JP3903439B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
従来の電力変換装置は、以上のように、半導体スイッチング素子の駆動信号発生部に遅延回路を設けて各単相インバータの発生電圧切替タイミングを調整しているが、上述した短絡防止遅延制御を考慮した調整が為されておらず、各相電圧の階調切替時に上記短絡防止遅延制御に起因してスパイク電圧が発生することがあった。また、このスパイク電圧の発生により、浮遊容量や負荷中性点を介して電流が流れ電磁波ノイズの原因となるという問題点があった。
多重変換器は、複数のインバータの中から選択された所定の組み合わせによる各発生電圧の総和により出力電圧を階調制御するものであり、該階調制御の指令信号を入力として各半導体スイッチング素子への駆動信号を発生する駆動信号発生部に短絡防止遅延制御部と電圧切替最適化遅延制御部とを設け、
短絡防止遅延制御部は、各インバータ毎に複数の半導体スイッチング素子の短絡防止のための所定の短絡防止時間を設定して駆動信号のオンオフタイミングを遅延させて制御し、
電圧切替最適化遅延制御部は、所定のインバータの短絡防止遅延制御に起因した出力電圧切替タイミングの遅延情報を予測する出力電圧切替遅延予測手段、および該予測された遅延情報に基づいて所定のインバータと他の各インバータの出力電圧切り替えを同時点に行う最適遅延時間を決める最適化演算手段を備えて、他の各インバータの出力電圧切替タイミングを上記最適遅延時間、遅延させることにより、多重変換器の出力電圧階調が変化する際に発生するスパイク電圧を抑制するである。
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による電力変換装置の構成を、3相負荷駆動用の3相インバータ装置について示した図である。
図に示すように、各相がスター結線された3相インバータ装置は、主制御回路10、高精度波形制御回路14からなる制御装置を備えて3相負荷回路7に電力供給するもので、それぞれの相は複数の単相インバータを直列接続された単相多重変換器から成る。この場合、スター結線接続点側の3相の単相インバータに、コンデンサ1aを共用とする3相3レベルインバータ3を用いる。3相3レベルインバータ3の各相の出力側にそれぞれ1つの単相インバータであるマルチレベルインバータ4の交流側が直列に接続される。
3相3レベルインバータ3およびマルチレベルインバータ4からの各相出力電圧は、フィルタ19および伝送ケーブル装置6を介して、負荷抵抗8および負荷インダクタンス9で構成される3相負荷回路7に供給される。ここでは、3相3レベルインバータ3の中性点45および3相荷回路7の中性点46をそれぞれ接地する場合を示す。
高精度波形制御回路14は、駆動信号発生部としてのゲート信号生成回路15と光発信器16、18とから成り、ゲート信号生成回路15は、主制御回路10からの3レベルインバータ階調指令信号11、マルチレベルインバータ階調指令信号12、および電流極性信号13を入力として、3相3レベルインバータ3および各相のマルチレベルインバータ4を駆動するゲート信号を生成し、光発信器16、18を介して出力する。このゲート信号生成回路15では、各インバータ3、4内のアーム短絡防止のための短絡防止遅延制御と、該短絡防止遅延制御による各インバータ3、4の出力電圧切替タイミングのずれを防止する電圧切替最適化遅延制御とがなされたゲート信号を生成する。
3相3レベルインバータ3の1相分の回路構成を図3(a)に示し、スイッチングパターンを図3(b)〜図3(d)に示す。また、マルチレベルインバータ4の回路構成を図4(a)に示し、スイッチングパターンを図4(b)〜図4(g)に示す。
3相3レベルインバータ3では、図3に示すように、各相において、4個の半導体スイッチング素子S1〜S4のうち隣接する2個の半導体スイッチング素子を導通状態とし、真ん中の2つが導通して0A.U.が(図3(b)参照)、上の2つが導通して7A.U.が(図3(c)参照)、下の2つが導通して−7A.U.(図3(d)参照)が出力される。これにより、+7A.U.、0A.U.、−7A.U.の3レベルの電圧を出力する。
