JP2000144165A - 電気レオロジー素子 - Google Patents

電気レオロジー素子

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JP2000144165A JP10334978A JP33497898A JP2000144165A JP 2000144165 A JP2000144165 A JP 2000144165A JP 10334978 A JP10334978 A JP 10334978A JP 33497898 A JP33497898 A JP 33497898A JP 2000144165 A JP2000144165 A JP 2000144165A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気粘性流体によるER効果を促進できるよ
うにした電気レオロジー素子を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 電界を生じせしめる一対の電極間に、電
気絶縁性分散媒中に固体粒子を分散させてなる電気粘性
流体が配されており、少なくとも一方の電極の電気粘性
流体と接する表面に微細な凹凸が形成されていることを
特徴とする電気レオロジー素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一対の電極間に電気
粘性流体が配されてなる電気レオロジー素子に関し、特
に電極表面の形状を改善することによりER効果を促進
できるようにした電気レオロジー素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電気粘性流体と呼ばれる組成
物は知られている。分散系電気粘性流体は、微小な固体
粒子を電気絶縁性の媒体中に適当な濃度で分散させてな
る流体であり、これに数kV/mm程度の外部電界を印
加するとその流体の見かけの粘度(または降伏応力)が
著しく増大する特性、いわゆる電気レオロジー効果(以
下、ER効果という)を発現する。このようなER効果
による粘度変化は可逆的であり、その応答速度が数ms
のオーダと速いことから、例えばクラッチ、バルブ、ダ
ンパ、アクチュエータ、ロボット制御、振動制御などの
各種装置への応用が期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ER効果の
発現メカニズムについては多数の研究者によって検討さ
れており、いくつかの説があるが、基本的には電界の印
加によって粒子が分極し、粒子間の電気的な引力によっ
て電極間に鎖状構造が形成され、その結果、剪断に対す
る抵抗力が発生して降伏応力が現れると考えられる。し
かしながら、ER効果の発現のメカニズムについては未
だ不明な点が多く、実用に供する十分な降伏応力が得ら
れていないのが現状であり、ER効果を促進させる新た
な技術の開発が望まれている。
【0004】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、電気粘性流体によるER効果を促進できるようにし
た電気レオロジー素子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明の電気レオロジー素子は、電界を生じせしめる
一対の電極間に、電気絶縁性分散媒中に固体粒子を分散
させてなる電気粘性流体が配されており、少なくとも一
方の電極の電気粘性流体と接する表面に微細な凹凸が形
成されていることを特徴とする電気レオロジー素子。前
記電極表面の微細な凹凸は、例えば網目状に形成するこ
とが好ましい。前記電気粘性流体として、電界印加時に
電極表面近傍にコラムの密度が薄い領域を形成するもの
を用いることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明者等は、電界印加時に電極
間に固体粒子の鎖状構造が形成され、さらにこの鎖状構
造が破壊に至る過程を詳細に調べ、その結果、ある種の
電気粘性流体(以下、ER流体ということもある)にお
いては、電界を印加したときに電極の間に固体粒子のコ
ラム(鎖)が一様に形成されず一方の電極の表面近傍に
