JP4494911B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
従来の電力変換装置は、以上のように3相電圧が平衡となるように階調制御されるものであったが、各相電圧の階調切替時に、所望の電圧階調へ移行する階調切替タイミングが上記短絡防止遅延制御に起因して遅延することがあり、その間、3相電圧の合計が零にならない。このため、中性点非接地の場合は、ケーブルの漂遊のコンデンサを介して電流が流れ電磁波ノイズが発生する。また、中性点接地の場合も、アースを介して零相電流が流れることになり、電磁波ノイズが発生するという問題点があった。
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による電力変換装置の構成を、3相負荷駆動用の3相インバータ装置について示した図である。
図に示すように、各相がスター結線された3相インバータ装置は、主制御回路10、高精度波形制御回路14からなる制御装置を備えて3相負荷回路7に電力供給するもので、それぞれの相は複数の単相インバータを直列接続された単相多重変換器から成る。この場合、スター結線接続点側の3相の単相インバータに、コンデンサ1aを共用とする3相3レベルインバータ3を用いる。3相3レベルインバータ3の各相の出力側にそれぞれ1つの単相インバータであるマルチレベルインバータ4の交流側が直列に接続される。
3相3レベルインバータ3およびマルチレベルインバータ4からの各相出力電圧は、フィルタ19および伝送ケーブル装置6を介して、負荷抵抗8および負荷インダクタンス9で構成される3相負荷回路7に供給される。ここでは、3相3レベルインバータ3の中性点45および3相荷回路7の中性点46をそれぞれ接地する場合を示す。
高精度波形制御回路14は、駆動信号発生部としてのゲート信号生成回路15と光発信器16、18とから成り、ゲート信号生成回路15は、主制御回路10からの3レベルインバータ階調指令信号11、マルチレベルインバータ階調指令信号12、および電流極性信号13を入力として、3相3レベルインバータ3および各相のマルチレベルインバータ4を駆動するゲート信号を生成し、光発信器16、18を介して出力する。このゲート信号生成回路15では、各インバータ3、4内のアーム短絡防止のための短絡防止遅延制御と、該短絡防止遅延制御による階調切替タイミングのずれを防止する電圧切替最適化遅延制御とがなされたゲート信号を生成する。
3相3レベルインバータ3の1相分の回路構成を図3(a)に示し、スイッチングパターンを図3(b)〜図3(d)に示す。また、マルチレベルインバータ4の回路構成を図4(a)に示し、スイッチングパターンを図4(b)〜図4(g)に示す。
3相3レベルインバータ3では、図3に示すように、各相において、4個の半導体スイッチング素子S1〜S4のうち隣接する2個の半導体スイッチング素子を導通状態とし、真ん中の2つが導通して0A.U.が(図3(b)参照)、上の2つが導通して7A.U.が(図3(c)参照)、下の2つが導通して−7A.U.(図3(d)参照)が出力される。これにより、+7A.U.、0A.U.、−7A.U.の3レベルの電圧を出力する。
22は、3相3レベルインバータ3の各相出力波形を、23はマルチレベルインバータ4の出力波形を示す。ここで、3相3レベルインバータ3の各相出力波形22に対応する主制御回路10からの3レベルインバータ階調指令信号11は、各相2ビットで、出力の有無と極性との指令となる。また、マルチレベルインバータ4の出力波形23に対応する主制御回路10からのマルチレベルインバータ階調指令信号12は、図5の指令信号に示すように、各相3ビットの指令となる。
各相の出力電圧は、入力される参照波に基づいて階調制御するものであるが、ある相(この場合W相)に対する参照波を、以下に示すように、他の2相の出力電圧に基づいて発生させる。