22は、3相3レベルインバータ3の各相出力波形を、23はマルチレベルインバータ4の出力波形を示す。ここで、3相3レベルインバータ3の各相出力波形22に対応する主制御回路10からの3レベルインバータ階調指令信号11は、各相2ビットで、出力の有無と極性との指令となる。また、マルチレベルインバータ4の出力波形23に対応する主制御回路10からのマルチレベルインバータ階調指令信号12は、図5の指令信号に示すように、各相3ビットの指令となる。
なお、主制御回路10はソフトウェアにて所定の演算をするものとしたが、アナログ回路又はデジタル論理回路を用いて構成しても良い。
図6に示すように、ゲート信号生成部15は、階調指令をゲートパルス信号に変換するゲートパルス生成論理回路52の前段に電圧切替最適化遅延制御論理回路51を備え、また、このゲートパルス生成論理回路52の後段に短絡防止遅延制御論理回路53を備える。主制御回路10は、3レベルインバータ階調指令信号11、マルチレベルインバータ階調指令信号12、および電流極性信号13をそれぞれ出力し、該出力を入力としてゲート信号生成部15にて生成された3レベルインバータゲート信号32aおよびマルチレベルインバータゲート信号32bは、光発信器16、18を介して高精度波形制御回路14から出力され、ドライバ回路54、55を介して各インバータ3、4の半導体スイッチング素子に送出されて各スイッチング素子を駆動する。
3レベルインバータ3では、上述したように、4個の半導体スイッチング素子S1〜S4のうち隣接する2個の半導体スイッチング素子を導通状態とするが、例えば、図7に示すように、真ん中の2つが導通して0A.U.出力の状態から、上の2つが導通して7A.U.出力の状態に切り換える際、アーム短絡防止のため、次のように制御する。半導体スイッチング素子S3(以下、単にS3と称す)をオフした後、所定の短絡防止時間遅らせて、S1をオンする。
図7(a)に示すように、電流と電圧の向きが一致する場合、S3をオフした後、短絡防止時間t1経てS1をオンすることで0A.U.出力から7A.U.出力に切り替えると、実際、S1をオンした時点で7A.U.出力に切り替わり、出力電圧切替タイミングは短絡防止時間だけ遅延する。
一方、図7(b)に示すように、電流と電圧の向きが一致しない場合、同様にS3をオフした後、短絡防止時間t1経てS1をオンすることで0A.U.出力から7A.U.出力に切り替えるが、実際には、S3をオフした時点で7A.U.出力に切り替わり、出力電圧切替タイミングは短絡防止時間に拘わらず遅延しない。
このような短絡防止遅延制御により、3レベルインバータ3およびマルチレベルインバータ4では、出力電圧切替タイミングが、上述したように、電圧/電流極性isd(同極性または異極性)によって、遅れたり、遅れなかったりする。
なお、この実施の形態では、制御を効果的に容易に行うため、単相多重変換器を構成するインバータ3、4のうち、発生電圧が大きく短絡防止時間が長い3レベルインバータ3についてのみ、短絡防止遅延制御による出力電圧切替タイミングの遅れを考慮して、電圧切替最適化遅延制御論理回路51においてマルチレベルインバータ4の出力電圧切替タイミングを遅らせる電圧切替最適化遅延制御を行う。
図8(b)に示すA、B、C、Dの各位相における出力電圧の切替時に、図8(a)に示すように、電圧/電流極性isdによって切替タイミングの遅れが決まる。なお、図7(a)、図7(b)に示した場合について、図8(a)内の右端に(a)、(b)と表示した。
このように、短絡防止遅延制御により、3レベルインバータ3では出力電圧切替タイミングに遅れが発生し、そのままではマルチレベルインバータ4の出力電圧切替タイミングとズレが発生することになる。
電圧切替最適化遅延制御論理回路51は、上述したように、後段の短絡防止遅延制御論理回路53での短絡防止遅延制御に起因した3レベルインバータ3の出力電圧切替タイミングの遅延情報を予測してマルチレベルインバータ4の出力電圧切替タイミングを最適遅延時間、遅延させて最適化した最適化階調指令信号30を出力する。
