JP4495392B2 - 電気レオロジー素子およびこれを備えた電気レオロジーデバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電気レオロジーゲルを備えた電気レオロジー素子およびこれを利用した電気レオロジーデバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
電圧を印加することにより見かけの粘度(以下、単に粘度という。)が上昇する、いわゆる電気レオロジー(以下、ERという。)効果を発現するER流体が従来より知られている。ER流体は、印加する電圧を変化させることによってその粘度を可逆的かつ自由に変えることができ、しかも電圧の変化に対する応答性に優れていることから、このER流体を一対の電極間に配したER素子の形態で、クラッチ、バルブ、ダンパ、アクチュエータ、ロボット制御、振動制御などに使用することが期待されている。このようなER流体としては、例えば、電気絶縁性分散媒中に分散相粒子が分散した組成物がある。
【0003】
電圧を印加することによりER流体の粘度が上昇し、電界に対して垂直方向の剪断応力が増加するのは、電圧を印加した場合にER流体中の分散相粒子が分極して分散相粒子間に電気的な引力が生じ、電界に沿って分散相粒子からなる鎖状構造が形成され、その結果、剪断変位に対する抵抗が発生するためと考えられている。このような印加電圧の変化にともなう剪断応力の変化を各種制御などに効果的に利用するためには、剪断変位を与える部材の表面とER流体とが滑らない状態であること必要と考えられ、例えば特開2000−144165公報には、剪断変位を与える部材である電極のER流体と接する側の表面に、微細な凹凸を形成し、ER流体と電極の表面との滑りを抑制する方法が開示されている。
【0004】
一方、本出願人らは特願2000−272135で、ER効果を発現する新しい物質としてゲル状のものを出願している。このようなERゲルは、ER流体のように分散相粒子が沈降してしまう問題が発生しないため、安定したER効果が得られ、また、保存安定性にも優れているという利点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ERゲルはゲル状であってER流体のようには流動性を有しないため、これにある程度以上の剪断変位を加えるとゲル構造が破壊されてしまうという問題があった。そのためERゲルを使用する場合には、ゲル構造が破壊されないような、ゲルが変形する範囲内の剪断変位でしか使用できないという問題があった。その結果、得られるER効果が十分でなく、その用途が限定される傾向があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、大きな剪断変位を与えた場合であってもゲル構造が破壊されず、大きな剪断応力を発現することのできるER素子およびこれを使用したERデバイスを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のER素子は、一対の電極の間に、剪断変位が加えられる電気レオロジーゲルが配された電気レオロジー素子であって、少なくとも一方の電極の電気レオロジーゲルと接する表面と、電気レオロジーゲルとの間が非固定化処理されていることを特徴とする。
前記少なくとも一方の電極の電気レオロジーゲルと接する表面が離型剤で被覆され、前記非固定化処理がなされていることが好ましい。
前記少なくとも一方の電極の電気レオロジーゲルと接する表面および該表面と接する電気レオロジーゲルにおける表面のうち、少なくとも一方の表面に潤滑剤が塗布され、前記非固定化処理がなされていることが好ましい。
また、本発明の電気レオロジー素子は、一方の電極の電気レオロジーゲルと接触する表面と電気レオロジーゲルとの間が非固定化処理され、他方の電極における前記電気レオロジーゲルと接する表面には、凹凸が形成されていることが好ましい。
本発明のERデバイスは、前記ER素子を備えていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のER素子は、一対の電極の間に、ERゲルが配されたER素子である。ここで、まず、本発明で使用されるERゲルについて説明する。
【0009】
[ERゲル]
ERゲルとしては、ER効果を発現可能なゲル状のものであれば特に制限はないが、ゲル骨格中に電気絶縁性媒体が分散し、この電気絶縁性媒体中に分散相粒子が分散した形態のものが挙げられる。
ゲル骨格を形成する物質としては特に制限はなく、例えば、ポリシロキサン架橋体、アクリル酸エステル系ポリマー架橋体、ポリスチレン系架橋体が挙げられる。これらのなかでは、特に電気絶縁性が優れ、その骨格内に電気絶縁性媒体を多量に保持可能であるポリシロキサン架橋体が好ましい。ポリシロキサン架橋体としては、ハイドロジェンシリコーンと不飽和基含有化合物とのヒドロシリル化反応生成物が、製造の容易性から好ましい。
【0010】
ここで、ポリシロキサン架橋体を構成するハイドロジェンシリコーンとは、例えばシロキサン鎖のケイ素原子に結合した水素原子を持つジアルキルポリシロキサンであって、下記式(1)で示される化合物が例示できる。
【化1】
式中、各R1は互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、炭素数7〜21のアラルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示す。また、n1は0〜500の整数である。
【0011】
R1で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基などの無置換のものや、トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基などのハロゲン化アルキル基、2−シアノエチル基のようなシアノアルキル基が例示できる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などを例示でき、アリール基としては、フェニル基、トルイル基、ナフチル基などを例示できる。
これらの中では、R1はいずれもメチル基であることが好ましく、また、n1は10〜200であることが好ましい。特に好ましくは、下記式(1−1)の化合物である。
【化2】
【0012】
ポリシロキサン架橋体を構成する不飽和基含有化合物としては、ハイドロジェンシリコーンとヒドロシリル化反応し、ポリシロキサン架橋体を構成可能なものであれば制限はなく、下記式(2)で示される不飽和基を3つ以上含有する化合物が挙げられる。
