね14との間の後端側だけでなく、例えば全体に亘って形成するようにしても良い。この場合、インフレータバッグ15は、必ずしも上に凸となるように配置しなくても、平板状であっても良い。
また、シートクッションばね14の一端を、インフレータバッグ15の前端部に直接取着するようにしても良い。
また、金属製や合成樹脂製のリテーナ17を用いる場合について述べたが、例えば、ゴム製としても良い。
また、シートクッションばね14の形状は、略矩形波形状に限らず、正弦波形状でも三角波形状でも良い。
線状部材からなるシートクッションばねを、シートクッションの前端側から後端側へ向かう方向に沿って配置する場合のほか、少なくとも上方へ変位可能とされていれば、両側フレーム部材間に架け渡すように配置する場合に適用できる。
この発明の実施例に係る腰部拘束機能付きのシートクッション装置の概略構成を示す平面図である。 同シートクッション装置の概略構成を示す断面図である。 同シートクッション装置のシートクッションばねの前端部がリテーナによって保持された状態を示す斜視図である。 同シートクッションばねの後端部が後部フレーム部材によって保持された状態を示す斜視図である。 同シートクッション装置のインフレータバッグを天板側から見た斜視図である。 同シートクッション装置の動作を説明するための説明図である。 同シートクッション装置の動作を説明するための説明図である。 従来技術を説明するための説明図である。
符号の説明
11 シートクッション装置(車両用シートクッション装置)
12 シートフレーム
13 シートクッション
14 シートクッションばね(弾性部材)
15 インフレータバッグ
16 インフレータ
17 リテーナ(保持部材)
17a ばね保持部
17b 装着部
18 クリアランス部
22 側フレーム部材
23 前部フレーム部材
24 後部フレーム部材

Claims (3)

  1. 左右一対の側フレーム部材、前部フレーム部材及び後部フレーム部材からなるシートフレームと、該シートフレームに取り付けられたシートクッションと、該シートクッションを下方から支える弾性部材と、インフレータバッグとを備えてなる車両用シートクッション装置であって、
    前記インフレータバッグは、前記弾性部材の下側で、前記シートフレームの前部に取り付けられ、かつ、
    前記弾性部材は、その前端部が、該インフレータバッグの前端部に取り付けられていて、
    前記インフレータバッグの少なくとも後部領域と前記弾性部材との間には、前記弾性部材上下方向みを受け入れるクリアランス部が設けられている
    ことを特徴とする車両用シートクッション装置。
  2. 当該車両用シートクッション装置の前後方向に対して、前記インフレータバッグ、前端部から後端部に向かう方向に沿って上方に凸形状に屈曲又は湾曲することで、前記クリアランス部が形成されていることを特徴とする請求項記載の車両用シートクッション装置。
  3. 前記弾性部材は、その前端部が、前記インフレータバッグの展開時に外れる保持部材を介して、前記インフレータバッグの前端部に取り付けられていることを特徴とする請求項又は記載の車両用シートクッション装置。
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