JP4493122B2 - 自動化顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種操作部を自動化した光学顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学顕微鏡の各種操作は、作業のスピードアップ、及び操作による試料(標本)近傍へのごみの落下防止等の観点から、電動機等により電気的に駆動制御することが多くなっている。
【0003】
例えば、特公平5−16006号には、自動制御式照明光学系を備えた顕微鏡が開示されている。
【0004】
この例によれば、対物レンズの倍率及び種別を入力する対物レンズデータ入力部と、光路に挿入された対物レンズを検出する検出手段と、複数個の対物レンズデータを記憶する記憶部と、電気的に制御しうる調光部、開口絞り、視野絞り、コンデンサーレンズ等の照明光学系要素のための駆動制御部とを含んでおり、該検出手段により検出した対物レンズに対応して記憶部から読出す対物レンズデータに基づいて各照明光学系要素を自動的に適正値に制御することにより、操作の簡略化や操作ミス防止をはかった顕微鏡が実現される。
【0005】
この例では対物レンズの切換えに伴って各照明光学系要素が連動するようになっているが、連動する照明光学系要素によっては、動作にかなりの時間を要する部位もある。したがって、顕微鏡全体としての切換時間は、最も動作時間の長い部位に影響を受けてしまう。
【0006】
さらにこの例では、対物レンズの切換えは正転、逆転を指示する2つの方向指定スイッチによるため、隣接しない対物レンズに切換える場合には、正転あるいは逆転のスイッチを複数回押す必要が生じる。
【0007】
この場合、対物レンズを切換える電動レボルバやそれに連動する各照明光学系要素は、観察者の意図しない途中の状態を順次経由して目的の対物レンズとそれに合わせた照明状態となるため、切換時間が著しく長くかかってしまい、操作性が悪化するという問題があった。
【0008】
また、上記不必要な途中の段階に順次切換えが行なわれることによって、各機構の耐久性が悪化するという問題もあった。
【0009】
これを解決するために、レボルバに設けられた各対物レンズの各取付穴に対応して複数、例えば5,6個のレボルバスイッチ(直接指定スイッチ)を設け、この直接指定スイッチを選択的に操作することにより目標の対物レンズに切換えことも考えられる。
【0010】
しかしながら、観察を続けながら該スイッチの触感で対物レンズの倍率を識別して目標の対物レンズに切換えるブラインド操作を行なうことは困難であり、作業効率の向上のために観察しながらのブラインド操作が必須とされる半導体ウエハ検査等の用途には適さない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
対物レンズの切換動作を行なう電動レボルバのみに着目し、上述のような切換時間の短縮と操作性の向上を図るものとして、正転、逆転の方向指定スイッチによる対物レンズ切換動作中に、さらにこの方向指定スイッチを連続して操作した場合、スイッチ検知手段によりこの操作を検知し、スイッチの操作回数に基づいてレボルバを回転させて目標の対物レンズに切換えるようにすることが考えられる。しかし、この場合でも、その対物レンズの切換えに伴なう開口絞りその他、照明光学系の各要素の切換え自体は手動でその都度操作しなければならないため、顕微鏡による観察全体としての作業性にはまだ改善の余地がある。
【0012】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、対物レンズの切換指示に際して照明光学系の各要素を連動して自動的に切換え、且つその動作に要する時間を極力短縮して、作業性を大幅に向上させることの可能な自動化顕微鏡を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、複数の対物レンズを選択的に前記対物レンズの光路上に配置する自動化顕微鏡であって、前記複数の対物レンズが装着され、これら複数の対物レンズの中から択一的に目的の対物レンズを光路上に位置決め可能なレボルバと、前記複数の対物レンズに対応して、観察条件を調整可能な少なくとも開口絞りを含む照明光学系と、前記レボルバ及び前記照明光学系を駆動制御する制御手段と、前記レボルバに対してそれぞれ正転方向及び逆転方向のいずれか一方の回転指令を与える2つの操作スイッチと、を有し、前記制御手段は、前記操作スイッチの操作による対物レンズの切換指示入力を行う際に、前記操作スイッチの連続的な操作と判断するために予め設定されている所定時間の連続した切換指示入力に対し、これら全ての切換指示入力を総合して目的の対物レンズ及び照明光学系の諸条件を決定し、前記操作スイッチによる連続的な操作の終了後、諸条件に基づいて前記レボルバ及び前記照明光学系の駆動を開始することを特徴とする。
【0014】
このような構成とすれば、散発的あるいは連続的な対物レンズの切換指示に対応して、対物レンズのみならず、照明光学系の各要素を連動して自動的に切換え、且つその動作に要する時間を極力短縮して、作業性を大幅に向上させることができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記レボルバに前記複数の対物レンズを拡大倍率に従った順序で装着した場合、前記制御手段は、前記複数の対物レンズ中の最大倍率のもの及び最小倍率のものの観察光路に対する位置に応じて前記操作スイッチでの連続操作回数を制限することを特徴とする。
【0016】
このような構成とすれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、観察者が上記2つの操作スイッチをブラインド操作する場合に対物レンズの切換方向が理解しやすい状態で規制されるため、すなわち、上記2つの操作スイッチがそれぞれ対物レンズの倍率を上げる方向、下げる方向のいずれか一方にしか作用しないために、より操作性を向上させることができる。
【0017】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記レボルバに装着された前記複数の対物レンズの種類及び拡大倍率を入力、設定する初期設定手段を、更に有し、前記制御手段は、前記初期設定手段により初期設定された前記レボルバに装着された前記複数の対物レンズの種類及び倍率と、現在の前記光路上に配置されている対物レンズの種類及び倍率とに基づいて、前記操作スイッチの連続操作回数を制限することを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下本発明の第1の実施の形態に係る光学顕微鏡について図面を参照して説明する。
【0032】
図1はその側面構成を示すもので、落射照明1、電動レボルバ2を備えた顕微鏡3において、光源4から出た照明光は、コレクタレンズ5、リレーレンズ6を介した後、開口絞り8、視野絞り9を通り、ハーフミラー10に入射する。
【0033】
このハーフミラー10は明視野照明用であり、反射光は対物レンズ瞳の位置に光源4の像を結像させ、電動レボルバ2、対物レンズ11を通してケーラー照明を行なう。
【0034】
この照明により得られるステージ12上の試料13からの反射光は、観察像として、光路17上の対物レンズ11、ハーフミラー10を透過して鏡筒14へ導かれ、接眼レンズ15などにより観察されることになる。
【0035】
