JP4493001B2 - 透明電極及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、液晶表示素子、有機EL素子、プラズマ表示素子等の発光素子の光取り出し面に使用される透明電極とその製造方法に関する。また、強誘電体メモリ素子で用いる安定性のある酸化物電極に関する。
従来、透明電極膜としてITO(錫含有酸化インジウム、In−SnO)膜、IZO(酸化インジウムに亜鉛添加)膜、酸化スズにフッ素をわずかに加えた薄膜(Sn系透明電極膜)、酸化スズにアンチモンをわずかに加えた薄膜(Sn系透明電極膜)、ZnOにGaを添加した膜(Zn系透明電極)等が知られている。
ここで、ITO透明導電膜を所定形状の透明電極にパターン加工したものは、可視光の透過性が優れているが、透明導電膜の抵抗率は10−4Ωcmオーダーという大きな値を有するため、表示面積を大きく、また、表示の高精細化、高速応答化を実現するためには、透明電極の厚みを厚くしなければならないという問題があった。
透明導電膜の膜厚が厚くなると、微細な形状の電極を歩留りよく形成することが困難になり、また液晶表示素子内部に透明電極による顕著な段差が形成されるので、ラビングなどによる液晶の配向処理においてこの段差部周辺で配向不良が生じるという問題があった。この問題を解決するために、抵抗率の小さい銀の薄膜を導電層とし、透過率の向上をはかるために、この銀層をITO層で挟んだ3層構造の透明電極が、液晶表示用透明電極として開示されている(たとえば特許文献1、2を参照。)。
しかし、銀層の耐久性が低く、また製造工程の増加を伴うので、低抵抗の透明電極が求められていた。
特開平02−37326号公報 特開平7−114841号公報
また、強誘電体メモリ素子の電極については、酸素や鉛の拡散による強誘電体の劣化を防止し、また、水素雰囲気下での製造工程における強誘電体の劣化を防止することができる安定性のある電極が望まれていた。
本発明の目的は、低抵抗で、透光性が高く、しかも安定性の優れた二酸化イリジウム(IrO)薄膜からなる透明電極及びその製造方法を提供することである。
二酸化イリジウム薄膜を製造すると酸化不十分の理由で金属イリジウムが含まれていた。金属イリジウムが同時に析出すると、金属イリジウムが光の散乱・吸収を行い、薄膜の透光率の低下をもたらし、目視で灰色に着色されてしまった。また、IrO−Ir混合相薄膜は、抵抗率等の電極特性が不安定であった。本発明者は、二酸化イリジウム単相薄膜の合成の過程で、二酸化イリジウム単相薄膜が透明で且つ低抵抗であることを発見し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係る透明電極は、二酸化イリジウム(IrO)薄膜からなり、前記二酸化イリジウム薄膜は、少なくとも、GIXRD(Glazing incidence X−ray diffraction、斜入射X線回折)によって金属イリジウムの回折ピークが検出されない二酸化イリジウム単相薄膜であることを特徴とする。金属イリジウムは透光性の低下をもたらすので、GIXRDによって金属イリジウムの回折ピークが検出されないレベルの二酸化イリジウム単相薄膜であれば、透明電極として優れたものとなる。
また本発明に係る透明電極は、基板上に透明電極膜層を2層以上積層した積層型の透明電極であって、前記透明電極層のうち少なくとも1層が二酸化イリジウム薄膜からなり、前記二酸化イリジウム薄膜は、少なくとも、GIXRD(Glazing incidence X−ray diffraction、斜入射X線回折)によって金属イリジウムの回折ピークが検出されない二酸化イリジウム単相薄膜であることを特徴とする。すなわち、ITO等の他組成の透明電極と積層化して透明電極を形成しても良い。金属イリジウムは透光性の低下をもたらすので、GIXRDによって金属イリジウムの回折ピークが検出されないレベルの二酸化イリジウム単相薄膜であれば、透明電極として優れたものとなる。
また本発明に係る透明電極は、金属イリジウム(Ir)薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜を成膜した基板をイリジウム系揮発ガスと酸素とを含有する雰囲気下で加熱して、前記金属イリジウム薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜を酸化して得た二酸化イリジウム薄膜からなり、前記二酸化イリジウム薄膜は、少なくとも、GIXRD(Glazing incidence X−ray diffraction、斜入射X線回折)によって金属イリジウムの回折ピークが検出されない二酸化イリジウム単相薄膜であることを特徴とする。すなわち、基板に直接二酸化イリジウム薄膜を形成しても良いし、最初に金属イリジウムを含む薄膜を成膜して、酸化させて得た二酸化イリジウムも透明電極となりうる。金属イリジウムは透光性の低下をもたらすので、GIXRDによって金属イリジウムの回折ピークが検出されないレベルの二酸化イリジウム単相薄膜であれば、透明電極として優れたものとなる。