図2に示す3相インバータ装置のU相、V相のそれぞれの参照波に、Vu参照波=V・sin(ω・t)、Vv参照波=V・sin(ω・t−120/360・2π)を適用する。また、U相電圧計測器41およびV相電圧計測器42で、U相およびV相の出力電圧Vu、Vvの値を検出し、これらを加算した値(Vu+Vv)を正負反転させて−(Vu+Vv)を演算し、この電圧値をW相の参照波(Vw参照波)に適用する。これにより、W相の出力電圧は3相電圧合計が零になるように階調出力して、3相電圧は平衡となる。各相の出力電圧階調波形と3相電圧の合計とを図6に示す。
なお、図2では、各相に電圧計測器41〜43を備えて各相の出力電圧を検出したが、主制御回路10で演算されて各相への指令となる各相階調電圧を用いても良い。
また、主制御回路10はソフトウェアにて所定の演算をするものとしたが、アナログ回路又はデジタル論理回路を用いて構成しても良い。
図8に示すように、ゲート信号生成部15は、階調指令をゲートパルス信号に変換するゲートパルス生成論理回路52の前段に電圧切替最適化遅延制御論理回路51を備え、また、このゲートパルス生成論理回路52の後段に短絡防止遅延制御論理回路53を備える。主制御回路10は、各相毎に、3レベルインバータ階調指令信号11、マルチレベルインバータ階調指令信号12、および電流極性信号13をそれぞれ出力し、該出力を入力としてゲート信号生成部15にて生成された3レベルインバータゲート信号32aおよびマルチレベルインバータゲート信号32bは、光発信器16、18を介して高精度波形制御回路14から出力され、ドライバ回路54、55を介して各インバータ3、4の半導体スイッチング素子に送出されて各スイッチング素子を駆動する。
3相3レベルインバータ3では、上述したように、各相において、4個の半導体スイッチング素子S1〜S4のうち隣接する2個の半導体スイッチング素子を導通状態とするが、例えば、図9に示すように、真ん中の2つが導通して0A.U.出力の状態から、上の2つが導通して7A.U.出力の状態に切り換える際、アーム短絡防止のため、次のように制御する。半導体スイッチング素子S3(以下、単にS3と称す)をオフした後、所定の短絡防止時間遅らせて、S1をオンする。
図9(a)に示すように、電流と電圧の向きが一致する場合、S3をオフした後、短絡防止時間t1経てS1をオンすることで0A.U.出力から7A.U.出力に切り替えると、実際、S1をオンした時点で7A.U.出力に切り替わり、切替タイミングは短絡防止時間だけ遅延する。
一方、図9(b)に示すように、電流と電圧の向きが一致しない場合、同様にS3をオフした後、短絡防止時間t1経てS1をオンすることで0A.U.出力から7A.U.出力に切り替えるが、実際には、S3をオフした時点で7A.U.出力に切り替わり、切替タイミングは短絡防止時間に拘わらず遅延しない。
このような短絡防止遅延制御により、3相3レベルインバータ3および各マルチレベルインバータ4では、出力電圧の切替タイミングが、上述したように、電圧/電流極性isd(同極性または異極性)によって、遅れたり、遅れなかったりする。
図10(b)に示すA、B、C、Dの各位相における出力電圧の切替時に、図10(a)に示すように、電圧/電流極性isdによって切替タイミングの遅れが決まる。なお、図9(a)、図9(b)に示した場合について、図10(a)内の右端に(a)、(b)と表示した。
このように、短絡防止遅延制御により、各インバータ3、4では出力電圧の切替タイミングに遅れが発生し、全体の相電圧出力についても、階調切替時に各インバータ3、4の切替タイミングが遅れれば、相電圧が所望の電圧に切り替わる階調切替タイミングもその分遅れることになる。
電圧切替最適化遅延制御論理回路51は、上述したように、後段の短絡防止遅延制御論理回路53での短絡防止遅延制御に起因した各相電圧の階調切替タイミングの遅延情報を予測して該階調切替タイミングを最適遅延時間、遅延させて最適化した最適化階調指令信号30を出力する。
図11は、短絡防止遅延制御に起因した各相電圧の階調切替タイミングの遅延情報を各相毎に予測する階調切替遅延予測手段としての階調切替遅延予測部の構成を、例えばU相について示したものである。また、図12は、最適化演算手段としての最適遅延時間決定回路154にて各相毎の最適化遅延時間を演算して、階調切替タイミングを該最適遅延時間、遅延させて最適化する最適化演算部の構成を、例えばU相について示したものである。
