JP6139667B2 - 3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法に関する。
近年、様々な分野で植物資源を活用する研究開発が行われている。
それらの中で、ヘルスケアの観点から、特にポリフェノールが注目されており、種々のポリフェノールが植物から抽出され、様々な用途で利用されている。例えば、甘藷由来ポリフェノールが、ガン、糖尿病、高血圧、アルツハイマー病、HIVまたはメラニン生成抑制などの疾病や美容に有効との報告がなされている(非特許文献1)。
ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸類は、コーヒー豆、サツマイモの葉、ヨモギ、すいかずらまたはひまわりなどに含まれ、熱水やエタノールを用いて植物から抽出されてきた。しかし、クロロゲン酸類を医薬品として利用できる程度に高純度化するのは極めて困難であった。
3,4,5−トリカフェオイルキナ酸は、クロロゲン酸類の中で最も高い生理活性を有し、強い抗腫瘍作用、抗糖尿病作用、抗高血圧作用および抗ウイルス作用などの様々な生理活性を有することが報告されている(非特許文献2)。3,4,5−トリカフェオイルキナ酸は、さつまいもの茎葉またはブラジル産プロポリスからアルコールで抽出した後、ヘキサンで脱脂し、吸着クロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーにより分画することによって得られる(特許文献1)。
しかしながら、植物などに含まれる3,4,5−トリカフェオイルキナ酸は、ごくわずかであり、高純度の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を得るためには、煩雑で長い精製工程が必要である。3,4,5−トリカフェオイルキナ酸は、魅力ある生理活性を有するにも拘らず、実用的な用途への適用は、困難であった。
一方、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成が検討され、非特許文献3において、初めて全合成が報告された。
特開2005−298382号公報
食品工業、2005年、第3巻、1〜7頁(食品技術図書出版) 食品と技術、2008年、第8巻、10〜18頁(食品産業センター) Chem. Pharm. Bull. 2011年、第59巻、502〜507頁
しかし、非特許文献3に記載の方法は、工程が長い、操作が煩雑である、高価な試薬が必要である、極低温の反応条件を必要とする、最終工程で保護基の離脱に著しく長時間を要することなどの様々な課題を有していた。
本発明は、上記実情に鑑みて、安価な原料を用い、短い工程で簡便な操作により、効率良く3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を製造できる、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の新規な製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) 後述する式(1)で表される化合物または後述する式(2)で表される化合物を、後述する式(4)で表される化合物と反応させる工程(1)と、工程(1)で得られた生成物を脱保護し、後述する式(6)で表される3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を製造する工程(2)とを少なくとも有する、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
(2) 工程(1)をSP値8.0〜10.0の溶媒下で行う、(1)に記載の製造方法。
(3) 工程(1)における反応の温度が−10℃〜30℃である、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4) 工程(1)において後述する式(1a)で表される化合物が用いられ、工程(1)の前に、後述する式(A3)で表される化合物と後述する式(A5)で表される化合物とを反応させ、後述する式(1a)で表される化合物を得る工程(3)を有する、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の製造方法。
(5) X1がハロゲン原子である、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の製造方法。
(6) X1が塩素原子である、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の製造方法。
(7) R1がヒドロキシル保護基であり、R2がカルボキシル保護基である、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の製造方法。
(8) R1が、置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、または、置換されてもよいアシル基であり、
2が、置換されてもよいC1-6アルキル基、または、置換されてもよいC2-6アルケニル基である、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の製造方法。
(9) R1が、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基であり、
2が、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルキル基である、(1)〜(8)のいずれか1つに記載の製造方法。
(10) R6およびR7が、同一または異なって、置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、または、置換されてもよいアシル基である、(1)〜(9)のいずれか1つに記載の製造方法。
(11) R6およびR7が、同一または異なって、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基である、(1)〜(10)のいずれか1つに記載の製造方法。
(12) R3、R4およびR5が、水素原子である、(1)〜(11)のいずれか1つに記載の製造方法。
(13) 後述する式(1−1)で表される化合物またはその塩。
(14) R1aが、置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、または、置換されてもよいアシル基を示し、
2aが、置換されてもよいC1-6アルキル基、または、置換されてもよいC2-6アルケニル基を示す、(13)に記載の化合物またはその塩。
(15) R1aが、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基を示し、
2aが、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルキル基を示す、(13)または(14)に記載の化合物またはその塩。
(16) R6およびR7が、同一または異なって、置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、または、置換されてもよいアシル基を示す、(13)〜(15)のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
(17) R6およびR7が、同一または異なって、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基を示す、(13)〜(16)のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
(18) R3、R4およびR5が、水素原子である、(13)〜(17)のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
本発明によれば、安価な原料を用い、短い工程で簡便な操作により、効率良く、多量にかつ高純度で3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を製造できる製造方法を提供することができる。
合成例1で合成された1Aの1H−NMRスペクトルである。 合成例2で合成された1Bの1H−NMRスペクトルである。 合成例4で合成された1Dの1H−NMRスペクトルである。 合成例5で合成された1Eの1H−NMRスペクトルである。 合成例9で合成された1−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−5−(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチルの1H−NMRスペクトルである。 合成例10で合成された1−カルボメトキシ−3,4−ビス−(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)−1,5−キニドラクトンの1H−NMRスペクトルである。 合成例11で合成された1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチルの1H−NMRスペクトルである。 合成例11で合成された3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の1H−NMRスペクトルである。 合成例12で合成された3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸の1H−NMRスペクトルである。 合成例28で合成された1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジアリルカフェオイル)キナ酸メチルの1H−NMRスペクトルである。 合成例28で合成された3,4,5−トリス(3,4−ジアリルカフェオイル)キナ酸の1H−NMRスペクトルである。
以下、本発明の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法(以後、単に「本発明の製造方法」とも称する)の好適態様について、詳細に説明する。
本発明において、特にことわらない限り、各用語は、次の意味を有する。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。
1-6アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキル基を意味する。
2-6アルケニル基とは、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、1,3−ブタジエニル、ペンテニルおよびヘキセニル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜6のアルケニル基を意味する。
2-6アルキニル基とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜6のアルキニル基を意味する。
3-8シクロアルキル基とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル基などの炭素数3〜8のシクロアルキル基を意味する。
アリール基とは、フェニルまたはナフチル基などを意味する。
アルC1-6アルキル基とは、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、フェネチルおよびナフチルメチル基などのアルC1-6アルキル基を意味する。
1-6アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシ基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキルオキシ基を意味する。
アリールオキシ基とは、フェノキシまたはナフチルオキシ基などを意味する。
1-6アルコキシC1-6アルキル基とは、メトキシメチルおよび1−エトキシエチル基などの炭素数1〜6のアルキルオキシが置換した炭素数1〜6のアルキル基を意味する。
2-6アルカノイル基とは、アセチル、プロピオニル、バレリル、イソバレリルおよびピバロイル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜6のアルカノイル基を意味する。
アロイル基とは、ベンゾイルまたはナフトイル基などを意味する。
アシル基とは、ホルミル基、C2-6アルカノイル基またはアロイル基を意味する。
2-6アルカノイルオキシ基とは、アセチルオキシおよびプロピオニルオキシ基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜6のアルカノイルオキシ基を意味する。
アロイルオキシ基とは、ベンゾイルオキシ基またはナフトイルオキシ基などを意味する。
アシルオキシ基とは、C2-6アルカノイルオキシ基またはアロイルオキシ基を意味する。
1-6アルコキシカルボニル基とは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルおよび1,1−ジメチルプロポキシカルボニル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル基を意味する。
アリールオキシカルボニル基とは、フェニルオキシカルボニルまたはナフチルオキシカルボニル基などを意味する。
1-6アルキルスルホニル基とは、メチルスルホニル、エチルスルホニルおよびプロピルスルホニル基などの炭素数1〜6のアルキルスルホニル基を意味する。
アリールスルホニル基とは、ベンゼンスルホニルまたはナフタレンスルホニル基などを意味する。
1-6アルキルスルホニルオキシ基とは、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシおよびプロピルスルホニルオキシ基などの炭素数1〜6のアルキルスルホニルオキシ基を意味する。
アリールスルホニルオキシ基とは、ベンゼンスルホニルオキシまたはナフタレンスルホニルオキシ基などを意味する。
1-3アルキレン基とは、メチレン、エチレンまたはプロピレン基を意味する。
シリル基とは、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはトリブチルシリル基などを意味する。
ジ(C1-6アルキル)ホスホリル基とは、ジメチルホスホリル、ジエチルホスホリスおよびジブチルホスホリル基などのジ(C1-6アルキル)ホスホリル基を意味する。
ジアリールホスホリル基とは、ジフェニルホスホリル基などを意味する。
ジアリールホスフィニル基とは、ジフェニルホスフィニル基などを意味する。
脱離基とは、ハロゲン原子、C1-6アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基などを意味する。これらの基は、後述する置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
アミノ保護基としては、通常のアミノ基の保護基として使用し得るすべての基を含み、たとえば、W.グリーン(W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、696〜926頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。
