JP4499847B2 - ミルベマイシン類の13−エステル誘導体の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は下記の一般式(I)
【0002】
【化4】
[式中、R1はメチル基、エチル基、イソプロピル基又はsec-ブチル基を示す。]で表わされるミルベマイシン類の5−ケト−13−エステル化合物の製造法に関する。
【0003】
【従来の技術】
13位にエステル基を有するミルベマイシン誘導体が殺虫活性や駆虫作用を有することは、例えば、特開平1−104078号公報、特開平5−255343号公報及び特開平8−259570号公報等に開示されている。
【0004】
このような5−ケト−13−エステル誘導体の製造法に関しては、大別して下記に示す(イ)及び(ロ)の方法が知られている。
(イ)13−ヒドロキシ−5−ケトミルベマイシン類を、カルボン酸又はその反応性誘導体と反応させてエステル化する方法:該製造法は、例えば、特開平1−104078号公報及び特開平5−255343号公報に開示されている。該製造法の出発原料は、13−ヒドロキシ−5−ケトミルベマイシン類である。特開昭61−103884号公報には、該出発原料の製造法が記載されている。該公報記載の方法は、第一に、収率が50%以下であること、第二に、毒性を有する二酸化セレンが廃棄物中に含まれること、第三に、出発原料である13−ヒドロキシ−5−ケトミルベマイシン類は一般に入手が困難であること等の問題点を有する。
(ロ)△13、14−15−ヒドロキシ−5−ケトミルベマイシン類を、酸触媒の存在下、カルボン酸と反応させてエステル化する方法。
【0005】
該製造法は、例えば、特開平5−255343号公報及び特開平8−259570号公報に開示されている。該製造法の出発原料は、△13、14−15−ヒドロキシ−5−ケトミルベマイシン類である。特開昭60−158191号公報には、該出発原料の製造法が記載されている。該公報記載の方法は、第一に、2つの反応生成物を生じ、化合物のみを選択的に生成し得ないこと、第二に、収率が約50%以下であること、第三に、反応の試薬として毒性及び爆発性が強いアジ化水素酸を用いるので危険を伴うこと、第四に、出発原料である△13、14−15−ヒドロキシ−5−ケトミルベマイシン類は入手が困難であること等の問題点を有する。
【0006】
以上の理由から、上記問題点を伴わない、ミルベマイシン類の5−ケト−13−エステル中間体の新しい製造法の確立が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記一般式(I)で表わされるミルベマイシン類の13−エステル誘導体の製造法について鋭意検討した結果、14、15−エポキシ−5−ケトミルベマイシン誘導体をシリル化剤でエポキシ体を開環したのち、単離又は精製せず強力な酸の存在下でカルボン酸と反応させることにより、ミルベマイシン類の5−ケト−13−エステル誘導体を安全且つ効率よく製造する方法を見出し、本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)
下記の一般式(II)
【0009】
【化5】
[式中、R1はメチル基、エチル基、イソプロピル基又はsec-ブチル基を示し、R2は水素原子又はトリメチルシリル基を示す。]で表わされる14、15−エポキシ−5−ケトミルベマイシン化合物をシリル化剤と反応させて下記の一般式(III)
【0010】
【化6】
[式中、R1はメチル基、エチル基、イソプロピル基又はsec-ブチル基を示し、R2は水素原子又はトリメチルシリル基を示し、R3は水素原子又は式:SiR4R5R6(式中、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、C1乃至C6アルキル基を示す)で表わされる基を示す。]で表わされる中間体化合物を得たのち、該中間体化合物を単離又は精製せず、酸の存在下で2−メトキシイミノ−2−フェニル酢酸と反応させることからなる下記の一般式(I)
【0011】
【化7】
[式中、R1はメチル基、エチル基、イソプロピル基又はsec-ブチル基を示す。]で表わされるミルベマイシン類の5−ケト−13−エステル誘導体の製造法、及び、
(2)(1)記載の製造法において、一般式(III)で表わされる化合物のR3がトリメチルシリル基である製造法、
に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の製造法は、ミルベマイシン類の14,15−エポキシ体(特開平6−220068号公報参照)を出発物質として用い、前記一般式(II)で表わされる化合物から前記一般式(III)で表わされる中間体化合物に導く第1工程と、前記一般式(III)で表わされる中間体化合物から前記一般式(I)で表わされる化合物に導く第2工程からなる。
【0013】
前記一般式(I)で表わされる化合物、前記一般式(II)で表わされる化合物及び前記一般式(III)で表わされる中間体化合物において、R1はメチル基、エチル基、イソプロピル基又はsec-ブチル基であり、好適にはメチル基又はエチル基であり、より好適にはエチル基である。
【0014】
前記一般式(III)で表わされる化合物(式中、R1はメチル基、エチル基、イソプロピル基又はsec-ブチル基を示し、R2は水素原子又はトリメチルシリル基を示し、R3は水素原子又は式:SiR4R5R6(式中、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、C1乃至C6アルキル基を示す)で表わされる基を示す。)は、特開平6−220068号公報に開示されたミルベマイシン誘導体でる。
