JP2008006871A - 車両用シート - Google Patents

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Shigeyuki Suzuki
滋幸 鈴木
Shinji Oguchi
慎治 大口
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Toyoda Gosei Co Ltd
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Abstract

【課題】座部内に設けられたエアバッグの損傷等を的確に抑制する。
【解決手段】エアバッグ22を搭乗者Pが着座する座部1の下部前方に備え、このエアバッグ22の膨張に基づいて座部1の前方が持ち上げられる構造を有してなる車両用シートにおいて、保護プレート24をエアバッグ22の下方を覆うように設けることで、座部1の下部におけるエアバッグ22の膨張経路に異物が侵入することを阻止することとした。
【選択図】図3

Description

本発明は、主に自動車等の車両に搭載される車両用シートに関し、特に着座した搭乗者の前滑りを抑制する構造を有する車両用シートの改良に関する。
主に自動車等の車両にあっては、衝突等により大きな衝撃が加えられた場合に、シートに着座する搭乗者の体が沈み込んでシートベルトの下を潜り抜けるように前滑りしてしまう現象、いわゆるサブマリン現象が発生する可能性があることが知られている。そこで従来、このようなサブマリン現象の発生を抑制する車両用シートとして、搭乗者が着座するシートの座部内に設けられるエアバッグをガスの充填により膨張させることによって搭乗者の大腿部の裏面を車両後方に向けて押圧するようにしたシート等も提案されている(例えば特許文献1)。このようなシート構造の採用により、搭乗者の沈み込み、ひいてはサブマリン現象の発生が抑制されるようになる。
特開2005−067465号公報
ところで、こうした車両用シートは一般的に、その座部が車両の床からある程度離間された状態で車室内に設置されている。そのため、車両が実際に使用される状況では、同シートの座部下に位置する空間に例えば傘やその他の荷物等が置かれることも少なくない。そして、このような状況下であれ、衝突等により車両に強い衝撃が加えられるようなことがあれば上記エアバッグは膨張する。ただしこのとき、上記シートの座部下におかれた傘やその他の荷物等との位置関係によっては、上記膨張しつつあるエアバッグにそれら傘の先端部や荷物の角部等が強く当接するなどして、エアバッグの膨張が制限されたり、同エアバッグが損傷したりするおそれがある。
この発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は座部内に設けられたエアバッグの損傷等を的確に抑制することのできる車両用シートを提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、インフレータの駆動に基づき噴出されるガスの充填により膨張するエアバッグを搭乗者が着座する座部の下部に備え、このエアバッグの膨張に基づいて前記座部が持ち上げられる構造を有してなる車両用シートにおいて、前記座部の下部における前記エアバッグの膨張経路への異物の侵入を阻止する異物侵入阻止手段を備えることを要旨とする。
同構成では、エアバッグが膨張した際にその膨張経路への異物の侵入が異物侵入阻止手段により阻止されるため、エアバッグの膨張時にこのエアバッグと異物とが座部の下部において接触することがない。したがって、座部内に設けられたエアバッグの損傷、ひいてはそれに起因するエアバッグの機能低下を抑制することができ、サブマリン現象の発生をより確実に抑制することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用シートにおいて、前記座部は骨格部材であるベースフレームに搭載されるとともに、このベースフレームには前記座部の下方に位置してその弾性を補助すべく伸縮可能な複数のばねからなる弾性部材が装着されてなり、前記エアバッグはこれら座部と弾性部材との間を前記膨張経路とするものであって、前記異物侵入阻止手段は、前記弾性部材の下方を覆うように設けられた板状の保護部材を含むことを要旨とする。