上記電動レボルバ2及び開口絞り8は、それぞれモータM1,M2、センサS1,S2を備え、ここでは図示しない制御回路により駆動制御されると共に、その駆動状態が該制御回路にフィードバックされる。
【0036】
電動レボルバ2は、回転による対物レンズの選択を電動で行ない、一方、開口絞り8は複数穴の回転切換、または複数の羽根絞りによる径の可変切換を電動で行なう。
【0037】
光源4は、上記制御回路により駆動電圧を変化させて調光するか、あるいはNDユニットとして複数のフィルタの挿脱により発光量を可変設定できるものとしている。
【0038】
しかして、図中の16は上記電動レボルバ2の正転、逆転を指示するための2つのスイッチSW−H,SW−Lを有する入力部であり、上記制御回路に接続されている。
【0039】
次いで図2により上記顕微鏡3内に設けられる電気回路の構成及び各切換制御の概念について説明する。
【0040】
レボルバ2及び開口絞り8の各電動部は、それぞれレボドライバ17、ASドライバ18を経由して制御回路と接続され、入力部16のスイッチSW−H,SW−Lでの操作により自在に動作可能となっている。
【0041】
操作部16は、対物レンズを切換えるための正逆回転のスイッチSW−H,SW−Lや上記図1で説明しなかった調光ボリュームなどを備え、制御回路20に操作信号を送出する。制御回路20は、この入力部16からの操作信号を受けることでそれぞれの電動部を動作させる。
【0042】
スイッチSW−H,SW−Lの操作により、制御回路20は、レボルバ2に対してレボドライバ17によりモータM1を駆動させて所望の対物レンズの位置へ回転移動させる。この時、センサS1によりその時点での光路上にある対物レンズ及び切換目標の対物レンズの位置を認識可能である。
【0043】
また、この電動レボルバ2の切換動作に連動して、制御回路20は開口絞り8に対してASドライバ18によりモータM2を駆動させて所望の位置の絞りを光軸位置へ移動させる。この時、センサS2によりその時点での開口絞り径及び切換目標の開口絞り径を認識可能である。
【0044】
制御回路20は、顕微鏡全体の駆動制御プログラムが格納されたROM21、顕微鏡各部の制御パラメータや駆動データベースが格納されたRAM22を接続し、スイッチSW−H,SW−Lなどの入力部16からの入力指示があった場合に、これらROM21、RAM22を用いて動作制御のための処理を実行し、各センサS1,S2からの検出信号を監視しながら各ドライバ17,18に駆動指示を与える。
【0045】
図2の状態で、電動レボルバ2に取付けられた対物レンズは、A,B,C,D,Eの順序で倍率が順次高くなっているものとし、入力部16のスイッチSW−Hは電動レボルバ2を図中の矢印αの方向に回転させて、例えば図中で光路23上に位置する対物レンズAを対物レンズBに切換え、SW−Lは電動レボルバ2を図中の矢印βの方向に回転させて、例えば対物レンズBを対物レンズAに切換えるものとする。
【0046】
また、この図2の状態で、開口絞り8を構成する個々の開口絞り径は、A,B,C,D,Eの順序で径が順次大きくなっており、例えば開口絞り径Aが上記電動レボルバ2の対物レンズAに対応するもので、上記各対物レンズA〜Eの性能をそれぞれ最大限発揮する径の設定となっている。
【0047】
ここで、開口絞りユニット80の具体的な構成を図3(a)〜(c) を参照して説明する。なお、同図(a)は照明光源4側から見た図、同図(b)は側面図、同図(c)は視野絞り9側から見た図である。なお、図3(b)におけるセンサ基板89は、センサS2′の側面図を図示するために別の向きから見た図を2点鎖線で書込んだものである。
【0048】
開口絞りユニット80は、それぞれ異なる複数の孔径の開口絞り81a〜81eが形成された開口絞りターレット82が備えられている。この開口絞りターレット82は、ベアリング83を介して回転軸84を中心に回転し、各開口絞り81a〜81eのうち所望の径のものを落射照明光の光路85に選択配置するものとなっている。
【0049】
これら開口絞り81a〜81eは、一般的に複数の羽根絞りによる連続変化のものが多いが、上記開口絞りユニット80のように固定絞りを段階的に切換えるものも増えている。羽根絞りでは、繰返しの耐久性の不安、発塵の可能性などがあることから、観察像の定量的な評価のためには、絞り径としては再現性のよい固定絞りが好まれる傾向がある。加えて、上記羽根絞りによる連続可変は、径の精度、再現性に難がある。
【0050】
しかるに、開口絞り81a〜81eは、最大径の開口絞り81aから順番に孔径が小さく形成され、対物レンズ11の瞳径に応じてその選択位置を制御系のRAM22に記憶するものとなっている。なお、対物レンズ11は、一般的に高倍率となるほどその瞳径が小さくなっている。
【0051】
また、開口絞りターレット82は、暗視野観察時に全ての対物レンズ11で最大径の開口絞り81a、明視野観察時に各対物レンズ11に適応した径の開口絞り81a〜81eを選択するように制御されるものとなっている。
【0052】
ステッピングモータM2の回転軸には、ピニオン86が設けられ、このピニオン86が開口絞りターレット82の外周付近に設けられたギア87に歯合している。
【0053】
各穴の選択切換えの電気的な原点検出、切換えを行なうための機構を説明する。開口絞りターレット82の穴間のスペースにマグネット92が埋込み接着されている。開口絞りユニット80にはホール素子基板91があり、ホール素子を用いたセンサS2″が用いられる。
【0054】
図中、開口絞り81aが光路85上に位置している時に、開口絞りターレット82のマグネット92はちょうどホール素子S2″の位置に重なり、この状態が原点であることを認識する。
【0055】
顕微鏡の電源投入時、開口絞りユニット80は、開口絞りターレット82を回転させ、マグネット82とホール素子基板91の位置を合致させ、開口絞り81aの位置を認識する。
【0056】
また、開口絞りターレット82の最外周には、センサ板突起部88が開口絞り81a〜81eの孔数だけ配置されており、センサ基板89により各開口絞り81a〜81eが光路付近であることを検出するものとなっている。
【0057】
なお、センサ基板89は、透過型フォトインタラプタ等のセンサS2’が用いられている。また、この開口絞りターレット82の停止位置精度を高めるために、板バネ71とコロ72によるクリック機構を設けている。開口絞りターレット82の一方の側面の外周部には、各絞り穴に対応させてクリック溝73が設けられており、板バネ71に付勢されたコロ72がこのクリック溝73に落込むことにより開口絞りターレット82が位置決めされる。
【0058】
したがって、ステッピングモータM2に一定のパルスが送られると開口絞りターレット82が回転し、センサS2′ によりセンサ板突起部88を検出したときにステッピングモータM2を停止させることにより、電源投入時に定められた原点(開口絞り81aが観察光路85上にある状態)から、どちらの方向に幾つのパルスを送ったか、またはセンサS2′がどちらに何回検出されたか、を制御することで、観察法または対物レンズ11に適応した径の開口絞り81a〜81eが選択されるものとなっている。
【0059】
次いで本実施の形態の動作について説明する。
【0060】