【0015】
前記一般式(III)で表わされる化合物中のR3置換基の一つに挙げられた式:SiR4R5R6(式中、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、C1乃至C6アルキル基を示す)において、「C1乃至C6アルキル基」とは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基又はt−ブチル基であり、好適にはメチル基である。
(第1工程)
第1工程は、前記一般式(II)で表わされる化合物のエポキシ基をシリル化剤及び塩基の存在下で開環し前記一般式(III)で表わされるアリルアルコール誘導体に変換する工程である。
【0016】
反応に使用されるシリル化剤としては、トリアルキル置換シリルトリフルオロメタンスルホネート[CF3SO2OSiR4R5R6(式中、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、C1乃至C6アルキル基を示す)]等が挙げられ、例えば、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、トリイソプロピルシリルトリフルオロメタンスルホネート又はt−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート等であり、好適にはトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート又はt−ブチルジメチルトリフルオロメタンスルホネートであり、より好適にはトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートである。
【0017】
反応に使用されるシリル化剤の使用量の範囲は、通常、下限が1.0乃至1.2モル当量、上限が2.0乃至10モル当量であり、好適な範囲は1.2乃至5.0モル当量であリ、より好適な範囲は1.2モル当量乃至3.0モル当量である。このような量のシリル化剤は、必要ならば、複数回に分けて反応系に添加することもできる。
【0018】
反応に使用される塩基としては、反応を阻害しない塩基であれば特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、1、4−ジアザビシクロ[2、2、2]オクタン、1、8−ジアザビシクロ[5、4、0]−7−ウンデセンのような有機アミン類;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなアミド類;ナトリウム、リチウムのようなアルカリ金属類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属塩基等であり、好適にはトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、1、4−ジアザビシクロ[2、2、2]オクタン、1、8−ジアザビシクロ[5、4、0]−7−ウンデセンのような有機アミン類であり、より好適には2、6−ルチジンである。
【0019】
反応に使用される塩基の使用量は、シリル化剤の使用量等に依存するが、通常シリル化剤に対し、その範囲は、下限が1.0乃至2.0モル当量、上限が6.0乃至10モル当量であり、好適な範囲は2.0乃至6.0モル当量である。
【0020】
反応に使用される溶媒としては、反応物及び生成物を安定に溶解し且つ反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されないが、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロへキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレンのような炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、1、2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;N、N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミドのようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオニトリルのような二トリル類、又はこれらから選ばれる二つ以上を含む混合物を挙げることができ、好適にはメチルシクロヘキサン、トルエン等、ハロゲン化炭化水素のような炭化水素類;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素類、又はこれらから選ばれる二つ以上を含む混合物であり、より好適にはメチルシクロヘキサン、塩化メチレン又はこれらの混合物である。
【0021】
反応温度の範囲は、下限が−50乃至−30℃、上限が50乃至100℃であり、好適な範囲は−30乃至50℃である。
【0022】
反応時間は、反応温度、反応に使用されるシリル化剤、塩基及び溶媒等に依存するが、その範囲は、下限が1時間、上限が2乃至12時間であり、好適な範囲は1乃至2時間である。
【0023】
