JP4498756B2 - エマルション塗料組成物 - Google Patents

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Description

建築物の外装や内装に塗布される塗料としては、環境汚染の観点から、エマルション樹脂を利用した水性塗料が用いられている。一般に、このような用途に用いられる塗料は、低温造膜性と仕上がり時のタック性(ベタつきのなさ)との両立が必要とされる。通常、低温造膜性とタック性とは塗料中に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)によって大きく左右される、相反する性能である。
このようなエマルション塗料では、エマルション樹脂の製造に用いるモノマー混合液のTgだけでは上記の相反する性能を充分に確保することが困難なため、Tgを比較的高い設計にすることによってタック性を確保し、さらに造膜助剤として有機溶剤を含有することによって低温造膜性を確保している(例えば、非特許文献1参照。)。
ところが、さらなる環境への配慮として、揮発性有機化合物(VOC)の含有量を1質量%以下とすることが切望されている。これに対応して、エマルション塗料中に含まれる有機溶剤量等を低減してVOCを1質量%以下とした場合、低温造膜性の確保が困難になるという問題があった。
関西ペイント株式会社技術研究所著、「やさしい技術解説シリーズ(3)水性塗料の技術動向」、第1版、日本塗料新聞社、1994年4月1日、p.52−56
本発明は、低温造膜性とタック性とを高い領域において両立することができるエマルション塗料組成物を提供することにある。
本発明は、ガラス転移温度が−40〜−5℃であるモノマー混合液(a)を乳化重合して得られる、エマルション樹脂(A)と、ガラス転移温度が20〜100℃であるモノマー混合液(b)を乳化重合して得られる、エマルション樹脂(B)とを含んでいて、上記エマルション樹脂(A)/上記エマルション樹脂(B)の固形分質量比が6/4〜9/1でることを特徴とするエマルション塗料組成物であり、上記モノマー混合液(a)が、1分子中に2つ以上の不飽和基を有する架橋性モノマーと連鎖移動剤とを含み、かつ、上記モノマー混合液(a)に含まれる上記架橋性モノマーと連鎖移動剤との質量比が2/1〜30/1であり、上記モノマー混合液(a)に占める上記架橋性モノマーの含有率が1〜6質量%であることが好ましい。ここで、モノマー混合液中に占める連鎖移動剤の含有率は、モノマー混合液の0.1〜3質量%であることが好ましく、また、モノマー混合液(b)は、1分子中に2つ以上の不飽和基を有する架橋性モノマーを含んでいないことが好ましい。
さらに、顔料体積濃度は10〜50%であることが好ましい。
ここで、揮発性有機化合物の含有量が1重量%以下であるエマルション塗料組成物であることが好ましい。
また、本発明は、基材に対して、上記のエマルション塗料組成物を塗布することを特徴とする塗膜形成方法である。ここで、基材は、表面にシーラー、下塗りまたは中塗りが施されていてよい。
本発明のエマルション塗料組成物は、低Tgのモノマー混合液から得られるエマルション樹脂と高Tgのモノマー混合液から得られるエマルション樹脂とを特定の質量比で含んでいるので、低温造膜性とタック性とを高い領域において両立させることが可能である。これは、背反する性能をそれぞれ機能分担させたエマルション樹脂を用いたこと、すなわち、低いTgのモノマー混合液から得られるエマルション樹脂に低温造膜性の機能を、また、高いTgのモノマー混合液から得られるエマルション樹脂にタック性の機能を持たせたことによると考えられる。
特に、連鎖移動剤および架橋性モノマーとを含んだ低Tgエマルション樹脂を利用している場合、その効果が極めて大きくなる。
さらに、揮発性有機化合物の含有量が1質量%以下である場合、本発明の効果を最大限に利用することができる。
また、本発明の塗膜形成方法によって得られる塗膜は、上記エマルション塗料組成物を使用するのでタック性と低温造膜性とに優れている。従って、冬季の塗布においても良好な造膜性を示すことができる。また、塗布した後、ベタつき感がなく良好な仕上がり塗膜を得ることができる。
本発明のエマルション塗料組成物は、エマルション樹脂(A)とエマルション樹脂(B)とを含んでいる。
本発明のエマルション塗料組成物に含まれるエマルション樹脂(A)は、低温造膜性を確保する機能を有するものであり、ガラス転移温度(Tg)が−40〜−5℃であるモノマー混合液(a)を乳化重合して得ることができる。Tgが−40℃未満の場合は得られる塗膜のタック性が不充分になる恐れがあり、Tgが−5℃を超える場合は得られる塗膜の低温造膜性が不充分になる恐れがある。好ましくは、−10℃以下である。なお、上記Tgは、個々のモノマーのホモポリマーのTgを意味するものであり、上記モノマー混合液のTgはそのTgから計算される値である。
上記モノマー混合液(a)に含まれるモノマーは、低温造膜性とタック性の観点から、1分子中に2つ以上の不飽和基を有する架橋性モノマーと連鎖移動剤とを含んでいることが好ましい。