入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれか一方を操作すると、その操作信号により制御回路20がレボドライバ17によりモータM1を回転駆動させて電動レボルバ2での観察光路上にある対物レンズを切換えると同時に、その対物レンズの倍率、観察法毎に記憶されている最適な開口絞り径をRAM22から読出し、ASドライバ18によりモータM2を回転駆動させて開口絞り8での開口絞り径を切換えるもので、図4を用いてその際の処理内容について説明する。
【0061】
まず、対物レンズ11の切換指示として入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれか一方が操作されるのを待機し(ステップS11)、操作されたと判断した時点で、内部タイマによる計時を開始させると共に(ステップS12)、操作されたのがスイッチSW−Hであれば「1」を、スイッチSW−Lであれば「−1」をRAM22のレジスタiに入力設定する(ステップS13)。
【0062】
ここでレジスタiは、電動レボルバ2及び開口絞り8を多段階動作させる場合の段数を保持するものとして設定されるものであり、その値が正であれば対物レンズ11の倍率を上げる方向に、また負であれば下げる方向に、保持値の絶対値の段数分だけ電動レボルバ2及び開口絞り8を動作させるものとする。
【0063】
その後、さらに連続した対物レンズの切換指示として上記入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれかが操作されたか否か、また上記内部タイマによる計時値が、連続的なスイッチ操作と判断するために予め設定されている、例えば0.3[sec]程度の所定値tとなったか否かを繰返し判断することで(ステップS14,S15)、該スイッチの操作と所定時間tの経過とを待機する。
【0064】
ステップS14でスイッチが操作されたと判断した場合には、上記初めのスイッチ操作に伴なう連続的な操作であるものとして、さらにレジスタiの値をスイッチSW−Hであれば「+1」、スイッチSW−Lであれば「−1」更新設定し(ステップS16)、上記内部タイマをリセットして再度所定時間tの計時を始めから開始させた上で(ステップS17)、再び上記ステップS14からの処理に戻る。
【0065】
こうして、所定時間t内にスイッチSW−H,SW−Lによる連続的な操作があればその操作されたスイッチに応じて順次レジスタiの値を更新設定していく。
【0066】
そして、ステップS15で前回のスイッチ操作から所定時間tだけ経過したと判断した時点で、レジスタiの保持値に応じて目標となる対物レンズ11を設定する(ステップS18)。
【0067】
ここで目標となる対物レンズ11は、例えば対物レンズCが観察光路上にある状態でスイッチSW−Lが2回連続して操作された場合には対物レンズCから対物レンズAに、また対物レンズBが観察光路上にある状態でスイッチSW−Hが3回連続して操作された場合には対物レンズBから対物レンズEに、対物レンズBが観察光路上にある状態でスイッチSW−LとスイッチSW−Hが各1回ずつ連続して操作された場合にはそのまま対物レンズBに、というように設定される。
【0068】
次いで、その時点で観察光路上にある対物レンズと、目標として設定した対物レンズとから、開口絞り8における開口絞りの径を設定する(ステップS19)。
【0069】
そして、上記設定した対物レンズと開口絞り径に基づいてレボドライバ17、ASドライバ18にそれぞれ駆動司令を与え、電動レボルバ2及び開口絞り8でそれぞれ目標の倍率の対物レンズとその対物レンズに最適な開口絞り径へと切換えさせ(ステップS20)、最後に上記レジスタiを次の切換指示のためのスイッチSW−H,SW−Lの操作に備えてクリアする(ステップS21)。
【0070】
このように、対物レンズの切換指示のための操作入力があった場合に直ちに指示に応じた対物レンズの切換動作を開始するのではなく、所定時間だけ待機してその待機した所定時間中に連続して次の切換指示の操作があった場合には、これらすべての操作の回数を総合して最終的な目標である倍率の対物レンズや開口絞り径を設定するようにしたので、観察者の意図していない、現時点での状態と目標とする状態との間に位置する倍率の対物レンズや開口絞りの径に不本意に切換わることがなく、結果として電動レボルバ2及び開口絞り8の切換操作に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0071】
また、電動レボルバ2や開口絞り8のユニットを無駄に駆動してしまうことがないため、装置の耐久性を向上させることもできる。
【0072】
なお、上記実施の形態にあっては、制御回路20の内部タイマにより計時する所定の時間tを一律に設定するものとして説明したが、初めの1回目のスイッチ操作と2回目のスイッチ操作の間の待機時間t1、2回目のスイッチ操作と3回目のスイッチ操作の間の待機時間t2、3回目のスイッチ操作と4回目のスイッチ操作の間の待機時間t3、‥‥というように、スイッチの操作回数に応じた各次のスイッチ操作までの待機時間を可変設定するものとしてもよい。
【0073】
例えば、上記待機時間t1を0.3[sec]、待機時間t2を0.2[sec]、以後の待機時間t3,t4,…をすべて0.1[sec]に設定すれば、連続したスイッチの操作回数が多くなるほど、上記一律に待機時間tを設定した場合と比べて、全体としての待機時間が短くなり、より迅速に目標とする状態への切換動作に移行することができるため、さらに操作性を向上させることができる。
【0074】
(第2の実施の形態)
以下本発明の第2の実施の形態に係る光学顕微鏡について図面を参照して説明する。
【0075】
なお、顕微鏡全体の構成、顕微鏡内に設けられる電気回路の構成、開口絞りのユニット構成等については上記図1乃至図3で示したものと基本的に同様であるものとし、その図示及び説明は省略する。
【0076】
次いで本実施の形態の動作について説明する。
【0077】
入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれか一方を操作すると、その操作信号により制御回路20がレボドライバ17によりモータM1を回転駆動させて電動レボルバ2での観察光路上にある対物レンズを切換えると同時に、対物レンズの倍率、観察法毎に記憶されている最適な開口絞り径をRAM22から読出し、ASドライバ18によりモータM2を回転駆動させて開口絞り8での開口絞り径を切換えるもので、その場合の処理内容を図5を用いて説明する。
【0078】
同図において、その処理当初にはまず、その時点で観察光路上にある対物レンズの番号を制御回路20内のレジスタjに入力設定する(ステップS31)。
【0079】
ここでレジスタjは、例えば電動レボルバ2の対物レンズAの番号を「1」、対物レンズBの番号を「2」、‥‥、対物レンズEの番号を「5」として、切換えるべき対物レンズの番号を保持するものとする。
【0080】
その後、対物レンズの切換指示として入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれか一方が操作されるのを待機し(ステップS32)、操作されたと判断した時点で、内部タイマによる計時を開始させると共に(ステップS33)、操作されたのがスイッチSW−Hであればレジスタjの値を「+1」、スイッチSW−Lであれば「−1」更新設定する(ステップS34)。
【0081】