また、遅延情報選択回路152は、U相インバータ階調指令信号11u、12u(AU、BU、CU、DU、EU)と、3クロック前のU相インバータ階調指令信号11ua、12ua(A1U、B1U、C1U、D1U、E1U)と、U相の電圧/電流極性isdを示すU相電流極性信号13uとを入力として、予め設定されて記憶されている遅延記憶情報から、U相電圧の階調切替タイミングの遅延情報(U相遅延情報)33uを抽出して出力する。
図10を用いて示したように、各インバータ3、4では、短絡防止遅延制御に起因して、電圧/電流極性isdにより出力電圧の切替タイミングに短絡防止時間分だけ遅れが発生する。相電圧の階調切替時に、各インバータ3、4の出力電圧の切替タイミングがどのように遅れるかは、例えばU相では、U相インバータ階調指令信号11u、12u(AU、BU、CU、DU、EU)と、切替前(3クロック前)のU相インバータ階調指令信号11ua、12ua(A1U、B1U、C1U、D1U、E1U)と、U相電流極性信号13u(電圧/電流極性isd)とで予め決まっており、このため、これらの情報を遅延記憶情報として予め設定して記憶しておく。
このように、U相階調切替遅延予測部では、U相ビット情報変化信号163をU相電圧における階調切替時の検出信号として出力すると共に、短絡防止遅延制御に起因した各相電圧の階調切替タイミングの遅延情報を、予め設定して保持している遅延記憶情報から抽出して出力する。実際には短絡防止遅延制御は後段で行うものであるため、未制御である該短絡防止遅延制御に起因する遅延情報を予測して出力することになる。
なお、U相階調切替遅延予測部について説明したが、他相(V相、W相)についても同様に、階調切替遅延予測部にてビット情報変化信号163および遅延情報33v、33wがそれぞれ生成される。
U相最適化演算部の最適遅延時間決定回路154は、各相の遅延情報33u、33v、33wを全て入力すると共に、U相ビット情報変化信号163を入力して、U相における最適遅延時間を演算し、該最適遅延時間に対応するクロック信号のカウント数であるU相遅延カウント情報155(155a、155b)を出力する。
図に示すように、階調切替時の検出信号であるU相ビット情報変化信号163が最適遅延時間決定回路154に入力されると(ステップT1)、その時点の各相の遅延情報33u、33v、33wを用いて、図15のフローに示すロジックによりU相の3レベルインバータ3に対する最適化演算を行い、U相3レベルインバータ3に対する遅延カウント情報155aを出力する。同時に図16のフローに示すロジックによりU相マルチレベルインバータ4に対する最適化演算を行い、U相マルチレベルインバータ4に対する遅延カウント情報155bを出力する。
ステップT2にて、U相の3レベルインバータ3の遅延情報が「0:遅れない」場合、他相(V相、W相)の3レベルインバータ3の遅延情報のいずれかが「1:遅れる」となっているか否かを判断し(ステップT4)、「1:遅れる」場合、それに合わせて、U相の3レベルインバータ3の出力電圧切替タイミングを3レベルインバータ3の短絡防止時間分(t1)だけ遅らせるための演算を行う。即ち、U相の3レベルインバータ3に対する最適遅延時間として、3レベルインバータ3の短絡防止時間t1を決定し、この短絡防止時間t1をクロック周期で除算し、対応するカウント数であるU相遅延カウント情報155aを出力する(ステップT5)。
ステップT6にて、「1:遅れる」場合、それに合わせて、U相の3レベルインバータ3の出力電圧の切替タイミングをマルチレベルインバータ4の短絡防止時間分(t2)だけ遅らせるための演算を行う。即ち、U相の3レベルインバータ3に対する最適遅延時間として、マルチレベルインバータ4の短絡防止時間t2を決定し、この短絡防止時間t2をクロック周期で除算し、対応するカウント数であるU相遅延カウント情報155aを出力する(ステップT7)。