上記架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジアリルフタレート等を挙げることができる。
また、上記連鎖移動剤としては、具体的には、ラウリルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオグリコール酸−2−エチルへキシル、2−メチル−5−t−ブチルチオフェノール、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。
上記モノマー混合液(a)に含まれる上記架橋性モノマーと上記連鎖移動剤との質量比は2/1以上、30/1以下であり、かつ、上記モノマー混合液(a)に占める上記架橋性モノマーの含有率は1質量%以上、6質量%以下である。上記範囲外である場合、得られるエマルション樹脂の安定性および得られる低温造膜性が不充分になる。さらに、得られる塗膜のタック性および低温造膜性の観点から、上記モノマー混合液(a)に占める上記連鎖移動剤の含有率は0.1質量%以上、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
上記モノマー混合液(a)に含まれるその他のモノマーとしては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ−ω−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]ポリ[オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル)]、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸等のカルボン酸基含有不飽和モノマー;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等のアミド基含有不飽和モノマー;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和モノマー;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボニル基含有不飽和モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;スチレン、メチルスチレンのビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル等を挙げることができる。モノマーは2種以上であってもよい。
上記モノマー混合液(a)は、得られるエマルション樹脂(A)の安定性の観点から、上記カルボン酸基含有不飽和モノマーを含んでいて、上記モノマー混合液(a)の酸価は5以上、50以下であることが好ましい。さらに好ましくは、10以上、40以下である。
上記エマルション樹脂(A)は上記モノマー混合液(a)を乳化重合して得ることができる。上記乳化重合方法としては当業者によってよく知られた方法を用いることができ、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物;亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤と上記開始剤のような酸化剤を組み合わせたもの等のレドックス開始剤;4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸等のアゾ系化合物等の重合開始剤を上記モノマー混合液(a)に対して0.1〜3質量%含有させる方法等を挙げることができる。なお、上記乳化重合は多段でも行うことができるが、上記モノマー混合液(a)が上記架橋性モノマーと上記連鎖移動剤とを含む場合は、1段の乳化重合を行うことが好ましい。
得られたエマルション樹脂(A)の体積平均粒子径は特に限定されず、例えば、10〜500nmである。上記体積平均粒子径は、光散乱法等、当業者によってよく知られている方法で決定することができる。
本発明のエマルション塗料組成物に含まれるエマルション樹脂(B)は、タック性を確保する機能を有するものであり、ガラス転移温度が20〜100℃であるモノマー混合液(b)を乳化重合することによって得ることができる。Tgが20℃未満の場合は得られる塗膜のタック性が不充分になる恐れがあり、Tgが100℃を超える場合は得られる塗膜の低温造膜性が不充分になる恐れがある。なお、上記Tgはエマルション樹脂(A)のところで述べたのと同様にして得られる値である。
上記モノマー混合液(b)としては特に限定されず、上記モノマー混合液(a)のところで述べた、種々のモノマーを挙げることができる。上記モノマー混合液(b)は、得られる塗膜の低温造膜性の観点から、1分子中に2つ以上の不飽和基を有する架橋性モノマーを含んでいないことが好ましい。含まないことによって得られるエマルション樹脂(B)が非架橋になり、塗布後の造膜性を高めることができる。
上記モノマー混合液(b)は、得られるエマルション樹脂(B)の安定性の観点から、上記カルボン酸基含有不飽和モノマーを含んでいて、上記モノマー混合液(b)の酸価は5以上、50以下であることが好ましい。さらに好ましくは、10以上、40以下である。