そして、この更新設定したレジスタjの保持値が「0」または「6」であるか否かを判断する(ステップS35)。これは、レジスタjの保持値が「1」すなわち最も倍率の低い対物レンズAが観察光路上にある状態でさらに倍率を下げるためのスイッチSW−Lが操作されたか、あるいはレジスタjの保持値が「5」すなわち最も倍率の高い対物レンズEが観察光路上にある状態でさらに倍率を上げるためのスイッチSW−Hが操作されたかを判断するもので、レジスタjの保持値が「0」または「6」であると判断した場合には、その操作入力を無効として、その時点で切換指示入力の受付を中断し(ステップS36)、さらに上記ステップS34での更新設定を解除するべく、上記ステップS34での処理とは反対に、操作されたのがスイッチSW−Hであればレジスタjの値を「−1」、スイッチSW−Lであれば「+1」更新設定し(ステップS37)、一旦この処理を終了し、再び上記ステップS32からの待機状態に移行する。
【0082】
このとき、併せて、対物レンズEよりも倍率の高い対物レンズあるいは対物レンズAよりも倍率の低い対物レンズが電動レボルバ2には装着されていないことを図示しない表示部で表示するようにしてもよい。
【0083】
しかして、上記ステップS35でレジスタjの保持値が「0」または「6」ではなく、入力部16のスイッチSW−H,SW−Lの操作は無効ではないと判断されると、次いでさらに連続した対物レンズの切換指示として上記入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれかが操作されたか否か、また上記内部タイマによる計時値が、連続的なスイッチ操作と判断するために予め設定されている、例えば0.3[sec]程度の所定値tとなったか否かを繰返し判断することで(ステップS38,S39)、該スイッチの操作と所定時間tの経過とを待機する。
【0084】
ステップS38でスイッチが操作されたと判断した場合には、上記初めのスイッチ操作に伴なう連続的な操作であるものとして、さらにレジスタjの値をスイッチSW−Hであれば「+1」、スイッチSW−Lであれば「−1」更新設定し(ステップS40)、上記内部タイマをリセットして再度所定時間tの計時を始めから開始させた上で(ステップS41)、上記ステップS35と同じく更新設定したレジスタjの保持値が「0」または「6」であるか否かを判断する(ステップS42)。
【0085】
ここで、レジスタjの保持値が「0」または「6」であると判断した場合にのみ、上記ステップS40での更新設定を解除するべく、上記ステップS40での処理とは反対に、操作されたのがスイッチSW−Hであればレジスタjの値を「−1」、スイッチSW−Lであれば「+1」更新設定し(ステップS43)、再び上記ステップS38からの処理に戻る。
【0086】
こうして、所定時間t内にスイッチSW−H,SW−Lによる連続的な操作があれば有効な範囲内でその操作されたスイッチに応じて順次レジスタjの値を更新設定していく。
【0087】
そして、ステップS39で前回のスイッチ操作から所定時間tだけ経過したと判断した時点で、レジスタjの保持値で示される番号の目標となる対物レンズを設定する(ステップS44)。
【0088】
ここで目標となる対物レンズは、レジスタjの番号そのものから直接判断できるもので、例えばレジスタjの保持値が「1」であれば対物レンズAに、また該保持値が「5」であれば対物レンズEに、というように設定される。
【0089】
次いで、上記目標として設定した対物レンズとから開口絞り8における開口絞りの径を設定する(ステップS45)。そして、上記設定した対物レンズと開口絞り径に基づいてレボドライバ17、ASドライバ18にそれぞれ駆動司令を与え、電動レボルバ2及び開口絞り8でそれぞれ目標の倍率の対物レンズとその対物レンズに最適な開口絞り径へと切換えさせ(ステップS46)、以上でこの一連の処理を終了する。
【0090】
このように、上記第1の実施の形態で説明した効果に加えて、電動レボルバ2に上記複数の対物レンズA〜Eを拡大倍率に従った順序で装着するものとし、制御回路20がそれら対物レンズ中の最大倍率のもの(E)及び最小倍率のもの(A)の観察光路に対する位置に応じて上記2つの操作スイッチSW−H,SW−Lでの連続操作回数を制限するようにしたため、観察者が上記2つの操作スイッチをブラインド操作する場合に対物レンズの切換方向が理解しやすい状態で規制され、観察者の意図を汲み取って無駄な操作をキャンセルし、より操作性を向上させることができると共に、切換の動作に要する時間の短縮と装置の耐久性の向上とに寄与することができる。
【0091】
(第3の実施の形態)
以下本発明の第3の実施の形態に係る光学顕微鏡について図面を参照して説明する。
【0092】
図6はその側面構成を示すもので、顕微鏡全体の構成、顕微鏡内に設けられる電気回路の構成、開口絞りのユニット構成等について上記図1乃至図3で示したものと基本的には同様であるものとし、その同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0093】
しかして、図6においては、上記図1の構成に加えて、紫外光源101、コレクタレンズ102、反射ミラー103、及びダイクロイックミラー104を備えている。ここで、紫外光源101の発する紫外光はコレクタレンズ102で集光され、反射ミラー103で反射された後に、コレクタレンズ5とリレーレンズ6間の照明光路上に配置されたダイクロイックミラー104により該光路に挿入されることとなる。
【0094】
また、図7で入力部16のパネル構成を示すように、入力部16にはスイッチSW−H,SW−Lの他に、電動レボルバ2の各孔に装着されている複数の対物レンズ11の種類及び拡大倍率を入力、設定するための初期設定スイッチ(図では「INIT.」と示す)105,ジョグエンコーダ106、光源を切換えるなどにより観察方法を切換えるための観察法切換スイッチ(図では「METH.1」〜「METH.4」と示す)107、及び現在観察光路にある対物レンズの種類や観察方法など顕微鏡の状態を表示出力する表示部108を備えている。
【0095】
上記初期設定スイッチ105は、1回目の操作により入力部16を初期設定モードに設定したこととなり、その状態でジョグエンコーダ106を任意回転させることにより、対物レンズの種類が順次表示部108に表示させるため、電動レボルバ2の孔に装着した対物レンズと合致した内容を表示手段時点で再度初期設定スイッチ105を操作することにより、電動レボルバ2の該当する孔に装着した対物レンズを確定し、記憶するようになっている。
【0096】
しかして、本実施の形態においては、例えば電動レボルバ2に装着する対物レンズA〜Cに通常の白色光観察用の対物レンズMPlan10×、同50×、同100×とし、対物レンズD,Eはそれぞれ紫外光観察用の対物レンズUV50×、同150×とする。
【0097】
次いで本実施の形態の動作について説明する。
【0098】
観察動作の初期においては、まず初期設定として、入力部16の初期設定スイッチ105及びジョグエンコーダ106と2つの操作スイッチSW−H,SW−Lにより、電動レボルバ2を順に切換えて各孔に装着した対物レンズの種類及び拡大倍率を入力する。
【0099】
このとき、制御回路20は電動レボルバ2に装着された対物レンズのデータを、その種類を表わす種別番号mと倍率を表わす倍率番号kとに分けて「m−k」の表現形式でRAM22内に格納する。本実施の形態においては、電動レボルバ2の各孔A〜Eの順に「1−1」,「1−2」,「1−3」,「2−1」,「2−2」となる。上記種別番号mに相当する最初の桁は、「1」がMPlanを、「2」がUVを示し、一方、「−」に続く倍率番号kに相当する桁では、倍率の低い方から順番に1,2(,3)の番号が付加設定されるものとする。