コラムの密度が薄い低密度領域が形成されること、さら
にER流体に剪断速度が与えられるとこの低密度領域で
コラムの切断が生じること、および電極表面とコラム先
端との間に滑りが生じることを知見し、このような電極
表面での滑り現象とコラムの切断がER効果の促進を妨
げる原因となっていることを見い出して本発明に至っ
た。
【0007】まず、本発明者等が知見したER流体にお
ける電極表面での滑り現象とコラムの破壊現象について
説明する。 (実験例1)図1は、本発明者等がER流体の挙動を可
視化するために作製した装置の概略構成図である。この
装置は、円盤状の内側電極1と円筒状の外側電極2とが
同軸となるように配置されており、これらの間にER流
体3が満たされている。内側電極1の中心軸はモータ4
に直結されており、内側電極1は所定の回転数で回転す
るように構成されている。また内側電極1とモータ4と
は絶縁材料からなる接続部材5を介して接続されてお
り、内側電極1とモータ4とが電気的に絶縁されている
とともに、内側電極1には直流電圧Vが印加できるよう
になっている。一方外側電極2は接地され、動かないよ
うに固定されている。また、内側電極1の外周面と外側
電極2の内周面との間(ギャップという)の任意の位置
の上方には、この位置のER流体3を拡大して撮像する
ための顕微鏡11を備えたCCDカメラ12が設けられ
ており、撮像された画像がモニター13に映し出される
とともに、ビデオデッキ14にてビデオテープに記録さ
れるようになっている。図中符号15はパーソナルコン
ピュータであり、ビデオデッキ14を制御して静止画像
を得るとともに、得られた静止画像をプリンタ16から
印画出力できるようになっている。
【0008】ER流体3のサンプルとしては、フッ素変
成ジメチルシリコーンオイルに、球形の有機ポリマー表
面に1μm程度の厚さで特殊酸化チタンをコーティング
した無機・有機複合粒子を重量濃度30%で分散させた
ER流体を用いた。用いた無機・有機複合粒子の平均粒
径は約10μm、カール・フィッシャー(Karl Fische
r)法により測定した水分含有量が4000ppmである。
このER流体の密度は1.14g/cm3、粘度は53.5mPa・s、
比誘電率(f=100Hz)は6.83、導電率は8.9×10-3である。
図1の装置において、内側電極1と外側電極2との間の
距離、すなわちギャップ長dは4mmとし、内側電極の
回転数Nは1rpmで一定とした。電極間に印加される
電界強度Eは1kV/mmで一定とした。また観測の明
瞭性を考慮してER流体の固体粒子濃度は5Wt%に調製
した。測定は室温(22℃)下で行った。
【0009】図2は内側電極1を陽極、外側電極2を陰
極として電界を印加したときのER流体の挙動を示した
もので、(a)は内側電極1が回転していないとき(N
=0)に電界を印加したときの静止画像である。この時
点をt=0とする。(b)は、その後内側電極1が回転
しはじめて0.1秒後(t=0.1)の静止画像であ
り、(c)は0.5秒後(t=0.5)の静止画像であ
り、(d)は30秒経過後の定常状態における静止画像
である。これらの図において内側電極1(図では上側)
は回転により図中右側へ移動する。この例のER流体に
あっては、図2(a)に示されるようにギャップに電界
が印加された直後に固体粒子は陰極(図では下側)に引
き付けられ、多数個の非常に細いコラム(固体粒子から
なる鎖)を形成するとともにコラムが陽極に向かって急
速に成長した。その結果、ギャップのうち陰極に近い大
半が非常に密度の濃いコラムによって占有され、あたか
も固化したように粒子どうしの強い結び付きを示した。
一方、陽極付近ではコラム密度が薄い領域(低密度領
域;図中△dで示している)が存在し、陽極表面とコラ
ム先端との結合力は弱い。そして内側電極が回転し始め
ると、図2(b)に示されるように、陽極表面上の低密
度領域内のコラムのみが回転方向に僅かに傾き、図2
(c)に示されるように、この低密度領域内のコラムは
内側電極の回転がさらに進んでもほとんど形状を変える
ことなく、陽極表面とコラム先端とで滑りを生じた。そ
の後、この低密度領域内のコラムは、陽極表面の滑りに
加えて切断と結合を繰り返すようになり、図2(d)に
