JP4502998B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

本発明は、使用者により所望の室内温度に切り替えることができる温度切替室を備えた冷蔵庫に関する。また本発明は、貯蔵室の冷気流入側に冷気通路を開閉するダンパを備えた冷蔵庫に関する。
冷凍室及び冷蔵室に加えて温度切替室を備えた冷蔵庫が特許文献1に開示されている。
この冷蔵庫は、温度切替室に送出される冷気の通路を開閉するダンパ装置と、温度切替室
を昇温するヒータとを備えている。これにより、温度切換室の室内温度を使用者の用途に
応じて冷凍、冷蔵、パーシャル、チルド等の所望の低温の温度帯に切り替えることができ
る。
特開平10−288440号公報
しかしながら、上記従来の冷蔵庫によると、冷却装置から温度切替室に流入する冷気量
をダンパ装置により調整して温度切替室の室内温度が切り替えられる。このため、温度切
替室に流入する冷気温度と設定温度との差が大きい場合には温度分布を均一にできない問
題があった。また、密閉状態でヒータに通電した際にヒータ近傍の温度が上昇して温度分
布を均一にできない問題もあった。
本発明は、温度切替室の温度分布を均一にできる冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の冷蔵庫は、冷却装置で生成した冷気を冷気通路を介して供給する低温側と食品を保温する高温側とに室内温度を切り替えられる温度切替室を備えた冷蔵庫において、前記温度切替室内の空気を循環させる送風機と、前記温度切替室を昇温するヒータとを備え、前記ヒータを駆動して前記温度切替室の室内温度を高温側に切り替え可能にし、前記温度切替室に供給される冷気量を可変する第1ダンパを前記冷気通路に設け、第1ダンパは前記温度切替室側に配された開口部と、前記開口部に対して前記冷却装置側に配されて前記開口部を開閉する可動のバッフルとを有し、前記温度切替室の室内温度を高温側にしたときに第1ダンパを閉じて、前記温度切替室内の空気を前記ヒータで加熱して前記送風機で空気を循環させて高温に保つとともに、前記バッフルの前記開口部側の面が加熱した食品から発生する蒸気にさらされ、前記温度切替室の室内温度を低温側にしたときには第1ダンパを開いて前記バッフルを前記冷却装置側へ移動させることを特徴としている。
この構成によると、冷却装置で生成された冷気は冷気通路を流通して温度切替室に供給され、温度切替室が冷却される。第1ダンパは冷気通路内に設置され、開口部を介して温度切替室と冷却装置とが連通する。開口部は冷却装置側に配された可動のバッフルにより開閉される。また、送風機及びヒータが駆動され、温度切替室内が昇温される。これにより、加熱調理済み食品の一時的な保温や冬場の温調理等ができる。
また本発明は上記構成の冷蔵庫において、前記送風機の吸気側であって前記送風機の上部よりも低い位置に前記開口部を設けたことを特徴としている。
また本発明は上記構成の冷蔵庫において、前記温度切替室内の空気が流出する流出口と前記冷却装置との間を連通させる戻り通風路を開閉する戻り側開閉部と、前記温度切替室に設けた循環口と前記送風機の吸気側とを連通する連通路を開閉する循環用開閉部とを備え、第1ダンパは前記冷却装置と前記送風機との間を連通させる導入通風路を開閉し、
前記温度切替室の室内温度を低温側にした場合は第1ダンパ及び前記戻り側開閉部を開くとともに前記循環用開閉部を閉じ、前記温度切替室の室内温度を高温側にした場合は前記循環用開閉部を開くとともに第1ダンパ及び前記戻り側開閉部を閉じることを特徴としている。
この構成によると、循環用開閉部を閉じて第1ダンパ及び戻り側開閉部を開いた状態で送風機を駆動すると、冷却装置で生成された冷気が導入通風路を介して温度切替室に送出される。該冷気は温度切替室を流通して流出口から戻り通風路を介して冷却装置に戻る。これにより、温度切替室が冷却され、第1ダンパ及び戻り側開閉部の開成量や送風機の風量に応じて冷凍、パーシャル、チルド、冷蔵等の異なる室内温度に切り替えられる。また、循環用開閉部を開いて第1ダンパ及び戻り側開閉部を閉じた状態で送風機を駆動すると、温度切替室内の空気は循環口から連通路を介して送風機の吸気側に導かれて温度切替室内に送出される。これにより、温度切替室内の空気が循環する。第1ダンパは導入通風路内に設置され、開口部を介して温度切替室と冷却装置とが連通する。