【0100】
初期設定を完了した後、入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれか一方を操作すると、その操作信号に対応して制御回路20がレボドライバ17によりモータM1を回転駆動させて電動レボルバ2での観察光路にある対物レンズ11を切換えると同時に、対物レンズ11の種類、倍率、観察法毎に記憶されている最適な開口絞り値をRAM22から読出し、ASドライバ18によりモータM2を回転駆動させて開口絞り8での開口絞り径を切換える。
【0101】
図8はこの制御回路20での処理内容を示すもので、ここでは制御回路20内にレジスタk,m,nを設けて、それらの保持内容を加減制御しながら制御処理を実行するものである。
【0102】
すなわち、その当初にはまずその時点での対物レンズ11の倍率番号kをレジスタkに、また種別番号mをレジスタmにそれぞれ入力設定する(ステップS51)。
【0103】
次いで、上記レジスタmに保持されている種別番号と同じ種別番号を有する対物レンズ11の総数に「+1」した値を変数nとしてレジスタnに保持させる(ステップS52)。
【0104】
その後、対物レンズ11の切換え指示としてスイッチSW−H,SW−Lのいずれか一方が操作されるのを待機し(ステップS53)、操作されたと判断した時点で、内部タイマによる計時を開始させると共に(ステップS54)、操作されたのがスイッチSW−Hであればレジスタkの値を「+1」、スイッチSW−Lであれば「−1」更新設定する(ステップS55)。
【0105】
そして、この更新設定したレジスタkの保持値が「0」または「n」であるか否かを判断する(ステップS56)。これは、レジスタmの保持値が「1」すなわち同一種類の対物レンズ11の中で最も倍率の低い対物レンズが観察光路上にある状態でさらに倍率を下げるためのスイッチSW−Lが操作されたか、あるいはレジスタkの保持値が「n−1」すなわち最も倍率の高い対物レンズが観察光路上にある状態でさらに倍率を上げるためのスイッチSW−Hが操作されたかを判断するもので、レジスタkの保持値が「0」または「n」であると判断した場合には、その操作入力を無効として、その時点で切換指示入力の受付を中断し(ステップS57)、さらに上記ステップS55での更新設定を解除するべく、上記ステップS55での処理とは反対に、操作されたのがスイッチSW−Hであればレジスタkの値を「−1」、スイッチSW−Lであれば「+1」更新設定し(ステップS58)、一旦この処理を終了し、再び上記ステップS53からの待機状態に移行する。
【0106】
このとき、併せて、現在の対物レンズ11よりも倍率の高い対物レンズあるいは倍率の低い対物レンズが電動レボルバ2には装着されていないことを表示部108で表示するようにしてもよい。
【0107】
しかして、上記ステップS56でレジスタkの保持値が「0」または「n」ではなく、入力部16のスイッチSW−H,SW−Lの操作は無効ではないと判断すると、次いでさらに連続した対物レンズの切換指示として上記入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれかが操作されたか否か、また上記内部タイマによる計時値が、連続的なスイッチ操作と判断するために予め設定されている、例えば0.3[sec]程度の所定値tとなったか否かを繰返し判断することで(ステップS59,S60)、該スイッチの連続的な操作と所定時間tの経過とを待機する。
【0108】
ステップS59でスイッチが操作されたと判断した場合には、上記初めのスイッチ操作に伴なう連続的な操作であるものとして、さらにレジスタkの値をスイッチSW−Hであれば「+1」、スイッチSW−Lであれば「−1」更新設定し(ステップS61)、上記内部タイマをリセットして再度所定時間tの計時を始めから開始させた上で(ステップS62)、上記ステップS56と同じく更新設定したレジスタkの保持値が「0」または「n」であるか否かを判断する(ステップS63)。
【0109】
ここで、レジスタkの保持値が「0」または「n」であると判断した場合にのみ、上記ステップS61での更新設定を解除するべく、上記ステップS61での処理とは反対に、操作されたのがスイッチSW−Hであればレジスタkの値を「−1」、スイッチSW−Lであれば「+1」更新設定し(ステップS64)、再び上記ステップS59からの処理に戻る。
【0110】
こうして、所定時間t内にスイッチSW−H,SW−Lによる連続的な操作があれば有効な範囲内でその操作されたスイッチに応じて順次レジスタkの値を更新設定していく。
【0111】
そして、ステップS60で前回のスイッチ操作から所定時間tだけ経過したと判断した時点で、レジスタmの保持値で示される種別番号及びレジスタkの保持値で示される倍率番号により目標となる対物レンズを設定する(ステップS65)。
【0112】
ここで目標となる対物レンズは、制御回路20が、レジスタm及びkの保持値と、初期設定による電動レボルバ2の各孔に装着されている対物レンズ11のデータとから判断するもので、例えばレジスタm,kの保持値から得られる対物レンズのデータが「1−1」であれば、電動レボルバ2の孔Aに装着された対物レンズMPlan10×に、また同データが「2−1」であれば、電動レボルバ2の孔Dに装着された対物レンズUV50×に、というように設定される。
【0113】
次いで、上記目標として設定した対物レンズとから開口絞り8における開口絞り径を設定する(ステップS66)。そして、上記設定した対物レンズと開口絞り径に基づいてレボドライバ17、ASドライバ18にそれぞれ駆動司令を与え、電動レボルバ2及び開口絞り8でそれぞれ目標の倍率の対物レンズとその対物レンズに最適な開口絞り径へと切換えさせ(ステップS67)、以上でこの一連の処理を終了する。
【0114】
なお、上述した如く、上記2つの操作スイッチSW−H,SW−Lの散発的あるいは連続的な操作によっても、レジスタmの値は不変であり、対物レンズの種類は、はじめに観察光路上にあった対物レンズの種類と何ら変化せず、倍率が変化するのみである。
【0115】
したがって、観察動作中にはその時点で観察光路上にある対物レンズと同じ種類の対物レンズの中から拡大倍率の異なる目的の対物レンズ及び照明光学系の観察条件に切換動作が行なわれ、たとえ電動レボルバ2に違う種類の対物レンズが混在して装着されている場合であっても、不用意な操作で違う種類の対物レンズに切換えてしまうことがなく、操作性をより向上させることができる。
【0116】
なお、上記レジスタmの保持値を変化させて対物レンズの種類を切換えるためには、上記観察法切換スイッチ107を操作する。この場合、観察法切換スイッチ107を操作することで、制御回路20がその操作信号に対応して光源4と紫外光源101とを切換え、指定された観察法に対応した種類の対物レンズの中から、最も倍率の低いものを選択し、その対物レンズに応じたレジスタk,mの保持値からレボドライバ17に指令を送出して電動レボルバ2を回転駆動させると共に、その対物レンズに最適なAS径を設定してASドライバ18に指令を送出して開口絞り8を回転駆動させる。
【0117】
上記レジスタmの保持値を変化させて対物レンズの種類を切換えた後は、上記2つの操作スイッチSW−H,SW−Lの操作により、同様に同じ種類の対物レンズの中から拡大倍率を変化させるように動作するが、その動作内容は上記図8で説明した通りであり、その記述は省略する。