【化3】
式中、R2は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
R3は炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数7〜21のアリールアルキレン基の他、ヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜12のヘテロ原子含有アルキレン基、または、直接結合を示し、好ましくは、メチレン基や、ヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜12のヘテロ原子含有アルキレン基(アルキレン基中の炭素原子の一部がO、S、Nなどで置き換えられたもの)である−CH2O−、−CH2OCH2−、−CH2OCH2CH2−、−CH2OCH2CH2OCH2−が例示できる。
【0013】
このような不飽和基含有化合物の具体例を以下に示す。
【化4】
【化5】
【0014】
ヒドロシリル化反応は、反応速度の温度依存性が大きいことから、ハイドロジェンシリコーンと不飽和基含有化合物とを室温以下で混合し、その後加熱して反応を進行させることができる。これはヒドロシリル化反応の大きな利点であって、これらを適度な粘性で混合し、成形した後加熱すれば、一挙に所望の形状の重合物が得られる。この場合の加熱温度としては、50℃から150℃程度、好ましくは60℃から120℃程度である。
【0015】
ヒドロシリル化反応を行う際には、例えば白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムなどやその化合物を触媒として使用することが好ましい。これらのなかでは、特に白金または白金化合物が適していて、具体例としては、白金、塩化白金酸の他、アルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に固体白金を担持させたもの、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体、白金アルコラート触媒が挙げられる。白金触媒の場合は、白金として、通常0.05〜0.0001質量%程度添加する。
【0016】
ERゲルを製造する際には、後述する電気絶縁性媒体と分散相粒子とを、ヒドロシリル化反応の前にハイドロジェンシリコーンと不飽和基含有化合物にあらかじめ混合しておくと、直接、ERゲルが得られ好ましいが、ヒドロシリル化反応で得られたヒドロシリル化反応生成物に電気絶縁性媒体と分散相粒子とを含浸させてERゲルを製造することもできる。前者の場合には、分散相粒子や電気絶縁性媒体中の水分がヒドロシリル化を阻害する場合があるので、事前に脱水して用いると好ましい。なお、ハイドロジェンシリコーンおよび不飽和基含有化合物の合計質量は、ERゲル中、好ましくは0.5〜70質量%、より好ましくは1〜30質量%の範囲である。
【0017】
また、ヒドロシリル化の進行が早すぎると、初期粘度が高くなってしまい、生成するERゲルがER素子内部に均一に行き渡らないことがあるので、重合抑制剤の使用が必要となる場合がある。使用できる重合抑制剤としては、オルガノリン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ニトリル化合物、ハロゲン化炭素化合物、アセチレン化合物、スルホキシド化合物、アミン化合物、及びマレイン酸エステルを挙げることが出来る。このうち、アセチレン化合物、ニトリル化合物、及びマレイン酸エステルは、ERゲルをER素子に組み込んだ場合に悪影響を与えにくいので、好ましい重合抑制剤である。重合抑制剤を添加する場合、その量は、ERゲルの全質量を基準として、0.0001〜1.0質量%である。
【0018】
ポリシロキサン架橋体の架橋密度としては、上記式(1)で示されるハイドロジェンシリコーンの分子量によりある程度決定されるが、ハイドロジェンシリコーンと不飽和基含有化合物とが下記式(3)を満たす場合、好ましくは、下限が0.8で上限が1.2である場合には、ERゲルとして適した架橋密度が得られる。なお、下記式(3)において化合物(1)とはハイドロジェンシリコーンであり、化合物(2)とは不飽和基含有化合物である。
【化6】
【0019】
ERゲルに使用される電気絶縁性媒体としては、シリコーンオイル、塩化ジフェニル、トランスオイルなどが例示できるが、これらのなかでシリコーンオイルは、絶縁破壊電圧、体積抵抗率などの電気的特性に優れ、物理的、化学的に安定なため、長期にわたって安定した電気特性を発揮することができ、かつ、難燃性にも優れていることから好ましい。
【0020】
シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイルが挙げられ、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。フッ素変性シリコーンオイルとしては、例えば、トリフルオロプロピル基(CF3C2H4−)を有するポリシロキサン、ノナフルオロヘキシル基(C4F9C2H4−)を有するポリシロキサン、環状型ポリシロキサン化合物などがある。
【0021】
このような電気絶縁性媒体の動粘度には特に制限はないが、好ましくは25℃において1〜10万mm2/s、より好ましくは5〜5000mm2/sである。動粘度が1mm2/s未満では、ERゲルの保存安定性が不十分となる場合があり、一方、10万mm2/sを超えると、ERゲルの製造工程においてこれを撹拌する際に気泡を巻き込み、この気泡が抜けなくなり、取扱性が低下する場合がある。
【0022】
ERゲルに使用される分散相粒子としては、電気絶縁性媒体とともに使用され、ER効果を発現可能なものであれば特に制限はないが、シリカゲル、セルロール、でんぷん、大豆カゼイン、ポリスチレン系イオン交換樹脂などからなる粒子の表面に水を吸着保有する固体粒子や、カーボン粒子などがある。そのほかには、有機高分子化合物からなる芯体と、電気半導体性無機物粒子からなる表層とから形成されたER流体用複合粒子(以下、ER複合粒子という。)、または、ER複合粒子の表層に親和性表面処理が施され、電気絶縁性媒体との親和性が高められているER流体用複合粒子(以下、親和性ER複合粒子という。)も使用可能であり、これらを使用すると、安定したER効果を発現し、保存安定性にも優れたERゲルが得られる。これらER複合粒子および親和性ER複合粒子の詳細および製造方法は、例えば、特開2001−026793公報、特開平10−121084号公報、特開平09−079404号公報などに記載されている。
