JP4495794B2 - 信号伝送装置及びx線ctスキャナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対運動する送信部と受信部との間で光を用いて信号を伝送するための信号伝送装置に関し、例えばX線CT装置の如く回転部と固定部との間で信号を送受信するために用いられる信号伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、X線CT装置では、回転部と固定部のいずれか一方に、電気信号を光信号に変換して発光する発光手段を設け、他方に光信号を受光して電気信号に変換する受光手段を設け、これら手段を用いて回転部と固定部との間で信号の送受信を行っている。
【0003】
図15は、従来のX線CT装置における発光ダイオード(以下、LEDとする。)、フォトダイオード(以下、PDとする。)の位置関係及びLEDから発せられる光の指向性を示す図である。回転部とともにLED101〜104が連続回転している際に、LED101〜104から発せられた光が固定部のPD201〜204に途切れなく照射されるようにするために、指向性の低いLEDが使用される。つまり、図15の線601に囲まれた矢印が示すように、LED101から発せられる光が、特定方向に集中することなく、広がるようにする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
X線CT装置と同様に、相対運動する送信部と受信部との間で信号を送受信する装置としてボリュームCT、デジタル回転アンギオ等がある。しかし、ボリュームCT、デジタル回転アンギオ等では通信量が、従来の数倍から数百倍になる。増大する通信量に対応するためには、LEDの明滅の周波数を数10MHzから数GHzまで上げる必要がある。
【0005】
しかし、LEDの明滅の周波数を上げると、LEDの発光量が低下し、その結果PDの受光量が低下するため、通信の誤り率が増えてしまう。このため、X線CT装置で使用されている従来の信号伝送装置を用いたのでは円滑な通信が困難である。
【0006】
受光量は、通常、発光手段と受光手段との距離の二乗に反比例する。具体的には、図16に示すように、LED101又はLED102と、PD201との距離t1の二乗に反比例して、PD201の受光量は少なくなる。一方、距離t1を小さくすれば、受光量は多くなる。つまり、PDをLEDに近づけることにより、受光量の低下を抑制しうる。
【0007】
しかし、LEDとPDを接近させ過ぎると、PDへの入光がない部分が生じてしまう。具体的には、図17に示すように、LED101又はLED102と、PD201との距離がt2のように近過ぎると、LED101の照射領域の下限とLED102の照射領域の上限との間にPD201が位置するという状態が生じてしまう。このため、回転時においてPD201が連続的に光を受け続けるためには、LED101と102の間にもう1つLEDを設ける必要が生じてしまう。
【0008】
つまり、周波数の上昇に伴い発光手段の発光量が低下してしまい、それを補うために発光手段と受光手段の距離を近づけると、発光手段と受光手段が多数必要になってしまう。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、相対運動する送信部と受信部の間で、光を用いて、大量の信号を信頼性良く高速に送受信できる信号伝送装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、相対的な位置が変化する送信部と受信部との間で光を用いて信号を伝送する信号伝送装置であって、前記送信部に設けられ、送信すべき情報を符号化した信号に応じて、輝度、波長、偏光のいずれか1つ又は2以上を変調した光を発する発光手段と、前記受信部に設けられ、前記光を受けて前記変調を検出する受光手段と、前記光の進行方向の、前記発光手段を基準とする座標系における前記受光手段の軌道を含む平面と垂直な成分を変化させることによって、前記軌道上に、前記光を概ね集光させる集光手段と、を具備することを特徴とする。また、被検体を挟んでX線管とX線検出器が回転し、前記X線検出手段で取得された信号を送信する送信部と、前記信号を受信して画像を再構成し、固定された受信部と、前記送信部に設けられ、送信すべき情報を符号化した信号に応じて、輝度、波長、偏光のいずれか1つ又は2以上を変調した光を発する発光手段と、前記受信部に設けられ、前記光を受けて前記変調を検出する受光手段と、前記光の進行方向の、前記発光手段を基準とする座標系における前記受光手段の軌道を含む平面と垂直な成分を変化させることによって、前記軌道上に、前記光を概ね集光させる集光手段と、を具備することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明をする。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である信号伝送装置が適用されるX線CTスキャナの概略を示す図である。