【0118】
このように、上記第1及び第2の実施の形態で説明した効果に加えて、電動レボルバ2に複数の種類の対物レンズ11をその拡大倍率とは無関係にランダムに装着した場合であっても、初期設定スイッチ105及びジョグエンコーダ106と2つの操作スイッチSW−H,SW−Lにより、電動レボルバ2を順に切換えて電動レボルバ2の各孔に装着された対物レンズ11の種類及び倍率を簡単な操作で入力することで初期設定を行なうことにより、実際の観察時には2つのスイッチSW−H,SW−Lの操作が、その時点で観察光路上にある対物レンズ11と同一種類の対物レンズ11の中から拡大倍率のみを変更するように規制されるため、観察者の意図を汲取って無駄な操作をキャンセルし、さらに操作性の良い自動化顕微鏡を構築できるものとなる。
【0119】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る光学顕微鏡について図面を参照して説明する。
【0120】
なお、顕微鏡全体の構成、顕微鏡内に設けられる電気回路の構成、開口絞りのユニット構成等については上記図1乃至図3で示したものと基本的に同様であるので、その図示及び説明は省略する。
【0121】
次いで本実施の形態の動作について説明する。
【0122】
この場合、入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれか一方を1回または複数回操作すると、その操作信号により制御回路20がレボドライバ17によりモータM1を回転駆動させて電動レボルバ2での観察光路上にある対物レンズを切換えると同時に、その対物レンズの倍率、観察法毎に記憶されている最適な開口絞り径をRAM22から読出し、ASドライバ18によりモータM2を回転駆動させて開口絞り8での開口絞り径を切換えるようになるが、その際の処理内容について図9、図10を用いて説明する。
【0123】
まず、図9に示す内部タイマのインターバル動作による割込みプログラムを実行する。この場合、対物レンズ11の切換え指令として入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれか一方が操作されるのを待機し(ステップS71、S72)、1回目が操作された時点で、操作されたスイッチがSW−Hであれば「+1」を、スイッチがSW−Lであれば「−1」をRAM22のレジスタiに入力設定する(ステップS73、S74)。内部タイマは、所定のインターバルで、この割込みプログラムを周期的に呼出し実行するようになっている。ここでは、インターバルを例えば80[ms]としている。
【0124】
この状態で、図10に示すメインプログラムを実行する。このメインプログラムでは、最初にRAM22のレジスタiが「0」か否かを監視している(ステップS75)。
【0125】
ここで、RAM22のレジスタiが「0」でない場合、対物レンズ11の切換え指示として入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれか一方が操作されたと判断し、RAM22のレジスタjにレジスタiの値(この時点では「+1」または「−1」)をコピーし、レジスタiの値を一旦「0」にクリアし、内部タイマに所定の時間、例えば600[ms]を設定し、計時をスタートさせ、その後、スイッチSW−HまたはSW−Lが続けて複数回操作されている場合は、最初の操作を差し引いた操作回数をレジスタiに設定する(ステップS76)。
【0126】
RAM22のレジスタjは、電動レボルバ2および開口絞り8を多段階動作させる場合の段数を保持するもので、その値が正であれば対物レンズ11の倍率を上げる方向に、また負であれば下げる方向に、保持値の絶対値の段数分だけ電動レボルバ2及び開口絞り8を動作させるようになっている。
【0127】
次いで、レジスタjの値に応じて目標となる対物レンズ11を設定する。ここで、目標となる対物レンズ11は、例えば対物レンズ11(C)が観察光路上にある状態でレジスタjが「+1」であれば、対物レンズ11(C)から対物レンズ11(D)に、レジスタjが「−1」であれば、対物レンズ11(C)から対物レンズ11(B)にというように設定される(ステップS77)。
【0128】
同様にして、ステップS78において、レジスタjの値に応じて目標となる開口絞り8における開口絞りの径を設定する。ここで、目標となる開口絞り8の開口絞りの径は、例えば対物レンズ11(C)が観察光路上にある状態でレジスタjが「+1」であれば、開口絞り8(81c)から開口絞り8(81d)に、レジスタjが「−1」であれば、開口絞り8(81c)から開口絞り8(81b)にというように設定される。
【0129】
そして、上記設定した対物レンズと開口絞り径に基づいてレボドライバ17、ASドライバ18にそれぞれ駆動司令を与え、電動レボルバ2及び開口絞り8でそれぞれ目標の倍率の対物レンズとその対物レンズに最適な開口絞り径へと切換えさせる(ステップS79)。
【0130】
この状態で、内部タイマのタイムアップを待つ(ステップS80)。その後、内部タイマがタイムアップすると、ステップS81に進み、レジスタiが「0」か否かを判断する。ここで、レジスタiが「0」と判断された場合は、処理を終了する。一方、レジスタiが「0」でないと判断された場合は、つまり、入力部16のスイッチSW−HまたはSW−Lが複数回続けて操作された場合は、レジスタiには、最初の操作を差し引いたスイッチSW−HまたはSW−Lの操作回数が書き込まれているので、レジスタiは「0」でないと判断され、RAM22のレジスタjにレジスタiの値がコピーされる(ステップS82)。
【0131】
そして、ステップS83において、レジスタjの値に応じて目標となる対物レンズ11を設定し、ステップS84で、レジスタjの値に応じて目標となる開口絞り8の開口絞りの径を設定する。
【0132】
次いで、電動レボルバ2および開口絞り8の動作終了を待ち(ステップS85)、その後、上記設定した対物レンズと開口絞り径に基づいてレボドライバ17、ASドライバ18にそれぞれ駆動司令を与え、電動レボルバ2及び開口絞り8でそれぞれ目標の倍率の対物レンズとその対物レンズに最適な開口絞り径へと切換えさせる(ステップS86)。
【0133】
最後に、電動レボルバ2および開口絞り8の動作終了を待ち(ステップS87)、レジスタiを次の切換え指示のための入力部16のスイッチSW−H,SW−Lの操作に備えて「0」にクリアして(ステップS88)、処理を終了する。
【0134】
したがって、このようにすれば、対物レンズ11の切換え指示のためのスイッチSW−HまたはSW−Lの操作入力があった場合、直ちに指示に応じた対物レンズ11の切換え動作を開始し、対物レンズ11の切換え動作開始から所定時間経過までの間に、さらにスイッチSW−HまたはSW−Lの操作入力があった場合は、このときの操作回数を総合して最終的な目標である倍率の対物レンズ11および開口絞り8を設定できるようにしたので、1回のみのスイッチSW−HまたはSW−Lの操作入力による散発的な対物レンズ11の切換え指示に対しては、動作開始に遅延のない良好な応答を実現でき、また、複数回のスイッチSW−HまたはSW−Lの操作入力による連続的な対物レンズ11の切換え指示に対して、観察者の意図していない現時点での状態と目標とする状態との間に位置する倍率の対物レンズや開口絞りの径に切換わるようなことがなく、結果として、電動レボルバ2および開口絞り8の切換え作業に要する時間を大幅に短縮することができる。また、電動レボルバ2や開口絞り8を無駄に駆動してしまうことを軽減できるので、装置の耐久性を向上させることもできる。