また、分散相粒子の粒子径としては、1〜50μmの範囲が好ましい。
【0023】
[ER素子]
図1は本発明のER素子10の一形態であって、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。このER素子10は一対の電極11として、同心円状に形成された溝を有する円柱状の陽極12と、一端が閉じた円筒形であって、陽極12の溝にその周壁が嵌合する形状の陰極13とを備えている。また、陽極12と陰極13とは同軸に配置されていて、軸14を中心として互いに反対方向に相対回転可能となっている。この例では陽極12は回転せず、陰極13のみが回転する。なお、図中符号15はハンドルであって、このハンドル15を回すことによって、陰極13を回転させることができる。また、この電極11はアルミニウムなどの電子伝導体から形成されている。
【0024】
この電極11における陽極12と陰極13との間隙には、ER効果を発現可能な、上述したERゲル20が配されていて、陰極13を軸14を中心として回転させつつ陽極12および陰極13間に電圧を印加することによって、ER効果が発現され、印加された電圧に応じて、得られる剪断応力が変化するようになっている。すなわち、剪断応力は、この一対の電極11に印加される電圧が大きくなるにしたがって大きくなり、電圧が小さくなるにしたがって小さくなる。なお、陽極12と陰極13との間隔であって、図中符号16で示される部分には、樹脂製の絶縁スペ−サが介挿され、絶縁されている。
【0025】
そして、このER素子10においては、陰極13におけるERゲル20と接する表面、すなわち、陰極の周壁の内表面13aおよび外表面13bには離型剤が被覆され、これら表面13a,13bとERゲル120とが固定されないような非固定化処理がなされ、滑動可能となっている。
一方、陽極12におけるERゲル20と接する表面12a(溝の内周面)には、詳しくは図2に示すように、溝の長さ方向に沿って全周にわたって凹凸が形成されて、この凹凸により陽極12の表面12aでERゲル20が滑らないようにされている。この例で凹凸は、溝の両方の内周面に、それぞれ24本の凹条17が等間隔で形成されることにより設けられている。また、この例の陽極12は、図3に示すように、2つの部材12b,12cを嵌合させて製造されている。
なお、この例の一対の電極11は、陽極12の外径Dが34mm、高さHは1mm、有効極板面積は2.08×10-3m2、電極間隔は0.5mmとなっている。
【0026】
このようなER素子10は、陰極13においてERゲル20と接触する表面13a,13bに離型剤が被覆され、陰極13とERゲル20とが滑るよう、非固定化処理がなされていて、一方、陽極12においてERゲル20と接触する表面12aには凹凸が形成されてERゲル20がここに保持されるようになっている。よって、電圧が印加されていない場合には、陰極13が回転してERゲル20に対して剪断変位が加えられても、陰極13の表面にERゲル20が粘着せずに滑り、ERゲル20のゲル構造が破壊されてしまうことがない。
一方、電圧が印加されると、ERゲル20中の分散相粒子が分極して分散相粒子間に電気的な引力が生じ、電界に沿って分散相粒子からなるクラスタが形成される。その結果、このクラスタの両末端に位置する分散相粒子が、陰極13の表面13a,13bと陽極12の表面12aに強く接触する。そして、このような状態において陰極13が軸14を中心として回転するとともに、電界に対して垂直方向に剪断変位が加わると、陰極13の表面13a,13bとそこに強く接触した分散相粒子との間に強い摩擦力が生じ、その結果、大きな剪断応力が発生すると考えられる。
【0027】
すなわち、このようなER素子10においては、電圧が印加されていない場合に陰極13が回転して剪断変位が加えられても、陰極13におけるERゲル20と接触する表面13a,13bは離型剤で被覆され滑るので、ゲル構造が破壊されることはない。一方、電圧が印加されると分散相粒子からなるクラスタが形成され、このクラスタの両末端に位置する分散相粒子が、陰極13の表面13a,13bと陽極12の表面12aに強く接触し、その結果生じる摩擦力に起因して剪断応力が発生する。したがって、陰極13におけるERゲル20と接触する表面13a,13bが離型剤で被覆され、電圧が印加されていないときにはこの表面13a,13bとERゲル20とが滑ってしまっても、電圧が印加された場合にはこのような滑りよりも上述した摩擦力の方が優勢となり、ER効果を発現できる。
【0028】
陰極13の表面13a,13bに被覆される離型剤の具体例としては、例えば、下記の一般式(4)で表される有機ポリシロキサンと、アニオン性ポリマーとを反応させて得られる複合高分子をベースとするものが例示できる。
【化7】
式中、R1は互いに独立して炭素原子数1〜24の炭化水素基、水酸基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基またはトリメチルシロキシ基のいずれかを表し、Qは下記一般式(5)を示す。
【化8】
式中、R3は直接結合または炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Xは、−(NR4R5)eNR4 2、−(NR4R5)eN+R4 3A-、−(NR4R5)eN(R4)COR6(R4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R5は炭素原子数2〜6のアルキレン基を表し、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、A-は、Cl-、Br-、I-またはR7COO-を表し、R7は水素原子基または炭素原子数1〜6の炭化水素基を表し、eは0〜6の整数を表す。)からなる群から選択される基を表す。
また、R2は互いに独立して前記R1またはQに定義したものと同じ意味を表し、そしてxおよびyはいずれも平均で0〜2000の数で、かつ、0≦x+y≦2000である。ただしy=0の場合はR2の少なくとも1つはQである。
【0029】