また本発明は上記構成の冷蔵庫において、前記戻り側開閉部及び前記循環用開閉部が一体に形成される第2ダンパから成るとともに、前記流出口と前記循環口とを共通の開口により形成して該開口から延びる前記戻り通風路と前記連通路とが第2ダンパで分岐し、第2ダンパは前記連通路を遮蔽する位置と前記戻り通風路を遮蔽する位置との間を回動する両面バッフルを有することを特徴としている。
この構成によると、戻り側開閉部及び循環用開閉部は回動する両面バッフルを有した共通の第2ダンパから成り、両面バッフルにより戻り通風路を閉じると連通路が開く。この状態で第1ダンパを閉じて送風機を駆動すると温度切替室の空気は開口から連通路を介して送風機の吸気側に導かれて循環する。また、両面バッフルにより連通路を閉じると戻り通風路が開く。この状態で第1ダンパを開いて送風機を駆動すると冷却装置で生成された冷気が導入通風路を介して温度切替室に流入し、開口から戻り通風路を介して冷却装置に戻る。
また本発明は上記構成の冷蔵庫において、前記温度切替室の高温側の室内温度を50℃以上80℃以下にしたことを特徴としている。
本発明によると、食品を保温するための保温庫等を必要とせず使用者の経済的負担を軽減するとともに保温庫等の設置場所の確保を不要にして利便性の高い冷蔵庫を提供することができる。また、冷気通路に配されたダンパは、開口部を開閉するバッフルが開口部に対して冷却装置側に配されるので、開口部を閉じた際にバッフルは開口部に接した内側のみが冷却装置側に対して高温の温度切替室側に臨む。このため、冷却装置側と温度切替室側との温度差がある場合にバッフルは開口部の内側のみに結露し、バッフルの枢支軸等が結露しない。従って、開口部を開いた際に結露水が凍結してもバッフルは正常に可動し、温度切替室の冷却不足や過冷却を防止することができる。更に、高温の貯蔵物から発生する蒸気によりバッフルには結露が発生し易くなり、開口部を開いた際に結露水が凍結してもバッフルを正常に可動させることができる。
また本発明によると、温度切替室内の空気を循環させる送風機と、温度切替室を昇温するヒータを備え、ヒータを駆動して温度切替室の室内温度を高温側に切り替え可能にしたので、温度切替室の温度分布を均一にして、ヒータ及びヒータ周辺の変形、発火、発煙等を防止することができる。
本発明によると、温度切替室内の空気が流出する流出口と冷却装置との間を連通させる戻り通風路を開閉する戻り側開閉部と、温度切替室に設けた循環口と前記送風機の吸気側とを連通する連通路を開閉する循環用開閉部とを備え、第1ダンパは冷却装置と送風機との間を連通させる導入通風路を開閉し、温度切替室の室内温度を低温側にした場合は第1ダンパ及び戻り側開閉部を開くとともに循環用開閉部を閉じるので、温度切替室内を冷気が流通して温度切替室内の温度分布を均一にすることができる。この時、循環用開閉部が閉じられるので、送風効率の低下を防止することができる。また、温度切替室の室内温度を高温側にした場合は循環用開閉部を開くとともに第1ダンパ及び戻り側開閉部を閉じるので、密閉状態の温度切替室内の空気を送風機の駆動により循環させて温度切替室内の温度分布を均一にすることができる。
また本発明によると、戻り側開閉部及び循環用開閉部が一体に形成される第2ダンパから成り、回動する両面バッフルによって連通路と戻り通風路とを択一的に遮蔽するので、冷蔵庫のコスト削減及び容積効率の向上を図ることができる。
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1、図2は一実施形態の冷蔵庫
を示す正面図及び右側面図である。冷蔵庫1は、上段に冷蔵室2が配され、中段に温度切
替室3及び製氷室4が配される。冷蔵庫1の下段には野菜室5及び冷凍室6が配されてい
る。
冷蔵室2は観音開きの扉を有し、貯蔵物を冷蔵保存する。温度切替室3は中段左側に設