具体例としては、アルC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アシル基、C1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシリル基などが挙げられる。これらの基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
カルボキシル保護基としては、通常のカルボキシル基の保護基として使用し得るすべての基を含み、例えば、W.グリーン(W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、533〜646頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。
具体例としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、アリール基、アルC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基またはシリル基などが挙げられる。これらの基は、後述する置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
ヒドロキシル保護基としては、通常のヒドロキシル基の保護基として使用し得るすべての基を含み、例えば、W.グリーン(W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、16〜366頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。
具体例としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、アルC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アシル基、C1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ジ(C1-6アルキル)ホスホリル基、ジアリールホスホリル基、ジアリールホスフィニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基またはシリル基などが挙げられる。これらの基は、後述する置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
フェノール性ヒドロキシル保護基としては、通常のフェノール性ヒドロキシル基の保護基として使用し得るすべての基を含み、例えば、W.グリーン(W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、第370〜424頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。
具体例としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、アルC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アシル基、C1-6アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシリル基が挙げられる。これらの基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
置換基群A:ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、保護されてもよいアミノ基、保護されてもよいヒドロキシル基、保護されてもよいカルボキシル基、後述する置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいカルバモイル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいスルファモイル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC1-6アルキル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC3-8シクロアルキル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアリール基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC1-6アルコキシ基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアリールオキシ基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアシル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアシルオキシ基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、オキソ基。
置換基群B:ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、保護されてもよいアミノ基、保護されてもよいヒドロキシル基、保護されてもよいカルボキシル基、C1-6アルキル基、アリール基、C1-6アルコキシ基、オキソ基。
脂肪族炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンまたは石油エーテルなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素類としては、塩化メチレン、クロロホルムまたは1,2−ジクロロエタンなどが挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノールまたは2−メチル−2−プロパノールなどが挙げられる。
エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピルまたは酢酸ブチルなどが挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、2−ブタノンまたは4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。
アミド類としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたは1−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
2級アミン類としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモリホリンなどが挙げられる。
aのC1-6アルキル基、アリール基またはC1-6アルコキシ基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
1のC1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはアシル基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
1aのアルC1-6アルキル基、C2-6アルカノイル基、アロイル基、C1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
2のC1-6アルキル基またはC2-6アルケニル基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
2aのC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、アリール基またはアルC1-6アルキル基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
6のC1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはアシル基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
7のC1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはアシル基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
6およびR7が一緒になって形成するメチレン基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。
式(1−1)で表される化合物の塩としては、通常知られているアミノ基などの塩基性基、ヒドロキシル基およびカルボキシル基などの酸性基における塩を挙げることができる。
塩基性基における塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸および硫酸などの鉱酸との塩;ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸との塩;ならびにメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸などのスルホン酸との塩が挙げられる。
酸性基における塩としては、例えば、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、1−エフェナミンおよびN,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどの含窒素有機塩基との塩などが挙げられる。
本発明の製造方法は、出発原料として、後述する式(1)で表される化合物、または、後述する式(2)で表される化合物を使用する。本発明においては、これらの化合物中に含まれるOR3、OR4、およびOR5で示される基中の少なくとも1つの水酸基と、後述する式(4)で表される化合物中のX1基とを反応させてエステル結合を形成させた後、生成物中に含まれる保護基(例えば、ヒドロキシル保護基、カルボキシル保護基、フェノール性ヒドロキシル保護基など)を除去(脱離)することにより、所望の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を簡便に製造することができる。
以下では、まず、出発原料として、式(1)で表される化合物を使用した態様について詳述し、その後、出発原料として式(2)で表される化合物を使用した態様について詳述する。
<第1実施態様>
本発明の製造方法の第1実施態様は、式(1)で表される化合物と式(4)で表される化合物と反応させる工程(A1)と、工程(A1)で得られた生成物から保護基を除去する脱保護反応を行い、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を製造する工程(A2)とを少なくとも有する。
以下、各工程で使用される化合物、および、工程の手順について詳述する。
[工程(A1)]
工程(A1)は、以下スキームに示すように、式(1)で表される化合物と式(4)で表される化合物と反応させ、式(5−1)で表される化合物を得る工程である。
まず、本工程で使用される化合物について詳述する。
1およびR2は、R1が水素原子またはヒドロキシル保護基を示し、かつ、R2が水素原子またはカルボキシル保護基を示し、かつ、R1およびR2の少なくとも一方は水素原子ではない、または、R1とR2とが一緒になって、−B(R)−で表される保護基を示す。言い換えると、R1およびR2の定義(意味)は、以下の(A)または(B)である。
(A)R1が水素原子またはヒドロキシル保護基を示し、かつ、R2が水素原子またはカルボキシル保護基を示し、かつ、R1およびR2の少なくとも一方は水素原子ではない。
(B)R1とR2とが一緒になって、−B(R)−で表される保護基を示す。
上記(A)の具体的な態様としては、R1がヒドロキシル保護基であり、かつ、R2がカルボキシル保護基である態様X、R1が水素原子であり、かつ、R2がカルボキシル保護基である態様Y、および、R1がヒドロキシル保護基であり、かつ、R2が水素原子である態様Zが挙げられる。なかでも、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸をより効率よく製造できる点で、態様Xが好ましい。
なお、後述するように、R3、R4およびR5の少なくとも1つは水素原子を示すが、R1が水素原子である場合であっても、式(4)で表される化合物は、R1が水素原子であるOH基よりも、R3、R4およびR5の少なくとも1つが水素原子であるOH基と優先的に反応が進行する。上記理由の詳細は不明であるが、R1O−に隣接するR2COO−の立体障害のために、式(4)で表される化合物はR1O−との反応が進行しにくいと推測される。
1で表されるヒドロキシル保護基の定義は、上記の通りである。なかでも、上記反応で形成したキナ酸部の3〜5位のエステル結合を損なうことなく効率よく脱保護でき、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸をより効率よく製造できる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)から、R1としては、置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、または、置換されてもよいアシル基が好ましく、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、または、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアシル基がより好ましく、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基がさらに好ましく、メトキシカルボニル基またはトリクロロエトキシカルボニル基が最も好ましい。なお、R1としてハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基を用いることにより、カフェオイル基が切断されない条件で、式(5−1)で表される化合物をより効率よく脱保護することができる。
2で表されるカルボキシル保護基の定義は、上記の通りである。なかでも、本発明の効果がより優れる点から、R2としては、置換されてもよいC1-6アルキル基または置換されてもよいC2-6アルケニル基が好ましく、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC1-6アルキル基または置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC2-6アルケニル基がより好ましく、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルキル基がさらに好ましく、メチル基またはトリクロロエチル基が最も好ましい。