ステップT6にて、各相(U相、V相、W相)マルチレベルインバータ4の遅延情報のいずれも「0:遅れない」場合、U相の3レベルインバータ3に対する最適遅延時間として0を決定し、対応するカウント数=0であるU相遅延カウント情報155aを出力する(ステップT8)。
ステップT9にて、「1:遅れる」場合、U相のマルチレベルインバータ4の遅延情報が「1:遅れる」となっているか否かを判断する(ステップT10)。
ステップT10にて、「1:遅れる」場合、U相マルチレベルインバータ4の出力電圧の切替タイミングを3レベルインバータ3とマルチレベルインバータ4との短絡防止時間の差分(t1−t2)だけ遅らせるための演算を行う。即ち、U相のマルチレベルインバータ4に対する最適遅延時間として短絡防止時間の差分(t1−t2)を決定し、(t1−t2)をクロック周期で除算し、対応するカウント数であるU相遅延カウント情報155bを出力する(ステップT11)。
ステップT9にて、各相(U相、V相、W相)3レベルインバータ3の遅延情報のいずれも「0:遅れない」場合、U相のマルチレベルインバータ4の遅延情報が「1:遅れる」となっているか否かを判断する(ステップT13)。
ステップT13にて、「1:遅れる」場合、U相の3レベルインバータ3に対する最適遅延時間として0を決定し、対応するカウント数=0であるU相遅延カウント情報155bを出力する(ステップT14)。
ステップT15にて、他相(V相、W相)のマルチレベルインバータ4の遅延情報のいずれも「0:遅れない」場合、U相のマルチレベルインバータ3に対する最適遅延時間として0を決定し、対応するカウント数=0であるU相遅延カウント情報155bを出力する(ステップT17)。
カウンタ回路156では、U相遅延カウント情報155(155a、155b)を入力として、U相ビット情報変化信号163によるリセット信号162を起点として指定されたカウント数までクロック信号161を数え、カウント終了時に出力信号であるイネーブル状態情報164を変化させる。状態ビット切替回路157では、主制御回路10からのU相インバータ階調指令信号11u、12u(AU、BU、CU、DU、EU)と、カウント回路156からのイネーブル状態情報164とが入力され、イネーブル状態情報164が変化した時、U相インバータ階調指令信号11u、12u(AU、BU、CU、DU、EU)をU相最適化階調指令信号30uとして出力する。
なお、最適遅延時間、および短絡防止時間は、階調制御における階調切替区間に対応する時間に比べて十分に短いものであり、階調制御は、最適遅延時間による最適化遅延制御および短絡防止時間による短絡防止遅延制御を、制御性良く併用できる。
この後、U、V、W相の最適化階調指令信号30(30u、30v、30w)は、上述したように、ゲートパルス生成論理回路52に入力され、ゲート信号31に変換される(図8参照)。図17に、最適化階調指令信号30からゲート信号31に変換するゲートパルス生成論理表を示す。各相共通のため、最適化階調指令信号30を(A、B、C、D、E)と表し、各相2ビットの3レベルインバータ最適化階調指令信号(A、B)から3レベルインバータ3への4個の半導体スイッチング素子S1〜S4へのゲート信号31の生成について図17(a)に示す。また、各相3ビットのマルチレベルインバータ最適化階調指令信号(C、D、E)からマルチレベルインバータ4への8個の半導体スイッチング素子SS1〜SS8へのゲート信号31の生成について図17(b)に示す。
この3レベルインバータゲート信号32aおよびマルチレベルインバータゲート信号32bに基づいて各インバータ3、4を駆動するが、各相電圧の階調切替時には、全相の出力切替の対象となる全インバータ3、4において出力切替が同期し、各相階調切替タイミングが同期するものとなる。
図18(a)に示すような、3相電圧が平衡となるように階調制御された3相電圧波形において、階調切替時の拡大波形を図18(b)およびに図18(c)に示す。