けられ、使用者により室温を切り替えられるようになっている。製氷室4は中段右側に設
けられ、製氷を行う。野菜室5は下段左側に設けられ、野菜の貯蔵に適した温度(例えば
、約8℃)に維持される。冷凍室6は下段右側に設けられ、製氷室4に連通して貯蔵物を
冷凍保存する。
図3は冷蔵庫1の右側面断面図である。冷凍室6及び製氷室4には貯蔵物を収納する収
納ケース11が設けられる。野菜室5及び温度切替室3にも同様の収納ケース11が設け
られる。冷蔵室2には貯蔵物を載置する複数の収納棚41が設けられる。冷蔵室2の扉に
は収納ポケット42が設けられる。これらにより、冷蔵庫1の使い勝手が向上されている
。また、冷蔵室2内の下部にはチルド温度帯(約−3℃)に維持されたチルド室23が設
けられている。
冷凍室6の背後には冷気通路31が設けられ、冷気通路31内には圧縮機35に接続さ
れた蒸発器17が配される。冷蔵室2の背後には冷気通路31と連通する冷気通路32が
設けられる。凝縮器、膨張器(いずれも不図示)が接続された圧縮機35の駆動によりイ
ソブタン等の冷媒が循環して冷凍サイクルが運転される。これにより、冷凍サイクルの低
温側となる蒸発器17との熱交換により冷気が生成される。従って、圧縮機35及び蒸発
器17は凝縮器及び膨張器とともに冷気を生成する冷却装置を構成する。
また、冷気通路31、32内には送風機18、28がそれぞれ配される。詳細を後述す
るように、蒸発器17で生成された冷気は送風機18の駆動により冷気通路31を介して
冷凍室6、製氷室4、チルド室23及び温度切替室3に供給される。また、送風機28の
駆動により冷気通路32を介して冷蔵室2及び野菜室5に供給される。
図4は温度切替室3を示す右側面断面図である。温度切替室3の上下面は仕切壁7、8
により冷蔵室2及び野菜室5と仕切られる。温度切替室3の前面は回動式の扉9により開
閉可能になっている。温度切替室3の背面は背面板33により覆われている。温度切替室
3内には引出し式の収納ケース11が設けられている。
背面板33の後方には外壁を形成する断熱壁10との間に導入通風路12が設けられて
いる。導入通風路12は背面板33に設けた流入口33aと冷気通路31(図3参照)と
を連結する。導入通風路12内には温度切替室吐出ダンパ13が設けられる。温度切替室
吐出ダンパ13を開くことにより蒸発器17(図3参照)で発生した冷気が温度切替室3
に導かれる。
図8の(a)〜(c)はそれぞれ温度切替室吐出ダンパ13を示す正面図、上面図及び
側面断面図である。温度切替室吐出ダンパ13は前面に開口部40aを有した樹脂成形品
から成るハウジング40内にバッフル42が設けられる。バッフル42は上端に設けた水
平な回動軸42でハウジング40内に枢支される。
回動軸42aに連結される駆動モータ41の駆動によりバッフル42が矢印Hに示すよ
うに回動可能になっている。バッフル42の回動により開口部40aを開閉して温度切替
室吐出ダンパ13が開閉される。バッフル42の開口部40aに面した表面には開口部4
0aの周縁と密着する断熱材から成るシール部材43が設けられている。
図9は温度切替室吐出ダンパ13の取付け状態を示す側面断面図である。温度切替室吐
出ダンパ13は導入通風路12の壁面50に取り付けられる。尚、後述するように、導入
通風路12は図中、左側に配される温度切替室3の方向と図中、右側上方に配されるチル
ド室23の方向とに分岐し、温度切替室3には孔部50aを介して連通する。また、温度
切替室吐出ダンパ13は開口部40aが温度切替室3側(図中、左側)に配され、バッフ
ル42が蒸発器17側(図中、右側)に配される。
導入通風路12を流通する冷気の温度は温度切替室3の室内温度よりも低く、バッフル
42により開口部40aを閉じるとバッフル42には温度差が発生する。図10に示すよ
うに、開口部40aに対してバッフル42が温度切替室3側(図中、左側)に配されると
、バッフル42は開口部40aに接した内側を除いて高温になる。
このため、バッフル42の高温部分に結露が発生すると、開口部40aを開いた際に低
温の冷気によって結露水が凍結して回動軸42aが固着される。これにより、バッフル4