なお、R2としてハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルキル基を用いることにより、カフェオイル基が切断されない条件で、式(5−1)で表される化合物をより効率よく脱保護することができる。
なお、R1が、C1-6アルコキシカルボニル基である場合、R2が、C1-6アルキル基であることが好ましい。R1が、ハロゲン原子で置換されるC1-6アルコキシカルボニル基である場合、R2が、ハロゲン原子で置換されるC1-6アルキル基であることが好ましい。
aは、置換されてもよいC1-6アルキル基、置換されてもよいアリール基、または置換されてもよいC1-6アルコキシ基を示す。なかでも、本発明の効果がより優れる点から、Raとしては、置換されてもよいアリール基または置換されてもよいC1-6アルコキシ基が好ましく、置換されてもよいアリール基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
なお、より具体的には、R1とR2とが一緒になって−B(Ra)−を示す場合、式(1)で表される化合物は、以下の構造式で表される。
3、R4およびR5は、同一または異なって、水素原子または式(3)で表される基を示す。
なお、R3、R4およびR5の少なくとも1つは、水素原子を示す。なかでも、より少ない工程で効率よく3,4,5−トリカフェオイルキナ酸が製造できる点で、R3、R4およびR5の少なくとも2つは水素原子であることが好ましく、全部が水素原子であることがより好ましい。
式(3)中、R6およびR7は、同一または異なって、フェノール性ヒドロキシル保護基を示すか、または、R6およびR7は、一緒になって、カルボニル基(−CO−)および置換されてもよいメチレン基からなる群から選ばれる保護基を示す。*は、式(1)で表される化合物の酸素原子との結合位置を示す。
6としては、本発明の効果がより優れる点で、置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されてもよいC2-6アルケニル基または置換されてもよいアシル基が好ましく、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC2-6アルケニル基または置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアシル基がより好ましく、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基がさらに好ましく、メトキシカルボニル基またはトリクロロエトキシカルボニル基が最も好ましい。
なお、R6としてハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基を用いることにより、カフェオイル基が切断されない条件で、式(5−1)で表される化合物をより効率よく脱保護することができる。
7としては、本発明の効果がより優れる点で、置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されてもよいC2-6アルケニル基または置換されてもよいアシル基が好ましく、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC2-6アルケニル基または置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアシル基がより好ましく、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基がさらに好ましく、メトキシカルボニル基またはトリクロロエトキシカルボニル基が最も好ましい。
なお、R7としてハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基を用いることにより、カフェオイル基が切断されない条件で、式(5−1)で表される化合物をより効率よく脱保護することができる。
また、R6およびR7が同一であることが、好ましい。
式(4)中、X1は、ヒドロキシル基または脱離基を示す。脱離基の種類は特に制限されないが、反応がより効率的に進行する点で、X1がハロゲン原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
6およびR7の定義は、上述の通りである。
本工程の手順としては上記式(5−1)で表される生成物が得られれば特に制限されないが、式(4)中のX1の種類によって大きく2つの方法に分けられる。以下、それぞれの方法(方法M1および方法M2)について詳述する。
(方法M1:X1がヒドロキシル基である式(4)で表される化合物を用いる方法)
式(4)中のX1がヒドロキシル基である場合、縮合剤を用いて、式(1)で表される化合物と式(4)で表される化合物と反応させ、式(5−1)で表される化合物を製造することができる。
この反応に使用される縮合剤としては公知の縮合剤を使用することができ、例えば、(O)−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨウ化物、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリン塩化物および((ベンゾトリアゾール−1−イル)オキシ)(トリスピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファートなどが挙げられる。
縮合剤の使用量は、使用される式(1)で表される化合物の構造により適宜最適な量が選択される。例えば、R3、R4およびR5がすべて水素原子の場合、縮合剤の使用量としては、式(1)で表される化合物に対して、3〜30倍モルが好ましく、3.3〜9.0倍モルがより好ましい。また、R3、R4およびR5のうち2つが水素原子の場合、縮合剤の使用量は、式(1)で表される化合物に対して、2〜20倍モルが好ましく、2.2〜6.0倍モルがより好ましい。さらに、R3、R4およびR5のうち1つが水素原子の場合、縮合剤の使用量は、式(1)で表される化合物に対して、1〜10倍モルが好ましく、1.1〜3.0倍モルがより好ましい。
方法M1においては、必要に応じて、塩基の存在下で実施してもよい。塩基が存在することにより、反応がより効率よく進行し、収率が向上する。
使用される塩基の種類は特に制限されないが、例えば、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジンおよび4−ジメチルアミノピリジンなどのピリジン類;テトラメチルエチレンジアミンなどのジアミン類;トリエチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミン類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などのポリシクロアミン類が挙げられ、ピリジン類およびジアミン類が好ましく、ピコリン、ルチジンおよびテトラメチルエチレンジアミンがより好ましい。
塩基の使用量は、使用される式(1)で表される化合物の構造により適宜最適な量が選択される。例えば、R3、R4およびR5がすべて水素原子の場合、塩基の使用量は、式(1)で表される化合物に対して、3〜30倍モルが好ましく、3.3〜9.0倍モルがより好ましい。また、R3、R4およびR5のうち2つが水素原子の場合、塩基の使用量は、式(1)で表される化合物に対して、2〜20倍モルが好ましく、2.2〜6.0倍モルがより好ましい。さらに、R3、R4およびR5のうち1つが水素原子の場合、塩基の使用量は、式(1)で表される化合物に対して、1〜10倍モルが好ましく、1.1〜3.0倍モルがより好ましい。
方法M1においては、必要に応じて、溶媒を使用してもよい。
使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類およびエステル類が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。さらに、反応に影響を及ぼさないものであれば、上記以外の溶媒を混合してもよい。
好ましい溶媒としては、ハロゲン化炭化水素類およびニトリル類が挙げられ、塩化メチレン、アセトニトリルおよびプロパンニトリルがより好ましい。
溶媒の使用量は特に限定されないが、式(1)で表される化合物に対して、1〜50倍量(v/w)が好ましく、1〜15倍量(v/w)がより好ましい。
上記溶媒のなかでも、反応がより効率よく進行し、収率が向上する点で、SP値8.0〜10.0の溶媒を使用することが好ましい。SP値とは、溶解性パラメーターのことであり、液体間の混合性の尺度となる特性値である。SP値はFedors法で計算した計算値を使用することができる。
例えば、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、ケトン類およびエステル類から選択されるSP値8.0〜10.0の溶媒が挙げられ、より具体的には、酢酸ブチル(SP値:8.5)、キシレン(SP値:8.8)、トルエン(SP値:8.8)、酢酸エチル(SP値:9.0)、ベンゼン(SP値:9.2)、ジブチルフタレート(SP値:9.4)および塩化メチレン(SP値:9.7)などが挙げられる。
方法M1において、式(4)で表される化合物の使用量は、使用される式(1)で表される化合物の構造により適宜最適な量が選択される。例えば、R3、R4およびR5がすべて水素原子の場合、式(4)で表される化合物の使用量は、式(1)で表される化合物に対して、3.0〜7.5倍モルが好ましく、3.3〜4.5倍モルがより好ましい。また、R3、R4およびR5のうち2つが水素原子の場合、式(4)で表される化合物の使用量は、式(1)で表される化合物に対して、2.0〜5.0倍モルが好ましく、2.2〜3.0倍モルがより好ましい。さらに、R3、R4およびR5のうち1つが水素原子の場合、式(4)で表される化合物の使用量は、式(1)で表される化合物に対して、1.0〜2.5倍モルが好ましく、1.1〜1.5倍モルがより好ましい。
方法M1の反応条件は特に制限されず、使用される化合物に応じて最適な条件が選択される。
なかでも、反応温度は、反応がより効率よく進行する点で、−10℃〜50℃が好ましく、0℃〜40℃がより好ましい。また、反応時間は、生成物の収率および生産性の点から、20分〜8時間が好ましく、30分〜4時間がより好ましい。
なお、上述した方法とは別の方法として、式(4)で表される化合物を酸ハライドまたは酸無水物と反応させて混合酸無水物に変換した後、塩基の存在下、式(1)で表される化合物を式(4)で表される化合物と反応させることによって、式(5−1)で表される化合物を製造することもできる。
この反応に使用される酸ハライドまたは酸無水物としては、例えば、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチルおよびクロロギ酸トリクロロエチルなどのクロロギ酸エステル類や無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物が挙げられる。
上記と類似の混合酸無水物として、式(4)で表される化合物をスルホン酸ハライドと反応させてアルキルスルホニルオキシ化またはアリールスルホニルオキシ化して、スルホン酸との混合酸無水物に変換した後、塩基の存在下、式(1)で表される化合物を式(4)で表される化合物と反応させることによって、式(5−1)で表される化合物を製造することもできる。スルホン酸との混合酸無水物に使用されるスルホン酸ハライドとしては、例えば、塩化メタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニルおよび塩化p−ニトロベンゼンスルホニルなどが挙げられる。
これらの混合酸無水物を式(1)で表される化合物と反応させる場合の好ましい反応条件は、方法M1に適用される条件と同様である。
(方法M2:X1がハロゲン原子である式(4)で表される化合物を用いる方法)
式(4)中のX1がハロゲン原子である場合、塩基の存在下、式(1)で表される化合物と式(4)で表される化合物と反応させ、式(5−1)で表される化合物を製造することができる。本反応は、いわゆるカルボン酸ハライドとアルコールとの反応に該当する。
1がハロゲン原子である式(4)で表される化合物は、X1がヒドロキシル基である式(4)で表される化合物とハロゲン化剤とを反応させることにより製造することができる。使用されるハロゲン化剤としては公知の化合物を使用でき、例えば、塩化チオニルや塩化オキサリル、塩化ホスホリル、塩化スルフリル、三塩化リンおよび五塩化リンなどが挙げられる。
方法M2で使用される塩基の種類は特に制限されず、上記方法M1で述べた塩基などが挙げられる。塩基の使用量は、使用される式(1)で表される化合物の構造により適宜最適な量が選択され、上記方法M1で述べた使用量などが挙げられる。
方法M2においては、必要に応じて、溶媒を使用してもよい。使用される溶媒の種類は特に制限されず、上記方法M1で述べた溶媒などが挙げられる。その使用量も、上述の通りである。
また、方法M2において、式(4)で表される化合物の使用量は、使用される式(1)で表される化合物の構造により適宜最適な量が選択され、上記方法M1で述べた使用量などが挙げられる。
方法M2の反応条件は特に制限されず、使用される化合物に応じて最適な条件が選択される。
なかでも、反応温度は、反応がより効率よく進行する点で、−20℃〜40℃が好ましく、−10℃〜30℃がより好ましい。また、反応時間は、生成物の収率および生産性の点から、20分〜8時間が好ましく、30分〜4時間がより好ましい。
本工程(A1)の後で、後述する工程(A2)の前には、必要に応じて、生成物と不純物(未反応原料、副生成物、など)との分離精製を実施してもよい。
分離精製は常法により行えばよく、例えば、有機溶媒を用いた抽出操作、再結晶、貧溶媒を用いた晶析およびシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーなどが挙げられる。
なお、本明細書では、以後、上記処理を単に「分離精製処理」と称する。
[工程(A2)]
工程(A2)は、以下スキームに示すように、工程(A1)で得られた生成物(式(5−1)で表される化合物)を脱保護し、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を製造する工程である。より具体的には、上記式(5−1)で表される化合物中に含まれる保護基(ヒドロキシル保護基、カルボキシル保護基、フェノール性ヒドロキシル保護基、−B(Ra)−など)を脱離させ(除去し)、所望の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を得る工程である。
なお、本工程では、脱保護とは、上記のように3,4,5−トリカフェオイルキナ酸中のヒドロキシル基、フェノール性ヒドロキシル基およびカルボキシル基を保護する基を脱離することを意図する。
式(6)で表される化合物は、式(5−1)で表される化合物を脱保護することによって、製造することができる。
この反応は、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、367〜430頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載された方法に準じて行えばよい。