上記の二酸化イリジウム透明電極は、比抵抗が30〜45μΩcmで、透光率が400〜800nmで好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上の薄膜とする。
また、本発明に係る透明電極では、二酸化イリジウム薄膜の膜厚は、25〜300nmであることが好ましい。
さらに本発明に係る透明電極では、発光素子の透明電極であり、かつ、前記発光素子が、液晶表示素子、有機EL素子又はプラズマ表示素子であることが好ましい。
本発明に係る透明電極での製造方法は、PVD(Physical Vapor Deposition)法により基板上に金属イリジウム薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜を形成する成膜工程と、前記基板に形成した金属イリジウム薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜をイリジウム系揮発ガスと酸素とを含有する雰囲気下で加熱して二酸化イリジウム薄膜に酸化する酸化工程と、を含むことを特徴とする。このとき、前記酸化工程において、イリジウム系揮発ガスは飽和状態であることが好ましく、基板に形成した前記金属イリジウム薄膜又は前記IrO−Ir混合相薄膜を二酸化イリジウム粉末にて取り囲んだ状態で加熱し、酸化させることが好ましい。
さらに本発明に係る透明電極での製造方法では、前記酸化工程において、基板に形成した前記金属イリジウム薄膜又は前記IrO−Ir混合相薄膜を550〜1050℃に加熱し、酸化させることが好ましい。
また、本発明に係る透明電極での製造方法は、二酸化イリジウムをターゲットとして、酸素含有雰囲気の減圧下でレーザーアブレーション法により基板上に二酸化イリジウム薄膜を形成し、前記二酸化イリジウム薄膜は、少なくとも、GIXRD(Glazing incidence X−ray diffraction、斜入射X線回折)によって金属イリジウムの回折ピークが検出されない二酸化イリジウム単相薄膜であることを特徴とする。金属イリジウムは透光性の低下をもたらすので、GIXRDによって金属イリジウムの回折ピークが検出されないレベルの二酸化イリジウム単相薄膜であれば、透明電極として優れたものとなる。
本発明に係る透明電極での製造方法では、基板温度を600〜800℃として、前記金属イリジウム薄膜又は前記IrO−Ir混合相薄膜を成膜するか、或いは前記二酸化イリジウム薄膜を成膜することが好ましい。
本発明の二酸化イリジウム透明電極は、低抵抗で、透光性が高く、しかも電極として安定性が優れている。したがって、ITOなどの従来透明電極として使用されていた分野に使用できる。また、高電流密度が要求される発光素子の透明電極に最適で、ITO/Ag/ITOの3層電極構造のような積層構造としなくても単体膜で透明電極として使用しうる。また、本発明の透明電極の製造方法によれば、金属イリジウムの含有量を減らした二酸化イリジウム単相膜を成膜しうる。
以下、本発明について詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本実施形態に係る透明電極は、二酸化イリジウム薄膜からなる。二酸化イリジウム薄膜は、(110)面配向などの結晶配向性を持っていても良い。このとき、二酸化イリジウムはほぼ単相膜であり、金属イリジウムの含有量が少ないほど良い。この指標としては、GIXRDによって金属イリジウムの回折ピークが検出されないことを例示できる。そして二酸化イリジウム透明電極は、比抵抗が30〜45μΩcm、好ましくは34〜40μΩcmで、透光率が400〜800nmにおいて好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上の薄膜とする。不純物である金属イリジウムが混入すると、比抵抗は30μΩcm未満に低下する。金属イリジウムの比抵抗は5.3μΩcmであるため、分散した金属イリジウム粒子が膜の比抵抗を低下させるからである。一方、二酸化イリジウムはバルク(110)の比抵抗が34.9μΩcmであるため、比抵抗が45μΩcmを超えると二酸化イリジウム以外の低透光率相を含みうる。