2による開口部40aの開成が不十分になると温度切替室3の冷却不足が生じ、閉成が不
十分になると温度切替室3の過冷却が生じる。
これに対して、本実施形態では開口部40aに対してバッフル42が蒸発器17側に配
されるので、開口部40aを閉じた際にバッフル42は開口部40aに接した内側のみが
高温となる。バッフル42の表面には断熱材から成るシール部材43が設けられるため、
結露の発生が抑制される。バッフル42には開口部40aに面した側と反対側の表面に断
熱材を設けてもよい。
更に、バッフル42に結露が発生しても、開口部40aに接した内側のみに発生し、バ
ッフル42の回動軸42aには発生しない。従って、開口部40aを開いた際に結露水が
凍結してもバッフル42は正常に可動して温度切替室3の冷却不足や過冷却を防止するこ
とができる。
特に、後述するように、温度切替室3が高温側(例えば、55℃〜80℃)になる場合
には、貯蔵物から発生する蒸気によってバッフル42が結露し易くなる。このため、多量
の結露水が凍結してもバッフル42が正常に可動し、温度切替室3の冷却不足や過冷却を
防止する効果がより大きい。バッフル42は回動する場合だけでなく、スライド移動する
場合も同様の効果を得ることができる。
尚、他の冷却室と冷気回路が並列に配された貯蔵室に冷気が流入する冷気経路を開閉す
るダンパを設け、ダンパを閉じて貯蔵室内の空気を循環できる場合も同様の構成により同
様の効果を得ることができる。即ち、ダンパの開口部に対してバッフルを蒸発器(冷却装
置)側に設けることにより、結露水の凍結によってバッフルが正常に可動しないことを防
止することができる。これにより、貯蔵室の冷却不足や過冷却を防止することができる。
また、回動軸42aがバッフル42の上端に配されるため、バッフル42が結露しても
結露水は回動軸42aから離れた側に流下する。このため、開口部40aを開いた際に結
露水が凍結しても回動軸42aの凍結をより防止してバッフル42を正常に回動すること
ができる。
また、図11に示すように、バッフル42の枢支軸を垂直に設けると、開口部40aの
開成時にバッフル42から滴下した結露水が積み重なって凍結し、バッフル42の回動が
遮られる。本実施形態のように、回動軸42aをバッフル42の上端に水平に設けると、
バッフル42は開口部40aの開成時に下端が上方に退避する。これにより、結露水がバ
ッフル42から滴下して凍結してもバッフル42の回動が遮られることを防止することが
できる。
前述の図9において、壁面50の孔部50aは開口部40aよりも拡径に形成され、開
口部40aよりも低い段差50bが形成されている。これにより、バッフル42の結露水
が流下した際に開口部40aの周縁から段差50bにより温度切替室3側に導かれる。従
って、バッフル42を開いた際に開口部40aから蒸発器17側への結露水の侵入を防止
することができる。開口部40aの周縁から延びる傾斜面を孔部50aに形成してもよい
図4において、温度切替室吐出ダンパ13と流入口33aとの間には送風機14が設け
られている。背面板33の下方には流出口33bが開口し、送風機14の駆動によって冷
気通路31の冷気が流入口33aを介して容易に温度切替室3に導かれて流出口33bか
ら流出する。また、温度切替室吐出ダンパ13の開閉により導入通風路12から温度切替
室3に流入する風量が調整される。
流出口33bの後方には空気を冷却装置17に戻す戻り通風路19が設けられている。
戻り通風路19内には流出口33bに面して開口する温度切替室戻りダンパ20(戻り側
開閉部)が設けられる。温度切替室戻りダンパ20の後方と上方には開口部20b、20
cが形成され、開口部20b、20cを択一的に閉じる回動自在の両面バッフル20aが
設けられている。
開口部20cを閉じて開口部20bを開くことにより、流出口33bから流出する空気
は戻り通風路19を流通可能になる。開口部20bを閉じて開口部20cを開くと、図5
に示すように、流出口33bから流出する空気は送風機14の吸気側に導かれる。これに
より、流出口33bから温度切替室戻りダンパ20の開口部20cを介して送風機14の