図18(b)に示す階調切替時では、U相は短絡防止遅延制御により短絡防止時間分遅れて1階調増加、V相は増減なし、W相は1階調減少するものである。このとき、最適化遅延制御によりW相での階調切替タイミングをU相に合わせるように遅らせる。これにより、3相電圧合計は零に保たれ、中性点や漂遊の静電容量を介して流れる電流は発生しない。
図18(c)に示す階調切替時では、U相は1階調減少、V相は2階調増加、W相は短絡防止遅延制御により短絡防止時間分遅れて1階調減少するものである。このとき、最適化遅延制御によりU相、V相での階調切替タイミングをW相に合わせるように遅らせる。これにより、3相電圧合計は零に保たれ、中性点や漂遊の静電容量を介して流れる電流は発生しない。
以上のように、この実施の形態では、短絡防止遅延制御と最適化遅延制御とにより、各相電圧の階調切替時に各相電圧合計を信頼性よく零に保つことができて、中性点や漂遊のコンデンサを介して流れる電流を抑制することができ、このため電磁波ノイズを低減することができる。
さらに、階調切替タイミングの予測遅延情報を、予め設定して保持している遅延記憶情報から抽出して得るため、未制御である短絡防止遅延制御に起因する遅延情報を容易に信頼性よく予測できる。
さらにまた、最適化遅延制御では、クロック信号161をカウントするカウンタ回路156により、階調制御指令信号11、12を最適遅延時間に対応するカウント数だけ遅延させて出力するため、ゲート信号を微小な最適遅延時間だけ確実に遅延させることができ、信頼性の高い制御が行える。
上記実施の形態1で示した電圧切替最適化遅延制御論理回路51内の最適化演算部の別例を以下に示す。
図20は実施の形態2による3相インバータ装置におけるU相最適化演算部を示すもので、最適遅延時間決定回路200、カウンタ回路156および状態ビット切替回路157で構成される。なお、最適遅延時間決定回路200以外の動作は、上記実施の形態1と同様である。
U相最適化演算部の最適遅延時間決定回路200は、U相の遅延情報33uを入力すると共に、U相ビット情報変化信号163を入力して、U相における最適遅延時間を演算し、該最適遅延時間に対応するクロック信号のカウント数であるU相遅延カウント情報155(155a、155b)を出力する。
図に示すように、階調切替時の検出信号であるU相ビット情報変化信号163が最適遅延時間決定回路200に入力されると(ステップTT1)、その時点のU相の遅延情報33uを用いて、図21(a)のフローに示すロジックによりU相の3レベルインバータ3に対する最適化演算を行い、U相3レベルインバータ3に対する遅延カウント情報155aを出力する。同時に図21(b)のフローに示すロジックによりU相マルチレベルインバータ4に対する最適化演算を行い、U相マルチレベルインバータ4に対する遅延カウント情報155bを出力する。
ステップTT2にて、U相の3レベルインバータ3の遅延情報が「0:遅れない」場合、U相の3レベルインバータ3の出力電圧切替タイミングを3レベルインバータ3の短絡防止時間分(t1)だけ遅らせるための演算を行う。即ち、U相の3レベルインバータ3に対する最適遅延時間として、3レベルインバータ3の短絡防止時間t1を決定し、この短絡防止時間t1をクロック周期で除算し、対応するカウント数であるU相遅延カウント情報155aを出力する(ステップTT4)。
ステップTT5にて、「1:遅れる」場合、U相マルチレベルインバータ4の出力電圧の切替タイミングを3レベルインバータ3とマルチレベルインバータ4との短絡防止時間の差分(t1−t2)だけ遅らせるための演算を行う。即ち、U相のマルチレベルインバータ4に対する最適遅延時間として短絡防止時間の差分(t1−t2)を決定し、(t1−t2)をクロック周期で除算し、対応するカウント数であるU相遅延カウント情報155bを出力する(ステップTT6)。
ステップTT5にて、「0:遅れない」場合、U相マルチレベルインバータ4の出力電圧の切替タイミングを3レベルインバータ3の短絡防止時間分(t1)だけ遅らせるための演算を行う。即ち、U相の3レベルインバータ3に対する最適遅延時間として、3レベルインバータ3の短絡防止時間t1を決定し、この短絡防止時間t1をクロック周期で除算し、対応するカウント数であるU相遅延カウント情報155bを出力する(ステップTT7)。