上記エマルション樹脂(B)は上記モノマー混合液(b)を乳化重合して得ることができる。上記乳化重合方法としては、具体的には、上記エマルション樹脂(A)のところで述べた方法を挙げることができる。
得られたエマルション樹脂(B)の体積平均粒子径は特に限定されず、上記エマルション樹脂(A)で述べた範囲のものであってよい。。
本発明のエマルション塗料組成物は、上記エマルション樹脂(A)/上記エマルション樹脂(B)の固形分質量比が6/4以上、9/1以下となるように含んでいる。上記範囲外では、得られる塗膜の低温造膜性とタック性とを両立することが困難になる。好ましくは7/3以上、8/2以下である。
本発明のエマルション塗料組成物は、上記エマルション樹脂の他に、必要に応じて硬化剤、着色顔料、体質顔料、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、凍結防止剤、造膜助剤等を含むことができる。
上記硬化剤としては特に限定されず、イソシアネート化合物、アジピン酸ジヒドラジド等、上記エマルション樹脂の反応性官能基と架橋反応可能な、当業者によってよく知られているものを適宜選択することができる。
上記着色顔料としては特に限定されず、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、酸化鉄、カーボンブラック、二酸化チタン等の無機顔料;アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等の有機顔料等を挙げることができる。また、上記体質顔料は炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、クレー、タルク等を挙げることができる。
なお、本発明のエマルション塗料組成物の顔料体積濃度は、10〜50%であることが好ましい。10%未満であるとタック性が低下する恐れがあり、50%を越えると低温造膜性が低下する恐れがある。
上記凍結防止剤および上記造膜助剤は沸点がVOCに該当するものが多く、環境に対する配慮の観点から、これらを含まないことが好ましい。なお、本発明のエマルション塗料組成物は、上記凍結防止剤および上記造膜助剤を含まなくても、充分な凍結防止性能および造膜性能に優れている。
本発明のエマルション塗料組成物は、環境に対する配慮の観点から、VOCの含有量が1質量%以下であることが好ましい。上記VOCは常圧において揮発性を有する有機化合物であり、VOCの含有量を1質量%以下である場合は、本発明の効果がより発揮される。なお、エマルション塗料組成物中のVOCの有無および含有量は、水素炎イオン化検出器(FID検出器)付きガスクロマトグラフィによる分析等、当業者によってよく知られた方法を用いて得ることができる。
本発明の塗膜形成方法は、基材に対して、上述のエマルション塗料組成物を塗布することを特徴とするものである。上記基材としては特に限定されず、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等およびその表面処理物の金属基材、セメント類、石灰類、石膏類等のセメント系基材、ポリ塩化ビニル類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、アクリル類等のプラスチック系基材等、および、これらからなる建築物や構造物等を挙げることができる。
また、塗布する方法としては特に限定されず、例えば、刷毛塗り、ローラー塗装、ロールコーター、カーテンフローコート、スプレー塗装、ナイフエッジコート、浸漬塗装、電着塗装等により種々の基材に対して行うことができる。塗装後、塗膜は、常温乾燥または加熱を行うことによって塗膜を得ることができる。なお、塗布量、塗装膜厚および乾燥時間は、塗料の種類や適用する基材に応じて任意に設定することができる。
なお、上記基材は、表面にシーラー、下塗りまたは中塗りが施されていてもよい。上記シーラーは、一般に下地調整材として用いられるものであり、特に基材がセメント系基材のように多孔質である場合、基材と上塗りや中塗りとの付着性向上、上塗りや中塗り塗料の吸い込み防止、脆弱な下地の補強、下地からのアルカリ成分の溶出抑制、シミや汚れのブリード防止を目的として施されるものである。
上記下塗りおよび中塗りは、一般に、下地隠蔽性や、下地の変形による上塗りの割れ防止のための応力緩和等を目的として用いられるものである。上記シーラー、下塗りおよび上塗りとしては特に限定されず、アクリル系、アルキド系、ポリエステル系、塩化ビニル系およびエポキシ系等、当業者によってよく知られているものを挙げることができる。形態は有機溶剤型、水性型いずれであってもよいが、環境への配慮から、水性型であることが好ましい。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下において「部」とあるのは「質量部」を意味する。
製造例1 エマルション樹脂A−1