【0013】
図2は、本発明の第1実施形態である信号伝送装置が適用されるX線CTスキャナの回路構成の概略を示すブロック図である。なお、図1と図2において共通する部分には、同一の符号を付している。
【0014】
図1に示すように、X線管12、X線検出器16等を含む回転部10が、固定部8に回転可能に支持されている。回転部10の回転軸の方向は、孔部に被検体を挿入する方向とする。
【0015】
回転部10に設けられたX線管12からX線が被検体14に曝射され、被検体14を透過したX線はX線管12と対向して回転部10に設けられたX線検出器16により検出される。
【0016】
図2において、検出器16の検出データは、データ収集システム(DAS)18により集められ、データ分配部20により、発光手段1の駆動部23に分配される。駆動部23は、X線の検出データに対応するオン・オフの2値データにより発光手段1を駆動する。発光手段1から発せられた光は、集光手段3により集光され、受光手段5に入射する。受光手段5は、受けた光を電気信号に変換し、出力する。画像再構成部25は、受光手段5が出力する電気信号から画像を再構成し、モニタ27に表示する。尚、以下、発光手段1、受光手段5のそれぞれの一例としてLED、PDを用いた場合を説明する。
【0017】
図3は、本発明の第1実施形態である信号伝送装置の構成を示す図である。この信号伝送装置は、送信すべき情報を符号化した信号に応じて輝度を変調した光を発するLED1と、LED1が発した光を受けて輝度の変調を検出するPD5と、LED1を基準とする座標系におけるPD5の軌道上にLED1の発した光を概ね集光させるシリンドリカルレンズ3を具備する。
【0018】
LED1は、回転部10の外周面に所定間隔で配置される。一方、回転部10の外周面と対向する固定部8の孔部の壁面にPD5が配置される。シリンドリカルレンズ3も、図示しない支持手段により、固定部8に支持されている。LED1は、回転部10の回転に伴い円周上を移動する。一方、固定部8に設けられたPD5とレンズ3は、固定されていて移動しない。
【0019】
すなわち、PD5とシリンドリカルレンズ3の相対的な位置は変化しないが、これらPD5とレンズ3に対するLED1の相対的な位置は変化する。
【0020】
なお、クロストークを回避するため、各LED1から発せられた光の照射領域が重ならないように、各LED1の間隔をあける。また、レンズ3は、PD5が配置される円周に沿って伸び、かつ円周に沿って湾曲している。
【0021】
各LED1が配置される円周と各PD5の軌道となる円周は、半径は異なるが中心が共通する2つの円の円周である。各PD5の軌道と各LED1とは、同一平面上に存在し、この平面上にLED1から発せられた光をシリンドリカルレンズ3を用いて集光する。
【0022】
各々直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)からなる直交座標系を用いて説明すると、PD5の軌道とLED1とは、同一平面(例えば、XY平面)に存在する。そして、この平面から遠ざかろうとする光(例えば、Z軸方向の成分を有する光)を集光手段を用いて屈折させ、XY平面上のPD5の軌道上に集める。
【0023】
LED1は、X線の検出データに対応するオン・オフの2値データに応じて明滅する。つまり、LED1は、送信すべき情報を符号化した信号に応じて輝度を変調した光を発する。なお、輝度の変調とは、明滅のみを意味するものではなく、単位面積当たりの明るさの強弱を変化させるものであっても良い。
【0024】
シリンドリカルレンズ3に照射される光を回転部10の回転軸方向から見た場合、LED1が発した光は扇状の照射領域を有し、レンズ3通過後も同様に扇状の照射領域を維持する。つまり、LED1が発した光の進行方向を、PD5の軌道が含まれる平面方向とかかる平面に垂直な方向に分けて考えた場合、PD5の軌道が含まれる平面方向に関しては光の進行方向はレンズ3通過後もほぼ変化しない。
【0025】
PD5の軌道が含まれる平面方向に関しては光の進行方向はほぼ変化しないということは、かかる平面上において光が有する広がりは、レンズ3通過後も維持されることを意味する。
【0026】
つまり、LED1から発せられた光は、PD5の軌道が含まれる平面上には集められるが、かかる平面上の一点に集められるものではない。
【0027】
図4は、LED1が配置される円周の接線方向から見たLED1A、シリンドリカルレンズ3AおよびPD5Aの断面図である。レンズ3Aの曲率、材質は、LED1Aから入射された光をPD5Aの軌道が含まれる平面上に概ね集光させるように、選択される。具体的には、例えば図4に示すように、レンズ3Aの上端部に入射した光が、PD5Aの軌道の上端部より少し上方に、またレンズ3Aの下端部に入射した光が、PD5Aの軌道の下端部より少し下方に到達するように、レンズ3Aの曲率等を選択する。