図9は、短絡防止遅延制御に起因した3レベルインバータ3の出力電圧切替タイミングの遅延情報を予測する出力電圧切替遅延予測手段としての出力電圧切替遅延予測部の構成を示したものである。また、図10は、最適化演算手段としての最適遅延時間決定回路154にてマルチレベルインバータ4の最適化遅延時間を演算して、出力電圧切替タイミングを該最適遅延時間、遅延させて最適化する最適化演算部の構成を示したものである。
また、遅延情報選択回路152は、U相インバータ階調指令信号11u、12u(AU、BU、CU、DU、EU)と、3クロック前のU相インバータ階調指令信号11ua、12ua(A1U、B1U、C1U、D1U、E1U)と、U相の電圧/電流極性isdを示すU相電流極性信号13uとを入力として、予め設定されて記憶されている遅延記憶情報から、3レベルインバータ3の出力電圧切替タイミングの遅延情報(U相遅延情報)33uを抽出して出力する。
上述したように、各インバータ3、4では、短絡防止遅延制御に起因して、電圧/電流極性isdにより出力電圧の切替タイミングに短絡防止時間分だけ遅れが発生するが、遅れ時間の大きい3レベルインバータ3の遅れについての情報を遅延記憶情報として保持する。
単相多重変換器の出力電圧(この場合U相電圧)の階調切替時に、3レベルインバータ3の出力電圧切替タイミングがどのように遅れるかは、U相インバータ階調指令信号11u、12u(AU、BU、CU、DU、EU)と、切替前(3クロック前)のU相インバータ階調指令信号11ua、12ua(A1U、B1U、C1U、D1U、E1U)と、U相電流極性信号13u(電圧/電流極性isd)とで予め決まっており、このため、これらの情報を遅延記憶情報として予め設定して記憶しておく。
なお、単相多重変換器の出力電圧階調切替時で、その時点の3レベルインバータ3の出力電圧に変化がない時は、遅延情報0を設定する。また、AU、BU、CU、DU、EUと3クロック前のA1U、B1U、C1U、D1U、E1Uとが異なる場合、即ち、単相多重変換器の階調切替時の場合のみを表に示したが、2種の信号が一致する場合は、遅延情報0を設定する。
このように、出力電圧切替遅延予測部では、ビット情報変化信号163を単相多重変換器の出力電圧における階調切替時の検出信号として出力すると共に、短絡防止遅延制御に起因した3レベルインバータ3の出力電圧切替タイミングの遅延情報33uを、予め設定して保持している遅延記憶情報から抽出して出力する。実際には短絡防止遅延制御は後段で行うものであるため、未制御である該短絡防止遅延制御に起因する遅延情報を予測して出力することになる。
最適化演算部の最適遅延時間決定回路154は、遅延情報33uを入力すると共に、U相ビット情報変化信号163を入力してマルチレベルインバータ4に対する最適遅延時間を演算し、該最適遅延時間に対応するクロック信号のカウント数であるU相遅延カウント情報155を出力する。
最適遅延時間決定回路154における動作について、以下に説明する。
階調切替時の検出信号であるU相ビット情報変化信号163が最適遅延時間決定回路154に入力されると、その時点の遅延情報33uが「1:遅れる」場合、マルチレベルインバータ4の出力電圧切替タイミングを3レベルインバータ3の短絡防止時間分(t1)だけ遅らせるための演算を行う。即ち、最適遅延時間として、3レベルインバータ3の短絡防止時間t1を決定し、この短絡防止時間t1をクロック周期で除算し、対応するカウント数であるU相遅延カウント情報155を出力する。一方、U相ビット情報変化信号163が最適遅延時間決定回路154に入力された時点の遅延情報33uが「0:遅れない」場合は、最適遅延時間として0を決定し、対応するカウント数=0であるU相遅延カウント情報155を出力する。
カウンタ回路156では、U相遅延カウント情報155を入力として、U相ビット情報変化信号163によるリセット信号162を起点として指定されたカウント数までクロック信号161を数え、カウント終了時に出力信号であるイネーブル状態情報164を変化させる。状態ビット切替回路157では、主制御回路10からのU相インバータ階調指令信号11u、12uと、カウント回路156からのイネーブル状態情報164とが入力され、3レベルインバータ階調指令信号11uはすぐに出力されるが、マルチレベルインバータ階調指令信号12uは、イネーブル状態情報164が変化した時、出力される。このように、状態ビット切替回路157からは、U相インバータ階調指令信号11u、12uの切替タイミングを最適化した最適化階調指令信号30が出力される。