好ましい脱保護の方法としては、求核剤を用いる方法(方法M3)、または、亜鉛末を用いる方法(方法M4)が挙げられる。以下、それぞれの方法について詳述する。
(方法M3:求核剤を用いる方法)
式(6)で表される化合物は、式(5−1)で表される化合物と求核剤とを反応させることによって、製造することができる。
本反応に使用される求核剤の種類は特に制限されないが、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化トリメチルシリル、塩化トリメチルシリル/ヨウ化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ナトリウムドデシルチオラート、ナトリウムヘキサデシルチオラート、および、ジナトリウムチオグリコラートが挙げられ、塩化リチウム、塩化リチウム/臭化ナトリウム、塩化リチウム/臭化カリウム、塩化リチウム/ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム/ヨウ化カリウム、臭化リチウムおよびヨウ化リチウムが好ましく、塩化リチウム/臭化ナトリウム、塩化リチウム/ヨウ化ナトリウム、臭化リチウムおよびヨウ化リチウムがより好ましい。
求核剤の使用量は、式(5−1)で表される化合物に対して、12〜60倍モルが好ましく、12〜30倍モルがより好ましい。
本反応には、必要に応じて、溶媒が使用されてもよい。
使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、ニトリル類、アミド類およびピリジン類が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。好ましい溶媒としては、アセトニトリル、プロパンニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ピコリン、ルチジンおよびコリジンが挙げられる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、式(5−1)で表される化合物に対して、2〜50倍量(v/w)が好ましく、3〜20倍量(v/w)がより好ましい。
本反応には、必要に応じて、酸を添加してもよい。酸を添加することにより、副反応を低減し、収率を向上することが可能である。
酸の使用量は、脱保護反応に悪影響を及ぼさない点から、式(5−1)で表される化合物に対して、1〜10倍モルが好ましく、3〜6倍モルがより好ましい。
酸の種類としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素が挙げられる。ピリジン等の塩基性溶媒を使用する場合、その塩として添加することもできる。
方法M3における反応条件は特に制限されず、使用される化合物に応じて最適な条件が選択される。なかでも、反応温度は、反応がより効率よく進行する点で、20〜180℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。反応時間は、生成物の収率および生産性の点から、10分間〜12時間が好ましく、30分間〜5時間がより好ましい。
(方法M4:亜鉛末を用いる方法)
式(6)で表される化合物は、式(5−1)で表される化合物と亜鉛末とを反応させることによって、製造することができる。
本反応には、必要に応じて、溶媒が使用されてもよい。
使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、上記方法M1で述べた溶媒などが挙げられ、ギ酸、酢酸およびプロピオン酸が好ましい。
溶媒の使用量は特に限定されないが、式(5−1)で表される化合物に対して、3〜50倍量(v/w)が好ましく、4〜30倍量(v/w)がより好ましい。
本反応に使用される亜鉛末の使用量は特に制限されないが、式(5−1)で表される化合物に対して、10〜60倍モルが好ましく、12〜30倍モルがより好ましい。
方法M3における反応条件は特に制限されず、使用される化合物に応じて最適な条件が選択される。なかでも、反応温度は、反応がより効率よく進行する点で、10〜100℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。反応時間は、生成物の収率および生産性の点から、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
なお、R、RおよびR中にアルケニル基が含まれる場合、パラジウム触媒を用いて、脱保護を実施する方法も挙げられる。
パラジウム触媒としては特に限定されないが、例えば、酢酸パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ジクロロジトリフェニルホスフィンパラジウムおよびPd−Cが挙げられ、酢酸パラジウムおよびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムが好ましく、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムがより好ましい。
パラジウム触媒の使用量は、式(5−1)で表される化合物に対して、0.001〜2倍モルが好ましく、0.02〜0.5倍モルがより好ましい。
また、本方法においては、アリルパラジウムと反応する求核種を存在させることが好ましい。求核種としては、水、アルコール類および2級アミン類などが挙げられる。求核種としては、水、メタノール、モルホリン、ジエチルアミンおよびピペジリンが好ましく、モルホリンがより好ましい。
求核種の使用量は特に限定されないが、式(5−1)で表される化合物に対して、2〜100倍モルが好ましく、10〜60倍モルがより好ましい。
本方法における反応条件は特に限定されず、使用される化合物に応じて最適な条件が選択される。なかでも、反応温度は、反応がより効率よく進行する点で、20〜180℃が好ましく、10〜50℃がより好ましい。反応時間は、生成物の収率および生産性の点から、10分間〜12時間が好ましく、30分間〜5時間がより好ましい。
なお、式(5−1)中、R1とR2とが一緒になって−B(Ra)−を示す場合、上記方法M3や方法M4などを実施する前に、必要に応じて、式(5−1)で表される化合物を酸性水溶液と接触させ、−B(Ra)−を脱離させる処理を実施してもよい。
使用される酸性水溶液に含まれる酸としては、例えば、リン酸、塩酸および硫酸などが挙げられる。
酸性水溶液の温度は特に制限されないが、反応がより効率よく進行する点で0℃〜40℃が好ましく、0℃〜30℃がより好ましい。
式(5−1)で表される化合物と酸性水溶液との反応時間は特に制限されないが、生成物の収率および生産性の点から、1分〜30分が好ましく、3分〜10分がより好ましい。
なお、−B(Ra)−を脱離させる処理は、上記方法M3や方法M4などを実施した後に実施してもよい。
また、脱保護の手順としては、段階的に実施してもよい。より具体的には、第1段階目で、R6およびR7で表される部分を脱保護して、第2段階目でR1およびR2で表される部分を脱保護してもよい。脱保護の方法は、上述した方法を含め、公知の方法が採用できる。第1段階目の脱保護の方法としては、例えば、水酸化リチウム等の強塩基またはヒドラジンを用いた方法が採用できる。
本工程(A2)の後には、必要に応じて、生成物と不純物(未反応原料、副生成物、など)との分離精製処理を実施してもよい。
上記工程(A1)および工程(A2)を経ることにより、所望の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を効率よく製造することができる。
3,4,5−トリカフェオイルキナ酸は種々の用途に使用することができ、例えば、抗腫瘍作用、抗糖尿病作用、抗高血圧作用、抗ウイルス作用および美白効果、殺菌効果などの様々な生理活性を有するので、種々の医薬品や医薬部外品、特定保険用食品、健康補助食品、化粧品などが挙げられる。
上述した式(1)で表される化合物の好適態様としては、式(1−1)で表される化合物またはその塩が挙げられる。
式(1−1)中、R1aは、置換されてもよいアルC1-6アルキル基、ホルミル基、置換されてもよいC2-6アルカノイル基、置換されてもよいアロイル基、置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されてもよいC1-6アルキルスルホニル基、または、置換されてもよいアリールスルホニル基を示す。
2aは、置換されてもよいC1-6アルキル基、置換されてもよいC2-6アルケニル基、置換されてもよいアリール基、または、置換されてもよいアルC1-6アルキル基を示す。
3、R4およびR5の定義は、上述の通りである。
1aは、置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、または、置換されてもよいアシル基が好ましく、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基がより好ましい。
2aは、置換されてもよいC1-6アルキル基、または、置換されてもよいC2-6アルケニル基が好ましく、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルキル基がより好ましい。
上述した式(1)で表される化合物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を適宜組み合わせて実施することができる。なかでも、式(1)で表される化合物は、生産性に優れる点で、キナ酸を出発原料とする後述する方法から製造されることが好ましい。
以下、式(1)で表される化合物の製造方法の好適態様について、詳述する。
[式(1)で表される化合物の製造方法の好適態様(その1)]
式(1)中、R1は水素原子またはヒドロキシル保護基を示し、R2は水素原子またはカルボキシル保護基を示し(ただし、R1およびR2の少なくとも一方は水素原子ではない)、かつ、R3〜R5がすべて水素原子の場合、式(1)で表される化合物は、以下のスキームにより製造されることが好ましい。以下の方法であれば、式(1)で表される化合物を効率よく製造することができる。ただし、R1が水素原子の場合、以下の(A1)に直接(A5)を反応させて、(1a)を製造できる。
なお、該方法は、R1がヒドロキシル保護基であり、R2がカルボキシル保護基である化合物を効率的に製造する方法として適している。
なお、式中、L1は、脱離基を示す。
式(A2)で表される化合物は、酸の存在下、式(A1)で表されるキナ酸とアセトンとを反応させることによって、製造することができる。
この反応は、Rohloff J. C.ら、J. Org. Chem.,第63巻、4545〜4550頁、1998年に記載の方法に準じて行えばよい。
本反応の製造条件は特に制限されないが、反応が効率よく進行する点より、反応温度は20〜60℃が好ましく、30〜60℃がより好ましく、反応時間は1〜6時間が好ましく、2〜5時間がより好ましい。
なお、反応終了後、必要に応じて、アルカリを添加して中和して、上述した分離精製処理を実施してもよい。
式(A3)で表される化合物は、式(A2)で表される化合物と式(A4)で表される化合物とを反応させることによって、製造することができる。
本反応の手順としては、上述した工程(A1)で述べた手順に準じて行うことができる。例えば、塩基(好ましくは、テトラメチルエチレンジアミン)の存在下、式(A2)で表される化合物と、R1−L1で表されるクロロギ酸アルキルとを反応させ、式(A3)で表される化合物を得る方法がある。
式(1a)で表される化合物は、酸触媒の存在下、式(A3)で表される化合物と式(A5)で表される化合物とを反応させることによって、製造することができる。
使用される酸の種類は特に制限されず、硫酸、メタンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸などが挙げられ、安価で反応がより効率的に進行する点より、硫酸およびメタンスルホン酸が好ましい。
酸の使用量は特に制限されないが、反応がより効率的に進行する点より、式(A3)で表される化合物に対して、0.001〜0.1倍モルが好ましく、0.005〜0.05倍モルがより好ましい。
式(A5)で表される化合物中のR2の定義は上述の通りである。なかでも、本反応が効率よく進行し、その後の脱保護が容易な点で、R2OHはメタノールが好ましい。
式(A5)で表される化合物の使用量は特に制限されないが反応がより効率的に進行する点より、式(A3)で表される化合物に対して、10〜200倍モルが好ましく、20〜100倍モルがより好ましい。
本反応には、必要に応じて、溶媒が使用されてもよいが、通常は式(A5)で表される化合物が溶媒を兼ねて用いられる。
本反応の製造条件は特に制限されないが、反応が効率よく進行し、かつ副反応を抑制する点より、反応温度は0〜50℃が好ましく、0〜30℃がより好ましく、反応時間は1〜8時間が好ましく、1〜5時間がより好ましい。
また、式(1a)で表される化合物を得る他の方法としては、例えば、塩基の存在下、式(A3)で表される化合物と式(A5)で表される化合物とを反応させて、その後、得られた生成物を酸と接触させて式(1a)で表される化合物を得る方法が挙げられる。本方法では、式(1a)で表される化合物を2段階の処理によって合成しており、収率がより高い。
なお、塩基としては、無機塩基、金属アルコキシドおよび有機塩基が好適に挙げられ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエトキシドおよびナトリウムメトキシドが好ましく、炭酸水素ナトリウムおよびナトリウムメトキシドがより好ましい。
また、酸としては、例えば、硫酸、メタンスルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類;酢酸およびトリフルオロ酢酸等のカルボン酸類;塩化水素(HCl)等が挙げられ、硫酸、メタンスルホン酸および塩化水素が好ましく、硫酸および塩化水素がより好ましい。
[式(1)で表される化合物の製造方法の好適態様(その2)]
式(1)中、R1は水素原子またはヒドロキシル保護基を示し、R2は水素原子またはカルボキシル保護基を示し(ただし、R1およびR2の少なくとも一方は水素原子ではない)、かつ、R3〜R5のうち2つが水素原子で、残りが式(3)で表される基である場合、式(1)で表される化合物は、以下のスキームにより製造されることが好ましい。以下の方法であれば、式(1)で表される化合物を効率よく製造することができる。
式(B1)で表される化合物は、式(A3)で表される化合物と式(A5)で表される化合物とを反応させることによって、製造することができる。
この反応は、J.Org.Chem.,71巻、5397頁、2006年に記載の方法に準じて行えばよい。
本反応としては、例えば、塩基性条件下にて、式(A3)で表される化合物と式(A5)で表される化合物とを反応させることによって、式(B1)で表される化合物を製造できる。
塩基性条件下にするために使用される塩基の種類は特に制限されず、例えば、ナトリウムメトキシド、無水炭酸カリウムおよび無水炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