上記有機ポリシロキサンをさらに詳しく説明すると、上記式(4)中のR1として可能な炭素原子数1〜24の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基及びドデシル基等のアルキル基や、フェニル基(以下、−Phとも表記する)、トリル基[−PhCH3]、キシリル基[−Ph(CH3)2]、フェネチル基[−C2H4Ph]、トリルエチレン基[−C2H4PhCH3]等の芳香族基が挙げられる。
R1の好ましいものは、メチル基またはエチル基であり、特に好ましいものはメチル基である。また、分子中の基R1は互いに独立している。すなわち、互いに同一であっても、相違していてもよい。
【0030】
また、上記式(4)中のQの好ましい具体例としては、下記式(5−1)〜(5−9)のものが例示できる。
【化9】
【0031】
また、上記式(4)中のxおよびyは、いずれも平均で0〜2000の数であり、かつ、0≦x+y≦2000であるが、x+yはより好ましくは平均で5〜500の数で、特に好ましくは平均で10〜200の数である。この範囲を外れると、アニオン性ポリマーとの反応生成物である複合高分子がゲル化を起こしやすいため、最終的に得られる離型剤の安定性が悪くなり、また、塗膜の均一性が悪化する。さらに、yのより好ましい範囲は平均で0〜500、更に好ましくは0〜100、最も好ましくは0〜50である。
上記の有機ポリシロキサンは、常法により製造可能であるが、市販品、例えば、日本ユニカー株式会社より入手可能なFZ−3705、FZ−3707またはFZ−3710、信越化学工業株式会社より入手可能なKF−857、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社より入手可能なSF−8417、ジーイー東芝シリコーン株式会社より入手可能なTSF−4702等を使用することができる。
【0032】
有機ポリシロキサンと反応させるアニオン性ポリマーとは、アクリル酸基、メタクリル酸基、カルボン酸基等のアニオン(陰イオン)性基を持つポリマーであって、例えば下記(A)〜(G)のものが挙げられる。
(A)アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの塩類の1つまたは複数のモノマーのホモポリマー(単独重合体)またはコポリマー(共重合体)。
(B)(i)アクリル酸またはメタクリル酸の1つまたは複数と、(ii)モノエチレンモノマー類、例えば、エチレン、スチレン、ビニルエステル類、アクリル酸エステル類またはメタクリル酸エステル類の1つまたは複数との、コポリマー。
(C)(i)アクリル酸またはメタクリル酸の1つまたは複数と、(ii)ビニルラクタム類、任意にポリオキシアルキレン化されたC6〜C22のアルキルアリルエステル類またはアルキルメタリルエステル類、酢酸ビニルまたはN−アルキル(C3−C10)アクリルアミド類から選択される1つまたは複数とのコポリマー。
【0033】
(D)次の(i)〜(iii)に記載のモノマーのコポリマー。
(i)アクリル酸またはメタクリル酸の1つまたは複数。
(ii)モノエチレンモノマー類、例えば、エチレン、スチレン、ビニルエステル類、アクリル酸エステル類またはメタクリル酸エステル類の1つまたは複数。
(iii)ビニルラクタム類、任意にポリオキシアルキレン化されたC6〜C22のアルキルアリルエステル類またはアルキルメタリルエステル類、酢酸ビニルまたはN−アルキル(C3−C10)アクリルアミド類から選択される1つまたは複数。
(E)C4−C8モノ不飽和ジカルボン酸又はその無水物から誘導されるホモポリマーまたはコポリマー。
ここで、C4−C8モノ不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸などが挙げられる。
(F)カルボキシラート基を含有するポリアクリルアミド。
(G)スルホ(スルホン酸)基を含有するポリマー。
例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸又はアクリルアミドアルキルスルホン酸単位を含有するホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
【0034】
これらのアニオン性ポリマーは、特に、マレイン酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとのコポリマー(共重合体)やビニルピロリドンと、及びビニルエーテル、アクリルアミド又はその誘導体と、及びアクリル酸、メタクリル酸又はそれらのエステルの不飽和モノマーとを有するコポリマーが挙げられ、さらに、約1000〜100000の質量平均分子量を有する該コポリマーのポリビニルスルホン酸塩から選択することができる。
具体的には、プラスサイズL−53(商品名、互応化学株式会社製)、プラスサイズL−6637G(商品名、互応化学株式会社製)、アニセットBEM−42S(商品名、大阪有機化学工業株式会社製)、アニセットHS−3000(商品名、大阪有機化学工業株式会社製)等として市販されているものが使用可能である。
【0035】
上述した一般式(4)で表される有機ポリシロキサンと、アニオン性ポリマーとの反応により複合高分子が得られるが、以下にその製法の一例の概略を記載する。
まず、上記有機ポリシロキサン100質量部に対して、上記アニオン性ポリマー20〜5000質量部を反応させる。この使用範囲より有機ポリシロキサンの量が少ない(逆にアニオン性ポリマーの量が多い)と、得られる離型剤を使用しても、十分に非固定化処理できず、すなわち、滑りが十分でなく、剪断変位を与えた場合にERゲル20が破壊されやすくなる。一方、この範囲より上記有機ポリシロキサンが多い(逆にアニオン性ポリマーの量が少ない)と、得られる離型剤を使用した場合に、その表面とERゲル20とが滑りすぎたり、離型剤の膜強度が不十分となったりする。ここでの反応は、30〜150℃にて10分〜5時間の条件により達成される。
【0036】
また、反応は溶媒中で行っても良い。使用可能な溶媒として、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、t−ブタノール、エチレングリコール、1−メトキシ−2−エタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族類、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の窒素化合物、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物;環状ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。特に、水、低級アルコール又は水と低級アルコールの混合物が好ましい。
