JP4495808B2 - 燃料タンクの開口取付体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車などの燃料タンクに開設された当該燃料タンクへの燃料の流入、当該燃料タンクからの燃料の流出、当該燃料タンクの通気などのための開口に取り付けられて、かかる燃料タンクに燃料、エア、ガスなどの移送管又は移送チューブを連通状態に取り付けるために用いられる開口取付体の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの燃料タンクに燃料などの移送管や移送チューブを連通状態に取り付けるにあたり、フランジを挟んだ一方側にこの燃料タンクに開設された開口に燃料タンクの外側から差し込まれる差込部を備えると共に、当該フランジを挟んだ他方側に前記移送管や移送チューブに対する連通部を備えた筒状体が用いられている。
【0003】
かかる筒状体はまた、前記フランジの前記差込部側に燃料タンクの外面に対する周回状をなす溶着可能な突部を有しており、かかる差込部を燃料タンクの開口に差し入れた後、この突部を当該燃料タンクの外面に熱溶着などによって気密状態に溶着させて燃料タンクへの取り付けがなされるようにしてあり、かかる開口と差込部との間からの燃料蒸気の抜け出しを当該溶着部分によって阻止するようにするものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、かかる従来の筒状体にあっては、前記燃料蒸気の抜け出しを前記溶着部分によってのみ阻止するものであるため、シール性が十分に確保できるように前記突部の燃料タンク外面への溶着に格別の配慮を払うことを余儀なくされるものであった。
【0005】
そこでこの発明は、燃料タンクに燃料などの移送管などを取り付けるために当該燃料タンクの開口に取り付けられる開口取付体の当該燃料タンクへの溶着による取り付けに格別の配慮を払うことなく、当該開口取付体を当該燃料タンクに対し燃料蒸気の抜け出しを効果的に阻止できる状態で取り付けることができるようにすることを主たる目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明にあっては、燃料タンクの開口取付体が以下の(1)〜(4)の構成を備えたものとした。
(1) 外向きに張り出したフランジを有し、このフランジを挟んだ一方の筒端側を、燃料タンクに開設された当該燃料タンクへの燃料の流入、当該燃料タンクからの燃料の流出、当該燃料タンクの通気などのための開口に当該燃料タンクの外側から差し込まれる差込部とすると共に、前記フランジを挟んだ他方の筒端側を、燃料、エア、ガスなどの移送管又は移送チューブに対する連通部とする筒状をなす燃料タンクの開口取付体であって、
(2)前記フランジにおける燃料タンクの外面に向き合わされる側には、当該燃料タンクの開口縁との間に間隔を開けて当該燃料タンクに突き出し先端側を溶着される周回突部が設けてあると共に、
(3)この周回突部は、前記差込部と内部フランジとを備え且つ燃料蒸気の透過の遮断性の高い合成樹脂よりなる主体部のこの内部フランジの側端を周回突部の基部に位置させるように、この主体部側をインサートとして成形された二次成形部分によって形成されており、
(4)しかも、前記周回突部と差込部の外面との間の隙間を気密状態にシールする周回状をなす弾性シール体を有している。
【0007】
かかる構成によれば、開口取付体の差込部とこの差込部が差し入れられる燃料タンクの開口とを、前記弾性シール体と前記のように溶着されるフランジの周回突部の内外二カ所においてシールすることができ、かかる開口と差込部との間からの燃料タンク内の燃料蒸気の抜け出しを周回突部の溶着に格別の配慮を払うことなく効果的に防止することができる。
【0008】
また、請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の燃料タンクの開口取付体における弾性シール体が、燃料タンクの開口の内壁と差込部との間に入り込む第一のシール部と、少なくとも当該開口における燃料タンクの外側にある開口縁部に接する第二のシール部とを備えた短寸の筒状をなすように構成してあるものとした。
【0009】
かかる構成によれば、燃料タンクの開口と差込部との間を、当該開口の内側と外側の二カ所において当該弾性シール体によって気密状態にシールすることができる。
【0010】