本反応の反応条件は特に制限されないが、反応が効率よく進行する点より、反応温度は10〜80℃が好ましく、20〜50℃がより好ましく、反応時間は30分〜5時間が好ましく、45分〜3時間がより好ましい。
式(B2)で表される化合物は、式(B1)で表される化合物と式(4)で表される化合物とを反応させることによって、製造することができる。
本反応の手順は、上述した工程(A1)の手順に準じて行えばよい。
式(1b)で表される化合物は、式(B2)で表される化合物を脱保護することによって、製造することができる。
この反応は、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、16〜366頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載された方法に準じて行えばよい。
好ましい脱保護の方法としては、酸性条件下、式(B2)で表される化合物を水とを反応させる方法が挙げられる。
酸性条件下にするために使用される酸の種類は特に制限されず、例えば、酢酸、リン酸、塩酸およびトリルオロ酢酸などが挙げられる。
本反応の反応条件は特に制限されないが、反応が効率よく進行する点より、反応温度は0℃〜80℃が好ましく、10℃〜60℃がより好ましく、反応時間は10分〜8時間が好ましく、30分〜5時間がより好ましい。
[式(1)で表される化合物の製造方法の好適態様(その3)]
式(1)中、R1は水素原子またはヒドロキシル保護基を示し、R2は水素原子またはカルボキシル保護基を示し(ただし、R1およびR2の少なくとも一方は水素原子ではない)、かつ、R3〜R5のうち1つが水素原子で、残りが式(3)で表される基である場合、式(1)で表される化合物は、以下のスキームにより製造されることが好ましい。以下の方法であれば、式(1)で表される化合物を効率よく製造することができる。
式(C1)で表される化合物は、式(A3)で表される化合物を脱保護することによって、製造することができる。
この反応は、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、16〜366頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載された方法に準じて行えばよい。
好ましい脱保護の方法としては、式(A3)で表される化合物と酸性水溶液とを反応させる方法が挙げられる。
酸性水溶液で使用される酸の種類は特に制限されず、例えば、酢酸、塩酸およびトリフルオロ酢酸などが挙げられる。
本反応の反応条件は特に制限されないが、反応が効率よく進行する点より、反応温度は10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましく、反応時間は30分〜8時間が好ましく、1〜5時間がより好ましい。
式(C2)で表される化合物は、式(C1)で表される化合物と式(4)で表される化合物とを反応させることによって、製造することができる。
本反応の手順は、上述した工程(A1)の手順に準じて行えばよい。
式(1c)で表される化合物は、式(C2)で表される化合物と式(A5)で表される化合物とを反応させることによって、製造することができる。
本反応の手順は、上述した[式(1)で表される化合物の製造方法の好適態様(その2)]で述べた式(A3)で表される化合物と式(A5)で表される化合物とを反応させる方法が挙げられる。
[式(1)で表される化合物の製造方法の好適態様(その4)]
式(1)中、R1とR2とが一緒になって−B(Ra)−を示し、R3〜R5のすべてが水素原子である場合、式(1)で表される化合物は、以下のスキームにより製造されることが好ましい。以下の方法であれば、式(1)で表される化合物を効率よく製造することができる。
式(1d)で表される化合物は、式(A1)で表される化合物と式(A6)で表される化合物とを反応させることによって、製造することができる。
式(A6)で表される化合物中のRaの定義は上述の通りである。なかでも、本反応がより効率的に進行する点で、Raはフェニル基が好ましい。
式(A6)で表される化合物の使用量は特に制限されないが反応がより効率的に進行する点より、式(A1)で表される化合物に対して、0.95〜1.05倍モルが好ましく、1.0〜1.03倍モルがより好ましい。
本反応は、必要に応じて、無水硫酸ナトリウムおよびモレキュラーシーブなどの脱水剤の存在下で実施してもよい。脱水剤を使用することにより、反応がより効率的に進行する。
本反応には、必要に応じて、溶媒が使用されてもよい。
使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、ケトン類およびエステル類が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。好ましい溶媒としては、酢酸エチル、トルエンおよびテトラヒドロフランが挙げられる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、式(A6)で表される化合物に対して、1〜50倍量(v/w)が好ましく、1〜20倍量(v/w)がより好ましい。
[式(1)で表される化合物の製造方法の好適態様(その5)]
式(1)で表される化合物は、以下のスキームにより製造されることが好ましい。以下の方法であれば、式(1)で表される化合物を効率よく製造することができる。
式(E1)で表される化合物は、式(1d)で表される化合物と式(A7)で表される化合物とを反応させることによって、製造することができる。
式(A7)中、RCはハロゲン化アルキル基を示し、例えば、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、モノクロロメチル基などが挙げられる。
本反応においては、必要に応じて、塩基の存在下で実施してもよい。塩基が存在することにより、反応がより効率よく進行し、収率が向上する。使用される塩基の種類は、上述した方法M1で述べた塩基などが挙げられる。
また、本反応においては、必要に応じて、溶媒を使用してもよい。
使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、上述した方法M1で述べた溶媒などが挙げられる。
なお、上記では式(A7)で表される化合物として、いわゆる酸無水物を使用したが、式(8):RcCOX2で表される化合物を使用してもよい。なお、X2は、ハロゲン原子を示す。
式(E2)で表される化合物は、式(E1)で表される化合物中のヒドロキシル基およびカルボキシル基の少なくとも一方を保護することによって、製造することができる。
保護の方法は特に制限されず、例えば、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチルおよびクロロギ酸トリクロロエチルなどのクロロギ酸エステル類(ClCOORd)と、式(E1)で表される化合物とを反応させる方法がある。なお、Rdは、ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を示す。上記クロロギ酸エステル類と式(E1)で表される化合物とを反応させる場合、式(E2)中のR1は−COORdを示し、R2は−Rdを示す。
なお、クロロギ酸エステル類などを使用する場合は、反応がより効率よく進行する点で、上述した塩基の存在下で反応を実施することが好ましい。
クロロギ酸エステル類などを使用する場合の反応条件は特に制限されないが、反応が効率よく進行する点より、反応温度は−10〜20℃が好ましく、−5〜10℃がより好ましく、反応時間は30分〜4時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。
なお、上記クロロギ酸エステルを用いる以外の方法としては、例えば、上述した[式(1)で表される化合物の製造方法の好適態様(その1)]で述べた方法が挙げられる。
式(1a)で表される化合物は、式(E2)で表される化合物を脱保護することによって、製造することができる。
この反応は、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、16〜366頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載された方法に準じて行えばよい。
例えば、上述したクロロギ酸エステル類を使用した場合、好ましい脱保護の方法としては、塩基の存在下、式(E2)で表される化合物と水とを反応させる方法が挙げられる。塩基の種類としては、上述の通りである。
[式(4)で表される化合物の製造方法の好適態様]
上述した式(4)で表される化合物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を適宜組み合わせて実施することができる。なかでも、式(4)で表される化合物は、生産性に優れる点で、以下のスキームにより製造されることが好ましい。
式(F2)で表される化合物は、式(F1)で表される化合物を保護することによって、製造することができる。
この反応は、例えば、W.グリーン(W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、第370〜424頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載の方法に準じて行えばよい。
例えば、塩基の存在下、式(F1)で表される化合物とクロロギ酸アルキルとを反応させる方法などが挙げられる。
式(F3)で表される化合物は、式(F2)で表される化合物を、チオニルクロリド、チオニルブロミド、オキシ塩化リンまたはオキサリルクロリドなどのハロゲン化剤と反応させることによって、製造することができる。
本反応は、上述した方法M2に準じて行えばよい。
なお、式(F3)で表される化合物を得る際に、式(F2)で表される化合物をハロゲン化剤と反応させた後に反応液を冷却して、式(F3)で表される化合物を析出回収する方法がある。該方法によって得られる式(F3)で表される化合物を使用すると、上述した式(1)で表される化合物または式(2)で表される化合物との反応がより効率的に進行する。なお、析出した式(F3)で表される化合物は、必要に応じて、溶媒で洗浄して、純度を高めることもできる。
<第2実施態様>
本発明の製造方法の第2実施態様は、式(2)で表される化合物と式(4)で表される化合物と反応させ、式(5−2)で表される化合物を製造する工程(B1)と、工程(B1)で得られた生成物を脱保護し、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を製造する工程(B2)とを備える。
以下、各工程で使用される化合物、および、工程の手順について詳述する。
[工程(B1)]
工程(B1)は、以下スキームに示すように、式(2)で表される化合物と式(4)で表される化合物と反応させ、式(5−2)で表される化合物を製造する工程である。
まず、本工程で使用される化合物について詳述する。
式(2)中、R3〜R5の定義は、上述の通りである。
Yは、*1−ORbを示す。Rbは、存在しないか、水素原子を示す。なお、Rbが存在しない場合は、Yは−O−を示し、一方の結合手はC1で示される炭素原子と、他方の結合手は後述するMとそれぞれ結合する。
なお、*1は、C1で表される炭素原子との結合位置を示す。C1で示される炭素原子とは、上記スキーム中の白矢印で示される炭素原子を意図する。
Mは、ホウ素原子、ケイ素原子、2価の金属イオン、または3価の金属イオンを示す。2価の金属イオンとしては、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、鉄イオン、コバルトイオン、クロムイオン、銅イオンおよびニッケルイオンなどが挙げられる。また、3価の金属イオンとしては、例えば、鉄イオンおよびアルミニウムイオンなどが挙げられる。
なかでも、式(2)で表される化合物の合成適性に優れ、反応がより効率よく進行する点で、ホウ素原子、カルシウムイオン、マグネシウムイオンおよび亜鉛イオンが好ましく、ホウ素原子および亜鉛イオンがより好ましい。
Aは、存在しないか、または、1価のカチオンを示す。
1価のカチオンとしては、例えば、アルカリ金属イオンが挙げられる。なかでも、式(2)で表される化合物の合成適性に優れ、単離し易い点で、カリウムイオンおよびナトリウムイオンが好ましい。
mは、2または3の整数を示す。なお、Mの種類に応じてmは変わる。
なお、第1態様として、Mがホウ素原子の場合、mは2を、Aは1価のカチオンを示す。第2態様として、Mがケイ素原子の場合、mは2を示し、Aは存在しない。第3態様として、Mが2価の金属イオンの場合、mは2を示し、Aは存在しない。第4態様として、Mが3価の金属イオンの場合、mは3を示し、Aは存在しない。それぞれの態様について、以下に構造式で示す。以下、式(2−1)で表される化合物が第1態様に、式(2−2)で表される化合物が第2態様に、式(2−3)で表される化合物が第3態様に、式(2−4)で表される化合物が第4態様に、それぞれ該当する。
工程(B1)で使用される式(4)で表される化合物の定義は、上述の通りである。
なお、工程(B1)は、上述した工程(A1)で述べた方法に準じて行えばよい。
[工程(B2)]
工程(B2)は、以下スキームに示すように、工程(B1)で得られた生成物(式(5−2)で表される化合物)を脱保護し、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を製造する工程である。より具体的には、上記式(5−2)で表される化合物中に含まれる保護基(フェノール性ヒドロキシル保護基など)を脱離させ、所望の3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を得る工程である。
なお、本工程では、脱保護とは、上記のように3,4,5−トリカフェオイルキナ酸中のヒドロキシル基、フェノール性ヒドロキシル基およびカルボキシル基を保護する基を脱離することを意図する。よって、Mで表される部分を脱離することも脱保護に含める。
式(6)で表される化合物は、式(5−2)で表される化合物を脱保護することによって、製造することができる。
この反応は、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、367〜430頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載された方法に準じて行えばよい。
本反応は、上記工程(A2)で述べた方法に準じて行えばよい。
工程(B2)の好適態様としては、以下のスキームに示すように、式(5−2)で表される化合物から式(5−3)で表される化合物を製造し、その後、式(5−3)で表される化合物を脱保護して、式(6)で表される化合物を製造する方法が挙げられる。以下のスキームによれば、より効率よく式(6)で表される化合物を製造できる。
式(5−2)で表される化合物から式(5−3)で表される化合物を製造する方法は特に制限されないが、効率よく式(5−3)で表される化合物が得られる点で、式(5−2)で表される化合物と酸性水溶液またはキレート剤水溶液とを接触させる方法が挙げられる。
酸性水溶液中に含まれる酸の種類は特に制限されないが、例えば、リン酸、塩酸および硫酸などが挙げられる。