【0037】
こうして得られた上記の反応生成物(複合高分子)は、さらにアルカリ性化合物により適度なpHに中和して、中和複合高分子とすると、中和複合高分子自体や、これをベースとして含有する離型剤の貯蔵安定性が向上し、中和しない複合高分子より好適に用いることができる。
ここで好ましいpHの範囲は、エタノール/水=1/10(質量比)の混合溶媒により5質量%溶液とした場合、4〜10であり、特には5〜9である。中和に使用されるアルカリ性化合物は特に限定されず、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールまたはトリイソプロパノールアミン等が使用できるが、特に2−アミノ−2−メチルプロパノールが好ましい。
【0038】
さらに、上記の複合高分子または中和複合高分子はそのまま用いてもよいが、溶剤により適当な濃度に希釈すると、離型剤として、この例において陰極13の表面13a,13bに均一に塗布でき、均一に薄い被膜を得ることが容易になり好ましい。使用可能な溶剤としては、上記の反応で使用したものが挙げられるが、その他、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、ジクロロテトラフロロエタン等のフッ素化炭化水素、塩素化フッ素化炭化水素類やプロパン、n−ブタン、イソブタン等の低級炭化水素類(LPG)、二酸化炭素等の液化ガス等も使用可能である。特に好ましい溶剤は、低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合物が挙げられる。ここで、低級アルコールとしては、炭素原子数1〜6の物が好ましく、特に複合高分子または中和複合高分子の溶解性と毒性の少なさより、エタノール及び1−プロパノールが好ましく、エタノールが最も好ましい。また、低級アルコールと水の混合物の場合、その質量比が低級アルコール/水=1/0.01〜1/100の範囲のものが好ましく、1/1〜1/10のものが最も好ましい。
【0039】
上記の複合高分子または中和複合高分子はこれらの溶剤で0.1〜50質量%溶液にして用いると、均一な薄い被膜を得ることが容易となり好ましい。特に好ましい濃度は0.5〜10質量%の溶液である。
さらに、この離型剤には、一般の離型剤に配合されている添加剤、例えば、腐食防止剤、保存剤、発泡防止剤、殺菌剤のような添加物を、本発明の効果が損なわれない範囲内で用いてもよい。
【0040】
上記の反応生成物(複合高分子)をベースとする離型剤を電極の表面、この例では陰極13の表面13a,13bに塗布することによりこの表面13a,13bが被覆され、この表面13a,13bとERゲル20とを、非固定化処理することができる。
ここで塗布方法は限定されず定法によることができる。たとえば、刷毛塗りやスプレー等が採用可能である。なお、この離型剤のなかで、溶剤が配合されているものは、塗布後、溶剤を揮発させてから使用することが好ましい。また、離型剤を塗布後、加熱してから使用すると、被膜が強固になり、長期間にわたって電極の表面(この例では陰極13の表面13a,13b)とERゲル20とが固定されない状態に維持することができる。加熱は、30〜100℃で1〜60分間行うと好ましい。
このように、離型剤として、特に有機ポリシロキサンとアニオン性ポリマーとを反応させて得られる複合高分子をベースとするものを使用して、非固定化処理を行うと、離型性、潤滑性が高く、優れた効果を発現する。
【0041】
以上説明したように、このようなER素子10においては、陰極13とERゲル20とが非固定化処理され、これらが滑るようにされていても、電圧が印加された場合にはこのような滑りよりも上述した摩擦力の方が優勢となり、ER効果を発現できるが、好ましくは、陰極13とERゲル20との間には、非固定化処理がなされ、かつ、陰極13の表面13a,13bの表面粗さが制御され、JIS Z0601に規定された最大高さ粗さ(Rz)が1〜0.001mmであって、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が5〜0.001mmとなっていれば、より一層、優れたER効果を発現することができる。
すなわち、陰極13とERゲル20とが離型剤の作用により非固定化処理され、かつ、その表面粗さが上記範囲であると、電圧が印加されていない時には離型剤の効果により、たとえ表面粗さが上記範囲となっていてもERゲル20が容易に滑り、一方、電圧が印加された時には、たとえ表面13a,13bが離型剤で被覆されていても表面の粗さに分散相粒子が引っかかり、大きな摩擦力が発現すると考えられる。
【0042】
表面粗さを上記範囲とするためには、離型剤を被覆する前または後にその表面を物理的な方法、すなわちエッチングなどで粗くする方法や、離型剤を塗布する際の塗布方法を適宜選択する方法などが挙げられる。これらの方法を適宜選択し、さらには組み合わせることにより、表面粗さを所望の範囲に制御することができる。
【0043】
このようなER素子10においては、上述したように、陰極13におけるERゲル20と接触する表面13a,13bが離型剤で被覆され、この表面13a,13bとERゲル20とが固定されないよう、非固定化処理がなされているので、大きな剪断変位を与えた場合であってもゲル構造が破壊されず、従来のものよりも大きな剪断応力を発現することができる。したがって、このようなER素子10によれば、大きな剪断応力が求められる用途にも使用することができる。
【0044】
また、陰極13とERゲル20とを非固定化処理する方法としては、上述したように陰極13の表面13a,13bを離型剤で被覆する方法の他に、その表面13a,13bおよびこの表面13a,13bに接するERゲル20における表面のうち、少なくとも一方に潤滑剤を塗布する方法でもよい。
このような潤滑剤としては、ERゲル20に使用される電気絶縁性媒体としてすでに例示したシリコーンオイル、塩化ジフェニル、トランスオイルなどの他、ポリα−オレフィンおよび高級アルコールエステル類が挙げられる。また、シリコーンオイルの具体例としては、さらにポリエステル変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン−ポリジメチルシロキサン交互共重合体なども追加例示できる。さらに潤滑剤としては、ERゲル20に使用された電気絶縁性媒体と相溶しないものを選択して使用することが好ましく、例えばジメチルシリコーンオイルをERゲル20の電気絶縁性媒体として使用する場合には、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、ポリα−オレフィンや高級アルコールエステル類を潤滑剤として使用することが好ましい。