反応終了後、常法に従って、反応混合物から、前記一般式(III)で表わされる中間体化合物を採取することができる。例えば、反応終了後、反応液を1規定塩酸、水、炭酸水素ナトリウム水溶液及び水の順で、分液ロートを用いた液−液分配により洗浄し、濃縮により溶媒を留去して得られる。。濃縮法としては、通常液体を濃縮する方法であれば特に限定されないが、例えば、風乾、常圧濃縮、減圧濃縮及び蒸留等であり、好適には減圧濃縮である。減圧濃縮は、ポンプ、ロータリーエバポレータ、該エバポレータ用フラスコ及び水浴式恒温槽等を組合わせて行うことができ、化合物を該フラスコ中に乾固された状態で得ることができる。得られた中間体化合物は、単離又は精製せずに次の工程に使用することができる。
(第2工程)
第2工程は、第1工程で得た前記一般式(III)で表わされる中間体化合物を、酸の存在下、2−メトキシイミノ−2−フェニル酢酸と反応させ、前記一般式(I)で表わされるミルベマイシン類の5−ケト−13−エステル誘導体を製造する工程である。
【0024】
反応に使用される2−メトキシイミノ−2−フェニル酢酸の量の範囲は、下限が1乃至1.5モル当量、上限が2乃至20モル当量であり、好適な範囲は1.5乃至2モル当量である。
【0025】
反応に使用される酸としては、通常化学反応に使用される酸であれば特に限定されないが、例えば、硫酸、塩酸のような無機酸、又はトリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラクロロベンゼンスルホン酸のような有機酸を挙げることができ、好適にはトリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラクロロベンゼンスルホン酸のような有機酸であり、より好適にはトリフルオロメタンスルホン酸である。
【0026】
反応に使用される酸の量は酸の種類等に依存するが、その範囲は、下限が0.01乃至0.1モル当量、上限が0.8乃至0.9モル当量であり、好適な範囲は0.1乃至0.8モル当量である。
【0027】
反応系中に、無機化合物の粉末を添加すると、反応を促進することがある。本発明の製造法においても、必要に応じ、このような無機化合物の粉末を添加してもよい。無機化合物としては、通常反応を促進するために添加する無機化合物であれば特に限定されないが、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸銅、沃化第一銅、沃化亜鉛、沃化コバルト、沃化ニッケルのような金属塩、セライト、シリカゲル、アルミナ等を挙げることができ、好適にはトリフルオロメタンスルホン酸銅、沃化第一銅のような銅塩であり、より好適には沃化第一銅である。
【0028】
反応に使用される溶媒としては、反応物及び生成物を安定に溶解し且つ反応を阻害しない溶媒であれば特に限定はないが、例えば、n−ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンのような炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類:アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;又はこれらから選ばれる二つ以上を含む混合物等を挙げることができ、好適には石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエンのような炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;又はこれらから選ばれる二つ以上を含む混合物であり、より好適にはメチルシクロヘキサン、塩化メチレン又はこれらの混合物である。
【0029】
反応温度の範囲は、下限が−10乃至0℃、上限が50乃至100℃であり、好適には0乃至50℃である。
【0030】
反応時間は、反応温度、反応に使用される酸、溶媒及び無機添加物等に依存するが、その範囲は、下限が5乃至10分、上限が5乃至10時間であり、好適には10分乃至5時間である。
【0031】
反応終了後、前記一般式(I)で表わされる目的化合物は、反応混合物から常法に従って採取することができる。例えば、反応終了後、反応液を水、炭酸水素ナトリウム水溶液及び水の順で、分液ロートを用いた液−液分配により洗浄し、濃縮により溶媒を留去することによって得られる。濃縮法は、通常液体を濃縮する方法であれば特に限定されないが、例えば、風乾、常圧濃縮、減圧濃縮及び蒸留等であり、好適には減圧濃縮である。減圧濃縮により、前述の通り、化合物を乾固された状態で得ることができる。
【0032】
反応により得られた前記一般式(I)で表わされる目的化合物は、必要ならば、カラムクロマトグラフィ−等の手段を用いてさらに精製することができる。
【0033】
カラムクロマトグラフィー用のカラムに充填する担体としては、通常有機化合物を精製するのに用いられる担体であれば特に限定されないが、例えば、シリカゲル、C18逆相ゲル、アルミナ、活性炭等を挙げることができ、好適にはシリカゲルである。
【0034】
目的化合物の挙動は、高速液体クロマトグラフィー法による定量的分析法に基づいて追跡することができる。該定量的分析法は、化合物の純度の測定にも適用することができる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例及び参考例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1.