吸気側に連通する連通路36が形成されている。従って、送風機14の駆動により連通路
36を介して温度切替室3内の空気を循環させることができる。
両面バッフル20aの枢支軸を上端に水平に設けることにより、両面バッフル20aの
蒸発器17側と温度切替室3側との間に温度差が生じて両面バッフル20aが結露しても
結露水は枢支軸から離れた側に流下する。このため、開口部20bを開いた際に結露水が
凍結しても枢支軸の凍結を防止して両面バッフル20aを正常に可動することができる。
また、両面バッフル20aは回動により下端が上方へ退避する。従って、両面バッフル2
0aから滴下した結露水が積み重なって凍結することによって両面バッフル20aの回動
が遮られることを防止することができる。
尚、温度切替室戻りダンパ20は連通路36を含む循環経路を開閉する循環用開閉部を
構成し、流出口33bは温度切替室3の空気を連通路36に流出させる循環口を構成する
。流出口33bとは別の位置に循環口を設けて連通路36を形成してもよい。この時、連
通路36を開閉する循環用開閉部を温度切替室戻りダンパ20とは別に設ける必要がある
。このため、本実施形態のように、流出口33bを循環口と共通にして両面バッフル20
aを有する温度切替室戻りダンパ20により循環用開閉部を構成することによって、冷蔵
庫1のコスト削減及び容積効率の向上を図ることができる。
温度切替室3の背面板33の後方上部にはヒータ15が設けられる。ヒータ15は熱輻
射式のガラス管ヒータから成り、背面板33を介して放出される輻射熱により温度切替室
3を昇温する。尚、送風機14はヒータ15の表面に向けて送風するように配置されてい
る。これにより、ヒータ15の表面温度を下げて安全性を向上させることができる。
背面板33の背後の下部には温度センサ16が設けられている。温度センサ16は温度
切替室3内の温度を検出して検出信号を制御部(不図示)へ送る。これにより、制御部が
温度センサ16の検知結果に基づいてヒータ15、温度切替室吐出ダンパ13、送風機1
4を制御し、温度切替室3内を設定温度に保持する。
また、ヒータ15の上方には温度センサ24が隣接して設けられる。温度センサ24は
ヒータ15を囲むように設けられる背面板33の上面に密着されている。これにより、ヒ
ータ15の輻射熱を受けた空気が上昇することにより最も加熱され易いヒータ15の上方
近傍の温度が温度センサ24により検知される。
従って、温度センサ24によりヒータ15近傍の異常高温を検知した際にヒータ15を
停止してヒータ15及びヒータ15周辺の破損、発火、発煙を防止することができる。ま
た、温度センサ16の上方には温度ヒューズ30が設けられる。温度ヒューズ30は所定
の温度まで高温になるとヒータ15の通電を遮断する。これにより、更に安全性を向上す
ることができる。
図6は冷蔵庫1の中段付近の正面断面図を示している。冷凍室6の背後の冷気通路31
は送風機18の前面上部を開口し、送風機18によって製氷室4に空気が送出される。製
氷室4に連通する冷凍室6の下部には冷凍室ダンパ22が設けられる。冷凍室6の後方下
部には、冷凍室ダンパ22を介して蒸発器17に空気を導いて冷気通路31に戻す戻り通
風路21(図3参照)が設けられている。冷凍室ダンパ22の開閉により冷凍室6から出
る空気の風量が調整される。
冷気通路31の上部は冷蔵室ダンパ27を介して冷気通路32に連通する。また、冷気
通路31は分岐して導入通風路12が形成され、チルド室ダンパ25を介してチルド室2
3と連通するとともに、前述のように温度切替室吐出ダンパ13を介して温度切替室3に
連通する。
冷蔵室2の背面下方には冷蔵室流出口(不図示)が開口し、野菜室5には野菜室流入口
(不図示)が設けられる。冷蔵室流出口と野菜室流入口とは温度切替室3の背面を通る通
路(不図示)により連結され、冷蔵室2と野菜室5が連通している。
温度切替室3に連通する戻り通風路19は温度切替室戻りダンパ20から下方に延びて
温度切替室3及び野菜室5の背後に配される。温度切替室3内の空気は温度切替室戻りダ
ンパ20を開くことにより戻り通風路19、21を介して蒸発器17に導かれる。また、