また、請求項3記載の発明にあっては、請求項2記載の燃料タンクの開口取付体における弾性シール体が、第二のシール部側の筒端をもって、フランジに一体に止着されているものとした。
【0011】
かかる構成によれば、前記燃料タンクの開口に差込部を単純に入れ込み、かつ、前記周回突部を溶着することで、内外の二カ所において燃料蒸気を外部に抜け出せない状態での当該開口への開口取付体の取り付けをなすことができる。
【0012】
また、請求項4記載の発明にあっては、請求項2記載の燃料タンクの開口取付体のフランジにおける周回突部と差込部との間に周回溝部が形成されていると共に、弾性シール体が、第二のシール部側の筒端側を弾性的に押し広げた状態で前記周回溝部に当該筒端側をはめ入れて、前記フランジに組み付けられているものとした。
【0013】
かかる構成によっても、前記燃料タンクの開口に差込部を単純に入れ込み、かつ、前記周回突部を溶着することで、内外の二カ所において燃料蒸気を外部に抜け出せない状態での当該開口への開口取付体の取り付けをなすことができる。
【0014】
また、請求項5記載の発明にあっては、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の燃料タンクの開口取付体のフランジが、周回突部の基部に続くポリアセタール製の主体部を有する構成を備えたものとした。
【0015】
かかる構成によれば、ポリアセタールが燃料蒸気の透過の高い遮断性を有することから、より燃料蒸気を外部に抜け出させない状態での燃料タンクの開口への開口取付体の取り付けをなすことができる。
【0016】
また、請求項6記載の発明にあっては、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の燃料タンクの開口取付体のフランジが、周回突部の基部に続く飽和ポリエステル製の主体部を有する構成を備えたものとした。
【0017】
かかる構成によれば、飽和ポリエステルが燃料蒸気の透過の高い遮断性を有することから、より燃料蒸気を外部に抜け出させない状態での燃料タンクの開口への開口取付体の取り付けをなすことができる。
【0018】
また、請求項7記載の発明にあっては、請求項5又は請求項6記載の燃料タンクの開口取付体におけるフランジの主体部が燃料タンクの開口よりも大きく構成してあるものとした。
【0019】
かかる構成によれば、前記燃料タンクの開口より径を大きく構成されるポリアセタール又は飽和ポリエステルにより構成された前記主体部によってかかる開口を覆って、当該開口から燃料蒸気が抜け出さない状態を基本的に確保することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の典型的な実施の形態について説明する。
【0021】
この実施の形態にかかる燃料タンクの開口取付体Jは、自動車などの燃料タンク100に開設された当該燃料タンク100への燃料の流入、当該燃料タンク100からの燃料の流出、当該燃料タンク100の通気などのための開口101に取り付けられて、かかる燃料タンク100に燃料、エア、ガスなどの移送管又は移送チューブ(例えば、燃料ホース、ベントパイプ、キャニスタに燃料タンク100内の燃料蒸気を逃がすようにキャニスタと燃料タンク100との間に設けられる管など)を連通状態に取り付けるために用いられるものである。
【0022】
図1は、かかる開口取付体Jの一構成例の概要を示した断面図である。図中符号102で示されるのは燃料タンク100の天壁であり、符号101で示されるのは当該天壁102に開設された前記開口である。かかる燃料タンク100としては、開口取付体Jの後述するフランジ1の周回突部10を当該燃料タンク100の天壁102の外面に馴染みよく溶着可能ないわゆる樹脂タンクが予定される。かかる樹脂タンクは、典型的には、外面側を高密度ポリエチレンとし内面側をポリアミドやエチレン−ビニルアルコール共重合体とした多層構造のものが用いられる。また、典型的には、かかる開口取付体Jの前記フランジ1における少なくとも周回突部10は馴染みよく前記溶着をなす観点から、少なくともその一部をかかる燃料タンク100の外面103側の構成材料と同一のプラスチック材料か、当該構成材料との馴染みのよいプラスチック材料により構成される。
【0023】
かかる開口取付体Jは、外向きに張り出したフランジ1を有し、このフランジ1を挟んだ一方の筒端側を、前記開口101に前記燃料タンク100の外側から差し込まれる差込部2とすると共に、当該フランジ1を挟んだ他方の筒端側を、前記移送管又は移送チューブ(図示は省略する。)に対する連通部3とする筒状をなすように構成してある。