示すように約30秒経過後の定常状態においては、コラ
ム密度が薄い低密度領域の境界が明確に観測されるよう
になった。ER流体がこのような挙動を示す場合、降伏
応力τyは、低密度領域内のコラムが陽極表面で滑りを
開始し、切断を生じる直前に外側電極にかかる応力であ
ると考えられる。
【0010】また図3は上記図2とは印加電圧の極性を
変えて、内側電極1が陰極、外側電極2が陽極となるよ
うに電界を印加したときのER流体の挙動を示したもの
で、図3の(a)はN=0、t=0、(b)は、内側電
極1が回転しはじめて0.1秒後(t=0.1)(c)
は0.5秒後(t=0.5)、(d)は30秒経過後の
定常状態のそれぞれにおける静止画像である。これらの
図において内側電極1(図では上側)は回転により図中
右側へ移動する。この図に示されるように、印加電圧の
極性を変えても、やはり電界が印加された直後に固体粒
子は陰極(図では上側)に引き付けられ、陰極付近にコ
ラム密度が濃い領域が形成され、陽極付近ではコラム密
度が薄い低密度領域形成された(図3(a))。そして内
側電極が回転し始めると、低密度領域内のコラムのみが
傾いて(図3(b))、やがて陽極表面とコラム先端とで
滑りを生じ(図3(c))、低密度領域においてコラムの
切断と結合を繰り返すようになり、定常状態においては
低密度領域の境界が明確に観測されるようになった(図
3(d))。なおこの実験例では、電極表面とコラム先端
とのすべりは陽極側でのみ観察され、陰極表面における
滑りは観察されなかったが、さらに大きな剪断速度にお
いては陰極表面でも滑りが生じる可能性もある。
【0011】ここで、上記実験例1におけるER流体の
挙動について、以下のように考察される。一般に、図4
(a)に示すように、絶縁油中の含水性固体粒子51は
水の高い誘電率によって正に帯電される。正に帯電した
固体粒子51はこれと液体(絶縁油)との界面に電気二
重層として固定吸着される負電荷を集めて殻52を形成
する。この吸着された負電荷からなる殻52は、さらに
正電界による雰囲気53によって取り囲まれ拡散二重層
を形成する。この殻52の負電荷が固体粒子51に強く
拘束されているのに対して、雰囲気53中の正電荷は固
体粒子51による拘束が弱いため、強い電界が印加され
ると図4(b)に示すように雰囲気53は殻52に対し
て歪められる。これは固体粒子51を陰極の方へ動かす
電界と同じ方向の双極子を持つ拡散二重層の分極とな
り、粒子間に引力を生じさせる。上記実験例1で用いた
ER流体のサンプルは、分散媒にフッ素原子が含まれて
いることから強い電気的負性を有する。従って電界の印
加によって生成された負のフッ素イオンが固体粒子51
の界面に付着して殻52を形成する可能性が大きく、分
散媒にこのような陰イオンが含まれていない場合に比べ
てより密度の濃い殻52を形成し、したがって雰囲気5
3の密度も濃くなり、双極子は強化される。その結果、
陰極への固体粒子の偏析が増し、陰極付近にコラム密度
が濃い領域が形成され、陽極付近ではコラム密度が薄い
低密度領域形成されると考えられる。これに対して上記
実験例1において、ER流体の分散媒として、フッ素変
成ジメチルシリコーンオイルに代えてフッ素原子を含ま
ないジメチルシリコーンオイルを用いると、電極間を架
橋する多数のコラムがほぼ規則的に形成されてコラムの
低密度領域は形成されず、剪断速度によるコラムの切断
はギャップの中央よりわずかに陽極側で生じることが実
験で確かめられた。
【0012】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
電気レオロジー素子(以下、ER素子ということもあ
る)は、電界を生じせしめる一対の電極間に、電気絶縁
性分散媒中に固体粒子を分散させてなる電気粘性流体が
配された構成を有するものであり、ER流体と接する電
極の表面に微細な凹凸が形成されている。素子の構成や
構成部材の形状等は任意とすることができる。電気粘性
流体に印加される電界は好ましくは直流電界である。電
極表面に微細な凹凸を形成することにより、電極表面に
おいて局部的に電界強度を上昇させることができるの
で、その電極表面の近傍にコラムの低密度領域が形成さ
れていれば、その低密度領域内における固体粒子どうし