また、各相電圧の全ての階調切替時に、全相で最大遅延時間だけ階調切替タイミングを遅延させるため、出力電圧波形全体を最大遅延時間、遅延させた状態となり、出力電圧波形が歪みを有することなく信頼性が向上する。
また、上記実施の形態1、2では、ゲート信号生成回路15において、電圧切替最適化遅延制御論理回路51をゲート信号生成回路15の前段に配し、情報量の少ない階調制御指令信号11、12の段階で最適化遅延制御を行ったが、電圧切替最適化遅延制御論理回路51をゲート信号生成回路15の後段に配し、各インバータ3、4の半導体スイッチング素子へのゲート信号に変換した後に最適化遅延制御を行っても良い。
上記実施の形態1、2では、スター結線接続点側の3相の単相インバータに、コンデンサ1aを共用とする3相3レベルインバータ3を用い、3相3レベルインバータ3の各相にマルチレベルインバータ4を直列に接続したが、各相の単相多重変換器を、同種の回路構成でそれぞれ出力電圧が異なる複数個の単相インバータを直列接続して構成しても良い。
図22はこの発明の実施の形態3による3相負荷駆動用の電力変換装置としての3相インバータ装置101の主回路構成を示す図である。図に示すように、各相がスター結線された3相インバータ装置101により、制御装置108を備えて3相負荷105に電力供給するもので、それぞれの相は3個の単相インバータ102〜104が直列接続された単相多重変換器から成る。各単相インバータ102〜104は、系統からトランスを通して引き込まれる交流電力を整流して直流電力に変換した後、その直流電力を平滑コンデンサで平滑し、該平滑コンデンサからの直流電力を交流電力に変換するものであるが、ここでは便宜上、直流電源となるコンデンサとスイッチ群で構成されるインバータ部のみを図示する。なお、106、107はそれぞれインバータ側中性点、負荷側中性点を示す。
3 3相3レベルインバータ、4 単相マルチレベルインバータ、
5 マルチレベルインバータの直流入力回路、7 負荷回路、10 主制御回路、
11 3レベルインバータ階調指令信号、
11u U相3レベルインバータ階調指令信号、
12 マルチレベルインバータ階調指令信号、
12u U相マルチレベルインバータ階調指令信号、
13 電圧/電流極性としての電流極性信号、
13u U相電圧/電流極性としてのU相電流極性信号、
15 駆動信号発生部としてのゲート信号生成回路、30 最適化階調指令信号、
30u U相最適化階調指令信号、32a 3レベルインバータゲート信号、
32b マルチレベルインバータゲート信号、33u U相遅延情報、
33v V相遅延情報、33w W相遅延情報、
51 電圧切替最適化遅延制御論理回路、52 ゲートパルス生成論理回路、
53 短絡防止遅延制御論理回路、101 3相インバータ装置、
102 4A.U.出力単相インバータ、103 2A.U.出力単相インバータ、
104 1A.U.出力単相インバータ、105 負荷、108 制御装置、
152 遅延情報選択回路、
153 階調切替時検出手段としてのビット情報変化検出回路、
154 最適遅延時間決定回路、155 U相遅延カウント情報、
156 カウント回路、161 クロック信号、
163 U相階調切替時検出信号としてのU相ビット情報変化検出信号、
200 最適遅延時間決定回路。
Claims (8)