【0024】
また、前記フランジ1における燃料タンク100の外面103に向き合わされる側には、当該燃料タンク100の開口縁101a部との間に間隔を開けて当該燃料タンク100に突き出し先端10b側を溶着される周回突部10が設けてある。
【0025】
具体的には、図1に示される例にあっては、前記差込部2を真っ直ぐな筒状に構成してあると共に、前記連通部3を下端を当該差込部2の上部中央に連通させて上方に突き出した細い管筒状に構成してある。また、かかる連通部3は途中でほぼ90度屈曲されており、前記差込部2の連通側と反対の管端を横向きに配するようにしてある。
【0026】
また、前記フランジ1は、前記差込部2の上部側において、この差込部2の外周を巡る向きに外向きに張り出した構成としてある。そして、このフランジ1における下面側に当該フランジ1の縁部に沿って当該縁部を巡るように前記周回突部10が設けてある。
【0027】
かかる周回突部10は、前記フランジ1の下面にほぼ直交する向きに突き出すように構成してある。また、かかる周回突部10の内外の側面10aは前記差込部2の外面20にほぼ平行をなすように形成されている。そして、この周回突部10の内側の側面10aと前記差込部2の外面20との間に、前記間隔に起因した隙間Sが形成されるようにしてある。
【0028】
また、かかる開口取付体Jは、前記周回突部10と差込部2の外面20との間の隙間Sを気密状態にシールする周回状をなす弾性シール体を有している。
【0029】
図1に示される例では、かかる弾性シール体4aは、前記燃料タンク100の開口101の内壁101bと差込部2との間に入り込む第一のシール部40と、当該開口101における燃料タンク100の外側にある開口縁101aに接する第二のシール部41とを備えた短寸の筒状をなすように構成してある。
【0030】
具体的には、かかる図1に示される例にあっては、かかる弾性シール体4aは、前記開口101の内径にほぼ等しいか、やや大きい外径を備えると共に、前記差込部2の外径とほぼ等しいか、やや小さい内径を備えた主体部42と、その一方の筒口を巡るように外向きに張り出した鍔部43とを備えている。そして、この鍔部43が設けられていない他方の筒口側から前記燃料タンク100の開口101に当該鍔部43が当該開口101における燃料タンク100の外側にある開口縁101a部に接する位置まで、おおむね前記主体部42をすぼみ込ませる向きに弾性変形させて当該主体部42の外面を当該開口101の内壁101bに押し付けた状態で、入れ込むことができる構成としてある。なお、この図1に示される例にあっては、かかる弾性シール体4aにおける前記鍔部43が設けられた側と反対の筒口に前記開口101への当該弾性シール体4aの入れ込みに伴って当該開口101の内壁101bに押し込まれて一旦この筒口側をすぼみこませると共に、燃料タンク100の内側への入り込みに伴って当該筒口側を弾性復帰させて当該燃料タンク100における内側にある前記開口101の開口縁101aに掛合される掛合鍔44が形成してある。なおまた、かかる弾性シール体4aへの所用の弾性変形特性の付与は、かかる弾性シール体4aをゴムやゴム状弾性を備えたプラスチック材料より構成することによりなすことができる。
【0031】
したがって、かかる図1に示される例にあっては、かかる弾性シール体4aを前記開口101に前記のように入れ込んだ後、前記差込部2を前記フランジ1の形成側と反対の筒口側から当該弾性シール体4aの内側に入れ込むことにより当該弾性シール体4aの主体部42を差込部2の外面20と燃料タンク100の開口101の内壁101bとの間で押しつぶすように弾性変形させることができ、かかる差込部2の外面20とこの差込部2の入れ込みにより燃料タンク100の外面103に突き出し先端10bを押し当てられる前記周回突部10との間の隙間Sを当該弾性シール体4aによって気密状態にシールすることが可能とされる。すなわち、この実施の形態にあっては、かかる弾性シール体4aの主体部42が前記第一のシール部40として機能し、また、前記鍔部43が前記第二のシール部41として機能している。
【0032】
そして、この図1に示される例にあっては、このように前記差込部2を前記弾性シール部の内側に入れ込んだ後、前記フランジ1の周回突部10の突き出し先端10b側を燃料タンク100の外面103に当該周回突部10の全周に亙って溶着させて、開口取付体Jを燃料タンク100に対し取り付けることが可能とされる。かかる周回突部10の燃料タンク100の外面103に対する溶着は、超音波溶着や加熱溶着など、当該周回突部10の突き出し先端10b側を一旦溶融させた後の硬化によって当該溶融箇所を燃料タンク100の外面103に固着させる手法によりなすことができる。