この3レベルインバータゲート信号32aおよびマルチレベルインバータゲート信号32bに基づいて各インバータ3、4を駆動するが、単相多重変換器の出力電圧の階調切替時に、出力切替の対象となるインバータ3、4において出力電圧切替タイミングがほぼ同期するものとなる。
図14に示すように、単相多重変換器の出力電圧(全体出力電圧)と負荷電流が同極性のとき、3階調から4階調への階調切替時に3レベルインバータ3の出力電圧切替タイミングは短絡防止遅延制御により短絡防止時間(t1)遅れるが、そのとき、マルチレベルインバータ4の出力電圧切替タイミングを最適化遅延制御により上記短絡防止時間(t1)と同じだけ遅延させることにより、各インバータ3、4の出力電圧切替タイミングをほぼ同期させることができる。このため、電磁波ノイズの原因となるスパイク電圧を抑制することができる。
以上のように、この実施の形態では、短絡防止遅延制御と最適化遅延制御とにより、出力電圧の階調切替時に各インバータ3、4の出力電圧切替タイミングをほぼ同期させることができ、スパイク電圧を信頼性よく効果的に抑制できる。このため、中性点や漂遊のコンデンサを介して流れる電流を抑制することができ、電磁波ノイズを低減することができる。
さらに、出力電圧切替タイミングの予測遅延情報を、予め設定して保持している遅延記憶情報から抽出して得るため、未制御である短絡防止遅延制御に起因する遅延情報を容易に信頼性よく予測できる。
さらにまた、最適化遅延制御では、クロック信号161をカウントするカウンタ回路156により、階調制御指令信号11、12を最適遅延時間に対応するカウント数だけ遅延させて出力するため、ゲート信号を微小な最適遅延時間だけ確実に遅延させることができ、信頼性の高い制御が行える。
その場合、階調切替時に、遅延時間が大きい方の出力電圧切替タイミングに他方の切替タイミングを同期させるように、各単相インバータ3、4の最適遅延時間を決定すればよい。例えば、短絡防止遅延制御によりインバータ3、4の出力電圧切替タイミングが共に遅れるとき、マルチレベルインバータ4の出力電圧切替タイミングを遅延させる最適遅延時間を(t1−t2)とする。また、短絡防止遅延制御によりマルチレベルインバータ4の出力電圧切替タイミングのみが遅れるとき、3レベルインバータ3の出力電圧切替タイミングを遅延させる最適遅延時間をt2とする。これにより、出力電圧の階調切替時に各インバータ3、4の出力電圧切替タイミングを高精度に同期させることができ、スパイク電圧を信頼性よく確実に抑制できる。
また、ゲート信号生成回路15において、電圧切替最適化遅延制御論理回路51をゲート信号生成回路15の前段に配し、情報量の少ない階調制御指令信号11、12の段階で最適化遅延制御を行ったが、電圧切替最適化遅延制御論理回路51をゲート信号生成回路15の後段に配し、各インバータ3、4の半導体スイッチング素子へのゲート信号に変換した後に最適化遅延制御を行っても良い。
上記実施の形態1では、単相多重変換器の出力電圧の各階調切替時に、各インバータ3、4の出力電圧切替タイミングを同期させるように最適化遅延制御したが、この実施の形態では、スパイク電圧発生の可能性がある場合に限って最適化遅延制御する。
出力電圧切替タイミングのズレによってスパイク電圧が発生する場合は、例えば3階調から4階調への階調切替時(図14参照)のように、発生電圧を上昇させる(0A.U.から+7A.U.)ように切り替えるインバータ3と、発生電圧を下降させる(+3A.U.から−3A.U.)ように切り替えるインバータ4との組み合わせで単相多重変換器の出力電圧階調を変化させる場合である。3個以上の単相インバータの組み合わせで単相多重変換器の出力電圧階調を変化させる際にも、出力電圧切替の電圧変化方向が互いに逆であるものを含む場合に、出力電圧切替タイミングのズレによってスパイク電圧が発生する。
上記制御により、スパイク電圧発生の可能性がある場合に限って効率的に最適化遅延制御が行え、容易で効率的な制御で、確実にスパイク電圧が抑制でき、スパイク電圧によって流れる電流も抑制できて、電磁波ノイズを低減することができる。