の結合力を強化し、これによりER効果を促進させ、降
伏応力τyを向上させることができる。また電極が回転
するなど、ER流体に剪断速度が与えられる場合には、
電極表面の凹凸によって電極表面におけるコラム先端の
滑りが抑制されるので、これによりER効果を促進さ
せ、降伏応力τyを向上させることができる。
【0013】本発明のER素子において、電極表面の微
細な凹凸は、一対の電極のうち一方にのみ設けてもよ
く、あるいは両方に設けてもよいが、好ましくはER流
体に電界を印加したときにコラムの低密度領域が形成さ
れる側の電極表面、あるいはER素子の使用時にコラム
先端の滑り現象が生じる電極の表面に形成される。本発
明において、電極の表面に形成される微細な凹凸の形状
は、上述のような電界強度を局部的に上昇させる作用効
果、および電極表面でのコラム先端の滑りを抑制する作
用効果が効果的に得られるように設定される。したがっ
て微細な凹凸は電極表面の少なくともER流体と接する
部分の全面にわたって形成することが好ましく、その形
状は規則性があった方が好ましいが、なくてもよい。電
極表面に凹凸を形成する手法は任意であり、例えば電極
表面を金属などの導電性材料からなるメッシュで覆うこ
とによって網目状の凹凸を形成する方法を好ましく用い
ることができる。メッシュの材料としては、例えばステ
ンレススチール等の導電性のものを好ましく用いること
ができる。またメッシュの厚さや目の粗さによってER
効果の促進効果が変化するので、ER効果を好ましく促
進できるようにこれらの寸法を設定することが好まし
い。好ましいメッシュの厚さおよび目の粗さはER流体
の組成やER素子の使用条件にもよるが、概ね厚さが
0.02〜0.5mm、さらに好ましくは0.05〜
0.15mmであり、固体粒子の粒径:目開きの比が
1:2〜1:25程度の範囲内で好ましく設定される。
また電極表面をメッシュで覆う代わりに、電極の表面を
網目状に加工してもよい。電極表面に網目状以外の任意
の形状の微細な凹凸を形成する場合は、その電極表面の
粗さが小さすぎると凹凸を設けたことによる効果が十分
に得られず、大きすぎるとかえってER効果が劣化する
おそれがある。したがって、電極の表面粗さが、JIS
B0601に規定される最大高さ(Ry)が固体粒子
の粒径の2〜25倍(単位:μmRy)であり、凹凸の
平均間隔(Sn)が固体粒子の粒径の2〜50倍(単
位:mmSn)程度となるように凹凸を形成するのが望
ましい。
【0014】本発明において電気粘性流体としては、電
気絶縁性分散媒中に固体粒子を分散させてなるものであ
れば適宜のものを用いることが可能であるが、上記実験
例1で用いたER流体のサンプルのように、電界印加時
に電極表面近傍にコラムの密度が薄い低密度領域を形成
する挙動を示すER流体を用いれば、低密度領域におけ
る固体粒子の結合を強化するとともに、電極とコラムと
の滑りを抑制することができるので、電極表面に微細な
凹凸を設けたことによるER効果を促進させる効果が大
であり好ましい。また、コラムの低密度領域を形成しな
いER流体も使用可能であり、電極とコラムとの間に滑
りを生じるような条件において電極表面に微細な凹凸を
設けることによってこれらの滑り現象を抑制してER効
果を促進する効果を得ることができる。
【0015】ER流体を構成する電気絶縁性分散媒およ
び固体粒子は適宜のものを選択して用いることが可能で
あるが、例えばフッ素変成シリコーンオイルを電気絶縁
性分散媒として用い、これに固体粒子として、例えば球
形の有機ポリマー粒子の表面に特殊酸化チタンをコーテ
ィングしてなる二重構造の無機・有機複合粒子を分散さ
せてなるER流体を好ましく用いることができる。この
ER流体は、上記実験例1で用いたER流体のように、
電界印加時に陽極近傍にコラムの低密度領域を形成す
る。無機・有機複合粒子における酸化チタンの層の厚さ
は好ましくは1μm程度であり、無機・有機複合粒子の
平均外径は例えば約10μm程度に好ましく形成され
る。このような無機・有機複合粒子は好ましくはジェッ
ト気流攪拌法によって好ましく形成することができる。
ER流体に用いられる固体粒子が含水性である場合、そ
の含水率によってER効果が大きく異なるので、伝導電