【0028】
レンズ3Aを配置することにより、かかるレンズが配置されなかったならばPD5Aの軌道外に照射されてしまう光も、PD5Aの軌道上に照射することが可能となる。
【0029】
つまり、レンズ3Aを配置することにより、かかるレンズが配置されなかったならばPD5Aに受光されない光(例えば、レンズ3Aの上端部に入射した光や下端部に入射した光)も、PD5Aに受光されるようにすることが可能となり、PD5Aの受光量を増やすことができる。
【0030】
図5は、LED1の発した光がPD5の軌道上で一本の細い線状の照射領域を有するようにした場合の、PD5の受光可能領域と線状の照射領域CL1との位置関係を示す図である。
【0031】
LED1の発した光をPD5の軌道上で一本の線状の光となるように集めると、この線状の照射領域CL1と受光可能領域(図中の斜線部)が重なるPD5A−1〜2は受光可能だが、照射領域CL1と受光可能領域が重ならないPD5A−3は受光できない。
【0032】
図6は、LED1の発した光がPD5の軌道上に概ね集光した状態を示す図である。具体的には、LED1の発した光がPD5の軌道上で一本の太い線状(帯状)の照射領域を有するようにした場合の、PD5の受光可能領域と帯状の照射領域BL1との位置関係を示す図である。
【0033】
図4に示したように、LED1の発した光を、LED1から見てPD5の後方に集めるようにすると、図6に示すように、LED1の発した光はPD5の軌道上には一定の幅を有する帯状の光BL1として到達する。このように照射領域が一定の幅を有すると、その照射領域の中心線CL2と受光可能領域が重なるPD5A−1やPD5A−2のみならず、中心線CL2とは重ならないが帯状の照射領域BL1となら重なるPD5A−3やPD5A−4も受光可能である。
【0034】
つまり、LED1の発した光が、帯状の照射領域を有する光としてPD5の軌道上に到達するようにすることにより、PD5の上下方向のずれに対する許容範囲が広がる。
【0035】
なお、図3に示すように、シリンドリカルレンズ3を、固定部8の孔部の壁面に沿って湾曲させると、シリンドリカルレンズ3により集光された光が集まる位置も、図3の破線DL3の様に、固定部8の孔部の壁面に沿って湾曲する。
【0036】
(効果)
受光手段が発光手段から発せられた光を受け取るためには、少なくとも受光手段が光の照射領域内に存在しなければならない。
【0037】
しかし、受光手段が照射領域内に存在しても、全ての照射光が受光手段により受け取られるわけではない。照射された光の内、受光手段の軌道上の光のみが受光手段により受け取られるのである。照射光の内、受光手段の軌道外の光は、受光手段により受け取られず、従って信号伝送に寄与しない。
【0038】
そこで、集光手段が無ければ受光手段の軌道外に照射される光を、集光手段を用いて軌道上に集光させることにより、受光手段による受光可能とし、受光手段の受光量を増加させることができる。
【0039】
また、軌道上に集光させるとは、軌道上の一点に集光させるのではなく、軌道上にまんべんなく集光させるのが望ましい。軌道上の一点に集光させたのでは、その一点を通過する瞬間にしか受光手段は受光し得ない。
【0040】
しかし、軌道上にまんべんなく集光させれば、軌道上を移動している間、常に、受光手段は受光可能となり、信号伝送が可能となる。
【0041】
さらに、軌道上に概ね集光させれば良く、軌道上に厳密に集光させる必要はない。軌道上に厳密に集光させると、受光手段が本来の軌道からわずかにずれただけで信号が伝送できなくなってしまうか、または、受光手段の軌道からのずれに照射光を追従させるための複雑な機構が必要となってしまう。
【0042】
しかし、軌道上に概ね集光させることにより、受光手段が本来の軌道からわずかにずれた場合であっても、照射光を受光手段に追従させるための機構を必要とすることなく、連続的な信号伝送を継続させることができる。
【0043】
このように、LED1が発する光を、PD5の軌道上に概ね集光させることにより、LED1の発光量が減少しても、PD5の受光量の低下を抑えることができる。よって、伝送信号の周波数の上昇によりLED1の発光量が低下しても、通信の誤り率の増加を回避することができる。
【0044】
また、LED1の光を軌道上の一点ではなく、軌道上にまんべんなく集光させることにより、PD5は軌道上を移動する間、常に受光可能となるため、少ないLED1、PD5で連続して信号を伝送できる。
【0045】
さらに、LED1の光をPD5上に概ね集光させることにより、PD5のずれに対する許容範囲を広げることができる。
【0046】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態である信号伝送装置の構成を示す図である。なお、図1と同じ部分には、同一の符号を付している。