【0045】
このように潤滑剤を、陰極13におけるERゲル20と接する表面13a,13bおよびこの表面13a,13bと接するERゲル20における表面のうち、少なくとも一方に塗布した場合であっても、上述したように陰極13におけるERゲル20と接する表面13a,13bに離型剤を被覆した場合と同様に、電圧が印加されていない場合には陰極13の表面13a,13bにERゲル20が粘着せずに滑り、一方、電圧が印加されると分散相粒子から形成されたクラスタの両末端に位置する分散相粒子が、陰極13の表面13a,13bと陽極12の表面12aに強く接触して、強い摩擦力が生じる。また、非固定化処理として、離型剤の被覆と、潤滑剤の塗布とを併用してもよい。
また、このように潤滑剤を使用した場合でも、陰極13の表面13a,13bの表面粗さが上述した範囲となっていれば、より一層、優れたER効果を発現することができる。表面粗さを上記範囲とする場合には、例えば、陰極13におけるERゲル20と接する表面13a,13bにエッチングなどの処理を施せばよい。
【0046】
なお、以上説明した例では、陰極13においてERゲル20と接触する表面13a,13bが離型剤で被覆され、凹凸は陽極12の表面12aに形成されているが、反対に、陽極12においてERゲル20と接触する表面12aが離型剤で被覆され、陰極13においてERゲル20と接触する表面13a,13bに凹凸が形成されていてもよい。また、陽極12の表面12aとERゲル20とが非固定化処理されて固定されておらず、かつ、陰極13の表面13a,13bとERゲル20も非固定化処理されて固定されておらず、凹凸がいずれにも形成されていない形態であってもER効果は発現可能である。しかしながら、陽極12か陰極13のいずれか一方の表面とERゲル20とが非固定化処理されて、かつ、他方におけるERゲル20と接する表面には上述の例のように凹凸が形成されERゲル20が滑らないようになっていると、より効果的に、大きなER効果を利用できるため好ましい。なお、形成される凹凸は、上述の例では、溝の長さ方向、すなわち、ERゲル20に加えられる剪断変位に対して垂直方向に延びた多数の凹条17からなり、剪断変位が加えられた場合でもERゲル20をその表面に効果的に保持できるように形成されているが、このようにERゲル20を保持可能であれば、その凹凸の形状、凹凸の間隔、本数などには制限はない。
また、陰極13や陽極12の表面13a,13b,12aとERゲル20とを非固定化処理する方法としては、表面13a,13b,12aを離型剤で被覆する方法や潤滑剤を使用する方法に限定されない。
【0047】
また、一対の電極11として、陽極12は回転せず、陰極13のみが回転する形態のものを例示したが、反対に陽極12が回転するものであってもよいし、陽極12と陰極13の両方が互いに反対方向に回転するものであってもよい。
また、この例では、一対の電極11として、同軸に配置された陽極12と陰極13とからなるもの、いわゆるシリンダーモデルの電極11が示されているが、電極11の形態には制限はなく、板状の陽極12および陰極13の間にERゲル20が挟持された図4に示す形態など、あらゆる形態ものを使用できる。
【0048】
このようなER素子10にあっては、一対の電極11の間にERゲル20が配されたものであって、少なくとも一方の電極11とERゲル20とが非固定化処理されているので、従来はERゲル20のゲル構造が破壊されるために加えることができなかったような大きな剪断変位を加えた場合であっても、ゲル構造が破壊されずに、大きな剪断応力を発現することができる。したがって、このER素子10は、クラッチ、バルブ、ダンパ、アクチュエータ、ロボット制御、振動制御など、従来より検討されている様々なERデバイスに使用することができるうえ、例えばパソコンに使用するマウスのなどのERデバイスにも利用することができる。
【0049】
【実施例】
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。
[実施例1]
(ERゲル原料である混合溶液Aの製造方法)
まず、以下のようにして、ERゲルに使用する分散相粒子を製造した。
アンチモンドーピング酸化錫(石原産業社製、SN−100P、電気伝導度:1.0×100Ω-1/cm)30gと、水酸化チタン(石原産業社製、一般名:含水チタン、C−II、電気伝導度:9.1×10-6Ω-1/cm)10gと、アクリル酸ブチル300gと、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート100gと、重合開始剤(アゾビスイソバレロニトリル)2gとを混合し、混合物を得た。
この混合物を、第三リン酸カルシウム25gを分散安定剤として含む水1800ml中に分散し、60℃で1時間撹拌下に懸濁重合を行い、得られた生成物を酸処理し、水洗後、脱水乾燥し、無機・有機複合粒子を得た。この粒子200gに鉄フタロシアニン(山陽色素社製P−26)2gを加え、ボールミルにて75時間複合化処理を行い、ついでこれをジェット気流処理機(奈良機械製作所社製、ハイブリタイザー)を用いて周速75m/秒で210秒間ジェット気流処理を行い、分散相粒子のER複合粒子を得た。
【0050】
さらに、こうして得られたER複合粒子300gと、ジメチルシリコーンオイル L−45(100)(日本ユニカー株式会社製、室温(25℃)における動粘度が100mm2/s、比重0.97/25℃、屈折率1.402/25℃)600gとを、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた2Lのセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下で110〜120℃に加熱し、3時間撹拌することで、ER複合粒子の脱水を行った。得られた脱水ER複合粒子の溶液を混合溶液Aとする。
【0051】
(離型剤Aの製造方法)
