JP4493515B2 - 炭素系離型材を有するシリコン凝固用鋳型 - Google Patents

炭素系離型材を有するシリコン凝固用鋳型 Download PDF

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Description

本発明は、シリコンを凝固する際に使用する鋳型に関するもので、鋳型を傷めること無く、凝固したシリコン塊を完全に離型させるためのものである。得られたシリコン塊は、太陽電池用の原料、あるいは太陽電池用のウエハ切り出し用のインゴットとして使用することができる。
太陽電池に使用されるシリコンは、一般に99.9999%程度の純度が必要とされ、各種金属不純物は0.1質量ppm以下、又、Bは少なくとも0.3質量ppm以下、好ましくは0.1質量ppm以下であることが要求される。この純度を満たすシリコンとしては、半導体用シリコン、即ち、シリコン塩化物を蒸留後熱分解して得られる高純度シリコンがある。しかしながら、このシーメンス法は、コストが高く、大量にシリコンを必要とする太陽電池には不向きである。
そこで、太陽電池に使用可能な安価なシリコンを製造する技術が各種研究されてきたが、B、P以外の、Fe、Al、Ca等の各種金属不純物は、一方向凝固法で除去することが一般的である。即ち、シリコン融液が固化する際に、金属不純物は、共存する融液シリコンに金属不純物は多く分配し、固化したシリコンにはわずかしか取り込まれないと言う現象を使用した精製方法である。この一方向凝固法をはじめ、太陽電池に使用可能な安価なシリコンを製造する各種技術では、シリコンを溶解・凝固させる工程が不可欠な場合が多い。
さて、溶融シリコンを凝固させる際の鋳型としては、一般に、石英製の鋳型、又は、カーボン製の鋳型が使用されることが多いが、これらの鋳型をそのまま使用すると、固化したシリコン塊が鋳型に固着してしまい、シリコンの回収歩留まりが低下する。又、鋳型が再利用できず、実用的でないと言う問題もある。これらの問題を解決するため、カーボン製の組立・分解が可能な鋳型の内面に離型材を塗布し、シリコン固化後にカーボン鋳型を分解し、シリコン塊を取り出す方法が開発されてきた。
(特許文献1)、(特許文献2)には、シリコンの酸化物、窒化物、炭化物をカーボン製の組立鋳型に被覆し、鋳型を傷つけることなくシリコン塊を取り出す方法が述べられている。しかしながら、シリコンの酸化物、窒化物、炭化物をカーボン製鋳型に被覆する具体的方法については記載されていない。
(特許文献3)には、窒化ケイ素粉末と有機バインダーを溶剤中に溶解したスラリーで鋳型内面をコーティングする方法が記載されている。ただ、有機バインダーは、高温では一般的に離型膜から脱離してしまう。事実、この公報の4欄58〜60行に、有機バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレートから選ぶことができると記述されているが、これらはシリコンの融点以下の高温で離型材から脱離してしまう。さらに、この公報の5欄9〜11行には、ポリビニルアルコールが低温で脱離し、好ましいと述べられている。しかしながら、有機バインダーが高温で離型膜から脱離してしまうと、残っているのは窒化ケイ素粉末のみで、これら粉末がお互いにごく緩く焼結し、離型膜を形成しているので、離型膜の強度は低く、離型膜が破損する危険がある。当然のことながら、離型膜が破損すると、その部分はシリコンが鋳型に固着すると言う問題が生じる。
離型膜の強度を上げるには、窒化ケイ素粉末よりもより強固に焼結する粉末を選定すれば良いわけであるが、この場合は、焼結による収縮が生じ、離型膜にクラックが生じてしまう。したがって、焼結し易い粉末は使用できないのが実情である。