滴下漏斗、温度計、窒素導入管、還流冷却器および撹拌機を備えたセパラブルフラスコにイオン交換水34.5部、ペレックスSS−H(花王社製アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)0.3部を仕込み、窒素雰囲気のもとで80℃に昇温した。2−エチルへキシルアクリレート81部、メチルメタクリレート16部、エチレングリコールジメタクリレート4部、ジアセトンアクリルアミド1部およびメタクリル酸2部からなる、Tgが−50℃、酸価が13であるモノマー混合液に、ドデシルメルカプタン0.6部を加えた後、これを、ペレックスSS−H1.2部をイオン交換水50部に溶解させた乳化剤水溶液中に加え、ミキサーを用いて乳化させてプレエマルジョンを調製した。このようにして得られたプレエマルションと過硫酸アンモニウム0.3部をイオン交換水13部に溶解させた開始剤水溶液を別個の滴下漏斗から同時に滴下した。前者は120分間、後者は150分間にわたって均等に滴下を開始した。滴下終了後、同温度でさらに120分間反応を継続した。冷却後、用いたメタクリル酸の10モル%に相当するアンモニア水で中和した。中和物を200メッシュの金網で濾過し、固形分50%のエマルション樹脂A−1を得た。
製造例2〜5 エマルション樹脂A−2〜A−5
表1の配合に基づいて、各々のガラス転移温度、酸価であるモノマー混合液を得た後、製造例1と同様にして、エマルション樹脂A−2〜A−5を得た。いずれも固形分50%であった。
Figure 0004498756
製造例6 エマルション樹脂B−1
滴下漏斗、温度計、窒素導入管、還流冷却器および撹拌機を備えたセパラブルフラスコにイオン交換水34.5部、ペレックスSS−H(花王社製アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)0.3部を仕込み、窒素雰囲気のもとで80℃に昇温した。スチレン30部、2−エチルへキシルアクリレート39部、メチルメタクリレート28部、ジアセトンアクリルアミド1部およびメタクリル酸2部からなるモノマー混合液に、ペレックスSS−H1.2部をイオン交換水50部に溶解させた乳化剤水溶液中に加え、ミキサーを用いて乳化させてプレエマルジョンを調製した。このようにして得られたプレエマルションと過硫酸アンモニウム0.3部をイオン交換水13部に溶解させた開始剤水溶液を別個の滴下漏斗から同時に滴下した。前者は120分間、後者は150分間にわたって均等に滴下を開始した。滴下終了後、同温度でさらに120分間反応を継続した。冷却後、用いたメタクリル酸の10モル%に相当するアンモニア水で中和した。中和物を200メッシュの金網で濾過し、固形分50%のエマルション樹脂6を得た。
製造例7および8 エマルション樹脂B−2およびB−3
表2の配合に基づいて、モノマー混合液を得たこと以外、製造例6と同様にして、エマルション樹脂7および8を得た。いずれも固形分50%であった。
Figure 0004498756
製造例9 顔料分散ペーストの製造
タイペークCR−50(石原産業社製二酸化チタン)200部、SP−600N(ダイセル社製ヒドロキシセルロース系増粘剤)1部、SNデフォーマ1070(サンノプコ社製消泡剤)1部、ディスパービック190(ビックケミー社製顔料分散剤)15部およびイオン交換水53部を混合した後、ガラスビーズを用いディスパーにて分散し、顔料分散ペーストを得た。
実施例1
製造例3で得られたエマルション樹脂A−3を232部、製造例B−2で得られたエマルション樹脂7を58部、製造例9で得られた顔料分散ペースト150部、SNデフォーマ1070を5部、アジピン酸ジヒドラジド5%水溶液14部、アデカノールUH−420(旭電化社製ウレタン系増粘剤)を6部およびイオン交換水35部を混合して、顔料体積濃度17%のエマルション塗料組成物を得た。この塗料に含まれる沸点が250℃以下の有機化合物(VOC)の含有量をFID検出器付きHP−5890(ヒューレットパッカード社製ガスクロマトグラフィ)にて分析し、検出された揮発成分のピーク面積の合計を予め作成したトルエン標準サンプルの検量線式に代入して求めたところ、0.1質量%であった。
得られたエマルション塗料組成物を、JIS K 5600で定められた標準条件下でガラス板上にアプリケータを用いて乾燥膜厚が50μmとなるように塗布した後、同条件下で1時間放置し、さらに40℃の恒温室にて24時間放置してタック性評価板および耐候性評価板を得た。
また、温度5℃の条件下でガラス板上にアプリケータを用いて乾燥膜厚50μmとなるように塗布した後、同条件下で24時間放置して低温造膜性評価板を得た。
実施例2
さらにダワノールDPnB(ダウケミカル社製ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、沸点229℃)をエマルション樹脂固形分に対して3質量%加えたこと以外、実施例1と同様にして、顔料体積濃度17%のエマルション塗料組成物を得た。この塗料に含まれるVOCの含有量を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィにて分析した結果、3.0質量%であった。
実施例3〜8および比較例1〜4