そのため、膜の透光率の低下が懸念される。その上、シート抵抗を10Ω/□以下とするための必要膜厚が大きくなってしまう。したがって、比抵抗が30〜45μΩcmを外れるということは、膜の透光特性と電気抵抗特性とのバランスが崩れることとなり、二酸化イリジウム単相からなる透明電極とすることにより、比抵抗が30〜45μΩcmで、透光率が400〜800nmで好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上を満たすこととなる。例えばシート抵抗10Ω/□を確保するために二酸化イリジウム単相薄膜の膜厚を35nmとすれば、その透光率は400〜800nmで60〜80%若しくはそれ以上となる。なお、シート抵抗の単位はΩで、□はシートを意味する。
また、二酸化イリジウム薄膜を所定膜厚に形成し、透明電極としても良いが、基板上に透明電極膜層を2層以上積層した積層型の透明電極であって、透明電極層のうち少なくとも1層が二酸化イリジウム薄膜からなる電極構造としても良い。図1に透明電極の積層構造の具体例を示した。例えば、図1(a)の基板/ITO/IrO、図1(b)の基板/IrO/ITO、図1(c)の基板/ITO/IrO/ITOなどが例示できる。このとき、図1(d)に示すようにIrOを、ITOの表面電極の抵抗値を下げる目的で集電極としても良い。積層構造とする場合、IrO層により抵抗を下げることができ、積層構造の膜厚を薄くすることができるので、透明電極としての透光性を高めることができる。また、二酸化イリジウム単相薄膜は、屈折率の異なる薄膜、SiO、TiO、ZnOなどと共に1/4波長厚(0.1〜0.3μm)に積層することで反射防止膜(ARコート)として利用することもできる。
二酸化イリジウム薄膜の膜厚は、好ましくは25〜300nm、より好ましくは35〜100nmである。25nm未満の膜厚であるとシート抵抗が高くなる。一方、膜厚が300nmを超えると透光率がやや低下し、微細な形状の電極を歩留りよく形成することが困難になり、また透明電極による顕著な段差が形成されるので、液晶の配向不良が生じる。
本実施形態に係る透明電極は、液晶表示素子、有機EL素子、プラズマ表示素子等の発光素子の透明電極として使用しうる。また、二酸化イリジウム電極膜として透光性を考慮しない用途にも使用できる。例えば強誘電体メモリの上部電極、下部電極である。二酸化イリジウム単相膜を上部電極、下部電極とすれば、酸素や鉛の拡散を防止でき、しかも水素雰囲気で行なう工程時においてIrの触媒作用(還元作用)を発生させないため、強誘電体薄膜の劣化防止が可能となる。このとき、イリジウムがさまざまな価数の状態を取りうる不定比性を持つことから、IrO−Ir混合相薄膜が成膜されやすく、わずかな酸化度の違いにより拡散バリア性や導電性などの電極特性がばらつき、安定性に欠ける。しかし、本実施形態では二酸化イリジウムの単相膜であるため、強誘電体薄膜の劣化を防止しつつ、電極特性が安定している。
次に本実施形態に係る透明電極の製造方法について説明する。本実施形態に係る透明電極の製造方法は、大きく分けて2つの方法がある。成膜後、酸化処理により二酸化イリジウム単相薄膜とする方法と、直接二酸化イリジウム単相薄膜を成膜する方法である。いずれの方法についても、表面が平坦な膜を形成することが望まれる。
まず、成膜後、酸化処理により二酸化イリジウム単相薄膜とする方法について説明する。PVD法により基板上に金属イリジウム薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜を形成する。PVD法としては、抵抗加熱蒸着又は電子ビーム加熱蒸着等の真空蒸着法、DCスパッタリング、高周波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、ECRスパッタリング又はイオンビームスパッタリング等の各種スパッタリング法、高周波イオンプレーティング、活性化蒸着又はアークイオンプレーティング等の各種イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション法、イオン化クラスタビーム蒸着法、並びにイオンビーム蒸着法等である。材料として金属イリジウムを使用する。高真空とした後、ガラス基板等の基板上に成膜する場合には、金属イリジウム膜が成膜される。成膜雰囲気に酸素分圧があるときはIrO−Ir混合相薄膜となる。なお、基板上に金属イリジウム薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜を形成することが可能であれば、成膜時の圧力は特に限定しない。また、成膜時の基板温度を600〜800℃と加熱しても良い。成膜時の基板加熱により膜質が向上する。
