JP6212462B2 - 3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法 - Google Patents
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Description
それらの中で、ヘルスケアの観点から、特にポリフェノールが注目されており、種々のポリフェノールが植物から抽出され、様々な用途で利用されている。例えば、甘藷由来ポリフェノールが、ガン、糖尿病、高血圧、アルツハイマー病、HIVまたはメラニン生成抑制などの疾病や美容に有効との報告がなされている(非特許文献1)。
ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸類は、コーヒー豆、サツマイモの葉、ヨモギ、すいかずらまたはひまわりなどに含まれ、熱水やエタノールを用いて植物から抽出されてきた。しかし、クロロゲン酸類を医薬品として利用できる程度に高純度化するのは極めて困難であった。
一方、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成が検討され、非特許文献3において、初めて全合成が報告された。
本発明は、上記実情に鑑みて、短い工程で簡便な操作により、効率良く3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を製造できる、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
後述する式(2)で表される化合物と後述する式(3)で表される化合物とを反応させ、後述する式(4)で表される化合物を得る工程Bと、
後述する式(4)で表される化合物を脱保護し、後述する式(5)で表される3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を得る工程Cと、を少なくとも有する、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
(2) 式(1)中、R1はヒドロキシル保護基を示し、R2はカルボキシル保護基を示し、
工程Aの前に、後述する式(A3)で表される化合物と後述する式(A5)で表される化合物とを反応させ、式(1)で表される化合物を得る工程Dを有する、(1)に記載の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
(3) 非プロトン性極性溶媒が、エーテル系溶媒である、(1)または(2)に記載の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
(4) 工程Aにおける反応温度が、65〜140℃である、(1)〜(3)のいずれかに記載の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
(5) 工程Aにおいて、非プロトン性極性溶媒中での式(1)で表される化合物の濃度が50mmol/L以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
本発明において、特にことわらない限り、各用語は、次の意味を有する。
C1-6アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキル基を意味する。
C2-6アルケニル基とは、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンテニル基およびヘキセニル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜6のアルケニル基を意味する。
C2-6アルキニル基とは、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基およびヘキシニル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜6のアルキニル基を意味する。
C3-8シクロアルキル基とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基などの炭素数3〜8のシクロアルキル基を意味する。
アリール基とは、フェニル基またはナフチル基などを意味する。
アルC1-6アルキル基とは、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、フェネチル基およびナフチルメチル基などのアルC1-6アルキル基を意味する。
アリールオキシ基とは、フェノキシ基またはナフチルオキシ基などを意味する。
C1-6アルコキシC1-6アルキル基とは、メトキシメチル基および1−エトキシエチル基などの炭素数1〜6のアルキルオキシが置換した炭素数1〜6のアルキル基を意味する。
アロイル基とは、ベンゾイル基またはナフトイル基などを意味する。
アシル基とは、ホルミル基、C2-6アルカノイル基またはアロイル基を意味する。
C2-6アルカノイルオキシ基とは、アセチルオキシ基およびプロピオニルオキシ基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜6のアルカノイルオキシ基を意味する。
アシルオキシ基とは、C2-6アルカノイルオキシ基またはアロイルオキシ基を意味する。
アリールオキシカルボニル基とは、フェニルオキシカルボニル基またはナフチルオキシカルボニル基などを意味する。
C1-6アルキルスルホニル基とは、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基およびプロピルスルホニル基などの炭素数1〜6のアルキルスルホニル基を意味する。
アリールスルホニル基とは、ベンゼンスルホニル基またはナフタレンスルホニル基などを意味する。
C1-6アルキルスルホニルオキシ基とは、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基およびプロピルスルホニルオキシ基などの炭素数1〜6のアルキルスルホニルオキシ基を意味する。
アリールスルホニルオキシ基とは、ベンゼンスルホニルオキシ基またはナフタレンスルホニルオキシ基などを意味する。
C1-3アルキレン基とは、メチレン基、エチレン基またはプロピレン基を意味する。
ジ(C1-6アルキル)ホスホリル基とは、ジメチルホスホリル基、ジエチルホスホリル基およびジブチルホスホリル基などのジ(C1-6アルキル)ホスホリル基を意味する。
ジアリールホスホリル基とは、ジフェニルホスホリル基などを意味する。
ジアリールホスフィニル基とは、ジフェニルホスフィニル基などを意味する。