13−(α−メトキシイミノフェニルアセトキシ)−5−ケトミルベマイシンA4の製造
(第1工程)
14,15−エポキシ−5−ケトミルベマイシンA4 0.92g(1.67ミリモル)を、塩化メチレン1.5ml及びメチルシクロヘキサン10.9mlの混合溶媒に溶解させ、窒素気流下0乃至5℃で、2、6−ルチジン1.16ml(9.96ミリモル)を加え、1時間撹拌した。これにトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート0.64ml(3.33ミリモル)を加え、0乃至5℃で1時間攪拌した。さらに、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート0.32ml(1.67ミリモル)を加え、0乃至5℃で1時間攪拌した。反応液を水、10%硫酸水溶液、水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で液−液分配法により洗浄し、エバポレータを用いた減圧濃縮により、中間体化合物の粗生成物1.42gを得た。その粗生成物を精製せず、次の第2工程に用いた。
(第2工程)
中間体化合物の粗生成物1.42gを塩化メチレン10mlに溶解させ、α−メトキシイミノフェニル酢酸511mg(2.85ミリモル)とトリフルオロメタンスルホン酸0.063ml(0.71ミリモル)を含む塩化メチレン溶液15mlに、アルゴン気流下0乃至5℃で滴下し、0乃至5℃で3時間撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で液−液分配法により洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレータを用いた減圧濃縮により溶媒を留去した。
【0036】
残留物をn−ヘキサン−酢酸エチル混合溶液(90:10)に溶解させ、n−ヘキサン−酢酸エチル混合溶液(90:10)で平衡化したシリカゲルカラムに添加し、該カラムに化合物を吸着させ、n−ヘキサン−酢酸エチル混合溶液のステップワイズグラジエント(酢酸エチルをn−ヘキサン中で10乃至50%迄、10%ずつ段階的に増加させる。)で溶出し、目的化合物を含む溶出画分をエバポレータを用いた減圧濃縮により溶媒を留去し、目的化合物0.99g(82.1%)を得た。
実施例2.
13−(α−メトキシイミノフェニルアセトキシ)−5−ケトミルベマイシンA4の製造
(第1工程)
14,15−エポキシ−5−ケトミルベマイシンA4 4.60g(8.4ミリモル)を塩化メチレン7.5ml及びメチルシクロヘキサン54.5mlの混合溶媒に溶解させ、窒素気流下0乃至5℃で、2、6−ルチジン5.80ml(49.8ミリモル)を加え、1時間撹拌した。これにトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート3.2ml(16.7ミリモル)を加え、0乃至5℃で1時間攪拌した。さらに、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート1.60ml(8.3ミリモル)を加え、0乃至5℃で1時間攪拌した。反応液を水、10%硫酸水溶液、水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で液−液分配法により洗浄し、エバポレータを用いた減圧濃縮により、中間体化合物の粗生成物7.10gを得た。その粗生成物を精製せず、次の第2工程に用いた。
(第2工程)
中間体化合物の粗生成物7.10gとα−メトキシイミノフェニル酢酸2.55g(14.3ミリモル)を塩化メチレン100mlに溶解させ、トリフルオロメタンスルホン酸0.32ml(0.71ミリモル)をアルゴン気流下0乃至5℃で滴下し、0乃至5℃で5時間撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で液−液分配法により洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレータを用いた減圧濃縮により溶媒を留去した。
【0037】
残留物をn−ヘキサン−酢酸エチル混合溶液(90:10)に溶解させ、n−ヘキサン−酢酸エチル混合溶液(90:10)で平衡化したシリカゲルカラムに添加し、該カラムに化合物を吸着させ、n−ヘキサン−酢酸エチル混合溶液のステップワイズグラジエント(酢酸エチルをn−ヘキサン中で10乃至50%迄、10%ずつ段階的に増加させる。)で溶出し、目的化合物を含む溶出画分をエバポレータを用いた減圧濃縮により溶媒を留去し、目的化合物5.06g(84.0%)を得た。
実施例3.