(特許文献4)〜(特許文献12)には、さらに進んだ方法が述べられている。即ち、離型材中の粉末の粒度の改善、組成比の改善、分散剤の添加等について記述されているが、本質的に粉末と有機バインダーを使用しており、使用されている有機バインダーは、高温では離型膜から脱離するものが選ばれている。
例えば、(特許文献11)では、その特許請求の範囲にあるように、450〜600℃でバインダーを脱脂することが特徴であり、バインダーがポリビニルアルコールから成ることが述べられている。さらに、(特許文献11)の段落「0007」〜「0011」に述べられているように、シリコンへの炭素取り込みを防止する目的から、バインダーは炭素等の形で残さず、できるだけ完全に離型膜から除去することが望まれる、とされている。
しかしながら、バインダーが除去されればされるほど、離型膜の強度は低下し、離型材が破損する可能性が生じる。具体的には、離型膜にクラックが発生し、その部分から溶融シリコンが離型膜の裏側に浸透し、結果として、凝固シリコンと鋳型が固着する問題があった。このようなことが生じると、当然、鋳型は再利用できなくなり、経済性が失われてしまう。
例えば、鋳型内へ溶融したシリコンを注ぎ、凝固させる場合には、溶融シリコンが鋳型内の離型膜に衝突するので、離型膜自身が強固で、かつ、鋳型に強く固着していないと、離型膜が破壊されてしまう、又は、剥離してしまう可能性が高い。
又、離型膜中にバインダーが残っていても、バインダーが一般の有機物であれば、500〜1000℃程度以上の高温では、バインダーは軟化もしくは融液化し、強度がなくなるので、離型膜としての強度を保持することはできない。結果として、離型膜が鋳型から剥離し易くなってしまう。もし一部でも離型膜が剥離してしまうと、鋳型のその部分が凝固シリコンと固着してしまい、鋳型を再使用できない、と言う問題があった。
特開昭62−108515号公報 特開昭62−260710号公報 米国特許5431869号公報 特開平6−144824号公報 特開平7−206419号公報 特開平9−175809号公報 特開平10−182133号公報 特開2001−198648号公報 特開2002−239682号公報 特開2002−292449号公報 特開2002−321037号公報 特開2003−64388号公報
そこで、本発明は、上記問題を解決し、シリコン凝固用の鋳型の内面の離型膜の強度を上げることにより、離型膜の破損及び剥離を無くし、凝固したシリコンと鋳型とを鋳型の全面で確実に離型させるシリコン凝固用鋳型を提供することを目的とする。さらに、シリコンが炭素による汚染を受けないことも重要である。
本発明の構成は次の通りである。
(1)鋳型の内面に離型材を保持させたシリコン凝固用の鋳型において、前記離型材が実質上、シリコンの融点(1414℃)以上の融点を有する粉末と、100℃以上シリコンの融点以下の温度で炭素を生成する樹脂から成ることを特徴とするシリコン凝固用鋳型。
(2)上記(1)にて、前記樹脂が前記鋳型内で予め30℃以上500℃以下で加熱硬化されてなることを特徴とするシリコン凝固用鋳型。
(3)上記(1)にて、前記樹脂が前記鋳型内で予め00℃以上1000℃以下で加熱炭化されてなることを特徴とするシリコン凝固用鋳型。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにて、前記樹脂の質量が前記粉末の質量の1%以上200%以下であることを特徴とするシリコン凝固用鋳型。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかにて、前記樹脂がフェノール樹脂であることを特徴とするシリコン凝固用鋳型。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかにて、前記シリコンの融点以上の融点を有する粉末が、ケイ砂、窒化ケイ素又は炭化ケイ素の少なくとも1種であることを特徴とするシリコン凝固用鋳型。