アミノ保護基としては、通常のアミノ基の保護基として使用し得るすべての基を含み、例えば、W.グリーン(W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、696〜926頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。
具体例としては、アルC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アシル基、C1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシリル基などが挙げられる。これらの基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
具体例としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、アリール基、アルC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基またはシリル基などが挙げられる。これらの基は、後述する置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
具体例としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、アルC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アシル基、C1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ジ(C1-6アルキル)ホスホリル基、ジアリールホスホリル基、ジアリールホスフィニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基またはシリル基などが挙げられる。これらの基は、後述する置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
具体例としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、アルC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アシル基、C1-6アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシリル基が挙げられる。これらの基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
ハロゲン化炭化水素類としては、塩化メチレン、クロロホルムまたは1,2−ジクロロエタンなどが挙げられる。
エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピルまたは酢酸ブチルなどが挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、2−ブタノンまたは4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。
アミド類としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたは1−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
R1の好適態様であるC1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはアシル基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
R2の好適態様であるC1-6アルキル基またはC2-6アルケニル基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
R3の好適態様であるC1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはアシル基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
2つのR3が一緒になって形成するメチレン基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
工程Aは、上記スキームに示すように、式(1)で表される化合物とメルドラム酸とを非プロトン性極性溶媒中にて反応させ、式(2)で表される化合物を製造する工程である。非プロトン性極性溶媒を使用することにより、上記2種の化合物間の反応が効率的に進行する。一方、トルエンのような非プロトン性極性溶媒以外の溶媒を使用すると、上記2種の化合物間の反応性が低く、所望の効果が得られない。
以下では、まず、本工程で使用される化合物について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。
式(1)中、R1およびR2は、R1がヒドロキシル保護基を示し、かつ、R2がカルボキシル保護基を示すか、または、R1とR2とが一緒になって、−B(Ra)−で表される保護基を示す。言い換えると、R1およびR2の定義(意味)は、以下の(A)または(B)である。
(A)R1がヒドロキシル保護基を示し、かつ、R2がカルボキシル保護基を示す。
(B)R1とR2とが一緒になって、−B(Ra)−で表される保護基を示す。
メルドラム酸とは、別名2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオンであり、上記スキームにて構造式で表される化合物である。
非プロトン性極性溶媒は、プロトン性の水素(プロトン供与性)を有さない極性溶媒であり、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、アセトニトリル、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒(エーテル結合含有非プロトン性極性溶媒)が好ましい。
本工程においては、非プロトン性極性溶媒中において、式(1)で表される化合物とメルドラム酸とを反応させる。より具体的には、例えば、非プロトン性極性溶媒に、式(1)で表される化合物とメルドラム酸とを添加して、必要に応じて、加熱処理を施しながら、撹拌処理を実施する。
上記反応の条件は特に制限されないが、式(2)で表される化合物の収率がより優れる点で、反応温度としては、65〜140℃が好ましく、85〜120℃がより好ましい。
反応時間は特に制限されないが、生産性および収率のバランスの点で、10分間〜12時間が好ましく、30分間〜6時間がより好ましい。