上記実施の形態1では、短絡防止遅延制御に起因した遅延情報に基づいて、最適遅延時間を各単相インバータの出力電圧切替タイミングがほぼ同期するように演算するものとした。この実施の形態では、各インバータでのスイッチング時間の違いを考慮して、即ち出力電圧切替時の過渡的電圧変化時間を考慮して最適遅延時間を調整するようにする。
単相多重変換器を構成する複数の単相インバータでは、スイッチング時間が異なり、このため出力電圧切替時の過渡的電圧変化時間が異なるものである。上記実施の形態1で示した3レベルインバータ3とマルチレベルインバータ4との組み合わせの場合、発生電圧の大きい3レベルインバータ3のスイッチング時間がマルチレベルインバータ4よりも十分に長い。
これにより、各単相インバータの出力電圧切替タイミングをより信頼性よく同期させることができる。スパイク電圧の抑制制御の精度が向上する。
また、マルチレベルインバータ4の過渡的電圧変化時間も併せて考慮して各インバータ3、4の最適演算時間を演算しても良く、スパイク電圧の抑制制御が一層精度良く行える。
上記実施の形態1では、スター結線接続点側の3相の単相インバータに、コンデンサ1aを共用とする3相3レベルインバータ3を用い、3相3レベルインバータ3の各相にマルチレベルインバータ4を直列に接続したが、各相の単相多重変換器を、同種の回路構成でそれぞれ出力電圧が異なる複数個の単相インバータを直列接続して構成しても良い。
図17はこの発明の実施の形態4による3相負荷駆動用の電力変換装置としての3相インバータ装置101の主回路構成を示す図である。図に示すように、各相がスター結線された3相インバータ装置101により、制御装置108を備えて3相負荷105に電力供給するもので、それぞれの相は3個の単相インバータ102〜104が直列接続された単相多重変換器から成る。各単相インバータ102〜104は、系統からトランスを通して引き込まれる交流電力を整流して直流電力に変換した後、その直流電力を平滑コンデンサで平滑し、該平滑コンデンサからの直流電力を交流電力に変換するものであるが、ここでは便宜上、直流電源となるコンデンサとスイッチ群で構成されるインバータ部のみを図示する。なお、106、107はそれぞれインバータ側中性点、負荷側中性点を示す。
この場合、発生電圧が最大である4A.U.出力単相インバータ102の遅延情報を予め遅延記憶情報として設定して保持しておき、単相多重変換器の階調切替を検出するビット情報変化信号163が入力された時点の遅延情報33を上記遅延記憶情報から抽出して、予測される単相インバータ102の出力電圧切替タイミングに、他の単相インバータ103、104の出力電圧切替タイミングがほぼ同期するように、最適遅延時間を決定する。
以上のように、この実施の形態においても、短絡防止遅延制御と最適化遅延制御とにより、出力電圧の階調切替時に各インバータ102〜104の出力電圧切替タイミングをほぼ同期させることができ、スパイク電圧を信頼性よく効果的に抑制できる。このため、中性点や漂遊のコンデンサを介して流れる電流を抑制することができ、電磁波ノイズを低減することができる。
3 3相3レベルインバータ、4 単相マルチレベルインバータ、
5 マルチレベルインバータの直流入力回路、7 負荷回路、10 主制御回路、
11 3レベルインバータ階調指令信号、
11u U相3レベルインバータ階調指令信号、
12 マルチレベルインバータ階調指令信号、
12u U相マルチレベルインバータ階調指令信号、
13 電圧/電流極性としての電流極性信号、
13u U相電圧/電流極性としてのU相電流極性信号、
15 駆動信号発生部としてのゲート信号生成回路、30 最適化階調指令信号、
32a 3レベルインバータゲート信号、32b マルチレベルインバータゲート信号、
33u U相遅延情報、51 電圧切替最適化遅延制御論理回路、
52 ゲートパルス生成論理回路、53 短絡防止遅延制御論理回路、
101 3相インバータ装置、102 4A.U.出力単相インバータ、
103 2A.U.出力単相インバータ、104 1A.U.出力単相インバータ、
105 負荷、108 制御装置、152 遅延情報選択回路、
153 階調切替時検出手段としてのビット情報変化検出回路、