(7)上記(6)にて、前記ケイ砂の粒径が0.1mm以下であることを特徴とするシリコン凝固用鋳型。
(8)上記(6)にて、前記窒化ケイ素の粒径が50μm以下であることを特徴とするシリコン凝固用鋳型。
(9)上記(6)にて、前記炭化ケイ素の粒径が1mm以下であることを特徴とするシリコン凝固用鋳型。
本発明により、シリコン凝固用鋳型の内面の離型膜の強度を上げることが可能となり、離型膜破損の危険性が低下し、結果、凝固したシリコンと鋳型とを確実に離型させることが可能となった。又、本発明の鋳型を使用した際に、シリコンが炭素の汚染を受けないことも確認されている。このメカニズムの詳細は不明であるが、樹脂から生成した炭素の性状によること、粉末とこの炭素の反応によりSiO等のガスが発生し、炭素汚染を防止すること、等が原因として推定される。
本発明の主構成は次の通りである。
本発明の主構成は、シリコン凝固用の鋳型内面に、シリコンの融点(1414℃)以上の融点を有する粉末と高温で炭素を生成する樹脂を混合した後に塗布し、これをシリコン凝固用鋳型とするものである。樹脂から生成した炭素が粉末を強固に結びつけ、離型膜の強度を向上させる。炭素は、2000℃程度までは十分な強度を有しているので、シリコンの融点以上の融点を有する粉末を強固に保持することができるし、又、鋳型へも強固に固着することができる。結果として、離型膜にクラックが発生せず、又、離型膜を鋳型から剥離しないようにすることができる。さらに、このように炭素で強化された離型膜は、溶融シリコンが注がれ、その衝撃を受けた場合でも、クラックの発生、離型膜の剥離は生じず、凝固したシリコンと鋳型とを完全に離型させることが可能である。当然、鋳型は痛むこと無く、何回でも繰り返し使用が可能であり、非常に経済的である。
離型膜の成分としては、厳密に、シリコンの融点以上の融点を有する粉末と高温で炭素を生成する樹脂のみでなければならないと言うわけではない。最終的に、シリコンの融点以上の融点を有する粉末が炭素で強固に結び付けられた膜が形成されればよいわけで、初期に塗布される粉末および樹脂中に、このような膜の形成を妨げる物質が混在していなければ、特段の問題はない。例えば、粉末中に5%程度のシリコンの融点以下の融点を有する粉末が含まれていても、樹脂から生成した炭素と反応して炭化物となり、結果としてシリコンの融点以上の融点を有する物質となるなら、問題はない。また、樹脂中に高温で炭素を生成しない樹脂が10%程度含まれていても、一般に、樹脂はシリコンの融点付近の高温では気化もしくは分解気化してしまうので、問題はない。このような意味において、離型材は、実質上、シリコンの融点(1414℃)以上の融点を有する粉末と、炭素を生成する樹脂から構成されていればよい。
樹脂からの炭素生成割合は、あまり少ないと意味が無く、高温で、樹脂の20質量%以上が炭素となって離型膜中に残ることが好ましい。実用性からより好ましくは、樹脂の40質量%以上が炭素となって離型膜中に残ることが好ましい。
一般に、鋳型を昇温する際には、毎分数〜10数℃の速度で、特に特定の温度で保持すること無しに、シリコンの融点以上まで昇温する場合が多いが、本発明の離型材を有する鋳型を使用する場合には、30℃以上500℃以下の間の特定の温度で、例えば、200℃で1〜5時間程度保持する方が良い場合もある。これにより、樹脂の硬化をより進め、結果、離型膜の強度をより高めることができる。
又、本発明の離型材を有する鋳型を使用する場合に、500℃〜1000℃程度の温度範囲の中の特定の温度で、例えば、700℃で1〜5時間程度保持する方が良い場合もある。これにより、樹脂の大部分を炭化させることができ、結果、シリコンの融点以上に到達した時の樹脂から生成する炭素の量を増加させることができる。