【0033】
この結果、この図1に示される例にあっては、開口取付体Jの差込部2とこの差込部2が差し入れられる燃料タンク100の開口101とを、前記弾性シール体4aと前記のように溶着されるフランジ1の周回突部10の内外二カ所においてシールすることができ、かかる開口101と差込部2との間からの燃料タンク100内の燃料蒸気の抜け出しを効果的に防止することができる。
【0034】
図2は、かかる開口取付体Jの他の一つの構成例の概要を示した断面図である。
【0035】
この図2に示される例にあっては、前記フランジ1の下面側において前記周回突部10と差込部2との間に周回溝部11が形成されている。
【0036】
また、前記弾性シール体が、燃料タンク100の開口101の内壁101bと差込部2との間に入り込む第一のシール部40と、少なくとも当該開口101における燃料タンク100の外側にある開口縁101aに接する第二のシール部41とを備えた短寸の筒状をなす弾性シール体4bとして構成してある。
【0037】
また、前記周回溝部11における差込部2の側にある溝側壁に対し、かかる弾性シール体4aが、前記第二のシール部41側の筒端側にある内面を密着させた状態で、この筒端側を当該周回溝部11に納め入れて前記フランジ1に組み付けられている。
【0038】
また、この図2に示される例にあっては、前記燃料タンク100の外側から内側に向けて窪まされた凹所105内に前記開口101が形成されていると共に、前記フランジ1における周回溝部11と差込部2との間に、当該開口101を巡る前記凹所105の底面に燃料タンク100の外面103より下方で向き合う押圧面12aを備えた隆起部12が形成されている。
【0039】
そして、この図2に示される例にあっては、前記弾性シール体4bの第二のシール部41を前記凹所105の底面と前記隆起部12の押圧面12aとで押しつぶすようにして前記燃料タンク100の開口101に開口取付体Jが組み付けられる構成としてある。また、前記第一のシール部40が前記開口101への差込部2の差し入れに伴って差込部2の外面20と開口101の内壁101bとの間を弾性変形した状態で気密状態にシールする構成としてある。
【0040】
この結果、この図2に示される例にあっても、前記開口取付体Jの差込部2とこの差込部2が差し入れられる燃料タンク100の開口101とを、前記弾性シール体4bと前記のように溶着されるフランジ1の周回突部10の内外二カ所においてシールすることができると共に、かかる開口101と差込部2との間からの燃料タンク100内の燃料蒸気の抜け出しを効果的に防止することができる。特に、この図2 に示される例にあっては、前記弾性シール体4bの第二のシール部41を、前記開口101の外側において前記周回突部10と差込部2との間の隙間Sを気密状態に十分にシールさせるように機能させることができる。
【0041】
この図2に示される例における前記弾性シール体4bとフランジ1との組み付けは、例えば、前記周回溝部11に納められる前記弾性シール体4bの第二のシール部41側の筒端45を、当該周回溝部11における差込部2側にある溝側壁に対し接着、溶着などして一体に止着してなすことができる。また、かかるフランジ1側をかかる弾性シール体4bを成形する金型のインサートとして、かかるフランジ1の周回溝部11に第二のシール部41側の筒端45を入り込ませた状態で当該弾性シール体4bを射出成形によって当該フランジ1に一体に形成させておくこともできる。また、前記周回溝部11に前記弾性シール体4bが、第二のシール部41側の筒端45側を弾性的に押し広げた状態ではめ入れられるようにして、当該弾性シール体4bと前記フランジ1との組み付けをなすこともできる。
【0042】
このように、弾性シール体4bとフランジ1とをあらかじめ一体に組み付けておいた場合、前記燃料タンク100の開口101に差込部2を単純に入れ込み、かつ、前記周回突部10を溶着することで、内外の二カ所において燃料蒸気を外部に抜け出せない状態での当該開口101への開口取付体Jの取り付けをなすことができる。
【0043】
図3および図4は、いわゆるカットオフバルブ200にこの実施の形態にかかる開口取付体Jを適用した例を示している。
【0044】