【0047】
本実施形態では、シリンドリカルレンズ32は、図示しない支持手段により回転部10に支持され、回転部10およびLED1とともに回転する。
【0048】
図8は、図7に示すLED1A、シリンドリカルレンズ32AおよびPD5Aを、LED1Aが配置される円周の接線方向から見た断面図である。
【0049】
LED1Aから発せられた光は、シリンドリカルレンズ32Aにより、PD5Aの手前の点線DL5(図7)上で一本の線状の光となるように、レンズ32Aの曲率等を選択する。
【0050】
PD5Aの手前で一本の線上に集められた光は、帯状の照射領域を有する光としてPD5Aの軌道上に照射される。
【0051】
(効果)
照射光を受光手段を用いて、受光手段の軌道上に概ね集光することにより、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0052】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態である信号伝送装置の構成を示す図である。なお、図1と同じ部分には、同一の符号を付している。
【0053】
第1及び第2実施形態では、LED1は回転部に、PD5は固定部10に配置したが、本実施形態では、LED1は固定部に、PD5は回転部10に配置する。また集光手段としてフレネルレンズ33を使用する。フレネルレンズ33は、図示しない支持手段により、固定部8に支持される。
【0054】
図10(a)は本実施形態で使用するフレネルレンズ33Aの断面図、図10(b)はその正面図である。
【0055】
一般的なフレネルレンズは、複数の輪帯状のレンズによって構成されるが、本実施形態で使用するフレネルレンズ33Aは、輪状ではなく直線状の、複数の帯状レンズによって構成される。
【0056】
かかるフレネルレンズ33Aの断面形状は、図10(a)に示すように、鋸の歯のような形状であり(但し、各歯の斜辺部は直線ではなく、同一の曲率を有する)、また正面形状は、図10(b)に示すように、一定の幅を有する帯状体を平行に並べたものとなる。
【0057】
かかるフレネルレンズ33Aは、前記シリンドリカルレンズと比較して厚みを減じながら、同様の集光作用を有する。
【0058】
(効果)
かかるフレネルレンズ33を使用して、LED1が発した光をPD5の軌道上に概ね集光させることにより、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
また、フレネルレンズを使用することにより、レンズを薄くすることができるため、軽量化が達成され、放熱特性も向上する。
【0060】
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態である信号伝送装置の構成を示す図である。第3実施形態と同様に、LED1は固定部8に固定し、PD5は回転部10に固定する。集光手段34は、図示しない支持手段により回転部に支持され、PD5とともに回転する。集光手段34としては、前記のシリンドリカルレンズ又はフレネルレンズのいずれも使用可能である。
【0061】
また、レンズの形状は、直線的であっても又回転部の壁面に沿って湾曲しても良い。
【0062】
(効果)
集光手段がPD5とともに回転する場合であっても、LED1の発した光を集光手段を用いて、PD5の軌道上に概ね集光させることにより、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
(第5実施形態)
集光手段として、レンズの代わりに、曲面鏡例えば、楕円面鏡を使用する。楕円面鏡の配置位置は、LEDとPDの間ではなく、LEDまたはPDの後方とする。
【0064】
図12は、楕円面鏡の形状およびLEDの配置位置を示す斜視図である。LED1Aは、楕円面鏡35内に配置され、楕円面鏡35の鏡面に向かって光を発する。また、楕円面鏡35の母線に対し垂直に遮蔽板55を設ける。
【0065】
図13は、楕円面鏡35に対するLED1AとPD5Aの位置を示す図である。LED1Aを楕円面鏡35の一方の焦点に配置し、PD5Aを楕円面鏡35の他方の焦点よりLED1Aから少し遠い位置に配置する。LED1Aから発せられた光は、楕円面鏡35によって反射され、他方の焦点に集められる。反射光は、焦点に集束し、その後広がり、PD5Aに到達する。
【0066】
図14は、帯状の照射領域に集められた光を楕円面鏡の後方から見た図である。楕円面鏡35を用いた本実施形態においても、シリンドリカルレンズを用いた前記第2実施形態と同様に、LED1Aから発せられた光は、PD5Aの軌道の手前で一本の線上に集められ、その後広がり、帯状の照射領域75を有する光として、PD5Aの軌道上に集光される。なお、楕円面鏡35の母線に垂直な遮蔽板55を楕円面鏡35の左右端に設け、母線長手方向への光の広がりを抑え、クロストークを防止する。
【0067】