樹脂の種類としては、フェノール樹脂を使用することができる。フェノール樹脂には、熱可塑性のものと熱硬化性のものがあるが、共に使用可能である。また、予め、硬化剤を添加し、硬化させておく方が、取扱いが便利な場合もある。硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、または、ある種の酸、例えば、スルホン酸系の有機酸などが使用可能である。また、樹脂の種類としては、フェノール樹脂の他にも、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フラン樹脂、ピッチなどが使用可能である。
シリコンの融点以上の融点を有する粉末としては、汚染を少なくする観点からシリコン化合物が使用可能であり、ケイ砂、窒化ケイ素、炭化ケイ素等が好ましい。ただし、本発明は、特にこれらのシリコン化合物の粉末に限定される訳ではない。
粉末の形状としては、ケイ砂では、例えば、粒径が0.1mm以下1μm程度以上のものが使用可能である。窒化ケイ素では、例えば、粒径が50μm以下1μm程度以上のものが使用可能である。又、炭化ケイ素では、例えば、粒径が1mm以下1μm程度以上のものが使用可能であるが、共に、これらの粒径に限定されるわけではない。
離型材中の樹脂の量としては、粉末を結合保持するために粉末の質量の1質量%以上であることが好ましく、離型効果を発揮するためには、粉末の質量の200質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、樹脂の量が粉末の質量の5質量%以上100質量%以下である。
今まで、本発明に使用する鋳型としては、主としてカーボン製の組立鋳型を念頭においてきたが、本発明においては、特にこのタイプの鋳型に限定されるわけではない。例えば、カーボン製の一体ものの鋳型でも、十分に使用可能である。又、材質もカーボンに限定される訳ではなく、例えば、耐火物煉瓦を積み上げ鋳型形状としたものの内面に、本発明の離型材を塗布し、シリコンを凝固することも可能である。
次に、本発明を実施するための最良の形態を詳しく述べる。
本発明を実施する最良の形態としては、大きく分けて、次の2つの形態が考えられる。一つは、鋳型内面に塗布した離型材の厚さが10μm以上1mm以下の場合であり、他の一つは、離型材の厚さが1mm超50mm以下のものである。離型材の厚みが10μm未満では、離型に問題が無くとも、鋳型に傷がつく場合がある。又、離型材の厚みが50mm程度あれば十分であり、離型材に少々クラックが入っても、50mmを貫通することはほとんど無く、結果、溶融シリコンは離型膜を貫通せず、凝固したシリコンと鋳型を完全に離型することができる。
前者の離型材の厚さが10μm以上1mm以下の場合に関して述べると、例えば、平均粒径が5μm程度のケイ砂と平均粒径が1μm以下の窒化ケイ素粉末を質量比が1:5〜5:1程度の範囲で混合し、これに粉末の質量の5〜100%程度のフェノール樹脂を添加し、混合する。熱可塑性のフェノール樹脂の場合は、前述した硬化剤を所定量添加すると良い。これを1mm以下の厚さでカーボン製の組立鋳型の内面に塗布すれば良い。
鋳型内に室温でシリコン原料塊を入れ溶解する場合には、離型膜を傷つけないために、シリコン原料塊を入れる前に予め離型膜を硬化させておく方が好ましい場合がある。このためには、離型材塗布後200℃程度で1時間程度保持すれば良い。この工程は、カーボンにとって十分低温であるので、カーボン鋳型を使用した場合でも、空気雰囲気中で実施可能である。もちろん、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気中で実施することも可能である。又、離型材塗布後は常温で硬化し、シリコン原料塊を鋳型に入れた後の昇温中に、200℃程度で1〜2時間程度保持しても良い。鋳型を昇温中に、内部のシリコン原料塊が動き、離型膜及び鋳型内面を傷つけることが多いが、200℃程度で離型膜を十分硬化させれば、この傷を防ぐことができる。