次に、基板に形成した金属イリジウム薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜をイリジウム系揮発ガスと酸素とを含有する雰囲気下で加熱して二酸化イリジウム薄膜に酸化する。例えば、大気圧下で550〜1050℃にて酸化を行なう。550℃未満の加熱温度では充分に酸化されず、不定比酸化物が残ってしまう。一方、1050℃を超えると、IrOが増えてIr化合物の揮発が増加する。
ここで酸化工程において、基板に形成した金属イリジウム薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜をイリジウム系揮発ガスと酸素とを含有する雰囲気下で加熱することを実現するために、二酸化イリジウム粉末にて取り囲んだ状態で加熱し、酸化させることが好ましい。二酸化イリジウム粉末にて取り囲んだ状態で加熱することで、酸化加熱炉中のIr化合物分圧を高くして、より好ましくはイリジウム系揮発ガスで飽和状態として、膜からのIr元素の揮発を防止することができる。ここで、イリジウム系揮発ガスとしてはIr酸化物系揮発ガス、特にIrOが例示できる。二酸化イリジウム粉末の粒径は特に制限はないが、1〜50μmが好ましい。また、二酸化イリジウム粉末にて取り囲んだ状態とは、二酸化イリジウム粉末中に基板ごと薄膜を埋め込んだ状態とすることが好ましい。
次に、直接二酸化イリジウム単相薄膜を成膜する方法を説明する。二酸化イリジウムをターゲットとして、酸素含有雰囲気の減圧下でレーザーアブレーション法によりガラス基板等の基板上に二酸化イリジウム薄膜を形成する。成膜する前に、一旦、成膜チャンバーを高真空(10−7Pa)として、その後チャンバー内に酸素を導入して所定酸素分圧にて成膜を行なう。このようにレーザーアブレーション法では、成膜時の酸素分圧調整が可能であるため、直接二酸化イリジウムを成膜しうる。ここで、成膜時の基板温度を600〜800℃とすることが好ましい。析出した膜の結晶性が向上し良質の膜が得られる。600℃未満の加熱では結晶性の向上が不十分であり、800℃を超えると膜の再蒸発が生ずる。また、直接二酸化イリジウム単相薄膜を成膜した場合、金属イリジウム薄膜又はIrOx−Ir混合相薄膜を酸化させて製造した二酸化イリジウム薄膜よりも膜の平滑性が優れている。なお、イリジウム系揮発ガスと酸素とを含有する雰囲気下で加熱する酸化処理を行なっても良い。
本実施形態に係る透明電極の基板には制限はないが、透明性を活かす上でガラス基板等の透明基板が好ましい。
以下、レーザーアブレーション法にて、まずガラス基板上に金属イリジウム薄膜を成膜し、次いでこれを酸化して二酸化イリジウム薄膜とした透明電極の実施例について説明する。
(実施例1)
ターゲットは純Irターゲットを使用する。石英ガラス基板を成膜チャンバー内にセットして、10−7Paまで真空引きを行なう。所定の真空度まで到達した後、355nmの波長のパルスNd:YAGレーザーを稼動させ、Irターゲットを照射する。これにより、石英ガラス基板上に金属イリジウム薄膜を析出させた。このときの膜厚は25nmであった。
次に石英ガラス基板に析出させた金属イリジウム薄膜を973Kの大気中で180分間酸化させた。酸化させるときに、石英ガラス基板に析出させた金属イリジウム薄膜を二酸化イリジウム粉末で取り囲んで、Ir元素の揮発を防いだ。酸化処理後、GIXRD(Rigaku Rotaflex RU−200B)により相の同定を行なった。結果を図2(c)に示した。また、マイクロX線光電子スペクトル(micro−XPS、光電子分光分析装置、Surface Science Instruments SSI−100)で組成分析を行なった。さらに、400〜800nmにおいて、基板を含めた膜の透光率の測定(自記分光光度計、島津製作所製、UV−3101PC)を行なった。図3(c)に透光率特性を示した。さらに、大気中、300〜773Kにおける膜の電気抵抗をvan der Pauw法により測定した。図4(c)に温度−電気抵抗特性を示した。
(比較例1)
実施例1と同様に、石英ガラス基板上に金属イリジウム薄膜を析出させた。このときの膜厚は25nmであった。
この金属イリジウム薄膜について、GIXRDを行ない、結果を図2(a)に示した。また、実施例1と同様に、マイクロX線光電子スペクトルによる組成分析、透光率特性並びに電気抵抗を測定した。図3(a)に透光率特性を示した。図4(a)に温度−電気抵抗特性を示した。