また、楕円面鏡は、LEDから見てPDの後方に配置しても良い。その場合は、LEDの発光面の向きおよびPDの受光面の向きはいずれも、第5実施形態と逆になる。
【0068】
(効果)
LED1Aの発した光を、楕円面鏡により、PD5の軌道上に概ね集光させることにより、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
また、楕円面鏡は、PDから見てLEDの後方、又はLEDから見てPDの後方に配置される。このため、LEDとPDの間にレンズを配置する第1〜4実施形態に比べ、LEDとPDの間隔を狭くすることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0070】
なお、楕円面鏡を使用する場合であっても、第1〜4実施形態と同様に、LED又はPDは、回転部又は固定部のいずれに配置しても良い。また、第1〜4実施形態で使用されたシリンドリカルレンズ又はフレネルレンズと同様に、楕円面鏡も回転部又は固定部のいずれに配置しても良い。LED、PD及び楕円面鏡の配置位置に関わらず、LEDの発した光をPDの軌道上に概ね集光させれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0071】
以上、発光手段から発せられた光を1つの集光手段によって受光手段の軌道上に概ね集光させる実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、2又はそれ以上の集光手段を用いて集光させても良い。
【0072】
例えば、発光手段から発せられた光を第1の集光手段を用いて平行光線とし、この平行光線を第2の集光手段に照射し、この第2の集光手段を用いて前記平行光線を概ね受光手段の軌道上に集光させても良い。
【0073】
なお、本発明は、発光手段又は受光手段のいずれか一方のみが移動する場合のみならず、発光手段および受光手段の双方が移動する場合にも適用できる。発光手段および受光手段の双方が移動する場合には、発光手段と受光手段が異なる方向に移動する場合のみならず、同じ方向に移動するが移動速度が異なる場合も含まれる。さらに、移動には、直線上を移動する場合、円周上を移動する場合が含まれる。
【0074】
また、発光手段は、送信すべき情報を符号化した信号に応じて変調した光を発する電気/光変換素子のみからなるものでも良く、また、その信号とは無関係に発光し続ける素子と、その信号に応じて透過光の輝度等を変調する素子とを組合わせてなるものでも良い。電気/光変換素子には、発光ダイオードの他に、レーザーダイオードが含まれる。透過光を変調する素子には、液晶、偏光板が含まれる。さらに、変調された光を受光手段に直接照射するのではなく、光を伝送する媒体を介して、受光手段に照射しても良い。光を伝送する媒体には、光ファイバが含まれる。
【0075】
また、受光手段は、受けた光の変調を検出し、電気信号に変換する素子(光/電気変換素子)のみからなるものでも良く、また受けた光を光/電気変換素子に伝送する媒体と光/電気変換素子からなるものでも良い。光/電気変換素子には、フォトダイオードの他に、フォトトランジスタ、光電池が含まれる。
【0076】
また、集光手段には、シリンドリカルレンズ、フレネルレンズ、楕円面鏡の他に非球面レンズ、楕円面鏡以外の曲面鏡が含まれる。
【0077】
また、発光手段と集光手段に対する受光手段の相対的な位置が変化する場合には、発光手段と集光手段の移動の向き・速さが、受光手段の移動の向き・速さと異なる場合も含まれる。
【0078】
同様に、受光手段と集光手段に対する発光手段の相対的な位置が変化する場合には、受光手段と集光手段の移動の向き・速さが、発光手段の移動の向き・速さと異なる場合も含まれる。
【0079】
発光手段の個数と受光手段の個数が異なる場合は、個数の少ない側に集光手段を配置することが好ましい。そうすることにより、集光手段の配置個数が少なくて済み、設計及び製作の容易化、低コスト化等に寄与する。
【0080】
【発明の効果】
前述の如く、発光手段の発した光を集光手段を用いて受光手段の軌道上に概ね集光させることにより、周波数を上げて通信速度をアップさせた場合であっても、通信の誤り率の増加を回避することができる。
【0081】
また、発光手段により発せられた光を受光手段の軌道上の一点に集めるのではなく、受光手段の軌道上にまんべんなく集光することにより、かかる領域内に受光手段が存在する限り、信号伝送が可能となるため、信号伝送に必要な発光手段及び受光手段の個数を少なくすることができる。
【0082】