エマルション樹脂A−3およびB−2の代わりに、表3の配合に基づいたこと以外、実施例1と同様にして、顔料体積濃度17%のエマルション塗料組成物を得た。なお、比較例1では、造膜助剤としてダワノールDPnB(ダウケミカル社製ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、沸点229℃)をエマルション樹脂固形分に対して3質量%となるよう加えた。これらの塗料に含まれるVOCの含有量を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィにて分析した。結果を表3に記載した。さらに、同様にして、タック性評価板、耐候性評価板および低温造膜性評価板を得た。
さらに、実施例1、4および7、ならびに、比較例1、3および4で得られたエマルション塗料組成物について、フレキシル板(JIS A5340準拠)に、ニッペウルトラシーラーIII(日本ペイント社製カルボキシル基を有するスチレン−アクリル樹脂系水性シーラー)を100g/mとなるようにハケ塗りして24時間養生して得られた被塗装物に対して、温度23℃、湿度50%の条件下で乾燥膜厚が50μmとなるようにアプリケータを用いて各々塗布した後、同条件下で1時間放置し、さらに40℃の恒温室にて24時間放置して工程後タック性評価板(1)を得た。
また、同じ塗料組成物について、フレキシル板に、ニッペウルトラシーラーIIIを100g/mとなるようにハケ塗りして24時間養生し、ニッペ水性シルクシーラー厚膜(日本ペイント社製カルボキシル基を有するスチレン−アクリル樹脂系水性シーラー)を300g/mとなるようにハケ塗りして24時間養生して得られた被塗装物に対して、上記と同様にして工程後タック性評価板(2)を得た。
さらに、ニッペ水性シルクシーラー厚膜に代えてニッペアンダーフィラー弾性エクセル(日本ペイント社製スチレン−アクリル樹脂系下塗り材)を800g/mとなるようにハケ塗りして24時間養生して得られた被塗装物に対して、上記と同様にして工程後タック性評価板(3)を得た。
評価試験
作成した各評価板を以下の通り試験し、評価した。なお、評価結果は表3に示した。
(1)単膜および工程後のタック性
タック性評価板および工程後タック性評価板(1)〜(3)を作成した直後に7cm角のウエスを置き、さらにその上に600gのおもりを載せて40℃で24時間放置した後、おもりを取り外して、ウエスを剥がした。ウエスを剥がす時の引き剥がし感をタック性として、以下の評価基準に従って評価した。
◎:抵抗を全く感じず、引き剥がせる
○:やや抵抗を感じるが引き剥がせる
△:抵抗を感じるが引き剥がせる
×:抵抗を感じ、引き剥がすことが困難である
(2)低温造膜性
作成した低温造膜性評価板の塗膜表面状態を目視にて、以下の評価基準に従って評価した。
○:塗膜の割れが全くない
△:塗膜の割れが少しある
×:塗膜の割れが多くある
Figure 0004498756
表3の結果から明らかなように、本発明に含まれる実施例1〜8のエマルション塗料組成物は、低温造膜性とタック性とを高い領域において両立させることができた。しかしながら、比較例1〜4のエマルション塗料組成物は、低温造膜性とタック性とを両立させることができなかった。
本発明のエマルション塗料組成物は建築物の外装および内装に対して用いることができ、VOCが1質量%以下である場合は、学校等の公共施設や不特定多数の人間が集散する建築物等に対して特に好適である。

Claims (5)

  1. モノマー混合液(a)に含まれる各モノマーのガラス転移温度(Tg)から求められる前記モノマー混合液(a)の計算Tgが−40〜−5℃であるモノマー混合液(a)を乳化重合して得られる、エマルション樹脂(A)と、モノマー混合液(b)に含まれる各モノマーのガラス転移温度(Tg)から求められる前記モノマー混合液(b)の計算Tgが20〜100℃であるモノマー混合液(b)を乳化重合して得られる、エマルション樹脂(B)とを含んでいて、前記エマルション樹脂(A)/前記エマルション樹脂(B)の固形分質量比が6/4〜9/1であり、VOC(揮発性有機化合物)の含有量が1質量%以下である、エマルション塗料組成物であって、
    前記モノマー混合液(a)が、1分子中に2つ以上の不飽和基を有する架橋性モノマーと連鎖移動剤とこれら以外のモノマーとを含んでいて、前記架橋性モノマーと連鎖移動剤との質量比が2/1〜30/1であり、前記モノマー混合液(a)中に占める前記架橋性モノマーの含有率が前記モノマー混合液(a)の1〜6質量%であり、前記モノマー混合液(a)中に占める前記連鎖移動剤の含有率が前記モノマー混合液(a)の0.1〜3質量%である、
    建築物の内外装に用いられるエマルション塗料組成物。
  2. 前記エマルション樹脂(B)が非架橋である、請求項1に記載のエマルション塗料組成物。
  3. 顔料体積濃度が10〜50%である、請求項1または2に記載のエマルション塗料組成物。
  4. 基材に対して、請求項1から3までのいずれかに記載のエマルション塗料組成物を塗布する、塗膜形成方法。
  5. 前記基材は、表面にシーラー、下塗り、または中塗りが施されている、請求項4に記載の塗膜形成方法。
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