図中符号201は、差込部2の内部に上下動可能に納められたフロートであり、このフロート201は当該差込部2内に燃料が入り込まない状態においては当該差込部2における前記連通部3と連通した上部筒端と反対の下部筒端を閉塞する透孔202aの設けられた蓋板202に支持され、この状態においては当該透孔など202aを通じて当該差込部2に入り込んだ燃料タンク100内の燃料蒸気が前記連通部3に抜け出して当該連通部3に接続された管などを通じて燃料タンク100の外部に案内されるものとされる。また、前記差込部2と連通部3との連通箇所にはフロート201の上部に設けられた弁突起203の納まる弁座204が設けられており、前記蓋体202に設けられた透孔202aや差込部2の側部に設けられた透孔205から差込部2内部に燃料が流入した際には前記フロート201が上方に移動され、このフロート201の移動により前記弁座204に弁突起203を収めさせて前記連通部3への燃料の流入が遮断される構成としてある。
【0045】
また、図3に示される例では、前記差込部2の上部に内部フランジ13(特許請求の範囲第5項および第6項における主体部)が形成されている。
【0046】
この図3に示される例にあっては、かかる内部フランジ13は、燃料タンク100の開口101より大きい径を有し、かつ、その上面13a側に後述する二次成形部分14により外面を覆われる連通部構成体3’を一体に有すると共に、下面13c側に差込部2を一体に備えている。
【0047】
そして、この図3に示される例にあっては、前記連通部構成体3’の外側面、ならびに、この内部フランジ13の上面13a、側端面13bおよびこの側端面13bに続く内部フランジ13の下面13cの一部を覆った二次成形部分14を、当該内部フランジ13側をインサートとして射出成形により成形させた構成としてある。すなわち、この図3に示される例にあっては、前記周回突部10は、前記内部フランジ13の側端を当該周回突部10の基部に位置させるように、当該内部フランジ13側をインサートとして成形された前記二次成形部分14によって形成されている。そして、この図3に示される例では、かかる内部フランジ13の下面13cであって、前記周回突部10と差込部2との間に、リング状をなす弾性シール体4cが一体に設けられており、前記燃料タンク100の開口101への差込部2の入れ込みに伴ってこの弾性シール体4cが当該開口101を巡る燃料タンク100の外面103に押し付けられて前記周回突部10と差込部2との間の前記隙間Sを気密状態にシールするようにしてある。
【0048】
また、図4に示される例にあっても、前記差込部2の上部に燃料タンク100の開口101より大きい径を有する内部フランジ13が形成されていると共に、前記連通部構成体3’の外側面、ならびに、この内部フランジ13の上面13a、側端面13b、および、この側端面13bに続く内部フランジ13の下面13cの一部を覆った二次成形部分14を、当該内部フランジ13側をインサートとして射出成形により成形させた構成としてある。すなわち、この図4に示される例にあっても、前記周回突部10は、前記内部フランジ13の側端を当該周回突部10の基部に位置させるように、当該内部フランジ13側をインサートとして成形された前記二次成形部分14によって形成されている。
【0049】
そして、この図4に示される例では、前記内部フランジ13の下面13c側であって、前記周回突部10と差込部2との間に、前記図2に示される例と同一構成の周回溝部11と隆起部12が形成されており、この周回溝部11に当該図2に示される例における弾性シール体4bと同一構成の弾性シール体4dを一体に組み付けてある。
【0050】
かかる図3および図4に示される例にあっては、前記内部フランジ13側を例えばポリアセタールや飽和ポリエステルにより構成し、前記二次成形部分14を高密度ポリエチレンにより構成することができる。
【0051】
このように構成した場合、先ず、前記燃料タンク100の開口101より径を大きく構成されるポリアセタールや飽和ポリエステルにより構成された前記内部フランジ13によってかかる開口101を覆って、当該開口101から燃料蒸気が抜け出さない状態を基本的に確保することができる。
【0052】
また、図3に示される例にあっては、ポリアセタールや飽和ポリエステルにより構成された前記内部フランジ13の下面13cと燃料タンク100の外面103との間を前記弾性シール材4cによって気密状態にシールすることができ、また、図4に示される例にあっては、ポリアセタールや飽和ポリエステルにより構成された前記差込部2の外面20と燃料タンク100の開口101の内壁101bとの間を前記弾性シール材4dの第一のシール部40によって気密状態にシールすることができる。