また、キレート剤水溶液に含まれるキレート剤としては、EDTA、PDTAなどが挙げられる。
酸性水溶液およびキレート剤水溶液の温度は特に制限されないが、反応がより効率よく進行する点で、0℃〜40℃が好ましく、10℃〜30℃がより好ましい。
式(5−2)で表される化合物と酸性水溶液またキレート剤水溶液との反応時間は特に制限されないが、生成物の収率および生産性の点から、1分〜1時間が好ましく、3分〜30分がより好ましい。
式(6)で表される化合物は、式(5−3)で表される化合物を脱保護することによって、製造することができる。
この反応は、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、367〜430頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載された方法に準じて行えばよい。
本反応は、上記工程(A2)で述べた方法に準じて行えばよい。
上記式(2)で表される化合物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を適宜組み合わせて実施することができる。なかでも、式(2)で表される化合物は、生産性に優れる点で、キナ酸を出発原料とする方法から製造されることが好ましい。
例えば、上記式(2−1)で表される化合物を製造する方法としては、塩基の存在下、キナ酸とホウ酸とを反応させる方法が挙げられる。その際、Zとしてカチオンが存在し、カチオンの種類は使用される塩基の種類による。
また、上記式(2−1)〜(2−4)で表される化合物を製造する一般的な方法としては、等モルのキナ酸とホウ酸もしくはその誘導体、テトラアルコキシシランまたは種々の金属イオンを水またはメタノール中、室温〜50℃で反応させ、反応後、溶媒を減圧下で留去する方法を挙げることができる。
なお、上述した各工程・各方法の反応終了後には、必要に応じて、上述した分離精製処理により、単離精製することができる。また、各工程・各方法によって得られる化合物は、単離せずにそのまま次の反応に使用してもよい。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって、何ら限定されるものではない。
1H−NMRスペクトルは、内部基準としてテトラメチルシランを用い、Bruker AV300(Bruker社製)を用いて測定した。
各実施例においてMeは、メチルを意味する。
[合成例1:(1A)の合成]
キナ酸100g、無水硫酸ナトリウム500gおよびアセトン2500mLの混合物に撹拌下、硫酸5mLを滴下し、5時間還流加熱した。放冷後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液200mLを滴下して硫酸を中和し、溶媒を減圧留去した。残渣に酢酸エチル1500mLを加え、5%炭酸水素ナトリウム水溶液次いで食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、酢酸エチルを減圧留去して、3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトン104gを得た。
3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトン21.4g、ピリジン80mLおよび塩化メチレン100mLの混合物に氷冷下、0〜5℃でクロロギ酸メチル11.6mLを滴下した。5℃で1時間撹拌後、氷冷下さらにクロロギ酸メチル11.6mLを滴下し、5℃で2時間撹拌した。反応液を冷希塩酸1Lに注ぎ、酢酸エチル300mLを加え、有機層を分液した。有機層を食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン/イソプロパノールで再結晶して、1−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトンの白色結晶18.5gを得た。
得られた白色結晶5.44gとメタノール200mLとの混合物にメタンスルホン酸5滴を加え、60℃で5時間加熱撹拌した。溶媒を減圧留去し、酢酸エチル100mLと炭酸水素ナトリウム2.0gを加え、室温で30分撹拌した後、不溶物を濾別し、濾液から溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン/酢酸エチルから再結晶して、1Aの白色結晶4.5gを得た。1Aの1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)を図1に示す。
[合成例2:(1B)の合成]
キナ酸5.76g、フェニルホウ酸3.65g、無水硫酸ナトリウム30gおよびテトラヒドロフラン100mLの混合物を5時間加熱還流した。放冷後、硫酸ナトリウムを濾別し、濾液から溶媒を減圧留去し、1Bの白色固体7.3gを得た。1Bの1H−NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6)を図2に示す。
[合成例3:(1C)の合成]
合成例2で合成した1B(13.9g)、ピリジン80mLおよび塩化メチレン60mLの混合物に、無水トリフルオロ酢酸28mLを0〜3℃で滴下した。5〜10℃で2時間撹拌した後、冷希塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣にピリジン40mLおよび塩化メチレン40mLを加え、氷冷下、クロロギ酸トリクロロエチル26.8mLを0〜5℃で滴下し、さらに10〜15℃で2時間撹拌した。反応液を冷希塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)により精製して、1−トリクロロカルボエトキシ−3,4,5−O−トリス(トリフルオロアセチル)キナ酸トリクロロエチル21.3gを得た。
1−トリクロロカルボエトキシ−3,4,5−O−トリス(トリフルオロアセチル)キナ酸トリクロロエチルをメタノ−ル200mLに溶かし、炭酸水素カリウム25gを加え、0〜5℃で3時間攪拌した。無機物を濾別後、溶媒を減圧留去し、残渣に水50mLと酢酸エチル200mLを加え、有機層を分離した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧留去し、残渣をヘキサン/酢酸エチルから再結晶して1Cの白色結晶9.1gを得た。
[合成例4:(1D)の合成]
キナ酸3.84g、ホウ酸0.62gおよび1N水酸化カリウム水溶液10mLの混合物を室温で30分撹拌した後、水を減圧留去した。さらに、外部から80℃に加温しながら真空ポンプで3時間、減圧を維持して水を完全に除去し、キナ酸のホウ酸キレート化合物(1D)4.2gを得た。1Dの1H−NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6)を図3に示す。
[合成例5:(1E)の合成]
3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトン32.1g、ピリジン30mLおよび塩化メチレン200mLの混合物に氷冷下、0〜5℃でクロロギ酸トリクロロエチル35.0gを滴下した。5℃で1時間撹拌後、室温で2時間撹拌した。反応液を冷希塩酸1Lに注ぎ、酢酸エチル500mLを加え、有機層を分液した。有機層を食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して、1−トリクロロカルボエトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトンの白色固体57.1gを得た。
得られた白色固体3.9gとメタノール40mLの混合物にメタンスルホン酸5滴を加え、50℃で5時間加熱撹拌した。放冷後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチル100mLと炭酸水素ナトリウム2.0gを加え、室温で30分撹拌した後、不溶物を濾別し、濾液から溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン/エタノールから再結晶して、1Eの白色結晶2.9gを得た。1Eの1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)を図4に示す。
[合成例6:(4A)の合成]
カフェ酸36gを5%水酸化ナトリウム水溶液400mLに溶かし、窒素気流下、0〜3℃でクロロギ酸メチル69mLを滴下した。5〜10℃で1時間撹拌後、白色固体を濾取し、水洗した後、ヘキサン/イソプロパノールから再結晶して、ジカルボメトキシカフェ酸52.2gを得た。
ジカルボメトキシカフェ酸2.96gとトルエン20mLの混合物に塩化オキサリル2.1mLを加え、60℃で2時間加熱撹拌した。放冷後、溶媒と過剰の塩化オキサリルを減圧留去して4Aの白色固体3.1gを得た。
[合成例7:(4B)の合成]
カフェ酸3.6gを10%水酸化ナトリウム水溶液40mLに溶かし、窒素気流下、0〜5℃でクロロギ酸トリクロロエチル12.7gを滴下した。5〜10℃で1時間撹拌した後、反応液を冷希塩酸に注ぎ、生成した白色沈殿を濾取し、イソプロパノールから再結晶してジカルボトリクロロエトキシカフェ酸3.8gを得た。
得られたジカルボトリクロロエトキシカフェ酸にトルエン30mLおよび塩化オキサリル2.5mLを加え、45〜50℃で2時間加熱撹拌した。放冷後、溶媒と過剰の塩化オキサリルを減圧留去して4Bの白色固体3.9gを得た。
[合成例8:(4C)の合成]
カフェ酸3.6g、トリエチルアミン5mLおよびジメチルアセトアミド10mLの混合物に炭酸ジフェニル6.42gを室温で加え、45〜50℃で3時間加熱撹拌した。反応液を冷希塩酸に注ぎ、生成した白色沈殿を濾取し、水洗した後、アセトン/酢酸から再結晶して、3,4−カルボニルジオキシ桂皮酸の白色結晶2.9gを得た。
得られた3,4−カルボニルジオキシ桂皮酸2.06gとトルエン50mLの混合物に塩化オキサリル2.1mLを加え、60℃で3時間加熱撹拌した。放冷後、溶媒を減圧留去して4Cの白色固体2.2gを得た。
[合成例9:化合物(2)の合成]
合成例1で合成した1−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトン2.72gとメタノール100mLの混合物に無水炭酸カリウム1.38gを加え、室温で2時間撹拌した。無機物を濾別した後、メタノールを減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)により精製して、1−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデンキナ酸メチル2.3gを得た。
1−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデンキナ酸メチル1.52g、ピリジン2mLおよび塩化メチレン20mLの混合物に、−5〜0℃で、合成例4で合成した4A(2.4g)を少量ずつ添加した。0〜5℃で3時間攪拌した後、反応液を冷希塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を食塩水で洗浄した後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)により精製して、1−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−5−(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル2.6gを得た。1H−NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6)を図5に示す。
1−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−5−(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル1.5gにトリフルオロ酢酸30mLおよび水5mLを加え、室温で3時間撹拌した。次いで溶媒を減圧留去し、残渣を水洗し、化合物(2)1.8gを得た。
[合成例10:化合物(3)の合成]
合成例1で合成された1−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトン5.0g、酢酸25mLおよび水25mLの混合物を65〜70℃で7時間加熱撹拌した。放冷後、溶媒を減圧留去し、残渣をヘキサン/イソプロパノールから再結晶して、1−カルボメトキシ−1,5−キニドラクトン2.6gを得た。
1−カルボメトキシ−1,5−キニドラクトン2.32g、ピリジン4mLおよび塩化メチレン40mLの混合物に−5〜0℃で4A(9.4g)を少量ずつ添加した。0〜5℃で5時間撹拌した後、反応液を冷希塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製して、1−カルボメトキシ−3,4−ビス−(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)−1,5−キニドラクトン6.3gを得た。1H−NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6)を図6に示す。
1−カルボメトキシ−3,4−ビス−(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)−1,5−キニドラクトン3.9gとメタノール100mLの混合物にメタンスルホン酸5滴を加え、室温で10時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣に酢酸エチルを加え、2%炭酸水素ナトリウム水溶液および食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、化合物(3)3.1gを得た。
[合成例11:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成(その1)]
上記で合成された1A(1.32g)、ピリジン2.5mLおよび塩化メチレン35mLの混合物に、−5〜0℃にて、上記で合成された4A(6.3g)を少量ずつ添加した。−5〜0℃で1時間、0〜5℃で5時間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル3.8gを得た。1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)を図7に示す。
1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル2.2g、無水塩化リチウム6.8gおよびピリジン30mLの混合物を3時間加熱還流後、無水ヨウ化リチウム1.34gを加え、さらに2時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)およびODSクロマトグラフィーにより精製して、3,4,5-トリカフェオイルキナ酸(TCQA)0.8gを得た。1H−NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6)を図8に示す。