流に伴う消費電力の妥当性と得られるER効果の大きさ
とを考慮して適切な含水率に調整することが好ましい。
たとえばカールフィッシャー法による水分含有量で約4
000ppmである固体粒子を好ましく用いることがで
きる。ER流体における固体粒子の含有率は、低すぎる
と十分なER効果が得られず、含有率が高くなるほどE
R効果は大きくなるが、固体粒子がある濃度に達すると
粒子間引力の飽和が生じ、ER効果は増大しなくなるの
で、固体粒子や分散媒の組成によっても変化するが、好
ましくは5〜40wt%程度とされる。
【0016】また分散媒として好適に用いられるフッ素
変性シリコーンオイルとは、直鎖状ジメチルポリシロキ
サンのメチル基(M)が部分的にフッ素(F)で置換さ
れたものであり、F/(F+M)×100(%)で定義
されるフッ素含有量、すなわちシリコーンオイルのメチ
ル基(M)がフッ素(F)で置換されている割合(置換
数)が10〜60%程度のものが好ましい。このフッ素
含有量が少なすぎるとフッ素で置換されていないものと
の差異が十分に発現せず、多すぎると絶縁破壊を生じる
おそれがあるためである。またフッ素変性シリコーンオ
イルの粘度は、低すぎると揮発成分が多量に混在し電気
粘性流体の貯蔵安定性を低下させるので好ましくなく、
高すぎると攪拌時に気泡を巻き込み、その気泡が抜け難
く、取り扱いに支障を来すおそれがあるので、0.1〜
3000mPa・S程度が好ましい。
【0017】本発明のER素子によれば、ER流体と接
触する電極表面に微細な凹凸を形成することにより、電
極表面において局部的に電界強度を上昇させてコラムの
低密度領域内における固体粒子どうしの結合力を強化す
ることができ、また電極表面におけるコラム先端の滑り
を抑制することができるので、これによりER効果を促
進させ、降伏応力τyを向上させることができる。本発
明のER素子は、一対の電極間にER流体を配した構成
を有するものであればあらゆる構成の素子、あるいは装
置に適用可能であり、非常に適用範囲が広いものであ
る。例えばクラッチ、バルブ、ダンパ、アクチュエー
タ、ロボット制御、振動制御等の各種装置に適用可能で
あり、実用に供するに十分な降伏応力がを得ることが期
待できる。また電極表面に微細な凹凸を形成するという
簡単な方法で、複雑な装置やコストの大幅な増大等を招
くことなくER効果を向上させることができるので、実
施可能性が高く、技術的効果が極めて高いものである。
【0018】以下、本発明の効果を明らかにするために
行った実験例について説明する。 (実験例2)図5は、ER特性測定用装置の例を示す概
略構成図である。この装置は二重円筒型回転粘度計の原
理に基づいた内円筒回転式の装置であり、同軸円筒状に
配された内円筒21と外円筒22を備えている。内円筒
21はアルミニウムからなり、直径45mm、高さ45
mmの円柱状に形成されている。内円筒21の中心軸は
回転数Nを0〜115rpmの範囲で調整可能な可変速モ
ータ23に直結されている。また内円筒21とモータ2
3との接続部材23aは絶縁材料からなり、内円筒21
とモータ23とは電気的に絶縁されるとともに、内円筒
21には直流電圧Vが印加されるようになっている。外
円筒22はアルミニウムからなり、自由に回転できるよ
うに構成されている。外円筒22は接地されており、絶
縁材料からなる底面22aおよび天板22bが設けられ
ている。また外円筒22の底面22aの外面上には同軸
状に直径10mmの滑車24が取り付けられており、こ
の滑車24はロードセル(3kgf定格)27と糸25で
連結されており、この糸25にかかる張力が応力指示計
26により測定されるように構成されている。
【0019】内円筒21と外円筒22の間にER流体を
満たし、内円筒21に直流電圧Vを印加し、モータ23
を駆動して内円筒21を回転させることによってER流
体に剪断速度を与える。そして糸25にかかる張力を測
定し、これにより剪断応力τを求めた。ER流体として
は上記実験例1で用いたER流体のサンプルと同じ組成
で固体粒子の濃度が30wt%のものを用いた。測定に際
しては、内円筒21と外円筒22との間のギャップ長d
を4.0mmに設定するとともに、内円筒21に負の電
圧を印加して外円筒22を陽極とし、内円筒21の回転