(比較例2)
実施例1と同様に、石英ガラス基板上に金属イリジウム薄膜を析出させた。このときの膜厚は25nmであった。
次に石英ガラス基板に析出させた金属イリジウム薄膜を973Kの大気中で60分間酸化させた。酸化処理後、GIXRDにより相の同定を行なった。結果を図2(b)に示した。また、実施例1と同様に、マイクロX線光電子スペクトルによる組成分析、透光率特性並びに電気抵抗を測定した。図3(b)に透光率特性を示した。図4(b)に温度−電気抵抗特性を示した。
図2(a)の比較例1を参照すると基板上に形成された金属イリジウム薄膜はIr単相であり、多結晶で(111)面に配向していた。XPSによると酸素は含有されていなかった。また、図4(a)の比較例1を参照すると室温の電気抵抗値は7.8μΩcmであり、バルクIrの電気抵抗値5.3μΩcmと近い値を示した。なお、膜は目視で金属反射が確認され、図3(a)に示されるとおり、透光性は確認できなかった。
次に図2(b)の比較例2を参照すると基板上に形成された金属イリジウム薄膜はIr相とIrO相との混合相薄膜になって、金属イリジウムが一部酸化されたことが確認された。XPSの結果からも、二酸化イリジウムのIr−O組成比よりも酸素が不足していることが確認された。これは酸素含有雰囲気下での加熱時間が短く、酸化処理が途中で終了したからと思われる。ただし、酸化処理時間を長時間化すると、膜が揮発しやすいためIrO単相膜となるまでに膜厚変化が生じることがある。図4(b)の比較例2を参照すると、図4(a)の金属イリジウム薄膜よりも電気抵抗が高く、これはIrO相が存在することによる影響と考えられる。なお、膜は目視で灰色に着色しており、図3(b)に示されるとおり、透光性は全波長において20%未満と低かった。
次に図2(c)の実施例1を参照すると基板上に形成された金属イリジウム薄膜はIrO単相膜となって、完全に酸化されたことが確認できた。XPSからも化学量論的に二酸化イリジウムであることが確認できた。また、多結晶で(110)面に配向していた。さらに、酸化処理が比較例2と比べて長かったにもかかわらず、イリジウム系揮発ガスと酸素とを含有する雰囲気下で加熱したため、膜の再揮発を抑制し、膜厚減少はみられなかった。また、図4(c)の実施例1を参照すると室温の電気抵抗値は39.5μΩcmであり、プラスの温度抵抗で典型的な金属の特性であった。二酸化イリジウムは金属イリジウム以上に正の温度特性を有している。これは、バルク(110)IrOの電気抵抗値34.9μΩcmとほぼ一致した。さらに、IrO単相膜の透光特性は、図3(c)に示されるとおり400〜800nmの範囲で、基板を含め60〜80%であった。
(実施例2、3及び参考例1)
実施例1と同様の方法により、膜厚が50nm(実施例2)、300nm(実施例3)及び500nm(参考例1)のIrO単相膜を作製した。実施例1と同様に、400〜800nmにおいて、基板を含めた膜の透光率の測定を行なった。図5に透光率特性を示した。図3(c)及び図5の透光特性により、二酸化イリジウム単相薄膜の膜厚25〜500nmにおける透光特性が明らかになった。
実施例1の二酸化イリジウム単相薄膜は膜厚が25nmで透光率は400〜800nmの範囲で60〜80%であった。実施例2の二酸化イリジウム単相薄膜は膜厚が50nmで膜の透光率は55〜70%であった。実施例3の二酸化イリジウム単相薄膜は膜厚が300nmで膜の透光率は45〜60%であった。参考例1の二酸化イリジウム単相薄膜は膜厚が500nmで膜の透光率は30〜42%であった。また、二酸化イリジウムの比抵抗が39.5μΩcmとすると、シート抵抗を10Ω/□以下とするためには、必要膜厚は39.5nm以上となる。
(実施例4)
シリコン半導体基板上に実施例1の二酸化イリジウム単相薄膜と同様のIrO下部電極薄膜を形成する。次にIrO電極薄膜の上に酸化物強誘電体からなる強誘電体膜、すなわちチタン酸ジルコン酸鉛をPVD法により成膜した。さらに、強誘電体薄膜の上に実施例1の二酸化イリジウム単相薄膜と同様のIrO上部電極薄膜を形成した。電極つき強誘電体薄膜を500℃1時間で再加熱を行なった。その結果、表面ラフネスの増加は見られず、電極として耐熱性があった。また、強誘電体薄膜から酸素、鉛等の構成元素の拡散による散逸はみられなかった。また、電極薄膜はIrOとして完全に酸化されている為、電気抵抗等の電極特性は安定していた。さらに水素含有雰囲気下におけるIr触媒作用による強誘電体の還元劣化は生じない。したがって、分極反転の疲労特性が向上する。