【0053】
すなわち、この図3および図4に示される例にあっては、ポリアセタールや飽和ポリエステルに比べ燃料蒸気の透過の遮断性の低い高密度ポリエチレンにより構成された二次成形部分14を通じた燃料蒸気の抜け出しを、燃料タンク100の外面103への周回突部10の溶着容易性を損なうことなく(つまり、かかる周回突部10を燃料タンク100の外面側を構成する高密度ポリエチレンと馴染みの良い高密度ポリエチレンとしながら)効果的に阻止することができる。
【0054】
なお、図3および図4において、二点鎖線で示される部分は、溶着前の周回突部10の突き出し先端10bの輪郭形状を示したものである。
【0055】
【発明の効果】
この発明にかかる燃料タンクの開口取付体によれば、燃料タンクの外面と周回突部との溶着による取り付けに格別の配慮を払うことなく、当該開口取付体を当該燃料タンクに対し燃料蒸気の抜け出しを効果的に阻止できる状態で取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】開口取付体の一例を示す断面構成図
【図2】開口取付体の他の一例を示す断面構成図
【図3】カットオフバルブ200への適用例を示す断面構成図
【図4】カットオフバルブ200への他の適用例を示す断面構成図
【符号の説明】
100 燃料タンク
101 開口
1 フランジ
10 周回突部
10a 突き出し先端
2 差込部
3 連通部
4a、4b、4c、4d 弾性シール体
J 開口取付体

Claims (7)

  1. 外向きに張り出したフランジを有し、このフランジを挟んだ一方の筒端側を、燃料タンクに開設された当該燃料タンクへの燃料の流入、当該燃料タンクからの燃料の流出、当該燃料タンクの通気などのための開口に当該燃料タンクの外側から差し込まれる差込部とすると共に、前記フランジを挟んだ他方の筒端側を、燃料、エア、ガスなどの移送管又は移送チューブに対する連通部とする筒状をなす燃料タンクの開口取付体であって、
    前記フランジにおける燃料タンクの外面に向き合わされる側には、当該燃料タンクの開口縁との間に間隔を開けて当該燃料タンクに突き出し先端側を溶着される周回突部が設けてあると共に、
    この周回突部は、前記差込部と内部フランジとを備え且つ燃料蒸気の透過の遮断性の高い合成樹脂よりなる主体部のこの内部フランジの側端を周回突部の基部に位置させるように、この主体部側をインサートとして成形された二次成形部分によって形成されており、
    しかも、前記周回突部と差込部の外面との間の隙間を気密状態にシールする周回状をなす弾性シール体を有していることを特徴とする燃料タンクの開口取付体。
  2. 弾性シール体が、燃料タンクの開口の内壁と差込部との間に入り込む第一のシール部と、少なくとも当該開口における燃料タンクの外側にある開口縁部に接する第二のシール部とを備えた短寸の筒状をなすように構成してあることを特徴とする請求項1記載の燃料タンクの開口取付体。
  3. 弾性シール体が、第二のシール部側の筒端をもって、フランジに一体に止着されていることを特徴とする請求項2記載の燃料タンクの開口取付体。
  4. フランジにおける周回突部と差込部との間に周回溝部が形成されていると共に、
    弾性シール体が、第二のシール部側の筒端側を弾性的に押し広げた状態で前記周回溝部に当該筒端側をはめ入れて、前記フランジに組み付けられていることを特徴とする請求項2記載の燃料タンクの開口取付体。
  5. フランジが、周回突部の基部に続くポリアセタール製の主体部を有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の燃料タンクの開口取付体。
  6. フランジが、周回突部の基部に続く飽和ポリエステル製の主体部を有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の燃料タンクの開口取付体。
  7. フランジの主体部が燃料タンクの開口よりも大きく構成してあることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の燃料タンクの開口取付体。
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