154 最適遅延時間決定回路、155 U相遅延カウント情報、
156 カウント回路、161 クロック信号、
163 U相階調切替時検出信号としてのU相ビット情報変化信号、
t0 過渡的電圧変化時間、t1 短絡防止時間。
Claims (7)
- 複数の半導体スイッチング素子を備えて直流電源からの直流電力を交流電力に変換するインバータの交流側を複数直列接続して多重変換器を構成し負荷に電力供給する電力変換装置において、
上記多重変換器は、上記複数のインバータの中から選択された所定の組み合わせによる各発生電圧の総和により出力電圧を階調制御するものであり、該階調制御の指令信号を入力として上記各半導体スイッチング素子への駆動信号を発生する駆動信号発生部に短絡防止遅延制御部と電圧切替最適化遅延制御部とを設け、
上記短絡防止遅延制御部は、上記各インバータ毎に複数の上記半導体スイッチング素子の短絡防止のための所定の短絡防止時間を設定して駆動信号のオンオフタイミングを遅延させて制御し、
上記電圧切替最適化遅延制御部は、所定のインバータの上記短絡防止遅延制御に起因した出力電圧切替タイミングの遅延情報を予測する出力電圧切替遅延予測手段、および該予測された遅延情報に基づいて所定のインバータと他の各インバータの出力電圧切り替えを同時点に行う最適遅延時間を決める最適化演算手段を備えて、他の各インバータの出力電圧切替タイミングを上記最適遅延時間、遅延させることにより、上記多重変換器の出力電圧階調が変化する際に発生するスパイク電圧を抑制することを特徴とする電力変換装置。 - 上記遅延情報を予測する所定のインバータは、上記多重変換器内で、発生電圧が最大の1つのインバータ、あるいは発生電圧が比較的大きい複数のインバータであることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
- 上記遅延情報を予測する所定のインバータの出力電圧切替と、該出力電圧切替と電圧変化方向が互いに逆であるインバータの出力電圧切替とを含む複数のインバータの出力電圧切替により上記多重変換器の出力電圧階調を変化させる際に、上記電圧切替最適化遅延制御部は、最適化演算手段により最適遅延時間を演算して、各インバータの出力電圧切替タイミングを上記最適遅延時間、遅延させて制御することを特徴とする請求項1または2記載の電力変換装置。
- 上記最適遅延時間を演算する最適化演算手段は、出力電圧切替時の所定のインバータの過渡的電圧変化時間の長さにともない上記最適遅延時間を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力変換装置。
- 上記多重変換器の出力の電圧と電流の極性を検出する手段を有し、上記電圧切替最適化遅延制御部は、上記短絡防止遅延制御に起因した上記所定のインバータの出力電圧切替タイミングの遅延情報を上記電圧と電流の極性と関連づけて予め保持し、上記階調切替遅延予測手段は、上記階調制御指令信号から上記多重変換器における階調切替時を検出し、当該階調切替時における上記所定のインバータの出力電圧切替タイミングの遅延情報を、上記検出された電圧と電流の極性に基づいて上記保持された遅延情報から抽出して予測することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電力変換装置。
- 上記電圧切替最適化遅延制御部は、クロック信号をカウントするカウンタ回路を備え、上記階調制御指令信号により上記電圧切替最適化遅延制御部に入力された信号を、上記最適遅延時間に対応するカウント数だけ遅延させて出力することで、上記各インバータの出力電圧切替タイミングを遅延制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電力変換装置。
- 上記電力変換装置は、上記多重変換器を3個備えて3相スター結線し、3相負荷に電力供給するものとし、該スター結線接続点側の3相の各インバータは、コンデンサを共用とする3相3レベルインバータを構成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電力変換装置。
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