野菜室5の背面には戻り通風路19に連通する野菜室流出口(不図示)が設けられる。
図7は冷蔵庫1の冷気の流れを示す冷気回路図である。蒸発器17で生成された冷気は
、送風機18の駆動により矢印A(図6参照)に示すように冷気通路31を上昇して製氷
室4に送出される。製氷室4に送出された冷気は製氷室4及び冷凍室6を流通し、冷凍室
ダンパ22から流出する。そして、戻り通風路21を介して蒸発器17に戻る。これによ
り、製氷室4及び冷凍室6内が冷却される。
送風機28の駆動により冷気通路31の上部で分岐した冷気は冷蔵室ダンパ27を介し
て矢印B(図6参照)に示すように冷気通路32を流通し、冷蔵室2に送出される。また
、矢印C(図6参照)に示すように導入通風路12を流通してチルド室23に送出される
。冷蔵室2及びチルド室23に送出された冷気は冷蔵室2及びチルド室23を流通した後
、野菜室5に流入する。野菜室5に流入した冷気は野菜室5内を流通して戻り通路19、
21を介して蒸発器17に戻る。これにより、冷蔵室2及び野菜室5内が冷却され、設定
温度になると冷蔵室ダンパ27及びチルド室ダンパ23が閉じられる。
また、送風機14の駆動により冷気通路31の上部で分岐した冷気は導入通風路12を
流通して矢印D(図4、図6参照)に示すように、温度切替室吐出ダンパ13を介して温
度切替室3に流入する。温度切替室3に流入した冷気は温度切替室3内を流通し、流出口
33bから流出する。そして、矢印E(図4、図6参照)に示すように、戻り通風路19
、21を介して蒸発器17に戻る。これにより、温度切替室3内が冷却される。
前述のように、温度切替室3は使用者により室内温度を切り替えることができるように
なっている。例えば、冷凍(−15℃)、パーシャル(−8℃)、チルド(−3℃)、冷
蔵(3℃)、野菜(8℃)の各温度帯等を使用者が選択できるようになっている。これに
より、使用者は所望の温度で貯蔵物を冷凍保存または冷蔵保存できる。室内温度の切り替
えは温度切替室吐出ダンパ13を開く量や送風機14の風量を可変して行うことができる
この時、温度切替室戻りダンパ20の両面バッフル20aは図4に示すように、戻り通
風路19を開いて連通路36を閉じるように配置される。このため、流入口33aから流
入する冷気が連通路36を循環することなく温度切替室戻りダンパ20を介して戻り通風
路19を流通する。従って、連通路36によるショートサーキットを防止し、送風機14
の送風効率を向上することができる。
尚、例えば温度切替室3を冷凍の室内温度から冷蔵の室内温度に切り替える際にヒータ
15に通電して昇温してもよい。これにより、迅速に所望の室内温度に切り替えることが
できる。また、ヒータ15に通電することにより、温度切替室3の室内温度を貯蔵物を冷
凍保存または冷蔵保存する低温側から調理済み加熱食品の一時的な保温や温調理等を行う
高温側に切り替えることができるようになっている。
温度切替室3の室内温度を高温側にした場合は、図5に示すように、温度切替室吐出ダ
ンパ13が閉じられるとともに、温度切替室戻りダンパ20の両面バッフル20aが戻り
通風路19を閉じて連通路36を開く位置に配置される。ヒータ15及び送風機14が駆
動されると、矢印Fに示すように送風機14から送出される空気は、矢印Gに示すように
流出口33bを介して連通路36を流通する。
これにより、図7の破線Sに示すように温度切替室3内の空気は温度切替室戻りダンパ
20を介して送風機14に導かれて循環する。従って、温度切替室3を密閉して暖気の流
出を防止し、高温側の温度切替室3の温度分布を均一にすることができ、ヒータ15及び
ヒータ周辺の変形、発火、発煙等を防止することができる。また、加熱食品を保温するた
めの保温庫等を必要とせず使用者の経済的負担を軽減するとともに保温庫等の設置場所の
確保を不要にして利便性の高い冷蔵庫を提供することができる。
高温側の室内温度は、主な食中毒菌の発育温度が30℃〜45℃であるため、ヒータ容
量の公差や温度切替室3内の温度分布等を考慮して50℃以上にするとよい。これにより