なお、上記数値は、式(1)で表される化合物のモル量(mmol)を、非プロトン性極性溶媒の量(L)で除した値である。
なお、本明細書では、以後、上記処理を単に「分離精製処理」と称する場合もある。
また、式(2)で表される化合物は、単離せずに、そのまま次の反応に使用してもよい。
工程Bは、上記スキームに示すように、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを反応させ、式(4)で表される化合物を製造する工程である。
以下では、まず、本工程で使用される化合物について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。なお、工程(2)で表される化合物中の各基の定義は、上述の通りであり、説明を省略する。
式(3)中、R3は、同一または異なって、水素原子若しくはフェノール性ヒドロキシル保護基を示すか、または、2つのR3は、一緒になって、カルボニル基(−CO−)および置換されてもよいメチレン基からなる群から選ばれる保護基を示す。
R3としては、本発明の効果がより優れる点で、水素原子、置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基または置換されてもよいアシル基が好ましく、水素原子、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアリールオキシカルボニル基または置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアシル基がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基がさらに好ましく、水素原子、メトキシカルボニル基またはトリクロロエトキシカルボニル基が最も好ましい。
本工程では、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを反応させる。本反応は、いわゆるクネーベナーゲル縮合反応である。
使用される塩基の種類は特に制限されないが、例えば、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどのピリジン類;トリエチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミン類;ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などのシクロアミン類が挙げられる。
塩基は1種のみを使用しても、2種以上を合わせて使用してもよい。
塩基の使用量は特に制限されないが、反応がより効率よく進行する点で、式(2)で表される化合物と塩基との混合モル比(塩基のモル量/式(2)で表される化合物のモル量)は0.1〜2.0が好ましく、0.2〜1.0がより好ましい。
使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、非プロトン性極性溶媒、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、ケトン類およびエステル類が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。
溶媒の使用量は特に限定されないが、式(2)で表される化合物に対して、1〜50倍量(v/w)が好ましく、1〜20倍量(v/w)がより好ましい。
反応時間は特に制限されないが、生産性および収率のバランスの点で、6時間〜12日が好ましく、24時間〜8日がより好ましい。
工程Cは、式(4)で表される化合物を脱保護し、式(5)で表される3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を製造する工程である。
より具体的には、上記式(4)で表される化合物中に含まれる保護基(ヒドロキシル保護基、カルボキシル保護基、フェノール性ヒドロキシル保護基、−B(Ra)−など)を脱離させ(除去し)、所望の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を得る工程である。
なお、本工程では、脱保護とは、上記のように3,4,5−トリカフェオイルキナ酸中のヒドロキシル基、フェノール性ヒドロキシル基およびカルボキシル基を保護する基を脱離することを意図する。
なお、R3が水素原子である場合は、R3部分の脱保護は実施する必要がない。
この反応は、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、367〜430頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載された方法に準じて行えばよい。
好ましい脱保護の方法としては、求核剤を用いる方法(方法M1)、または、亜鉛末を用いる方法(方法M2)が挙げられる。以下、それぞれの方法について詳述する。
式(5)で表される化合物は、式(4)で表される化合物と求核剤とを反応させることによって、製造することができる。
本反応に使用される求核剤の種類は特に制限されないが、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化トリメチルシリル、塩化トリメチルシリル/ヨウ化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ナトリウムドデシルチオラート、ナトリウムヘキサデシルチオラートおよびジナトリウムチオグリコラートが挙げられ、塩化リチウム、塩化リチウム/臭化ナトリウム、塩化リチウム/臭化カリウム、塩化リチウム/ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム/ヨウ化カリウム、臭化リチウムおよびヨウ化リチウムが好ましく、塩化リチウム/臭化ナトリウム、塩化リチウム/ヨウ化ナトリウム、臭化リチウムおよびヨウ化リチウムがより好ましい。なお、上記「A/B」は、AとBとを併用することを意図する。
求核剤の使用量は、式(4)で表される化合物に対して、12〜100倍モルが好ましく、12〜90倍モルがより好ましい。
使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、ニトリル類、アミド類およびピリジン類が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。
溶媒の使用量は特に限定されないが、式(4)で表される化合物に対して、2〜100倍量(v/w)が好ましく、3〜70倍量(v/w)がより好ましい。