24質量部のプラスサイズL−6637G(商品名、互応化学社製、アクリル樹脂の30質量%エタノール溶液アニオン性ポリマーであり、溶質(固形分)換算で酸価150mgKOH/gのもの。)を、73質量部のエチルアルコールに投入し、室温にて撹拌して溶解させた。ついで、下記の化学式(6)で表されるアミノ基含有ポリシロキサン3質量部を添加し、室温で撹拌混合した。
【化10】
【0052】
さらに窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら、80℃で加熱還流を3時間行い、複合高分子のエタノール溶液を得た。得られた複合高分子溶液に下記測定条件においてpHが8となるように2−アミノ2−プロパノールを添加および撹拌した。得られた混合物にエチルアルコールを添加して下記の測定方法による固形分を50質量%に調整した。これを離型剤Aとして使用した。
(pH測定条件)
複合高分子溶液並びに2−アミノ2−プロパノール溶液の混合物及び混合溶媒(エチルアルコール/水=1/10(質量比)との質量比が5/95の混合物を調整し、pH(25℃)を測定した。
(固形分測定条件)
試料1gをアルミ皿に取り、105℃の電気炉内に1時間置いた後の残分を固形分とした。
【0053】
(ER素子)
上述の方法で得られた混合溶液Aを使用して、図1〜3で示した形態のER素子10を得た。
なお、この例の一対の電極11は、陽極12の外径Dが34mm、高さHは1mm、有効極板面積は2.08×10-3m2、電極間隔は0.5mmであり、ER素子10の陰極13におけるERゲル20と接する表面13a,13bには、上述の方法で得られた離型剤Aをスプレー法で塗布し、ついで70℃、30分の条件で硬化させ被覆し、非固定化処理を行った。
一方、陽極12におけるERゲル20と接する表面12aには、図1〜3に示したように、剪断応力に対して垂直方向に延びた凹条17が両方の内周面に、それぞれ24本ずつ形成されたものを使用した。
また、陰極13の表面13a,13bのJIS Z0601に規定された最大高さ粗さ(Rz)は1.0μmで、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は10μmであった。
【0054】
そして、上述のようにして得られた混合溶液Aと、電気絶縁性媒体のジメチルシリコーンオイル L−45(100)と、式(1−1)で示される化合物と、式(2−1)で示される化合物および白金触媒Aをプロペラミキサーで均一に混合した後、このER素子10における所定の場所に流し込み、100℃、60分間加熱することによりゲル化させた。
さらに、ゲル化後、一旦陰極13をERゲル20から引き抜き、ERゲル20における陰極13に接触するゲル表面に、非固定化処理のための潤滑剤としてジメチルシリコーンオイル L−45(100)(日本ユニカー株式会社製)を塗布し、その後、ERゲル20を所定の場所に戻した。
すなわち、本実施例1においては、非固定化処理として、離型剤Aおよび潤滑剤を併用した。
なお、白金触媒Aとは、白金濃度が12.0質量%である白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を、L−45(10)(商品名、日本ユニカー株式会社製の室温(25℃)における動粘度が100mm2/sのジメチルポリシロキサン)で、白金濃度0.3質量%に希釈することで得られたものである。
以上の配合比率を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
そして、このER素子10の陰極13を軸14を中心として一方向に回転させて剪断変位を加えるとともに、電圧を印加し、その際の剪断変位に対する剪断応力をロードセルにより測定した。電圧は0.5kVおよび1kVとした。また、電圧を印加していない0Vにおいても、剪断変位と剪断応力の関係を測定した。
図5に、剪断変位と剪断応力との関係をプロットしたグラフを示す。
また、表2に、実施例1〜3および比較例1のER素子についてまとめる。
【0057】
【表2】
【0058】
図5に示すように、電圧を印加しない0Vの際には、剪断変位を加えても剪断応力はほとんど発生せず、陰極13の表面13a,13bでERゲル20は滑り、摩擦力が発生していないことがわかった。一方、電圧を印加すると、剪断変位にともなって剪断応力が増加し、ER効果が発現されていることがわかった。また、得られた剪断応力の値も非常に大きかった。
そして、このように0V、0.5kV、1kVにおいて、剪断変位をそれぞれ0〜4mmまで加える操作を行った後、ER素子10の陽極12から陰極13を取り外し、ERゲル20の状態を観察したが、ゲル構造は破壊されていなかった。
【0059】
[実施例2]
ERゲル20における陰極13に接触するゲル表面に、非固定化処理のための潤滑剤を塗布しなかった以外は実施例1と同様にしてER素子10を得た。そして、ER素子10の陰極13を軸14を中心として一方向に回転させて剪断変位を加えるとともに、電圧を印加し、その際の剪断変位に対する剪断応力をロードセルにより測定した。
また、陰極13の表面13a,13bのJIS Z0601に規定された最大高さ粗さ(Rz)は1.3μmで、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は12μmであった。
その結果、実施例1の場合と同様に、電圧を印加しない0Vの際には、剪断変位を加えても剪断応力はほとんど発生せず、陰極13の表面13a,13bでERゲル20は滑り、摩擦力が発生していないことがわかった。一方、電圧を印加すると、剪断変位にともなって剪断応力が増加し、ER効果が発現されていることがわかった。また、得られた剪断応力の値も非常に大きかった。
そして、実施例1と同様に0V、0.5kV、1.5kVにおいて、剪断変位をそれぞれ0〜4mmまで加える操作を行った後、ER素子10の陽極12から陰極13を取り外し、ERゲル20の状態を観察したが、ゲル構造は破壊されていなかった。
【0060】
[実施例3]
実施例1と同様に、非固定化処理として、ER素子10の陰極13におけるERゲル20と接する表面13a,13bに、離型剤Aをスプレー法で被覆、硬化した。さらに、ゲル化後のERゲル20から一旦陰極13を引き抜き、ERゲル20における陰極13に接触するゲル表面に、非固定化処理のための潤滑剤としてジメチルシリコーンオイル L−45(100)(日本ユニカー株式会社製)を塗布し、その後、ERゲル20を所定の場所に戻した。
すなわち、本実施例3においては、実施例1と同様に、非固定化処理として、離型剤Aおよび潤滑剤を併用した。