【0135】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態に係る光学顕微鏡について図面を参照して説明する。
【0136】
なお、顕微鏡全体の構成、顕微鏡内に設けられる電気回路の構成、開口絞りのユニット構成等については上記図1乃至図3で示したものと基本的に同様であるので、その図示及び説明は省略する。
【0137】
次に、本実施の形態の動作について図11および図12に従い説明する。
【0138】
まず、図11に示す内部タイマのインターバル動作による割込みプログラムを実行する。この場合、対物レンズ11の切換え指令として入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれか一方が操作されるのを待機し(ステップS91、S92)、1回目が操作された時点で、操作されたスイッチがSW−Hであれば「+1」を、スイッチがSW−Lであれば「−1」をRAM22のレジスタiに入力設定する(ステップS93、S94)。内部タイマは、所定のインターバルで、この割込みプログラムを周期的に呼出し実行するようになっている。ここでは、インターバルを例えば80[ms]としている。
【0139】
この状態で、図12に示すメインプログラムを実行する。このメインプログラムでは、最初にRAM22のレジスタiが「0」か否かを監視している(ステップS95)。
【0140】
ここで、RAM22のレジスタiが「0」でない場合、対物レンズ11の切換え指示として入力部16のスイッチSW−H,SW−Lのいずれか一方が操作されたと判断し、RAM22のレジスタjにレジスタiの値(この時点では「+1」または「−1」)をコピーし、レジスタiの値を一旦「0」にクリアし、その後、スイッチSW−HまたはSW−Lが続けて複数回操作されている場合は、最初の操作を差し引いた操作回数をレジスタiに設定する(ステップS96)。
【0141】
RAM22のレジスタjは、電動レボルバ2および開口絞り8を多段階動作させる場合の段数を保持するもので、その値が正であれば対物レンズ11の倍率を上げる方向に、また負であれば下げる方向に、保持値の絶対値の段数分だけ電動レボルバ2及び開口絞り8を動作させるようになっている。
【0142】
次いで、レジスタjの値に応じて目標となる対物レンズ11を設定する。ここで、目標となる対物レンズ11は、例えば対物レンズ11(C)が観察光路上にある状態でレジスタjが「+1」であれば、対物レンズ11(C)から対物レンズ11(D)に、レジスタjが「−1」であれば、対物レンズ11(C)から対物レンズ11(B)にというように設定される(ステップS97)。
【0143】
同様にして、ステップS98において、レジスタjの値に応じて目標となる開口絞り8における開口絞りの径を設定する。ここで、目標となる開口絞り8の開口絞りの径は、例えば対物レンズ11(C)が観察光路上にある状態でレジスタjが「+1」であれば、開口絞り8(81c)から開口絞り8(81d)に、レジスタjが「−1」であれば、開口絞り8(81c)から開口絞り8(81b)にというように設定される。
【0144】
そして、上記設定した対物レンズと開口絞り径に基づいてレボドライバ17、ASドライバ18にそれぞれ駆動司令を与え、電動レボルバ2及び開口絞り8でそれぞれ目標の倍率の対物レンズとその対物レンズに最適な開口絞り径へと切換えさせる(ステップS99)。
【0145】
この状態で、開口絞り8の動作停止を待つ(ステップS100)。ここでは、例えば隣り合う位置への対物レンズ11の切換えに要する時間を800〜1000[ms]、隣り合う位置への開口絞り8の切換えに要する時間を400〜6000[ms]としている。
【0146】
そして、開口絞り8の動作停止が確認されると、ステップS101に進み、レジスタiが「0」か否かを判断する。ここで、レジスタiが「0」と判断された場合は、処理を終了する。一方、レジスタiが「0」でないと判断された場合は、つまり、入力部16のスイッチSW−HまたはSW−Lのが複数回続けて操作された場合は、レジスタiには、最初の操作を差し引いたスイッチSW−HまたはSW−Lの操作回数が書き込まれているので、レジスタiは「0」でないと判断され、RAM22のレジスタjにレジスタiの値がコピーされる(ステップS102)。
【0147】
次に、ステップS103において、レジスタjの値に応じて目標となる対物レンズ11を設定し、ステップS104で、レジスタjの値に応じて目標となる開口絞り8の開口絞りの径を設定する。
【0148】
そして、上記設定した開口絞り径に基づいてASドライバ18に動作指令を与え、開口絞り8で目標の対物レンズ11に最適な開口絞り径へと切換えさせる(ステップS105)。
【0149】
次いで、電動レボルバ2の動作終了を待ち(ステップS106)、その後、上記設定した対物レンズに基づいてレボドライバ17に駆動指令を与え、電動レボルバ2で目標の倍率の対物レンズへと切換えさせる(ステップS107)。
【0150】
最後に、電動レボルバ2および開口絞り8の動作終了を待ち(ステップS108)、レジスタiを次の切換え指示のための入力部16のスイッチSW−H,SW−Lの操作に備えて「0」にクリアして(ステップS109)、処理を終了する。
【0151】
したがって、このようにすれば対物レンズ11の切換え指示のためのスイッチSW−HまたはSW−Lの操作入力があった場合、直ちに指示に応じた対物レンズ11の切換え動作を開始し、対物レンズ11の切換え動作開始から開口絞り径の切換え停止までの間に、さらにスイッチSW−HまたはSW−Lの操作入力があった場合は、このときの操作回数を総合して最終的な目標である倍率の対物レンズ11および開口絞り8を設定できるようにしたので、この場合も、上述した第4の実施の形態と同様な効果を期待することができる。
【0152】
なお、上述した第4または第5の実施の形態の考えは、第3の実施の形態に適用することができる。この場合、第3の実施の形態の図8に示すフローのステップS53〜S67の一部を、図10に示すフローのステップS75〜S88または図12に示すフローのステップS95〜S109に置き換えるようにすればよい。こうすれば、第3の実施の形態の効果と第4または第5の実施の形態で述べた効果を合わせ持った、さらに有効な効果を期待することができる。
【0153】
また、上記第1乃至第5の実施の形態においては、いずれも電動レボルバ2の対物レンズの切換えに伴なって開口絞り8が連動する場合について述べたが、これに限るものではなく、電動化された照明光学系の要素であれば、光源の明るさや、微分干渉観察用DICプリズムなどの光学素子等であってもよいし、それらの複合であってもよい。その場合にはさらに顕微鏡全体にわたって、切換操作に要する時間を短縮し、装置の耐久性の向上を図ることができる。
【0154】
その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能であるものとする。
【0155】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、散発的あるいは連続的な対物レンズの切換指示に対応して、対物レンズのみならず、照明光学系の各要素を連動して自動的に切換え、且つその動作に要する時間を極力短縮して、作業性を大幅に向上させることができる。