式(5)で表される化合物は、式(4)で表される化合物と亜鉛末とを反応させることによって、製造することができる。
本反応には、必要に応じて、溶媒が使用されてもよい。
使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、ギ酸、酢酸およびプロピオン酸が好ましい。
溶媒の使用量は特に限定されないが、式(4)で表される化合物に対して、3〜50倍量(v/w)が好ましく、4〜30倍量(v/w)がより好ましい。
本反応に使用される亜鉛末の使用量は特に制限されないが、式(4)で表される化合物に対して、10〜60倍モルが好ましく、12〜30倍モルがより好ましい。
方法M2における反応条件は特に制限されず、使用される化合物に応じて最適な条件が選択される。なかでも、反応温度は、反応がより効率よく進行する点で、10〜100℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。反応時間は、生成物の収率および生産性の点から、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
使用される酸性水溶液に含まれる酸としては、例えば、リン酸、塩酸および硫酸などが挙げられる。
酸性水溶液の温度は特に制限されないが、反応がより効率よく進行する点で、0〜40℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。
式(4)で表される化合物と酸性水溶液との反応時間は特に制限されないが、生成物の収率および生産性の点から、1〜30分が好ましく、3〜10分がより好ましい。
なお、−B(Ra)−を脱離させる処理は、上記方法M1や方法M2などを実施した後に実施してもよい。
また、R1〜R3で表される部分を同時に脱保護してもよい。
脱保護の方法は、上述した方法を含め、公知の方法が採用できる。
上記工程A〜工程Cを経ることにより、所望の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を効率よく製造することができる。
3,4,5−トリカフェオイルキナ酸は種々の用途に使用することができ、例えば、抗腫瘍作用、抗糖尿病作用、抗高血圧作用、抗ウイルス作用および美白効果、殺菌効果などの様々な生理活性を有するので、種々の医薬品や医薬部外品、特定保険用食品、健康補助食品、化粧品などが挙げられる。
上述した式(1)で表される化合物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を適宜組み合わせて実施することができる。なかでも、式(1)で表される化合物は、生産性に優れる点で、キナ酸を出発原料とする後述する方法から製造されることが好ましい。
以下、式(1)で表される化合物の製造方法の好適態様について、詳述する。
式(1)中、R1はヒドロキシル保護基を示し、R2はカルボキシル保護基を示す場合、式(1)で表される化合物は、以下のスキームにより製造されることが好ましい。以下の方法であれば、式(1)で表される化合物を効率よく製造することができる。なお、以下のスキームには、式(A3)で表される化合物と式(A5)で表される化合物とを反応させ、上記式(1)で表される化合物を得る工程Dが含まれ、本発明の効果がより優れる点で、工程Dは上記工程Aの前の実施することが好ましい。
なお、以下のスキーム中、式(1a)で表される化合物は、R1がヒドロキシル保護基を示し、R2がカルボキシル保護基を示す化合物に該当する。
なお、式中、L1は、脱離基を示す。
この反応は、Rohloff J. C.ら、J. Org. Chem.,第63巻、4545〜4550頁、1998年に記載の方法に準じて行えばよい。
本反応の製造条件は特に制限されないが、反応が効率よく進行する点より、反応温度は20〜60℃が好ましく、30〜60℃がより好ましく、反応時間は1〜6時間が好ましく、2〜5時間がより好ましい。
なお、反応終了後、必要に応じて、アルカリを添加して中和して、上述した分離精製処理を実施してもよい。
本反応の手順としては、例えば、塩基の存在下、式(A2)で表される化合物と、R1−L1で表されるクロロギ酸アルキルとを反応させ、式(A3)で表される化合物を得る方法がある。
使用される酸の種類は特に制限されず、硫酸、メタンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸などが挙げられ、安価で反応がより効率的に進行する点より、硫酸およびメタンスルホン酸が好ましい。
酸の使用量は特に制限されないが、反応がより効率的に進行する点より、式(A3)で表される化合物に対して、0.001〜1.0倍モルが好ましく、0.005〜0.5倍モルがより好ましい。
式(A5)で表される化合物の使用量は特に制限されないが反応がより効率的に進行する点より、式(A3)で表される化合物に対して、10〜200倍モルが好ましく、20〜100倍モルがより好ましい。
式(1)中、R1とR2とが一緒になって−B(Ra)−を示す場合、式(1)で表される化合物は、以下のスキームにより製造されることが好ましい。以下の方法であれば、式(1)で表される化合物を効率よく製造することができる。
式(A6)で表される化合物中のRaの定義は上述の通りである。なかでも、本反応がより効率的に進行する点で、Raはフェニル基が好ましい。
式(A6)で表される化合物の使用量は特に制限されないが反応がより効率的に進行する点より、式(A1)で表される化合物に対して、0.95〜1.05倍モルが好ましく、1.0〜1.03倍モルがより好ましい。
使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、ケトン類およびエステル類が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。好ましい溶媒としては、酢酸エチル、トルエンおよびテトラヒドロフランが挙げられる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、式(A6)で表される化合物に対して、1〜50倍量(v/w)が好ましく、1〜20倍量(v/w)がより好ましい。
式(1)で表される化合物は、以下のスキームにより製造されることが好ましい。以下の方法であれば、式(1a)で表される化合物を効率よく製造することができる。
式(A7)中、RCはハロゲン化アルキル基を示し、例えば、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、モノクロロメチル基などが挙げられる。