通常、座部の下方には座部の弾性、すなわちクッション性能を向上させるために弾性部材が複数設けられており、この弾性部材としては、S字状バネのように特定の伸縮パターンを繰り返すことで弾性を有するものや、材料自体が弾性を有するものによって形成された線状のバネ等が用いられている。そして、エアバッグが位置する座部下方の空間と弾性部材下方の空間との間にはこの弾性部材が介在するものの、そのそれぞれの空間は連通しているためこの弾性部材の下方に位置する異物はエアバッグの膨張経路に侵入可能となっている。この点、同構成では弾性部材の下方を覆うように板状の保護部材が設けられているため、こうした異物の侵入が好適に阻止されることとなる。更に、この保護部材は、弾性部材の下方に設けられているため、これを弾性部材の上方に設けた場合のように弾性部材から座部への弾性力の伝達が規制されてしまうことがなく、座部の弾性を適切に維持することができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用シートにおいて、前記保護部材は、前記エアバッグの膨張に伴う前記弾性部材の変形を制限し得る距離にて同弾性部材から下方に離間された位置に配設されてなることを要旨とする。
エアバッグが膨張した際に弾性部材が膨張したエアバッグによって下方に押圧される場合があり、この場合そのエアバッグの膨張態様によっては弾性部材が下方に大きく変形してしまったり、弾性部材が固定されている部位から外れてしまったりすることが懸念される。このような弾性部材の変形や脱落が生じると、エアバッグが所望の態様をもって膨張することができなくなるおそれがある。この点、同構成によれば剛性を有する保護部材によって弾性部材の下方への変形が制限されるためこれが大きく変形することや脱落等の発生を抑制することができ、こうした弾性部材の変形や脱落に起因する悪影響の発生を抑制することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用シートにおいて、前記異物侵入阻止手段は、前記座部の周囲の少なくとも一側面と車両の床面との間を遮る遮蔽板を含むことを要旨とする。
同構成においては、エアバッグが膨張した際にその膨張経路への異物の侵入が遮蔽板により阻止されるため、エアバッグの膨張時にこのエアバッグと異物とが座部の下部において接触することがない。したがって、座部内に設けられたエアバッグの損傷、ひいてはそれに起因するエアバッグの機能低下を抑制することができ、サブマリン現象の発生をより確実に抑制することができるようになる。
本発明の車両用シートは、座部内に設けられたエアバッグの損傷等を的確に抑制することができる。
本発明の車両用シートを具体化した一実施形態を図1〜図3に基づき説明する。図1(a)は、この実施形態の車両用シートを側方から見た場合の断面図であり、図1(b)はその部分拡大図である。
図1(a)に示されるように、車両用シートは、例えば車両前方の左側に配設された助手席用のシートであり、搭乗者Pの臀部から大腿部を支える座部1と、リクライニング可能に構成された背もたれ部2と、搭乗者Pの頭部を支えるヘッドレスト3と、シートベルト4とを備えている。
ここで、シートベルト4は、座部1に着座した搭乗者Pを拘束するために設けられた3点固定式シートベルトである。すなわち、シートベルト4のラップベルト部4aは、搭乗者の着座時に搭乗者Pの腰部Kの一側方から水平方向に腰部Kの前を経由して他側方に架け渡されている。一方、シートベルト4のショルダベルト部4bは、搭乗者の着座時に肩から斜めに胸の前を経由して腰部Kの側方に架け渡されている。
また、座部1は、フレーム11を骨格部材とするクッション性の高い材料からなり、布製あるいは皮革製のカバー12によって被覆されている。なお、図2は、この座部1の主に上記フレーム11についてその斜視構造を示したものであり、ここでこの図2を参照して同フレーム11の構造について説明する。
この図2に示されるように、フレーム11は、左右方向に対向するとともに前後方向に延設された一対の支持プレート11aを有している。この一対の支持プレート11a間には、その後端側にバックロッド11bが設けられるとともに、前端側にフロントロッド11cが設けられている。これらバックロッド11bおよびフロントロッド11cは円柱状に形成されている。
前後方向に対向するように設けられた各ロッド11b,11cの間には、S字パターンが繰り返された形状を有して伸縮可能に形成された複数(ここでの例では4本の)の線状ばねからなる弾性部材13がその両端を各ロッド11b,11cにそれぞれ固定されて設けられている。これらの各弾性部材13は、その上方に設けられた座部1(図1(a)参照)の下面を支持しており、座部1としてのクッション性能(座り心地)を向上させている。
また、上記各支持プレート11aの前方の間、すなわち座部1の下部前方には金属材料からなるシートパン14が架設されている。このシートパン14については、その拡大断面構造を図1(b)に示しており、次にこの図1(b)を併せ参照して、同シートパン14の内部構造について説明する。
図1(b)に示されるように、このシートパン14は車両下方に窪んだ収容凹部14aを有するように形成されている。そして、この収容凹部14aには、その内壁をなす前側内壁14bおよび後側内壁14cが共に平面部を有する形状にて形成されており、これら前側内壁14bおよび後側内壁14cに沿うようにエアバッグ装置20が収容されている。このエアバッグ装置20は周知のように、車両への強い衝撃が検出された際にガスを噴出させるインフレータ21と、膨張可能な織布製のエアバッグ22とを備えて構成される装置である。