上記操作の後に、不活性雰囲気中又は真空中で、シリコンの融点以上へ昇温させ、シリコンを溶解後、降温し、シリコンを凝固させる。この際、鋳型下部を冷却し、シリコン融液に温度分布をつけ、シリコンを下方から上方へ一方向凝固させ、各種金属不純物をシリコン上方に集め、シリコンの大部分を高純度化させることが一般的である。
上述の操作と異なり、鋳型内にシリコン融液を注ぎ凝固させる場合は、鋳型内に初めからシリコン原料塊を入れ溶解させる場合よりも、200℃程度での温度保持の意味合いは低下する。
又、前述したように、昇温中に、例えば、700℃程度で1時間程度保持することにより、フェノール樹脂の残炭率を高めることができ、結果、フェノール樹脂の使用量を減らすことができるので、経済的である。
以上のようにして、シリコンを凝固させ、冷却後に、カーボン製の組立鋳型を解体すると、得られたシリコン塊と鋳型は固着することが無く、鋳型を何度でも再利用することが可能である。
次に、離型材の厚さが1mm超50mm以下の場合について述べる。この場合、離型膜が厚く、粉末使用量が増えるので、より安価な粉末を使用する方が実用的である。この観点から、粉末として、ケイ砂を使用すると良い。例えば、平均粒径が60μm程度のケイ砂に、質量で10〜100%程度のフェノール樹脂を添加し、混合する。この混合物をカーボン製の組立鋳型の内面に、例えば、5mm程度の厚みで貼り付ければ良い。この後の取扱いは、離型材が1mm以下の場合と本質的に同様である。
(実施例1)
平均粒径0.7μmの窒化ケイ素70質量部、平均粒径3μmのケイ砂30質量部を100質量部のメタノールで混合後、これにフェノール樹脂50質量部と硬化剤5質量部を添加混合し、離型材原液とした。この離型材原液を内側の一辺及び深さが400mmの立方体形状のカーボン製組立鋳型の内面に約0.2mmの厚さで塗布し、20℃にて硬化させた。この鋳型を誘導加熱式の溶解炉を有するチャンバーの中へ設置し、チャンバー内をアルゴン1気圧に置換後、溶解炉ではシリコン100kgを1550℃で溶解し、鋳型は、抵抗式ヒーターにて、毎分5℃の昇温速度で1550℃まで加熱した。次に、溶解炉内の溶融シリコン100kgを鋳型内へ傾注し、その後、鋳型の温度を徐々に下げ、シリコンを下方から徐々に凝固させた。シリコン全体が凝固した後に、ヒーター等の電源を切り、常温まで炉冷した。
常温まで冷却後、鋳型を取り出したところ、鋳型に何ら損傷は無く、鋳型を容易に解体することができた。又、鋳型とシリコン塊は容易に剥離し、角400mmで高さが約265mmのシリコン塊を取り出すことができた。解体した鋳型の各部品には何ら損傷が無く、再び使用することができた。
又、シリコン塊中のカーボン濃度をSIMS(二次イオン質量分析装置)により分析したところ、シリコン塊の中央部、上方の表面から10mm下、底から10mm上方、側面から10mm内部、の各部で3質量ppm以下であった。
(比較例1)
平均粒径0.7μmの窒化ケイ素70質量部、平均粒径3μmのケイ砂30質量部と、ポリビニルアルコール5質量部と純水80質量部を混合し、離型材原液とした。この離型材原液を内側の一辺及び深さが400mmの立方体形状のカーボン製組立鋳型の内面に約0.2mmの厚さで塗布し、20℃にて24時間乾燥させた。この後は、実施例1と同様の実験を行なった。
常温まで冷却後、鋳型を取り出し解体したところ、鋳型側面の離型が悪く、各側面ともシリコンと固着した部分が発生した。この部分を観察すると、窒化ケイ素、ケイ砂が鋳型から脱落しており、ポリビニルアルコールが鋳型昇温中に分解・気化したために、これらの粉末が鋳型表面に保持されなかったと考えられる。結果、鋳型は、損傷し、繰り返し使用することはできなかった。
(実施例2)