本反応においては、必要に応じて、塩基の存在下で実施してもよい。塩基が存在することにより、反応がより効率よく進行し、収率が向上する。使用される塩基の種類は、上述した工程Bで述べた塩基などが挙げられる。
また、本反応においては、必要に応じて、溶媒を使用してもよい。
使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、上述した工程Bで述べた溶媒などが挙げられる。
なお、上記では式(A7)で表される化合物として、いわゆる酸無水物を使用したが、式(8):RcCOX2で表される化合物を使用してもよい。なお、X2は、ハロゲン原子を示す。
保護の方法は特に制限されず、例えば、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチルおよびクロロギ酸トリクロロエチルなどのクロロギ酸エステル類(ClCOORd)と、式(E1)で表される化合物とを反応させる方法がある。なお、Rdは、ハロゲン原子が置換されてもよいアルキル基を示す。上記クロロギ酸エステル類と式(E1)で表される化合物とを反応させる場合、式(E2)中のR1は−COORdを示し、R2は−Rdを示す。
なお、クロロギ酸エステル類などを使用する場合は、反応がより効率よく進行する点で、上述した塩基の存在下で反応を実施することが好ましい。
クロロギ酸エステル類などを使用する場合の反応条件は特に制限されないが、反応が効率よく進行する点より、反応温度は−10〜20℃が好ましく、−5〜10℃がより好ましく、反応時間は30分〜4時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。
この反応は、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、16〜366頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載された方法に準じて行えばよい。
例えば、上述したクロロギ酸エステル類を使用した場合、好ましい脱保護の方法としては、塩基の存在下、式(E2)で表される化合物と水とを反応させる方法が挙げられる。塩基の種類としては、上述の通りである。
(化合物1の合成)
3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトン(21.4g)、ピリジン(80mL)および塩化メチレン(100mL)の混合物に、氷冷下、0〜5℃でクロロギ酸メチル(11.6mL)を滴下した。5℃で1時間撹拌後、氷冷下さらにクロロギ酸メチル(11.6mL)を滴下し、5℃で2時間撹拌した。反応液を冷希塩酸(1L)に注ぎ、酢酸エチル(300mL)を加え、有機相を分液した。有機相を食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン/イソプロパノールで再結晶して、1−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトンの白色結晶(18.5g)を得た。
得られた白色結晶(5.44g)とメタノール(200mL)との混合物にメタンスルホン酸5滴を加え、60℃で5時間加熱撹拌した。溶媒を減圧留去し、酢酸エチル(100mL)と炭酸水素ナトリウム(2.0g)を加え、室温で30分撹拌した後、不溶物を濾別し、濾液から溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン/酢酸エチルから再結晶して、化合物1の白色結晶(4.5g)を得た。
撹拌終了後、反応混合物に、1N塩酸水(10mL)、酢酸エチル(20mL)を加え、良く攪拌した後、分液操作を行った。有機相と水相とを分離して、水相は更に酢酸エチル(15mL)で抽出、分液操作を行った。得られた有機相を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥を行い、ろ過、濃縮を行い、オレンジ色油状物質(上記式(4)で表される化合物)(0.73g)を得た。
窒素雰囲気下、ナスフラスコに化合物1(100mg)、メルドラム酸(218mg)、トルエン(5.0mL)を加え、60℃に加熱しながら、2日間、攪拌を行った。反応混合物の一部のサンプリングを行い、1H−NMR測定を行ったが、未反応の化合物1が観測され、所望の反応物が得られていないことが確認された。(反応開始時の1,4−ジオキサン中での化合物1の濃度は、75.6mmol/L)。
窒素雰囲気下、ナスフラスコに化合物1(100mg)、メルドラム酸(218mg)、トルエン(5.0mL)を加え、加熱還流(120℃)しながら、2日間、攪拌を行った。反応混合物の一部のサンプリングを行い、1H−NMR測定を行ったが、未反応の化合物1が観測され、所望の反応物が得られていないことが確認された。(反応開始時の1,4−ジオキサン中での化合物1の濃度は、75.6mmol/L)。
Claims (5)
- 式(1)で表される化合物とメルドラム酸とを非プロトン性極性溶媒中にて反応させ、式(2)で表される化合物を得る工程Aと、
前記式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを反応させ、式(4)で表される化合物を得る工程Bと、
前記式(4)で表される化合物を脱保護し、式(5)で表される3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を得る工程Cと、を少なくとも有する、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
- 前記式(1)中、R1はヒドロキシル保護基を示し、R2はカルボキシル保護基を示し、
前記工程Aの前に、式(A3)で表される化合物と式(A5)で表される化合物とを反応させ、前記式(1)で表される化合物を得る工程Dを有する、請求項1に記載の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
- 前記非プロトン性極性溶媒が、エーテル系溶媒である、請求項1または2に記載の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
- 前記工程Aにおける反応温度が、65〜140℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
- 前記工程Aにおいて、前記非プロトン性極性溶媒中での前記式(1)で表される化合物の濃度が50mmol/L以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
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