【0156】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、観察者が上記2つの操作スイッチをブラインド操作する場合に対物レンズの切換方向が理解しやすい状態で規制されるため、すなわち、上記2つの操作スイッチがそれぞれ対物レンズの倍率を上げる方向、下げる方向のいずれか一方にしか作用しないために、より操作性を向上させることができる。
【0157】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、例えば上記スイッチの連続した操作回数が増えるにつれて上記所定時間を短くなるように設定することで、より迅速に目標とする状態への切換動作に移行することができるため、さらに操作性を向上させることができる。
【0158】
請求項4記載の発明によれば、レボルバに装着された対物レンズがその拡大倍率の順でない場合においても、散発的あるいは連続的な対物レンズの切換指示に対して、対物レンズのみならず、照明光学系の各要素を連動して自動的に切換え、且つその動作に要する時間を極力短縮して、作業性を大幅に向上させることができる。この場合に観察者は、対物レンズの装着状態、位置等を意識することなく、意のままに対物レンズの倍率を増大または減少させることが可能である。
【0159】
請求項5記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明の作用に加えて、例えば現在光路上にある対物レンズと同じ種類の対物レンズの中から拡大倍率の異なる目的の対物レンズ及び照明光学系の観察条件に切換動作が行なわれるため、さらに操作性を向上させることができる。
【0160】
請求項6記載の発明によれば、散発的あるいは連続的な対物レンズの切換指示に関係なく、直ちに対物レンズと照明光学系の各要素を連動して切換え動作を開始できるので、その動作に要する時間を極力短縮し、特に、散発的な対物レンズの切換え指示に対しては、動作開始に遅延のない良好な応答を実現でき、作業性を大幅に向上させることができる。
【0161】
請求項7記載の発明によれば、上記請求項6記載の発明の作用に加えて、照明光学系の観察条件の切換に要する時間を短縮でき、さらに操作性を向上させることができる。
【0162】
請求項8記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明の作用に加え、散発的あるいは連続的な対物レンズの切換指示に関係なく、直ちに対物レンズと照明光学系の各要素を連動して切換え動作を開始できるので、その動作に要する時間を極力短縮し、特に、散発的な対物レンズの切換え指示に対しては、動作開始に遅延のない良好な応答を実現でき、作業性を大幅に向上させることができる。
【0163】
請求項9記載の発明によれば、上記請求項4、6記載の発明の作用に加えて、照明光学系の観察条件の切換に要する時間を短縮でき、さらに操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る自動化顕微鏡の概略構成を示す図。
【図2】同実施の形態に係る電気回路構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態に係る開口絞りの構成を示す図。
【図4】同実施の形態に係る動作を説明するフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る動作を説明するフローチャート。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る自動化顕微鏡の概略構成を示す図。
【図7】図6の入力部の操作パネル構成を示す図。
【図8】同実施の形態に係る動作を説明するフローチャート。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る動作を説明するフローチャート。
【図10】同実施の形態に係る動作を説明するフローチャート。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る動作を説明するフローチャート。
【図12】同実施の形態に係る動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
1…落射照明
2…電動レボルバ
3…顕微鏡
4…光源
5…コレクタレンズ
6…リレーレンズ
8…開口絞り
9…視野絞り
10…ハーフミラー
11…対物レンズ
12…ステージ
13…試料
14…鏡筒
15…接眼レンズ
16…入力部
17…レボドライバ
18…ASドライバ
20…制御回路
21…ROM
22…RAM
23…光路
71…板バネ
72…コロ
73…クリック溝
80…開口絞りユニット
81a〜81e…開口絞り
82…開口絞りターレット
83…ベアリング
85…光路
86…ピニオン
87…ギヤ
88…センサ板突起部
89…センサ基板
91…ホール素子基板
92…マグネット
101…紫外光源
102…コレクタレンズ
103…反射ミラー
104…ダイクロイックミラー
105…初期設定スイッチ(INIT.)
106…ジョグエンコーダ
107…観察法切換スイッチ(METH.1〜4)
108…表示部
SW−H,SW−L…スイッチ
M1,M2…モータ
S1,S2,S2′,S2″…センサ

Claims (3)

  1. 複数の対物レンズを選択的に前記対物レンズの光路上に配置する自動化顕微鏡であって、
    前記複数の対物レンズが装着され、これら複数の対物レンズの中から択一的に目的の対物レンズを光路上に位置決め可能なレボルバと、
    前記複数の対物レンズに対応して、観察条件を調整可能な少なくとも開口絞りを含む照明光学系と、
    前記レボルバ及び前記照明光学系を駆動制御する制御手段と、
    前記レボルバに対してそれぞれ正転方向及び逆転方向のいずれか一方の回転指令を与える2つの操作スイッチと、を有し、
    前記制御手段は、
    前記操作スイッチの操作による対物レンズの切換指示入力を行う際に、前記操作スイッチの連続的な操作と判断するために予め設定されている所定時間の連続した切換指示入力に対し、これら全ての切換指示入力を総合して目的の対物レンズ及び照明光学系の諸条件を決定し、前記操作スイッチによる連続的な操作の終了後、諸条件に基づいて前記レボルバ及び前記照明光学系の駆動を開始すること
    を特徴とする自動化顕微鏡。
  2. 前記レボルバに前記複数の対物レンズを拡大倍率に従った順序で装着した場合、前記制御手段は、前記複数の対物レンズ中の最大倍率のもの及び最小倍率のものの観察光路に対する位置に応じて前記操作スイッチでの連続操作回数を制限すること
    を特徴とする請求項1記載の自動化顕微鏡。
  3. 前記レボルバに装着された前記複数の対物レンズの種類及び拡大倍率を入力、設定する初期設定手段を、更に有し、
    前記制御手段は、前記初期設定手段により初期設定された前記レボルバに装着された前記複数の対物レンズの種類及び倍率と、現在の前記光路上に配置されている対物レンズの種類及び倍率とに基づいて、前記操作スイッチの連続操作回数を制限すること
    を特徴とする請求項1記載の自動化顕微鏡。
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