さらに、受光手段の軌道上に一本の細い線の如き照射領域を有する光となるように集光させるのではなく、幅の有る帯状の照射領域を有する光となるように集光させることにより、発光手段及び受光手段の設置位置や角度の誤差に対する許容範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である信号伝送装置が適用されるX線CTスキャナの概略を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態である信号伝送装置が適用されるX線CTスキャナの回路構成の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態である信号伝送装置の構成を示す図である。
【図4】図3に示すLED1A、シリンドリカルレンズ3AおよびPD5Aを、LED1が配置される円周の接線方向から見た断面図である。
【図5】LED1の発した光がPD5の軌道上で一本の細い線状の照射領域を有するようにした場合の、PD5の受光可能領域と線状の照射領域CL1との位置関係を示す図である。
【図6】LED1の発した光がPD5の軌道上で一本の太い線状(帯状)の照射領域を有するようにした場合の、PD5の受光可能領域と帯状の照射領域BL1との位置関係を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態である信号伝送装置の構成を示す図である。
【図8】図7に示すLED1A、シリンドリカルレンズ32AおよびPD5Aを、LED1Aが配置される円周の接線方向から見た断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態である信号伝送装置の構成を示す図である。
【図10】第3実施形態で使用するフレネルレンズ33Aの断面図及び正面図である。
【図11】本発明の第4実施形態である信号伝送装置の構成を示す図である。
【図12】本発明の第5実施形態で使用する楕円面鏡の形状およびLEDの配置位置を示す斜視図である。
【図13】楕円面鏡35に対するLED1AとPD5Aの配置位置を示す図である。
【図14】帯状の照射領域に集められた光を楕円面鏡の後方から見た図である。
【図15】従来のX線CT装置におけるLED、PDの位置関係及びLEDから発せられる光の指向性を示す図である。
【図16】従来の信号伝送装置におけるLEDとPDの距離と受光量の関係を示す図である。
【図17】LEDとPDを近づけすぎた場合にPDに光が照射されなくなる位置があることを示す図である。
【符号の説明】
1A、1B…LED 3A、3B…シリンドリカルレンズ
5A、5B…PD 8…固定部 10…回転部
Claims (7)
- 相対的な位置が変化する送信部と受信部との間で光を用いて信号を伝送する信号伝送装置であって、
前記送信部に設けられ、送信すべき情報を符号化した信号に応じて、輝度、波長、偏光のいずれか1つ又は2以上を変調した光を発する発光手段と、
前記受信部に設けられ、前記光を受けて前記変調を検出する受光手段と、
前記光の進行方向の、前記発光手段を基準とする座標系における前記受光手段の軌道を含む平面と垂直な成分を変化させることによって、前記軌道上に、前記光を概ね集光させる集光手段と、を具備することを特徴とする信号伝送装置。 - 前記受光手段と前記集光手段の相対的な位置が変化せず、これら受光手段と集光手段に対する前記発光手段の相対的な位置が変化することを特徴とする請求項1に記載の信号伝送装置。
- 前記発光手段と前記集光手段の相対的な位置が変化せず、これら発光手段と集光手段に対する前記受光手段の相対的な位置が変化することを特徴とする請求項1に記載の信号伝送装置。
- 前記発光手段を基準とする座標系における前記受光手段の軌道と、前記発光手段とが同一平面上に有り、
この平面上に前記発光手段から発せられた光を前記集光手段を用いて集光することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の信号伝送装置。 - 前記集光手段が、シリンドリカルレンズ、フレネルレンズ又は曲面鏡であることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の信号伝送装置。
- 前記発光手段は、扇状に光を発光し、
前記集光手段は、前記軌道が含まれる平面方向に関しては、前記光の進行方向概ね変化させないことを特徴とする請求項1に記載の信号伝送装置。 - 被検体を挟んでX線管とX線検出器が回転し、前記X線検出手段で取得された信号を送信する送信部と、
前記信号を受信して画像を再構成し、固定された受信部と、
前記送信部に設けられ、送信すべき情報を符号化した信号に応じて、輝度、波長、偏光のいずれか1つ又は2以上を変調した光を発する発光手段と、
前記受信部に設けられ、前記光を受けて前記変調を検出する受光手段と、
前記光の進行方向の、前記発光手段を基準とする座標系における前記受光手段の軌道を含む平面と垂直な成分を変化させることによって、前記軌道上に、前記光を概ね集光させる集光手段と、を具備することを特徴とするX線CTスキャナ。
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