平均粒径0.3μmの炭化ケイ素70質量部を平均粒径0.7μmの窒化ケイ素70質量部の代わりに使用した以外は、実施例1と同様の実験を行った。
常温まで冷却後、鋳型を取り出したところ、鋳型に何ら損傷は無く、鋳型を容易に解体することができた。又、鋳型とシリコン塊は容易に剥離し、角400mmで高さが約265mmのシリコン塊を取り出すことができた。解体した鋳型の各部品には何ら損傷が無く、再び使用することができた。
又、シリコン塊中のカーボン濃度を実施例1と同様に分析したところ、全て3質量ppm以下であった。
(実施例3)
実施例1の20℃で硬化させた鋳型をチャンバー内に設置し、5cm程度の大きさのシリコン原料塊60kgを鋳型内へ挿入した。チャンバー内をアルゴン1気圧に置換後、鋳型を抵抗式ヒーターにて、毎分5℃の昇温速度で1550℃まで昇温し、1時間保持した。その後、鋳型の温度を徐々に下げ、シリコンを下方から徐々に凝固させた。シリコン全体が凝固した後に、ヒーター等の電源を切り、常温まで炉冷した。
常温まで冷却後、鋳型を取り出し解体を行なった。シリコン塊は鋳型から剥離し、角400mmで高さが約160mmのシリコン塊を取り出すことができた。又、鋳型内面に数ヶ所の引っかき傷が付いていたが、鋳型の再使用は可能で、特に問題とはならないものであった。
シリコン塊中のカーボン濃度を実施例1と同様に分析したところ、全て3質量ppm以下であった。
(実施例4)
鋳型を抵抗式ヒーターにて、毎分5℃の昇温速度で昇温中に、途中、200℃で1時間保持したこと以外は、実施例3と同様の実験を行った。
常温まで冷却後、鋳型を取り出したところ、鋳型に何ら損傷は無く、鋳型を容易に解体することができた。又、鋳型とシリコン塊は容易に剥離し、角400mmで高さが約160mmのシリコン塊を取り出すことができた。解体した鋳型の各部品には何ら損傷が無く、再び使用することができた。
実施例3と比較すると、始めから鋳型内にシリコン原料塊を挿入する際には、200℃で1時間保持する方が、より好ましいことが分かる。
なお、取り出されたシリコン塊の形状、特性等は、実施例3と同様であった。
(実施例5)
平均粒径60μmのケイ砂100質量部とフェノール樹脂50質量部と硬化剤5質量部に30質量部のメタノールを添加し、混合したところ、粘りのある粘土状の混合物が得られた。この混合物を内側の一辺及び深さが400mmの立方体形状のカーボン製組立鋳型の内面に約5mmの厚さで厚塗りし、20℃にて硬化させた。この鋳型を誘導加熱式の溶解炉を有するチャンバーの中へ設置し、チャンバー内をアルゴン1気圧に置換後、溶解炉ではシリコン100kgを1550℃で溶解し、鋳型は抵抗式ヒーターにて、毎分5℃の昇温速度で1550℃まで加熱した。次に、溶解炉内の溶融シリコン100kgを鋳型内へ傾注し、その後、鋳型の温度を徐々に下げ、シリコンを下方から徐々に凝固させた。シリコン全体が凝固した後にヒーター等の電源を切り、常温まで炉冷した。
常温まで冷却後、鋳型を取り出したところ、鋳型に何ら損傷は無く、鋳型を容易に解体することができた。又、鋳型と離型材、及び、離型材とシリコン塊は容易に剥離し、角390mmで高さが約280mmのシリコン塊を取り出すことができた。解体した鋳型の各部品には何ら損傷が無く、再び使用することができた。
又、シリコン塊中のカーボン濃度を実施例1と同様に分析したところ、全て3質量ppm以下であった。
(実施例6)
平均粒径100μm程度の炭化ケイ素100質量部を平均粒径60μmのケイ砂100質量部の代わりに使用した以外は、実施例5と同様の実験を行った。
常温まで冷却後、鋳型を取り出したところ、鋳型に何ら損傷は無く、鋳型を容易に解体することができた。又、鋳型と離型材、及び、離型材とシリコン塊は容易に剥離し、角390mmで高さが約280mmのシリコン塊を取り出すことができた。解体した鋳型の各部品には何ら損傷が無く、再び使用することができた。