このうち、インフレータ21は、車幅方向と略平行に延設する円柱状の部材であり、断面が6角形状の収容筒30内に、袋状のエアバッグ22によって包み込まれるかたちで収容されている。また、エアバッグ装置20には、このインフレータ21から下方に突出形成されたネジ部23が設けられている。そしてエアバッグ装置20は、このネジ部23に対するナット等の螺合によって、上記収容凹部14aの底部14dに固定されている。
また、エアバッグ22が設けられている位置は、座部1に着座した搭乗者Pの大腿部における膝付近と上下方向において対向する位置、すなわち座部1の下部前方であり、このエアバッグ22はガスの充填によって上方および後方に向かって膨張するよう構成されている。具体的には、エアバッグ22は、その形状および配設位置が上記弾性部材13と上下方向において対向する位置まで膨張するよう設定されている。なお、このエアバッグ22は、先の図1(b)に示したように、上記収容凹部14aに収容されているとき、すなわち膨張展開前は、瞬時に膨張展開が可能となるように、インフレータ21よりも上方の部分が蛇腹状に折り畳まれている。
また、弾性部材13の下方には、この下方を覆うように板状の保護プレート24が設けられている。この保護プレート24は、金属材料により形成されており、エアバッグ22の膨張に伴って弾性部材13が下方に変形した際にこの弾性部材13と当接する位置に配設されている。より具体的には、保護プレート24はその上面が弾性部材13より約20〜30mm(好ましくは25mm)下方に位置するよう設けられている。また、保護プレート24は、エアバッグ22の膨張した際の後端よりも車両後方側まで延設されている。
次に、このエアバッグ装置20の動作態様について図3を併せ参照して説明する。図3は、エアバッグ22の膨張時の状態を示す断面図である。
図示しない衝突検出センサが当該車両の衝突を検出すると、図示しない制御手段によってインフレータ21が駆動され、インフレータ21から高圧ガスがエアバッグ22へ送られる。これによりエアバッグ22は、その折り目が展開して膨張を開始する。膨張を開始したエアバッグ22は、図3に示されるように、その上方に向けて膨張し座部1の下面と接触する。そして、エアバッグ22が膨張することで座部1が上方に押し上げられ、座部1に着座している搭乗者Pの大腿部の裏面も上方へと持ち上げられる。すなわち、こうして搭乗者Pの大腿部が、上方へ持ち上げられることにより、ラップベルト部4a(図1(a)参照)による拘束力とも相まって搭乗者Pの体がシートベルト4の下をくぐり抜けるように前滑りしてしまう現象(サブマリン現象)の発生も抑制されるようになる。
また一方、エアバッグ22は座部1と弾性部材13との間を車両後方に向けても膨張していく。エアバッグ22はこの後方への膨張に伴って弾性部材13を下方に押圧しながら変形していくが、弾性部材13の下方に設けられた保護プレート24がこの変形を制限し、弾性部材13が変形して各ロッド11b,11cから脱落することが抑制されている。また、弾性部材13の下方が保護プレート24によって覆われているため、座部1下方に置かれていた傘や荷物等の異物が衝突の衝撃で上方、すなわち座部1に向かって飛び上がってくるような状況であっても、そのエアバッグ22の膨張経路への侵入がこの保護プレート24により阻止されるようになる。
以上説明した本実施形態についてその作用効果の効果を以下に記載する。
(1)保護プレート24を設けることで、座部1の下部におけるエアバッグ22の膨張経路に異物が侵入することを阻止することとした。同構成では、エアバッグ22が膨張した際にその膨張経路への異物の侵入が保護プレート24により阻止されるため、エアバッグ22の膨張時にこのエアバッグ22と異物とが座部1の下部において接触することがない。したがって、座部1内に設けられたエアバッグ22の損傷、ひいてはそれに起因するエアバッグ22の機能低下を抑制することができ、サブマリン現象の発生をより確実に抑制することができるようになる。
(2)保護プレート24は弾性部材13の下方を覆うように設けられている。したがって、保護プレート24を弾性部材13の上方に設けた場合のように弾性部材13の座部1への弾性力の伝達を遮断することがなく、座部1の弾性を適切に維持することができるようになる。
(3)保護プレート24は剛性材料により形成されている。保護プレート24が剛性を有しているため異物による下方からの衝撃からエアバッグ22を保護しその損傷等を一層好適に抑制することができる。