- 複数の半導体スイッチング素子を備えて直流電源からの直流電力を交流電力に変換する単相インバータの交流側を複数直列接続して単相多重変換器を構成し、該単相多重変換器を多相結線して多相負荷に電力供給する電力変換装置において、上記各相の単相多重変換器は、上記複数の単相インバータの中から選択された所定の組み合わせによる各発生電圧の総和により各相電圧を出力すると共に、各相電圧合計が零となるように階調制御するものであり、該階調制御の指令信号を入力として上記各半導体スイッチング素子への駆動信号を発生する駆動信号発生部に短絡防止遅延制御部と電圧切替最適化遅延制御部とを設け、上記短絡防止遅延制御部は、上記各単相インバータ毎に複数の上記半導体スイッチング素子の短絡防止のための所定の短絡防止時間を設定して駆動信号のオンオフタイミングを遅延させて制御し、上記電圧切替最適化遅延制御部は、上記短絡防止遅延制御に起因した各相電圧の階調切替タイミングの遅延情報を予測する階調切替遅延予測手段、および該予測された遅延情報に基づいて各相電圧の階調切替タイミングを同期させるための最適遅延時間を演算する最適化演算手段を備えて、各相電圧の階調切替タイミングを上記階調制御指令信号に対して上記最適遅延時間、遅延させて制御し、該最適化遅延制御と上記短絡防止遅延制御とにより各相電圧の階調切替時に各相電圧合計を零に保つことを特徴とする電力変換装置。
- 上記電圧切替最適化遅延制御部の上記階調切替遅延予測手段は、上記階調制御指令信号から上記各単相多重変換器における各階調切替時を検出し、当該階調切替時における階調切替タイミングの遅延情報を各相毎に予測することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
- 上記各相の単相多重変換器における電圧極性と電流極性とが同極性または異極性のいずれかを示す電流極性信号を検出する手段を有し、上記電圧切替最適化遅延制御部は、上記短絡防止遅延制御に起因した相電圧の各階調切替タイミングの遅延情報を上記単相多重変換器における上記電流極性信号と関連づけて予め保持し、上記階調切替遅延予測手段は、上記電流極性信号に基づいて、上記保持された遅延情報から、当該階調切替時に対応する上記階調切替タイミングの遅延情報を抽出して予測することを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
- 上記電圧切替最適化遅延制御部の上記最適化演算手段は、上記階調切替遅延予測手段にて予測された全相分の上記遅延情報を収集して、階調切替タイミングの予測遅延時間が最大である相を検出し、該予測遅延時間が最大である相の階調切替タイミングに他相の階調切替タイミングを同期させるように、各相の上記最適遅延時間を演算することを特徴とする請求項2または3記載の電力変換装置。
- 上記電圧切替最適化遅延制御部の上記最適化演算手段は、上記短絡防止時間から決定される上記階調切替タイミングの最大遅延時間を予め設定し、各相電圧の階調切替タイミングが全て上記最大遅延時間分遅延するように、上記階調切替遅延予測手段にて予測された上記遅延情報に基づいて、各相における不足分の遅延時間を上記最適遅延時間として演算することを特徴とする請求項2または3記載の電力変換装置。
- 上記電圧切替最適化遅延制御部は、クロック信号をカウントするカウンタ回路を備え、上記階調制御指令信号により上記電圧切替最適化遅延制御部に入力された信号を、上記最適遅延時間に対応するカウント数だけ遅延させて出力することで、上記階調切替タイミングを遅延制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電力変換装置。
- 上記電力変換装置は、上記単相多重変換器を3個備えて3相結線し3相負荷に電力供給するものとし、上記3個のうち2個の単相多重変換器の出力電圧を加算し、該加算値を正負反転させた電圧値を算出する演算手段を備え、上記3個のうち残りの1個の単相多重変換器は、該出力電圧が上記演算された電圧値となるように階調制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電力変換装置。
- 上記3つの単相多重変換器はスター結線され、該スター結線接続点側の3相の各単相インバータは、コンデンサを共用とする3相3レベルインバータを構成することを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
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