速度Nおよび印加電界強度Eをそれぞれ変化させて剪断
応力τを測定した。またτとNの関係からN=0のとき
のτを降伏応力τyとして求めた。その結果を図6に示
す。図6の縦軸は剪断応力τを示しており、横軸は内円
筒21の回転速度Nを示すとともにその回転速度におけ
る剪断速度γを()を付して示している。また外円筒2
2の内面を目開き100μm、厚さ0.1mmのステン
レススチール製のメッシュで覆った他は同様にして測定
を行った。その結果を図6に合わせて示す。図6におい
て破線はメッシュ無しの場合、実線はメッシュを装着し
た場合をそれぞれ示しており、N=0における×は降伏
応力τyをそれぞれ示している。この図に示されるよう
に、メッシュを装着することによって剪断応力および降
伏応力が増大し、例えばE=3.33kV/mmにおい
ては、メッシュを装着したことによってメッシュ無しの
場合に比べて降伏応力τyが約1.8倍も上昇した。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明の電気レオロ
ジー素子は、電界を生じせしめる一対の電極間に、電気
絶縁性分散媒中に固体粒子を分散させてなる電気粘性流
体が配されており、少なくとも一方の電極の電気粘性流
体と接する表面に微細な凹凸が形成されていることを特
徴とするものである。したがって、電気粘性流体に電界
が印加されたときに電気粘性流体中の固体粒子が形成す
る鎖状のコラム先端と電極表面との滑りを抑制すること
ができ、これによって電気レオロジー効果を促進させる
ことができる。また電極表面に凹凸を設けることによっ
て局部的に電界を強化させ、電気粘性流体に電界が印加
されたときに電極表面近傍に形成されるコラムの低密度
領域における固体粒子の結合を強化することができ、こ
れによって電気レオロジー効果を促進させることができ
る。また電極表面の凹凸を好ましくは網目状に形成する
ことができ、電気レオロジー効果を効果的に促進させる
ことができる。特に電気粘性流体として、電界印加時に
電極表面近傍にコラムの密度が薄い領域を形成するもの
を用いれば、電極表面に凹凸を設けることによる電気レ
オロジー効果の促進効果が有効に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実験例に用いた装置を示す概略
構成図である。
【図2】 本発明に係る実験例におけるER流体の挙動
を経時的に示した顕微鏡写真である。
【図3】 本発明に係る実験例におけるER流体の挙動
を経時的に示した顕微鏡写真である。
【図4】 電気粘性流体における固体粒子の挙動を説明
するための模式図である。
【図5】 本発明に係る実験例に用いた装置を示す概略
構成図である。
【図6】 本発明に係る実験例で得られた回転速度およ
び印加電界強度と剪断応力との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1…内側電極、2…外側電極、3…電気粘性流体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 真一 群馬県桐生市天神町2丁目9番26号 Fターム(参考) 4H104 AA13A CJ13A EA08A EA09A FA04 PA13 QA19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電界を生じせしめる一対の電極間に、電
    気絶縁性分散媒中に固体粒子を分散させてなる電気粘性
    流体が配されており、少なくとも一方の電極の電気粘性
    流体と接する表面に微細な凹凸が形成されていることを
    特徴とする電気レオロジー素子。
  2. 【請求項2】 前記電極表面の微細な凹凸が網目状であ
    ることを特徴とする請求項1記載の電気レオロジー素
    子。
  3. 【請求項3】 前記電気粘性流体として、電界印加時に
    電極表面近傍にコラムの密度が薄い領域を形成するもの
    を用いることを特徴とする請求項1または2のいずれか
    に記載の電気レオロジー素子。
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