一方、本実施例3においては、陽極12として、その表面に凹条17が全く形成されていないものを使用した。それ以外については実施例1と同様にして、ER素子10を得た。そして、ER素子10の陰極13を軸14を中心として一方向に回転させて剪断変位を加えるとともに、電圧を印加し、その際の剪断変位に対する剪断応力をロードセルにより測定した。なお、印加した電圧は1kVおよび2kVとした。
また、陰極13の表面13a,13bのJIS Z0601に規定された最大高さ粗さ(Rz)は1.2μmで、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は11μmであった。
図6に、剪断変位と剪断応力との関係をプロットしたグラフを示す。
図6に示すように、実施例1の場合と同様に、電圧を印加しない0Vの際には、剪断変位を加えても剪断応力はほとんど発生せず、陰極13の表面13a,13bでERゲル20は滑り、摩擦力が発生していないことがわかった。一方、電圧を印加すると、剪断変位にともなって剪断応力が増加し、ER効果が発現されていることがわかった。また、得られた剪断応力の値も非常に大きかった。
そして、0V、1kV、2kVにおいて、剪断変位をそれぞれ0〜4mmまで加える操作を行った後、ER素子10の陽極12から陰極13を取り外し、ERゲル20の状態を観察したが、ゲル構造は破壊されていなかった。
【0061】
[比較例]
陰極とERゲル、陽極とERゲルのいずれの間にも、非固定化処理が施されておらず、また、陰極および陽極のいずれにも凹条が形成されていないものを使用した以外は実施例1と同様にしてER素子を得た。そして、ER素子の陰極を軸を中心として回転させて剪断変位を加えるとともに、電圧を印加し、その際の剪断変位に対する剪断応力をロードセルにより測定した。
なお、陰極の表面13a,13bのJIS Z0601に規定された最大高さ粗さ(Rz)は0.3μmで、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は2μmであった。
その結果、図7に示すように、電圧を印加しない0Vの際でも、剪断変位を加えることによって摩擦が生じ、剪断応力が発生していることがわかった。また、電圧を印加すると、剪断変位にともなって剪断応力が増加するが、剪断変位が1mmとなる前に頭打ちとなり、その際の剪断応力も実施例1〜3と比較すると非常に小さかった。
そして、このように、0V、1kV、2kVにおいて、剪断変位をそれぞれ0〜4mmまで加える操作を行った後、ER素子の陽極から陰極を取り外し、ERゲルの状態を観察したところ、ゲル構造が破壊されていて、そのために、上述したように剪断変位を加えていっても剪断応力が増加せず、頭打ちとなったことが示唆された。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のER素子にあっては、一対の電極の間に、ERゲルが配されたER素子であって、少なくとも一方の電極とERゲルとが非固定化処理されているので、ERゲルに対して大きな剪断変位を与えた場合であっても、ゲル構造が破壊されず、大きな剪断応力を発現することができる。また、この際、非固定化処理がなされた側の電極におけるERゲルと接触する表面のJIS Z0601に規定された最大高さ粗さ(Rz)が1〜0.001mmであって、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が5〜0.001mmであると、電圧が印加されていない時には非固定化処理の効果により、たとえ表面粗さが上記範囲となっていてもERゲルが容易に滑り、一方、電圧が印加された時には、たとえ非固定化処理がなされていても表面の粗さに分散相粒子が引っかかり、大きな摩擦力が発現すると考えられる。
このように本発明のER素子はその性能に優れているため、クラッチ、バルブ、ダンパ、アクチュエータ、ロボット制御、振動制御など、従来より検討されている様々なERデバイスに使用することができるうえ、例えばパソコンに使用するマウスのなどのERデバイスにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のER素子の一例を示す(a)斜視図と(b)縦断面図である。
【図2】 図1のER素子の分解図である。
【図3】 図1のER素子の陽極の分解図である。
【図4】 本発明のER素子の他の一例を示す断面図である。
【図5】 実施例において測定された剪断変位と剪断応力との関係を示すグラフである。
【図6】 実施例において測定された剪断変位と剪断応力との関係を示すグラフである。
【図7】 比較例において測定された剪断変位と剪断応力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 ER素子
11 電極
12 陽極
12a 陽極におけるERゲルと接触する表面
13 陰極
13a 陰極におけるERゲルと接触する表面
13b 陰極におけるERゲルと接触する表面
20 ERゲル
Claims (5)
- 一対の電極の間に、剪断変位が加えられる電気レオロジーゲルが配された電気レオロジー素子であって、
少なくとも一方の電極の電気レオロジーゲルに接する表面と、電気レオロジーゲルとの間が非固定化処理されていることを特徴とする電気レオロジー素子。 - 前記少なくとも一方の電極の電気レオロジーゲルに接する表面が離型剤で被覆され、前記非固定化処理がなされていることを特徴とする請求項1に記載の電気レオロジー素子。
- 前記少なくとも一方の電極の電気レオロジーゲルに接する表面および該表面と接する電気レオロジーゲルにおける表面のうち、少なくとも一方の表面に潤滑剤が塗布され、前記非固定化処理がなされていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気レオロジー素子。
- 一方の電極の電気レオロジーゲルに接する表面と電気レオロジーゲルとの間が非固定化処理され、他方の電極における前記電気レオロジーゲルと接する表面には、凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電気レオロジー素子。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の電気レオロジー素子を備えていることを特徴とする電気レオロジーデバイス。
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