(4)保護プレート24は、弾性部材13からエアバッグ22の膨張に伴う弾性部材13の変形を制限得る距離下方に離間されて設けられている。エアバッグ22が膨張した際に弾性部材13が膨張したエアバッグ22によって下方に押圧される場合があり、この場合そのエアバッグ22の膨張態様によっては弾性部材13が下方に大きく変形してしまったり、弾性部材13が固定されている各ロッド11b,11cから外れてしまったりすることが懸念される。このような弾性部材13の変形や脱落が生じると、エアバッグ22が所望の態様をもって膨張することができなくなるおそれがある。この点、同構成によれば剛性を有する保護プレート24によって弾性部材13の下方への変形が制限されるためこれが大きく変形することや脱落等の発生を抑制することができ、こうした弾性部材13の変形や脱落に起因する悪影響の発生を抑制することができる。
(5)保護プレート24が弾性部材13から離間されて配置されているため、この保護プレート24の配設によって弾性部材13の弾性力が弱められることがなく、座部1の弾力を適切に維持することができ搭乗者Pにとっての座り心地の悪化を抑制することができる。
なお、本実施形態はこれを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・保護プレート24の配設位置は本実施形態で示したものに限定されず、例えば保護プレート24を弾性部材13の下方においてこれと当接するように設けてもよい。この場合であっても、上述の(1)〜(4)に準ずる効果を奏することができる。また、エアバッグ22の膨張時に下方に変形した弾性部材13と当接しない位置に配設してもよい。この場合であっても、上述の(1)〜(3)に準ずる効果を奏することが可能である。
・保護プレート24の材料としては、金属材料に代えて硬質の合成樹脂材料等でもよく、エアバッグ22が膨張する際の異物との接触によって破損しない程度の強度を有する材料であればよい。
・剛性材料によって形成された保護プレート24に代えて、例えば織布によって弾性部材13の下方を覆うような構成を採用してもよい。この場合、上述の(1)および(2)に準ずる効果を奏することができる。
・座部1の下部と車両の床面との距離が比較的大きく設定される車両にあっては、例えば以下のような構成を採用することもできる。すなわち、図4に示されるように、座部1の下部と車両の床面との間に荷物等を収容するための収容ケース40が配設されている。この収容ケース40は、車両前方へ引き出し可能に構成されており、この収容ケース40の両側部は、座部1の左右の両側面と車両の床面との間を遮るように遮蔽板41が設けられている。そして、この収容ケース40は、その板状に形成された上部が弾性部材の下方を覆うように配設されている。このように構成すれば、座部1の下部の収容ケース40以外の場所に傘等の異物を置くことができなくなるため、結果として(1)に準ずる効果を奏することができる。また、収容ケース40を保護部材として兼用することで部品点数の削減にも寄与することができる。
本発明に係る車両用シートの一実施形態について、(a)は車両用シートを側方から見た断面図、(b)はその部分拡大図。 同実施形態の車両用シートの主にフレームについてその斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の車両用シートのエアバッグ膨張時の状態推移を示す断面図。 同実施形態の車両用シートの変形例を示す断面図。
符号の説明
1…座部、11…ベースフレーム、13…弾性部材、22…エアバッグ、24…保護プレート(保護部材)、P…搭乗者。

Claims (4)

  1. インフレータの駆動に基づき噴出されるガスの充填により膨張するエアバッグを搭乗者が着座する座部の下部に備え、このエアバッグの膨張に基づいて前記座部が持ち上げられる構造を有してなる車両用シートにおいて、
    前記座部の下部における前記エアバッグの膨張経路への異物の侵入を阻止する異物侵入阻止手段を備える
    ことを特徴とする車両用シート。
  2. 前記座部は骨格部材であるベースフレームに搭載されるとともに、このベースフレームには前記座部の下方に位置してその弾性を補助すべく伸縮可能な複数のばねからなる弾性部材が装着されてなり、前記エアバッグはこれら座部と弾性部材との間を前記膨張経路とするものであって、前記異物侵入阻止手段は、前記弾性部材の下方を覆うように設けられた板状の保護部材を含む
    請求項1に記載の車両用シート。
  3. 前記保護部材は、前記エアバッグの膨張に伴う前記弾性部材の変形を制限し得る距離にて同弾性部材から下方に離間された位置に配設されてなる
    請求項2に記載の車両用シート。
  4. 前記異物侵入阻止手段は、前記座部の周囲の少なくとも一側面と車両の床面との間を遮る遮蔽板を含む
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用シート。
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