、雑菌の繁殖を防止できる。また、冷蔵庫に用いられる一般的な樹脂製部品の耐熱温度が
80℃であるため、高温側の室内温度を80℃以下にすると安価に実現することができる
また、食中毒菌を滅菌するためには、例えば腸管出血性大腸菌(病原性大腸菌O157
)の場合では75℃で1分間の加熱が必要である。従って、ヒータ容量の公差と温度切替
室3内の温度分布とを考慮して高温側の室内温度を80℃にするとより望ましい。
以下は55℃での食中毒菌の減菌に関する試験結果である。試験サンプルは初期状態で
大腸菌2.4×103CFU/mL、黄色ブドウ球菌2.0×103CFU/mL、サルモ
ネラ2.1×103CFU/mL、腸炎ビブリオ1.5×103CFU/mL、セレウス4
.0×103CFU/mLを含んでいる。この試験サンプルを40分間で3℃から55℃
に加温し、55℃で3.5時間保温後、80分間で55℃から3℃に戻して再度各菌の量
を調べた。その結果、いずれの菌も10CFU/mL以下(検出せず)のレベルまで減少
していた。従って、温度切替室3の高温側の設定温度を55℃としても充分減菌効果があ
る。
前述したように、ヒータ15は熱輻射式のガラス管ヒータから成っている。ヒータ15
を安価なシート状のアルミ蒸着ヒータ等の熱伝導式ヒータにしてもよいが、加温スピード
が遅くなる。このため、温度切替室3を高温側に設定した場合に、食中毒菌の発育温度帯
である30〜45℃を通過するのに長時間を要し、食品衛生上安全性が低下する。加温ス
ピードを上げるためにヒータの容量を大きくすると、ヒータを貼り付ける周辺部品の耐熱
温度(通常約80℃)の制約がある。また、放熱面が広範囲となって温度切替室3の手前
付近まで及ぶため、使用者が火傷する危険が生じる。
これに対して熱輻射式のガラス管ヒータは加温スピードが速く、食品衛生上安全である
。また、容量を大きくしても占有スペースが小さいため、前述の図4に示すように、温度
切替室3の奥部に配置することにより使用者が火傷する危険も少なくなる。従って、ヒー
タ15を熱輻射式のガラス管ヒータにするとより望ましい。
本実施形態において、温度切替室3が低温側の所定温度になったときに温度切替室3内
の空気を循環してもよい。即ち、温度切替室戻りダンパ20により戻り通風路19を閉じ
て連通路36を開き、温度切替室吐出ダンパ13を閉じて送風機14を駆動する。これに
より、低温側の温度切替室3の温度分布をより均一にすることができる。
また、温度切替室戻りダンパ20により戻り通風路19及び連通路36の開閉を行って
いるが、温度切替室吐出ダンパ13により導入通風路12及び連通路36の開閉を行って
もよい。即ち、温度切替室吐出ダンパ13に温度切替室戻りダンパ20と同様の両面バッ
フルを設ける。
そして、導入通風路12を開いて連通路36を閉じる位置に両面バッフルが配置される
と、流入口33aから温度切替室3に流入した冷気が流出口33bから温度切替室戻りダ
ンパ20を介して戻り通風路19に導かれる。また、連通路36を開いて導入通風路12
を閉じる位置にバッフルが配置されると、温度切替室3内を空気が循環する。これにより
、上記と同様に、冷蔵庫1のコスト削減及び容積効率の向上を図ることができる。
また、野菜室5の流出口にダンパを設けてもよい。これにより、温度切替室3を高温側
から低温側に切り替えた際に、該ダンパを閉じて温度切替室3からの熱風が野菜室5に逆
流することを防止できる。加えて、野菜室5から冷気が両面バッフル20aに到達するこ
とによる両面バッフル20aの結露を防止することができる。
また、温度切替室3を高温側から低温側へ切り替える際に送風機18が停止されている
場合には、冷凍室ダンパ22が閉じられるようになっている。これにより、送風機14の
駆動によって冷凍室ダンパ22から冷凍室6内へ熱風が逆流することを防止できる。
本発明によると、使用者により室内温度を切り替えることのできる温度切替室を備えた
冷蔵庫に利用することができる。また本発明によると、貯蔵室の冷気流入側に冷気通路を
開閉するダンパを備えた冷蔵庫に利用することができる。