透明電極の積層構造の具体例であって、(a)は基板/ITO/IrO構造、(b)は基板/IrO/ITO構造、(c)は基板/ITO/IrO/ITO構造、(d)はIrOを、ITOの表面電極の抵抗値を下げる目的で集電極とした場合を示す。 GIXRDのスペクトルを示す図であって、(a)は比較例1、(b)は比較例2、(c)実施例1を示す。 薄膜付基板の透光特性を示すグラフであって、(a)はIr薄膜付基板(比較例1)、(b)はIr−IrO薄膜付基板(比較例2)、(c)はIrO薄膜付基板のデータ(実施例1)を示す。 膜の温度−電気抵抗特性を示す図であって、(a)は比較例1、(b)は比較例2、(c)実施例1を示す。 薄膜付基板の透光特性を示すグラフであって、膜厚が、50nm(実施例2)、300nm(実施例3)、500nm(参考例1)の場合をそれぞれ示す。
符号の説明
1 基板
2 ITO層
3 二酸化イリジウム層
4 二酸化イリジウムの集電極

Claims (9)

  1. 二酸化イリジウム(IrO)薄膜からなり、前記二酸化イリジウム薄膜は、少なくとも、GIXRD(Glazing incidence X−ray diffraction、斜入射X線回折)によって金属イリジウムの回折ピークが検出されない二酸化イリジウム単相薄膜であることを特徴とする透明電極。
  2. 基板上に透明電極膜層を2層以上積層した積層型の透明電極であって、前記透明電極層のうち少なくとも1層が二酸化イリジウム薄膜からなり、前記二酸化イリジウム薄膜は、少なくとも、GIXRD(Glazing incidence X−ray diffraction、斜入射X線回折)によって金属イリジウムの回折ピークが検出されない二酸化イリジウム単相薄膜であることを特徴とする透明電極。
  3. 金属イリジウム(Ir)薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜を成膜した基板をイリジウム系揮発ガスと酸素とを含有する雰囲気下で加熱して、前記金属イリジウム薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜を酸化して得た二酸化イリジウム薄膜からなり、前記二酸化イリジウム薄膜は、少なくとも、GIXRD(Glazing incidence X−ray diffraction、斜入射X線回折)によって金属イリジウムの回折ピークが検出されない二酸化イリジウム単相薄膜であることを特徴とする透明電極。
  4. 二酸化イリジウム薄膜の膜厚は、25〜300nmであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の透明電極。
  5. 発光素子の透明電極であり、かつ、前記発光素子が、液晶表示素子、有機EL素子又はプラズマ表示素子であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の透明電極。
  6. PVD(Physical Vapor Deposition)法により基板上に金属イリジウム薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜を形成する成膜工程と、
    前記基板に形成した金属イリジウム薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜をイリジウム系揮発ガスと酸素とを含有する雰囲気下で加熱して二酸化イリジウム薄膜に酸化する酸化工程と、を含むことを特徴とする透明電極の製造方法。
  7. 前記酸化工程において、基板に形成した前記金属イリジウム薄膜又は前記IrO−Ir混合相薄膜を550〜1050℃に加熱し、酸化させることを特徴とする請求項6記載の透明電極の製造方法。
  8. 二酸化イリジウムをターゲットとして、酸素含有雰囲気の減圧下でレーザーアブレーション法により基板上に二酸化イリジウム薄膜を形成し、前記二酸化イリジウム薄膜は、少なくとも、GIXRD(Glazing incidence X−ray diffraction、斜入射X線回折)によって金属イリジウムの回折ピークが検出されない二酸化イリジウム単相薄膜であることを特徴とする透明電極の製造方法。
  9. 基板温度を600〜800℃として、請求項6又は7記載の金属イリジウム薄膜又はIrO−Ir混合相薄膜を成膜するか、或いは請求項8記載の二酸化イリジウム薄膜を成膜することを特徴とする請求項6、7又は8記載の透明電極の製造方法。
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