[合成例12:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成(その2)]
上記で合成された1B(1.39g)、ピリジン2.5mLおよび塩化メチレン35mLの混合物に、−5〜0℃にて、上記で合成された4A(6.3g)を少量ずつ添加した。−5〜0℃で1時間、0〜5℃で3時間さらに5〜10℃で3時間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を分液した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸1.4gを得た。1H−NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6)を図9に示す。
3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸1.1g、無水塩化リチウム3.2gおよびピリジン30mLの混合物を3時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)により精製して、3,4,5-トリカフェオイルキナ酸(TCQA)0.4gを得た。
[合成例13:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成(その3)]
上記で合成された1C(2.5g)、ピリジン2.5mLおよび塩化メチレン40mLの混合物に、−5〜0℃にて、上記で合成された4B(11.0g)を少量ずつ添加した。0〜5℃で5時間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を分液した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボトリクロロエトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボトリクロロエトキシカフェオイル)キナ酸トリクロロエチル4.9gを得た。
1−カルボトリクロロエトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボトリクロロエトキシカフェオイル)キナ酸トリクロロエチル4.0g、酢酸30mLおよびテトラヒドロフラン30mLの混合物に撹拌下、5.0gの亜鉛末を加え、35〜40℃で8時間加熱撹拌した。無機物を濾別し、さらに無機物を20mLのメタノールで洗浄した。濾液と洗浄液を併せ、溶媒を減圧留去し、残渣に水30mLを加え、再度、溶媒を減圧留去した。残渣をODSカラムクロマトグラフィーにより精製し、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)0.9gを得た。
[合成例14:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成(その4)]
上記で合成された1D(0.83g)、ピリジン2mLおよびジメチルホルムアミド40mLの混合物に、−5〜0℃にて、上記で合成された4A(6.3g)を少量ずつ添加した。−5〜0℃で1時間、0〜5℃で3時間さらに5〜10℃で3時間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸0.25gを得た。
3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸0.25g、無水塩化リチウム1.2gおよびピリジン10mLの混合物を4時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)により精製して、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)70mgを得た。
[合成例15:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成(その5)]
上記で合成された1E(1.91g)、ピリジン2mLおよび塩化メチレン30mLの混合物に、−5〜0℃にて、上記で合成された4A(6.3g)を少量ずつ添加した。−5〜0℃で1時間、0〜5℃で5時間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を分液した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−トリクロロカルボエトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル3.7gを得た。
1−トリクロロカルボエトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル2.4g、酢酸20mLおよびテトラヒドロフラン20mLの混合物に撹拌下、4.0gの亜鉛末を加え、35〜40℃で5時間加熱撹拌した。無機物を濾別し、さらに無機物をメタノールで洗浄した。濾液と洗浄液を併せ、溶媒を減圧留去し、残渣に無水臭化リチウム8.7gおよびピリジン40mLを加え、4時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)により精製して、3,4,5-トリカフェオイルキナ酸(TCQA)0.7gを得た。
[合成例16:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成(その6)]
上記で合成した化合物(2)1.0g、ピリジン2mLおよび塩化メチレン20mLの混合物に、−5〜0℃にて、上記で合成された4A(2.8g)を少量ずつ添加した。−5〜0℃で1時間、0〜5℃で5時間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を分液した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル1.8gを得た。
合成例11と同様な方法で脱保護を行い、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)0.8gを得た。
[合成例17:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成(その7)]
上記で合成した化合物(3)1.5g、ピリジン2mLおよび塩化メチレン25mLの混合物に、−5〜0℃にて、上記で合成された4A(2.5g)を少量ずつ添加した。−5〜0℃で1時間、0〜5℃で5時間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を分液した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル1.1gを得た。
合成例11と同様な方法で脱保護を行い、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)0.4gを得た。
[合成例18:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成(その8)]
1A(1.32g)、ピリジン2.5mLおよびジメチルホルムアミド30mLの混合物に、−5〜0℃にて、上記で合成された4A(6.3g)を少量ずつ添加した。−5〜0℃で1時間、0〜5℃で5時間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を分液した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル0.7gを得た。
1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル0.7g、無水ヨウ化リチウム4.5gおよびピリジン20mLの混合物を4時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)およびODSクロマトグラフィーにより精製して、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)0.15gを得た。
[合成例19:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成(その9)]
1A(1.32g)、ピリジン2.5mLおよびトルエン35mLの混合物に、室温で、上記で合成された4A(6.3g)を少量ずつ添加した。その後、80℃で5時間加熱還流した。放冷後、反応液を冷希塩酸に注ぎ、酢酸エチルを加えて有機層を分液した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル1.7gを得た。
1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル1.7g、無水ヨウ化リチウム8.5gおよびピリジン30mLの混合物を5時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)およびODSクロマトグラフィーにより精製して、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)0.6gを得た。
[合成例20:(4D)の合成]
カフェ酸7.20g、ピリジン20mL、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.12gの混合物に、無水酢酸9.40mLを0℃で滴下後、室温で3時間攪拌した。反応液を氷に注ぎ、2mol/L塩酸で、pH2に調整後、酢酸エチル/テトラヒドロフラン混合溶液[3/1(v/v)]80mLで3回抽出後、有機層を併せて、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した後、得られた残渣にn−ヘキサンを加え、得られた固体を濾取し、3,4−ジ−O−アセチルカフェ酸の白色固体9.9gを得た。
得られた3,4−ジ−O−アセチルカフェ酸5.2g、トルエン100mL、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)0.1gの混合物に、塩化オキサリル3.5mLを−10℃で滴下した。室温で3時間攪拌後、溶媒を減圧留去後、酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶液[5/95(v/v)]を加え、析出した固体を濾取し、4Dの淡黄色固体5.4gを得た。
[合成例21:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成]
キナ酸メチルエステル0.50g、ピリジン1.15mL、塩化メチレン20mLの混合物に、−5〜0℃にて、上記で合成された4D(2.87g)を添加した。−5〜0℃で、1時間攪拌後、室温まで昇温した。反応液を1N塩酸に注ぎ、酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣2.98gを得た。残渣を1H−NMRで分析した結果、残渣中に含まれる3,4,5−トリス(3,4−ジ−O−アセチルカフェオイル)キナ酸メチルの純度は50重量%であり、収率は65%だった。この残渣100mgに、1mol/L塩酸5mLおよびテトラヒドロフラン3mLの混合物を加え、室温で、7日間攪拌した。溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)およびODSクロマトグラフィーにより精製して、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)7.0mgを得た。
[合成例22:(4A)の合成]
ジカルボメトキシカフェ酸48.08g、トルエン192mLおよびジメチルアセトアミド0.15mLの混合物に塩化チオニル14.2mLを加え、50℃で1時間加熱撹拌した。反応液を氷冷後、析出した固体をろ取し、10℃のトルエン20mLで2度洗浄し、4Aの白色固体44.7gを得た。
[合成例23:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成]
キナ酸メチルエステル0.31g、ピリジン0.65mL、アセトニトリル10mLの混合物に、0〜5℃にて、合成例22で合成された4A(1.70g)を添加した。0〜5℃で、1時間攪拌後、室温まで昇温した。反応液に酢酸エチルと水を加えて有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣1.88gを得た。残渣を1H−NMRで分析した結果、残渣中に含まれる5−トリス(3,4−ジ−O−カルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチルの純度は50重量%であり、収率は60%だった。
1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチルの代わりに得られた5−トリス(3,4−ジ−O−カルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチルを使用して、上述した合成例11と同様の方法にて、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)を得た。
[合成例24:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成]
合成例1で合成された1A(0.40g)、ピリジン0.6mLおよび塩化メチレン4mLの混合物に、−5〜0℃にて、合成例22で合成された4A(1.56g)を少量ずつ添加した。−5〜0℃で1時間、室温で30分間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣1.81gを得た。残渣を1H−NMRで分析した結果、残渣中に含まれる1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチルの純度は90質量%であり、収率は98%だった。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル1.51gを得た。
1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル1.51g、無水臭化リチウム2.86gおよびピリジン15mLの混合物を5時間加熱還流した。放冷後、反応液を冷濃塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)およびODSクロマトグラフィーにより精製して、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)0.62gを得た。
なお、合成例23との比較から分かるように、R1がヒドロキシル保護基であり、R2がカルボキシル保護基である式(1A)で表される化合物を使用した本合成例24の場合は、式(4A)で表される化合物との反応後の生成物(1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル)の純度がより高かった。
[合成例25:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成]