13−(α−メトキシイミノフェニルアセトキシ)−5−ケトミルベマイシンA3の製造
(第1工程)
14,15−エポキシ−5−ケトミルベマイシンA3 15.5g(28.6ミリモル)を、塩化メチレン26.0ml及びメチルシクロヘキサン187.5mlの混合溶媒に溶解させ、窒素気流下0乃至5℃で、2、6−ルチジン20.0ml(171.4ミリモル)を加え、1時間撹拌した。さらに、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート11.0ml(57.1ミリモル)を加え、0乃至5℃で1時間攪拌した。さらに、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート2.3ml(11.9ミリモル)を加え、0乃至5℃で1時間攪拌した。反応液を水、10%硫酸水溶液、水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で液−液分配法により洗浄し、エバポレータを用いた減圧濃縮により、中間体化合物の粗生成物19.7gを得た。その粗生成物を精製せず、次の第2工程に用いた。
(第2工程)
中間体化合物の粗生成物19,7gとα−メトキシイミノフェニル酢酸9.14g(51.1ミリモル)を塩化メチレン105mlとメチルシクロヘキサン245mlの混合溶媒に溶解させ、トリフルオロメタンスルホン酸1.13ml(12.8ミリモル)をアルゴン気流下0乃至5℃で滴下し、0乃至5℃で3時間30分撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で液−液分配法により洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレータを用いた減圧濃縮により溶媒を留去した。
【0038】
残留物をn−ヘキサン−酢酸エチル混合溶液(90:10)に溶解させ、n−ヘキサン−酢酸エチル混合溶液(90:10)で平衡化したシリカゲルカラムに添加し、該カラムに化合物を吸着させ、n−ヘキサン−酢酸エチル混合溶液のステップワイズグラジエント(酢酸エチルをn−ヘキサン中で10乃至50%迄、10%ずつ段階的に増加させる。)で溶出し、目的化合物を含む溶出画分をエバポレータを用いた減圧濃縮により溶媒を留去し、目的化合物17.3g(86%)を得た。
【0039】
【発明の効果】
本発明の製造法により、前記一般式(I)で表わされるミルベマイシン類の5−ケト−13−エステル誘導体を効率よく製造することができた。
【0040】
また前記一般式(I)で表わされる化合物を特開平6−220068号公報又は特開平8−259570号公報記載の方法に順じて還元反応を行うことにより、優れた殺虫活性を有する下記一般式(IV)
【0041】
【化8】
[式中、R1はメチル基、エチル基、イソプロピル基又はsec-ブチル基を示し、R7は水素原子又は低級アルキル基を示し、Aは置換可複素環基又は置換可C6乃至C10アリール基を示し、m及びnはそれぞれ独立して0又は1を示し、同時に0であることはない。]で表わされる特開平8−259570号公報記載の化合物を得ることができるので、本発明の製造法は前記一般式(IV)で表わされる化合物を工業的に製造するために有用である。
Claims (2)
- 下記の一般式(II)
- 請求項1記載の製造法において、一般式(III)で表わされる化合物のR3がトリメチルシリル基である製造法。
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JP2002121195A (ja) * | 2000-10-12 | 2002-04-23 | Sankyo Co Ltd | 13位置換ミルベマイシン誘導体の製造法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH06220068A (ja) * | 1992-09-01 | 1994-08-09 | Sankyo Co Ltd | 13−エーテル置換ミルベマイシン誘導体の新規中間体 |
JPH08259570A (ja) * | 1994-04-01 | 1996-10-08 | Sankyo Co Ltd | 13位にオキシム基を含んだ置換基を有する殺虫性ミルベマイシン誘導体 |
JPH09143183A (ja) * | 1995-09-22 | 1997-06-03 | Sankyo Co Ltd | 13位にオキシム基を含んだ置換基を有する殺虫性ミルベマイシン誘導体 |
-
1999
- 1999-05-24 JP JP14303499A patent/JP4499847B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH06220068A (ja) * | 1992-09-01 | 1994-08-09 | Sankyo Co Ltd | 13−エーテル置換ミルベマイシン誘導体の新規中間体 |
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JP2000044571A (ja) | 2000-02-15 |
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