又、シリコン塊中のカーボン濃度を実施例1と同様に分析したところ、全て3質量ppm以下であった。
(実施例7)
フェノール樹脂量を40質量部としたこと以外は、実施例5と同様の実験を行なった。
常温まで冷却後、鋳型を取り出したところ、鋳型に何ら損傷は無く、鋳型を容易に解体することができた。又、鋳型と離型材は容易に剥離したが、離型材とシリコン塊は、大部分においては容易に剥離したものの、一部で、離型材へのシリコン含浸が認められた。これは、問題とはならないものであったが、シリコン塊から離型材を除去する際に、若干の手間を要した。シリコン塊としては、角390mmで高さが約280mmのものを取り出すことができた。解体した鋳型の各部品には何ら損傷が無く、再び使用することができた。
シリコン塊中のカーボン濃度を実施例1と同様に分析したところ、全て3質量ppm以下であった。
(実施例8)
鋳型を抵抗式ヒーターにて、毎分5℃の昇温速度で昇温中に、途中、700℃で1時間保持したこと以外は、実施例7と同様の実験を行った。
常温まで冷却後、鋳型を取り出したところ、鋳型に何ら損傷は無く、鋳型を容易に解体することができた。又、鋳型と離型材、及び、離型材とシリコン塊は容易に剥離し、離型材へのシリコン含浸も全く無かった。
取り出されたシリコン塊の形状、特性等は、実施例7と同様であった。
実施例7でも何ら問題が無かったが、実施例8の結果から、フェノール樹脂量を減らす際には、昇温中に700℃で保持した方が、離型材へのシリコン含浸が全く無いことが分かる。これは、フェノール樹脂を減らすと生成する炭素も減少するが、鋳型昇温中に700℃で保持したことにより、生成する炭素量が回復したことによると考えられる。又、当然のことながら、離型材へシリコンの含浸が無い方が、凝固後のシリコン塊の取り扱いに有利である。
本方法により、凝固したシリコン塊と鋳型を確実に離型させることができ、鋳型の繰り返し使用回数を飛躍的に高めることができる。さらに、本方法と一方向凝固法を使用することにより、太陽電池用のウエハを切り出すための多結晶シリコンインゴットを、極めて安価に製造することが可能である。

Claims (9)

  1. 鋳型の内面に離型材を保持させたシリコン凝固用の鋳型において、前記離型材が実質上、シリコンの融点(1414℃)以上の融点を有する粉末と、100℃以上シリコンの融点以下の温度で炭素を生成する樹脂から成ることを特徴とするシリコン凝固用鋳型。
  2. 前記樹脂が前記鋳型内で予め30℃以上500℃以下で加熱硬化されてなることを特徴とする請求項1に記載のシリコン凝固用鋳型。
  3. 前記樹脂が前記鋳型内で予め00℃以上1000℃以下で加熱炭化されてなることを特徴とする請求項1に記載のシリコン凝固用鋳型。
  4. 前記樹脂の質量が前記粉末の質量の1%以上200%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリコン凝固用鋳型。
  5. 前記樹脂がフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシリコン凝固用鋳型。
  6. 前記シリコンの融点以上の融点を有する粉末が、ケイ砂、窒化ケイ素又は炭化ケイ素の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシリコン凝固用鋳型。
  7. 前記ケイ砂の粒径が0.1mm以下であることを特徴とする請求項6に記載のシリコン凝固用鋳型。
  8. 前記窒化ケイ素の粒径が50μm以下であることを特徴とする請求項6に記載のシリコン凝固用鋳型。
  9. 前記炭化ケイ素の粒径が1mm以下であることを特徴とする請求項6に記載のシリコン凝固用鋳型。
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