合成例1で合成された1A(0.40g)、ピリジン0.6mLおよびアセトニトリル4mLの混合物に、−5〜0℃にて、合成例22で合成された4A(1.56g)を少量ずつ添加した。−5〜0℃で1時間、室温で30分間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣1.79gを得た。残渣をH−NMRで分析した結果、残渣中に含まれる1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチルの純度は91重量%であり、収率は98%だった。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル1.58gを得た。
1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル1.58g、無水臭化リチウム2.86gおよびピリジン15mLの混合物を5時間加熱還流した。放冷後、反応液を冷濃塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)およびODSクロマトグラフィーにより精製して、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)0.65gを得た。
[合成例26:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成]
合成例1で合成された1A(0.26g)、アセトニトリル4mLの混合物に、室温にて、合成例22で合成された4A(1.04g)を少量ずつ添加した。5時間加熱還流した後、反応液を室温まで冷却し、冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチル0.88gを得た。
得られた1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジカルボメトキシカフェオイル)キナ酸メチルを用いて、合成例25と同様の手順により、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)を得た。
[合成例27:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成]
合成例1で合成された1A(9.62g)、ピリジン15.8mLおよびアセトニトリル96mLの混合物に、−5〜0℃にて、合成例20で合成された4D(37.0g)を少量ずつ添加した。0〜5℃で1時間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣38.9gを得た。残渣を1H−NMRで分析した結果、残渣中に含まれる1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジアセチルカフェオイル)キナ酸メチルの純度は92重量%であり、収率は98%だった。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジアセチルカフェオイル)キナ酸メチル34.7gを得た。
1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジアセチルカフェオイル)キナ酸メチル34.7g、アセトニトリル96mL、水150mLの混合物に、10〜20℃にて、水酸化リチウム10.46gを少量ずつ添加した。室温で一晩攪拌後、10〜20℃にて、反応液へ濃塩酸50mLを少しずつ添加した。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリカフェオイルキナ酸メチル24.1gを得た。
1−カルボメトキシ−3,4,5−トリカフェオイルキナ酸メチル24.1g、無水臭化リチウム32.3gおよびピリジン200mLの混合物を9時間加熱還流した。放冷後、反応液を冷濃塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)およびODSクロマトグラフィーにより精製して、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)9.28gを得た。
[合成例28:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成]
窒素雰囲気下、合成例1で合成された1A(200mg)、塩化メチレン(10mL)およびピリジン(0.30mL)の混合物を0℃まで冷却し、攪拌しながら、3,4−ジ−O−アリルカフェ酸クロリドを加えた。室温まで昇温後、反応混合物に酢酸エチルおよび1moL/L塩酸を加え、分液後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1(v/v))で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジアリルカフェオイル)キナ酸メチル(291mg)を得た。1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)を図10に示す。
窒素雰囲気下、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジアリルカフェオイル)キナ酸メチル(200mg)、ピリジン(4mL)およびヨウ化リチウム(324mg)の混合物を100℃で6時間攪拌した。室温まで冷却後、酢酸エチルと1moL/L塩酸を加え、更に濃塩酸を水層のpHが2になるまで加えた。有機層と水層を分液し、水層を更に2回酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮を行った。カラム充填剤として、富士シリシア化学製CHROMATOREX(SO3H)を用い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/3(v/v))で精製して、3,4,5−トリス(3,4−ジアリルカフェオイル)キナ酸(122mg)を得た。1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)を図11に示す。
窒素雰囲気下、3,4,5−トリス(3,4−ジアリルカフェオイル)キナ酸(60mg)、テトラヒドロフラン(3.5mL)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(3.8mg)およびモルホリン(341mg)の混合物を室温で4時間攪拌した。室温まで冷却後、酢酸エチルと1moL/L塩酸を加え、更に濃塩酸を水層のpHが2になるまで加えた。有機層と水層を分液し、水層を更に2回酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮を行った。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=5/1(v/v))で精製して、TCQA(6.8mg)を得た。
[合成例29:1−O−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトンの合成]
窒素雰囲気下、3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトン(IPQL)(21.4g)、塩化メチレン(214mL)およびテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(13.9g)の混合物を攪拌しながら、−12℃まで冷却した。クロロ蟻酸メチル(18.9g)を15分かけて滴下した。滴下終了後、室温まで昇温し2時間攪拌を続けた。反応混合物に、1moL/L塩酸を70mL加え、分液後、有機層を飽和食塩水40mLと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mLの混合液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、ヘキサン100mLを加え、質量が70gになるまで、溶媒を留去し、析出した結晶をろ過し、減圧乾燥して、1−O−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトン(24.8g)を白色結晶として得た。
[合成例30:1Aの合成]
1−O−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトン(40g)、メタノール(1.6L)および炭酸水素ナトリウム(14.8g)の混合物を室温で1時間攪拌した。内温を6℃まで冷却し、硫酸ナトリウム40gを加え、更に濃硫酸(10.8g)を滴下した。1時間後、室温まで昇温して、更に5時間攪拌を続けた。反応混合物に、炭酸水素ナトリウム(3.7g)を加えてよく攪拌した後、不溶物をろ過し、メタノールを留去した。残渣に酢酸エチル(600mL)および炭酸水素ナトリウム(98g)を加え、室温で1時間攪拌した。固体をろ過し、酢酸エチルを留去後、メチルtert−ブチルエーテルを加え、析出した固体をろ過、減圧乾燥を行うことにより、1A(33.9g)を白色結晶として得た。
[合成例31:1Aの合成]
1−O−カルボメトキシ−3,4−O−イソプロピリデン−1,5−キニドラクトン(167.0g)、メタノール(3.3L)およびナトリウムメトキシド(0.32g)の混合物を室温で1.5時間攪拌した。内温を6℃まで冷却し、濃硫酸(9.32g)を滴下した。1時間後、室温まで昇温して、更に5時間攪拌を続けた。反応混合物に、ナトリウムメトキシドを加えて中和した後、メタノールを留去した。残渣に酢酸エチルおよびメチルtert−ブチルエーテルを加え、析出した固体をろ過、減圧乾燥を行うことにより、1A(100g)を白色結晶として得た。
[合成例32:3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の合成]
合成例1で合成された1A(55.5g)、ピリジン91.3mLおよびアセトニトリル333mLの混合物に、−5〜0℃にて、合成例22で合成された4D(213.7g)を少量ずつ添加した。室温で1.5時間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣224.4gを得た。残渣をH−NMRで分析した結果、残渣中に含まれる1−カルボメトキシ−3,4,5−トリス(3,4−ジアセチルカフェオイル)キナ酸メチルの純度は92重量%であり、収率は98%だった。
ここで得られた残渣20.3gおよびアセトニトリル38mLの混合物に、10〜25℃にて、ヒドラジン1水和物11.2mLを少量ずつ添加した。室温で1.5時間攪拌後、0〜10℃にて、反応液へ濃塩酸21mLを少しずつ添加した。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、1−カルボメトキシ−3,4,5−トリカフェオイルキナ酸メチル12.2gを得た。
1−カルボメトキシ−3,4,5−トリカフェオイルキナ酸メチル7.51g、無水臭化リチウム15.6g、ピリジン臭化水素酸塩4.80gおよびピリジン45mLの混合物を1.5時間加熱還流した。放冷後、反応液を冷濃塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン)およびODSクロマトグラフィーにより精製して、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(TCQA)6.0gを得た。
[比較例]
キナ酸(0.096g)、ピリジン0.27mLおよびアセトニトリル3mLの混合物に、−5〜0℃にて、合成例20で合成された4D(0.650g)を少量ずつ添加した。0〜5℃で1時間撹拌後、反応液を冷希塩酸に注いだ。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣に、アセトニトリル4mL、水6mLを添加した。10〜20℃にて、水酸化リチウム0.144gを少量ずつ添加した。室温で一晩攪拌後、10〜20℃にて、反応液へ希塩酸を少しずつ添加し、酸性にした。酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸は検出できなかった。

Claims (7)

  1. 式(1)で表される化合物を、式(4)で表される化合物と反応させる工程(1)と、工程(1)で得られた生成物を脱保護し、式(6)で表される3,4,5−トリカフェオイルキナ酸を製造する工程(2)とを少なくとも有する、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法であって、
    前記工程(1)において式(1a)で表される化合物が用いられ、前記工程(1)の前に、式(A3)で表される化合物と式(A5)で表される化合物とを反応させ、式(1a)で表される化合物を得る工程(3)を有する、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の製造方法。
    (式(1)中、R 1 はハロゲン原子で置換されてもよいC 1-6 アルコキシカルボニル基を示し、R 2 はハロゲン原子で置換されてもよいC 1-6 アルキル基を示す。R 3 、R 4 およびR 5 は、水素原子を示す。)
    (式(4)中、X1は、ヒドロキシル基または脱離基を示す。 6 およびR 7 は、同一または異なって、フェノール性ヒドロキシル保護基を示すか、または、R 6 およびR 7 は、一緒になって、カルボニル基(−CO−)および置換されてもよいメチレン基からなる群から選ばれる保護基を示す。
    (式(1a)および式(A3)中、R 1 はハロゲン原子で置換されてもよいC 1-6 アルコキシカルボニル基を示す。式(1a)および式(A5)中、R 2 はハロゲン原子で置換されてもよいC 1-6 アルキル基を示す。)
  2. 前記工程(1)をSP値8.0〜10.0の溶媒下で行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程(1)における前記反応の温度が−10℃〜30℃である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 1がハロゲン原子である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 1が塩素原子である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 6およびR7が、同一または異なって、置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、または、置換されてもよいアシル基である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 6およびR7が、同一または異なって、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-6アルコキシカルボニル基である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
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