本発明の実施形態の冷蔵庫を示す正面図 本発明の実施形態の冷蔵庫を示す右側面図 本発明の実施形態の冷蔵庫を示す右側面断面図 本発明の実施形態の冷蔵庫の温度切替室を示す右側面断面図 本発明の実施形態の冷蔵庫の温度切替室を示す右側面断面図 本発明の実施形態の冷蔵庫の中段部を示す正面断面図 本発明の実施形態の冷蔵庫の冷気の流れを示す冷気回路図 本発明の実施形態の冷蔵庫の温度切替室吐出ダンパを示す図 本発明の実施形態の冷蔵庫の温度切替室吐出ダンパの取付け状態を示す側面断面図 本発明の実施形態の冷蔵庫の温度切替室吐出ダンパによる効果を説明する図 本発明の実施形態の冷蔵庫の温度切替室吐出ダンパによる効果を説明する図
符号の説明
1 冷蔵庫
2 冷蔵室
3 温度切替室
4 製氷室
5 野菜室
6 冷凍室
9 扉
12 導入通風路
13 温度切替室吐出ダンパ
14、18、28 送風機
15 ヒータ
17 蒸発器
16、24 温度センサ
19、21 戻り通風路
20 温度切替室戻りダンパ
22 冷凍室ダンパ
25 チルド室ダンパ
30 温度ヒューズ
31、32 冷気通路
33 背面板
33a 流入口
33b 流出口
35 圧縮機
36 連通路
40 ハウジング
40a 開口部
42 バッフル
42a 回動軸
43 シール材

Claims (5)

  1. 冷却装置で生成した冷気を冷気通路を介して供給する低温側と食品を保温する高温側とに室内温度を切り替えられる温度切替室を備えた冷蔵庫において、
    前記温度切替室内の空気を循環させる送風機と、前記温度切替室を昇温するヒータとを備え、前記ヒータを駆動して前記温度切替室の室内温度を高温側に切り替え可能にし、
    前記温度切替室に供給される冷気量を可変する第1ダンパを前記冷気通路に設け、
    第1ダンパは前記温度切替室側に配された開口部と、前記開口部に対して前記冷却装置側に配されて前記開口部を開閉する可動のバッフルとを有し、
    前記温度切替室の室内温度を高温側にしたときに第1ダンパを閉じて、前記温度切替室内の空気を前記ヒータで加熱して前記送風機で空気を循環させて高温に保つとともに、前記バッフルの前記開口部側の面が加熱した食品から発生する蒸気にさらされ、
    前記温度切替室の室内温度を低温側にしたときには第1ダンパを開いて前記バッフルを前記冷却装置側へ移動させることを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記送風機の吸気側であって前記送風機の上部よりも低い位置に前記開口部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記温度切替室内の空気が流出する流出口と前記冷却装置との間を連通させる戻り通風路を開閉する戻り側開閉部と、前記温度切替室に設けた循環口と前記送風機の吸気側とを連通する連通路を開閉する循環用開閉部とを備え、
    第1ダンパは前記冷却装置と前記送風機との間を連通させる導入通風路を開閉し、
    前記温度切替室の室内温度を低温側にした場合は第1ダンパ及び前記戻り側開閉部を開くとともに前記循環用開閉部を閉じ、前記温度切替室の室内温度を高温側にした場合は前記循環用開閉部を開くとともに第1ダンパ及び前記戻り側開閉部を閉じることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
  4. 前記戻り側開閉部及び前記循環用開閉部が一体に形成される第2ダンパから成るとともに、前記流出口と前記循環口とを共通の開口により形成して該開口から延びる前記戻り通風路と前記連通路とが第2ダンパで分岐し、第2ダンパは前記連通路を遮蔽する位置と前記戻り通風路を遮蔽する位置との間を回動する両面バッフルを有することを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
  5. 前記温度切替室の高温側の室内温度を50℃以上80℃以下にしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の冷蔵庫。
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